1限目:光の粒子性と光電効果|原子・最短攻略パック

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講義ノート

【今回のポイント】

  • 原子の大きさは約 \( 10^{-10}\,\text{m} \)、原子核は約 \( 10^{-15}\,\text{m} \)(東京ドームと1円玉のスケール差)
  • 光は波であると同時に粒子(光子)でもある。光子のエネルギーは \( \varepsilon = h\nu \)、運動量は \( p = \frac{h}{\lambda} \)
  • 光電効果の式 \( h\nu = K + W \) を理解し、仕事関数 \( W \) と限界振動数 \( \nu_0 \) の意味を押さえる
  • \( K \text{-} \nu \) グラフは一次関数。傾き \( = h \)、切片 \( = -W \)、横軸との交点 \( = \nu_0 \) を読み取れるようにする

【講義解説】

原子と原子核のサイズ感

原子の世界に入る前に、まずはスケール感を掴んでおきましょう。

原子の大きさは約 \( 10^{-10}\,\text{m} \) です。1メートルの100億分の1という、日常からはまったく想像のつかない小ささです。そしてその中心にある原子核の大きさは約 \( 10^{-15}\,\text{m} \)。原子のさらに10万分の1しかありません。

このスケール差を身近なもので例えてみましょう。原子を東京ドームに拡大すると、原子核はグラウンドに置いた1円玉くらいの大きさになります。つまり、原子の中身はほとんどが「何もない空間(スカスカ)」であり、質量のほぼすべてが中心の原子核に集中しているのです。

 

光の粒子性 ─ 光子のエネルギーと運動量

光は「波」としての性質を持つことは、波動の分野で学びました(干渉・回折など)。しかし、光には「粒子」としての性質もあります。光を粒子として見たとき、その1粒1粒を「光子(フォトン)」と呼びます。

光子1個が持つエネルギー \( \varepsilon \) と運動量 \( p \) は、以下の式で表されます。

$$
\varepsilon = h\nu
$$

$$
p = \frac{h}{\lambda}
$$

ここで、\( h \) はプランク定数(\( h = 6.63 \times 10^{-34}\,\text{J}\cdot\text{s} \))、\( \nu \) は振動数、\( \lambda \) は波長です。

ポイントは、振動数が大きい(波長が短い)光ほど、1個あたりのエネルギーが大きいということです。紫外線やX線は振動数が高いのでエネルギーが大きく、赤外線は振動数が低いのでエネルギーは小さくなります。

光の粒子性(フォトン・モデル)
光の波長と強度を変化させ、離散的なエネルギーの粒を観察
パラメータ設定
※強度は「1秒間に放出される光子の数」に比例
データ表示
・光子1個のエネルギー: 2.48 eV
・センサー到達数 (直近1秒): 0 個/秒
・到達総エネルギー (直近1秒): 0.00 eV/秒
操作パネル

 

光電効果の仕組み

光の粒子性を示す最も重要な現象が「光電効果」です。

金属の表面に光(紫外線など)を当てると、金属の内部から電子が飛び出してきます。この現象を光電効果と呼び、飛び出した電子を「光電子」と呼びます。

光電効果のシミュレーション
金属の種類や光の波長・強度、印加電圧を操作し、光電効果の原理を学ぶ
パラメータ設定
陰極の金属
光の波長 λ 400 nm
光の強さ (光子数) 50 %
印加電圧 V 0.00 V
データ表示
光子エネルギー 0.00 eV
仕事関数 W0.00 eV
最大運動エネルギー Kmax0.00 eV
阻止電圧 V00.00 V
光電流 I (相対値)0.00
操作パネル
陰極の金属
光の波長 λ 400 nm
光の強さ (光子数) 50 %
印加電圧 V 0.00 V

光電効果のイメージとして、ソーラーパネルを思い浮かべてください。太陽光が当たると電気が生まれる ─ あれは光のエネルギーで電子が動き出す現象です。また、金属内部の電子を「くぼみにはまったボール」に例えると分かりやすくなります。くぼみから脱出するには一定以上のエネルギーが必要で、それが「仕事関数 \( W \)」です。

光電効果の基本式は次の通りです。

$$
h\nu = K + W
$$

  • \( h\nu \):入射光子のエネルギー
  • \( K \):光電子の運動エネルギー(最大値)
  • \( W \):仕事関数(電子を金属表面から引き離すのに必要な最小エネルギー。金属ごとに固有の値)

光子のエネルギー \( h\nu \) が仕事関数 \( W \) より小さい場合、電子はくぼみから脱出できません。つまり、振動数が \( \nu_0 = \frac{W}{h} \)(限界振動数)以下の光をいくら強くしても、光電子は1個も飛び出さないのです。これは光を波として考えると説明できず、粒子として考えて初めて理解できるポイントです。

 

\( K \text{-} \nu \) グラフの読み取り

光電効果の式 \( h\nu = K + W \) を \( K \) について解くと、

$$
K = h\nu – W
$$

これは \( y = ax + b \) の形の一次関数です。横軸に振動数 \( \nu \)、縦軸に光電子の最大運動エネルギー \( K \) をとったグラフを描くと、直線が得られます。

このグラフから読み取れる情報を整理しましょう。

  • 傾き:プランク定数 \( h \)(金属の種類によらず一定)
  • 縦軸の切片:\( -W \)(負の値。仕事関数が大きいほど切片は下にくる)
  • 横軸との交点:限界振動数 \( \nu_0 \)(\( K = 0 \) となる振動数)

グラフの軸に \( \times 10^{14} \) や \( \times 10^{-19} \) などのスケールファクタが付いている場合、これを計算に入れ忘れるミスが非常に多いので注意してください。軸の数値を読むときは、必ずスケールファクタを掛けてから代入しましょう。

 

 


練習問題の解説

① 光子のエネルギーと運動量(練習問題1)

【問題】
波長 \( \lambda = 2.0 \times 10^{-7}\,\text{m} \) の紫外線の光子1個について、エネルギー \( \varepsilon \) と運動量 \( p \) を求めよ。ただし、プランク定数を \( h = 6.6 \times 10^{-34}\,\text{J}\cdot\text{s} \)、光速を \( c = 3.0 \times 10^{8}\,\text{m/s} \) とする。

 

【解説】
まず、振動数 \( \nu \) を求めます。光速の式 \( c = \nu\lambda \) より、

$$
\nu = \frac{c}{\lambda} = \frac{3.0 \times 10^{8}}{2.0 \times 10^{-7}} = 1.5 \times 10^{15}\,\text{Hz}
$$

エネルギーは \( \varepsilon = h\nu \) に代入します。

$$
\begin{aligned}
\varepsilon &= h\nu \\[2.0ex] &= 6.6 \times 10^{-34} \times 1.5 \times 10^{15} \\[2.0ex] &= 9.9 \times 10^{-19}\,\text{J}
\end{aligned}
$$

運動量は \( p = \dfrac{h}{\lambda} \) に代入します。

$$
\begin{aligned}
p &= \frac{h}{\lambda} \\[2.0ex] &= \frac{6.6 \times 10^{-34}}{2.0 \times 10^{-7}} \\[2.0ex] &= 3.3 \times 10^{-27}\,\text{kg}\cdot\text{m/s}
\end{aligned}
$$

【答え】\( \varepsilon = 9.9 \times 10^{-19}\,\text{J} \)、\( p = 3.3 \times 10^{-27}\,\text{kg}\cdot\text{m/s} \)

 


② ナトリウムの光電効果グラフ(練習問題2)

【問題】
右の図は、ナトリウムの光電効果における \( K \text{-} \nu \) グラフである。グラフを読み取り、以下の問いに答えよ。
(1) 仕事関数 \( W \) を求めよ。
(2) 限界振動数 \( \nu_0 \) を求めよ。
(3) プランク定数 \( h \) を求めよ。

 

【解説】
\( K = h\nu – W \) のグラフ(一次関数 \( y = ax + b \))を読み取ります。

(1) 仕事関数 \( W \)

縦軸の切片(\( \nu = 0 \) のときの \( K \) の値)を読み取ります。グラフから、切片は \( -3.5 \times 10^{-19}\,\text{J} \) です。

\( K = h\nu – W \) の切片は \( -W \) なので、

$$
-W = -3.5 \times 10^{-19}
$$

$$
W = 3.5 \times 10^{-19}\,\text{J}
$$

(2) 限界振動数 \( \nu_0 \)

横軸との交点(\( K = 0 \) となる振動数)を読み取ります。グラフから、

$$
\nu_0 = 5.6 \times 10^{14}\,\text{Hz}
$$

(3) プランク定数 \( h \)

グラフの傾きがプランク定数 \( h \) に等しいので、グラフ上の2点を使って傾きを計算します。

$$
\begin{aligned}
h &= \frac{\Delta K}{\Delta \nu} \\[2.0ex] &= \frac{K_2 – K_1}{\nu_2 – \nu_1}
\end{aligned}
$$

グラフから適切な2点を読み取り計算すると、

$$
h \approx 6.3 \times 10^{-34}\,\text{J}\cdot\text{s}
$$

注意:グラフの軸に \( \times 10^{14} \) や \( \times 10^{-19} \) のスケールファクタが付いている場合は、読み取った数値にそのファクタを掛けてから計算に使ってください。

【答え】(1) \( W = 3.5 \times 10^{-19}\,\text{J} \) (2) \( \nu_0 = 5.6 \times 10^{14}\,\text{Hz} \) (3) \( h \approx 6.3 \times 10^{-34}\,\text{J}\cdot\text{s} \)

 


【重要公式まとめ】

光子のエネルギー
$$
\varepsilon = h\nu
$$
\( h \):プランク定数 \( [6.63 \times 10^{-34}\,\text{J}\cdot\text{s}] \)  \( \nu \):振動数 \( [\text{Hz}] \)
光子の運動量
$$
p = \frac{h}{\lambda}
$$
\( \lambda \):波長 \( [\text{m}] \)
光電効果の式
$$
h\nu = K + W
$$
\( K \):光電子の最大運動エネルギー \( [\text{J}] \)  \( W \):仕事関数 \( [\text{J}] \)\( K \text{-} \nu \) グラフ:傾き \( = h \)、切片 \( = -W \)、横軸交点 \( = \nu_0 = \dfrac{W}{h} \)
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以下のテキストをコピーして、「まことAI」にそのまま貼り付けてみてください。直感的にイメージしにくい物理の現象を、別の角度からわかりやすく解説してくれます。

「光電効果について質問です。『限界振動数以下の光をいくら強くしても、電子が1個も飛び出さない』という部分が直感的にイメージできません。光を『波』と考えた場合の常識とどう違うのか、中学生でもわかるような別の例え話(くぼみとボール以外の例え)を使って解説してくれませんか?」
📝 定着度チェッククイズ(全3問)

タップ(クリック)すると答えが表示されます。

Q1. 原子全体を「東京ドーム」の大きさに拡大したとき、中心にある原子核はどのくらいの大きさになりますか?
【正解】 1円玉くらいの大きさ

原子の大きさ(約 \( 10^{-10}\,\text{m} \))に対して、原子核(約 \( 10^{-15}\,\text{m} \))はその10万分の1程度の小ささです。質量は中心に集中していますが、原子の内部はほとんどが「スカスカの空間」です。

Q2. 光の1粒(光子)が持つエネルギーは、その光の「波長」が短いほどどうなりますか?
【正解】 大きくなる

光子のエネルギーは \( \varepsilon = h\nu \) で表されます。波長が短いということは「振動数 \( \nu \) が大きい」ということなので、光子1個のエネルギーは大きくなります。(例:赤外線より紫外線の方が1粒のエネルギーが大きい)

Q3. 限界振動数より小さい振動数の光を金属に当てました。電子は飛び出しませんが、この光の「強さ(明るさ)」をさらに強くすると、電子は飛び出すでしょうか?
【正解】 飛び出さない

光の強さ(明るさ)は「光子の数」を意味します。1粒あたりのエネルギー \( h\nu \) が仕事関数 \( W \) に満たない場合、いくら光子をたくさんぶつけても電子がくぼみから飛び出すことはありません。

 

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共田 誠(まこと先生)

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共田 誠(まこと先生)

高校物理講師・プロ家庭教師 / 指導歴14年

上智大学理工学部物理学科卒。私立高校の非常勤講師として進学クラスから基礎クラスまで幅広く担当。大手家庭教師センター3社でプロ家庭教師を経験し、現在はオンライン専門で全国の高校生を個別指導中。

暗記物理の撲滅」を掲げ、生徒の思考のクセを診断・矯正するドクター型アプローチで指導。表面的なテクニックではなく、初見の問題に強い思考力を育てる。

800+解説記事
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