Step1
① 力の図示
【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド
この問題のテーマは「物体にはたらく力の図示」です。力学の問題を解く上での最も基本的なステップを学びます。
問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。
- 力の種類: 重力、垂直抗力、張力、弾性力など、様々な力の性質を理解する。
- 力の見つけ方の手順: 「まず重力、次に接触力」という決まった手順で力を探すことで、見落としや間違いを防ぐ。
- 作用点と向き: それぞれの力が物体のどこにはたらき、どちらの向きを向いているかを正しく把握する。
- 力のつり合い: 静止している物体にはたらく力は、互いに打ち消し合ってつり合っている。
基本的なアプローチは以下の通りです。
- 問題となっている物体を明確にする。
- 手順①:その物体にはたらく「重力」を描き入れる。重力は必ず鉛直下向きにはたらく。
- 手順②:その物体が「接触している」ものをすべてリストアップする。
- 手順③:接触しているそれぞれの物体から受ける力(接触力)を、向きに注意して描き入れる。
- 描き入れたすべての力に、正しい名称をつける。
思考の道筋とポイント
物理の力学分野で問題を解く第一歩は、物体にはたらく力をすべて正確に見つけ出すことです。力を探し出す際には、決まった手順を踏むことが非常に重要です。この手順を守ることで、力を描き忘れたり、逆にはたらいていない力を描いてしまったりするミスをなくすことができます。その黄金ルールが「まず重力、次に接触力」です。重力は、質量を持つ物体であれば必ずはたらく力です。接触力は、その名の通り、物体が何かに「触れている」ことで受ける力です。物体が何と触れているかを一つひとつ丁寧に確認していくことが、力を正しく見つけるための鍵となります。
この設問における重要なポイント
- 重力: 地球が物体を引く力。物体の質量を\(m\)、重力加速度を\(g\)とすると、大きさは\(mg\)で、向きは常に鉛直下向きです。作用点は物体の重心にとります。
- 垂直抗力: 面が物体を支える力。物体が面にめり込むのを防ぐように、面に対して垂直な向きに押し返します。
- 張力: 糸が物体を引く力。糸がぴんと張った状態で、糸が伸びる方向に沿って物体を引きます。
- 弾性力: ばねやゴムなどが変形したときに、元の形に戻ろうとして及ぼす力。ばねが伸びていれば縮む向きに、縮んでいれば伸びる向きにはたらきます。
- 力のつり合い: 物体が静止している、または等速直線運動をしているとき、その物体にはたらく力の合力はゼロになります。この状態を「力がつり合っている」といいます。今回の問題では、すべての物体が静止しているので、鉛直上向きの力と鉛直下向きの力の大きさは等しくなります。
具体的な解説と立式
この問題は、計算式を立てるのではなく、各状況で物体にはたらく力を正しく特定し、図示することが目的です。
- 水平面上で静止している物体(図ア)
- 重力: まず、物体には地球から引かれる「重力」がはたらきます。向きは鉛直下向きです。
- 接触力: 次に、物体が何に接触しているかを確認します。物体は「水平面」に接しています。
- 水平面は物体を支えるために、面と垂直な向き(上向き)に「垂直抗力」を及ぼします。
- したがって、この物体にはたらく力は「重力」と「垂直抗力」の2つです。物体は静止しているので、この2つの力はつり合っています。
- 糸でつるされて静止している物体(図イ)
- 重力: 同様に、まず鉛直下向きの「重力」がはたらきます。
- 接触力: 物体は「糸」に接触しています。
- 糸は物体が下に落ちないように、糸に沿って上向きに物体を引っぱっています。この力が「張力」です。
- したがって、この物体にはたらく力は「重力」と「張力」の2つです。この2つの力はつり合っています。
- ばねでつるされて静止している物体(図ウ)
- 重力: やはり、鉛直下向きの「重力」がはたらきます。
- 接触力: 物体は「ばね」に接触しています。
- 重力によって伸ばされたばねは、自然の長さに戻ろうとして、上向きに物体を引っぱります。この力が「弾性力」です。
- したがって、この物体にはたらく力は「重力」と「弾性力」の2つです。この2つの力はつり合っています。
使用した物理公式
この問題では、力の概念的な理解が問われており、直接的な計算公式は使用しません。重要なのは以下の力の種類とその性質です。
- 重力: 地球が物体を引く力(遠隔力)。
- 接触力: 物体が他の物体と接触することで受ける力。
- 垂直抗力: 面から受ける垂直な力。
- 張力: 糸から受ける引く力。
- 弾性力: ばねなどから受ける元に戻ろうとする力。
この問題には計算過程はありません。上記の「具体的な解説と立式」で述べた、力を特定する思考プロセスそのものが解答プロセスとなります。
- (1) 物体にはたらく力は、鉛直下向きの「重力」と、鉛直上向きの「垂直抗力」。
- (2) 物体にはたらく力は、鉛直下向きの「重力」と、鉛直上向きの「張力」。
- (3) 物体にはたらく力は、鉛直下向きの「重力」と、鉛直上向きの「弾性力」。
物体にはたらく力を見つけるには、簡単な2つのステップを踏むだけです。これを「お約束」として覚えましょう。
お約束1:まず「重力」を描く!
どんな物体も、地球に下に引っ張られています。これが「重力」です。まずは、物体の中心から真下に向かって矢印を描きましょう。これはどんな問題でも最初に行う作業です。
お約束2:次に「触っているもの」を探す!
次に、その物体が何かに触れているかを探します。触れているものがあれば、そこから必ず力を受けます。
- (1) の箱は「床」に触れています。床は箱を押し返していますね。この力が「垂直抗力」です。上向きの矢印を描きます。
- (2) の玉は「糸」に触れています。糸は玉をぶら下げていますね。この力が「張力」です。上向きの矢印を描きます。
- (3) の玉は「ばね」に触れています。ばねは伸びて、玉を引っ張り上げていますね。この力が「弾性力」です。上向きの矢印を描きます。
この「重力」→「接触力」の順番で探せば、力を描き忘れる心配がなくなります。
② 力の図示
【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド
この問題のテーマは「運動している物体にはたらく力の図示」です。運動の状態と力の関係についてのよくある誤解を解き、正しい力の見つけ方を習得します。
問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。
- 力の見つけ方の基本手順: 「まず重力、次に接触力」というルールは、物体が静止していても運動していても変わらない。
- 慣性の法則(運動の第1法則): 物体にはたらく力の合力がゼロのとき、物体は静止し続けるか、等速直線運動を続ける。
- 運動の法則(運動の第2法則): 物体に力がはたらくと、物体はその力の向きに加速度を生じる。力の向きと加速度の向きは同じ。
- 「運動の向き」と「力の向き」の区別: 物体の運動している向きと、その物体にはたらいている力の向きは、必ずしも一致しない。
基本的なアプローチは以下の通りです。
- 各物体について、「重力」と「接触力」のルールに従って、はたらく力をすべて探し出す。
- (1)では「等速直線運動」という条件から、力がつり合っている(合力がゼロ)ことを確認する。
- (2)では「放物運動」する物体が空中にあり、接触しているものがないことを確認する。
- 「運動しているから、運動の向きに力がはたらいているはずだ」という先入観を捨てて、客観的に力を判断する。
(1) なめらかな水平面上で等速直線運動をしている物体
思考の道筋とポイント
この問題は、多くの人が陥りがちな「運動の向きに力がはたらく」という誤解を正すための良い例です。物体の運動状態(等速直線運動)を手がかりに、はたらく力がどうなっているかを考えます。力探しの基本ルール「まず重力、次に接触力」を機械的に適用することが、先入観に惑わされないための鍵となります。「なめらかな水平面上」という条件は、摩擦力がはたらかないことを意味します。
この設問における重要なポイント
- 慣性の法則: 物体にはたらく力の合力がゼロの場合、その物体は速度を変えません。つまり、静止している物体は静止を続け、運動している物体はそのままの速さでまっすぐ進み続けます(等速直線運動)。
- 力のつり合い: 「等速直線運動」は「静止」と同じく、力がつり合っている状態です。この問題では、鉛直方向の力(重力と垂直抗力)がつり合っており、水平方向には力がはたいていません。
- 「なめらか」: 物理の問題で「なめらかな面」と出てきたら、「摩擦力はゼロとして考えなさい」という指示です。
具体的な解説と立式
力を見つけるための手順に従って、物体にはたらく力を考えます。
- 重力: まず、物体には地球から引かれる「重力」が鉛直下向きにはたらきます。
- 接触力: 次に、物体が接触しているものを探します。物体は「なめらかな水平面」に接しています。したがって、面から物体を垂直に押し返す力、すなわち「垂直抗力」が鉛直上向きにはたらきます。
- 水平方向の力: 物体は水平方向に運動していますが、水平方向には何とも接触していません。また、面は「なめらか」なので摩擦力もありません。したがって、水平方向にはたらく力はゼロです。
- 結論: 物体には鉛直下向きの「重力」と鉛直上向きの「垂直抗力」のみがはたらきます。この2力はつり合っており、合力はゼロです。合力がゼロなので、物体は慣性の法則に従い、等速直線運動を続けます。
使用した物理公式
この問題では、計算式ではなく、以下の物理法則の概念的な理解が重要です。
- 力の見つけ方の手順: ①重力、②接触力
- 慣性の法則(運動の第1法則): 合力がゼロなら、等速直線運動または静止。
この問題に計算過程はありません。上記の解説で述べた力の特定プロセスが解答そのものとなります。
- 鉛直方向:重力と垂直抗力がはたらき、これらはつり合っている。
- 水平方向:はたらく力はない。
スケートリンクで、誰かに一度だけポンと押してもらった後を想像してみてください。押された後は、誰も押し続けていないのに、スーッとまっすぐ滑っていきますよね。これは摩擦が非常に小さいからです。もし摩擦が完全にゼロの「なめらかな」氷の上なら、一度動き出したら永遠に同じ速さで滑り続けます。このとき、進んでいる向きに力ははたらいていません。
この問題の物体も同じです。右向きに等速で動いていますが、それは「昔、誰かに押されたから」であって、「今、誰かが押し続けている」からではありません。したがって、運動の向きに力を描く必要はないのです。力探しは、あくまで「重力」と「接触力」のルールに従いましょう。
(2) 放物運動をしている物体
思考の道筋とポイント
手を離れたボールが空中を飛んでいく「放物運動」は、力学の基本モデルです。この運動中に物体にはたらく力は何かを考えます。ここでも「運動の向きに力がはたらく」という誤解が生まれやすいですが、力探しの基本に忠実に従えば間違うことはありません。空中に浮いている物体が「何と接触しているか」を考えるのがポイントです。
この設問における重要なポイント
- 運動と力の関係: 物体にはたらく力(合力)の向きは、その物体の「加速度」の向きと常に一致します。放物運動中、物体は常に地球の重力に引かれているため、加速度は常に鉛直下向きの重力加速度\(g\)です。したがって、力の向きも常に鉛直下向きとなります。
- 空気抵抗の無視: 高校物理では、特に指示がない限り、空気抵抗は無視して考えます。したがって、空中では何にも接触していないと見なします。
- 遠隔力: 物体に触れていなくてもはたらく力のこと。重力や静電気力、磁力がこれにあたります。
具体的な解説と立式
力を見つけるための手順に従います。
- 重力: まず、物体には地球が引く力「重力」が、常に鉛直下向きにはたらきます。これは物体の運動状態(上昇中か下降中か)にかかわらず一定です。
- 接触力: 次に、物体が接触しているものを探します。放物運動している物体は空中にあり、地面にも手にも触れていません。(空気抵抗を無視するので)空気との接触も考えません。したがって、この物体にはたらく接触力はゼロです。
- 結論: 以上のことから、放物運動している物体にはたらく力は、鉛直下向きの「重力」のみです。運動の軌跡は曲線を描きますが、はたらく力は常に一定の向き(鉛直下向き)です。
使用した物理公式
この問題では、計算式ではなく、以下の物理法則の概念的な理解が重要です。
- 力の見つけ方の手順: ①重力、②接触力
- 運動の法則(運動方程式 \(m\vec{a} = \vec{F}\) の概念): 力の向きが加速度の向きを決める。
この問題に計算過程はありません。上記の解説で述べた力の特定プロセスが解答そのものとなります。
- はたらく力は、鉛直下向きの「重力」のみ。
あなたがボールを上に投げ上げたとします。ボールがあなたの手から離れた瞬間から、地面に落ちるまで、そのボールに触れているものはありますか?(空気は考えないことにします)。ありませんね。でも、ボールは必ず下に落ちてきます。それは、目には見えませんが、地球が常にボールを「下にこい!」と引っ張り続けているからです。この力が「重力」です。
ボールが一番高い点に達して一瞬止まったように見えるときも、勢いよく下に落ちているときも、地球はサボることなく、常に真下に引っ張り続けています。だから、空中を飛んでいる物体にはたらく力は、基本的に「重力」だけと考えてOKです。
③ 弾性力
【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド
この問題のテーマは「フックの法則を用いた弾性力の計算」です。ばねの性質を表す最も基本的な法則を扱います。
問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。
- フックの法則: ばねの弾性力と伸び(縮み)の関係式を理解していること。
- ばね定数: ばねの硬さを表す物理量の意味を理解していること。
- 作用・反作用: ばねを引く力と、ばねが引き返す弾性力の関係を理解していること。
- 単位の整合性: 力(N)、長さ(m)、ばね定数(N/m)の単位が正しく対応しているかを確認すること。
基本的なアプローチは以下の通りです。
- 問題文から、ばね定数 \(k\) とばねの伸び \(x\) の値を特定する。
- フックの法則の公式 \(F=kx\) を用いることを決定する。
- 公式に数値を代入し、必要な力の大きさ \(F\) を計算する。
思考の道筋とポイント
ばねを引っぱって伸ばすとき、私たちはばねに対して力を加えています。同時に、ばねも「元の長さに戻りたい!」と、私たちの手とは逆向きに力を及ぼしてきます。このばねが元に戻ろうとする力を「弾性力」と呼びます。ばねをゆっくりと引いて、ある長さで静止させている状態では、私たちが引く力とばねの弾性力は大きさが等しく、向きが逆の「つり合い」の状態にあります。したがって、「ばねを伸ばすのに必要な力」を問われたら、それはその時の「ばねの弾性力」の大きさを計算すればよいことになります。そして、弾性力の大きさは、ばねの自然の長さからの伸びに比例するという「フックの法則」に従います。
この設問における重要なポイント
- フックの法則: ばねの弾性力の大きさ \(F\) [N] は、ばねの自然の長さからの伸び(または縮み)の大きさ \(x\) [m] に比例します。この関係は \(F=kx\) という式で表されます。
- ばね定数 \(k\): 比例定数 \(k\) [N/m] はばね定数と呼ばれ、ばねの硬さ(伸びにくさ)を表します。ばね定数が大きいほど、同じ長さだけ伸ばすのにより大きな力が必要になります。その単位 [N/m] は、「ばねを \(1\)\(\text{m}\) 伸ばすのに何ニュートン [N] の力が必要か」を示しています。
- 伸び \(x\) の基準: フックの法則で使う \(x\) は、必ず「自然の長さ(何も力を加えていないときの長さ)」を基準とした変化量(伸びまたは縮み)であることに注意が必要です。
具体的な解説と立式
ばねを引っぱって伸ばすのに必要な力の大きさを \(F\) [N] とします。
このとき、ばねは元の長さに戻ろうとして、大きさ \(F_{\text{弾性}}\) の弾性力を生じます。
ばねをゆっくりと引いて、伸びが \(0.50\)\(\text{m}\) の状態で保っているとき、人がばねを引く力 \(F\) と、ばねの弾性力 \(F_{\text{弾性}}\) はつり合っています。
したがって、\(F = F_{\text{弾性}}\) となります。
弾性力の大きさ \(F_{\text{弾性}}\) は、フックの法則によって計算できます。
$$
F_{\text{弾性}} = kx
$$
ここで、問題文より、ばね定数 \(k = 30\)\(\text{N/m}\)、ばねの伸び \(x = 0.50\)\(\text{m}\) です。
求める力 \(F\) はこの弾性力の大きさに等しいので、
$$
F = kx
$$
という式を立てることができます。
使用した物理公式
- フックの法則: \(F = kx\)
- \(F\): 弾性力の大きさ [N]
- \(k\): ばね定数 [N/m]
- \(x\): ばねの自然の長さからの伸びまたは縮み [m]
「具体的な解説と立式」で立てたフックの法則の式 \(F = kx\) に、与えられた値を代入します。
ばね定数 \(k = 30\)\(\text{N/m}\)、伸び \(x = 0.50\)\(\text{m}\) を代入すると、
$$
\begin{aligned}
F &= 30 \times 0.50 \\[2.0ex]&= 15
\end{aligned}
$$
よって、必要な力の大きさは \(15\)\(\text{N}\) となります。
ばねの問題が出てきたら、まずは合言葉「フックの法則 \(F=kx\)」を思い出しましょう。
この式は、「ばねの力 \(F\) = ばねの硬さ \(k\) × ばねの伸び \(x\)」という、とてもシンプルな掛け算の式です。
問題文を見ると、
- ばねの硬さ \(k\) は「\(30\)\(\text{N/m}\)」
- ばねの伸び \(x\) は「\(0.50\)\(\text{m}\)」
と、必要な情報がすべて書かれています。
あとは、この2つの数字を公式に当てはめて掛け算するだけです。
計算すると、\(30 \times 0.50 = 15\) となります。
したがって、答えは \(15\)\(\text{N}\) です。
ちなみに、「ばね定数 \(30\)\(\text{N/m}\)」というのは、「そのばねを \(1\)\(\text{m}\) 伸ばすのに \(30\)\(\text{N}\) の力が必要ですよ」という意味です。今回は \(0.50\)\(\text{m}\)(つまり \(1\)\(\text{m}\) の半分)しか伸ばさないので、必要な力も \(30\)\(\text{N}\) の半分の \(15\)\(\text{N}\) になる、と考えると直感的にも分かりやすいですね。
④ 弾性力
【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド
この問題のテーマは「フックの法則を用いたばね定数の計算」です。ばねに加えた力と、その結果生じた伸びから、ばねの特性であるばね定数を求めます。
問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。
- フックの法則: ばねの弾性力、ばね定数、伸びの関係式 \(F=kx\) を理解していること。
- ばね定数の定義: ばね定数 \(k\) がばねの硬さを表す物理量であることを理解していること。
- 方程式の変形: \(F=kx\) の式を、未知数である \(k\) について解けること。
- 単位の重要性: ばね定数の単位が [N/m] であることを理解し、計算結果に正しい単位をつけられること。
基本的なアプローチは以下の通りです。
- 問題文から、ばねに加えた力の大きさ \(F\) と、ばねの伸び \(x\) の値を読み取る。
- 求める物理量がばね定数 \(k\) であることを確認する。
- フックの法則の公式 \(F=kx\) に、分かっている \(F\) と \(x\) の値を代入する。
- \(k\) についての方程式を解き、ばね定数を計算する。
思考の道筋とポイント
フックの法則 \(F=kx\) は、力 \(F\)、ばね定数 \(k\)、伸び \(x\) という3つの物理量の関係を示しています。この関係式は非常に便利で、3つのうち2つの量が分かっていれば、残りの1つの量を計算で求めることができます。
前問では \(k\) と \(x\) から \(F\) を求めましたが、今回は \(F\) と \(x\) が与えられており、未知数はばね定数 \(k\) です。ばね定数 \(k\) は、そのばねがどれくらい硬いか(あるいは柔らかいか)を示す、ばね固有の値です。この問題を解くことは、実験で測定した力と伸びの値から、そのばねの特性を明らかにすることに相当します。
この設問における重要なポイント
- フックの法則 \(F=kx\): この問題でも中心となる法則です。
- 式の変形: \(F=kx\) という式は、求める量に応じて形を変えることができます。今回はばね定数 \(k\) を求めたいので、あらかじめ \(k = \displaystyle\frac{F}{x}\) という形に変形してから数値を代入すると、計算の見通しが良くなります。
- ばね定数 \(k\) の意味: ばね定数の単位は [N/m] です。これは「ばねを \(1\)\(\text{m}\) 伸ばすのに何ニュートン [N] の力が必要か」という物理的な意味を持っています。この意味を理解していると、計算結果の妥当性を直感的に判断する助けになります。
具体的な解説と立式
求めるばね定数を \(k\) [N/m] とします。
問題文から、ばねに加えた力の大きさ \(F\) は \(2.0\)\(\text{N}\) です。
このとき、ばねの自然の長さからの伸び \(x\) は \(0.10\)\(\text{m}\) です。
これらの物理量は、フックの法則 \(F=kx\) によって関係づけられています。
この式に、与えられた数値を代入すると、次の方程式が立てられます。
$$
2.0 = k \times 0.10
$$
この式を解くことで、ばね定数 \(k\) を求めることができます。
使用した物理公式
- フックの法則: \(F = kx\)
- \(F\): 弾性力の大きさ [N]
- \(k\): ばね定数 [N/m]
- \(x\): ばねの自然の長さからの伸びまたは縮み [m]
「具体的な解説と立式」で立てた方程式 \(2.0 = k \times 0.10\) を、\(k\) について解きます。
式の両辺を \(0.10\) で割ると、
$$
\begin{aligned}
k &= \frac{2.0}{0.10} \\[2.0ex]&= 20
\end{aligned}
$$
したがって、このばねのばね定数は \(20\)\(\text{N/m}\) となります。
この問題も、合言葉「フックの法則 \(F=kx\)」で解けます。
式で書くと「硬さ = 力 ÷ 伸び」ですね。
今回は「硬さ(ばね定数)」を知りたいので、この式を少し変形して「硬さ = 力 ÷ 伸び」とします。
問題文から、
- 力 \(F\) は「\(2.0\)\(\text{N}\)」
- 伸び \(x\) は「\(0.10\)\(\text{m}\)」
と分かっているので、あとはこの数字を使って割り算をするだけです。
計算すると、\(2.0 \div 0.10 = 20\) となります。
答えは \(20\)\(\text{N/m}\) です。
別の考え方として、ばね定数の意味から攻める方法もあります。
「\(0.10\)\(\text{m}\) 伸ばすのに \(2.0\)\(\text{N}\) の力が必要」だったわけです。
ばね定数は「\(1\)\(\text{m}\) 伸ばすのに必要な力」のことなので、長さを \(10\) 倍(\(0.10\)\(\text{m}\) → \(1\)\(\text{m}\))にしたら、必要な力も \(10\) 倍になるはずです。
だから、\(2.0\)\(\text{N}\) の \(10\) 倍で \(20\)\(\text{N}\)。
つまり、ばね定数は \(20\)\(\text{N/m}\) となります。こちらの考え方も分かりやすいですね。
⑤ 力の合成
【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド
この問題のテーマは「力の合成」です。特に、互いに直角な2つの力を合成する方法を学びます。
問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。
- 力のベクトル性: 力が大きさと向きを持つベクトル量であることを理解する。
- 力の合成(ベクトル和): 複数の力を1つの力(合力)にまとめる方法。矢印の足し算として図形的に考える。
- 平行四辺形の法則: 2つのベクトルを合成する際の基本的な作図法。
- 三平方の定理(ピタゴラスの定理): 直角をなす2力の合力の大きさを計算するために用いる。
- 三角比の定義: 合力の向きを角度で表すために用いる。
基本的なアプローチは以下の通りです。
- 与えられた2つの力(\(3.0\)\(\text{N}\)と\(4.0\)\(\text{N}\))が直角をなすことを確認する。
- この2力を2辺とする長方形(平行四辺形)を描き、その対角線が合力 \(F\) になることを理解する。
- 合力の大きさ \(F\) を、2力を辺とする直角三角形の斜辺の長さとして、三平方の定理を用いて計算する。
- 合力の向きを表す角度 \(\theta\) について、同じ直角三角形の辺の比から \(\tan\theta\) の値を計算する。
思考の道筋とポイント
力は「ベクトル」という、大きさと向きを併せ持つ量です。そのため、2つの力を足し合わせる(合成する)とき、単純に数字を足す(\(3.0 + 4.0 = 7.0\))ことはできません。ベクトルの足し算は、矢印をつなぎ合わせるように図形的に考えます。これを「力の合成」といい、一般的には「平行四辺形の法則」を使います。
この問題では、2つの力が「直角」をなしているのが最大のポイントです。この場合、平行四辺形は「長方形」となり、その対角線である合力の大きさは、中学数学で学んだ「三平方の定理」を使って簡単に計算できます。また、合力の向きも「三角比」を使えば求めることができます。
この設問における重要なポイント
- 力の合成: 複数の力を、それらと同じ効果を持つ1つの力(合力)に置き換える操作。
- 三平方の定理: 直角三角形において、斜辺の長さを \(c\)、他の2辺の長さを \(a, b\) とすると、\(c^2 = a^2 + b^2\) が成り立つ。直角な2力の合成では、合力の大きさを \(F\)、2力の大きさを \(F_1, F_2\) とすると、\(F = \sqrt{F_1^2 + F_2^2}\) となる。
- 三角比: 直角三角形の辺の比で定義される \(\sin\theta, \cos\theta, \tan\theta\) のこと。特に、\(\tan\theta\) は「底辺」に対する「高さ」の比であり、ベクトルの傾きを表すのによく用いられる。
- 3:4:5の直角三角形: 3辺の比が \(3:4:5\) となる直角三角形は有名で、覚えておくと計算が速くなる。今回はまさにこの形。
具体的な解説と立式
まず、合力の大きさ \(F\) [N] を求めます。
問題の図は、水平方向の力 \(4.0\)\(\text{N}\) と鉛直方向の力 \(3.0\)\(\text{N}\) を合成したものです。合力 \(F\) は、この2つの力を辺とする長方形の対角線になっています。
この対角線 \(F\) は、底辺が \(4.0\)\(\text{N}\)、高さが \(3.0\)\(\text{N}\) の直角三角形の斜辺と見なすことができます。
したがって、三平方の定理を適用して \(F\) の大きさを求めることができます。
$$
F = \sqrt{4.0^2 + 3.0^2}
$$
次に、\(\tan\theta\) の値を求めます。
同じ直角三角形において、角 \(\theta\) は底辺(\(4.0\)\(\text{N}\) の力)と斜辺(合力 \(F\))のなす角です。
三角比の定義によれば、\(\tan\theta\) は「対辺(高さ)÷ 底辺」で求められます。
この三角形の底辺は \(4.0\)、高さ(\(\theta\) の対辺)は \(3.0\) です。
したがって、\(\tan\theta\) は次のように立式できます。
$$
\tan\theta = \frac{3.0}{4.0}
$$
使用した物理公式
- 力の合成(三平方の定理の応用): \(F = \sqrt{F_x^2 + F_y^2}\)
- 三角比の定義: \(\tan\theta = \displaystyle\frac{\text{対辺}}{\text{底辺}}\)
まず、合力の大きさ \(F\) を計算します。
$$
\begin{aligned}
F &= \sqrt{4.0^2 + 3.0^2} \\[2.0ex]&= \sqrt{16 + 9.0} \\[2.0ex]&= \sqrt{25} \\[2.0ex]&= 5.0
\end{aligned}
$$
よって、合力の大きさは \(5.0\)\(\text{N}\) です。
次に、\(\tan\theta\) の値を計算します。
$$
\begin{aligned}
\tan\theta &= \frac{3.0}{4.0} \\[2.0ex]&= 0.75
\end{aligned}
$$
よって、\(\tan\theta\) の値は \(0.75\) です。
2つの力を合成するとき、矢印の根本をそろえて、そこから長方形を描きます。ゴールは、その長方形の対角線の長さと角度を求めることです。
1. 対角線の長さを求める(合力の大きさ)
今回は、横が \(4.0\)、縦が \(3.0\) の長方形です。対角線の長さは、数学で習った「三平方の定理」で計算できます。
特に、辺の比が「3:4:5」になる有名な直角三角形を覚えていれば、計算するまでもなく、斜辺(対角線)の長さは \(5.0\) だと分かります。
したがって、合力の大きさは \(5.0\)\(\text{N}\) です。
2. 角度を求める(\(\tan\theta\))
\(\tan\theta\) は、直角三角形の「底辺ぶんの高さ」で計算できます。
図を見ると、角度 \(\theta\) を挟んでいる横の辺(底辺)が \(4.0\)、向かい側の縦の辺(高さ)が \(3.0\) です。
なので、単純に \(3.0 \div 4.0\) を計算すればOKです。
\(3.0 \div 4.0 = 0.75\) となります。
⑥ 力の分解
【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド
この問題のテーマは「力の分解」です。力の合成とは逆に、1つの力を互いに直角な2つの方向の成分に分ける操作を学びます。
問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。
- 力の分解: 1つの力を、複数の力の合成として表すこと。特に、互いに直角な2方向の成分(分力)に分けることが多い。
- 三角比の利用: 力の分解には三角比(\(\sin\theta, \cos\theta\))が不可欠。
- 直角三角形の辺の比: 元の力と分力によって作られる直角三角形の辺の比の関係を理解する。
- 有名角の三角比の値: \(30^\circ, 45^\circ, 60^\circ\) の三角比の値を覚えておくこと。
基本的なアプローチは以下の通りです。
- 分解したい力のベクトルを斜辺とする直角三角形を描く。このとき、座標軸に平行な線が他の2辺となるようにする。
- x成分は直角三角形の底辺、y成分は高さに相当することを確認する。
- 三角比の定義を用いて、斜辺(元の力)の大きさと角度から、底辺(x成分)と高さ(y成分)の大きさを計算する。
思考の道筋とポイント
斜めにはたらく力は、そのままでは計算が複雑になることが多いため、水平方向(x軸方向)と鉛直方向(y軸方向)のように、互いに直角な2つの方向に分解して考えると非常に便利になります。これは「力の合成」の逆の操作で、「力の分解」と呼ばれます。
力の分解は、元の力の矢印の先端から各座標軸に垂線を下ろし、長方形を作るイメージです。元の力のベクトルがこの長方形の対角線となり、長方形の辺の長さがそれぞれの成分の大きさになります。このときできる直角三角形に着目し、三角比を用いることで、各成分の大きさを計算することができます。
この設問における重要なポイント
- 力の分解: 1つの力 \(F\) を、x成分 \(F_x\) とy成分 \(F_y\) に分解する。\(F_x\) と \(F_y\) を合成すると、元の力 \(F\) に戻る。
- 三角比による成分計算: 力の大きさ \(F\) がx軸の正の向きとなす角が \(\theta\) のとき、
- x成分: \(F_x = F \cos\theta\) (角度 \(\theta\) を挟む辺)
- y成分: \(F_y = F \sin\theta\) (角度 \(\theta\) の対辺)
と覚えておくと便利です。
- 有名角の三角比:
- \(\sin 30^\circ = \displaystyle\frac{1}{2}\), \(\cos 30^\circ = \displaystyle\frac{\sqrt{3}}{2}\)
- \(\sin 60^\circ = \displaystyle\frac{\sqrt{3}}{2}\), \(\cos 60^\circ = \displaystyle\frac{1}{2}\)
- 近似値: 計算の最後に、\(\sqrt{3} \approx 1.73\) を使って具体的な数値を求めることがあります。
具体的な解説と立式
与えられた力の大きさを \(F=20\)\(\text{N}\)、x軸の正の向きとなす角を \(\theta=30^\circ\) とします。
この力をx成分 \(F_x\) とy成分 \(F_y\) に分解します。
図において、力のベクトルを斜辺とし、x軸とy軸に平行な2辺を持つ直角三角形を考えます。
- x成分 \(F_x\) の立式:
x成分は、この直角三角形の底辺にあたり、角度 \(30^\circ\) を挟む辺です。したがって、\(\cos\) を用いて次のように表せます。
$$
F_x = F \cos 30^\circ
$$ - y成分 \(F_y\) の立式:
y成分は、この直角三角形の高さにあたり、角度 \(30^\circ\) の対辺です。したがって、\(\sin\) を用いて次のように表せます。
$$
F_y = F \sin 30^\circ
$$
使用した物理公式
- 力のx成分: \(F_x = F \cos\theta\)
- 力のy成分: \(F_y = F \sin\theta\)
(ここで \(\theta\) は力のベクトルがx軸の正の向きとなす角)
x成分の計算
立式した \(F_x = F \cos 30^\circ\) に、\(F=20\)\(\text{N}\) と \(\cos 30^\circ = \displaystyle\frac{\sqrt{3}}{2}\) を代入します。
$$
\begin{aligned}
F_x &= 20 \times \cos 30^\circ \\[2.0ex]&= 20 \times \frac{\sqrt{3}}{2} \\[2.0ex]&= 10\sqrt{3}
\end{aligned}
$$
ここで、\(\sqrt{3} \approx 1.73\) を用いて近似値を計算します。
$$
\begin{aligned}
F_x &\approx 10 \times 1.73 \\[2.0ex]&= 17.3
\end{aligned}
$$
問題の解答に合わせて有効数字2桁で答えると、\(17\)\(\text{N}\) となります。
y成分の計算
立式した \(F_y = F \sin 30^\circ\) に、\(F=20\)\(\text{N}\) と \(\sin 30^\circ = \displaystyle\frac{1}{2}\) を代入します。
$$
\begin{aligned}
F_y &= 20 \times \sin 30^\circ \\[2.0ex]&= 20 \times \frac{1}{2} \\[2.0ex]&= 10
\end{aligned}
$$
よって、y成分の大きさは \(10\)\(\text{N}\) です。
斜めの矢印を「真横」と「真縦」の2つの矢印に分けるのが「力の分解」です。
元の斜めの矢印を「斜辺」とする直角三角形をイメージしましょう。
- 横方向(x成分): 角度(\(30^\circ\))を「挟む」辺なので、\(\cos\) を使います。
計算は「\(20 \times \cos 30^\circ\)」。 - 縦方向(y成分): 角度(\(30^\circ\))の「向かい側」の辺なので、\(\sin\) を使います。
計算は「\(20 \times \sin 30^\circ\)」。
数学で習った「1:2:\(\sqrt{3}\)」の辺の比を持つ特別な直角三角形を思い出すと、もっと簡単です。
- 斜辺が「2」の比にあたります。これが今 \(20\)\(\text{N}\) です。
- y成分(高さ)は「1」の比なので、斜辺の半分です。\(20 \div 2 = 10\)\(\text{N}\)。
- x成分(底辺)は「\(\sqrt{3}\)」の比なので、y成分の\(\sqrt{3}\)倍です。\(10 \times \sqrt{3} \approx 17.3\)\(\text{N}\)。
このように、三角比の公式を忘れても、三角形の辺の比から計算できます。
⑦ 力のつり合い
【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド
この問題のテーマは「力の合成とつり合いの作図」です。ベクトルとしての力を図で表現し、その足し算(合成)と、打ち消し合う関係(つり合い)を視覚的に理解します。
問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。
- 力の合成(平行四辺形の法則): 2つの力を合成して1つの合力にするための作図法。
- 合力: 複数の力と全く同じ効果を持つ、1つの力のこと。
- 力のつり合い: 複数の力がはたらいているにもかかわらず、それらが互いに打ち消し合って、力がはたらいていないのと同じ状態になること。
- 合力とつり合う力の関係: ある複数の力とつり合う力は、それらの力の「合力」と「大きさが等しく、向きが逆」の関係にある。
基本的なアプローチは以下の通りです。
- 設問(1)では、与えられた2つの力 \(\vec{F_1}\) と \(\vec{F_2}\) を2辺とする平行四辺形を描き、その対角線として合力 \(\vec{F_3}\) を作図する。
- 設問(2)では、まず(1)で求めた合力 \(\vec{F_3}\) を考える。
- \(\vec{F_1}\) と \(\vec{F_2}\) の2力とつり合う力 \(\vec{F_4}\) は、合力 \(\vec{F_3}\) を打ち消す力なので、\(\vec{F_3}\) と大きさが同じで向きが正反対のベクトルとして作図する。
(1) \(\vec{F_1}\), \(\vec{F_2}\)の合力\(\vec{F_3}\)を作図せよ。
思考の道筋とポイント
複数の力を1つの力にまとめる操作が「力の合成」です。力はベクトルなので、その合成は矢印の足し算によって行われます。作図における最も基本的なルールが「平行四辺形の法則」です。方眼紙が与えられているので、これを利用してベクトルの平行移動を正確に行うことがポイントになります。ベクトルの始点をそろえ、それぞれの矢印を辺とする平行四辺形を描き、その対角線を引くことで合力を求めることができます。
この設問における重要なポイント
- 合力: 複数の力を合わせたもの。ベクトル和 \(\vec{F_3} = \vec{F_1} + \vec{F_2}\) で表される。
- 平行四辺形の法則: 2つのベクトル \(\vec{F_1}\), \(\vec{F_2}\) の始点をそろえ、それらを2辺とする平行四辺形を描くと、始点から引いた対角線が合力 \(\vec{F_3}\) を表す。
- ベクトルの成分: 方眼紙のマス目を利用すると、ベクトルの足し算は成分の足し算として考えることができる。
- \(\vec{F_1}\) は (x成分, y成分) = (+2, 0)
- \(\vec{F_2}\) は (x成分, y成分) = (-1, +2)
- 合力 \(\vec{F_3}\) の成分は (\(+2-1\), \(0+2\)) = (+1, +2) となる。
具体的な解説と立式
合力 \(\vec{F_3}\) は、\(\vec{F_1}\) と \(\vec{F_2}\) のベクトル和として定義されます。
$$
\vec{F_3} = \vec{F_1} + \vec{F_2}
$$
これを作図するには、平行四辺形の法則を用います。
- 点Oを始点として、力 \(\vec{F_1}\) と \(\vec{F_2}\) が描かれています。
- \(\vec{F_1}\) の先端(矢印の先)を通り、\(\vec{F_2}\) に平行で同じ長さの補助線を引きます。
- \(\vec{F_2}\) の先端を通り、\(\vec{F_1}\) に平行で同じ長さの補助線を引きます。
- 2本の補助線が交わる点と、始点Oを結ぶベクトルが、求める合力 \(\vec{F_3}\) となります。
方眼紙のマス目を使って確認すると、\(\vec{F_3}\) は始点Oから「右に1マス、上に2マス」進んだ点を終点とするベクトルとして描かれます。
使用した物理公式
- 力の合成(ベクトル和): \(\vec{F_3} = \vec{F_1} + \vec{F_2}\)
- 平行四辺形の法則
この問題は作図によって解答するため、数値的な計算過程はありません。上記「具体的な解説と立式」で述べた作図の手順が解答プロセスとなります。
2つの力を合わせるには、「矢印のしりとり」をすると考えましょう。
- まず、\(\vec{F_1}\) の矢印の通りに進みます(右に2マス)。
- そのゴール地点から、次に \(\vec{F_2}\) の矢印の通りに進みます(左に1マス、上に2マス)。
- スタート地点(点O)から最終的なゴール地点まで、まっすぐ引いた矢印が合体した力(合力 \(\vec{F_3}\))になります。
結果として、「右に1マス、上に2マス」進んだことになりますね。これが合力です。
(2) \(\vec{F_1}\), \(\vec{F_2}\)の2力とつり合う力\(\vec{F_4}\)を作図せよ。
思考の道筋とポイント
「つり合う力」とは、他の力と合わさったときに、全体として力を打ち消し合う(合力がゼロになる)ような力のことです。したがって、まず \(\vec{F_1}\) と \(\vec{F_2}\) を合わせた力、すなわち合力 \(\vec{F_3}\) がどのような力かを考え、それをちょうど打ち消すような力 \(\vec{F_4}\) を見つけ出す、という2段階で考えます。
この設問における重要なポイント
- 力のつり合いの条件: 物体にはたらく力の合力がゼロであること。式で書くと \(\vec{F_1} + \vec{F_2} + \vec{F_4} = \vec{0}\) となります。
- 合力とつり合う力の関係: 上のつり合いの式と、合力の定義式 \(\vec{F_3} = \vec{F_1} + \vec{F_2}\) を組み合わせると、\(\vec{F_3} + \vec{F_4} = \vec{0}\) という関係が導かれます。
- この関係は、\(\vec{F_4} = -\vec{F_3}\) を意味します。つまり、つり合う力 \(\vec{F_4}\) は、合力 \(\vec{F_3}\) と「大きさが等しく、向きが逆」のベクトルです。
具体的な解説と立式
\(\vec{F_1}\), \(\vec{F_2}\) の2力とつり合う力 \(\vec{F_4}\) は、3つの力の合力がゼロになるという条件を満たします。
$$
\vec{F_1} + \vec{F_2} + \vec{F_4} = \vec{0}
$$
ここで、\(\vec{F_1} + \vec{F_2}\) は合力 \(\vec{F_3}\) なので、
$$
\vec{F_3} + \vec{F_4} = \vec{0}
$$
これを変形すると、
$$
\vec{F_4} = -\vec{F_3}
$$
となります。これは、\(\vec{F_4}\) が \(\vec{F_3}\) と大きさが等しく、向きが180度反対のベクトルであることを示しています。
作図するには、(1)で求めた合力 \(\vec{F_3}\) の矢印を、そのまま反対向きに描けばよいことになります。
\(\vec{F_3}\) は (右に1, 上に2) のベクトルだったので、\(\vec{F_4}\) は (左に1, 下に2) のベクトルとして描かれます。
使用した物理公式
- 力のつり合いの条件: \(\sum \vec{F} = \vec{0}\)
- 合力とつり合う力の関係: \(\vec{F}_{\text{つり合い}} = – \vec{F}_{\text{合力}}\)
この問題は作図によって解答するため、数値的な計算過程はありません。
綱引きで考えてみましょう。(1)で求めた合力 \(\vec{F_3}\) は、2人の力を合わせた「チームの合体パワー」です。
このチームと「つり合う(引き分ける)」ためには、相手チームはどんな力を出せばよいでしょうか?
答えは簡単で、「チームの合体パワーと全く同じ強さで、真逆に引っ張る」ことです。
したがって、(1)で描いた合力 \(\vec{F_3}\) の矢印を、くるっと180度反対向きにしたものが、つり合う力 \(\vec{F_4}\) の答えになります。
⑧ 作用・反作用の法則
【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド
この問題のテーマは「力のつり合いと作用・反作用の法則の区別」です。物理学の基本法則の中でも特に混同されやすい2つの概念を、明確な基準で区別する能力を養います。
問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。
- 力のつり合いの定義: 1つの物体にはたらく複数の力が互いに打ち消し合っている状態。
- 作用・反作用の法則(運動の第3法則)の定義: 2つの物体が互いに力を及ぼし合うとき、その力は常にペアで存在する、という法則。
- 作用点の違い: 「つり合い」は1つの物体に、「作用・反作用」は2つの異なる物体に作用点がそれぞれある。
- 力の言語化: 各力を「AがBに及ぼす力」という形で明確に表現し、主語と目的語を意識する。
基本的なアプローチは以下の通りです。
- 図に示された3つの力 \(\vec{F_1}\), \(\vec{F_2}\), \(\vec{F_3}\) が、それぞれ「何が」「何に」及ぼしている力なのかを正確に特定する。
- 「力のつり合い」の条件(1つの物体にはたらく力か?)に基づいて、候補となる力のペアを探す。
- 「作用・反作用」の条件(主語と目的語が入れ替わる関係か?)に基づいて、候補となる力のペアを探す。
思考の道筋とポイント
「力のつり合い」と「作用・反作用の法則」は、どちらも「大きさが等しく、向きが逆で、同一直線上にある」という共通点を持つため、非常によく混同されます。しかし、この2つは全く異なる物理法則です。
この2つを区別するための最も決定的で重要なポイントは、「力がはたらいている物体の数」です。
- 力のつり合い: 注目する「1つの物体」が静止、または等速直線運動しているとき、その物体にはたらいている複数の力(2つ以上)の関係を指します。主役はあくまで「1つの物体」です。
- 作用・反作用: 2つの物体(AとB)がお互いに力を及ぼし合う関係を指します。AがBに力を及ぼせば、必ずBもAに力を及ぼし返します。この2つの力は常にペアで存在し、片方だけが存在することはありません。主役は「2つの物体」です。
この視点から、図の力を分析することが正解への道筋となります。
この設問における重要なポイント
- 力のつり合いの条件:
- 1つの物体にはたらく力である。
- 力の大きさが等しい。
- 力の向きが互いに逆である。
- 力が同一直線上にはたらく。
- 作用・反作用の法則の条件:
- 2つの物体の間で相互に及ぼしあう力である。
- 力の大きさが等しい。
- 力の向きが互いに逆である。
- 力が同一直線上にはたらく。
- 見分け方の必勝法: 力の主語と目的語を明確にすること。「AがBに及ぼす力」の反作用は、必ず「BがAに及ぼす力」となります。主語と目的語がきれいに入れ替わるペアを探しましょう。
具体的な解説と立式
この問題は計算ではなく、概念の整理が目的です。まず、図の3つの力を「主語」と「目的語」を明確にして言語化します。
- \(\vec{F_1}\): 地球が物体を引く力(重力)
- \(\vec{F_2}\): 机が物体を押す力(垂直抗力)
- \(\vec{F_3}\): 物体が机を押す力
次に、この定義を元に「つり合い」と「作用・反作用」のペアを探します。
1. 力のつり合いの関係
- つり合いは「1つの物体」にはたらく力同士の関係です。
- 図で「物体」という1つの物体に着目すると、この物体にはたらいている力は、下向きの \(\vec{F_1}\)(地球が物体を引く力)と、上向きの \(\vec{F_2}\)(机が物体を押す力)の2つです。
- 物体は静止しているので、この2つの力はつり合っています。
- したがって、力のつり合いの関係にあるのは \(\vec{F_1}\) と \(\vec{F_2}\) です。
2. 作用・反作用の関係
- 作用・反作用は「AがBに及ぼす力」と「BがAに及ぼす力」という、主語と目的語が入れ替わったペアです。
- \(\vec{F_2}\)「机が物体を押す力」の主語と目的語を入れ替えると、「物体が机を押す力」となります。これは、図の \(\vec{F_3}\) と完全に一致します。
- したがって、作用・反作用の関係にあるのは \(\vec{F_2}\) と \(\vec{F_3}\) です。
- (参考:\(\vec{F_1}\)「地球が物体を引く力」の反作用は「物体が地球を引く力」となり、この力は図には描かれていません。)
使用した物理公式
この問題では、以下の法則の概念的な理解が問われます。
- 力のつり合いの条件
- 作用・反作用の法則(運動の第3法則)
この問題には計算過程はありません。上記の「具体的な解説と立式」で述べた、力の関係性を特定するプロセスそのものが解答となります。
ごちゃごちゃして分からなくなったら、次の2つの合言葉を使いましょう。
- つり合いは「主人公は一人!」作戦
- まず、主人公を一人決めます。この問題では「物体」を主人公にしましょう。
- その主人公(物体)に、どんな力がかかっているかだけを見ます。図を見ると、\(\vec{F_1}\)(地球から)と \(\vec{F_2}\)(机から)の2つが物体にかかっていますね。
- だから、\(\vec{F_1}\) と \(\vec{F_2}\) がつり合いのペアです。
- 作用・反作用は「言葉ひっくり返し」作戦
- 力の正体を「AがBに」という言葉にします。
- その言葉を「BがAに」とひっくり返してみます。
- \(\vec{F_2}\) は「机が物体に」です。ひっくり返すと「物体が机に」。図の中にこの力はありますか?…ありました!\(\vec{F_3}\) ですね。
- だから、\(\vec{F_2}\) と \(\vec{F_3}\) が作用・反作用のペアです。
例題
例題9 弾性力・力のつり合い
【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド
この問題のテーマは「力のつり合い」です。静止している物体にはたらく複数の力を正しく特定し、それらがつり合っていることを数式で表現する能力が問われます。
問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。
- 力のつり合い: 物体が静止している、または等速直線運動しているとき、物体にはたらく力の合力はゼロになります。これは、各方向の成分ごとに力の和がゼロになるということです。
- 力の分解: 斜め方向にはたらく力は、水平方向と鉛直方向など、互いに直交する2つの成分に分解して考えると便利です。三角関数(\(\sin\), \(\cos\))を用いて成分を計算します。
- 張力と弾性力: 糸が物体を引く力を「張力」、ばねが伸び縮みしたときに物体に及ぼす力を「弾性力」といいます。これらは物体が接触しているものから受ける力です。
- フックの法則: ばねの弾性力の大きさ \(F\) は、ばねの自然長からの伸びや縮みの大きさ \(x\) に比例します。これを \(F=kx\) と表し、\(k\) をばね定数と呼びます。
基本的なアプローチは以下の通りです。
- (1)では、おもりにはたらく力を「重力」と「接触力」に分けて、漏れなく見つけ出します。
- (2)では、静止という条件から「力のつり合い」を適用します。斜め向きの張力を水平・鉛直成分に分解し、それぞれの方向で「力の和=0」の式を立てます。
- (3)では、(2)で立てた連立方程式を解き、張力 \(T\) と弾性力 \(F\) の大きさを求めます。
- (4)では、(3)で求めた弾性力 \(F\) の値と、問題文で与えられたばねの伸びを用いて、フックの法則からばね定数 \(k\) を計算します。
問(1)
思考の道筋とポイント
物体にはたらく力を見つける問題です。物理の基本として、対象の物体(今回はおもり)が「何から力を受けているか」を体系的に考えることが重要です。力は大きく「重力」のような遠隔力と、「張力」や「垂直抗力」のような接触力に分けられます。
この設問における重要なポイント
- 物体にはたらく力は「重力」と「接触している物体から受ける力」を考えれば、ほぼ見落としがありません。
- 重力は、地球が物体を引く力で、常に鉛直下向きにはたらきます。
- 接触力は、物体が触れているものから受ける力です。この問題では、おもりは「糸」と「ばね」に触れています。
- 糸が引く力は「張力」、ばねが引く(または押す)力は「弾性力」です。
具体的な解説と立式
おもりにはたらく力を一つずつ特定していきます。
- 重力: 地球がおもりを引く力です。大きさは \(3.0 \text{ N}\) で、向きは鉛直下向きです。
- 張力: 糸がおもりを引く力です。糸がピンと張っている方向に沿って、斜め上向きにはたらきます。
- 弾性力: ばねがおもりを引く力です。ばねは自然の長さから伸びているため、元に戻ろうとしておもりを水平右向きに引きます。
これらの3つの力を、おもりを作用点として矢印で図に描き入れ、それぞれの名称を答えます。この設問では立式は不要です。
使用した物理公式
この設問では、力の種類を特定する概念的な理解が問われており、特定の数式は使用しません。
この設問では、計算は不要です。
おもりになった気持ちで周りを見渡してみましょう。まず、地球が常にあなたを真下に引っ張っています。これが「重力」です。次に、体に触れているものを探します。頭の上には「糸」が、右側には「ばね」がくっついていますね。糸はあなたを斜め上に、ばねはあなたを水平右向きに引っ張っています。糸が引く力を「張力」、ばねが引く力を「弾性力」と呼びます。この3つの力を矢印で描けば完成です。
おもりにはたらく力は、鉛直下向きの「重力」、糸に沿って斜め上向きの「張力」、水平右向きの「弾性力」の3つです。これらの力がつり合うことで、おもりは静止状態を保っています。力の種類と向きを正しく特定できました。
問(2)
思考の道筋とポイント
物体が「静止」しているという情報から、「力のつり合い」の条件を数式で表現する問題です。複数の力が異なる方向にはたらいているため、基準となる座標軸(水平・鉛直)を設定し、各力を成分に分解して考えるのが定石です。
この設問における重要なポイント
- 力のつり合いの条件:水平方向の力の和が0、かつ、鉛直方向の力の和が0。
- 斜め向きの力(この場合は張力 \(T\))は、三角関数を用いて水平成分と鉛直成分に分解します。
- 力の向きに応じて正負の符号をつけます。一般的に、水平右向きと鉛直上向きを正とします。
具体的な解説と立式
おもりは静止しているので、はたらく力の合力は \(0\) です。水平方向と鉛直方向に分けて、力のつり合いの式を立てます。水平右向きを正、鉛直上向きを正とします。
(1)で特定した3つの力のうち、張力 \(T\) は斜めを向いているため、これを水平成分と鉛直成分に分解します。糸と鉛直線とのなす角が \(30^\circ\) であることから、
- 張力 \(T\) の水平成分(左向き): \(T \sin 30^\circ\)
- 張力 \(T\) の鉛直成分(上向き): \(T \cos 30^\circ\)
となります。これを用いて、各方向の力のつり合いを考えます。
水平方向の力のつり合い:
右向きの力は弾性力 \(F\)、左向きの力は張力の水平成分 \(T \sin 30^\circ\) です。
$$ F – T \sin 30^\circ = 0 \quad \cdots ① $$
鉛直方向の力のつり合い:
上向きの力は張力の鉛直成分 \(T \cos 30^\circ\)、下向きの力は重力 \(3.0 \text{ N}\) です。
$$ T \cos 30^\circ – 3.0 = 0 \quad \cdots ② $$
使用した物理公式
- 力のつり合いの条件: 水平方向の力の和 = 0, 鉛直方向の力の和 = 0
- 力の分解: 斜め向きのベクトルを直交する2成分に分ける。
この設問は立式までを問うているため、具体的な計算は行いません。
おもりが動かないのは、左右方向と上下方向の力がそれぞれ打ち消し合っているからです。
- 左右(水平)のバランス: ばねが右に引く力 \(F\) と、糸が左斜め上に引く力のうち「左方向の成分」が等しくなっています。
- 上下(鉛直)のバランス: 糸が左斜め上に引く力のうち「上方向の成分」と、地球が真下に引く重力 \(3.0 \text{ N}\) が等しくなっています。
この関係を数式にしたものが答えです。
水平方向のつり合いの式は \(F – T \sin 30^\circ = 0\)、鉛直方向のつり合いの式は \(T \cos 30^\circ – 3.0 = 0\) となります。力の分解、正負の向き、つり合いの条件が正しく適用されていることを確認します。
問(3)
思考の道筋とポイント
(2)で立てた2つの連立方程式を解き、未知数である張力 \(T\) と弾性力 \(F\) の値を具体的に求める問題です。三角関数の具体的な値 (\(\sin 30^\circ, \cos 30^\circ\)) と、連立方程式を解く計算力が必要です。
この設問における重要なポイント
- 三角関数の値: \(\sin 30^\circ = \displaystyle\frac{1}{2}\), \(\cos 30^\circ = \displaystyle\frac{\sqrt{3}}{2}\)。
- 近似値の利用: 計算の最後に \(\sqrt{3} \approx 1.73\) を用いて小数で表します。
- 有効数字: 問題文で与えられた数値(\(3.0 \text{ N}\), \(0.10 \text{ m}\))が2桁であるため、答えも有効数字2桁でまとめるのが適切です。
具体的な解説と立式
(2)で立てた2つの式を再掲します。
$$ F – T \sin 30^\circ = 0 \quad \cdots ① $$
$$ T \cos 30^\circ – 3.0 = 0 \quad \cdots ② $$
式②には未知数が \(T\) しか含まれていないため、まず式②から \(T\) を求めます。その後、得られた \(T\) の値を式①に代入して \(F\) を求めます。
使用した物理公式
- (2)で導出した力のつり合いの式
まず、式②から \(T\) を求めます。
$$
\begin{aligned}
T \cos 30^\circ – 3.0 &= 0 \\[2.0ex]T \times \frac{\sqrt{3}}{2} &= 3.0 \\[2.0ex]T &= \frac{3.0 \times 2}{\sqrt{3}} \\[2.0ex]&= \frac{6.0}{\sqrt{3}} \\[2.0ex]&= 2.0\sqrt{3}
\end{aligned}
$$
ここで、\(\sqrt{3} \approx 1.73\) を代入して計算します。
$$
\begin{aligned}
T &\approx 2.0 \times 1.73 \\[2.0ex]&= 3.46
\end{aligned}
$$
有効数字2桁に丸めて、\(T \approx 3.5 \text{ [N]}\) となります。
次に、この結果を式①に代入して \(F\) を求めます。計算の精度を保つため、丸める前の値 \(T = 2.0\sqrt{3}\) を使います。
$$
\begin{aligned}
F &= T \sin 30^\circ \\[2.0ex]&= (2.0\sqrt{3}) \times \frac{1}{2} \\[2.0ex]&= \sqrt{3}
\end{aligned}
$$
ここで、\(\sqrt{3} \approx 1.73\) を代入します。
$$
\begin{aligned}
F \approx 1.73
\end{aligned}
$$
有効数字2桁に丸めて、\(F \approx 1.7 \text{ [N]}\) となります。
(2)で作った2つの式を解いていきます。まず、上下方向の式 \(T \cos 30^\circ – 3.0 = 0\) を見ると、未知数が \(T\) だけなので、ここから \(T\) が計算できます。計算すると \(T\) は \(2.0\sqrt{3}\) となり、およそ \(3.46 \text{ N}\) です。
次に、この \(T\) の値を左右方向の式 \(F – T \sin 30^\circ = 0\) に入れます。すると \(F\) は \(\sqrt{3}\) となり、およそ \(1.73 \text{ N}\) です。最後に、答えを有効数字2桁にそろえて、\(T \approx 3.5 \text{ N}\), \(F \approx 1.7 \text{ N}\) とします。
糸の張力の大きさ \(T\) は約 \(3.5 \text{ N}\)、ばねの弾性力の大きさ \(F\) は約 \(1.7 \text{ N}\) です。張力 \(T\) が重力 \(3.0 \text{ N}\) よりも大きくなっているのは、重力を支えるだけでなく、ばねの力とつりあうための水平成分も持つ必要があるため、物理的に妥当な結果です。
問(4)
思考の道筋とポイント
ばねの「弾性力」と「伸び」が分かっている状態から、ばねの硬さを示す「ばね定数」を求める問題です。これら3つの量を結びつけるフックの法則を適用します。
この設問における重要なポイント
- フックの法則: \(F = kx\)。\(F\) は弾性力、\(k\) はばね定数、\(x\) はばねの自然長からの伸び(または縮み)。
- 単位の整合性: 力はニュートン[N]、長さはメートル[m]、ばね定数はニュートン毎メートル[N/m]で計算します。
具体的な解説と立式
ばねの弾性力の大きさ \(F\)、ばね定数 \(k\)、ばねの自然長からの伸び \(x\) の間には、フックの法則が成り立ちます。
$$ F = kx $$
この式をばね定数 \(k\) について解くと、以下のようになります。
$$ k = \frac{F}{x} $$
問題文より、ばねの伸びは \(x = 0.10 \text{ m}\) です。(3)で求めた弾性力 \(F\) の値(計算には丸める前の \(F = \sqrt{3} \approx 1.73 \text{ N}\) を用いるとより正確です)を代入して \(k\) を求めます。
使用した物理公式
- フックの法則: \(F = kx\)
\(F \approx 1.73 \text{ N}\) と \(x = 0.10 \text{ m}\) を、\(k = \displaystyle\frac{F}{x}\) の式に代入します。
$$
\begin{aligned}
k &= \frac{1.73}{0.10} \\[2.0ex]&= 17.3
\end{aligned}
$$
有効数字2桁に丸めて、\(k \approx 17 \text{ [N/m]}\) となります。
ばねの硬さを表すのが「ばね定数 \(k\)」です。ばねの力 \(F\)、ばね定数 \(k\)、ばねの伸び \(x\) の間には、\(F = kx\) という関係(フックの法則)があります。これを \(k\) についての式に変形すると \(k = F \div x\) となります。(3)で求めたばねの力 \(F \approx 1.73 \text{ N}\) を、問題文にある伸び \(x = 0.10 \text{ m}\) で割ると、\(1.73 \div 0.10 = 17.3\) と計算できます。答えを丸めて、約 \(17 \text{ N/m}\) となります。
ばね定数は約 \(17 \text{ N/m}\) です。計算に用いた各値の単位と、最終的な答えの有効数字が適切であることを確認します。
【総まとめ】この一問を未来の得点力へ!完全マスター講座
最重要ポイント:この問題の核心となる物理法則は?
- 力のつり合いの条件:
- 核心: 物体が静止している場合、物体にはたらく全ての力をベクトル的に足し合わせるとゼロになる(合力が0)。これを理解し、数式に落とし込むことがこの問題の全てです。
- 理解のポイント:
- ベクトルの和が0: 力は大きさと向きを持つベクトル量です。力がつり合っているとは、全ての力ベクトルを矢印でつなぎ合わせると、出発点に戻ってくる状態を意味します。
- 成分での表現: ベクトルを直接扱うのは難しいため、互いに直交する2つの方向(例:水平方向と鉛直方向)に分解して考えます。「各方向で、正の向きの力の大きさと負の向きの力の大きさの和が等しい」というスカラーの式を立てるのが実践的な解法です。
- 力の分解:
- 核心: 斜め方向の力を、水平成分と鉛直成分に分解する技術。力のつり合いの式を立てるための必須の前提条件です。
- 理解のポイント:
- 三角関数の適用: どの辺が \(\sin\theta\) で、どの辺が \(\cos\theta\) に対応するのかを、力のベクトルと角度の関係から正確に判断する必要があります。「角度を挟む辺がコサイン(\(\cos\))」と覚えると便利です。
応用テクニック:似た問題が出たらココを見る!解法の鍵と着眼点
- 応用できる類似問題のパターン:
- 壁と糸で物体を吊るす問題: 本問のばねが、壁に固定された水平な糸に変わっただけの問題。弾性力 \(F\) が張力 \(T_2\) に変わるだけで、解法は全く同じです。
- 斜面上の静止物体: 斜面上の物体にはたらく重力を、斜面に平行な成分と垂直な成分に分解して、摩擦力や垂直抗力とのつり合いを考えます。座標軸を水平・鉛直ではなく、斜面に平行・垂直に取ると計算が楽になります。
- 3つの力のつり合い(ラミの定理): 3つの力 \(F_1, F_2, F_3\) がつり合っているとき、それぞれの力の大きさと、他の2つの力がなす角のサインとの間には \(\displaystyle\frac{F_1}{\sin\theta_1} = \frac{F_2}{\sin\theta_2} = \frac{F_3}{\sin\theta_3}\) という関係が成り立ちます。これを知っていると、力を分解せずに解ける場合があります。(高校範囲外ですが強力な検算ツールになります)
- 初見の問題での着眼点:
- 着目物体を明確にする: まず「どの物体について力のつり合いを考えるのか」を決めます。この問題では「おもり」です。
- 力の矢印を全て描き出す: 着目物体にはたらく力を、重力と接触力に分けて漏れなく探し、作用点から矢印を伸ばして図示します。(これを「フリーボディダイアグラム」と呼びます)
- 座標軸を設定する: 力を分解するための基準となる座標軸(水平・鉛直が基本)を決めます。力が多く向いている方向や、未知の力が向いている方向に軸を合わせると計算が楽になることがあります。
- つり合いの式を立てる: 各軸について、力の成分を計算し、「正方向の力の和 = 負方向の力の和」の式を立てます。
要注意!ありがちなミス・誤解とその対策
- 力の分解における \(\sin\) と \(\cos\) の混同:
- 誤解: 張力 \(T\) の水平成分を \(T \cos 30^\circ\)、鉛直成分を \(T \sin 30^\circ\) と間違えてしまう。
- 対策: 角度がどちらの軸となす角かを図でしっかり確認すること。「角度 \(\theta\) を挟む辺が \(\cos\theta\)」と機械的に覚えるか、直角三角形を描いて定義から確認する癖をつける。この問題では、角度 \(30^\circ\) は鉛直線とのなす角なので、鉛直成分が \(T \cos 30^\circ\) となります。
- 力の数え漏れ・余計な力の追加:
- 誤解: おもりが糸を引く力や、ばねを引く力(作用・反作用の力)を、おもりにはたらく力として数えてしまう。
- 対策: 常に「着目物体が“受ける”力」だけを考えるという原則を徹底する。「重力」と「接触しているものから受ける力」の2つの観点から探せば、漏れや重複を防げます。
- 有効数字の扱いミス:
- 誤解: 計算途中で値を丸めてしまい、最終的な答えに誤差が生じる。または、最終的な答えの桁数を間違える。
- 対策: 計算途中では、\(\sqrt{3}\) のような無理数は記号のまま計算を進め、最後の代入まで具体的な数値に直さないようにする。最終的な答えの有効数字は、問題文で与えられた数値の最も小さい桁数に合わせるのが原則です(この問題では2桁)。
なぜその公式?論理的な公式選択と適用の思考法
- 力のつり合いの式 (水平方向の力の和 = 0, 鉛直方向の力の和 = 0):
- 選定理由: 問題文に「静止した」とあるため、これは物体が静力学的な平衡状態にあることを示しています。物理学において、静止している物体の運動方程式 \(ma=F\) は、加速度 \(a=0\) なので、合力 \(F=0\) となります。これが力のつり合いの条件そのものです。
- 適用根拠: この法則は、ニュートンの運動法則の特別な場合に相当し、静止しているあらゆる物体に適用できる普遍的な原理です。複数の力がはたらく静止問題を解く際の出発点となります。
- フックの法則 (\(F = kx\)):
- 選定理由: (4)で「ばね定数」という言葉が出てきた時点で、ばねの性質に関する法則を使うことが確定します。ばねの弾性力、ばね定数、伸び(縮み)を結びつける法則がフックの法則です。
- 適用根拠: 問題文に「質量の無視できるつるまきばね」とあり、これは理想的なばね、すなわち弾性力が伸びに比例する(フックの法則に従う)ばねとして扱ってよいことを示唆しています。
計算ミスをなくす!日頃の意識と実践テクニック
- 分母の有理化: (3)の計算で \(T = \displaystyle\frac{6.0}{\sqrt{3}}\) となった際、先に有理化して \(T = \displaystyle\frac{6.0\sqrt{3}}{3} = 2.0\sqrt{3}\) と変形することで、その後の計算や代入が楽になります。分母に無理数が残っていると、計算ミスを誘発しやすくなります。
- 三角関数の値の暗記: \(\sin, \cos, \tan\) の \(30^\circ, 45^\circ, 60^\circ\) の値は、瞬時に出てくるように完全に暗記しておくこと。特に \(\cos 30^\circ = \displaystyle\frac{\sqrt{3}}{2}\) と \(\sin 60^\circ = \displaystyle\frac{\sqrt{3}}{2}\) のように、値が同じになる組み合わせも意識しておくと間違いが減ります。
- 連立方程式の解法戦略: (2)で立てた2つの式を見て、どちらの式から解き始めるかを見極めることが重要です。式②は未知数が \(T\) のみ、式①は \(F\) と \(T\) の2つを含んでいるため、明らかに式②から解く方が効率的です。常に、より簡単な式から手をつける癖をつけましょう。
- 近似値計算のタイミング: (3)で \(T=2.0\sqrt{3}\) と \(F=\sqrt{3}\) を求めた後、\(F\) の計算に \(T \approx 3.5\) を代入するのではなく、\(T=2.0\sqrt{3}\) を代入して \(F=\sqrt{3}\) を導出しています。このように、近似値は最後の最後に一度だけ使うように徹底することで、計算の精度が保たれます。
例題10 斜面上での力のつり合い
【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド
この問題のテーマは「斜面上での力のつり合い」です。斜面上の物体にはたらく力を、斜面に平行な方向と垂直な方向に分解して考えることが、この種の問題を解くための定石となります。
問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。
- 力のつり合い: 物体が静止しているので、物体にはたらく力の合力はゼロです。これは、どの方向においても力の成分の和がゼロになることを意味します。
- 座標軸の選択: 斜面上の問題では、座標軸を「斜面に平行な方向」と「斜面に垂直な方向」に取ると、垂直抗力や摩擦力(この問題にはない)を成分分解する必要がなくなり、計算が非常に楽になります。
- 重力の分解: 鉛直下向きにはたらく重力を、設定した座標軸(斜面に平行・垂直)に沿って2つの成分に分解します。傾斜角が \(\theta\) のとき、斜面に平行な成分は \(mg \sin\theta\)、垂直な成分は \(mg \cos\theta\) となります。
- 垂直抗力と張力: 垂直抗力は面から物体に垂直にはたらく力、張力は糸が物体を引く力です。これらを正しく図示することが重要です。
基本的なアプローチは以下の通りです。
- まず、物体にはたらく力(重力、垂直抗力、張力)をすべて図示します。
- 次に、斜面に平行な方向と垂直な方向を座標軸として設定します。
- 重力をこの2つの方向に分解します。
- 最後に、それぞれの方向について力のつり合いの式を立て、垂直抗力 \(N\) と張力 \(T\) を求めます。
思考の道筋とポイント
この問題は、傾いた斜面の上で物体が静止している状況を扱います。力がつり合っている状況を考える点は平地の場合と同じですが、重力が斜面に対して斜めにはたらくため、力を分解する工夫が必要になります。
ここで最も重要な戦略は、力を分解する際の座標軸の取り方です。水平・鉛直方向を軸に取ることも可能ですが、そうすると垂直抗力と張力の両方を分解する必要があり、計算が複雑になります。そこで、斜面に沿った方向と、斜面に垂直な方向を軸に取るのが定石です。こうすることで、分解が必要な力は重力のみとなり、問題をシンプルに解くことができます。
この設問における重要なポイント
- 座標軸は、斜面に平行な方向と、斜面に垂直な方向に設定する。
- 重力を、斜面に平行な成分と垂直な成分に分解する。
- 「なめらか」という言葉は、摩擦力がはたらかない(摩擦係数が0)ことを意味する。
- 「静止」という言葉は、物体にはたらく力の合力が0である(力のつり合いが成立している)ことを意味する。
具体的な解説と立式
まず、物体にはたらく力を特定します。
- 重力: 大きさ \(4.0 \text{ N}\) で、鉛直下向きにはたらく。
- 垂直抗力: 大きさを \(N\) とする。斜面が物体を押す力で、斜面に垂直で上向きにはたらく。
- 張力: 大きさを \(T\) とする。糸が物体を引く力で、斜面に平行で上向きにはたらく。
次に、座標軸を「斜面に平行な方向(上向きを正)」と「斜面に垂直な方向(上向きを正)」に設定します。この座標軸に合わせて、重力 \(4.0 \text{ N}\) を分解します。
- 重力の斜面に平行な成分: \(4.0 \sin 30^\circ\) (斜面下向き)
- 重力の斜面に垂直な成分: \(4.0 \cos 30^\circ\) (斜面下向き)
物体は静止しているので、各方向で力のつり合いが成り立ちます。
斜面に平行な方向の力のつり合い:
上向きの張力 \(T\) と、下向きの重力の成分 \(4.0 \sin 30^\circ\) がつり合います。
$$ T – 4.0 \sin 30^\circ = 0 \quad \cdots ① $$
斜面に垂直な方向の力のつり合い:
上向きの垂直抗力 \(N\) と、下向きの重力の成分 \(4.0 \cos 30^\circ\) がつり合います。
$$ N – 4.0 \cos 30^\circ = 0 \quad \cdots ② $$
使用した物理公式
- 力のつり合いの条件: 斜面に平行な方向の力の和 = 0, 斜面に垂直な方向の力の和 = 0
- 重力の分解: \(W_{\text{平行}} = W \sin\theta\), \(W_{\text{垂直}} = W \cos\theta\)
式①から張力 \(T\) を求めます。
$$
\begin{aligned}
T &= 4.0 \sin 30^\circ \\[2.0ex]&= 4.0 \times \frac{1}{2} \\[2.0ex]&= 2.0 \text{ [N]}
\end{aligned}
$$
次に、式②から垂直抗力 \(N\) を求めます。
$$
\begin{aligned}
N &= 4.0 \cos 30^\circ \\[2.0ex]&= 4.0 \times \frac{\sqrt{3}}{2} \\[2.0ex]&= 2.0\sqrt{3}
\end{aligned}
$$
ここで、\(\sqrt{3} \approx 1.73\) を代入して計算します。
$$
\begin{aligned}
N &\approx 2.0 \times 1.73 \\[2.0ex]&= 3.46
\end{aligned}
$$
問題文の有効数字が2桁なので、答えも2桁に丸めて \(N \approx 3.5 \text{ [N]}\) となります。
物体は、斜面を滑り落ちようとも、斜面にめり込んだり浮き上がったりもせずに、じっと静止しています。これは、力がバランスを取っているからです。
- 斜面に沿った方向のバランス: 物体が重力によって斜面を滑り落ちようとする力(\(4.0 \sin 30^\circ\))と、糸がそれを引き留めようと引っ張る力(張力 \(T\))が、ちょうど同じ大きさになっています。
- 斜面に垂直な方向のバランス: 物体が重力によって斜面を押し付ける力(\(4.0 \cos 30^\circ\))と、斜面が「これ以上入ってくるな」と押し返す力(垂直抗力 \(N\))が、ちょうど同じ大きさになっています。
この2つのバランスの式をそれぞれ計算することで、張力 \(T\) と垂直抗力 \(N\) の大きさが求められます。
張力の大きさは \(2.0 \text{ N}\)、垂直抗力の大きさは約 \(3.5 \text{ N}\) です。
重力の大きさ \(4.0 \text{ N}\) が、斜面に平行な成分(張力が支える)と垂直な成分(垂直抗力が支える)に分散されていることがわかります。垂直抗力 \(N\) が重力 \(4.0 \text{ N}\) よりも小さくなっているのは、重力の一部が斜面を滑らせる力として使われているためで、物理的に妥当な結果です。
【総まとめ】この一問を未来の得点力へ!完全マスター講座
最重要ポイント:この問題の核心となる物理法則は?
- 斜面上での力のつり合いと座標軸の設定:
- 核心: 斜面上の物体が静止している場合、物体にはたらく力はつり合っています。このつり合いを考える際、座標軸を「斜面に平行な方向」と「斜面に垂直な方向」に設定することが、問題を効率的に解くための最も重要な戦略です。
- 理解のポイント:
- なぜこの座標軸か?: このように軸を取ると、未知の力である「垂直抗力」と「張力」がそのまま座標軸の方向と一致します。その結果、分解が必要な力は既知の「重力」だけになり、立式と計算が大幅に簡略化されます。もし水平・鉛直に軸を取ると、垂直抗力と張力の両方を分解する必要があり、非常に複雑になります。
- 重力の分解:
- 核心: 鉛直下向きにはたらく重力を、斜面に平行な成分と垂直な成分に分解する技術。これは斜面問題を解く上での必須スキルです。
- 理解のポイント:
- 成分の覚え方: 傾斜角が \(\theta\) のとき、重力 \(W\) の斜面に平行な成分(斜面を滑り落ちさせようとする力)は \(W \sin\theta\)、斜面に垂直な成分(斜面を押し付ける力)は \(W \cos\theta\) となります。これは毎回図を描いて確認できるようにしておくことが理想です。
応用テクニック:似た問題が出たらココを見る!解法の鍵と着眼点
- 応用できる類似問題のパターン:
- 摩擦のある斜面: 問題文に「なめらか」ではなく「粗い斜面」と書かれている場合。物体が滑り落ちるのを防ぐ向き(この問題なら斜面上向き)に静止摩擦力がはたらきます。斜面に平行な方向のつり合いの式に、摩擦力の項が追加されます。
- 斜面上の運動(加速度運動): 物体が糸でつながれず、斜面を滑り落ちる場合。力のつり合いではなく、運動方程式 \(ma=F\) を立てます。力の分解方法は全く同じで、斜面に平行な方向について \(ma = mg \sin\theta\) のような式を立てて加速度 \(a\) を求めます。
- 斜面を上向きに引き上げる問題: 張力 \(T\) が斜面上向きではなく、水平方向や他の角度で物体を引く問題。この場合は、張力も斜面に平行・垂直な成分に分解する必要があります。
- 初見の問題での着眼点:
- 「なめらか」か「粗い」かを確認: まず摩擦の有無を判断します。
- 運動状態を確認: 「静止」「等速直線運動」なら力のつり合い。「加速」「減速」なら運動方程式 \(ma=F\) を考えます。
- 力の図示(フリーボディダイアグラム): 物体にはたらく力を(重力、垂直抗力、張力、摩擦力など)すべて矢印で描き込みます。これが最も重要なステップです。
- 座標軸の設定: 迷わず「斜面に平行・垂直」に軸を設定し、重力を分解します。
要注意!ありがちなミス・誤解とその対策
- 重力分解時の \(\sin\) と \(\cos\) の混同:
- 誤解: 斜面に平行な成分を \(mg \cos\theta\)、垂直な成分を \(mg \sin\theta\) と逆にしてしまう。
- 対策: 角度 \(\theta\) が小さい極端な場合を想像します。斜面がほぼ水平(\(\theta \approx 0\))なら、滑り落ちる力(平行成分)はほぼ0になるはずです。\(\sin 0 = 0\) なので、平行成分は \(\sin\theta\) を使う方だと確認できます。また、図を描いて、重力ベクトルと垂直成分がなす角が \(\theta\) になることを確認する癖をつけるのが根本的な対策です。
- 垂直抗力 \(N = mg\) という思い込み:
- 誤解: 水平な床の上での癖で、垂直抗力の大きさを常に重力 \(mg\) と等しいと考えてしまう。
- 対策: 垂直抗力は「面が物体を押し返す力」であり、常に「重力の、面に垂直な成分」とつり合います。斜面では、その成分は \(mg \cos\theta\) なので、\(N = mg \cos\theta\) となります。\(\cos\theta \le 1\) なので、垂直抗力は重力より等しいか小さくなります。
- 力の向きの間違い:
- 誤解: 垂直抗力を鉛直上向きに描いてしまう。
- 対策: 「垂直抗力」という名前の通り、必ず「面に垂直」な向きにはたらくことを徹底します。同様に、張力は「糸に沿った」向きです。
なぜその公式?論理的な公式選択と適用の思考法
- 力のつり合いの式:
- 選定理由: 問題文に「静止させた」と明記されているため、物体の加速度は \(a=0\) です。ニュートンの運動法則の基本式 \(ma = F_{\text{合力}}\) に \(a=0\) を代入すると、合力 \(F_{\text{合力}}\) は \(0\) となります。これが力のつり合いの条件であり、この問題で使うべき法則であると論理的に判断できます。
- 適用根拠: この法則を、物理的に意味のある「斜面に平行な方向」と「斜面に垂直な方向」の2つの独立した方向に適用することで、未知数 \(N\) と \(T\) を含む2つの独立した方程式が得られ、問題を解くことができます。
- 重力の分解 (\(W \sin\theta, W \cos\theta\)):
- 選定理由: 力のつり合いの式を立てるためには、全ての力を座標軸の成分で表す必要があります。重力だけが座標軸からずれているため、これを座標軸に沿った成分に分解する必要がある、という思考プロセスです。
- 適用根拠: ベクトルの分解は、一つのベクトルを、互いに直交する二つのベクトルの和として表現する数学的な操作です。重力ベクトルと座標軸がなす幾何学的な関係(直角三角形)から、三角関数を用いて各成分の大きさを正確に求めることができます。
計算ミスをなくす!日頃の意識と実践テクニック
- 有効数字の確認: 問題文で与えられている「\(4.0 \text{ N}\)」は有効数字2桁です。角度の「\(30^\circ\)」は測定値ではなく定義なので、有効数字の桁数には影響しません。したがって、最終的な答えは有効数字2桁で答える必要があります。\(N\) の計算で \(3.46\) と出ても、四捨五入して \(3.5\) と答える意識が重要です。
- 三角関数の正確な値: \(\sin 30^\circ = 0.5\), \(\cos 30^\circ = \displaystyle\frac{\sqrt{3}}{2}\) といった基本的な三角関数の値は、素早く正確に使えるようにしておくこと。
- 無理数の計算: \(N\) の計算で \(2.0\sqrt{3}\) が出てきたら、すぐに \(1.73\) を代入するのではなく、式の最後まで記号のままにしておく方が見通しが良く、ミスが減ります。この問題ではすぐに最終計算ですが、より複雑な問題ではこの習慣が役立ちます。
- 式の分離: この問題では、斜面に平行な方向の式①に未知数 \(T\) のみが、垂直な方向の式②に未知数 \(N\) のみが含まれています。つまり、2つの式は独立しており、連立して解く必要がありません。それぞれを個別に解けばよいことに気づくと、思考がシンプルになり、計算ミスを防げます。
例題11 力のつり合いと作用・反作用
【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド
この問題のテーマは、「力のつり合い」と「作用・反作用の法則」という、力学の基本でありながら非常に混同しやすい2つの概念を明確に区別することです。
問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。
- 力のつり合い: 1つの物体に着目したとき、その物体にはたらく複数の力が互いに打ち消し合い、合力がゼロになっている状態です。物体は静止、または等速直線運動をします。
- 作用・反作用の法則(運動の第3法則): 2つの物体が互いに力を及ぼし合うとき、物体Aが物体Bに及ぼす力(作用)と、物体Bが物体Aに及ぼす力(反作用)は、常に大きさが等しく、向きが逆で、同一直線上にあります。
- 力の主語と目的語: 「AがBに及ぼす力」という形で、力の主語(力を及ぼす物体A)と目的語(力を受ける物体B)を明確にすることが、2つの法則を区別する上で決定的に重要です。
- 着目物体: 「力のつり合い」を考えるときは、必ず1つの物体に着目し、その物体にはたらく力だけを考えます。「作用・反作用」は2つの物体間の関係です。
基本的なアプローチは以下の通りです。
- (1)では、「力のつり合い」の定義である「1つの物体にはたらく力の関係」という点に着目します。静止している「箱」にはたらいている力を図から探し出し、その組み合わせを答えます。
- (2)では、「作用・反作用」の定義である「2つの物体間で互いに及ぼし合う力のペア」という点に着目します。「AがBに及ぼす力」と「BがAに及ぼす力」という関係になっている力のペアを探し出します。
問(1)
思考の道筋とポイント
「つり合いの関係」にある力を特定する問題です。つり合いの法則がどのような状況で成立するのか、その定義を正確に理解しているかが問われます。キーワードは「1つの物体」です。複数の力が、たった1つの物体にはたらき、その結果として物体が静止している(または等速直線運動している)とき、それらの力はつり合っていると言えます。
この設問における重要なポイント
- 力のつり合いは、1つの物体にはたらく力同士の関係である。
- この問題で着目すべき物体は「箱」。
- 箱は「静止」しているので、箱にはたらく力の合力はゼロになる。
具体的な解説と立式
まず、図に示された4つの力が、それぞれ「何が」「何に」はたらく力なのかを明確にします。問題の解説文から、以下のように定義できます。
- \(F_1\): ばねが箱を引く力 (主語:ばね、目的語:箱)
- \(F_2\): 箱がばねを引く力 (主語:箱、目的語:ばね)
- \(F_3\): 箱が糸を引く力 (主語:箱、目的語:糸)
- \(F_4\): 糸が箱を引く力 (主語:糸、目的語:箱)
「力のつり合い」は、1つの物体にはたらく力について考えます。今回は「箱」に着目します。
上の定義のうち、力を受ける物体(目的語)が「箱」となっているものを探すと、\(F_1\)と\(F_4\)の2つが見つかります。
問題文より、箱は静止しているので、この2つの力はつり合いの関係にあります。
使用した物理公式
- 力のつり合いの条件:1つの物体にはたらく力の合力がゼロである。
この設問は概念を問うものであり、計算は不要です。
「つり合い」とは、一人の登場人物(1つの物体)に注目したときの力のバランスのことです。この問題の主役である「箱」になったつもりで考えてみましょう。箱は、左側から「ばね」に力\(F_1\)で引かれ、右側から「糸」に力\(F_4\)で引かれています。そして、箱はピクリとも動きません。これは、左から引かれる力と右から引かれる力がちょうど打ち消し合っているからです。この関係を「力のつり合い」と呼びます。したがって、つり合っているのは\(F_1\)と\(F_4\)です。
つり合いの関係にある力の組み合わせは、\(F_1\)と\(F_4\)です。これらの力は、(1)1つの物体「箱」にはたらき、(2)大きさが等しく、(3)向きが逆で、(4)同一直線上にある、というつり合いの4条件をすべて満たしています。
問(2)
思考の道筋とポイント
「作用・反作用の関係」にある力を特定する問題です。作用・反作用の法則の定義を正確に理解しているかが問われます。キーワードは「2つの物体間のペア」です。物体Aが物体Bに力を及ぼす(作用)とき、必ず物体Bも物体Aに力を及ぼし返します(反作用)。この力のペアを見つけ出すことが目的です。
この設問における重要なポイント
- 作用・反作用は、2つの物体間で互いに及し合う力のペアである。
- 「AがBに及ぼす力」と「BがAに及ぼす力」のように、主語と目的語を入れ替えた関係のペアを探す。
- 作用・反作用の力は、異なる物体にはたらくため、つり合うことはない。
具体的な解説と立式
(1)と同様に、4つの力の主語と目的語を明確にした定義を使います。
- \(F_1\): ばねが箱を引く力
- \(F_2\): 箱がばねを引く力
- \(F_3\): 箱が糸を引く力
- \(F_4\): 糸が箱を引く力
この中から、主語と目的語が入れ替わっているペアを探します。
ペア1:箱とばねの間にはたらく力
\(F_1\)(ばねが箱を引く力)の主語と目的語を入れ替えると、「箱がばねを引く力」となります。これは\(F_2\)の定義そのものです。
したがって、\(F_1\)と\(F_2\)は作用・反作用のペアです。
ペア2:箱と糸の間にはたらく力
\(F_4\)(糸が箱を引く力)の主語と目的語を入れ替えると、「箱が糸を引く力」となります。これは\(F_3\)の定義そのものです。
したがって、\(F_3\)と\(F_4\)は作用・反作用のペアです。
使用した物理公式
- 作用・反作用の法則(運動の第3法則)
この設問は概念を問うものであり、計算は不要です。
「作用・反作用」は、二人の登場人物(2つの物体)の間の関係です。例えば、あなたが壁を押すと、壁もあなたを押し返しますよね。この「あなたが壁を押す力」と「壁があなたを押す力」のペアが作用・反作用です。
この問題では、2組のペアがいます。
- 「箱」と「ばね」のペア:ばねが箱を引く力(\(F_1\))と、箱がばねを引く力(\(F_2\))。
- 「箱」と「糸」のペア:糸が箱を引く力(\(F_4\))と、箱が糸を引く力(\(F_3\))。
これらが作用・反作用の組み合わせです。
作用・反作用の関係にある力の組み合わせは、「\(F_1\)と\(F_2\)」および「\(F_3\)と\(F_4\)」です。それぞれのペアは、2つの物体間で互いに力を及ぼし合っており、主語と目的語が入れ替わる関係になっています。これは作用・反作用の法則の定義と完全に一致します。
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最重要ポイント:この問題の核心となる物理法則は?
- 「力のつり合い」と「作用・反作用」の明確な区別:
- 核心: この2つの法則は力学の根幹をなす概念ですが、初学者が最も混同しやすいポイントです。これらの法則が成立する「条件」と「舞台」の違いを、言葉だけでなく構造的に理解することが核心です。
- 理解のポイント(対比表):
特徴 力のつり合い 作用・反作用の法則 舞台(登場人物) 1つの物体 2つの物体 力の数 2つ以上(合力がゼロ) 必ず2つ(ペア) 力の関係 互いに打ち消し合う 互いに及ぼし合う 主語・目的語 目的語が同じ(例:「ばねが箱を引く力」と「糸が箱を引く力」) 主語と目的語が入れ替わる(例:「ばねが箱を引く力」と「箱がばねを引く力」) 結果 物体は静止 or 等速直線運動 (法則自体は物体の運動状態を規定しない)
応用テクニック:似た問題が出たらココを見る!解法の鍵と着眼点
- 応用できる類似問題のパターン:
- 人が床を押す力: 「人が床を押す力」とつり合うのは「床が人を支える力(垂直抗力)」ではなく、「地球が人を引く力(重力)」です。一方、「人が床を押す力」の反作用は「床が人を押す力(垂直抗力)」です。
- ロケットの推進: ロケットがガスを後方に噴射する力(作用)の反作用として、ガスがロケットを前方に押す力を受けて加速します。これは作用・反作用の典型例です。
- 複数の物体が接触している問題: 箱Aの上に箱Bが乗っている場合など。Aにはたらく力、Bにはたらく力をそれぞれ考え、つり合いと作用・反作用の関係を整理する問題。
- 初見の問題での着眼点:
- 力の主語・目的語を書き出す: 問題で与えられた力(または自分で見つけた力)について、「何が」「何に」及ぼす力なのかを、一つ一つ日本語で書き出す。これが最も確実な方法です。
- 「つり合い」を問われたら: 「1つの物体」を探し、その物体を目的語とする力を全てリストアップします。
- 「作用・反作用」を問われたら: 「AがBに及ぼす力」を見つけたら、その主語と目的語をひっくり返した「BがAに及ぼす力」が選択肢にないか探します。
要注意!ありがちなミス・誤解とその対策
- つり合いと作用・反作用の混同:
- 誤解: (1)のつり合いの問題で、\(F_1\)と\(F_2\)を選んでしまう。あるいは(2)の作用・反作用の問題で、\(F_1\)と\(F_4\)を選んでしまう。
- 対策: 「つり合いは1物体、作用・反作用は2物体」という合言葉を徹底する。そして、必ず力の主語と目的語を分析する癖をつける。「\(F_1\)(ばね→箱)と\(F_4\)(糸→箱)」は目的語が「箱」で同じなのでつり合い。「\(F_1\)(ばね→箱)と\(F_2\)(箱→ばね)」は主語・目的語が逆なので作用・反作用、と機械的に判断できるように訓練する。
- 力の作用点を無視する:
- 誤解: つり合う力は同じ物体にはたらき、作用・反作用の力は異なる物体にはたらく、という事実を忘れてしまう。
- 対策: 力を図示するときに、必ず力がはたらく物体(作用点)を意識して矢印を描く。つり合う力は、矢印の根元が同じ物体上にある。作用・反作用の力は、矢印の根元が異なる物体上にあることを視覚的に確認する。
なぜその公式?論理的な公式選択と適用の思考法
- 力のつり合いの条件:
- 選定理由: (1)では「つり合いの関係」が問われています。これは、ニュートンの運動法則において、物体の加速度がゼロ(静止または等速直線運動)の場合に成立する条件です。問題文に「静止させている」とあるため、着目物体「箱」にはたらく力の合力はゼロであると判断し、この条件を適用します。
- 適用根拠: この法則は、ある特定の「1つの物体」の運動状態を記述するためのものです。したがって、考えるべき力は、その物体が他の物体から受ける力(目的語がその物体である力)に限定されます。
- 作用・反作用の法則(運動の第3法則):
- 選定理由: (2)では「作用・反作用の関係」が問われています。これは、力というものが常に相互作用であり、一方的に発生することはない、という物理学の根本原理です。
- 適用根拠: この法則は、物体間の力の「関係性」そのものを記述するものです。したがって、「AがBに及ぼす力」と「BがAに及ぼす力」という、2つの物体間に存在する力のペアを機械的に見つけ出すことで適用します。この法則は、物体の運動状態(静止しているか、動いているか)とは無関係に、常に成り立ちます。
計算ミスをなくす!日頃の意識と実践テクニック
- この問題は計算を伴いませんが、「概念の混同」というミスを防ぐための思考テクニックが重要です。
- 表を作成して整理する: 慣れないうちは、以下のような表を作って、各力の情報を整理すると間違いがありません。
力の記号 主語(何が) 目的語(何に) \(F_1\) ばね 箱 \(F_2\) 箱 ばね \(F_3\) 箱 糸 \(F_4\) 糸 箱 - 表の活用法:
- つり合い: 「目的語」の列が同じもの(この場合は「箱」)を探す → \(F_1\)と\(F_4\)。
- 作用・反作用: 「主語」と「目的語」の列が互いに入れ替わっているペアを探す → (\(F_1\), \(F_2\)) と (\(F_3\), \(F_4\))。
- この「主語・目的語」分析は、力学のあらゆる問題に応用できる非常に強力な思考ツールです。
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