プロセス
1 運動量
【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド
この問題のテーマは「運動量の定義に基づいた計算」です。
問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。
- 運動量の定義: 運動量は物体の運動の状態を表すベクトル量である。
- 運動量の公式: 質量 \(m\)、速度 \(\vec{v}\) の物体の運動量 \(\vec{p}\) は \(\vec{p} = m\vec{v}\) で与えられる。
- ベクトルとしての運動量: 運動量は大きさと向きを持つ。向きは速度の向きと同じである。
- 有効数字の扱い: 計算結果を適切な有効数字で表現する。
基本的なアプローチは以下の通りです。
- 問題文から質量 \(m\) と速度 \(v\) の値を読み取る。
- 運動量の公式 \(p = mv\) を用いて、運動量の大きさを計算する。
- 運動量の向きが速度の向きと同じであることを確認し、大きさと向きを合わせて解答する。
思考の道筋とポイント
運動量が「ベクトル量」であることをまず理解することが出発点です。ベクトル量とは、大きさと向きの両方を持つ量のことです。したがって、この問題で答えるべきは運動量の「大きさ」と「向き」の2つの要素です。
運動量の大きさは、定義に従って質量と速さを掛け合わせることで計算できます。運動量の向きは、定義から速度の向きと一致します。
また、問題文で与えられている数値の有効数字を確認し、解答もそれに合わせて表現することが物理の問題では重要です。
この設問における重要なポイント
- 運動量 \(\vec{p}\): 質量 \(m\) と速度 \(\vec{v}\) の積で定義されるベクトル量です。式で表すと \(\vec{p} = m\vec{v}\) となります。
- 単位: 運動量の単位は、質量の単位 \([\text{kg}]\) と速度の単位 \([\text{m/s}]\) を掛け合わせた \([\text{kg}\cdot\text{m/s}]\) となります。
- 大きさ: 運動量の大きさ \(p\) は、質量 \(m\) と速さ \(v\) の積 \(p=mv\) で計算されます。
- 向き: 運動量の向きは、速度 \(\vec{v}\) の向きと同じです。
- 有効数字: 問題文の数値は「\(10\)\(\text{m/s}\)」(有効数字2桁)、「\(1500\)\(\text{kg}\)」(有効数字2桁)です。したがって、計算結果も有効数字2桁で表すのが適切です。
具体的な解説と立式
自動車の質量を \(m\)、速度を \(\vec{v}\) とし、求める運動量を \(\vec{p}\) とします。
問題文より、各物理量は以下の通りです。
- 質量: \(m = 1500 \, \text{kg}\)
- 速度: \(\vec{v}\) は東向きに大きさ \(v = 10 \, \text{m/s}\)
運動量の定義式は、
$$
\vec{p} = m\vec{v}
$$
です。この式は、運動量 \(\vec{p}\) の「大きさ」が質量 \(m\) と速さ \(v\) の積であり、「向き」が速度 \(\vec{v}\) の向きと同じであることを示しています。
まず、運動量の大きさ \(p\) を求める式を立てます。
$$
p = mv
$$
次に、運動量の向きを考えます。速度 \(\vec{v}\) の向きが「東向き」であるため、運動量 \(\vec{p}\) の向きも「東向き」となります。
使用した物理公式
- 運動量の定義式: \(\vec{p} = m\vec{v}\)
- \(\vec{p}\): 運動量 \([\text{kg}\cdot\text{m/s}]\)
- \(m\): 質量 \([\text{kg}]\)
- \(\vec{v}\): 速度 \([\text{m/s}]\)
「具体的な解説と立式」で立てた式に、数値を代入して運動量の大きさ \(p\) を計算します。
与えられた値は \(m = 1500 \, \text{kg}\)、\(v = 10 \, \text{m/s}\) です。
$$
\begin{aligned}
p &= mv \\[2.0ex]
&= 1500 \times 10 \\[2.0ex]
&= 15000 \, \text{kg}\cdot\text{m/s}
\end{aligned}
$$
この計算結果を有効数字2桁で表現するために、指数形式に変換します。
$$
\begin{aligned}
15000 &= 1.5 \times 10000 \\[2.0ex]
&= 1.5 \times 10^4
\end{aligned}
$$
したがって、運動量の大きさは \(1.5 \times 10^4 \, \text{kg}\cdot\text{m/s}\) となります。
向きは速度と同じ「東向き」です。
以上をまとめると、求める運動量は「東向きに \(1.5 \times 10^4 \, \text{kg}\cdot\text{m/s}\)」となります。
「運動量」とは、物体がどれくらいの勢いで動いているかを示す量のことです。もし何かにぶつかったら、どれくらいの衝撃を与えるか、というイメージを持つと分かりやすいかもしれません。
この「勢い」は、物体の「重さ(質量)」と「速さ」の両方が大きいほど、大きくなります。ですので、計算はとてもシンプルで、質量と速さを掛け算するだけです。
この問題では、自動車の質量が \(1500 \, \text{kg}\)、速さが \(10 \, \text{m/s}\) なので、
$$
1500 \, \text{kg} \times 10 \, \text{m/s} = 15000 \, \text{kg}\cdot\text{m/s}
$$
となります。
さらに、運動量には「向き」もあります。これは難しく考える必要はなく、物体が動いている向きと同じです。車は「東向き」に走っているので、運動量の向きも「東向き」になります。
最後に、物理のテストで良い点数を取るために、答えの形を整えます。\(15000\) を \(1.5 \times 10^4\) という科学的な書き方(指数表記)にして、向きと大きさを合わせて答えます。
2 力積
【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド
この問題のテーマは「力積の定義と向きの考察」です。
問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。
- 力積の定義: 力積は、物体に作用した力と、その力が作用した時間の積で表されるベクトル量である。
- 力積の公式: 力 \(\vec{F}\) を時間 \(\Delta t\) の間加えたときの力積 \(\vec{I}\) は \(\vec{I} = \vec{F}\Delta t\) で与えられる。
- ベクトルとしての力積: 力積は大きさと向きを持つ。その向きは、作用した力の向きと同じである。
- 運動と力の関係: 運動している物体の速度を減少させる(減速させる)ためには、運動の向きと逆向きに力を加える必要がある。
基本的なアプローチは以下の通りです。
- 問題文から、物体に加えられた力 \(F\) の大きさと、力が作用した時間 \(\Delta t\) を読み取る。
- 力積の公式 \(I = F\Delta t\) を用いて、力積の大きさを計算する。
- 物体の運動がどのように変化したか(西向きの運動 → 静止)を分析し、加えられた力の向きを特定する。
- 力積の向きは力の向きと同じであることから、力積の向きを決定し、大きさと合わせて解答する。
思考の道筋とポイント
力積が「ベクトル量」であることを意識することが重要です。したがって、この問題では力積の「大きさ」と「向き」の両方を求めなければなりません。
力積の大きさは、定義式 \(\vec{I} = \vec{F}\Delta t\) から、単純に力の大きさと時間の積を計算することで求められます。
一方、力積の向きは、力の向きと一致します。問題の状況を物理的に考察し、力の向きを特定することが鍵となります。「西向きに運動している物体を静止させる」ためには、どちら向きに力を加えればよいかを考えます。当然、運動を妨げる向き、すなわち運動方向とは逆の「東向き」に力を加える必要があります。これにより、力積の向きも「東向き」であると結論付けられます。
この設問における重要なポイント
- 力積 \(\vec{I}\): 力 \(\vec{F}\) とその力が作用した時間 \(\Delta t\) の積で定義されるベクトル量です。式で表すと \(\vec{I} = \vec{F}\Delta t\) となります。
- 単位: 力積の単位は、力の単位 \([\text{N}]\) と時間の単位 \([\text{s}]\) を掛け合わせた \([\text{N}\cdot\text{s}]\) となります。これは運動量の単位 \([\text{kg}\cdot\text{m/s}]\) と等価です。
- 向き: 力積の向きは、作用した力 \(\vec{F}\) の向きと完全に一致します。
- 物理的意味: 力積は、物体にどれだけの「衝撃」が加えられたかを示す量です。そして、この力積が物体の運動量(運動の勢い)を変化させる原因となります。
- 有効数字: 問題文の数値は「\(10 \, \text{N}\)」(有効数字2桁)、「\(40 \, \text{s}\)」(有効数字2桁)です。したがって、計算結果も有効数字2桁で表すのが適切です。
具体的な解説と立式
物体が受けた力積を \(\vec{I}\)、物体に加えられた力を \(\vec{F}\)、力が作用した時間を \(\Delta t\) とします。
問題文より、各物理量の大きさは以下の通りです。
- 力の大きさ: \(F = 10 \, \text{N}\)
- 作用時間: \(\Delta t = 40 \, \text{s}\)
まず、力積の大きさ \(I\) を求める式を立てます。
$$
I = F\Delta t
$$
次に、力積の向きを考えます。
物体は初め「西向き」に運動していました。この物体に力を加えた結果、「静止」したとあります。これは、物体の西向きの運動が妨げられ、速度がゼロになったことを意味します。
運動している物体の速度を減少させる(減速させる)ためには、その運動の向きとは逆向きに力を加える必要があります。
したがって、加えられた力 \(\vec{F}\) の向きは、運動の向き(西向き)とは逆の「東向き」となります。
力積 \(\vec{I}\) の向きは、定義により力 \(\vec{F}\) の向きと同じであるため、力積の向きも「東向き」であると決定できます。
使用した物理公式
- 力積の定義式: \(\vec{I} = \vec{F}\Delta t\)
- \(\vec{I}\): 力積 \([\text{N}\cdot\text{s}]\)
- \(\vec{F}\): 力 \([\text{N}]\)
- \(\Delta t\): 時間 \([\text{s}]\)
「具体的な解説と立式」で立てた式に、数値を代入して力積の大きさ \(I\) を計算します。
与えられた値は \(F = 10 \, \text{N}\)、\(\Delta t = 40 \, \text{s}\) です。
$$
\begin{aligned}
I &= F\Delta t \\[2.0ex]
&= 10 \times 40 \\[2.0ex]
&= 400 \, \text{N}\cdot\text{s}
\end{aligned}
$$
この計算結果を有効数字2桁で表現するために、指数形式に変換します。
$$
400 = 4.0 \times 10^2
$$
したがって、力積の大きさは \(4.0 \times 10^2 \, \text{N}\cdot\text{s}\) となります。
向きは「東向き」です。
以上をまとめると、求める力積は「東向きに \(4.0 \times 10^2 \, \text{N}\cdot\text{s}\)」となります。
「力積」という言葉は難しく聞こえるかもしれませんが、「どれくらいの強さの力(ちから)を、どれくらいの時間加えたか」という、力と時間のコンビネーションを表す量です。
計算はとてもシンプルで、力の大きさと時間を掛け算するだけです。
この問題では、\(10 \, \text{N}\) の力で \(40 \, \text{s}\) 間加えたので、
$$
10 \times 40 = 400
$$
となり、力積の大きさは \(400 \, \text{N}\cdot\text{s}\) です。
次に「向き」を考えます。西に向かって進んでいるボールを止めることを想像してみてください。ボールを止めるには、進んでくる方向と反対側、つまり東に向かって押し返さなければなりませんよね。この問題の物体も同じで、西向きの運動を止めたということは、「東向き」に力を加えられたということです。
力積の向きは、加えた力の向きと同じなので、「東向き」になります。
最後に、答えの形をテストで点数がもらえるように整えます。\(400\) を \(4.0 \times 10^2\) という書き方にして、向きと大きさを合わせて答えます。
思考の道筋とポイント
物理学には「力積は、運動量の変化に等しい」という非常に重要な法則があります。この法則を使って、力積の向きを別の角度から考えてみましょう。
物体の運動が「どのように変化したか」を分析することで、力積の向きを特定します。
- 初めの運動量 \(\vec{p}_{\text{前}}\) を考えます。物体は西向きに運動しているので、\(\vec{p}_{\text{前}}\) は西向きのベクトルです。
- 後の運動量 \(\vec{p}_{\text{後}}\) を考えます。物体は静止したので、\(\vec{p}_{\text{後}} = \vec{0}\) です。
- 運動量の変化 \(\Delta \vec{p}\) は「後の運動量」から「前の運動量」を引くことで計算します (\(\Delta \vec{p} = \vec{p}_{\text{後}} – \vec{p}_{\text{前}}\))。この \(\Delta \vec{p}\) の向きが、求める力積の向きと一致します。
この設問における重要なポイント
- 力積と運動量の関係: 物体が受けた力積 \(\vec{I}\) は、その物体の運動量の変化 \(\Delta \vec{p}\) に等しい。数式で表すと \(\vec{I} = \Delta \vec{p}\) となります。
- 運動量の変化: \(\Delta \vec{p} = \vec{p}_{\text{後}} – \vec{p}_{\text{前}}\) で計算されます。ここで \(\vec{p}_{\text{前}}\) は力を加える前の運動量、\(\vec{p}_{\text{後}}\) は力を加えた後の運動量です。
- ベクトルの引き算: \(\vec{A} – \vec{B}\) は、\(\vec{A} + (-\vec{B})\) と考えることができます。\(-\vec{B}\) は、\(\vec{B}\) と大きさが同じで向きが正反対のベクトルです。
具体的な解説と立式
物体の初めの運動量を \(\vec{p}_{\text{前}}\)、後の運動量を \(\vec{p}_{\text{後}}\) とします。
- 力を加える前: 物体は西向きに運動していたので、\(\vec{p}_{\text{前}}\) は西向きの大きさを持つベクトルです。
- 力を加えた後: 物体は静止したので、後の運動量はゼロです。つまり \(\vec{p}_{\text{後}} = \vec{0}\)。
力積と運動量の変化の関係式 \(\vec{I} = \Delta \vec{p}\) を用います。
$$
\begin{aligned}
\vec{I} &= \Delta \vec{p} \\[2.0ex]
&= \vec{p}_{\text{後}} – \vec{p}_{\text{前}} \\[2.0ex]
&= \vec{0} – \vec{p}_{\text{前}} \\[2.0ex]
&= -\vec{p}_{\text{前}}
\end{aligned}
$$
この結果 \(\vec{I} = -\vec{p}_{\text{前}}\) が示すことは、力積 \(\vec{I}\) の向きが、初めの運動量 \(\vec{p}_{\text{前}}\) の向きとちょうど逆向きであるということです。
\(\vec{p}_{\text{前}}\) の向きは「西向き」でしたから、その逆向きである「東向き」が力積 \(\vec{I}\) の向きとなります。
このように、運動量の変化を考察することでも、力積が東向きであることが厳密に導かれます。
力積の大きさの計算は、メインの解法と同じです。
使用した物理公式
- 力積と運動量の関係: \(\vec{I} = \Delta \vec{p} = \vec{p}_{\text{後}} – \vec{p}_{\text{前}}\)
- 力積の定義式: \(\vec{I} = \vec{F}\Delta t\)
力積の大きさ \(I\) は、メインの解法と同様に計算します。
$$
\begin{aligned}
I &= F\Delta t \\[2.0ex]
&= 10 \times 40 \\[2.0ex]
&= 400 \, \text{N}\cdot\text{s} \\[2.0ex]
&= 4.0 \times 10^2 \, \text{N}\cdot\text{s}
\end{aligned}
$$
向きは上記の考察から「東向き」です。したがって、求める力積は「東向きに \(4.0 \times 10^2 \, \text{N}\cdot\text{s}\)」となります。
ここでは、少し専門的な「運動量」という考え方を使ってみます。「運動量」は物体の運動の勢いを表す量で、これにも向きがあります。
- 最初、物体は西向きに運動の勢い(運動量)を持っていました。
- 最後、物体は止まったので、運動の勢いはゼロになりました。
物理学で「変化」を考えるときは、必ず「最後」から「最初」を引くというルールがあります。
運動の勢いの変化は、「ゼロ(最後)」から「西向きの勢い(最初)」を引くことになります。
「マイナスの西向き」というのは、つまり「プラスの東向き」ということです。
したがって、運動の勢いの変化は「東向き」だったと分かります。
「力積」と「運動量の変化」は、実は全く同じものなので、力積の向きも「東向き」だと分かるのです。大きさの計算は先ほどと同じです。
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3 力積と運動量の変化
【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド
この問題のテーマは「力積と運動量の変化の関係」です。
問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。
- 力積と運動量の関係: 物体が受けた力積は、その物体の運動量の変化に等しい (\(\vec{I} = \Delta \vec{p}\))。
- 運動量の定義: 運動量は質量と速度の積で表されるベクトル量である (\(\vec{p} = m\vec{v}\))。
- ベクトル量の計算: 一直線上の運動では、座標軸を設定し、向きを正負の符号で表して計算する。
- 運動量の変化の定義: 運動量の変化は、常に「変化後の運動量」から「変化前の運動量」を引いて求める (\(\Delta \vec{p} = \vec{p}_{\text{後}} – \vec{p}_{\text{前}}\))。
基本的なアプローチは以下の通りです。
- 座標軸を設定する(例:右向きを正)。
- ラケットで打つ前と後のボールの速度を、設定した座標軸に従って正負の符号をつけて表す。
- 打つ前と後のボールの運動量を、それぞれ計算する。
- 「後の運動量」から「前の運動量」を引くことで、運動量の変化を計算する。これが求める力積となる。
- 計算結果の符号から、力積の向きを判断し、大きさと合わせて解答する。