「セミナー物理基礎+物理2025」徹底解説!【第 Ⅳ 章 15】基本例題~基本問題369

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基本例題

基本例題49 弦の振動

【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド

【相違点に関する注記】
  1. 提示する別解
    • 設問(3)の別解: 弦を伝わる波の速さの公式を用いる解法
      • 模範解答が波の基本式 \(v=f\lambda\) から速さを求めているのに対し、別解では弦を伝わる波の速さが張力の平方根に比例するという性質(\(v = \sqrt{\frac{S}{\rho}}\))を利用して求めます。
  2. 上記の別解が有益である理由
    • 物理的本質の深化: 波の速さが「媒質の性質(弦の張り具合や重さ)」によって決まることを深く理解できます。
    • 多角的な視点の獲得: 「現象(腹の数)」から計算する方法と、「原因(張力の変化)」から計算する方法の双方を知ることで、物理現象をより立体的に捉えられるようになります。
  3. 結果への影響
    • いずれのアプローチを用いても、最終的に得られる答えは模範解答と完全に一致します。

この問題のテーマは「弦に生じる定常波の性質と物理量の関係」です。弦の振動における波長、振動数、速さの関係を整理し、条件が変わったときに何が変化し、何が保存されるかを見極める力が問われます。

問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。

  1. 波の基本式: 波の速さ \(v\)、振動数 \(f\)、波長 \(\lambda\) の間には、常に \(v = f\lambda\) の関係が成り立ちます。
  2. 定常波の形状: 定常波において、隣り合う節と節(または腹と腹)の間隔は、半波長 \(\frac{\lambda}{2}\) に等しくなります。
  3. 物理量の決定要因:
    • 振動数 \(f\): 波源(この場合はおんさ)によって決まります。波源が変わらなければ一定です。
    • 波の速さ \(v\): 媒質(この場合は弦)の状態によって決まります。弦の線密度(太さ)や張力が変わらなければ一定です。

基本的なアプローチは以下の通りです。

  1. (1)では、問題の図から定常波の形状を読み取り、波長 \(\lambda\) を決定します。その後、波の基本式を用いて振動数 \(f\) を求めます。
  2. (2)では、弦の長さが変わったときに、振動数 \(f\) や波の速さ \(v\) が変化するかどうかを考察し、波長 \(\lambda\) を決定します。その波長と弦の長さの関係から、腹の数を求めます。
  3. (3)では、おもりの質量を変えたことで定常波の形状が変化した点に着目し、新しい波長を求めます。振動数が変わらないことを利用して、新しい波の速さを計算します。

問(1)

思考の道筋とポイント
まず、問題の図を見て定常波の様子を把握します。弦の両端(PとQ)は固定されているとみなせるため、節となります。図にはPQ間に2つの腹が描かれています。定常波の幾何学的な性質(腹と腹の間隔など)を利用して波長を求め、与えられた速さを使って振動数を計算します。

この設問における重要なポイント

  • 定常波の「隣り合う節と節」または「隣り合う腹と腹」の間隔は、半波長 \(\frac{\lambda}{2}\) である。
  • 1波長 \(\lambda\) の中には、腹が2個(節が3個)含まれるパターンが基本単位となる。
  • おんさの振動によって弦が揺らされているため、弦の振動数は波源であるおんさの振動数と等しい。

具体的な解説と立式
図より、PQ間の長さ \(L = 1.0\,\text{m}\) の中に、定常波の腹が2個存在しています。
定常波の腹1個分の長さ(節から節までの距離)は半波長 \(\frac{\lambda}{2}\) なので、これが2個分で弦の長さ \(L\) になっています。
したがって、波長 \(\lambda\) を求める式は以下のようになります。
$$
\begin{aligned}
2 \times \frac{\lambda}{2} &= 1.0
\end{aligned}
$$
また、波の速さ \(v = 4.0 \times 10^2\,\text{m/s}\)、振動数 \(f\)、波長 \(\lambda\) の間には以下の関係(波の基本式)が成り立ちます。
$$
\begin{aligned}
v &= f\lambda
\end{aligned}
$$
これに値を代入して \(f\) を求める式を立てます。
$$
\begin{aligned}
4.0 \times 10^2 &= f \lambda
\end{aligned}
$$

使用した物理公式

  • 定常波の幾何学的関係: \((\text{腹の数}) \times \frac{\lambda}{2} = L\)
  • 波の基本式: \(v = f\lambda\)
計算過程

まず、波長 \(\lambda\) を求めます。
$$
\begin{aligned}
2 \times \frac{\lambda}{2} &= 1.0 \\[2.0ex]
\lambda &= 1.0\,\text{m}
\end{aligned}
$$
次に、求めた \(\lambda = 1.0\) を波の基本式に代入して、振動数 \(f\) を求めます。
$$
\begin{aligned}
4.0 \times 10^2 &= f \times 1.0 \\[2.0ex]
f &= 4.0 \times 10^2\,\text{Hz}
\end{aligned}
$$

この設問の平易な説明

図を見ると、紐(ひも)が2つの膨らみ(腹)を作って揺れています。この「膨らみ1つ分」の長さは、波の長さ(波長)のちょうど半分にあたります。今回は膨らみが2つあるので、ちょうど「膨らみ2つ分 = 波長1つ分」が、紐の長さ \(1.0\,\text{m}\) と同じになっています。つまり、波長は \(1.0\,\text{m}\) です。
波の速さは「1秒間に進む距離」ですが、これは「波の長さ(歩幅)」×「1秒間の振動回数(回転数)」で計算できます。速さと波長がわかったので、逆算して振動数を求めました。

結論と吟味

おんさの振動数は \(f = 4.0 \times 10^2\,\text{Hz}\) です。
一般的に実験で使われるおんさの振動数は数百ヘルツ程度なので、\(400\,\text{Hz}\) という値は物理的に妥当です。

解答 (1) \(4.0 \times 10^2\,\text{Hz}\)

問(2)

思考の道筋とポイント
弦の長さ \(L\) を \(1.0\,\text{m}\) から \(1.5\,\text{m}\) に変えたとき、波の性質を決める他の要素(振動数、速さ、波長)がどうなるかを考えます。「何が変化して、何が変わらないか」を整理することが最重要です。

この設問における重要なポイント

  • 振動数 \(f\): 波源である「おんさ」を変えていないので、変化しません
  • 波の速さ \(v\): 媒質である「弦の種類(線密度)」と「おもり(張力)」を変えていないので、変化しません
  • 波長 \(\lambda\): \(v = f\lambda\) において \(v\) と \(f\) が変わらないため、\(\lambda = \frac{v}{f}\) も変化しません
  • 弦の長さが変わった分だけ、そこに含まれる波(腹)の数が変化します。

具体的な解説と立式
上述の通り、波長 \(\lambda\) は問(1)と同じ値のままです。
$$
\begin{aligned}
\lambda &= 1.0\,\text{m}
\end{aligned}
$$
求める腹の数を \(n\) とします。
定常波の腹1個分の長さは \(\frac{\lambda}{2}\) であり、これが \(n\) 個集まって弦の長さ \(L’ = 1.5\,\text{m}\) になっています。
したがって、以下の関係式が成り立ちます。
$$
\begin{aligned}
n \times \frac{\lambda}{2} &= 1.5
\end{aligned}
$$

使用した物理公式

  • 定常波の幾何学的関係: \((\text{腹の数}) \times \frac{\lambda}{2} = L\)
計算過程

\(\lambda = 1.0\) を代入して \(n\) を求めます。
$$
\begin{aligned}
n \times \frac{1.0}{2} &= 1.5 \\[2.0ex]
0.50 n &= 1.5 \\[2.0ex]
n &= \frac{1.5}{0.50} \\[2.0ex]
n &= 3
\end{aligned}
$$

この設問の平易な説明

おんさも、紐を引っ張るおもりも変えていないので、紐を伝わる波のリズム(振動数)もスピード(速さ)も変わりません。ということは、波の歩幅(波長)も \(1.0\,\text{m}\) のままです。
波の膨らみ(腹)1つ分の長さは、波長の半分の \(0.5\,\text{m}\) です。紐の長さを \(1.5\,\text{m}\) に伸ばしたとき、この \(0.5\,\text{m}\) の膨らみがいくつ入るかを計算すればよいのです。割り算をすると、ちょうど3つ入ることがわかります。

結論と吟味

波長は \(1.0\,\text{m}\)、腹の数は \(3\) 個です。
長さが \(1.0\,\text{m}\) から \(1.5\,\text{m}\) へと \(1.5\) 倍になったので、同じ波長の波であれば腹の数も \(2\) 個から \(3\) 個へと \(1.5\) 倍になるのは直感的に正しい結果です。

解答 (2) 波長: \(1.0\,\text{m}\), 腹の数: \(3\) 個

問(3)

思考の道筋とポイント
おもりの質量を変えると、弦を引っ張る力(張力)が変わり、その結果として波の速さが変わります。しかし、おんさは変えていないので、振動数 \(f\) は一定のままです。
「腹が1つの定常波ができた」という情報から新しい波長を求め、不変である振動数 \(f\) を用いて、新しい波の速さを計算します。

この設問における重要なポイント

  • 振動数 \(f\): おんさは変わらないので、(1)で求めた値 \(4.0 \times 10^2\,\text{Hz}\) のまま一定である。
  • 波長 \(\lambda’\): 「腹が1つ」という条件と、弦の長さ \(L=1.0\,\text{m}\) から幾何学的に決定される。
  • 波の速さ \(v’\): 張力が変わったため変化する。\(v’ = f\lambda’\) から求める。

具体的な解説と立式
まず、新しい波長 \(\lambda’\) を求めます。
弦の長さ \(L=1.0\,\text{m}\) の中に腹が1つできているので、半波長が1つ分だけ存在します。
$$
\begin{aligned}
1 \times \frac{\lambda’}{2} &= 1.0
\end{aligned}
$$
次に、新しい波の速さ \(v’\) を求めます。
振動数は変わらず \(f = 4.0 \times 10^2\,\text{Hz}\) なので、波の基本式より、
$$
\begin{aligned}
v’ &= f \lambda’
\end{aligned}
$$

使用した物理公式

  • 定常波の幾何学的関係: \((\text{腹の数}) \times \frac{\lambda}{2} = L\)
  • 波の基本式: \(v = f\lambda\)
計算過程

まず、波長 \(\lambda’\) を計算します。
$$
\begin{aligned}
\frac{\lambda’}{2} &= 1.0 \\[2.0ex]
\lambda’ &= 2.0\,\text{m}
\end{aligned}
$$
次に、速さ \(v’\) を計算します。
$$
\begin{aligned}
v’ &= (4.0 \times 10^2) \times 2.0 \\[2.0ex]
&= 8.0 \times 10^2\,\text{m/s}
\end{aligned}
$$

この設問の平易な説明

おもりを重くして紐を強く引っ張ると、波が伝わるスピードが速くなります。その結果、波長(歩幅)が長くなりました。
問題文には「腹が1つになった」とあります。これは、紐の長さ \(1.0\,\text{m}\) がちょうど「膨らみ1つ分(半波長)」になったことを意味します。つまり、1波長は \(2.0\,\text{m}\) です。
おんさの振動数(1秒間の振動回数)は \(400\,\text{Hz}\) のままなので、速さは「\(400\,\text{回} \times 2.0\,\text{m/歩} = 800\,\text{m/s}\)」となります。

結論と吟味

波の速さは \(8.0 \times 10^2\,\text{m/s}\) です。
おもりを重くして張力を強くすると、弦の復元力が強まり、波の伝わる速さは速くなるはずです。元の速さ \(4.0 \times 10^2\,\text{m/s}\) よりも大きくなっているため、定性的にも妥当です。

解答 (3) \(8.0 \times 10^2\,\text{m/s}\)
別解: 弦を伝わる波の速さの公式を用いる解法

思考の道筋とポイント
弦を伝わる波の速さ \(v\) は、弦の張力 \(S\) と線密度(1mあたりの質量)\(\rho\) によって決まり、\(v = \sqrt{\frac{S}{\rho}}\) という関係があります。この公式を利用して、張力が変化したときの速さの変化倍率から直接答えを導きます。

この設問における重要なポイント

  • 弦を伝わる波の速さの公式: \(v = \sqrt{\frac{S}{\rho}}\)
  • おもりの質量を4倍にすると、弦にかかる張力 \(S\) も4倍になる。
  • 線密度 \(\rho\) は弦を変えていないので一定である。

具体的な解説と立式
元のおもりの質量を \(m\)、重力加速度の大きさを \(g\) とすると、元の張力は \(S = mg\) です。
このときの波の速さ \(v\) は以下のようになります。
$$
\begin{aligned}
v &= \sqrt{\frac{mg}{\rho}} = 4.0 \times 10^2
\end{aligned}
$$
おもりの質量を4倍(\(4m\))にしたときの張力 \(S’\) は \(4mg\) となります。
求める新しい波の速さ \(v’\) は以下の式で表されます。
$$
\begin{aligned}
v’ &= \sqrt{\frac{4mg}{\rho}}
\end{aligned}
$$

使用した物理公式

  • 弦を伝わる波の速さ: \(v = \sqrt{\frac{S}{\rho}}\)
計算過程

\(v’\) の式を変形して、\(v\) との関係を見つけます。
$$
\begin{aligned}
v’ &= \sqrt{\frac{4mg}{\rho}} \\[2.0ex]
&= \sqrt{4 \times \frac{mg}{\rho}} \\[2.0ex]
&= \sqrt{4} \times \sqrt{\frac{mg}{\rho}} \\[2.0ex]
&= 2 \times v
\end{aligned}
$$
これに元の速さ \(v = 4.0 \times 10^2\) を代入します。
$$
\begin{aligned}
v’ &= 2 \times (4.0 \times 10^2) \\[2.0ex]
&= 8.0 \times 10^2\,\text{m/s}
\end{aligned}
$$

この設問の平易な説明

弦を伝わる波の速さには、「引っ張る力(張力)のルートに比例する」という性質があります。
今回、おもりの重さを4倍にしたので、引っ張る力も4倍になりました。
ルート4は2なので、波の速さは元の2倍になります。
元の速さが \(400\,\text{m/s}\) だったので、その2倍の \(800\,\text{m/s}\) が答えです。

結論と吟味

主たる解法と同じ結果 \(8.0 \times 10^2\,\text{m/s}\) が得られました。
「腹が1つになった」という情報を使わずに、張力の変化だけで速さを求められるこの方法は、問題の条件間の整合性を確認する(検算する)上でも非常に有効です。

解答 (3) \(8.0 \times 10^2\,\text{m/s}\)

【総まとめ】この一問を未来の得点力へ!完全マスター講座

最重要ポイント:この問題の核心となる物理法則は?
  • 波の基本式 \(v=f\lambda\) の絶対性
    • 核心: 波動分野において最も基本的かつ強力なツールです。波の速さ \(v\)、振動数 \(f\)、波長 \(\lambda\) の3つの物理量は、どのような波であっても常にこの関係式で結ばれています。
    • 理解のポイント: この式は単なる計算式ではなく、「1秒間に波源が \(f\) 回振動し、1回の振動で波が \(\lambda\) だけ進むので、トータルで1秒間に \(f\lambda\) 進む(これが速さ \(v\))」という物理的な定義そのものを表しています。
  • 定常波の幾何学的条件
    • 核心: 定常波の問題は、結局のところ「弦の長さ \(L\) の中に、半波長 \(\frac{\lambda}{2}\) の塊(腹)がいくつ入るか」という幾何学的なパズルに帰着します。
    • 理解のポイント:
      • 両端の条件: 弦の両端が固定されている場合、両端は必ず「節」になります。
      • 腹の長さ: 隣り合う節と節(腹1個分)の距離は、常に \(\frac{\lambda}{2}\) です。
      • 量子化条件: 弦の長さ \(L\) は、半波長の整数倍でなければなりません(\(L = n \cdot \frac{\lambda}{2}\))。これが、特定の振動数でしか定常波ができない(共振・共鳴)理由です。
  • 物理量の決定要因(何が何を決めるか)
    • 核心: \(v, f, \lambda\) のうち、どれが変化し、どれが保存されるかを判断する基準です。
    • 理解のポイント:
      • 振動数 \(f\): 波源(おんさ)が支配します。波源が変わらなければ、媒質が変わっても \(f\) は一定です。
      • 波の速さ \(v\): 媒質(弦の線密度と張力)が支配します。弦を張り替えたり、張力を変えたりしない限り、\(v\) は一定です。
      • 波長 \(\lambda\): \(f\) と \(v\) の結果として、\(\lambda = \frac{v}{f}\) で受動的に決まります。
応用テクニック:似た問題が出たらココを見る!解法の鍵と着眼点
  • 応用できる類似問題のパターン:
    • 気柱の共鳴(閉管・開管): 弦の振動と全く同じロジックで解けます。「閉口端=節」「開口端=腹」という境界条件の違いさえ押さえれば、あとは \(L\) の中に \(\frac{\lambda}{4}\) や \(\frac{\lambda}{2}\) がいくつ入るかを数えるだけです。
    • 弦の固有振動の実験: 振動数を変えていく問題や、弦の長さを変えていく問題。いずれも「定常波ができる=共振条件を満たす」瞬間を捉える問題です。
  • 初見の問題での着眼点:
    1. まずは図を描く: 問題文の情報を元に、弦や気柱の中に波形(サインカーブ)を描き込みます。「節」と「腹」の位置を明確にすることが第一歩です。
    2. 「変わらないもの」を探す:
      • 「おんさを変えない」 \(\rightarrow\) 振動数 \(f\) が一定。
      • 「弦とおもりを変えない」 \(\rightarrow\) 波の速さ \(v\) が一定。
      • この判断が、後の計算の土台になります。
    3. 幾何学的条件を式にする: 図から「長さ \(L\) = (半波長) \(\times\) (個数)」という式を立て、そこから波長 \(\lambda\) を逆算します。
要注意!ありがちなミス・誤解とその対策
  • 波長と弦の長さの混同
    • 誤解: 弦の長さ \(L\) がそのまま波長 \(\lambda\) だと思い込んでしまう(\(\lambda = 1.0\,\text{m}\) の弦なら常に \(\lambda = 1.0\,\text{m}\) と考えるなど)。
    • 対策: 必ず図を描いて確認しましょう。「波長 \(\lambda\)」は「波1つ分(山1つ+谷1つ)の長さ」です。弦の長さ \(L\) の中に波がいくつ入っているかを確認し、\(L = \frac{\lambda}{2} \times n\) の式から \(\lambda\) を導出する癖をつけてください。
  • 変化する物理量の判断ミス
    • 誤解: (3)のように張力を変えたとき、「おんさが同じだから波長も同じだろう」とか、「弦が同じだから速さも同じだろう」と誤った推測をしてしまう。
    • 対策: 「\(f\) は波源、\(v\) は媒質」という大原則を呪文のように唱えましょう。張力が変われば媒質の性質が変わるので \(v\) が変わり、\(f\) が一定なら結果として \(\lambda\) も変わる、という論理連鎖を意識します。
  • 腹の数と節の数の数え間違い
    • 誤解: 「腹が2個」と言われたときに、節の数を2個として計算してしまう。
    • 対策: 両端が固定端(節)の場合、腹が \(n\) 個なら、節は \(n+1\) 個あります。簡単な図(例えば腹が1つの図)を端に描いて、関係性を再確認するとミスが防げます。
なぜその公式?論理的な公式選択と適用の思考法
  • 幾何学的関係式 \(L = n \cdot \frac{\lambda}{2}\) の選択
    • 選定理由: 問題文や図から得られる情報は「弦の長さ」と「腹の数(波の形)」です。これらを結びつけて、物理量である「波長 \(\lambda\)」を抽出するための翻訳機として、この関係式が必要です。
    • 適用根拠: 定常波において、腹と腹(または節と節)の間隔が半波長であることは普遍的な事実だからです。
  • 波の基本式 \(v = f\lambda\) の選択
    • 選定理由: (1)では \(\lambda\) と \(v\) から \(f\) を、(3)では \(f\) と \(\lambda\) から \(v\) を求めています。これら3つの変数のうち2つが既知で残り1つを知りたい場合、この式を使う以外に方法はありません。
    • 適用根拠: 波動現象におけるエネルギー伝播や位相の変化を記述する最も基礎的な定義式だからです。
  • 弦を伝わる波の速さ \(v = \sqrt{\frac{S}{\rho}}\) の選択(別解)
    • 選定理由: (3)において、「おもりの質量(張力 \(S\))」という「原因」の変化から、直接的に「速さ \(v\)」という「結果」の変化を導きたい場合に有効です。
    • 適用根拠: 弦の微小部分の運動方程式を解くことで導かれる物理法則であり、張力と線密度のみに依存して速さが決まることを保証しているからです。
計算ミスをなくす!日頃の意識と実践テクニック
  • 指数の取り扱いに注意
    • \(4.0 \times 10^2\) のような指数表記が出てきたとき、計算の途中で \(10^2\) を書き忘れたり、最後に付け忘れたりするミスが多発します。常に \(A \times 10^n\) の形を崩さずに計算するか、あるいは \(400\) のように一度普通の数に戻して計算し、最後に指数表記に戻すなど、自分なりのルールを決めましょう。
  • 分数の処理を丁寧に行う
    • \(n \times \frac{\lambda}{2} = L\) から \(\lambda\) や \(n\) を求めるとき、移項や分数の逆数を掛ける操作でミスが起きやすいです。
    • 例えば \(n = \frac{L}{\lambda/2} = \frac{2L}{\lambda}\) のように、文字式の段階で整理してから数値を代入すると、計算ミスが減ります。
  • 物理的な妥当性の吟味(フェルミ推定的な感覚)
    • 計算結果が出たら、一瞬立ち止まって考えます。「音速は空気中で約 \(340\,\text{m/s}\)。弦を伝わる波も同程度のオーダー(数百 \(\text{m/s}\))になるはず」「おんさの振動数は数百 \(\text{Hz}\) が普通」といった感覚を持っておくと、もし答えが \(4.0 \times 10^5\,\text{Hz}\)(超音波レベル)や \(0.4\,\text{m/s}\)(カメの歩み)になったときに、「何かおかしい」と気づけます。

基本例題50 気柱の共鳴

【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド

【相違点に関する注記】
  1. 提示する別解
    • 設問(2)(3)の別解: 共鳴条件の連立方程式による解法
      • 模範解答は、共鳴点の間隔から波長を求め、その後に開口端補正を計算するという順序で解いています。
      • 別解では、1回目の共鳴と2回目の共鳴それぞれの条件式(\(L_1 + \Delta x = \frac{\lambda}{4}\) など)を最初に立て、これらを連立方程式として解くことで、波長 \(\lambda\) と開口端補正 \(\Delta x\) を体系的に導出します。
  2. 上記の別解が有益である理由
    • 物理的構造の理解: 「気柱の長さ+補正分 = 波長の分数倍」という物理的な境界条件を数式モデル化する力が養われます。
    • 汎用性の高さ: 共鳴の次数(何倍振動か)が不明な場合や、より複雑な設定の問題にも対応できる一般的な手法です。
  3. 結果への影響
    • いずれのアプローチを用いても、最終的に得られる答えは模範解答と完全に一致します。

この問題のテーマは「気柱の共鳴(閉管)」です。水面を上下させることで気柱の長さを変化させ、定常波ができる条件(共鳴条件)を探る実験を扱います。特に「開口端補正」の存在を考慮することがポイントです。

問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。

  1. 閉管の境界条件: 閉口端(水面)は空気が動けないため、定常波の「節」になります。一方、開口端(管口)付近は空気が自由に動けるため「腹」になります。
  2. 開口端補正: 定常波の腹の位置は、管口ぴったりではなく、少し外側に飛び出しています。この飛び出した距離 \(\Delta x\) を開口端補正と呼びます。
  3. 共鳴の間隔: 閉管において、水面を下げていくと定常波の節が1つずつ増えていきます。隣り合う節と節の間隔は半波長 \(\frac{\lambda}{2}\) なので、共鳴点の間隔も \(\frac{\lambda}{2}\) となります。

基本的なアプローチは以下の通りです。

  1. (1)では、1回目と2回目の共鳴位置の差が半波長 \(\frac{\lambda}{2}\) に相当することを利用して、次の共鳴位置を予測します。
  2. (2)では、(1)で求めた半波長から波長 \(\lambda\) を確定し、波の基本式 \(V=f\lambda\) を用いて音速を計算します。
  3. (3)では、1回目の共鳴が基本振動(気柱の長さ+補正 = \(\frac{\lambda}{4}\))であることを利用して、開口端補正 \(\Delta x\) を逆算します。

問(1)

思考の道筋とポイント
水面を下げていくと、気柱の中にできる定常波の形が変化します。1回目の共鳴 \(L_1\) から2回目の共鳴 \(L_2\) に移るとき、気柱内には「節と腹のセット(半波長分)」が1つ追加されます。つまり、共鳴点の間隔は常に半波長 \(\frac{\lambda}{2}\) に等しくなります。この規則性を使って、3回目の共鳴点 \(L_3\) を求めます。

この設問における重要なポイント

  • 隣り合う共鳴点の距離の差は、半波長 \(\frac{\lambda}{2}\) である。
  • 開口端補正 \(\Delta x\) の値がわからなくても、差をとることで \(\Delta x\) を消去し、波長の情報だけを取り出せる。

具体的な解説と立式
2回目の共鳴位置 \(L_2\) と1回目の共鳴位置 \(L_1\) の差が、半波長 \(\frac{\lambda}{2}\) に等しくなります。
$$
\begin{aligned}
\frac{\lambda}{2} &= L_2 – L_1
\end{aligned}
$$
3回目の共鳴位置 \(L_3\) は、\(L_2\) からさらに半波長 \(\frac{\lambda}{2}\) だけ下がった位置になります。
$$
\begin{aligned}
L_3 &= L_2 + \frac{\lambda}{2}
\end{aligned}
$$

使用した物理公式

  • 共鳴点の間隔: \(\Delta L = \frac{\lambda}{2}\)
計算過程

まず、半波長 \(\frac{\lambda}{2}\) の値を計算します。
$$
\begin{aligned}
\frac{\lambda}{2} &= 50.2 – 16.4 \\[2.0ex]
&= 33.8\,\text{cm}
\end{aligned}
$$
この値を \(L_2\) に足して \(L_3\) を求めます。
$$
\begin{aligned}
L_3 &= 50.2 + 33.8 \\[2.0ex]
&= 84.0\,\text{cm}
\end{aligned}
$$

この設問の平易な説明

コップのような筒に息を吹き込むと音が鳴るのと同じで、水面を下げて筒を長くしていくと、特定の長さで音が大きく響きます(共鳴)。
この「響く長さ」はバラバラに現れるのではなく、一定のリズムで現れます。具体的には、波の長さの半分(半波長)ずつ筒を長くするたびに共鳴します。
今回は \(16.4\,\text{cm}\) と \(50.2\,\text{cm}\) で鳴ったので、その差 \(33.8\,\text{cm}\) がこの「リズム(半波長)」です。次は \(50.2\,\text{cm}\) からさらに \(33.8\,\text{cm}\) 下げたところで鳴るはずです。

結論と吟味

次の共鳴点は \(84.0\,\text{cm}\) です。
値は \(L_2\) よりも大きく、差分も一定であるため妥当です。

解答 (1) \(84.0\,\text{cm}\)

問(2)

思考の道筋とポイント
(1)で半波長 \(\frac{\lambda}{2}\) の値がわかったので、そこから波長 \(\lambda\) を求めます。おんさの振動数 \(f\) は与えられているので、波の基本式 \(V=f\lambda\) を使って音速 \(V\) を計算します。単位を \(\text{cm}\) から \(\text{m}\) に直すことを忘れないようにしましょう。

この設問における重要なポイント

  • 波長 \(\lambda\) は、共鳴点の間隔の2倍である。
  • 音速を求める際は、単位を \(\text{m/s}\) に合わせるため、波長を \(\text{m}\) 単位に換算する。

具体的な解説と立式
(1)より、半波長は \(33.8\,\text{cm}\) です。したがって波長 \(\lambda\) は以下のようになります。
$$
\begin{aligned}
\lambda &= 2 \times 33.8
\end{aligned}
$$
音速 \(V\) は、振動数 \(f=500\,\text{Hz}\) と波長 \(\lambda\) を用いて表されます。
$$
\begin{aligned}
V &= f\lambda
\end{aligned}
$$

使用した物理公式

  • 波の基本式: \(V = f\lambda\)
計算過程

まず波長を計算し、単位をメートルに変換します。
$$
\begin{aligned}
\lambda &= 67.6\,\text{cm} \\[2.0ex]
&= 0.676\,\text{m}
\end{aligned}
$$
これを波の基本式に代入して音速を求めます。
$$
\begin{aligned}
V &= 500 \times 0.676 \\[2.0ex]
&= 338\,\text{m/s}
\end{aligned}
$$

この設問の平易な説明

(1)で求めた「リズム(半波長)」は \(33.8\,\text{cm}\) でした。波1つ分の長さ(波長)はその2倍なので \(67.6\,\text{cm}\)、つまり \(0.676\,\text{m}\) です。
音の速さは「1秒間に進む距離」ですが、これは「波の歩幅(波長)」×「1秒間の足踏み回数(振動数)」で計算できます。
\(0.676\,\text{m}\) の歩幅で、1秒間に \(500\) 回進むので、掛け算をして速さを求めます。

結論と吟味

音の速さは \(338\,\text{m/s}\) です。
空気中の音速は気温 \(15^\circ\text{C}\) 程度で約 \(340\,\text{m/s}\) なので、非常に妥当な値です。

解答 (2) \(338\,\text{m/s}\)

問(3)

思考の道筋とポイント
開口端補正 \(\Delta x\) を求めるには、1回目の共鳴(基本振動)の状態に着目します。
基本振動では、気柱の長さ \(L_1\) と開口端補正 \(\Delta x\) の和が、ちょうど \(\frac{1}{4}\) 波長に等しくなります。この関係式に、既知の \(L_1\) と \(\lambda\) を代入して \(\Delta x\) を求めます。

この設問における重要なポイント

  • 定常波の腹は、管口よりも \(\Delta x\) だけ外側にある。
  • したがって、定常波の実質的な長さは \(L_1 + \Delta x\) となる。
  • 1回目の共鳴(基本振動)では、この長さが \(\frac{\lambda}{4}\) に等しい。

具体的な解説と立式
1回目の共鳴において、管口から水面までの距離 \(L_1\) と開口端補正 \(\Delta x\) の和が、\(\frac{1}{4}\) 波長となります。
$$
\begin{aligned}
L_1 + \Delta x &= \frac{\lambda}{4}
\end{aligned}
$$
この式を変形して \(\Delta x\) を求める式にします。
$$
\begin{aligned}
\Delta x &= \frac{\lambda}{4} – L_1
\end{aligned}
$$

使用した物理公式

  • 閉管の基本振動条件: \(L + \Delta x = \frac{\lambda}{4}\)
計算過程

\(\lambda = 67.6\,\text{cm}\)、\(L_1 = 16.4\,\text{cm}\) を代入して計算します。
$$
\begin{aligned}
\Delta x &= \frac{67.6}{4} – 16.4 \\[2.0ex]
&= 16.9 – 16.4 \\[2.0ex]
&= 0.5\,\text{cm}
\end{aligned}
$$

この設問の平易な説明

音の波は、筒の出口ぴったりで折り返すのではなく、少しだけ外側にはみ出してから折り返します。この「はみ出し分」を開口端補正といいます。
一番短い共鳴(基本振動)のとき、波の形はちょうど「波長の4分の1」になります。
計算してみると、「波長の4分の1」は \(16.9\,\text{cm}\) ですが、実際の筒の長さは \(16.4\,\text{cm}\) しかありません。この差の \(0.5\,\text{cm}\) が、外側にはみ出している部分(開口端補正)です。

結論と吟味

開口端補正は \(0.5\,\text{cm}\) です。
一般に開口端補正は管の半径の0.6倍程度と言われており、数mm〜1cm程度の値になることが多いため、\(0.5\,\text{cm}\) は物理的に妥当な値です。

解答 (3) \(0.5\,\text{cm}\)
別解: 共鳴条件の連立方程式による解法

思考の道筋とポイント
1回目と2回目の共鳴条件をそれぞれ数式化し、連立方程式として解く方法です。
この方法では、波長 \(\lambda\) と開口端補正 \(\Delta x\) を同時に未知数として扱い、数学的に厳密に導出します。どの共鳴が何倍振動か(基本振動か3倍振動か)を仮定せずに立式できる点が強みです。

この設問における重要なポイント

  • 1回目の共鳴(基本振動): 気柱の長さ \(L_1 + \Delta x\) が \(\frac{\lambda}{4}\) の奇数倍(ここでは1倍)。
  • 2回目の共鳴(3倍振動): 気柱の長さ \(L_2 + \Delta x\) が \(\frac{\lambda}{4}\) の次の奇数倍(ここでは3倍)。

具体的な解説と立式
1回目の共鳴条件(基本振動):
$$
\begin{aligned}
L_1 + \Delta x &= \frac{\lambda}{4} \quad \cdots ①
\end{aligned}
$$
2回目の共鳴条件(3倍振動):
$$
\begin{aligned}
L_2 + \Delta x &= \frac{3\lambda}{4} \quad \cdots ②
\end{aligned}
$$
この2つの式を連立して、\(\lambda\) と \(\Delta x\) を求めます。

使用した物理公式

  • 閉管の共鳴条件: \(L + \Delta x = \frac{2n-1}{4}\lambda\)
計算過程

まず、式②から式①を引いて \(\Delta x\) を消去し、\(\lambda\) を求めます。
$$
\begin{aligned}
(L_2 + \Delta x) – (L_1 + \Delta x) &= \frac{3\lambda}{4} – \frac{\lambda}{4} \\[2.0ex]
L_2 – L_1 &= \frac{2\lambda}{4} \\[2.0ex]
L_2 – L_1 &= \frac{\lambda}{2}
\end{aligned}
$$
これは問(1)で使った「差が半波長」という式と同じになります。値を代入して、
$$
\begin{aligned}
50.2 – 16.4 &= \frac{\lambda}{2} \\[2.0ex]
33.8 &= \frac{\lambda}{2} \\[2.0ex]
\lambda &= 67.6\,\text{cm}
\end{aligned}
$$
次に、求めた \(\lambda\) を式①に代入して \(\Delta x\) を求めます。
$$
\begin{aligned}
16.4 + \Delta x &= \frac{67.6}{4} \\[2.0ex]
16.4 + \Delta x &= 16.9 \\[2.0ex]
\Delta x &= 16.9 – 16.4 \\[2.0ex]
\Delta x &= 0.5\,\text{cm}
\end{aligned}
$$

この設問の平易な説明

「1回目の共鳴」と「2回目の共鳴」という2つの事実を、それぞれ数式に翻訳します。
「筒の長さ+はみ出し分 = 波長の1/4」
「筒の長さ+はみ出し分 = 波長の3/4」
この2つの式を見比べると、未知数(知りたい値)が「波長」と「はみ出し分」の2つある連立方程式になっています。これを解けば、両方の値を一気に求めることができます。

結論と吟味

波長 \(\lambda = 67.6\,\text{cm}\)、開口端補正 \(\Delta x = 0.5\,\text{cm}\) が得られました。
これらは主たる解法の結果と完全に一致します。

解答 (2) \(338\,\text{m/s}\), (3) \(0.5\,\text{cm}\)

【総まとめ】この一問を未来の得点力へ!完全マスター講座

最重要ポイント:この問題の核心となる物理法則は?
  • 閉管における定常波の境界条件
    • 核心: 閉管の共鳴現象を理解する上で最も重要なのは、「閉口端(壁や水面)は必ず節になり、開口端(管口)付近は必ず腹になる」という境界条件です。
    • 理解のポイント:
      • 閉口端(節): 空気の分子が壁にぶつかって動けないため、変位がゼロ(節)になります。
      • 開口端(腹): 空気が自由に振動できるため、変位が最大(腹)になります。ただし、厳密には管口よりも少し外側(開口端補正 \(\Delta x\))が腹の位置になります。
  • 共鳴点の間隔と半波長の関係
    • 核心: 水面を下げていくと、定常波の節が1つずつ増えていきます。隣り合う節と節の間隔は常に半波長 \(\frac{\lambda}{2}\) であるため、共鳴点の間隔 \(\Delta L\) も常に \(\frac{\lambda}{2}\) になります。
    • 理解のポイント: この性質は開口端補正 \(\Delta x\) の値に依存しません。したがって、\(\Delta x\) が未知であっても、2つの共鳴点の位置の差をとることで、純粋に波長 \(\lambda\) の情報だけを抽出することができます。
応用テクニック:似た問題が出たらココを見る!解法の鍵と着眼点
  • 応用できる類似問題のパターン:
    • 開管の共鳴: 両端が開いている管の場合、「両端が腹」になります。この場合も、共鳴点の間隔は \(\frac{\lambda}{2}\) ですが、基本振動の長さが \(\frac{\lambda}{2}\) になる点が閉管(\(\frac{\lambda}{4}\))と異なります。
    • クントの実験: 棒の振動によって気柱を共鳴させる実験です。音源がスピーカーやおんさではなく振動する棒になりますが、「気柱の共鳴条件」自体は全く同じロジックで解けます。
    • 管口付近での共鳴(開口端補正の変化): 管の太さが変わると開口端補正の大きさも変わります。問題文に「管の直径を無視できない」といった記述がある場合は、開口端補正を考慮する必要があります。
  • 初見の問題での着眼点:
    1. 境界条件の確認: 管の端が「閉じている(節)」か「開いている(腹)」かを確認し、定常波の概形を描きます。
    2. 開口端補正の有無: 問題文に「開口端補正を無視する」とあれば \(\Delta x = 0\) とし、そうでなければ \(\Delta x\) を未知数として扱います。
    3. 差をとる発想: 複数の共鳴点が与えられたら、迷わずその差をとります。\(L_{n+1} – L_n = \frac{\lambda}{2}\) という関係式は、開口端補正を消去できる最強の武器です。
要注意!ありがちなミス・誤解とその対策
  • 基本振動の誤認
    • 誤解: 閉管の基本振動(一番短い共鳴)の長さを、\(\frac{\lambda}{2}\) や \(\lambda\) と勘違いしてしまう。
    • 対策: 必ず図を描きましょう。「片方が節、もう片方が腹」という条件を満たす最短の波形を描けば、それが波長の \(\frac{1}{4}\) であることは一目瞭然です。
  • 開口端補正の符号ミス
    • 誤解: \(L = \frac{\lambda}{4} + \Delta x\) のように、補正項の足し引きを逆にしてしまう。
    • 対策: 「実際の管の長さ \(L\) に、はみ出し分 \(\Delta x\) を足したものが、波の長さ(\(\frac{\lambda}{4}\) など)になる」という物理的なイメージを持ちましょう。式で覚えるのではなく、図形的な足し算として理解するのがコツです。
  • 単位換算の忘れ
    • 誤解: 長さが \(\text{cm}\) で与えられているのに、音速の計算(\(\text{m/s}\))でそのまま使ってしまう。
    • 対策: 音速 \(V=f\lambda\) の計算をする直前に、「波長 \(\lambda\) の単位はメートルになっているか?」と自問するチェックポイントを設けましょう。\(34000\,\text{m/s}\) のような異常な値が出たら、単位ミスを疑ってください。
なぜその公式?論理的な公式選択と適用の思考法
  • 差分による波長導出 \(L_2 – L_1 = \frac{\lambda}{2}\) の選択
    • 選定理由: 開口端補正 \(\Delta x\) が未知の状態で、波長 \(\lambda\) を単独で決定できる唯一の方法だからです。
    • 適用根拠: 定常波の節の間隔が普遍的に \(\frac{\lambda}{2}\) であるという物理法則に基づいています。
  • 基本振動条件 \(L_1 + \Delta x = \frac{\lambda}{4}\) の選択
    • 選定理由: 波長 \(\lambda\) が求まった後で、残る未知数 \(\Delta x\) を求めるために必要だからです。
    • 適用根拠: 1回目の共鳴が基本振動(\(\frac{1}{4}\) 波長モード)であることは、問題の設定(水面を上端から下げていって最初に鳴った)から明らかだからです。
  • 連立方程式による解法(別解)の選択
    • 選定理由: 「1回目が基本振動かどうかわからない」といった、より一般的な状況や、複数の未知数を同時に処理したい場合に有効だからです。
    • 適用根拠: 各共鳴状態における物理的条件(長さと波長の関係)をそのまま数式化したものであり、数学的に最も堅牢なアプローチだからです。
計算ミスをなくす!日頃の意識と実践テクニック
  • 図を描いて長さを確認する
    • 式だけで処理しようとせず、管の絵を描いて、\(L_1\)、\(L_2\)、\(\Delta x\)、\(\lambda\) の関係を矢印で書き込みましょう。視覚的な情報は計算ミスを劇的に減らします。
  • 引き算の検算
    • \(L_2 – L_1 = 50.2 – 16.4 = 33.8\) のような引き算は、逆に足し算 \(16.4 + 33.8 = 50.2\) をして元の値に戻るか確認すると確実です。
  • オーダー(桁数)の確認
    • 開口端補正 \(\Delta x\) は通常、管の長さ \(L\) に比べて非常に小さい値(数 \(\text{mm}\) 〜 \(1\,\text{cm}\) 程度)になります。もし計算結果が \(10\,\text{cm}\) やマイナスの値になったら、どこかで立式や計算を間違えている可能性が高いです。

基本例題51 音源と観測者が動く場合のドップラー効果

【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド

【相違点に関する注記】
  1. 提示する別解
    • 物理的意味に基づいた段階的な解法
      • 模範解答はドップラー効果の公式に数値を代入して一発で求めていますが、別解では「音源の運動による波長の変化」と「観測者の運動による相対的な音速の変化」を順を追って計算し、物理現象のプロセスを解き明かします。
  2. 上記の別解が有益である理由
    • 公式のブラックボックス化防止: 公式の符号(プラスかマイナスか)で迷ったときに、現象に立ち返って正しい式を導き出す力が身につきます。
    • 現象の理解: 「音源が逃げるから波長が伸びる」「観測者が音に向かっていくから頻繁に波を受け取る」といった定性的な理解と計算が結びつきます。
  3. 結果への影響
    • いずれのアプローチを用いても、最終的に得られる答えは模範解答と完全に一致します。

この問題のテーマは「音源と観測者がともに動く場合のドップラー効果」です。公式を正しく適用できるか、特に「速度の符号」を正しく設定できるかが問われます。

問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。

  1. ドップラー効果の公式: 音速を \(V\)、音源の速度を \(v_S\)、観測者の速度を \(v_O\)、元の振動数を \(f\) とすると、観測される振動数 \(f’\) は以下の式で表されます。
    $$ f’ = \frac{V – v_O}{V – v_S}f $$
  2. 正の向きの設定: この公式を使う際、最も重要なルールは「音源から観測者に向かう向きを正とする」ことです。

基本的なアプローチは以下の通りです。

  1. まず、図を見て音源(トラック)と観測者(乗用車)の位置関係を確認し、音が伝わる方向(音源 \(\rightarrow\) 観測者)を特定します。この向きを「正の向き」と定めます。
  2. 次に、音源と観測者の速度が、定めた「正の向き」に対して同じ向きか逆向きかを判断し、符号(プラスかマイナスか)を決定します。
  3. 最後に、決定した符号付きの速度をドップラー効果の公式に代入して計算します。

音源と観測者が動く場合のドップラー効果

思考の道筋とポイント
公式 \(f’ = \frac{V – v_O}{V – v_S}f\) を適用します。最大のポイントは、速度 \(v_S, v_O\) の符号を正しく決めることです。
そのためには、「音源Sから観測者Oに向かう向き」を正の向きとして座標軸を設定する必要があります。
図の状況を整理すると、右側に音源(トラック)、左側に観測者(乗用車)がいます。したがって、音は「右から左」に向かって進みます。

この設問における重要なポイント

  • 音源S(トラック)の位置: 右側
  • 観測者O(乗用車)の位置: 左側
  • 音の伝わる向き(正の向き): 右 \(\rightarrow\) 左(左向き)
  • トラックの速度の向き: 右向き(正の向きと逆 \(\rightarrow\) 負)
  • 乗用車の速度の向き: 右向き(正の向きと逆 \(\rightarrow\) 負)

具体的な解説と立式
音速を \(V = 340\,\text{m/s}\)、音源の振動数を \(f = 690\,\text{Hz}\) とします。
正の向きを「音源から観測者に向かう向き」、すなわち「左向き」とします。
この座標系において、各速度は以下のようになります。

  • 音源の速度 \(v_S\): 右向きに \(5.0\,\text{m/s}\) なので、\(v_S = -5.0\,\text{m/s}\)
  • 観測者の速度 \(v_O\): 右向きに \(15\,\text{m/s}\) なので、\(v_O = -15\,\text{m/s}\)

これらをドップラー効果の公式に代入して、観測される振動数 \(f’\) を求める式を立てます。
$$
\begin{aligned}
f’ &= \frac{V – v_O}{V – v_S}f \\[2.0ex]
f’ &= \frac{340 – (-15)}{340 – (-5.0)} \times 690
\end{aligned}
$$

使用した物理公式

  • ドップラー効果の公式: \(f’ = \frac{V – v_O}{V – v_S}f\)
計算過程

カッコ内の符号を整理して計算します。
$$
\begin{aligned}
f’ &= \frac{340 + 15}{340 + 5.0} \times 690 \\[2.0ex]
&= \frac{355}{345} \times 690
\end{aligned}
$$
ここで、分母と分子を約分しやすい形に分解して計算します。\(345\) と \(690\) の関係に注目すると、\(690 = 345 \times 2\) であることに気づきます。
$$
\begin{aligned}
f’ &= 355 \times \frac{690}{345} \\[2.0ex]
&= 355 \times 2 \\[2.0ex]
&= 710\,\text{Hz}
\end{aligned}
$$

この設問の平易な説明

トラックが後ろの車に向かって音を出しているのではなく、トラックが出した音を、後ろの車が追いかけて聞いている状況です。
公式を使うときのルールは「音が進む方向をプラスにする」ことです。今回は音が「右から左」に進むので、左向きがプラスです。
ところが、トラックも車も「右」に走っています。これはプラスの向き(左)とは逆なので、公式にはどちらも「マイナスの速度」として代入します。
計算すると、振動数は元の \(690\,\text{Hz}\) より高い \(710\,\text{Hz}\) になります。車が猛スピードで音に突っ込んでいく効果(音が高くなる)が、トラックが逃げていく効果(音が低くなる)を上回ったためです。

結論と吟味

観測される振動数は \(710\,\text{Hz}\) です。
観測者が音源に近づく速さ(\(15\,\text{m/s}\))の方が、音源が観測者から逃げる速さ(\(5.0\,\text{m/s}\))よりも大きいため、全体として「近づく」効果が強く出ます。そのため、元の振動数 \(690\,\text{Hz}\) よりも高くなるという結果は定性的に妥当です。

解答 \(710\,\text{Hz}\)
別解: 物理的意味に基づいた段階的な解法

思考の道筋とポイント
公式を暗記していなくても、ドップラー効果の仕組み(波長の変化と相対速度の変化)を順に追うことで解くことができます。
1. 音源が動くことで、後方(観測者側)に広がる波の波長 \(\lambda’\) がどう変化するかを考えます。
2. 観測者が動くことで、その波とすれ違う相対的な速さ \(V’\) がどうなるかを考えます。
3. 波の基本式 \(V’ = f’\lambda’\) から振動数を求めます。

この設問における重要なポイント

  • 音源は観測者から「遠ざかる」向きに動いている \(\rightarrow\) 波が引き伸ばされて波長が長くなる。
  • 観測者は音波に「向かっていく(近づく)」向きに動いている \(\rightarrow\) 音波とすれ違う相対速度が大きくなる。

具体的な解説と立式
Step 1: 波長の変化
音源(トラック)は速さ \(v_s = 5.0\,\text{m/s}\) で観測者から遠ざかっています。
1回の振動(時間 \(T = 1/f\))の間に、音源は \(v_s T\) だけ進んで波を後ろに置くため、波長は元の波長 \(\lambda\) よりも伸びます。
見かけの波長 \(\lambda’\) は以下のようになります。
$$
\begin{aligned}
\lambda’ &= \frac{V + v_s}{f} \\[2.0ex]
&= \frac{340 + 5.0}{690}
\end{aligned}
$$

Step 2: 相対速度の変化
音波は速さ \(V = 340\,\text{m/s}\) で観測者に向かってきます(左向き)。
観測者(乗用車)は速さ \(v_o = 15\,\text{m/s}\) で音波に向かって進みます(右向き)。
すれ違うときの相対速度(見かけの音速)\(V’\) は、互いに近づくので足し算になります。
$$
\begin{aligned}
V’ &= V + v_o \\[2.0ex]
&= 340 + 15
\end{aligned}
$$

Step 3: 振動数の計算
観測者が聞く振動数 \(f’\) は、見かけの音速を見かけの波長で割ったものです。
$$
\begin{aligned}
f’ &= \frac{V’}{\lambda’}
\end{aligned}
$$

使用した物理公式

  • 波長の変化(遠ざかる音源): \(\lambda’ = \frac{V+v_s}{f}\)
  • 相対速度(向かっていく観測者): \(V’ = V + v_o\)
  • 波の基本式: \(V = f\lambda\)
計算過程

式を代入して計算します。
$$
\begin{aligned}
f’ &= \frac{340 + 15}{\frac{340 + 5.0}{690}} \\[2.0ex]
&= \frac{355}{345} \times 690 \\[2.0ex]
&= 355 \times 2 \\[2.0ex]
&= 710\,\text{Hz}
\end{aligned}
$$

この設問の平易な説明

まず、トラックが逃げていくので、後ろに送られる音の波は引き伸ばされて長くなります(波長が伸びる)。
次に、その伸びた波に向かって車が突っ込んでいくので、車から見ると波は猛スピードで通り過ぎていきます(相対速度アップ)。
「長い波」を「速いスピード」で受け取るので、結果として1秒間に受け取る波の数(振動数)はどうなるか、という計算をしています。結果は公式を使った場合と同じになります。

結論と吟味

\(710\,\text{Hz}\) という結果が得られ、主たる解法と一致しました。
「遠ざかる音源(振動数ダウン要因)」と「近づく観測者(振動数アップ要因)」の競合において、観測者の速度の影響が勝ったことが、数値計算からも確認できました。

解答 \(710\,\text{Hz}\)

【総まとめ】この一問を未来の得点力へ!完全マスター講座

最重要ポイント:この問題の核心となる物理法則は?
  • ドップラー効果の公式と符号の定義
    • 核心: ドップラー効果の公式 \(f’ = \frac{V – v_O}{V – v_S}f\) は、単なる代入式ではなく、音源と観測者の相対運動を記述する強力なツールです。この公式を正しく機能させるための唯一にして絶対のルールが「音源 \(S\) から観測者 \(O\) に向かう向きを正とする」ことです。
    • 理解のポイント:
      • 座標軸の設定: 問題ごとに、まず「音が進む方向」を矢印で書き込み、その矢印の向きをプラス(正)と決めます。
      • 速度の符号: 音源や観測者がその矢印と同じ向きに動いていればプラス、逆向きならマイナスの値を代入します。この手順を機械的に守るだけで、あらゆるパターンの問題に対応できます。
  • 相対速度と波長変化の物理的意味
    • 核心: 公式の分母と分子は、それぞれ異なる物理現象を表しています。
    • 理解のポイント:
      • 分母 \(V – v_S\): 音源が動くことによる「波長の変化」を表しています。音源が音と同じ向き(正)に動くと波が縮み(分母が小さくなる \(\rightarrow\) \(f’\) アップ)、逆向き(負)に動くと波が伸びます(分母が大きくなる \(\rightarrow\) \(f’\) ダウン)。
      • 分子 \(V – v_O\): 観測者が動くことによる「相対的な音速の変化」を表しています。観測者が音から逃げる(正)と相対速度が下がり(分子が小さくなる \(\rightarrow\) \(f’\) ダウン)、音に向かう(負)と相対速度が上がります(分子が大きくなる \(\rightarrow\) \(f’\) アップ)。
応用テクニック:似た問題が出たらココを見る!解法の鍵と着眼点
  • 応用できる類似問題のパターン:
    • 反射板がある場合: 「音源 \(\rightarrow\) 反射板(観測者)」と「反射板(音源) \(\rightarrow\) 観測者」の2段階に分けて考えます。反射板が動いている場合、1段階目で観測者として受け取った振動数を、2段階目で音源として再放射すると考えます。
    • 風が吹いている場合: 音速 \(V\) が風の速度 \(w\) によって \(V+w\)(追い風)や \(V-w\)(向かい風)に変化します。公式の \(V\) をこの「風合成音速」に置き換えるだけで対応できます。
    • 斜め方向のドップラー効果: 音源と観測者を結ぶ直線上の速度成分(\(v \cos \theta\))だけがドップラー効果に寄与します。速度ベクトルを分解して、視線方向の成分を取り出しましょう。
  • 初見の問題での着眼点:
    1. \(S\) と \(O\) を特定する: 誰が音を出して(Source)、誰が聞いているか(Observer)を明確にします。
    2. 矢印を描く: \(S\) から \(O\) に向かう矢印を引き、その脇に大きく「+(プラス)」と書きます。これが全ての基準です。
    3. 速度の向きをチェック: 各物体の速度ベクトルが、先ほどの矢印と同じ向きか逆向きかを確認し、符号を決定します。
要注意!ありがちなミス・誤解とその対策
  • 正の向きの取り違え
    • 誤解: 「右向きが常に正」や「速度が大きい方が正」といった自分勝手なルールで符号を決めてしまう。
    • 対策: 「音源から観測者へ」という呪文を唱えながら、必ず図に矢印を描き込む癖をつけましょう。図を描かずに頭の中だけで処理しようとするのがミスの最大の原因です。
  • 分母と分子の混同
    • 誤解: 観測者の速度を分母に、音源の速度を分子に入れてしまう。
    • 対策: 「Source(音源)はShita(下)」と語呂合わせで覚えるか、あるいは「音源が動くと波長が変わる(分母)」、「観測者が動くと相対速度が変わる(分子)」という物理的意味を思い出しましょう。
  • 引き算の符号ミス
    • 誤解: 公式のマイナスと、速度のマイナスが混ざって、\(V – (-v)\) を \(V – v\) と計算してしまう。
    • 対策: 代入するときは必ずカッコをつけて \(V – (-15)\) のように書き、次の行で \(V + 15\) と符号を整理するステップを踏みましょう。暗算は禁物です。
なぜその公式?論理的な公式選択と適用の思考法
  • ドップラー効果の公式 \(f’ = \frac{V – v_O}{V – v_S}f\) の選択
    • 選定理由: 音源と観測者の両方が同一直線上を運動しており、観測される振動数を求める問題だからです。
    • 適用根拠: この公式は、媒質(空気)に対して音源や観測者が等速運動している場合の一般解であり、本問の状況(等速直線運動)に完全に合致します。
  • 段階的な解法(別解)の選択
    • 選定理由: 公式の適用に不安がある場合や、波長の変化そのものを問われる設問(「観測者の前方にある音波の波長はいくらか」など)に対応するためです。
    • 適用根拠: ドップラー効果という現象は、「波長の伸縮」と「相対速度の変化」という2つの独立した物理プロセスの組み合わせで成り立っているからです。この原理原則に立ち返ることで、より確実な理解が得られます。
計算ミスをなくす!日頃の意識と実践テクニック
  • 約分の活用
    • 今回の問題のように、\(345\) と \(690\) が \(1:2\) になるなど、物理の問題では綺麗に約分できる数値設定が頻出します。
    • \(\frac{355}{345} \times 690\) を計算するとき、\(355 \div 345\) を筆算で計算し始めると泥沼にはまります。まずは「割る数」と「掛ける数」の関係(\(690 \div 345 = 2\))に注目し、式全体を眺める余裕を持ちましょう。
  • 定性的な検算
    • 計算結果が出たら、「近づいているから音は高くなるはず」「遠ざかっているから低くなるはず」という直感と照らし合わせます。
    • 今回は「近づく速さ \(15\)」>「逃げる速さ \(5\)」なので、トータルで「近づく」効果が勝ち、振動数は上がるはずです。もし答えが \(690\,\text{Hz}\) より小さくなっていたら、その瞬間に計算ミスか符号ミスに気づけます。
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基本問題

365 音の速さ

【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド

この問題のテーマは「音速の温度依存性と距離の計算」です。雷までの距離を音と光の時間差から推定する方法は、日常生活でも役立つ物理の知恵です。

問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。

  1. 音速の公式: 空気中の音速 \(V\) は、気温 \(t\) [℃] に依存し、\(V = 331.5 + 0.6t\) で表されます。
  2. 等速直線運動: 音は空気中を一定の速さで伝わるとみなせます。距離 \(x\)、速さ \(V\)、時間 \(T\) の間には \(x = VT\) の関係があります。
  3. 光速と音速の差: 光の速さ(約 \(3.0 \times 10^8\,\text{m/s}\))は音速(約 \(340\,\text{m/s}\))に比べて圧倒的に速いため、光は「一瞬で届く」とみなして計算します。

基本的なアプローチは以下の通りです。

  1. (1)では、与えられた気温 \(t=14^\circ\text{C}\) を音速の公式に代入して、その環境下での音の速さを求めます。
  2. (2)では、(1)で求めた音速で音が \(3.0\,\text{s}\) 間進んだ距離を計算します。これが稲妻までの距離となります。

問(1)

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