無料でしっかり基礎固め!高校物理 問題演習「正弦波の式から物理量を読み取る」【高校物理対応】

今回の問題

wave#13

【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド

この問題のテーマは「正弦波の式と物理量の関係」です。
問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。

  • 正弦波の式の標準形: 時刻\(t\)、位置\(x\)における媒質の変位\(y\)を表す式にはいくつかの表現がありますが、代表的な形を理解し、問題の式と比較することが基本となります。
  • 波の基本公式: 振動数\(f\)と周期\(T\)の関係 (\(f = \displaystyle\frac{1}{T}\)) や、波の速さ\(v\)、振動数\(f\)、波長\(\lambda\)の関係 (\(v = f\lambda\)) は、波の分野における最も基本的な関係式です。

基本的なアプローチは以下の通りです。

  1. (1)では、与えられた正弦波の式を、標準的な公式 \(y = A \sin 2\pi \left( \displaystyle\frac{t}{T} – \displaystyle\frac{x}{\lambda} \right)\) の形に変形し、係数を比較することで振幅\(A\)、周期\(T\)、波長\(\lambda\)を求めます。
  2. (2)では、(1)で求めた周期\(T\)と波長\(\lambda\)を用いて、波の基本公式から振動数\(f\)と速さ\(v\)を計算します。

問(1)

思考の道筋とポイント
与えられた正弦波の式 \(y = 0.40 \sin \pi (2.0t – 1.0x)\) から、振幅\(A\)、周期\(T\)、波長\(\lambda\)を読み取る問題です。このためには、与式を正弦波の標準的な公式と比較する必要があります。最も代表的な標準形は \(y = A \sin 2\pi \left( \displaystyle\frac{t}{T} – \displaystyle\frac{x}{\lambda} \right)\) です。与式の\(\sin\)の内部をこの形に合うように変形し、各項の係数を比較することが解法の鍵となります。
この設問における重要なポイント

  • 正弦波の式 \(y = A \sin(\dots)\) の、\(\sin\)の前にかかっている係数\(A\)が振幅を表す。
  • 標準形 \(y = A \sin 2\pi \left( \displaystyle\frac{t}{T} – \displaystyle\frac{x}{\lambda} \right)\) と比較することで、周期\(T\)と波長\(\lambda\)を特定できる。
  • 与えられた式の形を標準形に合わせるための、的確な式変形が求められる。

具体的な解説と立式
与えられた波の式は、
$$ y = 0.40 \sin \pi (2.0t – 1.0x) \quad \cdots ① $$
です。
これを、正弦波の標準形
$$ y = A \sin 2\pi \left( \frac{t}{T} – \frac{x}{\lambda} \right) \quad \cdots ② $$
と比較します。
まず、式①の\(\sin\)のカッコ内を、式②の形に合わせるために \(2\pi\) でくくり出します。
$$
\begin{aligned}
\pi (2.0t – 1.0x) &= 2\pi \left( \frac{2.0}{2}t – \frac{1.0}{2}x \right) \\[2.0ex]
&= 2\pi (1.0t – 0.50x)
\end{aligned}
$$
さらに、\(t\)と\(x\)の係数を分数の形にして、標準形に合わせます。
$$ 2\pi \left( \frac{t}{1.0} – \frac{x}{1/0.50} \right) = 2\pi \left( \frac{t}{1.0} – \frac{x}{2.0} \right) $$
したがって、与えられた式①は次のように変形できます。
$$ y = 0.40 \sin 2\pi \left( \frac{t}{1.0} – \frac{x}{2.0} \right) \quad \cdots ③ $$
この式③と標準形②を比較することで、振幅\(A\)、周期\(T\)、波長\(\lambda\)を読み取ります。

使用した物理公式

  • 正弦波の式: \(y = A \sin 2\pi \left( \displaystyle\frac{t}{T} – \displaystyle\frac{x}{\lambda} \right)\)
計算過程

式③と式②を比較します。
$$ y = A \sin 2\pi \left( \frac{t}{T} – \frac{x}{\lambda} \right) $$
$$ y = 0.40 \sin 2\pi \left( \frac{t}{1.0} – \frac{x}{2.0} \right) $$
各部分を比較すると、
振幅\(A\)は、\(\sin\)の前の係数なので、
$$ A = 0.40 \text{ [m]} $$
周期\(T\)は、\(t\)の分母なので、
$$ T = 1.0 \text{ [s]} $$
波長\(\lambda\)は、\(x\)の分母なので、
$$ \lambda = 2.0 \text{ [m]} $$
となります。

計算方法の平易な説明

波の変位を表す公式 \(y = A \sin 2\pi (\frac{t}{T} – \frac{x}{\lambda})\) と、問題で与えられた式 \(y = 0.40 \sin \pi (2.0t – 1.0x)\) を見比べられるように形を整えます。まず、\(\sin\)の前についている数字がそのまま振幅\(A\)になるので、\(A=0.40\) mです。次に、公式のカッコの中は\(2\pi(\dots)\)という形なので、問題の式も同じ形にします。すると、\(y = 0.40 \sin 2\pi (\frac{t}{1.0} – \frac{x}{2.0})\) となります。この形にすれば、公式と見比べて、\(t\)の分母が周期\(T\)、\(x\)の分母が波長\(\lambda\)だとわかります。

結論と吟味

この波の振幅は \(0.40\) m、周期は \(1.0\) s、波長は \(2.0\) mです。それぞれの物理量の単位も正しく、物理的に妥当な値です。

解答 (1) 振幅 \(A = 0.40\) m, 周期 \(T = 1.0\) s, 波長 \(\lambda = 2.0\) m
別解: 角振動数と波数を用いた解法

思考の道筋とポイント
正弦波の式には、角振動数\(\omega\)と波数\(k\)を用いた標準形 \(y = A \sin(\omega t – kx)\) もあります。与えられた式は、こちらの形に比較的簡単に変形できるため、この公式と比較するアプローチも有効です。角振動数\(\omega\)と周期\(T\)、波数\(k\)と波長\(\lambda\)の関係式を覚えておく必要があります。
この設問における重要なポイント

  • 角振動数\(\omega\)と周期\(T\)の関係は \(\omega = \displaystyle\frac{2\pi}{T}\)。
  • 波数\(k\)と波長\(\lambda\)の関係は \(k = \displaystyle\frac{2\pi}{\lambda}\)。
  • 与式を \(y = A \sin(\omega t – kx)\) の形に変形し、\(\omega\)と\(k\)を読み取る。

具体的な解説と立式
与えられた波の式は、
$$ y = 0.40 \sin \pi (2.0t – 1.0x) $$
\(\pi\)をカッコの中に分配すると、
$$ y = 0.40 \sin (2.0\pi t – 1.0\pi x) \quad \cdots ④ $$
となります。
これを、角振動数\(\omega\)と波数\(k\)を用いた標準形
$$ y = A \sin(\omega t – kx) \quad \cdots ⑤ $$
と比較します。

使用した物理公式

  • 正弦波の式: \(y = A \sin(\omega t – kx)\)
  • 角振動数と周期の関係: \(\omega = \displaystyle\frac{2\pi}{T}\)
  • 波数と波長の関係: \(k = \displaystyle\frac{2\pi}{\lambda}\)
計算過程

式④と式⑤を比較します。
$$ y = A \sin(\omega t – kx) $$
$$ y = 0.40 \sin (2.0\pi t – 1.0\pi x) $$
各部分を比較すると、
振幅\(A\)は、
$$ A = 0.40 \text{ [m]} $$
角振動数\(\omega\)は、\(t\)の係数なので、
$$ \omega = 2.0\pi \text{ [rad/s]} $$
波数\(k\)は、\(x\)の係数なので、
$$ k = 1.0\pi \text{ [rad/m]} $$
これらの値から、周期\(T\)と波長\(\lambda\)を求めます。
周期\(T\)は、\(\omega = \displaystyle\frac{2\pi}{T}\) の関係から、
$$ T = \frac{2\pi}{\omega} = \frac{2\pi}{2.0\pi} = 1.0 \text{ [s]} $$
波長\(\lambda\)は、\(k = \displaystyle\frac{2\pi}{\lambda}\) の関係から、
$$ \lambda = \frac{2\pi}{k} = \frac{2\pi}{1.0\pi} = 2.0 \text{ [m]} $$
となり、メインの解法と同じ結果が得られます。

計算方法の平易な説明

波の式には \(y = A \sin(\omega t – kx)\) という別の公式もあります。問題の式を \(y = 0.40 \sin(2.0\pi t – 1.0\pi x)\) と変形してこの公式と見比べると、\(t\)の隣にある\(2.0\pi\)が\(\omega\)、\(x\)の隣にある\(1.0\pi\)が\(k\)に対応します。周期\(T\)は\(2\pi \div \omega\)、波長\(\lambda\)は\(2\pi \div k\)という公式で計算できるので、それぞれ値を代入すれば答えが求まります。

結論と吟味

メインの解法と同じく、振幅 \(0.40\) m、周期 \(1.0\) s、波長 \(2.0\) mという結果が得られました。どちらのアプローチでも解けるようにしておくと、問題の形式に応じて柔軟に対応できます。


問(2)

思考の道筋とポイント
この波の振動数\(f\)と速さ\(v\)を求める問題です。(1)で周期\(T\)と波長\(\lambda\)がすでに求まっているので、波の基本的な関係式である \(f = \displaystyle\frac{1}{T}\) と \(v = f\lambda\) を用いて計算します。これは基本的な公式の適用問題です。
この設問における重要なポイント

  • 振動数\(f\)と周期\(T\)は逆数の関係にある (\(f = \displaystyle\frac{1}{T}\))。
  • 波の速さ\(v\)、振動数\(f\)、波長\(\lambda\)の間には、\(v = f\lambda\) という関係が成り立つ。

具体的な解説と立式
(1)の結果から、周期 \(T = 1.0\) s、波長 \(\lambda = 2.0\) m です。
振動数\(f\)は、周期\(T\)の逆数として定義されます。
$$ f = \frac{1}{T} \quad \cdots ⑥ $$
波の速さ\(v\)は、1秒間に波が進む距離であり、振動数\(f\)(1秒間の振動回数)と波長\(\lambda\)(1回の振動で進む距離)の積で表されます。
$$ v = f\lambda \quad \cdots ⑦ $$

使用した物理公式

  • 振動数と周期の関係: \(f = \displaystyle\frac{1}{T}\)
  • 波の基本式: \(v = f\lambda\)
計算過程

まず、式⑥を用いて振動数\(f\)を計算します。\(T = 1.0\) s を代入して、
$$ f = \frac{1}{1.0} = 1.0 \text{ [Hz]} $$
次に、式⑦を用いて速さ\(v\)を計算します。求めた \(f = 1.0\) Hz と、(1)の \(\lambda = 2.0\) m を代入して、
$$ v = 1.0 \times 2.0 = 2.0 \text{ [m/s]} $$

計算方法の平易な説明

振動数\(f\)は「1秒間に何回振動するか」を表し、周期\(T\)は「1回の振動に何秒かかるか」を表すので、互いに逆数の関係にあります。\(f = 1 \div T\) で計算できます。波の速さ\(v\)は、1回の振動で\(\lambda\)だけ進む波が1秒間に\(f\)回振動するので、かけ算して \(v = f \times \lambda\) で求めることができます。

結論と吟味

この波の振動数は \(1.0\) Hz、速さは \(2.0\) m/s です。単位も正しく、(1)の結果から論理的に導かれた妥当な値です。

解答 (2) 振動数 \(f = 1.0\) Hz, 速さ \(v = 2.0\) m/s
別解: 角振動数と波数を用いた解法

思考の道筋とポイント
(1)の別解で求めた角振動数\(\omega\)と波数\(k\)から、振動数\(f\)と速さ\(v\)を直接計算することもできます。関係式 \(f = \displaystyle\frac{\omega}{2\pi}\) と \(v = \displaystyle\frac{\omega}{k}\) を用います。
この設問における重要なポイント

  • 振動数\(f\)は角振動数\(\omega\)を用いて \(f = \displaystyle\frac{\omega}{2\pi}\) と表せる。
  • 波の速さ\(v\)は角振動数\(\omega\)と波数\(k\)の比で \(v = \displaystyle\frac{\omega}{k}\) と表せる。

具体的な解説と立式
(1)の別解より、角振動数 \(\omega = 2.0\pi\) rad/s、波数 \(k = 1.0\pi\) rad/m です。
振動数\(f\)は、\(\omega = 2\pi f\) の関係から求めます。
$$ f = \frac{\omega}{2\pi} \quad \cdots ⑧ $$
速さ\(v\)は、\(\omega\)と\(k\)を用いて直接計算できます。
$$ v = \frac{\omega}{k} \quad \cdots ⑨ $$

使用した物理公式

  • 角振動数と振動数の関係: \(\omega = 2\pi f\)
  • 速さ、角振動数、波数の関係: \(v = \displaystyle\frac{\omega}{k}\)
計算過程

まず、式⑧を用いて振動数\(f\)を計算します。\(\omega = 2.0\pi\) を代入して、
$$ f = \frac{2.0\pi}{2\pi} = 1.0 \text{ [Hz]} $$
次に、式⑨を用いて速さ\(v\)を計算します。\(\omega = 2.0\pi\), \(k = 1.0\pi\) を代入して、
$$ v = \frac{2.0\pi}{1.0\pi} = 2.0 \text{ [m/s]} $$

計算方法の平易な説明

(1)の別解で求めた\(\omega\)と\(k\)を使っても計算できます。振動数\(f\)は\(\omega\)を\(2\pi\)で割ることで、速さ\(v\)は\(\omega\)を\(k\)で割ることで、それぞれ求めることができます。

結論と吟味

メインの解法と同じく、振動数 \(1.0\) Hz、速さ \(2.0\) m/s という結果が得られました。\(v = \omega/k\) の関係式は、\(v=f\lambda\) と \(f=\omega/2\pi\), \(\lambda=2\pi/k\) から導かれるものであり、覚えておくと計算が速くなる場合があります。


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