今回の問題
dynamics#53【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド
この問題のテーマは「力学的エネルギー保存則と運動量保存則の組み合わせ」です。
問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。
- 力学的エネルギー保存則: 小球Aが振り子運動をしている間(衝突前と衝突後)は、重力以外の外力が仕事をしないため、力学的エネルギーが保存されます。
- 運動量保存則: 小球Aと物体Bが衝突する瞬間は、ごく短時間であるため、重力などの外力の影響は無視できます。したがって、AとBを一つの系とみなすと、衝突の直前直後で系の運動量は保存されます。
- 非弾性衝突: 衝突後、AとBが一体となる衝突は「完全非弾性衝突」と呼ばれます。この衝突では、運動量は保存されますが、力学的エネルギーは保存されず、一部が熱などに変わります。
基本的なアプローチは以下の通りです。
この問題は、大きく3つの段階に分けて考えます。
- 段階1(Aの落下): 小球Aが高さ\(h\)から最下点まで落下する過程。ここでは力学的エネルギー保存則が成り立ちます。
- 段階2(AとBの衝突): Aが最下点でBと衝突し、一体となる瞬間。ここでは運動量保存則が成り立ちます。
- 段階3(一体となった物体の振り上がり): 一体となった物体が最下点から最高点まで振り上がる過程。ここでは再び力学的エネルギー保存則が成り立ちます。
(1)では、段階1と段階2の法則を順に適用して、一体となった直後の速さを求めます。
(2)では、段階3で力学的エネルギー保存則を適用して、振り上がる高さを求めます。