「物理のエッセンス(力学・波動)」徹底解説(波動51〜55問):物理の”土台”を固める!完全マスター講座

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波動範囲 51~55

51 波の干渉

【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド

【相違点に関する注記】

本解説は、模範解答で採用されている解法(定常波モデル)を主たる解説としつつ、以下の別解を提示します。

  1. 提示する別解
    • 別解: 干渉の基本条件式を用いる解法
      • 模範解答がS₁S₂間を定常波と見なして腹の数を数えるのに対し、別解ではS₁S₂線上の点の経路差を数式で表し、強め合いの条件を満たす点の個数を代数的に求めます。
  2. 上記の別解が有益である理由
    • 物理的本質の深化: 定常波が、逆向きに進む波の干渉の結果として生じる現象であることが、より明確に理解できます。
    • 思考の柔軟性向上: 視覚的なアプローチ(定常波)と数式的なアプローチ(干渉条件式)の両方を学ぶことで、問題解決能力の幅が広がります。
    • 解法の一般化: 別解の方法は、波源が直線上になくても、任意の点における干渉を考える際の基本となる、より一般的な手法です。
  3. 結果への影響
    • いずれのアプローチを用いても、計算過程や思考の出発点が異なるだけで、最終的に得られる答えは模範解答と完全に一致します。

この問題のテーマは「2つの波源を結ぶ線分上での干渉」です。前問で学んだ干渉の知識を応用し、特定の領域に強め合いの点がいくつ存在するかを数え上げる問題です。

問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。

  1. 定常波: S₁S₂間にできる波は、S₁から右に進む波とS₂から左に進む波が重なった「定常波」と見なせます。
  2. 定常波と干渉の関係: 定常波の「腹」が強め合いの点、「節」が弱め合いの点にそれぞれ対応します。
  3. 中点の状態: 波源 S₁, S₂ が同位相なので、その中点は必ず強め合う点、すなわち「腹」になります。
  4. 腹の間隔: 定常波の隣り合う腹と腹の間隔は、波長の半分、すなわち \(\lambda/2\) です。

基本的なアプローチは以下の通りです。

  1. 前問の条件から、波長 \(\lambda\) と波源間距離 S₁S₂ を確認します。
  2. S₁S₂の中点が腹になることを確認し、そこから左右に半波長 \(\lambda/2\) ごとに腹の位置をプロットしていきます。
  3. 問題文の「S₁S₂間に」という条件に従い、端点である S₁, S₂ を除いて、線分上に存在する腹の総数を数えます。

S₁S₂間の強め合いの線の本数

思考の道筋とポイント
S₁から右向きに進む波と、S₂から左向きに進む波は、線分S₁S₂上で常に重なり合っています。このように、逆向きに進む同じ種類の波が重なると「定常波」ができます。
強め合いの線がS₁S₂を横切る点というのは、この定常波において振幅が最大になる点、すなわち「腹」に他なりません。したがって、この問題は「線分S₁S₂の間に、定常波の腹がいくつできますか?」という問いに言い換えることができます。
この設問における重要なポイント

  • S₁とS₂は同位相 \(\rightarrow\) 中点Oは必ず腹になる。
  • 腹と腹の間隔は半波長 \(\lambda/2\)。
  • 前問より、波長 \(\lambda = 4 \, \text{cm}\) なので、腹の間隔は \(2 \, \text{cm}\)。
  • 問題は「S₁S₂」の本数を問うているため、端点である S₁, S₂ 上の点は含めない、と解釈するのが一般的です。

具体的な解説と立式
S₁から右向きに進む波と、S₂から左向きに進む波が、線分S₁S₂上で重なり合い、定常波が形成されます。強め合いの線が通る点は、この定常波の「腹」に相当します。

波源 S₁, S₂ は同位相なので、その中点Oは必ず腹となります。
また、定常波において、隣り合う腹と腹の間隔は半波長 \(\lambda/2\) です。

前問より波長は \(\lambda = 4 \, \text{cm}\) なので、腹の間隔は次のようになります。
$$
\begin{aligned}
\text{腹の間隔} &= \frac{\lambda}{2} \\[2.0ex]
&= \frac{4}{2} \\[2.0ex]
&= 2 \, (\text{cm})
\end{aligned}
$$
したがって、中点Oを基準として、その左右に \(2 \, \text{cm}\) ごとに腹が存在することになります。

使用した物理公式

  • 定常波の腹の間隔: \(\displaystyle\frac{\lambda}{2}\)
計算過程

波源間距離は S₁S₂ \( = 20 \, \text{cm}\) なので、中点Oから各波源までの距離は \(10 \, \text{cm}\) です。

  1. 中点Oに腹が1つ存在します。
  2. 中点OからS₂側(右側)にある腹の位置を考えます。
    中点Oからの距離が \(2 \, \text{cm}, 4 \, \text{cm}, 6 \, \text{cm}, 8 \, \text{cm}\) の4点に腹が存在します。
    次の腹はOから \(10 \, \text{cm}\) の点、すなわちS₂上となりますが、これは「間」には含まれません。
  3. 中点OからS₁側(左側)にある腹の位置を考えます。
    対称性から、こちら側にも同様に4つの腹が存在します。

したがって、S₁S₂間に存在する腹の総数は、中点の1本と、その左右に4本ずつを合計したものになります。
$$
\begin{aligned}
\text{総数} &= (\text{左側の本数}) + (\text{中点の1本}) + (\text{右側の本数}) \\[2.0ex]
&= 4 + 1 + 4 \\[2.0ex]
&= 9 \, (\text{本})
\end{aligned}
$$

この設問の平易な説明

S₁とS₂から出た波が、ちょうど真ん中で出会うと、お互い強め合います。ここが1つ目の強め合いの点(腹)です。
物理の法則で、一度強め合う点が見つかると、そこから波長の半分(この問題では \(2 \, \text{cm}\))ずれるごとに、また次の強め合う点(腹)が現れることがわかっています。
真ん中の点からS₂に向かって、\(2 \, \text{cm}\), \(4 \, \text{cm}\), \(6 \, \text{cm}\), \(8 \, \text{cm}\) 離れた場所に強め合う点があります。次の \(10 \, \text{cm}\) 離れた場所はちょうどS₂の上なので、「間」には入りません。これで右側に4本です。
反対側のS₁に向かっても同じように4本あります。
全部合わせると、左に4本、真ん中に1本、右に4本で、合計9本となります。

結論と吟味

S₁S₂間に9本の強め合いの線が通ることがわかりました。これは、波源S₁, S₂自身も腹になる条件を満たしますが、問題文の「間」という言葉の一般的な解釈に従い、これら2点を除いた本数となっています。物理的に妥当な結果です。

解答 9本
別解: 干渉の基本条件式を用いる解法

思考の道筋とポイント
S₁S₂線上の任意の点を考え、その点が強め合いの条件を満たす条件を数式で表現します。その数式を満たす点の個数を代数的に数え上げる、より一般的なアプローチです。
この設問における重要なポイント

  • 強め合いの条件: 経路差 \(|L_1 – L_2| = m\lambda\) (\(m=0, 1, 2, \dots\))
  • S₁S₂線上の点の経路差を、S₁からの距離 \(x\) を用いて表現する。
  • 「S₁S₂間」なので、座標の範囲を \(0 < x < 20\) として考える。

具体的な解説と立式
S₁を原点(\(x=0\))とし、S₂を \(x=20 \, \text{cm}\) とします。S₁S₂線上の任意の点をPとし、その座標を \(x\) とします。
点PへのS₁からの距離は \(L_1 = x\)。
点PへのS₂からの距離は \(L_2 = 20 – x\)。

点Pにおける経路差 \(\Delta L\) は、
$$
\begin{aligned}
\Delta L &= |L_1 – L_2| \\[2.0ex]
&= |x – (20 – x)| \\[2.0ex]
&= |2x – 20|
\end{aligned}
$$
強め合いの条件は \(\Delta L = m\lambda\) で、前問より \(\lambda = 4 \, \text{cm}\) なので、
$$ |2x – 20| = 4m \quad (\text{\(m\)は0以上の整数}) $$
この方程式を満たす点の数を数えます。

使用した物理公式

  • 同位相の波源による強め合いの条件: \(|L_1 – L_2| = m\lambda\)
計算過程

方程式 \(|2x – 20| = 4m\) を満たす \(x\) が、\(0 < x < 20\) の範囲に存在するような整数 \(m\) を探します。

まず、経路差 \(\Delta L = |2x – 20|\) がS₁S₂線上で取りうる値の範囲を調べます。

  • \(x=0\) (S₁上) のとき \(\Delta L = |0 – 20| = 20\)。
  • \(x=10\) (中点) のとき \(\Delta L = |20 – 20| = 0\)。
  • \(x=20\) (S₂上) のとき \(\Delta L = |40 – 20| = 20\)。

よって、S₁S₂線上での経路差の範囲は \(0 \le \Delta L \le 20\)。

この範囲で \(\Delta L = 4m\) を満たす整数 \(m\) は、
$$ 0 \le 4m \le 20 $$
両辺を4で割ると、
$$ 0 \le m \le 5 $$
よって、ありえる \(m\) は \(m = 0, 1, 2, 3, 4, 5\) です。

各 \(m\) の値に対応する \(x\) の値を求めます。

  • \(m=0\): \(|2x – 20| = 0\) より \(2x – 20 = 0\)。よって \(x = 10\)。 (1点)
  • \(m=1\): \(|2x – 20| = 4\) より \(2x – 20 = \pm 4\)。よって \(x = 12, 8\)。 (2点)
  • \(m=2\): \(|2x – 20| = 8\) より \(2x – 20 = \pm 8\)。よって \(x = 14, 6\)。 (2点)
  • \(m=3\): \(|2x – 20| = 12\) より \(2x – 20 = \pm 12\)。よって \(x = 16, 4\)。 (2点)
  • \(m=4\): \(|2x – 20| = 16\) より \(2x – 20 = \pm 16\)。よって \(x = 18, 2\)。 (2点)
  • \(m=5\): \(|2x – 20| = 20\) より \(2x – 20 = \pm 20\)。よって \(x = 20, 0\)。 (2点)

問題は「S₁S₂」の本数を問うているので、端点である \(x=0\) と \(x=20\) は除外します。
したがって、\(m=0, 1, 2, 3, 4\) の場合に対応する点が該当します。
$$
\begin{aligned}
\text{総数} &= 1 + 2 + 2 + 2 + 2 \\[2.0ex]
&= 9 \, (\text{本})
\end{aligned}
$$

この設問の平易な説明

S₁からの道のりとS₂からの道のりの差が、波長(\(4 \, \text{cm}\))のちょうど整数倍(\(0, 4, 8, \dots\))になる点を探す、という計算をしています。
まず、道のりの差が \(0 \, \text{cm}\) になるのは、ちょうど真ん中の点です(1本)。
次に、道のりの差が \(4 \, \text{cm}\) になる点は、計算すると真ん中から少しずれた左右2箇所にあることがわかります(2本)。
同じように、差が \(8 \, \text{cm}\), \(12 \, \text{cm}\), \(16 \, \text{cm}\) になる点もそれぞれ2本ずつあります。
差が \(20 \, \text{cm}\) になるのは、端っこのS₁とS₂自身なので、「間」には含めません。
これらを全部足し合わせると \(1 + 2 + 2 + 2 + 2 = 9\) 本になります。

結論と吟味

干渉の基本条件式から、S₁S₂間に存在する強め合いの点の数が9本であることが導かれました。これは定常波モデルで考えた結果と完全に一致しており、異なるアプローチから同じ結論に至ることで、解の正しさがより確かなものとなります。

解答 9本

【総まとめ】この一問を未来の得点力へ!完全マスター講座

最重要ポイント:この問題の核心となる物理法則は?
  • 定常波と干渉の関係性:
    • 核心: この問題の根幹は、逆向きに進む2つの波が干渉した結果として「定常波」が形成されるという物理現象を理解し、その性質を応用することにあります。
    • 理解のポイント:
      • 定常波の正体: 定常波は特別な波ではなく、あくまで「干渉」の一つの現れ方です。S₁から右に進む波とS₂から左に進む波が、線分S₁S₂上の各点で常に足し合わされた(重ね合わされた)結果が定常波です。
      • 腹・節と強め合い・弱め合いの対応:
        • : 定常波で最も大きく振動する場所。これは、2つの波が常に強め合う条件を満たす点に対応します。
        • : 定常波で全く振動しない場所。これは、2つの波が常に弱め合う条件を満たす点に対応します。
      • 腹の間隔の重要性: 隣り合う腹と腹の間隔が半波長 \(\lambda/2\) であるという性質は、腹の数を数え上げる上で極めて重要な知識となります。
応用テクニック:似た問題が出たらココを見る!解法の鍵と着眼点
  • 応用できる類似問題のパターン:
    • 弱め合いの線の本数を数える問題: 今回は強め合い(腹)の数を数えましたが、「弱め合いの線(節)は何本あるか」という問題も同様に解けます。中点Oが腹なので、そこから左右に \(\lambda/4\) の位置に最初の節ができ、その後は \(\lambda/2\) ごとに節が現れます。
    • 波源が逆位相の場合: もしS₁とS₂が逆位相なら、中点Oは弱め合う点、すなわち「節」になります。この場合、腹の位置は中点から左右に \(\lambda/4\) ずれた点からスタートします。
    • 気柱の共鳴や弦の振動: 開管や閉管内の音波、ギターの弦の振動なども、波の反射によって定常波ができる現象です。端が腹になるか節になるかの条件(固定端・自由端)さえ分かれば、本問と全く同じ考え方で固有振動数を求める問題などに応用できます。
  • 初見の問題での着眼点:
    1. 波源の位相関係の確認: まず、波源が同位相か逆位相かを確認します。これにより、中点が腹になるか節になるかが決まります。
    2. 波長 \(\lambda\) の計算: 問題で与えられていなければ、波の基本式 \(v=f\lambda\) などを用いて波長を求めます。腹や節の間隔 (\(\lambda/2\)) を計算するために不可欠です。
    3. 「間」か「以上以下」かの判定: 問題文が「S₁S₂間に」と問うているのか、「S₁S₂上で」と問うているのかを注意深く読み取ります。「間」であれば端点を含めず、「上」であれば端点を含めます。この解釈で答えの本数が変わることがあります。
    4. 数式か図か: 別解で示したように、数式(干渉条件式)で解く方法と、図(定常波の腹をプロット)で解く方法があります。どちらのアプローチが簡単か、問題に応じて選択します。図で考える方が直感的で速いことが多いですが、数式はより厳密な解法です。
要注意!ありがちなミス・誤解とその対策
  • 腹と腹の間隔の勘違い:
    • 誤解: 腹と腹の間隔を1波長 \(\lambda\) だと勘違いしてしまう。
    • 対策: 定常波の図を一度自分で描いてみるのが最も効果的です。1波長分の中に腹が2つ含まれていることが視覚的に理解できます。したがって、腹と腹の間隔は半波長 \(\lambda/2\) となります。「腹と隣の節」の間隔が \(\lambda/4\) であることも合わせて覚えておきましょう。
  • 端点の扱いのミス:
    • 誤解: 問題文の「間に」という指定を無視して、波源S₁, S₂上の点も数えてしまう。
    • 対策: 問題文の条件(「〜の間」「〜の上」「〜を含めて」など)に下線を引くなどして、数えるべき範囲を明確に意識する癖をつけます。今回のケースでは、S₁とS₂自身も強め合いの条件を満たしますが、「間」という言葉に従い除外するのが一般的です。
  • \(m\) の値と点の個数の混同(別解):
    • 誤解: 干渉条件式 \(|L_1 – L_2| = m\lambda\) を満たす整数 \(m\) の個数を、そのまま答えとしてしまう。
    • 対策: \(m=0\) の場合は対応する点が1つ(中点)ですが、\(m \ge 1\) の場合は左右対称に2つの点が存在することに注意が必要です。\(m\) の値一つ一つに対して、条件を満たす点がいくつあるかを丁寧に確認するステップを省略しないようにしましょう。
なぜその公式?論理的な公式選択と適用の思考法
  • 定常波モデルの選択:
    • 選定理由: 問題が「2つの波源を結ぶ線分上」という、1次元的な空間に限定されています。このような状況では、逆向きに進む波の干渉は「定常波」という非常にシンプルで視覚的に分かりやすいモデルで扱うことができます。腹の間隔が一定であるという性質を使えば、複雑な計算なしに足し算だけで答えを導けるため、最も効率的な解法と言えます。
    • 適用根拠: S₁からS₂へ向かう波と、S₂からS₁へ向かう波は、振幅・波長・速さが等しく進行方向が逆です。これは定常波が成立するための完璧な条件を満たしています。したがって、この区間を定常波として分析することは物理的に完全に正当化されます。
  • 干渉条件式の選択(別解):
    • 選定理由: こちらは、干渉現象をより一般的に、かつ数式的に厳密に扱うためのアプローチです。定常波というモデルを知らなくても、干渉の基本条件式さえ知っていれば解くことができます。また、観測点が波源を結ぶ直線上にないような、より複雑な問題にも対応できる汎用性の高い方法です。
    • 適用根拠: 空間の任意の点における干渉は、すべて経路差に基づく干渉条件式で説明できます。線分S₁S₂上の点もその例外ではありません。線分上の点の位置を座標 \(x\) で表し、経路差を \(x\) の関数として表現することで、この普遍的な法則を問題に適用することができます。
計算ミスをなくす!日頃の意識と実践テクニック
  • 図を描いて数える: この種の問題では、簡単な図を描くことが最強の計算ミス防止策になります。線分S₁S₂を描き、中点Oに最初の丸(腹)をつけます。そこから定規で測る必要はないので、等間隔に見えるように左右に丸を追加していき、波源の位置に到達するまで続けます。最後に「間」にある丸の数を数えれば、まず間違うことはありません。
  • 指差し確認: 図を描いた後、数え間違いを防ぐために、指やペン先で一つずつ指しながら「いち、に、さん…」と数えるのが有効です。特に数が多い場合は、数えたものにチェックマークをつけるなどすると、二重カウントや数え漏れを防げます。
  • 別解による検算: もし時間に余裕があれば、主たる解法(定常波モデル)で解いた後、別解(干渉条件式)でも計算してみるのが理想的です。異なるアプローチで同じ答えが出れば、その解答はほぼ100%正しいと確信できます。

52 波の干渉

【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド

【相違点に関する注記】

本解説は、模範解答で採用されている直感的な解法を主たる解説としつつ、以下の別解を提示します。

  1. 提示する別解
    • 別解: 干渉の条件式を立式する解法
      • 主たる解法が「隣り合う弱め合いの経路差の変化は1波長」という物理的洞察から直接答えを導くのに対し、別解では弱め合いの条件式を2つの状態で立て、それらを連立させて解くことで、より厳密に波長を導出します。
  2. 上記の別解が有益である理由
    • 論理の厳密化: 直感的に理解した物理現象を、数式を用いて厳密に証明するプロセスを学べます。
    • 思考の深化: なぜ経路差の変化が1波長になるのかを、数式の変形を通じて論理的に理解することができます。
    • 応用力の向上: 初期の状態が不明な問題(最初の経路差が与えられていない問題)でも、変化量に着目すれば解けるという、応用範囲の広い思考法を身につけることができます。
  3. 結果への影響
    • いずれのアプローチを用いても、計算過程や思考の出発点が異なるだけで、最終的に得られる答えは模範解答と完全に一致します。

この問題のテーマは「クインケ管における波の干渉」です。2つの経路に分かれた波が再び合流する際に起こる干渉現象について、経路長の変化と干渉条件の関係を正しく理解しているかが問われます。

問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。

  1. 経路差と干渉条件: 2つの経路の長さの差(経路差)によって、波が強め合うか弱め合うかが決まる。音が小さくなるのは「弱め合い」の干渉である。
  2. 経路長の変化: U字管を動かしたときに、実際の音波が通る道のりがどれだけ変化するかを正しく計算できること。
  3. 隣り合う干渉点: 「〜するたびに」という表現は、ある干渉状態から、隣の同じ干渉状態へ移り変わったことを意味する。弱め合いの状態から次の弱め合いの状態へ変化するときの、経路差の変化量はちょうど1波長 \(\lambda\) である。
  4. 波の基本式: 音速 \(V\)、振動数 \(f\)、波長 \(\lambda\) の関係式 \(V=f\lambda\) を用いて、未知の量を計算できること。

基本的なアプローチは以下の通りです。

  1. 管Bを \(4 \, \text{cm}\) 引いたときの、経路SBCの長さの変化量を計算する。
  2. 「\(4 \, \text{cm}\) 引くたびに音が小さくなった」という情報から、上記で計算した経路長の変化量が、ちょうど1波長 \(\lambda\) に相当することを見抜く。
  3. 波長 \(\lambda\) の値を特定する。
  4. 波の基本式 \(V=f\lambda\) を用いて、音源の振動数 \(f\) を計算する。

音源Sの振動数

思考の道筋とポイント
この問題は、クインケ管と呼ばれる装置を用いた波の干渉問題です。最大のヒントは「管Bを右へ \(4 \, \text{cm}\) 引くたびに、Cでの音は小さくなった」という記述です。
「音が小さくなる」とは、2つの経路を通ってきた波が「弱め合い」の干渉を起こしていることを意味します。そして、「\(4 \, \text{cm}\) 引くたびに」ということは、ある弱め合いの状態から、管の長さを変えることで、再び(隣の)弱め合いの状態になったことを示しています。
隣り合う弱め合いが起こるための経路差の変化量は、ちょうど1波長 \(\lambda\) です。したがって、管を \(4 \, \text{cm}\) 引いたときの実際の経路長の変化を計算し、それが \(\lambda\) に等しいと置くことで、波長を求めることができます。
この設問における重要なポイント

  • 管Bを \(x\) cm引くと、経路長は往復分である \(2x\) cm変化する。
  • 弱め合い \(\rightarrow\) 次の弱め合い、という現象は、経路差が \(\lambda\) だけ変化したことを意味する。
  • 計算の際は、単位をSI基本単位(m, s)に統一する。

具体的な解説と立式
音源Sから出た音は、固定された経路SACと、長さを変えられる経路SBCの2つに分かれて進み、C点で合流します。
管Bを右へ \(4 \, \text{cm}\) 引くと、経路SBCの長さは、U字管の直線部分が往復する分だけ長くなります。
したがって、経路長の変化量 \(\Delta L_{\text{経路}}\) は、
$$
\begin{aligned}
\Delta L_{\text{経路}} &= 4 \, (\text{cm}) \times 2 \\[2.0ex]
&= 8 \, (\text{cm})
\end{aligned}
$$
この操作によって、経路差(SBCとSACの長さの差)も \(8 \, \text{cm}\) だけ変化します。

問題文より、この操作によって音は弱め合いの状態から次の弱め合いの状態に移りました。弱め合いの条件は、経路差が波長の半整数倍、すなわち \((m + \displaystyle\frac{1}{2})\lambda\) (\(m\)は整数) となることです。
隣り合う弱め合いの状態とは、この整数 \(m\) が1だけ変化した状態(例えば \(m\) から \(m+1\) へ)に対応します。
したがって、2つの状態の経路差の差は、
$$
\begin{aligned}
\Delta (\text{経路差}) &= \left\{ (m+1) + \frac{1}{2} \right\}\lambda – \left( m + \frac{1}{2} \right)\lambda \\[2.0ex]
&= \lambda
\end{aligned}
$$
となり、ちょうど1波長分となります。

管を引いたことによる経路長の変化量 \(\Delta L_{\text{経路}}\) が、この経路差の変化量 \(\Delta (\text{経路差})\) に等しいので、
$$ \lambda = 8 \, (\text{cm}) $$
という関係が導かれます。

使用した物理公式

  • 波の基本式: \(V=f\lambda\)
  • 干渉の弱め合い条件: 経路差 \( = (m + \displaystyle\frac{1}{2})\lambda\)
計算過程

上記より、音波の波長 \(\lambda\) は \(8 \, \text{cm}\) です。これをSI単位に変換します。
$$ \lambda = 8 \, \text{cm} = 0.08 \, \text{m} $$
音速 \(V\) は \(340 \, \text{m/s}\) と与えられています。
波の基本式 \(V=f\lambda\) より、振動数 \(f\) を求めます。
$$
\begin{aligned}
f &= \frac{V}{\lambda} \\[2.0ex]
&= \frac{340}{0.08} \\[2.0ex]
&= \frac{34000}{8} \\[2.0ex]
&= 4250 \, (\text{Hz})
\end{aligned}
$$

この設問の平易な説明

この実験装置は、音の通り道を2つに分けて、また合流させるための道具です。片方の道(管Bを通るルート)は、U字管をスライドさせることで長さを変えることができます。
管Bを \(4 \, \text{cm}\) 引っ張ると、音は行きと帰りで \(4 \, \text{cm}\) ずつ、合計 \(8 \, \text{cm}\) 長い道のりを旅することになります。
問題文の「\(4 \, \text{cm}\) 引くたびに音が小さくなった」というのは、「音の旅する距離を \(8 \, \text{cm}\) 変えるたびに、波のタイミングがちょうど一周分ずれて、再び打ち消し合う状態に戻る」ということを意味しています。
波にとって「タイミングが一周分ずれる距離」というのが、まさに「1波長」のことです。
したがって、この音の波長は \(8 \, \text{cm}\) (\( = 0.08 \, \text{m}\)) だと分かります。
あとは、「音の速さ \(=\) 振動数 \(\times\) 波長」という公式に、与えられた音速 \(340 \, \text{m/s}\) と、今わかった波長 \(0.08 \, \text{m}\) を当てはめれば、振動数を計算することができます。

結論と吟味

音源Sの振動数は \(4250 \, \text{Hz}\) と求められました。これは人間の可聴域(約 \(20 \sim 20000 \, \text{Hz}\))に含まれるやや高めの音であり、物理的に妥当な値です。計算過程での単位換算(cm \(\rightarrow\) m)も正しく行われています。

解答 4250 Hz
別解: 干渉の条件式を立式する解法

思考の道筋とポイント
主たる解法で直感的に用いた「経路差の変化が1波長」という関係を、干渉の条件式を立てて厳密に導出するアプローチです。最初の状態と、管を引いた後の状態、それぞれについて弱め合いの式を立て、それらの差を考えることで波長を求めます。
この設問における重要なポイント

  • 最初の経路差を文字 \(l\) で置く。
  • 管を引いた後の経路差は \(l+8\)。
  • 隣り合う弱め合いなので、条件式の整数 \(m\) が \(m+1\) になる。

具体的な解説と立式
管を引く前の、経路SBCとSACの経路差を \(l\) とします。
このとき音が小さかったので、弱め合いの条件が成立しています。これを整数 \(m\) を用いて表すと、
$$ l = \left( m + \frac{1}{2} \right)\lambda \quad \cdots ① $$
次に、管Bを \(4 \, \text{cm}\) 引くと、経路SBCが \(8 \, \text{cm}\) 長くなるので、新しい経路差は \(l+8\) となります。
このときも音が小さくなったので、再び弱め合いの条件が成立します。これは隣の弱め合いの点なので、整数を \(m+1\) として式を立てます。
$$ l+8 = \left\{ (m+1) + \frac{1}{2} \right\}\lambda \quad \cdots ② $$

使用した物理公式

  • 干渉の弱め合い条件: 経路差 \( = (m + \displaystyle\frac{1}{2})\lambda\)
  • 波の基本式: \(V=f\lambda\)
計算過程

式②から式①を引くことで、未知数である \(l\) と \(m\) を消去します。
$$
\begin{aligned}
(l+8) – l &= \left\{ (m+1) + \frac{1}{2} \right\}\lambda – \left( m + \frac{1}{2} \right)\lambda \\[2.0ex]
8 &= \left( m+1+\frac{1}{2} – m – \frac{1}{2} \right)\lambda \\[2.0ex]
8 &= (1)\lambda \\[2.0ex]
\lambda &= 8 \, (\text{cm})
\end{aligned}
$$
よって、波長は \(\lambda = 8 \, \text{cm} = 0.08 \, \text{m}\) と求まります。
これ以降の計算は主たる解法と同じです。
$$
\begin{aligned}
f &= \frac{V}{\lambda} \\[2.0ex]
&= \frac{340}{0.08} \\[2.0ex]
&= 4250 \, (\text{Hz})
\end{aligned}
$$

この設問の平易な説明

最初の状態を「m番目の弱点」、管を引いた後を「(m+1)番目の弱点」と考えて、それぞれ数式で表現してみます。
「弱点」になる条件は、「道のりの差が、波長の(整数+0.5)倍になる」という式で書けます。
最初の状態の式: \((\text{最初の道のりの差}) = (m+0.5) \times (\text{波長})\)
後の状態の式: \((\text{最初の道のりの差}) + 8\text{cm} = (m+1+0.5) \times (\text{波長})\)
この2つの式の引き算をすると、ややこしい「最初の道のりの差」や「m」がすべてきれいに消去されて、「\(8\text{cm} = 1 \times (\text{波長})\)」という非常にシンプルな関係だけが残ります。
これにより、波長が \(8 \, \text{cm}\) であることが数学的にきちんと確定できます。

結論と吟味

主たる解法と全く同じ結果 \(4250 \, \text{Hz}\) が得られました。この別解は、物理的な洞察を数式で裏付ける厳密な方法であり、解の正しさをより確かなものにします。

解答 4250 Hz

【総まとめ】この一問を未来の得点力へ!完全マスター講座

最重要ポイント:この問題の核心となる物理法則は?
  • 干渉条件の変化量:
    • 核心: この問題の根幹は、「ある干渉状態(例:弱め合い)から、隣の同じ干渉状態へ移るには、経路差をちょうど1波長 \(\lambda\) だけ変化させればよい」という物理法則を理解し、応用することにあります。
    • 理解のポイント:
      • 「〜するたびに」の意味: 問題文の「\(4 \, \text{cm}\) 引くたびに音が小さくなった」という表現は、物理的に「経路長を \(8 \, \text{cm}\) 変化させるごとに、弱め合いの条件が繰り返し成立した」と翻訳できます。
      • なぜ1波長なのか?: 弱め合いの条件は、経路差が \(\dots, (m-\frac{1}{2})\lambda, (m+\frac{1}{2})\lambda, (m+\frac{3}{2})\lambda, \dots\) となる点です。これらの値の差(間隔)は、常に \(\lambda\) です。したがって、ある弱め合いの状態から、経路差を \(\lambda\) だけ増やせば、必ず次の弱め合いの状態に到達します。これは強め合いの場合でも同様です。
      • 経路長の変化と経路差の変化: クインケ管では、U字管を \(x\) だけ動かすと、経路長は往復分の \(2x\) だけ変化します。この経路長の変化が、そのまま経路差の変化になります。この「2倍」の関係を見落とさないことが重要です。
応用テクニック:似た問題が出たらココを見る!解法の鍵と着眼点
  • 応用できる類似問題のパターン:
    • 光の干渉(ニュートンリング、薄膜): レンズとガラス板の隙間や、シャボン玉の膜などで見られる光の干渉も同じ原理です。場所によって隙間や膜の厚さが変わることで経路差が変化し、明暗の縞模様ができます。隣り合う明線(または暗線)の間隔は、経路差が1波長分変化する距離に対応します。
    • マイケルソン干渉計: 光学機器の一種で、鏡を動かして光の経路長を精密に変化させ、干渉縞の移動を観測します。鏡を \(\Delta x\) 動かすと経路長は \(2\Delta x\) 変化し、干渉縞が1本移動するごとに経路差が \(\lambda\) 変化したことに対応します。これを利用して光の波長を精密に測定できます。
    • ドップラー効果との複合問題: 音源が動きながら音を出す場合、観測される振動数が変化します(ドップラー効果)。この変化した音波がクインケ管に入射するような問題では、まずドップラー効果で波長を計算し、その後に干渉条件を考える、という2段階のアプローチが必要になります。
  • 初見の問題での着眼点:
    1. 変化量に着目: 「〜するたびに」「〜だけ動かすと」といった、状態の変化を表す言葉に注目します。初期状態が不明でも、変化量だけで解ける問題が多いです。
    2. 経路長の変化を正確に把握: 装置のどの部分を動かすと、波の進む道のりが具体的にどれだけ変わるのかを図から正確に読み取ります。クインケ管やマイケルソン干渉計のように「往復」する経路では、変化量が2倍になる点に特に注意します。
    3. 変化量と波長の関係を結びつける: 「隣り合う強め(弱め)合いへの変化 \(\iff\) 経路差の変化が \(\lambda\)」という関係式を立てます。これが問題の核心部分です。
    4. 単位の統一: 距離は[cm]で与えられ、音速は[m/s]で与えられることがほとんどです。計算の最終段階で \(V=f\lambda\) を使う前に、必ずすべての物理量をSI基本単位(m, s, Hz)に変換する習慣をつけます。
要注意!ありがちなミス・誤解とその対策
  • 経路長の変化を2倍し忘れる:
    • 誤解: 管を \(4 \, \text{cm}\) 引いたので、経路差の変化も \(4 \, \text{cm}\) だと勘違いする。
    • 対策: クインケ管の図をよく見て、音がU字管を「行って戻ってくる」ことを常に意識します。動かした距離の「往復分」が経路長の変化になる、と頭に叩き込みましょう。簡単な図を描いて、音の進む矢印を書き込んでみるのも有効です。
  • 変化量と波長の関係の混同:
    • 誤解: 隣り合う弱め合いへの変化なのに、経路差の変化を \(\lambda/2\) と勘違いする。
    • 対策: 「強め合いと弱め合いの間隔」が \(\lambda/2\) であり、「弱め合いと次の弱め合いの間隔」は \(\lambda\) であることを明確に区別します。弱め合いの条件式 \( (m+\frac{1}{2})\lambda \) で、\(m\) が \(m+1\) に変わることを考えれば、差が \(\lambda\) になることは明らかです。迷ったら条件式に立ち返るのが安全です。
  • 単位換算のミス:
    • 誤解: \(\lambda = 8 \, \text{cm}\) のまま、\(f = 340 / 8\) と計算してしまう。
    • 対策: 物理計算の鉄則として、「計算を始める前に、すべての単位をSI基本単位に揃える」ことを儀式化しましょう。問題用紙の余白に \(\lambda = 8 \, \text{cm} = 0.08 \, \text{m}\) と書き出してから、公式に代入する癖をつけます。
なぜその公式?論理的な公式選択と適用の思考法
  • 変化量に着目した解法:
    • 選定理由: この問題では、管を引く前の初期状態(最初の経路差 \(l\) や、それが何番目の弱め合いかを表す整数 \(m\))が全く与えられていません。このように未知数が多くて直接解けない場合、状態を変化させたときの「差」や「変化量」に着目するのが定石です。別解で示したように、2つの状態の式を引き算することで、未知数である \(l\) や \(m\) を消去し、求めたい物理量だけの関係式を導くことができます。
    • 適用根拠: 物理法則は、どの状態においても同じ形で成り立ちます。したがって、変化前の状態と変化後の状態、それぞれについて同じ法則(今回は弱め合いの干渉条件)で立式することができ、それらを連立方程式として解くという数学的な操作が正当化されます。
  • 波の基本式 \(V=f\lambda\):
    • 選定理由: 問題の最終目標は「振動数 \(f\) を求める」ことです。一方、干渉の条件から直接わかるのは「波長 \(\lambda\)」です。この \(\lambda\) と \(f\) を結びつける唯一の関係式が、波の基本式 \(V=f\lambda\) です。音速 \(V\) は与えられているので、この式を使えば \(\lambda\) から \(f\) を計算できます。
    • 適用根拠: 音速 \(V\) は、媒質(ここでは空気)の状態によって決まる定数です。音源の振動数 \(f\) は音源の性質で決まります。その結果として、波長 \(\lambda\) が \(V/f\) という値に決まります。これらの3つの量は、常に \(V=f\lambda\) という関係で結びついており、いつでも適用することができます。
計算ミスをなくす!日頃の意識と実践テクニック
  • 単位換算の先行実施: 計算の最後にまとめて単位を換算しようとすると、忘れがちです。問題文を読んで物理量をリストアップする段階で、すべてSI単位に直してメモする習慣をつけましょう。「\(L = 4 \, \text{cm} \rightarrow 0.04 \, \text{m}\)」「\(V = 340 \, \text{m/s}\)」のように、単位を明記して書き出すのがポイントです。
  • 小数の割り算の工夫: \(340 / 0.08\) のような計算では、まず分母と分子を100倍して整数に直します(\(34000 / 8\))。その後、大きな数をいきなり割るのではなく、2や4で繰り返し割っていくと計算ミスが減ります。
    \(34000 \div 8 = (34000 \div 2) \div 4 = 17000 \div 4 = (17000 \div 2) \div 2 = 8500 \div 2 = 4250\)。
  • 物理量の関係を図示する: 問題の状況を簡単な図でメモするのも有効です。「管を \(4 \, \text{cm}\) 引く」\(\rightarrow\)「経路長 \(\Delta L = 8 \, \text{cm}\) 変化」\(\rightarrow\)「弱め合いが隣に移る」\(\rightarrow\)「\(\Delta L = \lambda\)」\(\rightarrow\)「\(\lambda = 8 \, \text{cm}\)」という思考の流れを、矢印でつないで書き出すことで、論理のステップが明確になり、ミスを防げます。
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53 ヤングの実験

【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド

この問題のテーマは、光の干渉現象の代表例である「ヤングの実験」です。実験の装置設定(スリット間隔、スクリーンまでの距離)と、観測結果(明線の間隔)から、光源となった光の波長を求める、基本的な計算問題です。

問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。

  1. 経路差の近似式: ヤングの実験において、2つのスリットからスクリーン上の点までの光路の差(経路差)が、スリット間隔 \(d\)、スクリーンまでの距離 \(l\)、スクリーン中心からの距離 \(x\) を用いて、\( \displaystyle\frac{dx}{l} \) と近似できること。
  2. 明線の条件: 経路差が波長の整数倍 (\(m\lambda\)) となるとき、光は強め合って明線となること。
  3. 明線間隔の公式: 上記の2つの関係から導かれる、隣り合う明線の間隔 \(\Delta x\) が \( \displaystyle\frac{l\lambda}{d} \) で与えられるという公式。
  4. 単位換算: 問題で与えられているミリメートル(mm)を、計算に使用するメートル(m)へ正しく変換すること。

基本的なアプローチは以下の通りです。

  1. ヤングの実験における明線間隔の公式 \(\Delta x = \displaystyle\frac{l\lambda}{d}\) を立てます。
  2. この式を、求めたい物理量である波長 \(\lambda\) について解きます。
  3. 与えられた数値をすべてSI基本単位(メートル)に変換し、式に代入して \(\lambda\) を計算します。

用いた光の波長

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