波動範囲 31~35
31 ドップラー効果の原理と公式
【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド
この問題のテーマは「円運動する音源のドップラー効果(時間差の計算)」です。前問30の設定を引き継ぎ、音源が円周上の特定の位置から音を出してから、観測者がその音を聞くまでの時間差を定量的に計算します。音の伝播時間を考慮する必要があるかどうかが、この問題の核心となります。
問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。
- ドップラー効果が最大・最小・ゼロになる位置の特定: 前問30で考察した通り、最も高い音は接点A、最も低い音は接点C、音源と同じ高さの音は点Bで出されることを理解していること。
- 音の到達時刻の概念: 観測者が音を聞く時刻は、「音源が音を出した時刻」に「音が観測者まで伝わる時間(伝播時間)」を足したものであること。
- 音の伝播時間: 伝播時間は、音源と観測者の距離を音速で割ることで計算できる (\((\text{時間}) = (\text{距離}) / (\text{速さ})\))。
- 幾何学的な考察: 円の半径や距離の関係から、三角比や三平方の定理を用いて、角度や辺の長さを正確に計算する能力。
基本的なアプローチは以下の通りです。
- \(T_1\)の計算:
- まず、音源がA点からC点まで移動する時間を、円運動の周期 \(T\) を用いて計算します。
- 次に、A点からP点までの距離と、C点からP点までの距離を比較し、音の伝播時間が聞く時間差に影響するかを考察します。
- \(T_2\)の計算:
- 「最も高い音(A点から出た音)がP点に到達する時刻」を計算します。
- 「音源と同じ高さの音(B点から出た音)がP点に到達する時刻」を計算します。このとき、音源がA点からB点まで移動する時間も考慮に入れます。
- 上記2つの到達時刻の差をとることで、\(T_2\) を求めます。
時間 \(T_1\) の計算
思考の道筋とポイント
\(T_1\) は、「P点で最も高い音を聞いた時刻」と「P点で最も低い音を聞いた時刻」の差です。
これは、音源がA点から出した音がP点に届く時刻と、C点から出した音がP点に届く時刻の差を求めればよいことになります。
ある点Xで出された音がP点に届く時刻 \(t_{PX}\) は、
\(t_{PX} = (\text{X点で音が出た時刻}) + (\text{X点からP点までの音の伝播時間})\)
で計算できます。
したがって、\(T_1\) は、音源がAからCへ移動する時間と、A点とC点からの音の伝播時間の差の両方を考慮する必要があります。
しかし、この問題の幾何学的な配置から、A点とC点はPに対して対称的な位置にあるため、距離APと距離CPは等しくなります。このことが計算を単純化する鍵となります。
この設問における重要なポイント
- A点、C点は、観測者Pから円に引いた接線の接点である。
- \(\triangle \text{OAP}\) と \(\triangle \text{OCP}\) は合同な直角三角形であり、したがって距離 \(\text{AP} = \text{CP}\) である。
- 音の伝播時間が等しいため、P点で聞く時間差は、音源がA点からC点まで移動した時間に等しくなる。
具体的な解説と立式
最も高い音が聞こえるのはA点で出された音、最も低い音が聞こえるのはC点で出された音です。
A点で音が出た時刻を \(t_A\)、その音がP点に届く時刻を \(t_{PA}\) とすると、
$$ t_{PA} = t_A + \frac{\text{AP}}{V} $$
同様に、C点で音が出た時刻を \(t_C\)、その音がP点に届く時刻を \(t_{PC}\) とすると、
$$ t_{PC} = t_C + \frac{\text{CP}}{V} $$
求める時間 \(T_1\) は、これらの到達時刻の差なので、
$$
\begin{aligned}
T_1 &= t_{PC} – t_{PA} \\[2.0ex]
&= (t_C – t_A) + \frac{\text{CP} – \text{AP}}{V}
\end{aligned}
$$
ここで、幾何学的な関係を考えます。\(\triangle \text{OAP}\) と \(\triangle \text{OCP}\) において、
- 辺OPは共通
- \(\text{OA} = \text{OC} = r\) (円の半径)
- \(\angle \text{OAP} = \angle \text{OCP} = 90^\circ\) (半径と接線は垂直)
よって、2つの直角三角形は合同であり、\(\text{AP} = \text{CP}\) となります。
したがって、伝播時間の差は0となり、
$$ T_1 = t_C – t_A $$
これは、音源がA点からC点まで移動する時間に他なりません。
この移動時間を求めるために、中心角 \(\angle \text{AOC}\) を計算します。\(\triangle \text{OAP}\) において、
$$
\begin{aligned}
\cos(\angle \text{AOP}) &= \frac{\text{OA}}{\text{OP}} \\[2.0ex]
&= \frac{r}{2r} \\[2.0ex]
&= \frac{1}{2}
\end{aligned}
$$
よって、\(\angle \text{AOP} = 60^\circ\) です。
三角形の合同から \(\angle \text{COP} = \angle \text{AOP} = 60^\circ\) なので、
$$
\begin{aligned}
\angle \text{AOC} &= \angle \text{AOP} + \angle \text{COP} \\[2.0ex]
&= 60^\circ + 60^\circ \\[2.0ex]
&= 120^\circ
\end{aligned}
$$
音源は周期 \(T\) で \(360^\circ\) 回転するので、\(120^\circ\) 回転するのにかかる時間は、
$$
\begin{aligned}
t_C – t_A &= \frac{120^\circ}{360^\circ} T \\[2.0ex]
&= \frac{1}{3}T
\end{aligned}
$$
使用した物理公式
- 時間の関係式: \((\text{聞く時刻}) = (\text{出る時刻}) + (\text{伝播時間})\)
- 等速円運動: \((\text{移動時間}) = (\text{周期}) \times \frac{(\text{中心角})}{360^\circ}\)
- 三角比
以上の立式より、
$$ T_1 = \frac{1}{3}T $$
最も高い音が聞こえるA点と、最も低い音が聞こえるC点は、観測者Pから見てちょうど左右対称の位置にあります。そのため、A点から出た音とC点から出た音がP点に届くまでにかかる時間は全く同じです。
ということは、P点で聞く音の時間差は、純粋に音源がA点からC点まで移動した時間そのものになります。
幾何学的に計算すると、A点からC点までの移動は円の \(1/3\) 周分にあたるので、かかる時間も周期 \(T\) の \(1/3\) となります。
最も高い音を聞いてから最も低い音を聞くまでの時間 \(T_1\) は \(\displaystyle\frac{1}{3}T\) となりました。この計算では、A点とC点からの音の伝播時間が偶然一致したため、音源の移動時間だけを考えればよかったことがわかります。
時間 \(T_2\) の計算
思考の道筋とポイント
\(T_2\) は、「P点で最も高い音を聞いた時刻」と「P点で音源と同じ高さの音を聞いた時刻」の差です。
これは、A点で出た音がP点に届く時刻と、B点で出た音がP点に届く時刻の差を求めればよいことになります。
\(T_1\) の場合と異なり、A点とB点ではP点までの距離が明らかに異なります(B点の方が近い)。したがって、音の伝播時間を無視することはできず、それぞれの音がP点に到達する絶対的な時刻を計算し、その差をとる必要があります。これがこの問題の最大のポイントであり、注意すべき点です。
この設問における重要なポイント
- 距離 \(\text{AP} \neq \text{BP}\) であるため、音の伝播時間を考慮する必要がある。
- A点からPまでの距離APと、B点からPまでの距離BPを正確に計算する。
- 音源がA点からB点まで移動する時間を計算する。
- 「A音の到達時刻」と「B音の到達時刻」をそれぞれ計算し、その差をとる。
具体的な解説と立式
A点で音が出た時刻を \(t=0\) とします。
1. A音の到達時刻 \(t_{PA}\) を計算する
A点で出た音は、距離APだけ進んでP点に到達します。
直角三角形OAPにおいて、三平方の定理より、
$$
\begin{aligned}
\text{AP} &= \sqrt{\text{OP}^2 – \text{OA}^2} \\[2.0ex]
&= \sqrt{(2r)^2 – r^2} \\[2.0ex]
&= \sqrt{3r^2} \\[2.0ex]
&= \sqrt{3}r
\end{aligned}
$$
したがって、A音がP点に届く時刻 \(t_{PA}\) は、
$$
\begin{aligned}
t_{PA} &= 0 + \frac{\text{AP}}{V} \\[2.0ex]
&= \frac{\sqrt{3}r}{V}
\end{aligned}
$$
2. B音の到達時刻 \(t_{PB}\) を計算する
まず、音源がA点からB点まで移動する時間を求めます。B点はOP上の点なので、中心角は \(\angle \text{AOB} = \angle \text{AOP} = 60^\circ\) です。
よって、音源がB点に達し、音を出す時刻は、
$$
\begin{aligned}
t_B &= \frac{60^\circ}{360^\circ} T \\[2.0ex]
&= \frac{T}{6}
\end{aligned}
$$
次に、B点からP点までの距離BPを求めます。
$$
\begin{aligned}
\text{BP} &= \text{OP} – \text{OB} \\[2.0ex]
&= 2r – r \\[2.0ex]
&= r
\end{aligned}
$$
B点で出た音がP点に届くまでの伝播時間は \(\text{BP}/V = r/V\) です。
したがって、B音がP点に届く時刻 \(t_{PB}\) は、
$$
\begin{aligned}
t_{PB} &= (\text{B点で音が出た時刻}) + (\text{伝播時間}) \\[2.0ex]
&= \frac{T}{6} + \frac{r}{V}
\end{aligned}
$$
3. 時間差 \(T_2\) を計算する
求める時間 \(T_2\) は、B音の到達時刻とA音の到達時刻の差です。
$$ T_2 = t_{PB} – t_{PA} $$
使用した物理公式
- 時間の関係式: \((\text{聞く時刻}) = (\text{出る時刻}) + (\text{伝播時間})\)
- 三平方の定理
$$
\begin{aligned}
T_2 &= \left( \frac{T}{6} + \frac{r}{V} \right) – \frac{\sqrt{3}r}{V} \\[2.0ex]
&= \frac{T}{6} + \frac{r – \sqrt{3}r}{V} \\[2.0ex]
&= \frac{T}{6} – \frac{(\sqrt{3}-1)r}{V}
\end{aligned}
$$
今度は、最も高い音が聞こえるA点と、元の高さの音が聞こえるB点を比べます。B点の方が観測者Pに近いので、B点から出た音の方が早くP点に届きます。
この「早く届く効果」を考慮しないといけません。
単純に音源がA点からB点まで移動する時間(周期の1/6)だけを考えると間違うのはこのためです。
正しい手順は、(1) A点から出た音がP点にゴールする時刻を計算し、(2) B点から出た音がP点にゴールする時刻を計算し、(3) 2つのゴール時刻の差をとる、という流れになります。
\(T_2 = \displaystyle\frac{T}{6} – \frac{(\sqrt{3}-1)r}{V}\) となりました。
この結果は、音源がAからBへ移動する時間 \(\displaystyle\frac{T}{6}\) よりも、\(\displaystyle\frac{(\sqrt{3}-1)r}{V}\) だけ短くなっています。これは、B点の方がA点よりもP点に近く、音が早く届くため、聞く時間の間隔がその分だけ縮まることを意味しており、物理的に妥当な結果です。
【総まとめ】この一問を未来の得点力へ!完全マスター講座
最重要ポイント:この問題の核心となる物理法則は?
- 音の到達時刻と伝播時間:
- 核心: この問題の根幹は、観測者が音を聞く「時刻」と、音源が音を発する「時刻」との間には、音が空間を伝わるための「伝播時間」のズレがある、という点を正確に理解し、計算に反映させることです。
- 理解のポイント:
- 聞く時刻の定義: \((\text{聞く時刻}) = (\text{発する時刻}) + (\text{伝播時間})\)。この関係式が全ての問題解決の出発点となります。
- 伝播時間の影響: 音源と観測者の距離が変わると、伝播時間も変わります。そのため、音源が異なる2点から音を出した場合、観測者が聞く時間の間隔は、音源がその2点を移動した時間と必ずしも一致しません。
- \(T_1\)と\(T_2\)の比較: \(T_1\)の計算では、A点とC点がPから等距離にあったため、伝播時間の差が偶然ゼロになり、結果的に音源の移動時間と一致しました。一方、\(T_2\)の計算では、A点とB点の距離が異なるため、伝播時間の差を考慮する必要があり、これがこの問題の最大の「ひっかけ」ポイントとなっています。
応用テクニック:似た問題が出たらココを見る!解法の鍵と着眼点
- 応用できる類似問題のパターン:
- 雷の光と音: 雷が光ってから音が聞こえるまでの時間差を考える問題。光はほぼ瞬時に届く(伝播時間ゼロ)とみなせるため、音の伝播時間から雷までの距離を計算できます。
- 天文観測(超新星爆発など): 遠方の星で起きた現象を観測する時刻は、実際に現象が起きた時刻から、光が地球に届くまでの時間(光年単位の伝播時間)だけ遅れています。
- エコー(やまびこ): 音が壁まで往復する伝播時間を考える問題。これも本質的には同じ考え方です。
- 初見の問題での着眼点:
- 「聞くまでの時間」を問われたら伝播時間を疑う: 問題文が、音源の運動時間ではなく、観測者が「聞く」時間について言及している場合、ほぼ必ず音の伝播時間を考慮する必要があります。
- イベントの時刻を定義する: 「A点で音が出る時刻」「A点の音がP点に届く時刻」「B点で音が出る時刻」「B点の音がP点に届く時刻」のように、関連する全てのイベントの時刻を文字で定義し、関係性を整理します。
- 幾何学的な情報を整理する: 問題で与えられた半径や距離の情報から、必要な辺の長さや角度を、三角比や三平方の定理を用いて事前に計算しておきます。
- 対称性に注目する: \(T_1\)の計算のように、図形に対称性がある場合、距離や角度の関係が単純化され、計算が楽になることがあります。安易に計算を始める前に、図形全体を眺めて対称性がないかを探すのが有効です。
要注意!ありがちなミス・誤解とその対策
- 伝播時間を無視してしまう(最重要):
- 誤解: 観測者が聞く時間間隔は、音源が移動する時間間隔と同じだと考えてしまう(例: \(T_2 = T/6\) としてしまう)。
- 対策: 「音は有限の速さで伝わる」という物理の基本原則を常に意識します。音源と観測者の距離が変化する状況では、伝播時間も変化するため、聞く時間間隔と音源の移動時間間隔は一致しないのが普通です。\(T_1\)で一致したのは、あくまで対称性による例外的なケースであったと理解することが重要です。
- 幾何学的な計算ミス:
- 誤解: \(\triangle \text{OAP}\) が直角三角形であることを見抜けず、辺の長さや角度を正しく計算できない。
- 対策: 前問30の「最高音・最低音の点は接点である」という結論をしっかりと思い出します。「円の接線と、接点を通る半径は垂直に交わる」という中学校で習う幾何学の定理が、この問題の鍵を握っています。
- 時間の足し忘れ:
- 誤解: B音の到達時刻を計算する際に、音源がAからBへ移動する時間 \(T/6\) を足し忘れてしまう。
- 対策: 「聞く時刻 = 出る時刻 + 伝播時間」の定義式に忠実に計算を進めることがミスを防ぎます。B点で音が出るのは、A点で音が出てから \(T/6\) 秒後であることを明確に意識します。
なぜその公式?論理的な公式選択と適用の思考法
- 到達時刻の定義式 \(t_{\text{聞}} = t_{\text{発}} + \text{距離}/V\):
- 選定理由: この問題は、ドップラー効果の公式を直接使うのではなく、その結果(A, B, C点の特定)を利用して、さらに時間差を問う問題です。このような「時刻」や「時間差」を扱う問題では、現象を時系列で追跡するための最も基本的な関係式であるこの定義式が思考の出発点となります。
- 適用根拠: この式は、速さ・距離・時間の関係 \((\text{時間}) = (\text{距離}) / (\text{速さ})\) を、具体的な物理イベント(音の発生と受信)に適用したものです。物理学における最も基本的な関係式の一つであり、その適用は常に正当化されます。
- 幾何学(三角比・三平方の定理):
- 選定理由: 伝播時間を計算するためには、音源と観測者の間の「距離」を求める必要があります。問題の設定が円運動という幾何学的な状況であるため、距離を計算する道具として、これらの幾何学の定理が必要となります。
- 適用根拠: 物理法則を適用する前段階として、問題の状況を数学的に記述する必要があります。この問題では、その記述に幾何学の知識が不可欠となります。物理と数学が密接に連携する良い例です。
計算ミスをなくす!日頃の意識と実践テクニック
- ルートの計算を恐れない: 計算途中で \(\sqrt{3}\) のような無理数が出てきても、慌てずに文字式のまま計算を進めましょう。最終的な答えも、無理数を含んだ形で表現するのが最も正確です。
- 項を整理する: \(T_2\) の最終的な答えは、周期 \(T\) に依存する項と、半径 \(r\) や音速 \(V\) に依存する補正項に分かれています。\( \frac{T}{6} – \frac{(\sqrt{3}-1)r}{V} \) のように、それぞれの物理的意味がわかるように項を整理して解答すると、見通しが良くなります。
- 物理的な意味を吟味する: \(T_2\) の補正項 \(-\frac{(\sqrt{3}-1)r}{V}\) は負の値です。これは、聞く時間間隔が、音源の移動時間間隔よりも短くなることを意味します。その理由は「B点の方がA点よりP点に近いから、音が早く届く分だけ間隔が詰まる」と物理的に説明できます。このように、計算結果の各項が持つ物理的な意味を考えることで、答えの妥当性を確認できます。
32 ドップラー効果の原理と公式
【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド
本解説は、模範解答で採用されている解法(音のドップラー効果の公式を光速に適用し、振動数の式から導出する解法)を主たる解説としつつ、以下の別解を提示します。
- 提示する別解
- 光のドップラー効果における波長の近似式を直接用いる解法
- 主たる解法が、振動数の公式から出発して波長の関係式を導くのに対し、別解では、結果として得られる波長の近似式 \(\lambda’ \approx \lambda_0 (1+v/c)\) を直接利用して、より簡潔に速さを求めます。
- 光のドップラー効果における波長の近似式を直接用いる解法
- 上記の別解が有益である理由
- 解法の効率化: この波長の近似式は、光のドップラー効果を扱う上で非常に有用であり、覚えておくことで計算ステップを大幅に短縮できます。
- 物理的意味の直感的な理解: 「遠ざかる速さ \(v\) が光速 \(c\) に対してどれくらいの割合かによって、波長が伸びる割合が決まる」という、物理的な意味が直感的に理解しやすい公式です。
- 結果への影響
- いずれのアプローチを用いても、計算過程や思考の出発点が異なるだけで、最終的に得られる答えは模範解答と完全に一致します。
この問題のテーマは「光のドップラー効果」です。音の場合と同様に、光でも、光源と観測者の相対運動によって波長(光の色)や振動数が変化する現象が起こります。この原理を用いて、遠方の天体の運動を解析する天文学の基本的な考え方を学びます。
問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。
- 波の基本式: 光速 \(c\)、振動数 \(f\)、波長 \(\lambda\) の間に \(c=f\lambda\) の関係が成り立つこと。光速 \(c\) は、光源や観測者の運動によらず一定であること。
- ドップラー効果の定性的理解: 光源が遠ざかると、波長が長く(赤っぽく)なり、振動数が小さくなる「赤方偏移(レッドシフト)」が起こること。逆に、光源が近づくと、波長が短く(青っぽく)なり、振動数が大きくなる「青方偏移(ブルーシフト)」が起こること。
- 光のドップラー効果の公式: 光源の速さ \(v\) が光速 \(c\) に比べて十分小さい場合、音のドップラー効果の公式を光速に適用した近似式が使えること。
基本的なアプローチは以下の通りです。
- まず、観測された光の波長が、元の波長より長くなっているという事実から、星雲が地球から遠ざかっているのか、近づいているのかを定性的に判断します。
- 次に、光のドップラー効果の公式(音の公式の流用)を用いて、星雲の速さ \(v\) を、与えられた記号(\(\lambda_0, \lambda_1, c\))を用いて表します。
近づいているか、遠ざかっているか
思考の道筋とポイント
問題文より、観測された波長 \(\lambda_1\) は、静止しているときに出る光の波長 \(\lambda_0\) よりも長い(\(\lambda_1 > \lambda_0\))とあります。
波の基本式 \(c=f\lambda\) の関係を考えます。光速 \(c\) は常に一定なので、波長 \(\lambda\) が長くなったということは、振動数 \(f\) は逆に小さくなったことを意味します。
ドップラー効果において、観測される振動数が小さくなる(音が低くなる、光が赤っぽくなる)のは、音源(光源)が観測者から遠ざかっている場合です。
この設問における重要なポイント
- 光速 \(c\) は不変である。
- \(c=f\lambda\) より、波長が長くなる \(\iff\) 振動数が小さくなる。
- 振動数が小さくなるのは、光源が観測者から遠ざかるときである。
- この現象は「赤方偏移(レッドシフト)」と呼ばれる。
具体的な解説と立式
波の基本式 \(c=f\lambda\) より、振動数 \(f\) は \(f=c/\lambda\) と表せます。
静止している水素原子が出す光の振動数を \(f_0\)、星雲から観測された光の振動数を \(f_1\) とすると、
$$ f_0 = \frac{c}{\lambda_0}, \quad f_1 = \frac{c}{\lambda_1} $$
問題の条件より \(\lambda_1 > \lambda_0\) なので、分母が大きい \(f_1\) の方が小さくなります。すなわち \(f_1 < f_0\) です。
観測される振動数が元の振動数より小さくなるのは、ドップラー効果において光源が観測者から遠ざかる場合です。
したがって、この星雲は地球から遠ざかっています。
救急車が遠ざかるとサイレンの音が低く聞こえるのと同じように、星が遠ざかると、その星から出る光の波長が伸びて見えます。波長が長い光は赤色に近いので、この現象を「赤方偏移」と呼びます。問題では、波長が \(\lambda_0\) から \(\lambda_1\) へと長くなっているので、星雲は遠ざかっていると判断できます。
観測された光の波長が伸びている(赤方偏移)ことから、星雲は地球から遠ざかっていると結論できます。これは、宇宙が膨張していることを示す観測事実の基本原理でもあります。
速さ \(v\) はいくらか
思考の道筋とポイント
星雲の速さ \(v\) を計算するために、ドップラー効果の公式を適用します。光源の速さ \(v\) が光速 \(c\) に比べて十分小さい場合、音のドップラー効果の公式で音速 \(V\) を光速 \(c\) に置き換えたものが、良い近似式として利用できます。
観測者(地球)は静止しており、光源(星雲)が速さ \(v\) で遠ざかっている状況として立式し、それを \(v\) について解きます。
この設問における重要なポイント
- 観測者(地球)は静止しているので、\(v_{\text{観測者}} = 0\)。
- 光源(星雲)は遠ざかっている。光源から観測者へ向かう向きを正とすると、光源の速度は \(v_{\text{光源}} = -v\)。
- 音速 \(V\) の代わりに光速 \(c\) を用いる。
具体的な解説と立式
観測される振動数 \(f_1\) は、ドップラー効果の公式より、
$$ f_1 = \frac{c – v_{\text{観測者}}}{c – v_{\text{光源}}} f_0 $$
ここに、\(v_{\text{観測者}} = 0\)、\(v_{\text{光源}} = -v\) を代入すると、
$$
\begin{aligned}
f_1 &= \frac{c – 0}{c – (-v)} f_0 \\[2.0ex]
&= \frac{c}{c+v} f_0
\end{aligned}
$$
この振動数の式を、波長の式に書き換えます。\(f_1 = c/\lambda_1\) と \(f_0 = c/\lambda_0\) を代入すると、
$$ \frac{c}{\lambda_1} = \frac{c}{c+v} \frac{c}{\lambda_0} $$
この式を \(v\) について解きます。
使用した物理公式
- ドップラー効果の公式: \(f’ = \displaystyle\frac{c-v_O}{c-v_S} f_0\)
- 波の基本式: \(c = f\lambda\)
立式した波長の関係式を整理します。
$$
\begin{aligned}
\frac{c}{\lambda_1} &= \frac{c^2}{(c+v)\lambda_0} \\[2.0ex]
\frac{1}{\lambda_1} &= \frac{c}{(c+v)\lambda_0}
\end{aligned}
$$
両辺の逆数をとると、
$$
\begin{aligned}
\lambda_1 &= \frac{(c+v)\lambda_0}{c} \\[2.0ex]
&= \left( \frac{c+v}{c} \right) \lambda_0 \\[2.0ex]
&= \left( 1 + \frac{v}{c} \right) \lambda_0
\end{aligned}
$$
この式を \(v\) について解きます。
$$
\begin{aligned}
\frac{\lambda_1}{\lambda_0} &= 1 + \frac{v}{c} \\[2.0ex]
\frac{v}{c} &= \frac{\lambda_1}{\lambda_0} – 1 \\[2.0ex]
\frac{v}{c} &= \frac{\lambda_1 – \lambda_0}{\lambda_0}
\end{aligned}
$$
したがって、速さ \(v\) は、
$$ v = \frac{\lambda_1 – \lambda_0}{\lambda_0} c $$
救急車が遠ざかるとサイレンが低く聞こえるのと同じで、星が遠ざかると光の「色」が赤寄りにずれます(波長が長くなります)。この波長の「ずれの割合」は、星が遠ざかる速さが光速に対してどれくらいの割合か、に比例します。
この関係を数式にすると \(\frac{(\text{波長の伸び})}{(\text{元の波長})} = \frac{(\text{星の速さ})}{(\text{光の速さ})}\) となります。この式を変形して、星の速さを計算します。
星雲の速さ \(v\) は \(\displaystyle\frac{\lambda_1 – \lambda_0}{\lambda_0} c\) と表せます。
この式は、波長の変化率 \((\lambda_1 – \lambda_0)/\lambda_0\) に光速 \(c\) を掛けたものが、星雲の速さ \(v\) になることを示しており、物理的に妥当な関係です。例えば、波長が1%伸びたなら、その天体は光速の1%の速さで遠ざかっている、ということを意味します。
思考の道筋とポイント
光のドップラー効果については、光源の速さ \(v\) が光速 \(c\) に比べて十分小さいとき(\(v \ll c\))、観測される波長 \(\lambda’\) は、
$$ \lambda’ \approx \lambda_0 \left( 1 \pm \frac{v}{c} \right) $$
という近似式で与えられることが知られています(複号は、近づくときが `-`、遠ざかるときが `+`)。
この問題では、星雲が遠ざかっていることがわかっているので、この公式を直接利用して速さ \(v\) を求めることができます。
この設問における重要なポイント
- 遠ざかる光源のドップラー効果による波長の公式 \(\lambda_1 = \lambda_0 (1 + \frac{v}{c})\) を用いる。
- この公式は、\(v \ll c\) の場合に成り立つ近似式である。
具体的な解説と立式
星雲が速さ \(v\) で遠ざかっているため、観測される波長 \(\lambda_1\) は、元の波長 \(\lambda_0\) を用いて以下の近似式で表されます。
$$ \lambda_1 = \lambda_0 \left( 1 + \frac{v}{c} \right) $$
この式を、未知数である速さ \(v\) について解きます。
使用した物理公式
- 光のドップラー効果における波長の近似式: \(\lambda’ \approx \lambda_0 (1 + v/c)\) (遠ざかる場合)
立式した \(\lambda_1 = \lambda_0 (1 + \frac{v}{c})\) の両辺を \(\lambda_0\) で割ります。
$$
\begin{aligned}
\frac{\lambda_1}{\lambda_0} &= 1 + \frac{v}{c}
\end{aligned}
$$
1を移項します。
$$
\begin{aligned}
\frac{v}{c} &= \frac{\lambda_1}{\lambda_0} – 1 \\[2.0ex]
&= \frac{\lambda_1 – \lambda_0}{\lambda_0}
\end{aligned}
$$
最後に両辺に \(c\) を掛けて、\(v\) を求めます。
$$
\begin{aligned}
v &= \frac{\lambda_1 – \lambda_0}{\lambda_0} c
\end{aligned}
$$
光のドップラー効果には、波長の変化と速度の関係を表す便利な近似式があります。遠ざかるときは「波長が \(v/c\) の割合で伸びる」というこの式 \(\lambda_1 = \lambda_0 (1 + v/c)\) を使えば、振動数を考えなくても直接、速さを計算できます。
主たる解法と完全に同じ結果が得られました。この波長の近似式は、主たる解法で振動数の公式から導出した中間式そのものです。この公式を覚えていれば、より迅速に解答にたどり着くことができます。
【総まとめ】この一問を未来の得点力へ!完全マスター講座
最重要ポイント:この問題の核心となる物理法則は?
- 光のドップラー効果と赤方偏移:
- 核心: この問題の根幹は、ドップラー効果が音だけでなく光にも適用でき、特に遠方の天体が我々から遠ざかっている場合、その光の波長が長くなる(赤色側にずれる)という「赤方偏移(レッドシフト)」の原理を理解することにあります。
- 理解のポイント:
- 波長と振動数の関係: 光速 \(c\) は不変であるため、波の基本式 \(c=f\lambda\) より、波長 \(\lambda\) が長くなることと、振動数 \(f\) が小さくなることは等価な現象です。
- 遠ざかる効果: ドップラー効果において、振動数が小さくなる(音が低くなる)のは、音源が遠ざかる場合です。これと同様に、光の振動数が小さくなる(波長が長くなる)のも、光源が遠ざかる場合に対応します。
- 天文学への応用: この赤方偏移の度合いを測定することで、遠方の銀河や星雲がどれくらいの速さで我々から遠ざかっているかを知ることができます。これは、宇宙が膨張しているという現代宇宙論の根幹をなす観測的証拠です。
応用テクニック:似た問題が出たらココを見る!解法の鍵と着眼点
- 応用できる類似問題のパターン:
- 青方偏移(ブルーシフト): 逆に、観測される波長が元の波長より短くなっている場合。これは光源が近づいていることを意味し、「青方偏移」と呼ばれます。アンドロメダ銀河など、局所的に地球に近づいている天体で観測されます。
- 回転する天体: 恒星や銀河が回転している場合、我々から見て回転の片側は近づき(青方偏移)、もう一方は遠ざかります(赤方偏移)。スペクトル線の幅が広がって観測されることから、天体の回転速度を見積もることができます。
- 連星: 互いに回り合う2つの星(連星)の場合、それぞれの星のスペクトル線が周期的に赤方偏移と青方偏移を繰り返します。この周期的な変化を観測することで、連星の公転周期や質量などを推定できます。
- 初見の問題での着眼点:
- 波長の変化の向きを確認: まず、観測された波長 \(\lambda_1\) が、元の波長 \(\lambda_0\) より「長い」か「短い」かを確認します。
- 運動方向を判断: 「長い \(\rightarrow\) 赤方偏移 \(\rightarrow\) 遠ざかっている」、「短い \(\rightarrow\) 青方偏移 \(\rightarrow\) 近づいている」という関係を即座に連想します。
- 適切な公式を選択: 速さを計算する際には、振動数の公式 \(f’ = \frac{c}{c \pm v}f_0\) から出発するか、あるいは波長の近似式 \(\lambda’ \approx \lambda_0(1 \pm v/c)\) を直接使うかを判断します。後者の方が計算は早いですが、導出過程を問われた場合に備えて前者も理解しておくことが重要です。
要注意!ありがちなミス・誤解とその対策
- 音の公式との混同:
- 誤解: 光のドップラー効果でも、観測者が動く場合に分子が \(c \pm v_O\) となると考えてしまう。
- 対策: 特殊相対性理論によれば、光速は誰から見ても一定 (\(c\)) です。そのため、音の場合と異なり、観測者が動いても光速そのものが変化して見えることはありません。高校物理では、この違いを厳密に扱うことは稀ですが、「光のドップラー効果では、音の公式を \(v_O=0\) として流用する」と覚えておくのが安全です。(厳密な光のドップラー効果の公式は異なりますが、\(v \ll c\) の場合は良い近似を与えます。)
- 波長と振動数の関係の混同:
- 誤解: 波長が長くなったのに、振動数も大きくなったと勘違いしてしまう。
- 対策: \(c=f\lambda\) という基本式を常に思い出し、「\(c\) は一定なので、\(f\) と \(\lambda\) は反比例の関係にある」ことを確認する癖をつけましょう。
- 近似式の符号のミス:
- 誤解: 波長の近似式 \(\lambda’ \approx \lambda_0(1 \pm v/c)\) の符号を間違える。
- 対策: 「遠ざかる \(\rightarrow\) 波長が伸びる(長くなる)」ので、\(1\) に \(v/c\) を足す(
+
)、と物理現象と結びつけて覚えましょう。「近づく \(\rightarrow\) 波長が縮む(短くなる)」ので、\(1\) から \(v/c\) を引く(-
)となります。
なぜその公式?論理的な公式選択と適用の思考法
- 音のドップラー効果の公式の流用:
- 選定理由: 高校物理の範囲では、特殊相対性理論に基づく厳密な光のドップラー効果の公式は学びません。しかし、光源の速さ \(v\) が光速 \(c\) に比べて十分小さいという条件下では、音のドップラー効果の公式で音速 \(V\) を光速 \(c\) に置き換えたものが、非常に良い近似を与えることが知られています。そのため、この流用した公式が選択されます。
- 適用根拠: この問題は、その近似が成り立つ範囲での現象を扱っていると解釈されます。主たる解法のように、振動数の公式から出発し、\(f=c/\lambda\) を用いて波長の式に変換するプロセスは、この近似式を導出する過程そのものであり、論理的に一貫しています。
- 波長の近似式 \(\lambda’ \approx \lambda_0(1+v/c)\) の利用(別解):
- 選定理由: 天文学の分野では、赤方偏移の大きさ \(z = (\lambda’ – \lambda_0)/\lambda_0\) と後退速度 \(v\) の関係 \(v = cz\) が「ハッブルの法則」として頻繁に用いられます。別解で用いた公式は、この法則そのものです。したがって、この公式を直接利用するのは、天文学的な応用を意識した、より実践的で効率的な解法と言えます。
- 適用根拠: この公式は、主たる解法で示した振動数の公式から導出される数学的に等価な表現です(\(v \ll c\) の近似のもとで)。したがって、その適用は完全に正当化されます。
計算ミスをなくす!日頃の意識と実践テクニック
- 文字式の変形を丁寧に行う: この問題は数値計算ではなく、文字式の変形が主です。
- \(\frac{1}{\lambda_1} = \frac{c}{(c+v)\lambda_0}\) のような式が出てきたら、まず両辺の逆数をとって \(\lambda_1 = \frac{(c+v)\lambda_0}{c}\) の形にする。
- 次に、求めたい \(v\) が含まれる項以外を移項する。 \(\frac{\lambda_1}{\lambda_0} = 1 + \frac{v}{c}\)
- 最後に、\(v=\) の形になるように整理する。
このように、段階を追って丁寧に式変形を行うことで、ミスを防げます。
- 比の関係を意識する: 最終的な答え \(v = \frac{\lambda_1 – \lambda_0}{\lambda_0} c\) は、\( \frac{v}{c} = \frac{\Delta \lambda}{\lambda_0} \) と書き換えられます。これは、「速度の光速に対する比」が「波長の変化率」に等しいことを意味します。この物理的に美しい比の関係を理解しておくと、公式を忘れにくくなり、検算にも役立ちます。
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33 ホイヘンスの原理
【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド
この問題のテーマは「ホイヘンスの原理を用いた屈折の作図」です。波の屈折現象を、波面上の各点が新たな波源(素元波)となって波を送り出すというホイヘンスの原理に基づいて、幾何学的に作図する能力が問われます。
問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。
- ホイヘンスの原理: 波面の各点が、それ自身が波源となって球面波(素元波)を発生させ、これらの無数の素元波に共通に接する面(包絡面)が次の瞬間の波面を形成するという原理。
- 波面と射線: 波の進行方向を示す射線と、波の位相が等しい点を連ねた波面は、常に互いに垂直であること。
- 屈折と波の速さ: 異なる媒質へ波が進むとき、波の速さが変化するために進行方向が変わる(屈折する)こと。
- 素元波の半径: ある時間 \(\Delta t\) の間に素元波が広がる半径は、その媒質中での波の速さ \(v\) を用いて \(r = v \Delta t\) と表されること。
基本的なアプローチは以下の通りです。
- 入射波の波面が媒質の境界に達する点を基準点(A点)とする。
- 同じ波面の別の点(B点)が、境界上の別の点(C点)に達するまでの時間 \(\Delta t\) を考える。この間にB点が移動する距離はBCとなる。
- この時間 \(\Delta t\) の間に、基準点Aから媒質IIの中へ広がる素元波の半径を計算する。この半径は、媒質IとIIでの波の速さの比によって決まる。
- A点を中心として、3.で求めた半径の円(素元波)を描く。
- C点から、この円に接線を引く。この接線が、屈折後の新たな波面となる。
- 最後に、この新たな波面に垂直な線を引くことで、屈折後の射線を作図する。