「物理のエッセンス(力学・波動)」徹底解説(波動26〜30問):物理の”土台”を固める!完全マスター講座

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波動範囲 26~30

26 ドップラー効果の原理と公式

【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド

【相違点に関する注記】

本解説は、模範解答で採用されている解法(座標軸を設定し、速度の正負を代入する解法)を主たる解説としつつ、以下の別解を提示します。

  1. 提示する別解
    • 各々の動きの効果から符号を判断する解法
      • 主たる解法が、座標軸を設定し、速度の正負を形式的に代入するのに対し、別解では「音源が近づくか、遠ざかるか」という物理現象から直感的に公式の符号(±)を選択します。
  2. 上記の別解が有益である理由
    • 物理的直感の養成: 計算結果が物理的に妥当か(近づくなら高音、遠ざかるなら低音)を常に意識する癖がつきます。
    • 符号ミスの軽減: 座標軸の取り方や代入時の符号ミスといった、形式的な間違いを減らすことができます。
    • 解法の相互チェック: 異なるアプローチで同じ答えが出ることを確認することで、計算の確実性が増します。
  3. 結果への影響
    • いずれのアプローチを用いても、計算過程や思考の出発点が異なるだけで、最終的に得られる答えは模範解答と完全に一致します。

この問題のテーマは「ドップラー効果の応用(反射板)」です。人が聞く音には、音源から直接届く「直接音」と、反射板で反射してから届く「反射音」の2種類があることを理解し、それぞれについてドップラー効果を正しく適用できるかが問われます。

問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。

  1. 反射板の二役: 反射板は、まず音源からの音を「聞く観測者」として振る舞い、次にその音をそのまま「送り出す新たな音源」として振る舞う、という二役をこなすものとしてモデル化できること。
  2. ドップラー効果の公式の適用: 直接音と反射音、それぞれの伝わる経路に対して、音源と観測者の運動状態を正しく把握し、ドップラー効果の公式を適用できること。
  3. うなりの計算: 人は直接音と反射音という、振動数がわずかに異なる2つの音を同時に聞くため、うなりが生じる。その振動数は2つの音の振動数の差の絶対値で計算できること。

基本的なアプローチは以下の通りです。

  1. 反射音の振動数を求める:
    • (Step 1) まず、動く音源から出た音を、静止した反射板が「観測者」として聞くときの振動数 \(f_1\) を計算します。
    • (Step 2) 次に、この反射板が振動数 \(f_1\) の音を出す「新たな音源」となり、静止した人がその音を聞くと考えます。今回は反射板も人も静止しているので、この段階ではドップラー効果は起こりません。
  2. 直接音の振動数を求める: 動く音源から出て、静止した人に直接届く音の振動数を計算します。これは音源が人から遠ざかる状況です。
  3. うなりの振動数を求める: 1.で求めた反射音の振動数と、2.で求めた直接音の振動数の差の絶対値をとります。

思考の道筋とポイント
この問題では、静止している人が2種類の音を聞くことになります。

  1. 直接音: 音源が自分から遠ざかりながら出す音。
  2. 反射音: 音源が壁に近づきながら出す音を、壁が反射したもの。

それぞれの音について、ドップラー効果を考えます。特に反射音は、(1)音源→壁、(2)壁→人、という2段階で考えるのが定石です。
今回は壁(反射板)と人(観測者)が静止しているので、話は少し簡単になります。
(1)の段階では、音源が動いているのでドップラー効果が起こります。壁が聞く音は高くなります。
(2)の段階では、音源(壁)も観測者(人)も静止しているのでドップラー効果は起こりません。つまり、壁が聞いた高い音(振動数)がそのまま人に届きます。
最終的に、人は「遠ざかる音源からの低い直接音」と「近づく音源からの高い反射音」を同時に聞くため、うなりが生じるというわけです。
この設問における重要なポイント

  • 反射音の計算は、音源→反射板のドップラー効果を考えればよい(反射板→人は静止しているので変化なし)。
  • 直接音の計算は、音源→人のドップラー効果を考える。
  • 音源が反射板に「近づく」動きと、人から「遠ざかる」動きは、ドップラー効果に与える影響が逆になる。

具体的な解説と立式
1. 反射音の振動数 \(f_{\text{反}}\) を求める
まず、音源から出て反射板に届く音を考えます。このとき、反射板を「静止した観測者」とみなします。
音源から反射板に向かう向き(右向き)を正とします。
音源は速さ \(v\) で反射板に近づいているので、音源の速度は \(v_{\text{音源}} = +v\)。
反射板(観測者)は静止しているので、\(v_{\text{観測者}} = 0\)。
このとき反射板が聞く音の振動数を \(f_1\) とすると、ドップラー効果の公式より、
$$
\begin{aligned}
f_1 &= \frac{V – 0}{V – v} f_0 \\[2.0ex]
&= \frac{V}{V – v} f_0
\end{aligned}
$$
次に、この振動数 \(f_1\) の音を、反射板が新たな音源として人に送り返します。
このとき、音源(反射板)も観測者(人)も静止しているので、ドップラー効果は起こりません。
したがって、人が聞く反射音の振動数 \(f_{\text{反}}\) は \(f_1\) に等しくなります。
$$ f_{\text{反}} = f_1 = \frac{V}{V – v} f_0 $$

2. 直接音の振動数 \(f_{\text{直}}\) を求める
次に、音源から直接人に届く音を考えます。このとき、人を「静止した観測者」とみなします。
音源から人に向かう向き(左向き)を正とします。
音源は右向きに速さ \(v\) で動いているので、音源の速度は \(v_{\text{音源}} = -v\)。
人(観測者)は静止しているので、\(v_{\text{観測者}} = 0\)。
人が聞く直接音の振動数 \(f_{\text{直}}\) は、
$$
\begin{aligned}
f_{\text{直}} &= \frac{V – 0}{V – (-v)} f_0 \\[2.0ex]
&= \frac{V}{V + v} f_0
\end{aligned}
$$

3. うなりの振動数 \(f_{\text{うなり}}\) を求める
うなりの振動数は、人が聞く2つの音の振動数の差の絶対値です。
$$ f_{\text{うなり}} = |f_{\text{反}} – f_{\text{直}}| $$

使用した物理公式

  • ドップラー効果の公式: \(f’ = \displaystyle\frac{V-v_{\text{観測者}}}{V-v_{\text{音源}}} f_0\)
  • うなりの振動数: \(f_{\text{うなり}} = |f_1 – f_2|\)
計算過程

うなりの振動数を計算します。
$$
\begin{aligned}
f_{\text{うなり}} &= \left| \frac{V}{V – v} f_0 – \frac{V}{V + v} f_0 \right| \\[2.0ex]
&= \left( \frac{V}{V – v} – \frac{V}{V + v} \right) f_0
\end{aligned}
$$
(\(v>0\) より \(V-v < V+v\) なので、\(\frac{V}{V-v} > \frac{V}{V+v}\) となり、絶対値はそのまま外せます)
通分して計算します。
$$
\begin{aligned}
f_{\text{うなり}} &= \frac{V(V+v) – V(V-v)}{(V-v)(V+v)} f_0 \\[2.0ex]
&= \frac{V^2 + Vv – V^2 + Vv}{V^2 – v^2} f_0 \\[2.0ex]
&= \frac{2Vv}{V^2 – v^2} f_0
\end{aligned}
$$

この設問の平易な説明

目の前に壁があり、自分と壁の間を救急車が壁に向かって走っている状況です。
このとき、あなたは2種類のサイレンを聞きます。
1つは、救急車が自分から遠ざかっていく「直接の音」です。これは音が低く聞こえます。
もう1つは、救急車が壁にぶつかって跳ね返ってきたような「反射の音」です。救急車は壁に近づいているので、壁に届く音は高くなります。その高い音がそのままあなたに届きます。
あなたは「低い音」と「高い音」を同時に聞くことになるので、音が「ワーンワーン」と強弱を繰り返す「うなり」が聞こえるのです。

結論と吟味

反射音の振動数は \(\displaystyle\frac{V}{V-v}f_0\)、うなりの振動数は \(\displaystyle\frac{2Vv}{V^2-v^2}f_0\) と求められました。
反射音は、音源が近づく効果により、分母が \(V-v\) と小さくなるため、元の振動数 \(f_0\) より高くなります。
直接音は、音源が遠ざかる効果により、分母が \(V+v\) と大きくなるため、\(f_0\) より低くなります。
うなりは、この高くなった音と低くなった音の差なので、結果は物理的に妥当です。

解答 反射音の振動数: \(\displaystyle\frac{V}{V-v}f_0\)、うなりの振動数: \(\displaystyle\frac{2Vv}{V^2-v^2}f_0\)
別解: 各々の動きの効果から符号を判断する解法

思考の道筋とポイント
ドップラー効果の公式を \(f’ = \displaystyle\frac{V \pm v_{\text{観測者}}}{V \mp v_{\text{音源}}} f_0\) という形で覚え、物理現象から直感的に符号を選ぶ方法です。

  • 音を高くする効果:観測者が近づく(\(+\))、音源が近づく(\(-\))
  • 音を低くする効果:観測者が遠ざかる(\(-\))、音源が遠ざかる(\(+\))

この方法では、速度の大きさ \(v\) は常に正の値として扱います。
具体的な解説と立式
1. 反射音の振動数 \(f_{\text{反}}\) を求める
音源が反射板に「近づく」状況を考えます。観測者(反射板)は静止しています。
音源が近づく動きは、音を高くする効果があるので、分母の符号は - を選びます。
$$
\begin{aligned}
f_{\text{反}} &= \frac{V \pm 0}{V – v} f_0 \\[2.0ex]
&= \frac{V}{V – v} f_0
\end{aligned}
$$

2. 直接音の振動数 \(f_{\text{直}}\) を求める
音源が人から「遠ざかる」状況を考えます。観測者(人)は静止しています。
音源が遠ざかる動きは、音を低くする効果があるので、分母の符号は + を選びます。
$$
\begin{aligned}
f_{\text{直}} &= \frac{V \pm 0}{V + v} f_0 \\[2.0ex]
&= \frac{V}{V + v} f_0
\end{aligned}
$$

3. うなりの振動数 \(f_{\text{うなり}}\) を求める
うなりの振動数は、2つの振動数の差の絶対値です。
$$
\begin{aligned}
f_{\text{うなり}} &= |f_{\text{反}} – f_{\text{直}}| \\[2.0ex]
&= \left| \frac{V}{V – v} f_0 – \frac{V}{V + v} f_0 \right| \\[2.0ex]
&= \frac{2Vv}{V^2 – v^2} f_0
\end{aligned}
$$
計算過程は主たる解法と同じです。
結論と吟味
主たる解法と完全に同じ結果が得られました。この方法は、座標軸の設定という形式的な手続きを経ずに、物理的な現象(音が高くなるか、低くなるか)と数式を直接結びつけるため、直感的で理解しやすいという利点があります。

解答 反射音の振動数: \(\displaystyle\frac{V}{V-v}f_0\)、うなりの振動数: \(\displaystyle\frac{2Vv}{V^2-v^2}f_0\)

【総まとめ】この一問を未来の得点力へ!完全マスター講座

最重要ポイント:この問題の核心となる物理法則は?
  • 反射板のドップラー効果のモデル化:
    • 核心: この問題の根幹は、一見複雑な「反射」という現象を、ドップラー効果の2段階のプロセスとして単純化(モデル化)して考える点にあります。
    • 理解のポイント:
      • ステップ1(受信): 反射板は、まず動く音源からの音波を受け取る「観測者」として機能します。この段階で、反射板が観測する(であろう)仮想的な振動数 \(f_1\) が決まります。
      • ステップ2(送信): 次に、反射板はその振動数 \(f_1\) を持つ音波を、あたかも自身が音源であるかのように送り出します。この「仮想的な音源」から、本来の観測者(人)が音を聞く、と考えます。
      • 壁の二役: このように、反射板を「観測者」と「音源」の一人二役をこなす存在として捉えることが、反射問題を解くための最も重要な思考法です。この問題では、反射板と人が静止しているため、ステップ2での振動数変化がなく、比較的単純なケースになっています。
応用テクニック:似た問題が出たらココを見る!解法の鍵と着眼点
  • 応用できる類似問題のパターン:
    • 動く反射板: 最も典型的な応用問題です。音源、観測者、反射板のすべてが動く場合でも、上記の「2段階モデル」を適用すれば解くことができます。ステップ1(音源→反射板)、ステップ2(反射板→観測者)のそれぞれで、ドップラー効果の公式を正しく適用すればよいのです。
    • うなりを聞くのが音源自身の場合: 動いている音源の運転手が、前方の壁からの反射音と、自分が直接出している音(のつもり)とのうなりを聞く問題。この場合、直接音の振動数は \(f_0\) のままですが、反射音はドップラー効果を2回(行きと帰り)受けることになります。
    • 血流測定(医療応用): 超音波を血管に当て、動いている赤血球からの反射波の振動数変化を測定することで、血流の速さを知ることができます。これも、赤血球を「動く反射板」とみなすドップラー効果の応用です。
  • 初見の問題での着眼点:
    1. 音の経路を特定する: 観測者に届く音が、どのような経路をたどっているかを全てリストアップします。(例:直接届く音、壁で1回反射する音など)
    2. 各経路をステップに分解する: 特に反射音については、「誰が出し(音源)、誰が聞く(観測者)か」という関係を、ステップごとに明確にします。
      • 直接音:音源 \(\rightarrow\) 人
      • 反射音:(Step1) 音源 \(\rightarrow\) 反射板、(Step2) 反射板 \(\rightarrow\) 人
    3. 各ステップで公式を適用: 分解した各ステップについて、音源と観測者の速度を正しく設定し、ドップラー効果の公式を適用します。
    4. 最終的な現象を考える: 観測者が複数の音を同時に聞く場合は、「うなり」を計算することを忘れないようにします。
要注意!ありがちなミス・誤解とその対策
  • 反射音の計算を1回で済ませてしまう:
    • 誤解: 音源が動いているのだから、反射音も1回のドップラー効果で計算できると考えてしまう。
    • 対策: 反射板の問題は「必ず2段階で考える」というルールを徹底しましょう。特に反射板が動く場合は、行き(音源→反射板)と帰り(反射板→観測者)の両方でドップラー効果が起こるため、この2段階モデルが不可欠です。
  • 直接音と反射音の経路の混同:
    • 誤解: 直接音を計算する際に、音源が反射板に向かう速度を使ってしまう、あるいはその逆。
    • 対策: 計算の対象としている音が「どの向きに進んでいるか」を常に意識します。直接音は音源から人へ、反射音は音源から反射板へ、そして反射板から人へと進みます。それぞれの経路に対して、音源と観測者の関係性を正しく設定することが重要です。
  • うなりの計算相手を間違える:
    • 誤解: 反射音の振動数と、元の音源の振動数 \(f_0\) との差でうなりを計算してしまう。
    • 対策: うなりは、観測者が「同時に聞く」2つの音の間で生じます。この問題では、観測者(人)は「直接音」と「反射音」を同時に聞きます。したがって、うなりの計算は必ず \(|f_{\text{直}} – f_{\text{反}}|\) で行わなければなりません。
なぜその公式?論理的な公式選択と適用の思考法
  • ドップラー効果の2段階適用:
    • 選定理由: 反射という物理現象は、それ自体を直接記述する単一の公式が高校物理にはありません。そのため、この現象を我々が知っている法則(ドップラー効果)の組み合わせで説明できるような「モデル」に置き換える必要があります。それが「観測者としての反射板」と「音源としての反射板」という2段階モデルです。
    • 適用根拠: 反射板の表面の各点は、入射した音波によって強制的に振動させられます。その振動数は、まさに「観測者としての反射板」が聞くであろうドップラー効果後の振動数 \(f_1\) になります。そして、振動する物体はそれ自体が波源となって周囲に波を送り出すため、「振動数 \(f_1\) で振動する音源」とみなすことができます。この物理的な解釈が、2段階モデルの正当性を保証しています。
計算ミスをなくす!日頃の意識と実践テクニック
  • 文字式の通分を丁寧に行う: うなりの計算では、\(\frac{A}{B} – \frac{C}{D}\) のような分数の引き算が頻出します。通分する際は、分母を \((V-v)(V+v) = V^2 – v^2\) のように展開し、分子の計算 \(V(V+v) – V(V-v)\) で符号ミスをしないよう、落ち着いて展開・整理しましょう。
  • 近似式の活用(検算): もし音源の速さ \(v\) が音速 \(V\) に比べて非常に小さい場合 (\(v \ll V\))、\(V^2 – v^2 \approx V^2\) と近似できます。その場合、うなりの振動数は \(f_{\text{うなり}} \approx \frac{2Vv}{V^2}f_0 = \frac{2v}{V}f_0\) となります。この近似式は、答えのオーダー(大きさ)が妥当かどうかを検算するのに役立ちます。
  • 各振動数の大小関係を確認する: 計算の各段階で、求めた振動数が物理的に妥当な大小関係になっているかを確認しましょう。
    • \(f_{\text{反}}\)(近づく効果) > \(f_0\)
    • \(f_{\text{直}}\)(遠ざかる効果) < \(f_0\)
    • したがって、\(f_{\text{反}} > f_{\text{直}}\)

    これらの関係が成り立っているかを確認することで、符号の選択ミスなどを早期に発見できます。

27 ドップラー効果の原理と公式

【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド

【相違点に関する注記】

本解説は、模範解答で採用されている解法(各段階で座標軸を設定し、速度の正負を代入する解法)を主たる解説としつつ、以下の別解を提示します。

  1. 提示する別解
    • 各々の動きの効果から符号を判断する解法
      • 主たる解法が、各段階で座標軸を設定し、速度の正負を形式的に代入するのに対し、別解では「観測者と音源が近づくか、遠ざかるか」という物理現象から直感的に公式の符号(±)を選択します。
  2. 上記の別解が有益である理由
    • 物理的直感の養成: 計算結果が物理的に妥当か(近づくなら高音、遠ざかるなら低音)を常に意識する癖がつきます。
    • 符号ミスの軽減: 座標軸の取り方や代入時の符号ミスといった、形式的な間違いを減らすことができます。
    • 解法の相互チェック: 異なるアプローチで同じ答えが出ることを確認することで、計算の確実性が増します。
  3. 結果への影響
    • いずれのアプローチを用いても、計算過程や思考の出発点が異なるだけで、最終的に得られる答えは模範解答と完全に一致します。

この問題のテーマは「動く反射板を含むドップラー効果」です。音源、観測者、反射板のすべてが動く、最も一般的な状況設定であり、反射板を「観測者」と「音源」の二役をこなす存在としてモデル化し、ドップラー効果の公式を2段階で適用する総合力が問われます。

問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。

  1. 反射板の2段階モデル: 反射板による音の反射は、(1)音源から出た音を反射板が「観測者」として受け取り、(2)次にその音を反射板が「新たな音源」として送り出す、という2つのプロセスに分解して考えることができること。
  2. ドップラー効果の公式の厳密な適用: 各段階において、音源と観測者の関係を正しく見極め、それぞれの速度を適切な符号で公式に代入できること。
  3. 座標軸の設定: 複雑な状況で符号ミスを防ぐため、「音源から観測者に向かう向きを正とする」という一貫したルールで座標軸を設定し、速度を代入する技術。

基本的なアプローチは以下の通りです。

  1. 第1段階(音源 \(\rightarrow\) 反射板): 動く音源から出た音を、動く反射板が「観測者」として聞くときの振動数 \(f_1\) を計算します。
  2. 第2段階(反射板 \(\rightarrow\) 人): 次に、振動数 \(f_1\) の音を出す「動く音源(反射板)」から、動く観測者(人)が聞く最終的な振動数 \(f_2\) を計算します。
  3. 第1段階で求めた \(f_1\) の式を、第2段階の式に代入して、最終的な答えを \(f_0\) を用いて表します。

思考の道筋とポイント
この問題は、ドップラー効果の応用問題の集大成です。核心となるのは、反射板を「音を受け取る観測者」と「音を送り出す音源」という2つの役割を持つ存在として捉え、問題を2つのステップに分解することです。

ステップ1:音源 \(\rightarrow\) 反射板
まず、本来の音源(速さ \(v\))と反射板(速さ \(U\))の2者関係に注目します。反射板を「観測者」とみなし、ドップラー効果の公式を適用して、反射板が受け取る音の振動数 \(f_1\) を求めます。

ステップ2:反射板 \(\rightarrow\) 人
次に、反射板を「振動数 \(f_1\) で音を出す、速さ \(U\) の音源」とみなします。そして、この新たな音源からの音を、速さ \(u\) で動く「観測者(人)」が聞く状況を考えます。再びドップラー効果の公式を適用し、最終的に人が聞く振動数 \(f_2\) を求めます。

各ステップで速度の符号を間違えないよう、座標軸を適切に設定することが重要です。最も確実な方法は、各ステップごとに「そのステップでの音源から観測者へ向かう向き」を正とすることです。
この設問における重要なポイント

  • 反射板は「観測者」と「音源」の二役をこなす。
  • ステップ1:音源は \(f_0\) を出す点、観測者は反射板。音は右に進むので「右向きが正」。
  • ステップ2:音源は反射板、観測者は人。音は左に進むので「左向きが正」。

具体的な解説と立式
ステップ1:反射板が観測する振動数 \(f_1\) を求める
音源から反射板へ音が伝わるプロセスを考えます。
この段階では、音源は速さ \(v\) で右に動く点、観測者は速さ \(U\) で左に動く反射板です。
音源から観測者へ向かう向き、すなわち「右向き」を正とします。

  • 音源の速度: \(v_{\text{音源}} = +v\)
  • 観測者(反射板)の速度: \(v_{\text{観測者}} = -U\)

ドップラー効果の公式 \(f’ = \displaystyle\frac{V-v_{\text{観測者}}}{V-v_{\text{音源}}} f_0\) に代入すると、反射板が観測する振動数 \(f_1\) は、
$$
\begin{aligned}
f_1 &= \frac{V – (-U)}{V – v} f_0 \\[2.0ex]
&= \frac{V+U}{V-v} f_0
\end{aligned}
$$

ステップ2:人が聞く反射音の振動数 \(f_2\) を求める
次に、反射板から人へ音が伝わるプロセスを考えます。
この段階では、音源は振動数 \(f_1\) で速さ \(U\) で左に動く反射板、観測者は速さ \(u\) で右に動く人です。
音源(反射板)から観測者(人)へ向かう向き、すなわち「左向き」を正とします。

  • 音源(反射板)の速度: \(v_{\text{音源}} = +U\)
  • 観測者(人)の速度: \(v_{\text{観測者}} = -u\)

ドップラー効果の公式に代入すると、人が最終的に聞く反射音の振動数 \(f_2\) は、
$$
\begin{aligned}
f_2 &= \frac{V – (-u)}{V – U} f_1 \\[2.0ex]
&= \frac{V+u}{V-U} f_1
\end{aligned}
$$

使用した物理公式

  • ドップラー効果の公式: \(f’ = \displaystyle\frac{V-v_{\text{観測者}}}{V-v_{\text{音源}}} f_0\)
計算過程

ステップ2で求めた \(f_2\) の式に、ステップ1で求めた \(f_1\) の式を代入します。
$$
\begin{aligned}
f_2 &= \frac{V+u}{V-U} \times f_1 \\[2.0ex]
&= \frac{V+u}{V-U} \times \left( \frac{V+U}{V-v} f_0 \right) \\[2.0ex]
&= \frac{(V+u)(V+U)}{(V-U)(V-v)} f_0
\end{aligned}
$$

この設問の平易な説明

この複雑な状況は、音のバトンパスリレーと考えると分かりやすいです。

  1. 第一走者(音源)が、振動数 \(f_0\) のバトンを持って走り出します。
  2. 第二走者(反射板)に向かって走りながらバトンを渡します。このとき、両者が動いているのでドップラー効果が起こり、バトンの色(振動数)が \(f_1\) に変わります。
  3. バトンを受け取った第二走者(反射板)は、色が変わったバトン(振動数 \(f_1\))を持って、アンカー(人)に向かって走り出します。
  4. アンカーも動いているので、バトンを受け取るときに再びドップラー効果が起こり、バトンの色(振動数)が最終的に \(f_2\) に変わります。

この2回の「色の変化」を、ドップラー効果の公式を使って順番に計算していくのがこの問題です。

結論と吟味

人が聞く反射音の振動数は \(\displaystyle\frac{(V+u)(V+U)}{(V-U)(V-v)}f_0\) と求められました。
この状況では、音源、人、反射板のすべての動きが、互いに近づき合う方向になっています。したがって、聞く音の振動数は元の \(f_0\) よりも高くなるはずです。
得られた式の形を見ると、分子は \(V\) に速度が足され(\(V+u\), \(V+U\))、分母は \(V\) から速度が引かれている(\(V-U\), \(V-v\))ため、全体にかかる係数は1より大きくなります。これは、振動数が高くなるという物理的な予測と一致しており、妥当な結果です。

解答 \(\displaystyle\frac{(V+u)(V+U)}{(V-U)(V-v)}f_0\)
別解: 各々の動きの効果から符号を判断する解法

思考の道筋とポイント
ドップラー効果の公式を \(f’ = \displaystyle\frac{V \pm v_O}{V \mp v_S} f_0\) という形で覚え、速度の正負ではなく、物理現象から直接符号を選ぶ方法です。
符号の選択ルールは以下の通りです。

  • 分子(観測者):観測者が音源に近づく動きなら、聞く音は高くなるので分子を大きくする + を選ぶ。遠ざかる動きなら、音は低くなるので分子を小さくする - を選ぶ。
  • 分母(音源):音源が観測者に近づく動きなら、聞く音は高くなるので分母を小さくする - を選ぶ。遠ざかる動きなら、音は低くなるので分母を大きくする + を選ぶ。

この方法では、速度の大きさ \(u, v, U\) は常に正の値として扱います。
この設問における重要なポイント

  • ステップ1(音源→反射板)とステップ2(反射板→人)の2段階で考える。
  • 各段階で、音源と観測者が互いに「近づく」か「遠ざかる」かを判断し、符号を選択する。

具体的な解説と立式
ステップ1:反射板が観測する振動数 \(f_1\) を求める
音源(速さ \(v\))と反射板(速さ \(U\))は互いに近づいています。

  • 観測者(反射板)の動き:音源に近づく動き(速さ \(U\))は、音を高くする効果があるので、分子の符号は + を選びます。
  • 音源の動き:観測者(反射板)に近づく動き(速さ \(v\))は、音を高くする効果があるので、分母の符号は - を選びます。

したがって、反射板が観測する振動数 \(f_1\) は、
$$ f_1 = \frac{V+U}{V-v} f_0 $$

ステップ2:人が聞く反射音の振動数 \(f_2\) を求める
次に、音源となった反射板(速さ \(U\))と観測者である人(速さ \(u\))は互いに近づいています。

  • 観測者(人)の動き:音源(反射板)に近づく動き(速さ \(u\))は、音を高くする効果があるので、分子の符号は + を選びます。
  • 音源(反射板)の動き:観測者(人)に近づく動き(速さ \(U\))は、音を高くする効果があるので、分母の符号は - を選びます。

したがって、人が最終的に聞く反射音の振動数 \(f_2\) は、
$$ f_2 = \frac{V+u}{V-U} f_1 $$

使用した物理公式

  • ドップラー効果の公式(符号選択版): \(f’ = \displaystyle\frac{V \pm v_O}{V \mp v_S} f_0\)
計算過程

\(f_1\) を \(f_2\) の式に代入します。
$$
\begin{aligned}
f_2 &= \frac{V+u}{V-U} \times f_1 \\[2.0ex]
&= \frac{V+u}{V-U} \times \left( \frac{V+U}{V-v} f_0 \right) \\[2.0ex]
&= \frac{(V+u)(V+U)}{(V-U)(V-v)} f_0
\end{aligned}
$$

この設問の平易な説明

この別解では、公式のプラス・マイナスを「音が高くなるか、低くなるか」で決めていきます。

  1. 音源から壁へ: 音源も壁もお互いに近づいています。観測者(壁)が近づく動きは音を高くし(分子が \(V+U\))、音源が近づく動きも音を高くします(分母が \(V-v\))。両方の効果で、壁が聞く音 \(f_1\) はかなり高くなります。
  2. 壁から人へ: 今度は壁が音源です。壁も人もお互いに近づいています。観測者(人)が近づく動きは音を高くし(分子が \(V+u\))、音源(壁)が近づく動きも音を高くします(分母が \(V-U\))。

この2段階の「音を高くする効果」を掛け合わせることで、最終的な答えを計算します。

結論と吟味

主たる解法と完全に同じ結果が得られました。この方法は、各々の動きが音を「高くする」か「低くする」かという物理的な効果に直接結びつけて考えるため、直感的で理解しやすい利点があります。座標軸の設定という形式的な手続きが不要なため、素早く立式できる場合もあります。

解答 \(\displaystyle\frac{(V+u)(V+U)}{(V-U)(V-v)}f_0\)

【総まとめ】この一問を未来の得点力へ!完全マスター講座

最重要ポイント:この問題の核心となる物理法則は?
  • 反射板のドップラー効果のモデル化:
    • 核心: この問題の根幹は、一見複雑な「反射」という現象を、ドップラー効果の2段階のプロセスとして単純化(モデル化)して考える点にあります。
    • 理解のポイント:
      • ステップ1(受信): 反射板は、まず動く音源からの音波を受け取る「観測者」として機能します。この段階で、反射板が観測する(であろう)仮想的な振動数 \(f_1\) が決まります。
      • ステップ2(送信): 次に、反射板はその振動数 \(f_1\) を持つ音波を、あたかも自身が音源であるかのように送り出します。この「仮想的な音源」から、本来の観測者(人)が音を聞く、と考えます。
      • 壁の二役: このように、反射板を「観測者」と「音源」の一人二役をこなす存在として捉えることが、反射問題を解くための最も重要な思考法です。
応用テクニック:似た問題が出たらココを見る!解法の鍵と着眼点
  • 応用できる類似問題のパターン:
    • 静止した音源と動く反射板: 音源が静止していても、反射板が動けば、行き(音源→反射板)と帰り(反射板→観測者)の両方でドップラー効果が起こります。
    • うなりを聞く問題: 前問26のように、直接音と反射音のうなりを問う問題。この問題の設定でうなりを計算する場合、まず直接音の振動数(音源が遠ざかり、観測者が近づく)を計算し、今回求めた反射音の振動数との差を取ることになります。
    • 血流測定(医療応用): 超音波を血管に当て、動いている赤血球からの反射波の振動数変化を測定することで、血流の速さを知ることができます。これも、赤血球を「動く反射板」とみなすドップラー効果の応用です。
  • 初見の問題での着眼点:
    1. 音の経路を特定する: 観測者に届く音が、どのような経路をたどっているかを全てリストアップします。(例:直接届く音、壁で1回反射する音など)
    2. 各経路をステップに分解する: 特に反射音については、「誰が出し(音源)、誰が聞く(観測者)か」という関係を、ステップごとに明確にします。
      • 反射音:(Step1) 音源 \(\rightarrow\) 反射板、(Step2) 反射板 \(\rightarrow\) 人
    3. 各ステップで公式を適用: 分解した各ステップについて、音源と観測者の速度を正しく設定し、ドップラー効果の公式を適用します。座標軸の設定は、ステップごとに行うのが確実です。
    4. 最終的な現象を考える: 観測者が複数の音を同時に聞く場合は、「うなり」を計算することを忘れないようにします。
要注意!ありがちなミス・誤解とその対策
  • 反射音の計算を1回で済ませてしまう:
    • 誤解: 音源と観測者の相対速度、反射板と観測者の相対速度などを考えて、1つの式で立式しようとして混乱する。
    • 対策: 反射板の問題は「必ず2段階で考える」というルールを徹底しましょう。複雑な状況ほど、問題を単純なステップに分解することが重要です。焦らず、(1)音源→反射板、(2)反射板→観測者、と一つずつ確実に処理します。
  • ステップ2の音源の振動数を \(f_0\) のままにしてしまう:
    • 誤解: ステップ2(反射板→人)を計算する際に、音源である反射板が出す音の振動数を、元の \(f_0\) のままで計算してしまう。
    • 対策: 「反射板は、ステップ1で受け取ったドップラー効果後の音 \(f_1\) をそのまま送り出す」というモデル化の核心を思い出しましょう。ステップ2の出発点は、あくまで \(f_1\) です。
  • 座標軸の向きを固定してしまう:
    • 誤解: 最初のステップで「右向きが正」と決めたら、2番目のステップでも「右向きが正」のまま計算してしまう。
    • 対策: 主たる解法のように、各ステップで「音源から観測者へ向かう向き」を新たに正の向きとして設定し直すのが最も安全で一貫性のある方法です。ステップ1では右向きが正、ステップ2では左向きが正、と機械的に設定できます。
なぜその公式?論理的な公式選択と適用の思考法
  • ドップラー効果の2段階適用:
    • 選定理由: 反射という物理現象は、それ自体を直接記述する単一の公式が高校物理にはありません。そのため、この現象を我々が知っている法則(ドップラー効果)の組み合わせで説明できるような「モデル」に置き換える必要があります。それが「観測者としての反射板」と「音源としての反射板」という2段階モデルです。
    • 適用根拠: 反射板の表面の各点は、入射した音波によって強制的に振動させられます。その振動数は、まさに「観測者としての反射板」が聞くであろうドップラー効果後の振動数 \(f_1\) になります。そして、振動する物体はそれ自体が波源となって周囲に波を送り出すため、「振動数 \(f_1\) で振動する音源」とみなすことができます。この物理的な解釈が、2段階モデルの正当性を保証しています。
計算ミスをなくす!日頃の意識と実践テクニック
  • 文字式のまま計算を進める: この問題のように、最終的な答えを文字式で表す場合は、途中で数値を代入する必要がないため、計算ミスは起こりにくいです。式の変形に集中しましょう。
  • 各ステップの結果を明確にする: \(f_1 = \dots\) と \(f_2 = \dots\) のように、各ステップで求めた量を明確に区別して記述することで、代入ミスを防ぎ、思考の整理がしやすくなります。
  • 極端な場合を考えて検算する: 例えば、もし全ての速度が0 (\(u=v=U=0\)) だったら、\(f_2 = \frac{(V+0)(V+0)}{(V-0)(V-0)}f_0 = f_0\) となり、当然ドップラー効果は起こりません。また、もし \(v\) だけが0でなかったら、\(f_2 = \frac{V(V+U)}{(V-U)(V-v)}f_0\) となります。このように、いくつかの変数を0にしてみることで、得られた式が妥当な振る舞いをするかを確認できます。
  • 分子と分母の対称性を確認する: 得られた答え \(\frac{(V+u)(V+U)}{(V-U)(V-v)}f_0\) は、分子に観測者側(\(u, U\))、分母に音源側(\(U, v\))の速度項が対応しているような美しい形をしています(ただし単純ではない)。このような式の構造に着目することも、物理法則の理解を深める上で有益です。
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28 ドップラー効果の原理と公式

【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド

【相違点に関する注記】

本解説は、模範解答で採用されている解法(風の影響で変化した音速を用いて計算する解法)を主たる解説としつつ、以下の別解を提示します。

  1. 提示する別解
    • 媒質(風)に対する相対速度で考える解法
      • 主たる解法が、風によって音速が変化すると考えるのに対し、別解では、音速は \(V\) のままで、代わりに音源と観測者の速度を「媒質(風)に対する相対速度」に変換して計算します。
  2. 上記の別解が有益である理由
    • 物理的本質の深化: ドップラー効果が、音を伝える媒質(空気)に対して音源と観測者がどのように動くかで決まる、というより根源的な原理への理解が深まります。
    • 思考の一般化: この方法は、どのような複雑な状況(例えば観測者も風に対して斜めに動くなど)でも、すべての速度を媒質基準に変換するという統一的なアプローチで解くことができるため、応用力が向上します。
  3. 結果への影響
    • いずれのアプローチを用いても、計算過程や思考の出発点が異なるだけで、最終的に得られる答えは模範解答と完全に一致します。

この問題のテーマは「風が吹く場合のドップラー効果」です。風という媒質自体の動きが、音の伝わり方や観測される振動数にどのように影響するかを正しく理解し、公式に反映させることが求められます。

問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。

  1. 風による音速の変化: 風が吹いている場合、音の速さは風の速さの分だけ変化します。音の進行方向と風の向きが同じ「追い風(風下)」では音速は \(V+w\) に、逆向きの「向かい風(風上)」では音速は \(V-w\) になります。
  2. ドップラー効果の公式の適用: 風によって変化した音速を \(V’\) として、ドップラー効果の公式 \(f’ = \displaystyle\frac{V’-v_{\text{観測者}}}{V’-v_{\text{音源}}} f_0\) を適用すること。
  3. 音の伝わる向きと座標軸: 音源から観測者に向かう向きは、AとBで逆になります。それぞれの状況に応じて、座標軸を正しく設定し、速度の符号を判断することが重要です。

基本的なアプローチは以下の通りです。

  1. 人A(風下)について: 音源からAへの音は追い風になるため、音速を \(V+w\) として計算します。音源はAに近づくので、ドップラー効果の公式を適用します。
  2. 人B(風上)について: 音源からBへの音は向かい風になるため、音速を \(V-w\) として計算します。音源はBから遠ざかるので、ドップラー効果の公式を適用します。

人Aが聞く振動数

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