「物理のエッセンス(熱・電磁気・原子)」徹底解説(電磁気31〜35問):物理の”土台”を固める!完全マスター講座

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電磁気範囲 31~35

31 極板間への金属板や誘電体板の挿入

【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド

【相違点に関する注記】

本解説は、模範解答で採用されている解法を主たる解説としつつ、以下の別解を提示します。

  1. 提示する別解
    • 設問(2)の別解: 誘電体を等価的な真空層の厚さに置き換える解法
      • 模範解答が挿入部分を2つのコンデンサーの直列合成として計算するのに対し、別解では誘電体部分を電気的に等価な真空層の厚さに置き換えることで、より直接的に容量を導出します。
  2. 上記の別解が有益である理由
    • 物理的本質の深化: 誘電体を挿入する効果が、実効的に極板間距離を縮めることと等価であるという物理的なイメージを直感的に理解できます。
    • 思考の柔軟性向上: 複雑に見える直列接続の問題を、より単純な一つのコンデンサーの問題として捉え直す視点を養うことができます。
    • 解法の効率化: 直列合成における逆数の和の計算を省略できるため、計算ステップを減らし、より迅速に解にたどり着くことができます。
  3. 結果への影響
    • いずれのアプローチを用いても、計算過程や思考の出発点が異なるだけで、最終的に得られる答えは模範解答と完全に一致します。

この問題のテーマは「コンデンサーへの導体・誘電体の挿入と合成容量の計算」です。一様なコンデンサーの一部に異なる物質を挿入した場合、全体をどのように単純なコンデンサーの組み合わせとしてモデル化できるかが問われます。

問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。

  1. コンデンサーの基本公式: 電気容量\(C\)、誘電率\(\varepsilon\)、極板面積\(S\)、極板間隔\(d\)の関係式 \(C = \varepsilon \displaystyle\frac{S}{d}\) を理解していること。
  2. 導体板の挿入効果: コンデンサー内に挿入された導体は全体が等電位となるため、その厚さの分だけ実効的に極板間隔が減少したとみなせること。
  3. 誘電体板の挿入効果: 誘電体を挿入すると、内部の電場が弱められる結果、コンデンサーの電気容量が増加すること。
  4. 合成容量の計算:
    • 並列接続: \(C_{\text{合成}} = C_1 + C_2 + \dots\)
    • 直列接続: \(\displaystyle\frac{1}{C_{\text{合成}}} = \displaystyle\frac{1}{C_1} + \displaystyle\frac{1}{C_2} + \dots\)

    を正しく使い分けられること。

基本的なアプローチは以下の通りです。

  1. (1), (2)ともに、コンデンサーを「板が挿入された部分」と「挿入されていない部分」の2つの領域に分割します。これらの領域は極板に対して平行に並んでいるため、2つのコンデンサーの並列接続とみなせます。
  2. (1)では、「挿入された部分」は導体板の厚さの分だけ極板間隔が狭まったコンデンサーとして扱います。
  3. (2)では、「挿入された部分」をさらに「誘電体部分」と「真空部分」の2つのコンデンサーの直列接続として扱います。
  4. それぞれの容量を計算し、並列・直列の合成容量の公式を適用して全体の容量を求めます。

問(1)

思考の道筋とポイント
この問題は、コンデンサーを2つの部分に分割して考えるのが基本戦略です。板が挿入された奥行き\(x\)の部分と、挿入されていない奥行き\(l-x\)の部分は、電源に接続したと考えるとどちらも同じ電位差がかかるため、並列接続とみなすことができます。
鍵となるのは、導体板が挿入された部分の扱いです。導体内部は電場が0で等電位となるため、厚さ\(\displaystyle\frac{2}{3}d\)の導体板は、極板間隔をその厚さの分だけ短くする効果を持ちます。
この設問における重要なポイント

  • コンデンサーを、板の挿入部分と非挿入部分の「並列接続」としてモデル化する。
  • 導体板(厚さ\(t\))を挿入すると、極板間隔が\(d-t\)のコンデンサーと等価になる。
  • もとのコンデンサーの容量\(C\)と面積\(S\)の関係 \(C = \varepsilon_0 \displaystyle\frac{S}{d}\) を利用して、各部分の容量を\(C\)で表す。

具体的な解説と立式
まず、もとのコンデンサーの極板面積を\(S\)とします。問題文より一辺の長さが\(l\)の長方形なので、もう一辺の長さを\(w\)とすると \(S=lw\) と書けます。このコンデンサーの電気容量\(C\)は、
$$ C = \varepsilon_0 \frac{S}{d} $$
と与えられています。

次に、導体板を挿入した状態のコンデンサーを、以下の2つのコンデンサーの並列接続と考えます。

  1. コンデンサー\(C_1\): 導体板が挿入されていない部分。
    • 奥行き: \(l-x\)
    • 極板面積\(S_1\)は、もとの面積\(S\)に対して奥行きの比率をかけて、
      $$ S_1 = \frac{l-x}{l}S $$
    • 極板間隔: \(d\)

    この部分の電気容量\(C_1\)は、
    $$ C_1 = \varepsilon_0 \frac{S_1}{d} $$

  2. コンデンサー\(C_2\): 導体板が挿入されている部分。
    • 奥行き: \(x\)
    • 極板面積\(S_2\)は、
      $$ S_2 = \frac{x}{l}S $$
    • 導体板の厚さは\(\displaystyle\frac{2}{3}d\)なので、実効的な極板間隔\(d’\)は、
      $$
      \begin{aligned}
      d’ &= d – \frac{2}{3}d \\[2.0ex]
      &= \frac{1}{3}d
      \end{aligned}
      $$

    この部分の電気容量\(C_2\)は、
    $$ C_2 = \varepsilon_0 \frac{S_2}{d’} $$

全体の合成容量\(C_{\text{合成}}\)は、\(C_1\)と\(C_2\)の並列接続なので、その和で与えられます。
$$ C_{\text{合成}} = C_1 + C_2 $$

使用した物理公式

  • 平行板コンデンサーの容量: \(C = \varepsilon_0 \displaystyle\frac{S}{d}\)
  • コンデンサーの並列接続: \(C_{\text{合成}} = C_1 + C_2\)
計算過程

\(C_1\)と\(C_2\)を、与えられた\(C = \varepsilon_0 \displaystyle\frac{S}{d}\) を用いて表します。
まず\(C_1\)は、
$$
\begin{aligned}
C_1 &= \varepsilon_0 \frac{S_1}{d} \\[2.0ex]
&= \varepsilon_0 \frac{\frac{l-x}{l}S}{d} \\[2.0ex]
&= \frac{l-x}{l} \left( \varepsilon_0 \frac{S}{d} \right) \\[2.0ex]
&= \frac{l-x}{l} C
\end{aligned}
$$
次に\(C_2\)は、
$$
\begin{aligned}
C_2 &= \varepsilon_0 \frac{S_2}{d’} \\[2.0ex]
&= \varepsilon_0 \frac{\frac{x}{l}S}{\frac{1}{3}d} \\[2.0ex]
&= 3 \frac{x}{l} \left( \varepsilon_0 \frac{S}{d} \right) \\[2.0ex]
&= \frac{3x}{l} C
\end{aligned}
$$
全体の合成容量はこれらの和なので、
$$
\begin{aligned}
C_{\text{合成}} &= C_1 + C_2 \\[2.0ex]
&= \frac{l-x}{l} C + \frac{3x}{l} C \\[2.0ex]
&= \frac{l-x+3x}{l} C \\[2.0ex]
&= \frac{l+2x}{l} C
\end{aligned}
$$

この設問の平易な説明

コンデンサーを、板が入っている部分と入っていない部分の2つに分けて考えます。この2つは横に並んでいるので「並列接続」になり、全体の容量は単純な足し算で求められます。

  • 入っていない部分: 奥行きが\(l-x\)になっただけで、普通のコンデンサーです。
  • 入っている部分: 間に厚い金属板を挟んでいます。金属は電気を素通りさせるので、実質的にコンデンサーの極板がその分だけ近づいたのと同じことになります。間隔が\(d\)から\(\displaystyle\frac{1}{3}d\)に縮まったので、この部分の容量は3倍になります。

最後に、この2つの部分の容量を計算して足し合わせれば、全体の容量がわかります。

結論と吟味

合成容量は \(\displaystyle\frac{l+2x}{l} C\) となります。
この結果が妥当か、極端な場合で確認してみましょう。

  • \(x=0\) のとき(何も挿入していない): \(C_{\text{合成}} = \displaystyle\frac{l}{l} C = C\)。もとの容量と一致し、正しいです。
  • \(x=l\) のとき(完全に挿入した): \(C_{\text{合成}} = \displaystyle\frac{l+2l}{l} C = 3C\)。これは、面積\(S\)、間隔\(\displaystyle\frac{1}{3}d\)のコンデンサーの容量 \(\varepsilon_0 \displaystyle\frac{S}{d/3} = 3(\varepsilon_0 \displaystyle\frac{S}{d}) = 3C\) と一致し、物理的に妥当な結果です。
解答 (1) \(\displaystyle\frac{l+2x}{l} C\)

問(2)

思考の道筋とポイント
(1)と同様に、コンデンサーを「誘電体板が挿入された部分」と「されていない部分」の並列接続として考えます。
(1)と異なるのは、挿入された部分の扱いです。厚さ\(\displaystyle\frac{2}{3}d\)の誘電体板が挿入された部分は、極板との間に\(\displaystyle\frac{1}{3}d\)の真空(空気)層が残ります。これは、「誘電体で満たされたコンデンサー」と「真空のコンデンサー」が極板に垂直な方向に積層されている状態、すなわち直列接続とみなすことができます。
したがって、計算の手順は「まず挿入部分の直列合成容量を求め、次に非挿入部分と並列合成する」という2段階になります。
この設問における重要なポイント

  • コンデンサーを、板の挿入部分と非挿入部分の「並列接続」としてモデル化する。
  • 誘電体板が挿入された部分は、さらに「誘電体部分」と「真空部分」の「直列接続」としてモデル化する。
  • 比誘電率\(\varepsilon_r\)の誘電率\(\varepsilon\)は、\(\varepsilon = \varepsilon_r \varepsilon_0\)で与えられる。

具体的な解説と立式
(1)と同様に、コンデンサーを以下の2つの部分の並列接続と考えます。

  1. コンデンサー\(C_1\): 誘電体板が挿入されていない部分。
    • これは(1)と全く同じです。
      $$ C_1 = \frac{l-x}{l} C $$
  2. コンデンサー\(C_{23}\): 誘電体板が挿入されている部分。
    • この部分は、奥行き\(x\)、面積\(S_2 = \displaystyle\frac{x}{l}S\)を持ち、内部が2つの層に分かれています。これを2つのコンデンサー\(C_2\)と\(C_3\)の直列接続と考えます。
    • \(C_2\)(真空部分):
      • 極板面積: \(S_2 = \displaystyle\frac{x}{l}S\)
      • 極板間隔: \(d_2 = d – \displaystyle\frac{2}{3}d = \displaystyle\frac{1}{3}d\)
      • 容量: \(C_2 = \varepsilon_0 \displaystyle\frac{S_2}{d_2}\)
    • \(C_3\)(誘電体部分):
      • 極板面積: \(S_2 = \displaystyle\frac{x}{l}S\)
      • 極板間隔(厚さ): \(d_3 = \displaystyle\frac{2}{3}d\)
      • 誘電率: \(\varepsilon = 3\varepsilon_0\)
      • 容量: \(C_3 = 3\varepsilon_0 \displaystyle\frac{S_2}{d_3}\)

    \(C_2\)と\(C_3\)は直列接続なので、その合成容量\(C_{23}\)は次式で与えられます。
    $$ \frac{1}{C_{23}} = \frac{1}{C_2} + \frac{1}{C_3} $$

全体の合成容量\(C_{\text{合成}}\)は、\(C_1\)と\(C_{23}\)の並列接続なので、その和で与えられます。
$$ C_{\text{合成}} = C_1 + C_{23} $$

使用した物理公式

  • 平行板コンデンサーの容量: \(C = \varepsilon \displaystyle\frac{S}{d} = \varepsilon_r \varepsilon_0 \displaystyle\frac{S}{d}\)
  • コンデンサーの並列接続: \(C_{\text{合成}} = C_1 + C_2\)
  • コンデンサーの直列接続: \(\displaystyle\frac{1}{C_{\text{合成}}} = \displaystyle\frac{1}{C_1} + \displaystyle\frac{1}{C_2}\)
計算過程

まず、\(C_2, C_3\)を\(C = \varepsilon_0 \displaystyle\frac{S}{d}\)を用いて表します。
\(C_2\)は、
$$
\begin{aligned}
C_2 &= \varepsilon_0 \frac{\frac{x}{l}S}{\frac{1}{3}d} \\[2.0ex]
&= 3 \frac{x}{l} \left( \varepsilon_0 \frac{S}{d} \right) \\[2.0ex]
&= \frac{3x}{l} C
\end{aligned}
$$
\(C_3\)は、
$$
\begin{aligned}
C_3 &= 3\varepsilon_0 \frac{\frac{x}{l}S}{\frac{2}{3}d} \\[2.0ex]
&= 3 \cdot \frac{3}{2} \frac{x}{l} \left( \varepsilon_0 \frac{S}{d} \right) \\[2.0ex]
&= \frac{9x}{2l} C
\end{aligned}
$$
次に、これらの直列合成容量\(C_{23}\)を求めます。
$$
\begin{aligned}
\frac{1}{C_{23}} &= \frac{1}{C_2} + \frac{1}{C_3} \\[2.0ex]
&= \frac{1}{\frac{3x}{l}C} + \frac{1}{\frac{9x}{2l}C} \\[2.0ex]
&= \frac{l}{3xC} + \frac{2l}{9xC} \\[2.0ex]
&= \frac{3l + 2l}{9xC} \\[2.0ex]
&= \frac{5l}{9xC}
\end{aligned}
$$
よって、\(C_{23}\)は、
$$ C_{23} = \frac{9x}{5l} C $$
最後に、全体の合成容量\(C_{\text{合成}}\)を求めます。
$$
\begin{aligned}
C_{\text{合成}} &= C_1 + C_{23} \\[2.0ex]
&= \frac{l-x}{l} C + \frac{9x}{5l} C \\[2.0ex]
&= \left( \frac{l-x}{l} + \frac{9x}{5l} \right) C \\[2.0ex]
&= \left( \frac{5(l-x) + 9x}{5l} \right) C \\[2.0ex]
&= \left( \frac{5l – 5x + 9x}{5l} \right) C \\[2.0ex]
&= \left( \frac{5l + 4x}{5l} \right) C \\[2.0ex]
&= \left( 1 + \frac{4x}{5l} \right) C
\end{aligned}
$$

この設問の平易な説明

(1)と同じように、コンデンサーを板が入っている部分と入っていない部分に分け、それらを足し合わせる(並列合成)と考えます。
問題は「入っている部分」の扱いです。ここには誘電体の板と、少しだけ空気の層が残っています。これは、誘電体のコンデンサーと空気のコンデンサーを縦に重ねた「直列接続」と見なせます。
計算の手順は、まずこの「直列接続」部分の合成容量を計算します。直列の場合は少し計算が面倒で、逆数を足し合わせる必要があります。そして、その結果と「入っていない部分」の容量を最後に足し算すれば、全体の容量が求まります。

結論と吟味

合成容量は \(\left( 1 + \displaystyle\frac{4x}{5l} \right) C\) となります。
この結果が妥当か、極端な場合で確認してみましょう。

  • \(x=0\) のとき(何も挿入していない): \(C_{\text{合成}} = (1+0)C = C\)。もとの容量と一致し、正しいです。
  • \(x=l\) のとき(完全に挿入した): \(C_{\text{合成}} = \left( 1 + \displaystyle\frac{4l}{5l} \right) C = \displaystyle\frac{9}{5}C\)。これは、挿入部分の合成容量\(C_{23}\)で\(x=l\)としたときの値 \(\displaystyle\frac{9l}{5l}C = \displaystyle\frac{9}{5}C\) と一致し、物理的に妥当な結果です。
解答 (2) \(\left( 1 + \displaystyle\frac{4x}{5l} \right) C\)
別解: 誘電体を等価的な真空層の厚さに置き換える解法

思考の道筋とポイント
主たる解法と同様に、まずコンデンサーを挿入部分と非挿入部分の並列接続として考えます。
ここからのアプローチが異なります。挿入部分について、厚さ\(t\)、比誘電率\(\varepsilon_r\)の誘電体は、電気的には厚さ\(\displaystyle\frac{t}{\varepsilon_r}\)の真空層と等価である、という性質を利用します。これにより、挿入部分全体を、極板間隔が変化した「一つの」真空コンデンサーとして扱うことができ、直列合成の計算を省略できます。
この設問における重要なポイント

  • 誘電体(厚さ\(t\)、比誘電率\(\varepsilon_r\))は、電気的に厚さ\(\displaystyle\frac{t}{\varepsilon_r}\)の真空層と等価である。
  • この考え方を用いると、誘電体と真空層の直列接続を、間隔が \(d’ = (d-t) + \displaystyle\frac{t}{\varepsilon_r}\) の単一の真空コンデンサーとして扱える。

具体的な解説と立式
コンデンサーを、(1)と同様に\(C_1\)(非挿入部分)と\(C_{23}\)(挿入部分)の並列接続と考えます。
\(C_1\)は主たる解法と同じです。
$$ C_1 = \frac{l-x}{l} C $$
挿入部分\(C_{23}\)について考えます。この部分は、厚さ\(\displaystyle\frac{2}{3}d\)、比誘電率\(3\)の誘電体と、厚さ\(\displaystyle\frac{1}{3}d\)の真空層からなります。
ここで、厚さ\(\displaystyle\frac{2}{3}d\)、比誘電率\(3\)の誘電体層は、電気的には厚さが\(t’\)の真空層と等価であるとします。
$$
\begin{aligned}
t’ &= \frac{\frac{2}{3}d}{3} \\[2.0ex]
&= \frac{2}{9}d
\end{aligned}
$$
したがって、挿入部分は、厚さ\(\displaystyle\frac{1}{3}d\)の真空層と、厚さ\(\displaystyle\frac{2}{9}d\)の等価な真空層が直列に並んでいると見なせます。
よって、この部分全体は、極板間隔が\(d’\)の単一の真空コンデンサーと等価になります。
$$
\begin{aligned}
d’ &= \frac{1}{3}d + \frac{2}{9}d \\[2.0ex]
&= \frac{3d+2d}{9} \\[2.0ex]
&= \frac{5}{9}d
\end{aligned}
$$
この等価なコンデンサーの面積は\(S_2 = \displaystyle\frac{x}{l}S\)なので、その容量\(C_{23}\)は、
$$ C_{23} = \varepsilon_0 \frac{S_2}{d’} $$
全体の合成容量は \(C_{\text{合成}} = C_1 + C_{23}\) で計算できます。

使用した物理公式

  • 誘電体の等価的な厚さ: \(t_{\text{等価}} = \displaystyle\frac{t_{\text{誘電体}}}{\varepsilon_r}\)
  • 平行板コンデンサーの容量: \(C = \varepsilon_0 \displaystyle\frac{S}{d}\)
  • コンデンサーの並列接続: \(C_{\text{合成}} = C_1 + C_2\)
計算過程

まず、\(C_{23}\)を\(C = \varepsilon_0 \displaystyle\frac{S}{d}\)を用いて表します。
$$
\begin{aligned}
C_{23} &= \varepsilon_0 \frac{\frac{x}{l}S}{\frac{5}{9}d} \\[2.0ex]
&= \frac{9}{5} \frac{x}{l} \left( \varepsilon_0 \frac{S}{d} \right) \\[2.0ex]
&= \frac{9x}{5l} C
\end{aligned}
$$
これは主たる解法で求めた\(C_{23}\)と完全に一致します。
したがって、これ以降の全体の合成容量の計算も主たる解法と全く同じになり、
$$
\begin{aligned}
C_{\text{合成}} &= C_1 + C_{23} \\[2.0ex]
&= \frac{l-x}{l} C + \frac{9x}{5l} C \\[2.0ex]
&= \left( 1 + \frac{4x}{5l} \right) C
\end{aligned}
$$
となります。

この設問の平易な説明

誘電体は電気の流れを少し妨げる壁のようなものですが、物理学には便利な考え方があります。それは「厚さ\(t\)の誘電体の壁は、それより薄い\(\displaystyle\frac{t}{\varepsilon_r}\)の空気の層と同じ効果を持つ」というものです。
今回の問題では、厚さ\(\displaystyle\frac{2}{3}d\)の誘電体(比誘電率3)は、厚さ\(\displaystyle\frac{2}{9}d\)の空気の層と見なせます。
すると、板が入っている部分は、もともとあった\(\displaystyle\frac{1}{3}d\)の空気層と、この見かけ上の\(\displaystyle\frac{2}{9}d\)の空気層を合わせた、合計\(\displaystyle\frac{5}{9}d\)の間隔を持つ一つのコンデンサーだと考えることができます。この方法なら、面倒な直列接続の計算をせずに済みます。

結論と吟味

主たる解法と全く同じ \(\left( 1 + \displaystyle\frac{4x}{5l} \right) C\) という結果が得られました。異なる物理的視点から同じ結論に至ることは、法則の正しさと理解の深化につながります。特に、この「等価的な厚さ」の考え方は、計算を簡略化する上で非常に強力なツールです。

解答 (2) \(\left( 1 + \displaystyle\frac{4x}{5l} \right) C\)

【総まとめ】この一問を未来の得点力へ!完全マスター講座

最重要ポイント:この問題の核心となる物理法則は?
  • コンデンサーの分割と合成:
    • 核心: この問題の根幹は、複雑な形状や不均一な物質を含むコンデンサーを、複数の単純な平行板コンデンサーの組み合わせ(並列接続・直列接続)としてモデル化し、合成容量の公式を適用して全体の電気容量を求める能力にあります。
    • 理解のポイント:
      • 並列接続の見分け方: 極板に平行な方向に分割できる場合(奥行き方向に分割するなど)、各部分は同じ電位差を持つため並列接続とみなせます。合成容量は単純な和 \(C_{\text{合成}} = C_1 + C_2\) となります。
      • 直列接続の見分け方: 極板に垂直な方向に分割できる場合(極板間の空間を複数の層に分けるなど)、各部分を流れる電気量が等しくなるため直列接続とみなせます。合成容量は逆数の和 \(\displaystyle\frac{1}{C_{\text{合成}}} = \displaystyle\frac{1}{C_1} + \displaystyle\frac{1}{C_2}\) で計算します。
  • 導体・誘電体の電気的効果の理解:
    • 核心: コンデンサーの極板間に挿入された物質が、電気容量にどのような影響を与えるかを物理的に理解していることが重要です。
    • 理解のポイント:
      • 導体: 導体内部は等電位(電場ゼロ)となるため、厚さ\(t\)の導体板を挿入することは、極板間隔を\(t\)だけ狭めることと等価です。これにより容量は増加します。
      • 誘電体: 誘電体は分極によって内部の電場を弱める効果があります。同じ電位差でもより多くの電荷を蓄えられるようになるため、容量は比誘電率\(\varepsilon_r\)倍に増加します。これは、極板間隔を\(\displaystyle\frac{1}{\varepsilon_r}\)に縮めることと等価であると解釈することもできます((2)の別解)。
応用テクニック:似た問題が出たらココを見る!解法の鍵と着眼点
  • 応用できる類似問題のパターン:
    • 極板の一部をずらす問題: 平行な極板を少し横にずらした場合、重なっている部分だけがコンデンサーとして機能すると考え、面積が変化したとして容量を計算します。
    • くさび形の誘電体を挿入する問題: 挿入された誘電体の厚さが場所によって異なる場合、微小な幅でコンデンサーを短冊状に分割し、それらの並列接続として積分計算で全体の容量を求める問題に応用できます。
    • 円筒コンデンサーや球コンデンサーへの挿入: 同軸円筒や同心球の間に誘電体を一部だけ充填する問題も、基本的な考え方は同じです。充填された部分とされていない部分を並列または直列の組み合わせとしてモデル化します。
  • 初見の問題での着眼点:
    1. 分割ラインの決定: まず、コンデンサーをどのように分割すれば、単純な平行板コンデンサーの集まりになるかを見極めます。極板に平行な境界線があれば「並列」、垂直な境界線があれば「直列」の可能性が高いです。
    2. 各部分のパラメータの特定: 分割した各コンデンサーについて、「極板面積」「極板間隔」「内部の誘電率」の3つのパラメータを正確に特定します。特に面積は、もとの面積に対する比率で考えると計算が楽になります。
    3. 接続方法の確定: 分割したコンデンサー同士が並列接続なのか直列接続なのか、あるいはその両方の組み合わせなのかを回路図のようにイメージして確定させます。
    4. 計算戦略の選択: (2)のように直列接続が含まれる場合、主たる解法のように逆数の和で計算するか、別解のように「等価的な厚さ」を用いて計算を簡略化できるかを検討します。
要注意!ありがちなミス・誤解とその対策
  • 並列と直列の混同:
    • 誤解: コンデンサーの分割方法はわかっても、それが並列なのか直列なのかを間違えてしまう。
    • 対策: 「電位差が等しいなら並列」「電気量が等しいなら直列」という基本定義に立ち返ることが重要です。具体的には、コンデンサーの両極板に電池をつないだイメージを描き、分割した各部分に同じ電圧がかかるか(並列)、あるいは電荷が一本道で流れるか(直列)を考えると判断しやすくなります。
  • 導体挿入時の間隔の計算ミス:
    • 誤解: 導体板を挿入したとき、残りの空間の厚さではなく、導体自身の厚さで容量を計算してしまう。
    • 対策: 「導体は空間をショートさせる」と覚えましょう。厚さ\(t\)の導体は、極板間隔\(d\)のうち\(t\)の部分を「無かったこと」にします。したがって、残りの真空部分の厚さ\(d-t\)が実効的な極板間隔になります。
  • 直列合成の計算ミス:
    • 誤解: 直列接続の公式 \(\displaystyle\frac{1}{C_{\text{合成}}} = \displaystyle\frac{1}{C_1} + \displaystyle\frac{1}{C_2}\) で計算した結果(逆数)を、そのまま答えとしてしまう。
    • 対策: 逆数の和を計算した後は、必ず最後にもう一度逆数をとって\(C_{\text{合成}}\)に戻す、という操作を意識的に行うことが不可欠です。計算の最終ステップとして指差し確認する癖をつけましょう。
なぜその公式?論理的な公式選択と適用の思考法
  • 並列接続の選択:
    • 選定理由: (1), (2)ともに、板を挿入した部分とそうでない部分は、コンデンサーの奥行き方向に並んでいます。もしこのコンデンサーに電圧をかけると、両方の部分に同じ電位差がかかります。物理的に「電位差が等しい」状況は並列接続の定義そのものであるため、並列合成の公式 \(C_{\text{合成}} = C_1 + C_2\) を選択するのが論理的に正しいです。
    • 適用根拠: 全体に蓄えられる電荷\(Q\)は、部分1に蓄えられる電荷\(Q_1\)と部分2に蓄えられる電荷\(Q_2\)の和になります。\(Q=CV\)の関係から \(C_{\text{合成}}V = C_1V + C_2V\) となり、両辺の\(V\)を割ることで公式が導かれます。
  • 直列接続の選択:
    • 選定理由: (2)の挿入部分では、誘電体層と真空層が極板に対して垂直に積み重なっています。もしこの部分に電荷が蓄えられると、一方の極板に\(+Q\)が溜まれば、誘電体と真空の境界面には\(-Q\)と\(+Q\)が誘導され、もう一方の極板には\(-Q\)が溜まります。このように「通過する電気量が等しい」状況は直列接続の定義に合致します。
    • 適用根拠: 全体にかかる電位差\(V\)は、誘電体部分の電位差\(V_3\)と真空部分の電位差\(V_2\)の和になります。\(V=Q/C\)の関係から \(\displaystyle\frac{Q}{C_{\text{合成}}} = \displaystyle\frac{Q}{C_2} + \displaystyle\frac{Q}{C_3}\) となり、両辺の\(Q\)を割ることで公式が導かれます。
計算ミスをなくす!日頃の意識と実践テクニック
  • 文字式のまま計算を進める: \(C_1, C_2\)などを計算する際、いきなり複雑な式を代入するのではなく、まず「\(C_1 = \displaystyle\frac{l-x}{l}C\)」のように、もとの容量\(C\)を使ったシンプルな形で表現します。最後に全体を合成する段階で、これらのシンプルな表現を足し合わせることで、計算の見通しが良くなり、ミスが減ります。
  • 分数の扱いに習熟する: この問題は分数の計算が頻出します。特に直列合成での逆数の和の計算(通分)や、\(C_2 = \varepsilon_0 \displaystyle\frac{(x/l)S}{(d/3)}\) のような繁分数の処理は、焦らず一段階ずつ丁寧に行うことが重要です。分母の分数は逆数を掛ける形に直してから整理すると確実です。
  • 極端な場合での検算(吟味)を習慣化する: (1), (2)の結論で示したように、得られた結果の\(x\)に\(x=0\)(未挿入)や\(x=l\)(完全挿入)を代入して、物理的に妥当な答え(\(C\)や\(3C\)など)になるかを確認する作業は非常に有効です。この一手間が、計算ミスやモデル化の間違いを発見する強力なセーフティネットになります。

32 必殺技…電位による解法

【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド

【相違点に関する注記】
  1. 提示する別解
    • キルヒホッフの法則を用いる解法
      • 模範解答が回路の各点の電位を求め、孤立部分の電気量保存則から解くのに対し、別解では各コンデンサーに蓄えられる電荷を未知数とし、キルヒホッフの第1法則(電荷保存則)と第2法則(電圧則)を用いて連立方程式を立てて解きます。
  2. 上記の別解が有益である理由
    • 物理法則の普遍性の理解: 抵抗回路の解析で頻繁に用いるキルヒホッフの法則が、コンデンサー回路にも同様に適用できることを学ぶことで、物理法則の普遍性への理解が深まります。
    • 思考の柔軟性向上: 一つの問題に対して、異なる視点(電位で見るか、電荷と電圧のループで見るか)からアプローチする経験は、問題解決能力の幅を広げます。
    • 解法の選択肢の獲得: 回路の構造によっては、キルヒホッフの法則を用いた方が考えやすい場合もあり、解法の選択肢として持っておくことは非常に有益です。
  3. 結果への影響
    • いずれのアプローチを用いても、計算過程や思考の出発点が異なるだけで、最終的に得られる答えは模範解答と完全に一致します。

この問題のテーマは「複数の電源を含む複雑なコンデンサー回路の解析」です。このような回路では、単純な直列・並列の合成では解くことができず、より一般的な解析手法が求められます。

問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。

  1. 電位の考え方: 回路の任意の点の電位を、基準点からの電位差として計算できること。電池を通過するとその起電力分だけ電位が変化します。
  2. 電気量保存則: 外部と導線で接続されていない回路の孤立部分では、各極板の電荷の代数和が常に一定(通常は初期値の0)に保たれるという非常に重要な法則。
  3. コンデンサーの基本式: コンデンサーの極板間の電位差\(V\)と蓄えられる電気量\(Q\)の関係式 \(Q=CV\) を正しく適用できること。特に、電荷の正負は電位の高い低いで決まります。

基本的なアプローチは以下の通りです。

  1. 回路中の一点を基準電位(\(0\,\text{V}\))と定める。
  2. 各電池を通過することで変化する電位を計算し、回路の各部分の電位を確定させる。
  3. 電位が直接決まらない導線(孤立部分)の電位を未知数\(x\)と置く。
  4. 孤立部分について電気量保存則の式を立て、未知数\(x\)を求める。
  5. \(x\)の値から、目的のコンデンサーにかかる電位差を計算し、\(Q=CV\)を用いて電気量を算出する。

\(3\,\mu\text{F}\)のコンデンサーに蓄えられている電気量

思考の道筋とポイント
このように複数の電源が絡む複雑な回路では、各コンデンサーにかかる電圧を直感的に求めるのは困難です。そこで、回路の各点の「電位」を考えるのが最も有効なアプローチとなります。回路の一点の電位を基準(\(0\,\text{V}\))に定め、そこから電池を通過するごとに電位を足し引きしていきます。未知の電位を\(x\)とし、回路中で孤立している部分(他の部分と配線が繋がっていない導体部分)の電気量の総和が0になる、という「電気量保存則」を用いて方程式を立てるのが王道の解法です。
この設問における重要なポイント

  • 回路の基準電位(\(0\,\text{V}\))を自分で設定する。
  • 電池は負極から正極へたどると電位は上がり、正極から負極へたどると電位は下がる。
  • 孤立部分(3つのコンデンサーの極板の一部をつなぐ導線)を見つけ出す。
  • コンデンサーのある極板の電荷は \(Q = C \times (\text{その極板の電位} – \text{向かい合う極板の電位})\) で計算する。

具体的な解説と立式
まず、回路図の各点の電位を定めます。回路の左下、\(10\,\text{V}\)電池の負極に接続されている導線の電位を基準の\(0\,\text{V}\)とします。この導線は\(2\,\mu\text{F}\)コンデンサーの一方の極板に接続されています。

  • \(10\,\text{V}\)の電池は左側が負極、右側が正極です。負極(\(0\,\text{V}\))から正極へまたぐと電位が\(10\,\text{V}\)上がるので、\(10\,\text{V}\)電池の正極、\(20\,\text{V}\)電池の負極、そして\(5\,\mu\text{F}\)コンデンサーの一方の極板が接続されている導線の電位は\(10\,\text{V}\)となります。
  • 次に、\(20\,\text{V}\)の電池も左側が負極、右側が正極です。負極(\(10\,\text{V}\))から正極へまたぐと電位が\(20\,\text{V}\)上がるので、\(20\,\text{V}\)電池の正極と\(3\,\mu\text{F}\)コンデンサーの一方の極板が接続されている導線の電位は \(10\,\text{V} + 20\,\text{V} = 30\,\text{V}\) となります。

\(2\,\mu\text{F}\)コンデンサーのもう一方の極板、\(3\,\mu\text{F}\)コンデンサーのもう一方の極板、そして\(5\,\mu\text{F}\)コンデンサーのもう一方の極板は、1本の導線で結ばれており、回路の他の部分から電気的に孤立しています。この孤立部分の導線の電位を\(x\)[V]とおきます。

この孤立部分に接続された3枚の極板の電気量の総和は、電気量保存則により0に保たれます。
孤立部分に接続された各極板の電気量をそれぞれ\(Q_{2\mu F}, Q_{3\mu F}, Q_{5\mu F}\)とすると、
$$ Q_{2\mu F} + Q_{3\mu F} + Q_{5\mu F} = 0 $$
ここで、各電気量を\(x\)を用いて表します。

  • 孤立部分に接続された\(2\,\mu\text{F}\)の極板の電荷(向かいの極板の電位は\(0\,\text{V}\)):
    $$ Q_{2\mu F} = 2 \times (x – 0) \, [\mu\text{C}] $$
  • 孤立部分に接続された\(3\,\mu\text{F}\)の極板の電荷(向かいの極板の電位は\(30\,\text{V}\)):
    $$ Q_{3\mu F} = 3 \times (x – 30) \, [\mu\text{C}] $$
  • 孤立部分に接続された\(5\,\mu\text{F}\)の極板の電荷(向かいの極板の電位は\(10\,\text{V}\)):
    $$ Q_{5\mu F} = 5 \times (x – 10) \, [\mu\text{C}] $$

これらを電気量保存の式に代入すると、\(x\)に関する方程式が得られます。
$$ 2(x – 0) + 3(x – 30) + 5(x – 10) = 0 $$

使用した物理公式

  • 電気量保存則
  • コンデンサーの基本式: \(Q=CV\)
計算過程

上記で立式した方程式を解いて\(x\)を求めます。
$$
\begin{aligned}
2x + 3(x-30) + 5(x-10) &= 0 \\[2.0ex]
2x + 3x – 90 + 5x – 50 &= 0 \\[2.0ex]
10x – 140 &= 0 \\[2.0ex]
10x &= 140 \\[2.0ex]
x &= 14
\end{aligned}
$$
よって、孤立部分の電位は\(14\,\text{V}\)であることがわかりました。

次に、求めたい\(3\,\mu\text{F}\)のコンデンサーに蓄えられている電気量を計算します。このコンデンサーの両極板は、それぞれ電位\(14\,\text{V}\)と\(30\,\text{V}\)の導線に接続されています。したがって、かかる電位差\(\Delta V\)の大きさは、
$$
\begin{aligned}
\Delta V &= |14 – 30| \\[2.0ex]
&= 16 \, \text{V}
\end{aligned}
$$
蓄えられている電気量\(Q\)は、
$$
\begin{aligned}
Q &= 3 \times \Delta V \\[2.0ex]
&= 3 \times 16 \\[2.0ex]
&= 48 \, \text{μC}
\end{aligned}
$$

この設問の平易な説明

この複雑な回路は、パッと見ただけでは解き方が分かりにくいかもしれません。こういう時は「電位」という考え方を使うと非常に便利です。地図で標高を表すように、回路の一部分を基準の高さ(電位\(0\,\text{V}\))と決めます。
そこから電池という「ポンプ」を通るたびに電位が上がったり下がったりするのを計算していくと、各場所の電位がわかります。今回は真ん中の線の電位だけがわからないので、とりあえず「\(x\)ボルト」としておきます。
ここで重要なのが、真ん中の線につながっている3枚のコンデンサーの板は、他から電気が来られない「孤島」になっていることです。そのため、この孤島の電気量を全部足すとゼロになるはずです(電気量保存則)。
この「電気量の合計=ゼロ」という式を立てて解くと、謎だった「\(x\)」の値が\(14\,\text{V}\)だとわかります。
\(x\)がわかれば、\(3\,\mu\text{F}\)のコンデンサーの両端の電位が\(14\,\text{V}\)と\(30\,\text{V}\)だとわかるので、その差(電位差)は\(16\,\text{V}\)です。あとは\(Q=CV\)の公式を使って、\(3 \times 16 = 48\)[μC]と電気量を求められます。

結論と吟味

\(3\,\mu\text{F}\)のコンデンサーに蓄えられている電気量は\(48\,\mu\text{C}\)となります。
念のため、他のコンデンサーについても確認してみましょう。

  • \(2\,\mu\text{F}\)のコンデンサー: 電位差は\(|14-0|=14\,\text{V}\)。電気量は\(2 \times 14 = 28\,\mu\text{C}\)。
  • \(5\,\mu\text{F}\)のコンデンサー: 電位差は\(|14-10|=4\,\text{V}\)。電気量は\(5 \times 4 = 20\,\mu\text{C}\)。

孤立部分の各極板の電荷を符号付きで計算すると、\(Q_{2\mu F} = 2(14-0)=+28\,\mu\text{C}\)、\(Q_{3\mu F} = 3(14-30)=-48\,\mu\text{C}\)、\(Q_{5\mu F} = 5(14-10)=+20\,\mu\text{C}\)となります。これらの和は \(28 – 48 + 20 = 0\) となり、電気量保存則が正しく満たされていることが確認できます。

解答 \(48\,\mu\text{C}\)
別解: キルヒホッフの法則を用いる解法

思考の道筋とポイント
抵抗回路の解析で用いるキルヒホッフの法則は、コンデンサー回路にも適用できます。各コンデンサーに蓄えられる電荷を未知数(\(Q_1, Q_2, Q_3\))とし、接続点での「電荷保存則(第1法則)」と、閉回路での「電圧則(第2法則)」の2種類の式を立てて連立方程式を解く方法です。電位法に比べて計算は複雑になりますが、より基本的な法則に基づいたアプローチです。
この設問における重要なポイント

  • 各コンデンサーのどちらの極板の電荷を正とするか、あらかじめ決めておく(例:孤立部分に接続された極板を\(+Q\))。
  • 電荷保存則: 孤立した接続点に流れ込む(流れ出す)電荷の総和は0。
  • 電圧則: 任意の閉回路を一周したときの電位の変化の合計は0。
  • 電圧則の符号ルール: 電池は負極→正極で電位上昇(\(+E\))、コンデンサーは\(-Q\)極板→\(+Q\)極板で電位上昇(\(+Q/C\))。

具体的な解説と立式
3つのコンデンサーについて、孤立部分に接続された極板に蓄えられる電荷を、それぞれ\(Q_1, Q_2, Q_3\) [μC]とします。

  • \(Q_1\): \(2\,\mu\text{F}\)コンデンサーの、孤立部分側の極板の電荷
  • \(Q_2\): \(3\,\mu\text{F}\)コンデンサーの、孤立部分側の極板の電荷
  • \(Q_3\): \(5\,\mu\text{F}\)コンデンサーの、孤立部分側の極板の電荷

1. 電荷保存則(キルヒホッフ第1法則)

孤立した接続点では、電荷の総和は0です。
$$ Q_1 + Q_2 + Q_3 = 0 \quad \cdots ① $$
2. 電圧則(キルヒホッフ第2法則)

  • 左側の閉回路(\(2\,\mu\text{F}\), \(10\,\text{V}\), \(5\,\mu\text{F}\)を含む)を時計回りにたどります。
    • \(10\,\text{V}\)電池(負極→正極): 電位が\(+10\)上昇。
    • \(5\,\mu\text{F}\)コンデンサー(孤立部分と反対側→孤立部分側): \(-Q_3\)極板から\(+Q_3\)極板へたどるので、電位が \(+Q_3/5\) 上昇。
    • \(2\,\mu\text{F}\)コンデンサー(孤立部分側→孤立部分と反対側): \(+Q_1\)極板から\(-Q_1\)極板へたどるので、電位が \(-Q_1/2\) 下降。

    よって、電圧則の式は、
    $$ 10 + \frac{Q_3}{5} – \frac{Q_1}{2} = 0 \quad \cdots ② $$

  • 右側の閉回路(\(3\,\mu\text{F}\), \(20\,\text{V}\), \(5\,\mu\text{F}\)を含む)を反時計回りにたどります。
    • \(20\,\text{V}\)電池(負極→正極): 電位が\(+20\)上昇。
    • \(3\,\mu\text{F}\)コンデンサー(孤立部分と反対側→孤立部分側): \(-Q_2\)極板から\(+Q_2\)極板へたどるので、電位が \(+Q_2/3\) 上昇。
    • \(5\,\mu\text{F}\)コンデンサー(孤立部分側→孤立部分と反対側): \(+Q_3\)極板から\(-Q_3\)極板へたどるので、電位が \(-Q_3/5\) 下降。

    よって、電圧則の式は、
    $$ 20 + \frac{Q_2}{3} – \frac{Q_3}{5} = 0 \quad \cdots ③ $$

これで、3つの未知数\(Q_1, Q_2, Q_3\)に対して3つの独立した方程式が立ちました。

使用した物理公式

  • キルヒホッフの第1法則(電荷保存則)
  • キルヒホッフの第2法則(電圧則)
計算過程

②式を\(Q_1\)について解きます。
$$
\begin{aligned}
\frac{Q_1}{2} &= 10 + \frac{Q_3}{5} \\[2.0ex]
Q_1 &= 20 + \frac{2}{5}Q_3 \quad \cdots ②’
\end{aligned}
$$
③式を\(Q_2\)について解きます。
$$
\begin{aligned}
\frac{Q_2}{3} &= \frac{Q_3}{5} – 20 \\[2.0ex]
Q_2 &= \frac{3}{5}Q_3 – 60 \quad \cdots ③’
\end{aligned}
$$
②’と③’を①式に代入して\(Q_3\)を求めます。
$$
\begin{aligned}
\left( 20 + \frac{2}{5}Q_3 \right) + \left( \frac{3}{5}Q_3 – 60 \right) + Q_3 &= 0 \\[2.0ex]
-40 + \left( \frac{2}{5} + \frac{3}{5} + 1 \right)Q_3 &= 0 \\[2.0ex]
-40 + 2Q_3 &= 0 \\[2.0ex]
2Q_3 &= 40 \\[2.0ex]
Q_3 &= 20 \, \text{μC}
\end{aligned}
$$
求めたいのは\(3\,\mu\text{F}\)のコンデンサーの電気量なので、\(Q_2\)を計算します。③’に\(Q_3=20\)を代入します。
$$
\begin{aligned}
Q_2 &= \frac{3}{5}(20) – 60 \\[2.0ex]
&= 12 – 60 \\[2.0ex]
&= -48 \, \text{μC}
\end{aligned}
$$
\(Q_2\)は孤立部分側の極板の電荷を表します。コンデンサーに蓄えられている電気量はその絶対値なので、
$$
\begin{aligned}
|Q_2| &= |-48| \\[2.0ex]
&= 48 \, \text{μC}
\end{aligned}
$$

この設問の平易な説明

この回路を、抵抗がたくさんある回路と同じように解く方法もあります。それがキルヒホッフの法則を使った解法です。
まず、3つのコンデンサーにたまる電気を、正体不明のままそれぞれ\(Q_1, Q_2, Q_3\)と文字で置きます。
次に、物理法則のルールに従って式を立てます。ルールは2つです。

  1. 交差点のルール:電線が合流する点では、電気の出入りはゼロでなければなりません。今回は真ん中の接続点で \(Q_1+Q_2+Q_3=0\) という式が成り立ちます。
  2. 一周のルール:回路をぐるっと一周すると、電圧の上がり下がりは合計ゼロになり、元の高さに戻ってきます。このルールで回路の左半分と右半分をそれぞれ一周し、2つの式を作ります。

これで合計3つの式ができたので、これを数学の連立方程式として解けば、\(Q_1, Q_2, Q_3\)がすべて求まります。

結論と吟味

主たる解法と完全に同じく、\(48\,\mu\text{C}\)という結果が得られました。この解法は、どんなに複雑な回路にも原理的に適用できる強力な方法ですが、未知数が多くなりがちで計算が少し大変になります。電位法が使える場合はそちらの方が速く解けることが多いです。

解答 \(48\,\mu\text{C}\)

【総まとめ】この一問を未来の得点力へ!完全マスター講座

最重要ポイント:この問題の核心となる物理法則は?
  • 電位法と電気量保存則の組み合わせ:
    • 核心: この問題の根幹は、直列・並列に単純化できない複雑なコンデンサー回路を解くための最も強力な手法である「電位法」と「電気量保存則」を組み合わせて適用することにあります。
    • 理解のポイント:
      • 電位法(地図作り): 回路を地図に見立て、各地点の標高(電位)を決定していく作業です。まず基準点(標高\(0\,\text{m}\)、電位\(0\,\text{V}\))を決め、電池というポンプを通過するたびに標高がどう変わるかを計算していきます。これにより、回路の状態を「点の情報(電位)」で整理できます。
      • 電気量保存則(パズルのピース): 回路の中には、外部と繋がっていない「孤島」のような部分が存在します。この「孤島」全体の電荷の合計は、充電の前後で変わらない(通常は0のまま)という物理法則です。これが、電位法で未知数として置いた地点の電位(\(x\))を決定するための、決定的な方程式(パズルの最後のピース)を与えてくれます。
      • \(Q=CV\)の正しい使い方: 電気量保存則を立式する際、各極板の電荷は \(Q = C \times (\text{注目している極板の電位} – \text{向かいの極板の電位})\) という定義式を正確に使うことが重要です。これにより、電位の大小関係から電荷の符号が自動的に決まります。
応用テクニック:似た問題が出たらココを見る!解法の鍵と着眼点
  • 応用できる類似問題のパターン:
    • スイッチの切り替え問題: スイッチを切り替える前と後で、それぞれ回路の接続状態が変化します。各状態について電位法を適用し、特にスイッチの切り替えによって新たに孤立部分が生まれたり消えたりする際に、電気量保存則を考える問題に応用できます。
    • 接地(アース)を含む回路: 回路の一部が接地されている問題では、その点の電位が強制的に\(0\,\text{V}\)になる、という条件として使います。電位の基準点を自分で決める必要がなくなり、計算が楽になります。
    • コンデンサーのブリッジ回路: 抵抗のホイートストンブリッジと同様に、コンデンサーでブリッジが組まれている回路も、電位法で解くのが定石です。検流計の代わりにコンデンサーが接続されている場合など、そのコンデンサーの電荷や電位差を求める問題に応用できます。
  • 初見の問題での着眼点:
    1. 回路の分類: まず、回路全体が単純な直列・並列接続の組み合わせで解けるかを確認します。複数の電源があったり、ブリッジのように複雑に接続されていたりする場合は、すぐに「電位法」に思考を切り替えます。
    2. 孤立部分の特定: 回路図を俯瞰し、外部の電源などに一本も直接繋がっていない導線の塊(島)を探します。この部分を蛍光ペンなどで塗りつぶすと分かりやすくなります。ここが電気量保存則を適用する舞台です。
    3. 基準電位の選定: 計算が最も簡単になりそうな点(電池の負極に多く接続されている点など)を基準電位\(0\,\text{V}\)と定めます。
    4. 電位の割り振り: 基準点からスタートし、電池を通過するたびに電位を足し引きして、確定できる点の電位を全て回路図に書き込みます。電位が確定しない孤立部分の電位を未知数\(x\)と置きます。
    5. 方程式を立てる: 特定した孤立部分について、「接続されている各極板の電荷の総和が0」という電気量保存則の式を立てます。これで\(x\)を求めることができます。
要注意!ありがちなミス・誤解とその対策
  • 孤立部分の見落とし・誤認:
    • 誤解: どこが孤立しているのか分からなかったり、電池を含んだ部分まで孤立していると勘違いしたりする。
    • 対策: 「孤立部分」とは、導線とコンデンサーの極板だけで構成され、電池や外部端子に一切接続されていない部分のことです。回路図上で、その部分を完全に切り取っても、他の部分と電気的に無関係になるか、をイメージすると特定しやすくなります。
  • 電荷の符号の計算ミス:
    • 誤解: 電気量保存則を立てる際に、各コンデンサーの電荷の符号をどちら向きに取るべきか混乱し、足すべきところを引いてしまう。
    • 対策: このミスを防ぐ最も確実な方法は、機械的に \(Q = C \times (\text{孤立部分側の極板の電位} – \text{反対側の極板の電位})\) という式を適用することです。このルールを一貫して使えば、電位の大小関係から正しい符号が自動的に計算されるため、向きを悩む必要がなくなります。
  • 電位の割り振りミス:
    • 誤解: 電池を通過する際に、電位を足すのか引くのかを間違える。
    • 対策: 電池は「電位を上げるポンプ」と覚えましょう。電池の記号の短い線(負極)から長い線(正極)の向きに進むときは、必ず電位は起電力の分だけ「上がり」ます(足し算)。逆に長い線から短い線に進むときは「下がり」ます(引き算)。このルールを徹底します。
なぜその公式?論理的な公式選択と適用の思考法
  • 電位法と電気量保存則の組み合わせ:
    • 選定理由: この問題のように、直列・並列に単純化できない複雑な回路では、個々のコンデンサーの電圧や電荷を直接求めるのは困難です。回路全体の状態を記述する普遍的な物理量である「電位」を基準に考えるのが最も合理的です。しかし、電位だけでは方程式が足りません。そこで、もう一つの普遍的な法則である「電気量保存則」を組み合わせることで、未知の電位を決定するための方程式が得られます。
    • 適用根拠: 電位はエネルギーの位置に対応するスカラー量であり、回路のどの点でも一意に定まります(静電場が保存力場であるため)。電気量保存則は、電荷が勝手に生まれたり消えたりしないという物理学の大原則に基づいています。この2つの強力な法則を組み合わせることで、どんなに複雑な定常状態のコンデンサー回路も解くことができます。
  • キルヒホッフの法則(別解):
    • 選定理由: 電位法が「点の状態(電位)」に着目するのに対し、キルヒホッフの法則は「流れ(電荷)」と「ループ(電位差)」に着目する、もう一つの体系的な解法です。電位法が考えにくい場合に、別の視点を提供してくれます。
    • 適用根拠: 第1法則は接続点における電気量保存則そのものです。第2法則は、電場が保存力であること(静電場では電位が一意に定まること)の現れであり、「ループを一周すると電位は元に戻る」という当然の事実を数式化したものです。抵抗回路で成り立つこれらの法則は、コンデンサー回路の充電が完了した定常状態でも同様に成り立ちます。
計算ミスをなくす!日頃の意識と実践テクニック
  • 回路図への情報の集約: 基準電位(\(0\,\text{V}\))、計算で求めた各点の電位、未知の電位(\(x\))などを、ためらわずに回路図のコピーやノートに書き写した図に直接書き込みましょう。情報を視覚的に整理することで、立式の際の参照ミスを防ぎます。
  • 単位のスマートな扱い: 問題の静電容量は\(\mu\text{F}\)で与えられています。最終的に\(\mu\text{C}\)で答える場合、計算の最初から最後まで、静電容量は「\(2, 3, 5\)」、電位は「V」として計算を進め、最後に求まった電荷の数値に単位「\(\mu\text{C}\)」をつけるのが最も効率的です。これにより、計算中に\(10^{-6}\)を扱う必要がなくなり、計算ミスを大幅に減らせます。
  • 方程式の検算: 未知数\(x\)の値が求まったら、それを元の電気量保存の式 \(2(x – 0) + 3(x – 30) + 5(x – 10) = 0\) に代入して、本当に左辺が0になるかを確認する習慣をつけましょう。この一手間が、計算ミスを発見するのに非常に有効です。
  • 分配法則の丁寧な実行: \(3(x-30)\)や\(5(x-10)\)のような式を展開するとき、符号のミスは非常に起こりやすいです。焦らず、一つ一つの項を丁寧に計算することを心がけましょう。
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33 必殺技…電位による解法

【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド

【相違点に関する注記】

本解説は、問題の指示である「電位の方法」を主たる解説とします。さらに、物理的な理解を深め、別のアプローチを学ぶために、以下の別解を提示します。

  1. 提示する別解
    • 合成容量を用いる解法
      • 主たる解説が回路の各点の電位に着目するのに対し、別解では回路全体の接続構造(直列・並列)を読み解き、コンデンサーを段階的に合成していくことで解を導きます。
  2. 上記の別解が有益である理由
    • 物理的洞察力の向上: 回路図からコンデンサーの接続関係を正確に把握する能力が養われます。一見複雑に見える回路も、見方を変えれば単純な組み合わせであることに気づく訓練になります。
    • 解法の多角化と検証: 電位法という汎用的な手法に加え、回路構造から直接解くという物理的なアプローチを学ぶことで、思考の柔軟性が高まります。また、一方の解法で得た答えをもう一方で検算することが可能になります。
  3. 結果への影響
    • いずれのアプローチを用いても、計算過程は異なりますが、最終的に得られる物理的に正しい答えは完全に一致します。

この問題のテーマは「電位法を用いた複雑なコンデンサー回路の解析」です。一見すると単純な直列・並列の組み合わせではないように見える回路でも、電位法と電気量保存則を適用することで体系的に解くことができます。

問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。

  1. 電位の考え方: 回路の任意の点の電位を、基準点からの電位差として計算できること。
  2. 電気量保存則: 外部と導線で接続されていない回路の孤立部分では、各極板の電荷の代数和が常に一定(通常は0)に保たれること。
  3. コンデンサーの基本式: コンデンサーの極板間の電位差\(V\)と蓄えられる電気量\(Q\)の関係式 \(Q=CV\) を正しく適用できること。

基本的なアプローチは以下の通りです。

  1. 回路中の一点を基準電位(\(0\,\text{V}\))と定める。
  2. 電池によって電位が確定する点の電位を書き込む。
  3. 電位が未知の孤立部分の電位を\(x\)と置く。
  4. 孤立部分について電気量保存則の式を立て、未知数\(x\)を求める。
  5. \(x\)の値から、目的のコンデンサーにかかる電位差を計算し、\(Q=CV\)を用いて電気量を算出する。

\(C_1\)および\(C_3\)に蓄えられている電気量

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