「物理重要問題集2026」徹底解説(79〜81問):未来の得点力へ!完全マスター講座

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問題79 正弦波の式と定在波 (16 神戸大)

【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド

【相違点に関する注記】
  1. 提示する別解
    • 設問(2)〜(4)の別解: 微積分(波動方程式の一般解)を用いた体系的解法
      • 模範解答は波の幾何学的な遅れと反射の性質を個別に適用していますが、別解では波動方程式の一般解 \(y=f(x-vt)+g(x+vt)\) と境界条件(固定端)から、入射波・反射波・定在波の式を一括して数学的に導出します。
    • 設問(5)の別解: 定在波の性質(節と腹)を用いた作図法
      • 模範解答は導出した式に数値を代入してグラフを描いていますが、別解では「固定端は節」「節と節の間隔は半波長」という物理的性質を利用し、計算なしで直感的に概形を特定します。
  2. 上記の別解が有益である理由
    • 微積分の解法: 個別の公式を暗記するのではなく、波動現象の根本原理から全ての式が必然的に導かれることを理解でき、応用力が飛躍的に向上します。
    • 作図の解法: 複雑な三角関数の計算ミスを防ぎ、試験本番で素早く正確に解答するための検算テクニックとして極めて有効です。
  3. 結果への影響
    • いずれのアプローチを用いても、最終的に得られる答えは模範解答と完全に一致します。

この問題のテーマは「正弦波の反射と定在波の形成」です。波の式の作り方、固定端反射における位相の変化、そして定在波の数式的な扱いをマスターします。

問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。

  1. 波の基本式: 原点の振動が時間 \(t\) 遅れて地点 \(x\) に伝わるという考え方。
  2. 固定端反射: 反射点において、波の位相が \(\pi\) ずれる(変位が \(-1\) 倍になる)。
  3. 定在波(定常波): 逆向きに進む同じ振幅・同じ波長の2つの波が重なると、進行しない波ができる現象。
  4. 和積の公式: 三角関数の加法定理を応用して、波の重ね合わせを計算する数学的手法。

基本的なアプローチは以下の通りです。

  1. (1)は、波動の基本公式を確認します。
  2. (2)では、波の進む速さと距離から「時間の遅れ」を計算し、入射波の式を立てます。
  3. (3)では、反射波が「壁まで行って帰ってくる」距離を考え、固定端での位相変化を考慮して式を立てます。
  4. (4)では、(2)と(3)の結果を足し合わせ、三角関数の公式を用いて整理します。
  5. (5)では、具体的な条件を式に代入し、グラフを描きます。

問(1)

思考の道筋とポイント
波動の基本量である振動数 \(f\)、周期 \(T\)、波長 \(\lambda\)、波の速さ \(v\) の関係式(波の基本公式)を答える問題です。

この設問における重要なポイント

  • 周期と振動数の関係: 1秒間に振動する回数が \(f\)、1回の振動にかかる時間が \(T\) です。
  • 波の基本式: 波は1周期 \(T\) の間に1波長 \(\lambda\) だけ進みます。

具体的な解説と立式
振動数 \(f\) と周期 \(T\) は逆数の関係にあります。
$$
\begin{aligned}
f &= \frac{1}{T} \quad \cdots ①
\end{aligned}
$$
波の速さ \(v\) は、振動数 \(f\) と波長 \(\lambda\) の積で表されます。
$$
\begin{aligned}
v &= f\lambda \quad \cdots ②
\end{aligned}
$$

使用した物理公式

  • 振動数と周期: \(f = \frac{1}{T}\)
  • 波の基本式: \(v = f\lambda\)
計算過程

式②を変形して \(\lambda\) について解きます。
$$
\begin{aligned}
\lambda &= \frac{v}{f}
\end{aligned}
$$
これに式①を代入します。
$$
\begin{aligned}
\lambda &= v \cdot T
\end{aligned}
$$

この設問の平易な説明

振動数は「1秒間に何回揺れるか」なので、1回揺れるのにかかる時間(周期)の逆数になります。
また、波長は「波1つ分の長さ」です。波は1回の振動(時間 \(T\))で波1つ分(距離 \(\lambda\))だけ進むので、速さ \(v\) は距離割る時間、つまり \(\lambda / T\) となります。これを変形すれば \(\lambda = vT\) です。

結論と吟味

\(f = 1/T\)、\(\lambda = vT\) は波動の最も基本的な関係式であり、次元(単位)を確認しても正しいことがわかります(\([\text{L}] = [\text{L}/\text{T}] \cdot [\text{T}]\)。

解答 (1) \(\displaystyle f = \frac{1}{T}, \quad \lambda = vT\)

問(2)

思考の道筋とポイント
原点 \(O\) での振動 \(y = A \sin \frac{2\pi}{T} t\) が、\(x\) 軸正の向きに速さ \(v\) で伝わっていきます。
位置 \(x\) に波が到達するには、原点を出発してからある程度の時間がかかります。この「時間の遅れ」を数式に反映させます。

この設問における重要なポイント

  • 時刻の遅れ: 原点 \(O\) から位置 \(x\) まで波が進むのにかかる時間は \(x/v\) です。
  • 因果関係: 時刻 \(t\) における位置 \(x\) の変位は、少し前の時刻 \(t – x/v\) における原点の変位と同じです。

具体的な解説と立式
原点 \(O\) から位置 \(x\) まで距離 \(x\) だけ離れています。波の速さは \(v\) なので、波が伝わるのにかかる時間 \(\Delta t\) は以下のようになります。
$$
\begin{aligned}
\Delta t &= \frac{x}{v}
\end{aligned}
$$
時刻 \(t\) における位置 \(x\) での変位 \(y_1(x, t)\) は、時間 \(\Delta t\) だけ前の原点での変位に等しくなります。
$$
\begin{aligned}
y_1(x, t) &= y_O(t – \Delta t)
\end{aligned}
$$
原点の変位は \(y_O(t) = A \sin \frac{2\pi}{T} t\) で与えられています。

使用した物理公式

  • 正弦波の式(遅れ位相): \(y(x, t) = A \sin \frac{2\pi}{T}(t – \frac{x}{v})\)
計算過程

\(y_O(t)\) の \(t\) を \(t – \frac{x}{v}\) に置き換えます。
$$
\begin{aligned}
y_1 &= A \sin \frac{2\pi}{T} \left( t – \frac{x}{v} \right)
\end{aligned}
$$

この設問の平易な説明

「今、場所 \(x\) で起きている揺れ」は、「昔、原点で起きていた揺れ」が遅れて届いたものです。
距離 \(x\) を速さ \(v\) で進むので、\(x/v\) 秒だけ昔の原点の動きをコピーすればよいことになります。したがって、元の式の \(t\) を \(t – x/v\) に書き換えるだけで求まります。

結論と吟味

\(x=0\) を代入すると \(y_1 = A \sin \frac{2\pi}{T} t\) となり、問題文の原点の式と一致します。また、\(t\) が増えると波形全体が右(\(x\)正方向)へ移動する形になっており、入射波として妥当です。

解答 (2) \(\displaystyle A \sin \frac{2\pi}{T} \left( t – \frac{x}{v} \right)\)

問(3)

思考の道筋とポイント
反射波は、入射波が \(x=L\) の壁に当たって跳ね返ってきた波です。
反射波を考える際は、「波が進んだ総距離(道のり)」と「反射による位相の変化」の2点に注目します。

この設問における重要なポイント

  • 経路差: 原点を出た波が壁(\(x=L\))で反射して位置 \(x\)(\(x < L\))に戻ってくるまでの総距離は、\(L + (L-x) = 2L – x\) です。
  • 固定端反射: 固定端で反射する際、波の位相は \(\pi\) ずれます。これは変位が \(-1\) 倍になること(山が谷になって返ってくること)を意味します。

具体的な解説と立式
反射波 \(y_2\) は、原点を出発して距離 \(2L-x\) だけ進んできた波です。
この距離を進むのにかかる時間は \(\frac{2L-x}{v}\) です。
また、固定端反射による位相の反転(\(\pi\) のずれ)を考慮する必要があります。
したがって、反射波の変位 \(y_2\) は、遅れ時間を考慮した原点の変位に、反射による符号反転を加えたものになります。
$$
\begin{aligned}
y_2 &= – y_O \left( t – \frac{2L-x}{v} \right)
\end{aligned}
$$
あるいは、位相に \(+\pi\) を加えても同じです。
$$
\begin{aligned}
y_2 &= A \sin \left\{ \frac{2\pi}{T} \left( t – \frac{2L-x}{v} \right) + \pi \right\}
\end{aligned}
$$

使用した物理公式

  • 反射波の遅れ時間: \(\Delta t = \frac{\text{総距離}}{v}\)
  • 固定端反射の条件: 位相が \(\pi\) ずれる(変位が \(-1\) 倍)。
計算過程

変位を \(-1\) 倍する形式で計算します。
$$
\begin{aligned}
y_2 &= – A \sin \frac{2\pi}{T} \left( t – \frac{2L-x}{v} \right)
\end{aligned}
$$

この設問の平易な説明

反射波は、一度壁まで行ってから戻ってきた波です。
今いる場所 \(x\) に届くまでに、波は「原点 \(\to\) 壁 \(\to\) 場所 \(x\)」というルートを通りました。この道のりは \(L + (L-x) = 2L-x\) です。
この距離分だけ時間が遅れるので、\(t\) を \(t – (2L-x)/v\) に置き換えます。
さらに、壁は「固定端」なので、ぶつかった瞬間に波の形がひっくり返ります(プラスマイナスが逆転)。だから式の先頭にマイナスをつけます。

結論と吟味

\(x=L\)(壁の位置)を代入してみます。
入射波は \(y_1(L, t) = A \sin \frac{2\pi}{T}(t – L/v)\)。
反射波は \(y_2(L, t) = – A \sin \frac{2\pi}{T}(t – L/v)\)。
これらを足すと \(y_1 + y_2 = 0\) となり、固定端で常に変位がゼロになる条件を満たしています。

解答 (3) \(\displaystyle – A \sin \frac{2\pi}{T} \left( t – \frac{2L-x}{v} \right)\)

問(4)

思考の道筋とポイント
入射波 \(y_1\) と反射波 \(y_2\) を重ね合わせた合成波 \(y = y_1 + y_2\) を計算します。
三角関数の和積の公式を利用して、式を「場所 \(x\) の関数」と「時間 \(t\) の関数」の積の形に変形します。

この設問における重要なポイント

  • 重ね合わせの原理: 媒質の変位は、個々の波の変位の和になります。
  • 和積の公式: \(\sin A – \sin B = 2 \cos \frac{A+B}{2} \sin \frac{A-B}{2}\) を利用します。
  • 定在波の定義: 波形が進行せず、その場で振動しているように見える波。数式的には \(y = F(x) \cdot G(t)\) の形になります。

具体的な解説と立式
合成波 \(y\) は以下のようになります。
$$
\begin{aligned}
y &= y_1 + y_2 \\[1.0ex]
&= A \sin \frac{2\pi}{T} \left( t – \frac{x}{v} \right) – A \sin \frac{2\pi}{T} \left( t – \frac{2L-x}{v} \right)
\end{aligned}
$$
ここで、位相部分をそれぞれ \(\alpha, \beta\) と置きます。
$$
\begin{aligned}
\alpha &= \frac{2\pi}{T} \left( t – \frac{x}{v} \right) \\[1.0ex]
\beta &= \frac{2\pi}{T} \left( t – \frac{2L-x}{v} \right)
\end{aligned}
$$
問題文で与えられた公式 \(\sin \alpha – \sin \beta = 2 \cos \frac{\alpha+\beta}{2} \sin \frac{\alpha-\beta}{2}\) を適用します。

使用した物理公式

  • 重ね合わせの原理: \(y = y_1 + y_2\)
  • 和積の公式: \(\sin \alpha – \sin \beta = 2 \cos \frac{\alpha+\beta}{2} \sin \frac{\alpha-\beta}{2}\)
計算過程

まず、\(\frac{\alpha+\beta}{2}\) と \(\frac{\alpha-\beta}{2}\) を計算します。
$$
\begin{aligned}
\frac{\alpha+\beta}{2} &= \frac{1}{2} \cdot \frac{2\pi}{T} \left\{ \left( t – \frac{x}{v} \right) + \left( t – \frac{2L-x}{v} \right) \right\} \\[1.0ex]
&= \frac{\pi}{T} \left( 2t – \frac{x + 2L – x}{v} \right) \\[1.0ex]
&= \frac{\pi}{T} \left( 2t – \frac{2L}{v} \right) \\[1.0ex]
&= \frac{2\pi}{T} \left( t – \frac{L}{v} \right)
\end{aligned}
$$
$$
\begin{aligned}
\frac{\alpha-\beta}{2} &= \frac{1}{2} \cdot \frac{2\pi}{T} \left\{ \left( t – \frac{x}{v} \right) – \left( t – \frac{2L-x}{v} \right) \right\} \\[1.0ex]
&= \frac{\pi}{T} \left( -\frac{x}{v} + \frac{2L-x}{v} \right) \\[1.0ex]
&= \frac{\pi}{T} \left( \frac{2L – 2x}{v} \right) \\[1.0ex]
&= \frac{2\pi}{T} \left( \frac{L-x}{v} \right)
\end{aligned}
$$
これらを公式に代入します。
$$
\begin{aligned}
y &= A \cdot 2 \cos \left\{ \frac{2\pi}{T} \left( t – \frac{L}{v} \right) \right\} \sin \left\{ \frac{2\pi}{T} \left( \frac{L-x}{v} \right) \right\} \\[1.0ex]
&= 2A \sin \frac{2\pi}{T} \left( \frac{L-x}{v} \right) \cos \frac{2\pi}{T} \left( t – \frac{L}{v} \right)
\end{aligned}
$$
この式は、振幅部分 \(2A \sin \frac{2\pi}{T} (\frac{L-x}{v})\) が位置 \(x\) のみに依存し、振動部分 \(\cos \frac{2\pi}{T} (t – \frac{L}{v})\) が時刻 \(t\) のみに依存しています。
これは、各点 \(x\) がそれぞれ固有の振幅で単振動を行っていることを示しており、波形が移動しない定在波を表しています。

この設問の平易な説明

2つの波を足し算すると、三角関数のマジック(和積公式)によって、「場所ごとの揺れ幅(振幅)」と「時間のリズム(振動)」がきれいに分かれた式になります。
普通の波の式は \((t – x/v)\) のように時間と場所がセットで動きますが、この式では場所 \(x\) だけで振幅が決まっています。つまり、大きく揺れる場所(腹)と全く揺れない場所(節)が固定されており、波の形が進行せずにその場で足踏みしているように見えます。これが定在波です。

結論と吟味

得られた式において、\(x=L\) を代入すると \(\sin(0)=0\) となり、固定端が節になることと整合します。また、振幅の最大値は \(2A\) となり、入射波と反射波が強め合う場所(腹)では振幅が2倍になることも物理的に正しいです。

解答 (4) \(\displaystyle y = 2A \sin \frac{2\pi}{T} \left( \frac{L-x}{v} \right) \cos \frac{2\pi}{T} \left( t – \frac{L}{v} \right)\)
この式は、位置 \(x\) に依存する振幅 \(2A \sin \frac{2\pi}{T} (\frac{L-x}{v})\) と、時刻 \(t\) に依存する振動項 \(\cos \frac{2\pi}{T} (t – \frac{L}{v})\) の積で表されるため、波形が進行しない定在波を表す。
別解: 微積分と境界条件を用いた体系的解法

思考の道筋とポイント
個別の幾何学的な考察を行わず、波動方程式の一般解から出発し、境界条件(固定端)を適用することで、入射波・反射波・定在波の式を一括して導出します。

この設問における重要なポイント

  • 波動方程式の一般解: 1次元波動方程式の解は、右へ進む波 \(f(x-vt)\) と左へ進む波 \(g(x+vt)\) の和で表されます。
  • 境界条件: 固定端 \(x=L\) では、常に変位が \(0\) にならなければなりません。

具体的な解説と立式
一般に、\(x\) 軸上を伝わる波 \(y(x, t)\) は、任意の関数 \(f, g\) を用いて次のように書けます。
$$
\begin{aligned}
y(x, t) &= f(x – vt) + g(x + vt)
\end{aligned}
$$
ここで \(f(x-vt)\) は \(x\) 軸正方向へ進む入射波 \(y_1\)、\(g(x+vt)\) は負方向へ進む反射波 \(y_2\) に対応します。

1. 入射波の決定 (問2)
原点 \(x=0\) での変位が \(y(0, t) = A \sin \frac{2\pi}{T} t\) であることから、入射波成分 \(f\) の形が決まります。
$$
\begin{aligned}
f(0 – vt) &= A \sin \frac{2\pi}{T} t
\end{aligned}
$$
ここで変数変換 \(\xi = -vt\) とおくと、\(t = -\xi/v\) となり、関数 \(f\) の形が求まります。
$$
\begin{aligned}
f(\xi) &= A \sin \frac{2\pi}{T} \left( -\frac{\xi}{v} \right) \\[1.0ex]
&= -A \sin \frac{2\pi}{T} \frac{\xi}{v}
\end{aligned}
$$
よって、入射波 \(y_1 = f(x-vt)\) は以下のようになります。
$$
\begin{aligned}
y_1 &= -A \sin \frac{2\pi}{T} \frac{x-vt}{v} \\[1.0ex]
&= -A \sin \frac{2\pi}{T} \left( \frac{x}{v} – t \right) \\[1.0ex]
&= A \sin \frac{2\pi}{T} \left( t – \frac{x}{v} \right) \quad (\sin(-\theta) = -\sin\theta \text{より})
\end{aligned}
$$
これで問(2)の結果が得られました。

2. 反射波の決定 (問3)
\(x=L\) は固定端なので、常に変位は \(0\) です。
$$
\begin{aligned}
y(L, t) &= f(L – vt) + g(L + vt) \\[1.0ex]
&= 0
\end{aligned}
$$
したがって、以下の関係が成り立ちます。
$$
\begin{aligned}
g(L + vt) &= -f(L – vt)
\end{aligned}
$$
ここで変数変換 \(\eta = L + vt\) とおくと、\(vt = \eta – L\) なので、\(L – vt = L – (\eta – L) = 2L – \eta\) となります。
これより、関数 \(g\) の形が \(f\) を用いて決定されます。
$$
\begin{aligned}
g(\eta) &= -f(2L – \eta)
\end{aligned}
$$
よって、反射波 \(y_2 = g(x+vt)\) は以下のようになります。
$$
\begin{aligned}
y_2 &= -f(2L – (x+vt)) \\[1.0ex]
&= -f(2L – x – vt)
\end{aligned}
$$
これに先ほど求めた \(y_1\) の関数形 \(f(X) = A \sin \frac{2\pi}{T}(-\frac{X}{v})\) を適用します。
$$
\begin{aligned}
y_2 &= – \left[ A \sin \frac{2\pi}{T} \left( -\frac{2L – x – vt}{v} \right) \right] \\[1.0ex]
&= – A \sin \frac{2\pi}{T} \left( \frac{vt – (2L – x)}{v} \right) \\[1.0ex]
&= – A \sin \frac{2\pi}{T} \left( t – \frac{2L – x}{v} \right)
\end{aligned}
$$
これで問(3)の結果が得られました。

3. 定在波の導出 (問4)
合成波 \(y = y_1 + y_2\) を計算します。
$$
\begin{aligned}
y &= A \sin \frac{2\pi}{T} \left( t – \frac{x}{v} \right) – A \sin \frac{2\pi}{T} \left( t – \frac{2L – x}{v} \right)
\end{aligned}
$$
ここからの和積公式による変形はメインの解説と同様です。

使用した物理・数学公式

  • 波動方程式の一般解: \(y = f(x-vt) + g(x+vt)\)
  • 境界条件(固定端): \(y(L, t) = 0\)
計算過程

(上述の通り)

この設問の平易な説明

波の方程式の数学的な解(右に進む波と左に進む波の足し算)からスタートしました。
まず「原点での動き」という条件を使って、右に進む波の形を決めました。
次に「壁では動かない」という条件を使って、左に進む波(反射波)が右に進む波とどういう関係にあるかを決めました。
これらを組み合わせるだけで、図を描いたり遅れ時間を考えたりしなくても、自動的に全ての式が導かれます。

結論と吟味

幾何学的な考察を一切行わず、純粋な数式操作のみで模範解答と全く同じ結果が得られました。これにより、物理現象が数学的な方程式(波動方程式)に支配されていることが確認できます。

解答 (2)〜(4) 上記参照

問(5)

思考の道筋とポイント
(4)で求めた定在波の式に、条件 \(L = \frac{5}{4}\lambda\) を代入し、最大振幅となる時刻(\(\cos\) の項が \(\pm 1\))における波形を描きます。
式変形によって \(x\) の関数としての波形を特定します。

この設問における重要なポイント

  • 最大振幅の条件: 定在波が最も大きく変形する瞬間は、時間項 \(\cos(\dots)\) が \(\pm 1\) になるときです。
  • 波長と長さの関係: \(L = \frac{5}{4}\lambda\) という関係を使って、式中の \(v, T, L\) を消去し、\(x\) と \(\lambda\)(または \(L\))だけの式にします。

具体的な解説と立式
(4)の解において、最大振幅となる時刻では \(\cos \frac{2\pi}{T} (t – \frac{L}{v}) = \pm 1\) となります。
このときの変位 \(y\) は以下のようになります。
$$
\begin{aligned}
y &= \pm 2A \sin \frac{2\pi}{T} \left( \frac{L-x}{v} \right)
\end{aligned}
$$
ここで、\(vT = \lambda\) の関係を用いて式を整理します。
$$
\begin{aligned}
y &= \pm 2A \sin \frac{2\pi}{\lambda} (L-x)
\end{aligned}
$$
さらに、条件 \(L = \frac{5}{4}\lambda\) より \(\lambda = \frac{4}{5}L\) を代入して、\(x\) の関数として具体化します。

使用した物理公式

  • 波の基本式: \(vT = \lambda\)
  • 条件式: \(L = \frac{5}{4}\lambda\)
計算過程

式中の \(\lambda\) を消去します。
$$
\begin{aligned}
y &= \pm 2A \sin \left\{ \frac{2\pi}{\frac{4}{5}L} (L-x) \right\} \\[1.0ex]
&= \pm 2A \sin \left\{ \frac{5\pi}{2L} (L-x) \right\} \\[1.0ex]
&= \pm 2A \sin \left( \frac{5\pi}{2} – \frac{5\pi x}{2L} \right)
\end{aligned}
$$
ここで、三角関数の性質 \(\sin(\frac{5\pi}{2} – \theta) = \sin(\frac{\pi}{2} + 2\pi – \theta) = \sin(\frac{\pi}{2} – \theta) = \cos \theta\) を利用します。
$$
\begin{aligned}
y &= \pm 2A \cos \left( \frac{5\pi x}{2L} \right)
\end{aligned}
$$
この式に基づいてグラフを描きます。

  • \(x=0\) のとき: \(y = \pm 2A \cos 0 = \pm 2A\) (腹)
  • \(x=L\) のとき: \(y = \pm 2A \cos \frac{5\pi}{2} = 0\) (節)
  • \(x=\frac{2}{5}L\) のとき: \(y = \pm 2A \cos \pi = \mp 2A\) (腹)
  • \(x=\frac{4}{5}L\) のとき: \(y = \pm 2A \cos 2\pi = \pm 2A\) (腹)
この設問の平易な説明

計算の結果、波の形はコサインカーブ(\(\cos\))になることがわかりました。
原点 \(x=0\) では \(\cos 0 = 1\) なので、振幅が最大の \(2A\)(腹)になります。
壁 \(x=L\) では \(\cos(2.5\pi) = 0\) なので、振幅は \(0\)(節)になります。
この間をなめらかにつなぐと、途中で山と谷が入れ替わる波の形が描けます。

結論と吟味

\(x=0\) が腹、\(x=L\) が節となっており、固定端反射の定在波として正しい姿です。また、\(L = 1.25\lambda\) なので、長さ \(L\) の中に波長 \(\lambda\) が1.25個分(5/4個分)入っているはずです。グラフを描くと、山→谷→山(の途中)となり、確かに1.25波長分収まっています。

解答 (5) 模範解答図a参照
別解: 定在波の性質(節と腹)を用いた作図法

思考の道筋とポイント
複雑な三角関数の計算を行わず、「固定端は節になる」「節と節の間隔は半波長」という定在波の幾何学的な性質だけを使って波形を特定します。

この設問における重要なポイント

  • 境界条件: 固定端 \(x=L\) は必ず定在波の「節」になります。
  • 節の間隔: 定在波の節と節の間隔は \(\frac{\lambda}{2}\) です。
  • 腹の位置: 節と節のちょうど真ん中が「腹」になります。

具体的な解説と立式
条件より \(L = \frac{5}{4}\lambda\) なので、波長は \(\lambda = \frac{4}{5}L\) です。
節の間隔 \(d\) は以下のようになります。
$$
\begin{aligned}
d &= \frac{\lambda}{2} \\[1.0ex]
&= \frac{2}{5}L
\end{aligned}
$$
固定端 \(x=L\) は必ず「節」になります。ここから原点に向かって \(d\) ごとに節をプロットしていきます。

  1. 1つ目の節: \(x_1 = L\)
  2. 2つ目の節: \(x_2 = L – \frac{2}{5}L = \frac{3}{5}L\)
  3. 3つ目の節: \(x_3 = \frac{3}{5}L – \frac{2}{5}L = \frac{1}{5}L\)
  4. 4つ目の節: \(x_4 = \frac{1}{5}L – \frac{2}{5}L = -\frac{1}{5}L\) (原点より左なので範囲外)

次に、節と節の中点にある「腹」の位置を確認します。

  • \(x=L\) と \(x=\frac{3}{5}L\) の間 \(\rightarrow x = \frac{4}{5}L\) で腹。
  • \(x=\frac{3}{5}L\) と \(x=\frac{1}{5}L\) の間 \(\rightarrow x = \frac{2}{5}L\) で腹。
  • \(x=\frac{1}{5}L\) と \(x=-\frac{1}{5}L\) の間 \(\rightarrow x = 0\) で腹。
計算過程

(作図によるため計算は上記のみ)

この設問の平易な説明

計算式をこねくり回さなくても、「壁は動かない(節)」ということと、「節は半波長ごとに並ぶ」というルールだけで描けます。
壁からスタートして、半波長(\(2L/5\))ごとに印をつけていくと、\(x=L, 3L/5, L/5\) が節だとわかります。
さらにその間が腹になるので、原点 \(x=0\) もちょうど腹の位置に来ることがわかります。
あとは、腹で最大振幅 \(2A\)、節で \(0\) を通るように波を描くだけです。

結論と吟味

数式変形で求めた結果(\(x=0\) で腹、\(x=L\) で節)と完全に一致します。試験場での検算や、素早い作図に非常に有効な方法です。

解答 (5) 上記参照

【総まとめ】この一問を未来の得点力へ!完全マスター講座

最重要ポイント:この問題の核心となる物理法則は?

  • 波の伝播と因果律(遅れ位相)
    • 核心: 「ある場所の今の揺れ」は、「波源の過去の揺れ」が時間をかけて伝わってきたものであるという因果関係。
    • 理解のポイント:
      • 距離 \(x\) 進むのにかかる時間は \(x/v\) です。
      • したがって、位置 \(x\) での変位 \(y(x, t)\) は、原点での時刻 \(t – x/v\) の変位 \(y(0, t – x/v)\) と等しくなります。
  • 固定端反射と位相の反転
    • 核心: 固定端(壁)では媒質が動けないため、入射波を打ち消すような逆向きの変位を持つ反射波が生成されます。
    • 理解のポイント:
      • 固定端反射では、位相が \(\pi\) ずれます。これは波の変位が \(-1\) 倍になる(山が谷になって返ってくる)ことと同義です。
      • 自由端反射なら位相はずれません(山は山のまま反射)。

応用テクニック:似た問題が出たらココを見る!解法の鍵と着眼点

  • 応用できる類似問題のパターン:
    • 自由端反射の問題: 固定端が自由端に変わった場合、反射波の位相変化がなくなります(\(+\pi\) や \(-1\) 倍が不要)。それ以外の手順(遅れ時間の計算など)は全く同じです。
    • 気柱の共鳴(開管・閉管): 管楽器などの気柱共鳴も、管口(自由端)や管底(固定端)での反射波と入射波が干渉して定在波を作る現象であり、本問と全く同じ原理で説明できます。
  • 初見の問題での着眼点:
    1. 原点の振動式の確認: 与えられた式が \(A \sin \omega t\) なのか \(A \cos \omega t\) なのかを最初に確認します。
    2. 反射条件の確認: 端点が「固定端(符号反転)」か「自由端(符号そのまま)」かを見極めます。
    3. 経路の作図: 入射波と反射波がどのようなルートを通って観測点 \(x\) に届くか、簡単な図を描いて距離(\(x\) や \(2L-x\))を可視化します。

要注意!ありがちなミス・誤解とその対策

  • 反射波の式の符号ミス:
    • 誤解: 固定端反射であることを忘れ、位相をずらさずにそのまま反射波の式を作ってしまう。あるいは、自由端で逆にずらしてしまう。
    • 対策: 「固定端=硬い壁=動かない=入射波と反射波が打ち消し合う=符号逆」と連想し、必ず \(x=L\) で変位が \(0\) になるか検算する習慣をつけましょう。
  • 和積公式の適用ミス:
    • 誤解: \(\sin A – \sin B\) の公式をうろ覚えで適用し、\(\cos\) と \(\sin\) が逆になったり、符号を間違えたりする。
    • 対策: 加法定理 \(\sin(A \pm B) = \sin A \cos B \pm \cos A \sin B\) からその場で導けるようにしておくか、問題文のヒントを指差し確認しながら慎重に代入しましょう。

なぜその公式?論理的な公式選択と適用の思考法

  • 問(4)での和積公式の選択:
    • 選定理由: 入射波と反射波の和を計算する際、そのままでは「進行する2つの波の和」に見えますが、和積公式を使うことで「場所の関数 \(\times\) 時間の関数」という定在波の形式に分離できるからです。
    • 適用根拠: 物理的には「重ね合わせの原理」が成立しており、数学的には三角関数の和の形になっているため適用可能です。
  • 別解での波動方程式(一般解)の利用:
    • 選定理由: 幾何学的な考察(遅れ時間や経路差)が複雑でミスしやすい場合でも、境界条件(\(x=L\) で \(y=0\))から数学的に厳密かつ自動的に反射波の式を導出できるためです。
    • 適用根拠: 波動現象はすべて波動方程式 \(y = f(x-vt) + g(x+vt)\) に支配されているため、あらゆる波動問題に適用可能です。

計算ミスをなくす!日頃の意識と実践テクニック

  • 次元解析(単位チェック):
    • 意識: 式変形の途中で、位相部分(三角関数の中身)が無次元になっているか確認します。
    • 実践: \(\frac{2\pi}{T}(t – \frac{x}{v})\) は \([1/\text{T}] \cdot ([\text{T}] – [\text{L}]/[\text{L}/\text{T}]) = [1]\) となり無次元でOKです。もし \(t – x\) のような項が出てきたら、時間と長さを引いているので間違いです。
  • 特殊な点での検算:
    • 意識: 求めた式が、端点(\(x=0, x=L\))で物理的に正しい振る舞いをするか確認します。
    • 実践: 特に \(x=L\)(固定端)を代入して \(y=0\) になるか必ずチェックしましょう。なっていなければ、反射波の符号か位相の計算が間違っています。
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問題80 円形波の反射 (千葉工大)

【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド

【相違点に関する注記】
  1. 提示する別解
    • 設問(5)の別解: 不等式を用いた数式解法
      • 模範解答は作図によって節の数を数えていますが、別解では経路差の式と定義域(\(0 < x < 8.0\))を用いて、条件を満たす整数 \(n\) を数学的に数え上げます。
    • 設問(8)〜(10)の別解: 微積分(位相関数)を用いた体系的解法
      • ドップラー効果の公式を暗記して適用するのではなく、波の位相 \(\Phi(t, x)\) を定義し、その時間微分から瞬時振動数を導出する原理的なアプローチをとります。これにより、斜め方向のドップラー効果や振動数の変化を統一的に理解できます。
  2. 上記の別解が有益である理由
    • 数式解法: 作図が困難な場合や、精度が求められる場合に、計算のみで確実に正解を導き出せるため、実戦的な武器となります。
    • 微積分の解法: 公式の適用範囲(音源が一直線上にあるか等)に迷うことなく、あらゆる幾何学的配置におけるドップラー効果を解析できる応用力が身につきます。
  3. 結果への影響
    • いずれのアプローチを用いても、最終的に得られる答えは模範解答と完全に一致します。

この問題のテーマは「平面内での波の干渉とドップラー効果」です。鏡像法(虚波源)を用いた反射波の扱い、経路差による干渉条件、そして移動する波源によるドップラー効果を総合的に考察します。

問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。

  1. ホイヘンスの原理と鏡像法: 波の反射は、壁の向こう側にある「鏡像(虚波源)」から波が来ているとみなすことで、単純な2波源干渉の問題に帰着できます。
  2. 波の干渉条件: 2つの波源からの経路差が波長の整数倍なら強め合い(腹)、半波長の奇数倍なら弱め合います(節)。
  3. ドップラー効果: 波源や観測者が動くことで、波長や振動数が変化して観測される現象です。

基本的なアプローチは以下の通りです。

  1. (1)〜(4)では、虚波源 \(O’\) を設定し、幾何学的な距離計算から干渉条件を立式して波長などを求めます。
  2. (5)〜(6)では、特定の直線上での干渉パターン(節の数や腹の位置)を考察します。
  3. (7)〜(10)では、波源が移動する場合のドップラー効果を計算し、幾何学的な配置の変化が振動数に与える影響を定性的に分析します。

問(1)

ここから先が、他の受験生と差がつく重要パートです。

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