問題91 (長崎大)
【問題の確認】まずは問題文をしっかり読み解こう
この問題は、2枚の凸レンズを組み合わせた「組合せレンズ」の働きを解析する問題です。1枚目のレンズが作った像を、2枚目のレンズがさらに拡大して観察するという、顕微鏡や望遠鏡の基本的な原理を扱っています。
- レンズ: 2枚の薄い凸レンズL₁, L₂
- 配置: 光軸を一致させて配置。
- 物体PQ: L₁からの距離 \(x\)。
- 焦点距離: L₁は\(f_1\)、L₂は\(f_2\)。
- レンズ間距離: \(d\)。
- 像:
- L₁による実像P₁Q₁: L₁からの距離 \(y\)。
- L₂による虚像P₂Q₂: L₂からの距離 \(z\)。
- (1) L₁による実像の距離 \(y\)。
- (2) L₁による倍率 \(m_1\)。
- (3) L₂によって虚像ができるための条件。
- (4) レンズ間距離 \(d\) を表す式。
- (5) 組合せレンズ全体の倍率 \(m_{12}\)。
【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド
本解説は、模範解答で採用されている解法を主たる解説としつつ、以下の別解を提示します。
- 提示する別解
- 問(2) 倍率の別解: レンズの公式を変形して導出する解法
- 主たる解法が、倍率の公式\(m=|b/a|\)に像距離\(b\)の計算結果を代入するのに対し、別解ではレンズの公式そのものを\(b/a\)の形に変形することで、より直接的に倍率を導出します。
- 問(2) 倍率の別解: レンズの公式を変形して導出する解法
- 上記の別解が有益である理由
- 計算の効率化: この別解のアプローチは、像距離\(b\)を具体的に計算する手間を省けるため、特に\(b\)の式が複雑になる場合に計算ミスを減らし、時間を短縮できる可能性があります。
- 公式の理解深化: レンズの公式と倍率の公式が、単に独立したものではなく、式変形によって相互に深く関連していることを理解できます。
- 結果への影響
- いずれのアプローチを用いても、計算過程や思考の出発点が異なるだけで、最終的に得られる答えは模範解答と完全に一致します。
この問題のテーマは「組合せレンズ」です。2枚の凸レンズを組み合わせた光学系(顕微鏡や望遠鏡の原型)について、物体がどのように結像するかをレンズの公式を用いて解析します。
問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。
- レンズの公式(写像公式): 物体とレンズの距離(\(a\))、レンズと像の距離(\(b\))、焦点距離(\(f\))の関係を結びつける公式 \(\displaystyle\frac{1}{a} + \frac{1}{b} = \frac{1}{f}\) です。この公式を正しく適用することが全ての基本です。
- 倍率の公式: 像の大きさが物体の大きさの何倍になるかを示す公式 \(m = |b/a|\) です。
- リレー結像の考え方: 組合せレンズの問題では、「1枚目のレンズが作る像」を「2枚目のレンズにとっての新たな物体」と見なして、段階的に結像を考えます。これをリレー結像と呼びます。
- 実像と虚像:
- 実像: 光が実際に集まってできる像。スクリーンに映すことができます。レンズの公式では \(b>0\) となります。
- 虚像: 光がそこから出てくるように見える見かけの像。レンズを覗き込むことで見えます。レンズの公式では \(b<0\) となります。凸レンズで虚像ができるのは、物体を焦点距離の内側に置いたときです。
基本的なアプローチは以下の通りです。
- まず、1枚目のレンズL₁について、レンズの公式と倍率の公式を適用し、それによってできる中間像(実像P₁Q₁)の位置と倍率を求めます(問1, 2)。
- 次に、この中間像P₁Q₁を、2枚目のレンズL₂の物体と見なします。L₂によって虚像ができる条件を考えます(問3)。
- L₂について再びレンズの公式を適用し、最終的な虚像P₂Q₂の位置と、レンズ間の距離の関係を導きます(問4)。
- 最後に、全体の倍率を、各レンズの倍率の積として計算します(問5)。
問(1)
思考の道筋とポイント
1枚目のレンズL₁による結像を考えます。物体PQとレンズL₁の距離、およびL₁の焦点距離が与えられているので、レンズの公式を用いて像P₁Q₁の位置を求めます。
この設問における重要なポイント
- レンズの公式: \(\displaystyle\frac{1}{a} + \frac{1}{b} = \frac{1}{f}\)。
- 物体距離 \(a=x\)、像距離 \(b=y\)、焦点距離 \(f=f_1\) を正しく代入する。
具体的な解説と立式
レンズL₁について、レンズの公式を適用します。
- 物体距離: \(a = x\)
- 像距離: \(b = y\)
- 焦点距離: \(f = f_1\)
レンズの公式にこれらを代入すると、
$$ \frac{1}{x} + \frac{1}{y} = \frac{1}{f_1} $$
使用した物理公式
- レンズの公式: \(\displaystyle\frac{1}{a} + \frac{1}{b} = \frac{1}{f}\)
上の式を \(y\) について解きます。
$$
\begin{aligned}
\frac{1}{y} &= \frac{1}{f_1} – \frac{1}{x} \\[2.0ex]
\frac{1}{y} &= \frac{x – f_1}{xf_1} \\[2.0ex]
y &= \frac{xf_1}{x – f_1}
\end{aligned}
$$
問題の条件より \(x > f_1\) なので、分母は正となり \(y>0\) です。これは、できる像がレンズL₁の後方にできる実像であることを示しています。
レンズの基本的なルールである「レンズの公式」に、問題で与えられた物体までの距離\(x\)と焦点距離\(f_1\)を当てはめて、像ができる位置\(y\)を計算します。
L₁によってできる実像P₁Q₁の、L₁からの距離は \(y = \displaystyle\frac{xf_1}{x-f_1}\) です。
問(2)
思考の道筋とポイント
レンズL₁による倍率\(m_1\)を求めます。倍率の公式 \(m = |b/a|\) を用います。
この設問における重要なポイント
- 倍率の公式: \(m = |b/a|\)。
- 物体距離 \(a=x\)、像距離 \(b=y\) を代入し、問(1)の結果を利用する。
具体的な解説と立式
レンズL₁による倍率 \(m_1\) は、
$$ m_1 = \left|\frac{y}{x}\right| $$
ここで、\(x>0, y>0\) なので、絶対値はそのまま外せます。
$$ m_1 = \frac{y}{x} $$
使用した物理公式
- 倍率の公式: \(m = |b/a|\)
上の式に、問(1)で求めた \(y = \displaystyle\frac{xf_1}{x-f_1}\) を代入します。
$$
\begin{aligned}
m_1 &= \frac{1}{x} \cdot y \\[2.0ex]
&= \frac{1}{x} \cdot \frac{xf_1}{x-f_1} \\[2.0ex]
&= \frac{f_1}{x-f_1}
\end{aligned}
$$
像の大きさが物体の何倍になるか(倍率)は、「像までの距離」を「物体までの距離」で割ることで計算できます。問(1)で計算した像の距離\(y\)を使って、倍率を求めます。
L₁による倍率は \(m_1 = \displaystyle\frac{f_1}{x-f_1}\) です。\(x\)が\(f_1\)に近いほど倍率が大きくなることがわかり、物理的に妥当です。
思考の道筋とポイント
レンズの公式 \(\frac{1}{a} + \frac{1}{b} = \frac{1}{f}\) を変形して、倍率の式 \(m=|b/a|\) を直接導出します。
この設問における重要なポイント
- レンズの公式の両辺に \(b\) を掛けることで、\(b/a\) の項を作り出す。
具体的な解説と立式
レンズL₁の公式に、\(a=x, b=y, f=f_1\) を代入します。
$$ \frac{1}{x} + \frac{1}{y} = \frac{1}{f_1} $$
この式の両辺に \(y\) を掛けます。
$$ \frac{y}{x} + \frac{y}{y} = \frac{y}{f_1} $$
$$ \frac{y}{x} + 1 = \frac{y}{f_1} \quad \cdots ①’ $$
倍率 \(m_1 = y/x\) を求めたいので、この式を \(y\) について一度解き、\(y/x\) を計算します。
使用した物理公式
- レンズの公式: \(\displaystyle\frac{1}{a} + \frac{1}{b} = \frac{1}{f}\)
式①’を変形して \(y\) を求めます。
$$
\begin{aligned}
1 &= \frac{y}{f_1} – \frac{y}{x} \\[2.0ex]
1 &= y \left( \frac{1}{f_1} – \frac{1}{x} \right) \\[2.0ex]
1 &= y \left( \frac{x-f_1}{xf_1} \right) \\[2.0ex]
y &= \frac{xf_1}{x-f_1}
\end{aligned}
$$
これを倍率の式 \(m_1=y/x\) に代入すると、
$$
\begin{aligned}
m_1 &= \frac{1}{x} \cdot \frac{xf_1}{x-f_1} \\[2.0ex]
&= \frac{f_1}{x-f_1}
\end{aligned}
$$
レンズの公式を変形すると、倍率の式を導き出すことができます。ここでは、レンズの公式から出発して、計算を進めることで倍率を求める、という別のアプローチを取ります。
主たる解法と完全に同じ結果が得られました。この方法は、像距離 \(y\) が与えられていない場合でも、レンズの公式から直接倍率を計算する際に有効なテクニックです。
問(3)
思考の道筋とポイント
レンズL₂によって、実像P₁Q₁の「虚像」ができるための条件を考えます。凸レンズで虚像ができるのは、物体を焦点の内側に置いたときです。
この設問における重要なポイント
- L₁が作った実像P₁Q₁が、L₂にとっての「物体」となる。
- L₂から物体(P₁Q₁)までの距離は \(d-y\) である。
- L₂で虚像ができる条件は、「物体を焦点の内側に置く」こと。すなわち、物体距離が焦点距離より小さいこと。
- 物体(P₁Q₁)は、L₂の前方にある必要がある。
具体的な解説と立式
レンズL₂にとって、実像P₁Q₁が物体となります。L₂からこの物体(P₁Q₁)までの距離は \(d-y\) です。
L₂(凸レンズ)によって虚像ができるための条件は、物体(P₁Q₁)をL₂の焦点距離 \(f_2\) の内側に置くことです。
$$ d-y < f_2 \quad \cdots ① $$ また、P₁Q₁はL₂にとっての物体として機能するため、L₂の前方になければなりません。つまり、L₁とL₂の間に結像する必要があります。 $$ d > y \quad \cdots ② $$
①と②の条件を合わせると、
$$ y < d < y + f_2 $$
使用した物理公式
- 凸レンズで虚像ができる条件: 物体距離 < 焦点距離
この不等式に、問(1)で求めた \(y = \displaystyle\frac{xf_1}{x-f_1}\) を代入します。
$$ \frac{xf_1}{x-f_1} < d < \frac{xf_1}{x-f_1} + f_2 $$
2枚目のレンズL₂で虚像(レンズを覗くと見える拡大された像)を作るには、1枚目のレンズL₁が作った像(中間像)を、L₂の焦点より手前に置く必要があります。この条件を、レンズ間の距離\(d\)に関する不等式で表します。
求める条件は \(\displaystyle\frac{xf_1}{x-f_1} < d < \frac{xf_1}{x-f_1} + f_2\) です。これは、レンズL₂を置く位置が、中間像P₁Q₁の位置と、そこからさらに焦点距離\(f_2\)だけ離れた位置との間に制限されることを意味します。
問(4)
思考の道筋とポイント
レンズL₂についてレンズの公式を適用し、レンズ間の距離\(d\)を他の変数で表します。
この設問における重要なポイント
- L₂にとっての物体はP₁Q₁、像はP₂Q₂である。
- 物体距離: \(a_2 = d-y\)
- 像距離: 虚像なので、レンズの前方にできる。したがって \(b_2 = -z\) と符号を負にする。
- 焦点距離: \(f_2\)
具体的な解説と立式
レンズL₂について、レンズの公式 \(\displaystyle\frac{1}{a} + \frac{1}{b} = \frac{1}{f}\) を適用します。
- 物体距離: \(a_2 = d-y\)
- 像距離: \(b_2 = -z\) (虚像はレンズの前方にできるため、負の値とする)
- 焦点距離: \(f_2\)
これらを代入すると、
$$ \frac{1}{d-y} + \frac{1}{-z} = \frac{1}{f_2} $$
使用した物理公式
- レンズの公式(虚像の場合の符号に注意)
上の式を \(d\) について解きます。
$$
\begin{aligned}
\frac{1}{d-y} &= \frac{1}{f_2} + \frac{1}{z} \\[2.0ex]
\frac{1}{d-y} &= \frac{z+f_2}{f_2 z} \\[2.0ex]
d-y &= \frac{f_2 z}{f_2 + z} \\[2.0ex]
d &= y + \frac{f_2 z}{f_2 + z}
\end{aligned}
$$
2枚目のレンズL₂についても、レンズの公式が成り立ちます。このとき、L₂から見た「物体の位置(\(d-y\))」と「像の位置(\(z\))」の関係を式にします。ただし、できる像は虚像なので、像の距離をマイナス(\(-z\))として公式に入れるのがポイントです。
レンズ間の距離は \(d = y + \displaystyle\frac{f_2 z}{f_2 + z}\) と表されます。
問(5)
思考の道筋とポイント
組合せレンズ全体の倍率 \(m_{12}\) は、各レンズの倍率 \(m_1\) と \(m_2\) の積で与えられます。
この設問における重要なポイント
- 合成倍率: \(m_{12} = m_1 \times m_2\)。
- L₂による倍率 \(m_2\) を計算し、問(2)で求めた \(m_1\) と掛け合わせる。
具体的な解説と立式
まず、レンズL₂による倍率 \(m_2\) を求めます。
$$ m_2 = \left|\frac{b_2}{a_2}\right| = \left|\frac{-z}{d-y}\right| $$
\(z>0, d-y>0\) なので、
$$ m_2 = \frac{z}{d-y} $$
問(4)の計算過程で \(d-y = \displaystyle\frac{f_2 z}{f_2 + z}\) という関係がわかっているので、これを代入します。
$$
\begin{aligned}
m_2 &= \frac{z}{\displaystyle\frac{f_2 z}{f_2 + z}} \\[2.0ex]
&= \frac{z(f_2+z)}{f_2 z} \\[2.0ex]
&= \frac{f_2+z}{f_2}
\end{aligned}
$$
全体の倍率 \(m_{12}\) は、\(m_1\) と \(m_2\) の積です。
$$ m_{12} = m_1 \cdot m_2 $$
使用した物理公式
- 倍率の公式
- 合成倍率の考え方
問(2)で求めた \(m_1 = \displaystyle\frac{f_1}{x-f_1}\) と、上で求めた \(m_2\) を掛け合わせます。
$$
\begin{aligned}
m_{12} &= m_1 \cdot m_2 \\[2.0ex]
&= \frac{f_1}{x-f_1} \cdot \frac{f_2+z}{f_2} \\[2.0ex]
&= \frac{f_1(f_2+z)}{f_2(x-f_1)}
\end{aligned}
$$
全体の倍率は、それぞれのレンズが何倍にするかを計算して、それらを掛け合わせることで求まります。L₁が物体を\(m_1\)倍にし、その像をL₂がさらに\(m_2\)倍にする、というイメージです。
組合せレンズの倍率は \(m_{12} = \displaystyle\frac{f_1(f_2+z)}{f_2(x-f_1)}\) となります。これは顕微鏡の倍率の公式の原型となる形です。
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最重要ポイント:この問題の核心となる物理法則は?
- レンズの公式(写像公式):
- 核心: \(\displaystyle\frac{1}{a} + \frac{1}{b} = \frac{1}{f}\) という、レンズの結像における最も基本的な法則です。物体距離(\(a\))、像距離(\(b\))、焦点距離(\(f\))の3つのうち2つが分かれば、残りの1つを計算できます。
- 理解のポイント: この問題では、レンズL₁とL₂のそれぞれについて、この公式を適用します。特に、虚像を扱う(4)では、像距離\(b\)を負の値(\(b=-z\))として代入することが重要です。
- リレー結像の考え方:
- 核心: 複数のレンズを組み合わせた光学系では、「前のレンズが作った像」が「後ろのレンズにとっての新たな物体」として機能します。この「像を物体と見なす」リレー的な考え方が、組合せレンズの問題を解くための鍵となります。
- 理解のポイント:
- L₁が物体PQから実像P₁Q₁を作る。(問1)
- この実像P₁Q₁を、L₂の物体と見なす。(問3, 4)
- L₂が物体P₁Q₁から虚像P₂Q₂を作る。
この2段階のプロセスを明確に意識することが、問題を正しく解くための道筋です。
- 倍率の公式と合成倍率:
- 核心: レンズによる像の倍率は \(m = |b/a|\) で与えられます。そして、組合せレンズ全体の倍率は、各レンズの倍率の積 \(m_{\text{全体}} = m_1 \times m_2 \times \dots\) で計算できます。
- 理解のポイント: L₁で\(m_1\)倍に拡大された像を、L₂がさらに\(m_2\)倍に拡大する、という直感的なイメージがそのまま数式になっています。(5)では、この合成倍率の考え方を用いて全体の倍率を計算します。
応用テクニック:似た問題が出たらココを見る!解法の鍵と着眼点
- 応用できる類似問題のパターン:
- 顕微鏡: 対物レンズ(L₁に対応)で物体の倒立実像を作り、それを接眼レンズ(L₂に対応)で拡大して虚像として観察する装置。この問題は、まさに顕微鏡の基本原理そのものです。
- ケプラー式望遠鏡: 遠方の物体を対物レンズで焦点付近に実像として結び、それを接眼レンズで拡大して虚像として観察する装置。物体が無限遠にある(\(x \rightarrow \infty\))と考える点が異なりますが、リレー結像の考え方は同じです。
- 凹レンズとの組み合わせ: 凸レンズと凹レンズを組み合わせたガリレオ式望遠鏡など。凹レンズを扱う場合は、焦点距離\(f\)を負の値としてレンズの公式に代入する必要があります。
- 初見の問題での着眼点:
- レンズごとに分解: 複雑な組合せレンズの問題でも、焦らずにレンズ1枚ずつに注目し、それぞれのレンズについて「物体は何か」「像はどこか」を特定します。
- 1枚目の像の位置を確定: まず、最初のレンズが作る像の位置(\(y\))と種類(実像か虚像か)を、レンズの公式を使って完全に求めます。これが次のステップの土台となります。
- 2枚目の物体距離を正しく設定: 2枚目のレンズにとっての物体距離は、レンズ間の距離(\(d\))と1枚目の像の位置(\(y\))から求めます。この問題では \(d-y\) となりますが、像の位置関係によっては \(d+y\) や \(y-d\) となる場合もあるため、図を描いて正確に把握することが重要です。
- 虚像の扱いに注意: 虚像ができる条件(物体が焦点の内側)や、レンズの公式における像距離の符号(\(b<0\))は、特に間違いやすいポイントなので慎重に扱います。
要注意!ありがちなミス・誤解とその対策
- 虚像の符号ミス:
- 誤解: (4)でレンズの公式を立てる際、虚像の距離\(z\)を正の値のまま \(b=z\) として代入してしまう。
- 対策: レンズの公式における距離の符号のルールを徹底しましょう。「光が進む向きを正とし、レンズを原点と考える。実像はレンズの後方(\(b>0\))、虚像はレンズの前方(\(b<0\))にできる」と覚えておくのが基本です。
- 2枚目のレンズの物体距離の計算ミス:
- 誤解: L₂の物体距離を、L₁が作った像の距離\(y\)そのものだと勘違いしてしまう。
- 対策: 必ず図を描き、レンズ間の距離\(d\)と像の位置\(y\)の関係を視覚的に確認しましょう。L₂から見た物体P₁Q₁までの距離が \(d-y\) であることを図から読み取ることが重要です。
- 倍率の計算ミス:
- 誤解: (5)でL₂の倍率を計算する際に、\(m_2 = |z/y|\) のように、無関係な距離を使ってしまう。
- 対策: 倍率の公式 \(m=|b/a|\) は、あくまで「そのレンズ単体での」像距離と物体距離の比です。L₂の倍率を計算するなら、L₂にとっての像距離(\(-z\))と物体距離(\(d-y\))を使わなければなりません。
なぜその公式?論理的な公式選択と適用の思考法
- レンズの公式:
- 選定理由: 物体、レンズ、像の位置関係を問うているため。これは、レンズの結像を扱う上での中心的な法則です。
- 適用根拠: 光の屈折の法則を、球面という幾何学的な形状に適用し、近軸光線(光軸の近くを通る光)という近似を用いることで導出される関係式です。
- 倍率の公式:
- 選定理由: (2)や(5)で像の「倍率」が問われているため。
- 適用根拠: 物体と像からそれぞれ光軸に下ろした垂線と、レンズの中心を通る光線が作る2つの相似な三角形の辺の比から、幾何学的に導出されます。
- 合成倍率の公式:
- 選定理由: (5)で「組合せレンズの倍率」という、光学系全体の倍率が問われているため。
- 適用根拠: 最終的な像の大きさは、(元の物体の大きさ) \(\times m_1 \times m_2\) となることから、全体の倍率が各倍率の積に等しいことは自明です。
計算ミスをなくす!日頃の意識と実践テクニック
- 分数の計算:
- 特に注意すべき点: この問題は、レンズの公式の逆数を扱うため、分数の計算が頻出します。特に、\(\frac{1}{y} = \frac{x-f_1}{xf_1}\) から \(y = \frac{xf_1}{x-f_1}\) のように、逆数を取る計算を間違えないようにしましょう。
- 日頃の練習: 複雑な分数式でも、通分や逆数を取る操作を焦らず、一行ずつ丁寧に書き下す練習をしましょう。
- 符号の管理:
- 特に注意すべき点: 虚像を扱う際の負号(マイナス)の付け忘れは、最も起こりやすいミスの一つです。レンズの公式を適用する前に、「この像は実像か?虚像か?」と自問し、符号を確定させる習慣をつけましょう。
- 日頃の練習: 問題演習の際に、実像と虚像を意識的に区別し、図と式で符号がどのように対応するかを確認する癖をつけましょう。
- 代入のタイミング:
- 特に注意すべき点: (5)のように複数の結果を組み合わせて計算する場合、どの段階でどの式を代入するかで見通しの良さが変わります。闇雲に代入するのではなく、まずは各パーツ(\(m_1, m_2\))をできるだけ簡単な形で求めてから、最後に組み合わせるのが得策です。
- 日頃の練習: 複雑な計算問題では、最終的な目標の式の形を意識し、どの部分計算を先に行うべきか、という計画を立てる練習をしましょう。
解きっぱなしはNG!解答の妥当性を吟味する習慣をつけよう
- 得られた答えの物理的妥当性の検討:
- (1) \(y = \frac{xf_1}{x-f_1}\):
- 吟味の視点: もし物体を焦点に近づける (\(x \rightarrow f_1\)) と、分母が0に近づくため、\(y \rightarrow \infty\) となります。これは、物体が焦点にあるとき、像が無限遠にできるというレンズの性質と一致します。
- (2) \(m_1 = \frac{f_1}{x-f_1}\):
- 吟味の視点: 同じく \(x \rightarrow f_1\) とすると \(m_1 \rightarrow \infty\) となり、像が非常に大きくなるという事実と一致します。
- (3)の条件:
- 吟味の視点: レンズ間距離\(d\)が中間像の位置\(y\)より大きく、\(y+f_2\)より小さいという条件は、中間像を接眼レンズの焦点の内側に置く、という顕微鏡の操作と直感的に一致します。
- (1) \(y = \frac{xf_1}{x-f_1}\):
- 極端な場合や既知の状況との比較:
- もし物体が非常に遠くにある場合 (\(x \rightarrow \infty\))、(1)式は \(y = \frac{xf_1}{x} = f_1\) となります。これは、無限遠からの光が焦点に集まるというレンズの基本性質と一致します。
- そのときの倍率は、(2)式より \(m_1 = \frac{f_1}{x} \rightarrow 0\) となり、像は点になる(大きさを持たない)という事実と一致します。
問題92 (筑波大(前期))
【問題の確認】まずは問題文をしっかり読み解こう
この問題は、「凹面鏡」による結像をテーマにしています。光の反射の法則という基本原理から出発し、幾何学的な考察と近軸光線という近似を用いて、レンズの公式と酷似した「球面鏡の公式」を導出するプロセスを追体験します。さらに、作図による像の性質の考察や、虚像ができる場合の分析まで、球面鏡の性質を多角的に掘り下げていきます。
- 光学素子: 凹面鏡
- 配置: 頂点O、球面の中心C、光軸が設定されている。
- 物理量:
- 球面の半径: \(R\)
- 物体距離: \(AO = a\)
- 像距離: \(BO = b\)
- 光線: 光軸上の点Aから出た光が、鏡面上の点Pで反射し、光軸上の点Bを通る。
- (a)~(g): 空欄に適切な語句を選択。
- (ア)~(ケ): 空欄に適切な数式や記号を記入。
- (問): 特定の条件下での虚像の作図。
【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド
本解説は、模範解答で採用されている解法を主たる解説としつつ、以下の別解を提示します。
- 提示する別解
- 問(ケ) 倍率の別解: 頂点Oでの反射を利用する解法
- 主たる解法が問題文の誘導に従い、焦点Dを含む相似な三角形から倍率を計算するのに対し、別解では作図でよく用いられる「鏡の頂点Oで反射する光線」を考え、より直感的な相似関係から倍率を直接導出します。
- 問(ケ) 倍率の別解: 頂点Oでの反射を利用する解法
- 上記の別解が有益である理由
- 計算の簡略化: 別解は代数的な計算がほとんど不要で、幾何学的な相似比から直接答えを導けるため、計算ミスを減らし、時間を短縮できます。
- 汎用性の高い知識: 頂点Oでの反射を考える方法は、レンズの倍率を求める際の考え方と完全に共通しており、光学における汎用性の高い解法テクニックとして習得する価値があります。
- 物理的直感の養成: 物体と像の大きさの比が、単純に鏡からの距離の比で決まるという物理的に直感的な関係を明確に理解できます。
- 結果への影響
- いずれのアプローチを用いても、計算過程や思考の出発点が異なるだけで、最終的に得られる答えは模範解答と完全に一致します。
この問題のテーマは「凹面鏡」による結像です。凹面鏡の反射の法則から出発し、幾何学的な考察と近似を用いて、レンズの公式と非常によく似た「球面鏡の公式」を導出します。さらに、作図による像の性質や、虚像ができる場合の考察まで、球面鏡の性質を多角的に掘り下げていきます。
問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。
- 反射の法則: 光が鏡で反射する際、「入射角 = 反射角」が成り立つという基本法則です。球面鏡の場合、球の中心を通る直線がその点の法線となります。
- 幾何学と近似: 三角形の外角の定理や、角度が非常に小さい場合の近似式(\(\tan\alpha \approx \alpha\))を駆使して、物理法則を扱いやすい数式に変形していきます。
- 球面鏡の公式: 導出の結果として得られる \(\displaystyle\frac{1}{a} + \frac{1}{b} = \frac{2}{R}\) という関係式です。これはレンズの公式と酷似しており、焦点距離 \(f=R/2\) と考えれば全く同じ形になります。
- 実像と虚像:
- 実像: 反射した光が実際に1点に集まってできる像。スクリーンに映すことができます。
- 虚像: 反射した光が、鏡の向こう側のある点から出てくるように見える見かけの像。鏡を覗き込むことで見えます。
基本的なアプローチは以下の通りです。
- まず、光線が凹面鏡で反射する様子を図形的に捉え、三角形の性質から角度の関係式を立てます(問ア)。
- 次に、近軸光線(光軸の近くを通る光)という近似を用いて、各角度を物体や像の位置、鏡の曲率半径で表し、球面鏡の公式を導出します(問イ~オ)。
- 導出した公式を用いて、凹面鏡の焦点や、平行光線の振る舞いを考察します(問カ、b、c)。
- 作図によって像の位置を求め、その性質(実像/虚像、倒立/正立)や倍率を幾何学的に解析します(問d、e、キ~ケ)。
- 最後に、物体が焦点の内側にある場合にできる虚像について、その位置と大きさを問う作図問題に取り組みます。
問(a), (ア)
思考の道筋とポイント
(a)は反射の法則を問う選択問題です。凹面鏡(球面鏡)の場合、鏡面上の点における法線は、球の中心Cを通る直線(半径)になることを理解しているかがポイントです。
(ア)は、図1の三角形PACと三角形PCBに着目し、三角形の外角の定理を用いて角度の関係式を導きます。
この設問における重要なポイント
- (a) 反射の法則: 入射角 = 反射角。
- (ア) 三角形の外角は、それと隣り合わない2つの内角の和に等しい。
具体的な解説と立式
(a):
光が鏡面で反射するとき、入射光線と法線がなす角(入射角)と、反射光線と法線がなす角(反射角)は等しくなります。これが「反射の法則」です。
図1において、点Pでの法線は球の中心Cを通る直線PCです。したがって、入射角は \(\angle APC = \varepsilon\)、反射角は \(\angle CPB = \varepsilon\) となり、両者は等しくなります。
よって、選択肢から「反射」を選びます。
(ア):
三角形の外角の定理を用います。
- 三角形PACについて: 外角 \(\gamma\) は、隣り合わない2つの内角 \(\alpha\) と \(\varepsilon\) の和に等しい。
$$ \gamma = \alpha + \varepsilon \quad \cdots ① $$ - 三角形PCBについて: 外角 \(\beta\) は、隣り合わない2つの内角 \(\gamma\) と \(\varepsilon\) の和に等しい。
$$ \beta = \gamma + \varepsilon \quad \cdots ② $$
使用した物理公式
- 反射の法則
- 三角形の外角の定理
式①から \(\varepsilon = \gamma – \alpha\)。これを式②に代入します。
$$
\begin{aligned}
\beta &= \gamma + (\gamma – \alpha) \\[2.0ex]
&= 2\gamma – \alpha
\end{aligned}
$$
これを整理すると、
$$ \alpha + \beta = 2\gamma $$
(ア)では、図形問題でよく使う「三角形の1つの外側の角度は、隣にない2つの内側の角度の和に等しい」というルールを使います。図の中の2つの三角形にこのルールを適用し、式を整理すると答えが導かれます。
(a)は反射、(ア)は \(2\gamma\) となります。これらは球面鏡の公式を導出するための準備段階となる関係式です。
問(イ), (ウ), (エ), (オ)
思考の道筋とポイント
近軸光線(光軸の近くを通る光)という近似の下で、角度 \(\alpha, \beta, \gamma\) を、物体距離\(a\)、像距離\(b\)、曲率半径\(R\)で表し、最終的に球面鏡の公式を導きます。
この設問における重要なポイント
- 近軸光線の近似: 角度が非常に小さいとき、\(\tan\theta \approx \sin\theta \approx \theta\) が成り立つ。
- 図形的な近似: 光軸からの高さ\(h\)が、距離\(a, b, R\)に比べて非常に小さい。
具体的な解説と立式
近軸光線を考えると、角度 \(\alpha, \beta, \gamma\) は非常に小さくなります。このとき、\(\tan\alpha \approx \alpha\) のような近似が使えます。
また、点Pから光軸に下ろした垂線の足をHとすると、\(PH=h\)です。近軸光線ではHは鏡の頂点Oとほぼ一致するとみなせます。
(イ) \(\alpha\) の導出:
三角形APHにおいて、
$$ \tan\alpha = \frac{PH}{AH} = \frac{h}{a} $$
近似により、
$$ \alpha \approx \tan\alpha = \frac{h}{a} $$
(ウ) \(\beta\) の導出:
三角形BPHにおいて、
$$ \tan\beta = \frac{PH}{BH} = \frac{h}{b} $$
近似により、
$$ \beta \approx \tan\beta = \frac{h}{b} $$
(エ) \(\gamma\) の導出:
三角形CPHにおいて、
$$ \tan\gamma = \frac{PH}{CH} = \frac{h}{R} $$
近似により、
$$ \gamma \approx \tan\gamma = \frac{h}{R} $$
(オ) 球面鏡の公式の導出:
これらの結果を、問(ア)で求めた関係式 \(\alpha + \beta = 2\gamma\) に代入します。
$$ \frac{h}{a} + \frac{h}{b} = 2 \cdot \frac{h}{R} $$
使用した物理公式
- 三角比の定義
- 近軸光線近似 (\(\tan\theta \approx \theta\))
$$ \frac{h}{a} + \frac{h}{b} = 2 \cdot \frac{h}{R} $$
両辺を \(h\) で割ると、
$$ \frac{1}{a} + \frac{1}{b} = \frac{2}{R} $$
光の進む角度がとても小さい場合に限定すると、角度そのものを「底辺分の高さ」という簡単な分数で表すことができます。この近似を使って、(ア)で求めた角度の足し算の式を、物体の位置\(a\)、像の位置\(b\)、鏡の曲がり具合\(R\)を使った式に書き換えます。
(イ)は \(h/a\)、(ウ)は \(h/b\)、(エ)は \(h/R\)、(オ)は \(\displaystyle\frac{2}{R}\) となります。最終的に得られた式は球面鏡の公式と呼ばれ、レンズの公式と非常によく似た形をしています。
問(カ), (b), (c)
思考の道筋とポイント
導出した球面鏡の公式 \(\displaystyle\frac{1}{a} + \frac{1}{b} = \frac{2}{R}\) を用いて、凹面鏡の「焦点」の性質を考察します。
この設問における重要なポイント
- (カ) 無限遠からの光(\(a \rightarrow \infty\))が集まる点が焦点。
- (b) 焦点が凹面鏡の基本的な性質であることを理解する。
- (c) 光の逆進性: 光路は逆向きにもたどれる。焦点から出た光は平行光線になる。
具体的な解説と立式
(カ):
物体が無限遠にあるとき、\(a \rightarrow \infty\) となります。このとき \(\displaystyle\frac{1}{a} \rightarrow 0\) なので、球面鏡の公式は
$$ 0 + \frac{1}{b} = \frac{2}{R} $$
よって、像のできる位置 \(b\) は、
$$ b = \frac{R}{2} $$
これは、無限遠からの平行光線が、凹面鏡で反射された後、\(b=R/2\) の位置にある1点に集まることを意味します。この点が凹面鏡の「焦点」です。
(b):
(カ)で求めた点Dが凹面鏡の「焦点」です。
(c):
光の経路は逆向きにたどることができます(光の逆進性)。(カ)では「平行光線 \(\rightarrow\) 焦点に集まる」ことを見ましたが、逆に「焦点から出た光 \(\rightarrow\) 平行光線になる」という性質もあります。
したがって、凹面鏡の焦点Dを通る光線は、凹面鏡で反射された後、光軸に「平行」に進みます。
使用した物理公式
- 球面鏡の公式
立式そのものが結論となります。
(カ)では、とても遠くから来た光(平行な光)が、鏡で反射するとどこに集まるかを計算します。この集まる点のことを「焦点」と呼びます。(c)では、逆に焦点から出た光がどう進むかを考えます。光は来た道を戻れるので、平行に進むことになります。
(カ)は \(R/2\)、(b)は焦点、(c)は平行となります。これらは凹面鏡の最も基本的な性質であり、作図の基本ルールとなります。
問(d), (e), (キ), (ク), (ケ)
思考の道筋とポイント
図2を用いて、物体AA’の像BB’の性質と倍率を、作図と幾何学的な考察から求めます。
この設問における重要なポイント
- (d, e) 作図から、像が実際に光が集まってできる「実像」であり、物体に対して上下逆さまの「倒立」像であることを読み取る。
- (キ, ク, ケ) 相似な三角形を見つけ、その相似比から倍率を計算する。
具体的な解説と立式
(d), (e):
図2では、点A’から出た2本の光線(平行に入射して焦点を通過する光線と、焦点を通って平行に進む光線)が、反射後に実際に点B’で交わっています。このように、光が実際に集まってできる像を「実像」と呼びます。
また、物体AA’は光軸の上側にあるのに対し、像BB’は光軸の下側にできています。このように上下が逆になる像を「倒立」像と呼びます。
(キ), (ク), (ケ):
倍率は \(\displaystyle\frac{BB’}{AA’}\) です。
問題の誘導に従うと、△A’ADと△QODは対頂角と錯角が等しいので相似です。
- (キ): QOD
相似比の関係から、
$$ AA’ : OQ = AD : OD $$
- (ク): OD
\(OQ=BB’\)、Dは焦点なので \(OD=R/2\)、\(AD = a – OD = a – R/2\) であるから、
$$ \frac{BB’}{AA’} = \frac{OD}{AD} = \frac{R/2}{a – R/2} $$
使用した物理公式
- 三角形の相似
- 球面鏡の公式
球面鏡の公式 \(\displaystyle\frac{1}{a} + \frac{1}{b} = \frac{2}{R}\) より、\(\displaystyle\frac{2}{R} = \frac{a+b}{ab}\) なので \(R = \displaystyle\frac{2ab}{a+b}\)。
これを倍率の式に代入すると、
$$
\begin{aligned}
\frac{BB’}{AA’} &= \frac{ \displaystyle\frac{1}{2} \cdot \frac{2ab}{a+b} }{a – \displaystyle\frac{1}{2} \cdot \frac{2ab}{a+b}} \\[2.0ex]
&= \frac{ \displaystyle\frac{ab}{a+b} }{a – \displaystyle\frac{ab}{a+b}} \\[2.0ex]
&= \frac{ab}{a(a+b) – ab} \\[2.0ex]
&= \frac{ab}{a^2 + ab – ab} = \frac{ab}{a^2} = \frac{b}{a}
\end{aligned}
$$
(d), (e)は図を見て、像がどのようにできているかを答えます。光が実際に集まっていれば「実像」、上下が逆なら「倒立」です。
(ケ)の倍率は、図形の中にある相似な三角形のペアを見つけて、辺の長さの比を計算することで求めます。計算は少し複雑ですが、最終的には「像までの距離 ÷ 物体までの距離」というシンプルな形になります。
(d)実像, (e)倒立, (キ)QOD, (ク)OD, (ケ)b/a となります。
凹面鏡の倍率が、レンズと同様に \(b/a\) で与えられることが示されました。
思考の道筋とポイント
作図でよく利用される、鏡の頂点Oで反射する光線を考えます。光軸が法線となるため、入射角と反射角が等しくなり、相似な三角形が容易に見つかります。
この設問における重要なポイント
- 頂点Oでは、光軸が法線となる。
- 反射の法則より、入射角 = 反射角。
- △A’AO ∽ △B’BO となる。
具体的な解説と立式
点A’から出て鏡の頂点Oに向かう光線を考えます。光軸がOにおける法線なので、入射角は \(\angle A’OA\) となります。反射の法則により、反射角も等しく \(\angle BOB’ = \angle A’OA\) となります。
したがって、直角三角形A’AOと直角三角形B’BOは、2つの角がそれぞれ等しいので相似です。
$$ △A’AO \text{∽} △B’BO $$
使用した物理公式
- 反射の法則
- 三角形の相似
相似比から、
$$ \frac{BB’}{AA’} = \frac{BO}{AO} $$
\(AO=a\), \(BO=b\) なので、
$$ \frac{BB’}{AA’} = \frac{b}{a} $$
物体の先端から鏡の中心に向かって光を当てると、光軸に対して同じ角度で反射して像の先端に届きます。このときできる2つの直角三角形は相似形(同じ形で大きさが違う)になります。この三角形の辺の長さの比を調べるだけで、倍率が簡単に計算できます。
結果は主たる解法と一致します。こちらの解法の方が、計算が圧倒的に簡単で直感的なため、作図問題などでは非常に有効です。
問(f), (g), (問)
思考の道筋とポイント
物体を焦点の内側に置いた場合(\(a < R/2\))の結像を考えます。このとき、反射光は発散し、実像はできません。鏡の向こう側にできる「虚像」を考察します。
この設問における重要なポイント
- (f) 物体を焦点の内側に置くと、反射光は発散する。光が実際に集まらないので「虚像」となる。
- (g) 虚像は物体より大きく見える「拡大」像となる。
- (問) 作図によって虚像の位置と大きさを求める。
具体的な解説と立式
(f), (g):
図3のように、物体AA’を焦点Dの内側(\(a < R/2\))に置くと、A’から出た光は反射後に光軸から遠ざかるように広がって(発散して)進みます。これらの光は実際には交わらないため、実像はできません。
しかし、反射光を鏡の後方に延長すると、ある1点B’から光が出てくるように見えます。これが「虚像」です。
図から明らかなように、虚像BB’は元の物体AA’よりも大きく、向きも同じ「正立」像です。したがって、像は「拡大」されて見えます。
(問):
\(a=R/4\) のときの虚像の位置と大きさを求め、作図します。
球面鏡の公式に \(a=R/4\) を代入します。
$$ \frac{1}{R/4} + \frac{1}{b} = \frac{2}{R} $$
使用した物理公式
- 球面鏡の公式
- 倍率の式
$$
\begin{aligned}
\frac{4}{R} + \frac{1}{b} &= \frac{2}{R} \\[2.0ex]
\frac{1}{b} &= \frac{2}{R} – \frac{4}{R} = -\frac{2}{R} \\[2.0ex]
b &= -\frac{R}{2}
\end{aligned}
$$
像のできる位置は \(b=-R/2\)。負号は虚像であることを意味し、位置は鏡の後方 \(R/2\) の場所です。
倍率は、
$$ m = \left|\frac{b}{a}\right| = \left|\frac{-R/2}{R/4}\right| = |-2| = 2 $$
したがって、大きさは元の2倍になります。
これを作図すると、鏡の後方 \(R/2\) の位置に、元の物体の2倍の大きさの正立虚像が描かれます。
虫眼鏡で物体を大きく見るときのように、凹面鏡に顔を近づける(焦点より内側に入れる)と、鏡の中に拡大された自分の顔が見えます。これは実際には光が集まっていない「虚像」です。(問)では、具体的に物体の位置が与えられたときに、この虚像がどこに、どれくらいの大きさで見えるかを計算し、作図します。
(f)虚像, (g)拡大。
凹面鏡を化粧鏡として使うのは、このように顔を焦点の内側に置くことで、拡大された正立の虚像を見るためです。物理的な原理と日常的な応用が結びついています。
【総まとめ】この一問を未来の得点力へ!完全マスター講座
最重要ポイント:この問題の核心となる物理法則は?
- 反射の法則:
- 核心: 光が鏡面で反射する際、「入射角と反射角は等しい」という、光学における最も基本的な法則の一つです。
- 理解のポイント: 球面鏡の場合、鏡面上の任意の点における「法線」は、その点と球の中心Cを結ぶ直線(半径)になる、という幾何学的な事実と組み合わせて使います。これが(a)の答えの根拠です。
- 球面鏡の公式 \(\displaystyle\frac{1}{a} + \frac{1}{b} = \frac{2}{R}\):
- 核心: 物体距離\(a\)、像距離\(b\)、鏡の曲率半径\(R\)の関係を結びつける、球面鏡における「レンズの公式」に相当する最重要公式です。
- 理解のポイント: この問題では、(ア)~(オ)の誘導に従って、反射の法則と幾何学的な近似(近軸光線近似)からこの公式を自ら導出します。焦点距離を \(f=R/2\) と定義すれば、レンズの公式 \(\displaystyle\frac{1}{a}+\frac{1}{b}=\frac{1}{f}\) と全く同じ形になることを理解しておくと、レンズとの類似性で考えやすくなります。
- 近軸光線近似:
- 核心: 光が光軸のすぐ近くを通るという仮定の下で、角度\(\theta\)が非常に小さいときに成り立つ近似式 \(\tan\theta \approx \sin\theta \approx \theta\) を用いることです。
- 理解のポイント: この近似によって、複雑な三角関数の関係が、(イ)~(エ)のように単純な分数の足し算に変換され、球面鏡の公式のような扱いやすい形を導くことができます。大学入試のレンズや鏡の問題の多くは、この近似が前提となっています。
応用テクニック:似た問題が出たらココを見る!解法の鍵と着眼点
- 応用できる類似問題のパターン:
- 凸面鏡: 自動車のサイドミラーなどに使われる凸面鏡の問題。基本的な考え方は同じですが、曲率半径\(R\)や焦点距離\(f\)を負の値として公式に代入する必要があります。常に正立の縮小虚像ができます。
- レンズの公式の導出: 薄いレンズが光を屈折させる現象を、レンズ両面での屈折の法則と近軸光線近似を用いて解析し、「レンズメーカーの公式」や「レンズの公式」を導出する問題。この問題の導出プロセスと非常によく似ています。
- 作図問題: レンズや鏡による像の位置、大きさ、種類(実像/虚像、倒立/正立)を作図によって求める問題。凹面鏡の場合は、①光軸に平行な光は焦点を通る、②焦点を通る光は平行に進む、③中心Cを通る光はそのままはね返る、という3本の光線のうち2本を描けば作図できます。
- 初見の問題での着眼点:
- 鏡かレンズか: まず、反射(鏡)の問題なのか、屈折(レンズ)の問題なのかを明確にします。使う基本法則が異なります。
- 凹面か凸面か: 鏡の場合、凹面鏡か凸面鏡かで焦点の位置や結像の性質が大きく異なります。凹面鏡は光を集め、凸面鏡は光を発散させる、という基本イメージを持ちましょう。
- 公式を導くのか、使うのか: この問題のように公式の導出過程を問う問題か、あるいは公式を既知として応用する問題かを見極めます。導出問題であれば、幾何学的な関係と近似が鍵になります。
- 実像か虚像か: 物体の位置によって、できる像が実像か虚像かが変わります。特に凹面鏡では、物体が焦点の外側にあれば倒立実像、内側にあれば正立拡大虚像ができます。この境界となる「焦点」の位置(\(f=R/2\))が極めて重要です。
要注意!ありがちなミス・誤解とその対策
- 法線の設定ミス:
- 誤解: 球面鏡の法線を、光軸と勘違いしたり、接線と勘違いしたりする。
- 対策: 球面の一部分である鏡では、法線は必ず「球の中心C」を通る、というルールを徹底しましょう。作図の際には、まず中心Cを明確にすることが重要です。
- 近似の乱用:
- 誤解: \(\tan\alpha = h/(a-OH)\) のような厳密な式を立てた後、どの項を無視してよいか分からなくなる。
- 対策: 近軸光線近似では、光軸からの高さ\(h\)が、他のすべての長さ(\(a, b, R\))に比べて圧倒的に小さいと考えます。したがって、\(a-OH\)のような引き算では、微小量である\(OH\)は無視して\(a\)と近似できます。
- 虚像の扱いの混乱:
- 誤解: (問)で虚像の位置を計算する際、\(b\)が負で出てきたときに、その意味が分からなくなる。
- 対策: 球面鏡の公式でもレンズと同様に、符号に意味があります。\(b<0\)は「虚像」であることを示し、その絶対値が鏡からの距離を表します。位置は、実像ができる側(鏡の前方)とは反対の「鏡の後方」になります。
なぜその公式?論理的な公式選択と適用の思考法
- 反射の法則:
- 選定理由: 鏡による光の反射という、問題の根幹をなす現象を記述する基本法則だからです。
- 適用根拠: 光の粒子性・波動性の両面から説明される、反射現象における普遍的な法則です。
- 三角形の外角の定理:
- 選定理由: 反射の法則によって定義された角度の関係を、物体や像の位置で決まる別の角度と結びつけるための、幾何学的なツールとして必要だからです。
- 適用根拠: ユークリッド幾何学の基本的な定理であり、図形的な考察において常に利用できます。
- 近軸光線近似 (\(\tan\theta \approx \theta\)):
- 選定理由: 幾何学的に厳密な関係式(三角関数を含む)を、代数的に扱いやすい単純な関係式(分数式)に変換するために必要だからです。この近似がなければ、球面鏡の公式のようなシンプルな形は導けません。
- 適用根拠: テイラー展開 \(\tan\theta = \theta + \theta^3/3 + \dots\) において、\(\theta\)が微小であれば高次の項が無視できるという数学的な事実にに基づいています。
計算ミスをなくす!日頃の意識と実践テクニック
- 分数の計算:
- 特に注意すべき点: (オ)や(問)のように、逆数の足し算・引き算が頻出します。通分や、最後の逆数を取る計算(\(\displaystyle\frac{1}{b} = \dots\) から \(b=\dots\) に直す)を忘れず、慎重に行いましょう。
- 日頃の練習: 文字式での分数の計算練習を積んでおくことが有効です。
- 符号の管理:
- 特に注意すべき点: 虚像の位置を計算すると\(b\)が負の値になります。この負号は「虚像であること」「鏡の後方にあること」を示す重要な情報なので、計算の最後まで正しく扱いましょう。倍率計算で絶対値を取る際に、その意味を再確認することが有効です。
- 日頃の練習: 物理量を文字で置く際に、正の向きを明確に定義する癖をつける。
- 近似の適用範囲:
- 特に注意すべき点: 近軸光線近似は、あくまで光軸近くの光にのみ成り立つものです。問題全体がこの近似を前提としていることを念頭に置き、厳密な幾何学的関係に固執しすぎないことが重要です。
- 日頃の練習: なぜその近似が成り立つのか(例:\(a \gg OH\))、その物理的な意味を考える習慣をつける。
解きっぱなしはNG!解答の妥当性を吟味する習慣をつけよう
- 得られた答えの物理的妥当性の検討:
- (問) 虚像の位置と大きさ: \(a=R/4\) は焦点(\(f=R/2\))の内側なので、正立拡大虚像ができるはず。計算結果 \(b=-R/2\), \(m=2\) はこの予測と一致する。\(b\)が負であることも虚像であることを示しており、妥当。
- 極端な場合や既知の状況との比較:
- レンズとの類似性: 凹面鏡の公式 \(\displaystyle\frac{1}{a}+\frac{1}{b}=\frac{1}{f}\) (\(f=R/2\)) は、凸レンズの公式と全く同じ形です。したがって、凹面鏡による実像の性質(倒立)や、虚像の性質(正立拡大)は、凸レンズの場合と共通しているはずです。この類似性を使って、得られた結果が妥当かを確認できます。
- 極端な場合を考える:
- 物体を無限遠に置けば(\(a \rightarrow \infty\))、公式より \(b=R/2=f\) となり、像は焦点にできる。正しい。
- 物体を中心Cに置けば(\(a=R=2f\))、公式より \(\displaystyle\frac{1}{2f}+\frac{1}{b}=\frac{1}{f} \rightarrow \frac{1}{b}=\frac{1}{f}-\frac{1}{2f}=\frac{1}{2f}\) なので \(b=2f=R\)。像も中心Cにできる。正しい。
- 物体を焦点Dに置けば(\(a=f\))、公式より \(\displaystyle\frac{1}{f}+\frac{1}{b}=\frac{1}{f} \rightarrow \frac{1}{b}=0\) なので \(b \rightarrow \infty\)。像は無限遠にできる。正しい。
[mathjax] SNSでのシェアはご自由にどうぞ。(上のボタンをクリック) ブログで引用する際には、こちらのリンクを添えてください。【引用】https://makoto-physics-school.com[…]
問題93 (山形大改)
【問題の確認】まずは問題文をしっかり読み解こう
この問題は、光の波動性を示す最も代表的な現象である「ヤングの実験」を扱っています。その基本原理から、媒質中での変化、さらには光源の位置を動かす応用的な設定まで、光の干渉について多角的に問われています。
この問題の核心は、2つの光の「経路差」が干渉の結果(明暗)を決定するという原理を理解し、様々な状況下で経路差を正しく計算することです。特に、幾何学的な近似や光学距離の考え方を使いこなすことが求められます。
- 光源: 単色光、波長\(\lambda\)。
- スリット: 複スリットS₁, S₂(間隔\(d\))、その手前に単スリットS₀。
- 配置: S₀面とS₁,S₂面は平行(距離\(l\))、S₁,S₂面とスクリーンは平行(距離\(L\))。
- 座標: スクリーン中心Oを原点とし、スリットに平行な向きに\(x\)軸をとる。
- 近似条件: \(d, x \ll L\)。
- (5) 媒質: S₁,S₂とスクリーンの間を屈折率\(n\)の媒質で満たす。
- (6) 透明板: S₂の光路に厚さ\(t\)、屈折率\(n’\)の板を挿入。
- (1) 距離S₁PとS₂Pの厳密な式。
- (2) 経路差S₂P-S₁Pの近似式。
- (3) 明線の間隔。
- (4) 距離\(L\)を広げたときの干渉縞の変化。
- (5) 媒質で満たしたときの明線間隔の倍率。
- (6) 透明板を挿入したときの中央の明線の移動先。
- (7) 1番目の明線を中央に移動させるためのS₀の移動方向と距離。
【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド
本解説は、模範解答で採用されている解法を主たる解説としつつ、以下の別解を提示します。
- 提示する別解
- 問(2) 経路差の別解: 図形的な近似を用いる解法
- 主たる解法が代数的な近似式 \(\sqrt{1+a} \approx 1+a/2\) を用いるのに対し、別解では幾何学的な考察から経路差を \(d\sin\theta\) と近似し、さらに \(\sin\theta \approx \tan\theta = x/L\) を用いて導出します。
- 問(2) 経路差の別解: 図形的な近似を用いる解法
- 上記の別解が有益である理由
- 物理的イメージの深化: 経路差が、スリット間隔\(d\)を斜辺とする小さな直角三角形の一辺として現れるという、物理的なイメージが掴みやすくなります。
- 計算の簡略化: 複雑なルートの展開や近似計算を、より直観的な三角関数の近似に置き換えることができ、見通しが良くなります。
- 応用力の向上: この図形的な考え方は、回折格子など他の干渉・回折の問題にも広く応用できるため、汎用性の高い解法です。
- 結果への影響
- いずれのアプローチを用いても、計算過程や思考の出発点が異なるだけで、最終的に得られる答えは模範解答と完全に一致します。
この問題のテーマは「ヤングの実験」です。光の波動性を示す最も代表的な現象である「干渉」について、その基本原理から、媒質中での変化、さらには光源の位置を動かす応用的な設定まで、多角的に問われています。
問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。
- 光の干渉条件: 2つの光源から出た光がスクリーン上の点で強め合う(明線)か、弱め合う(暗線)かは、2つの光の「経路差」によって決まります。
- 明線条件: 経路差 = \(m\lambda\) (\(m\)は整数)
- 暗線条件: 経路差 = \((m+1/2)\lambda\)
- 経路差の近似式: ヤングの実験では、スリット間隔\(d\)やスクリーンの座標\(x\)が、スリットからスクリーンまでの距離\(L\)に比べて非常に小さいという近似を用います。これにより、複雑な三平方の定理の計算が、\(\Delta l \approx \displaystyle\frac{dx}{L}\) という非常にシンプルな式で近似できます。
- 光学距離(光路長): 光が屈折率\(n\)の媒質中を距離\(l\)だけ進むとき、真空中に換算した距離は \(nl\) となります。これを光学距離(または光路長)と呼びます。異なる媒質を通る光の干渉を考える際には、幾何学的な距離ではなく、この光学距離の差を考える必要があります。
- ホイヘンスの原理と回折: 光源Qから出た光が、まずスリットS₀を通り、次にS₁とS₂を通ることで、S₁とS₂が新たな波源(コヒーレントな光源)として振る舞います。
基本的なアプローチは以下の通りです。
- まず、幾何学的な関係(三平方の定理)から、2つのスリットS₁, S₂からスクリーン上の点Pまでの距離をそれぞれ求めます(問1)。
- 次に、これらの差をとり、問題で与えられた近似式を用いて、経路差を簡単な式で表します(問2)。
- 干渉の明線条件(経路差 = \(m\lambda\))を用いて、明線の位置を計算し、隣り合う明線の間隔を求めます(問3)。
- 媒質で満たした場合や、薄い板を挿入した場合は、波長の変化や光学距離の変化を考慮して、同様に干渉条件を考えます(問5, 6)。
- 光源を動かす問題では、S₁とS₂に到達するまでの光にも経路差が生じることを考慮します(問7)。