「名問の森」徹底解説(67〜69問):未来の得点力へ!完全マスター講座【波動Ⅱ・電磁気・原子】

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問題67 原子核 (九州工大)

【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド

【相違点に関する注記】
  1. 提示する別解
    • 設問(1)(3)の別解: エネルギー準位図(ポテンシャル)を用いた解法
      • 模範解答が結合エネルギーの差として計算するのに対し、別解では原子核のエネルギー準位を視覚的に捉え、エネルギー保存則として立式します。
    • 設問(4)の別解1: 運動量ベクトル図(三平方の定理)を用いた解法(設問Qに対応)
      • 成分分解による連立方程式を解く代わりに、運動量ベクトルの幾何学的な関係(直角三角形)を利用して、計算なしで関係式を導きます。
    • 設問(4)の別解2: 運動エネルギーと運動量の関係式を用いた解法
      • 速度 \(v\) を介さず、直接エネルギー \(K\) と運動量 \(p\) の関係式 \(p=\sqrt{2mK}\) を用いることで、計算量を大幅に削減します。
    • 設問(4)の別解3: 微積分を用いた体系的解法(保存則の導出)
      • 運動量保存則とエネルギー保存則を、ニュートンの運動方程式および仕事とエネルギーの関係から原理的に導出し、原子核反応へ適用します。
  2. 上記の別解が有益である理由
    • エネルギー準位図: 反応の吸熱・発熱の関係が直感的に理解でき、符号ミスを防げます。
    • ベクトル図: 2次元の衝突問題において、式の見通しが劇的に良くなり、計算ミスを減らせます。
    • \(p=\sqrt{2mK}\) の利用: 入試実戦において、計算時間を短縮するための必須テクニックです。
  3. 結果への影響
    • いずれのアプローチを用いても、最終的に得られる答えは模範解答と完全に一致します。

この問題のテーマは「原子核反応における保存則の適用」です。質量とエネルギーの等価性、および衝突現象における運動量保存則を扱います。

問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。

  • 質量とエネルギーの等価性: 質量欠損 \(\Delta m\) はエネルギー \(\Delta E = \Delta m c^2\) と等価です。結合エネルギーは、バラバラの核子よりも原子核の方が質量が軽くなっている分(質量欠損)に相当します。
  • 反応エネルギー \(Q\): 核反応の前後での結合エネルギーの差が、運動エネルギーとして放出(または吸収)されます。
  • 運動量保存則: 外力が働かない系(原子核反応の瞬間など)では、反応前後の運動量の総和は保存されます。
  • エネルギー保存則: 反応エネルギー \(Q\) を含めた全エネルギーが保存されます。

基本的なアプローチは以下の通りです。

  • (1)では、反応前後の結合エネルギーの総和を比較し、その差を反応エネルギー \(Q\) とします。
  • (2)では、静止した核の分裂における運動量保存則から、発生するエネルギーが質量の逆比に分配されることを利用します。
  • (3)では、(2)の粒子がさらに別の核と反応する場合のエネルギー収支を計算します。
  • (4)では、2次元(平面内)での衝突における運動量保存則(ベクトル和)とエネルギー保存則を連立させて解きます。

問(1)

思考の道筋とポイント
反応(a) \({}_{3}^{6}\text{Li} + {}_{0}^{1}\text{n} \to {}_{2}^{4}\text{He} + {}_{1}^{3}\text{H}\) において発生するエネルギー \(Q_a\) を求めます。
原子核の結合エネルギーとは、「バラバラの陽子・中性子をまとめて原子核にする際に放出されるエネルギー」であり、逆に言えば「原子核をバラバラにするのに必要なエネルギー」です。
反応によって「結合エネルギーの総和」が増加すれば、より安定な状態になったことを意味し、その差額が運動エネルギーとして放出されます。

この設問における重要なポイント

  • 結合エネルギーと反応熱の関係:
    \(\text{発生エネルギー } Q = (\text{反応後の結合エネルギー和}) – (\text{反応前の結合エネルギー和})\)
  • 中性子の結合エネルギー: 単独の中性子 \({}_{0}^{1}\text{n}\) は結合していないため、結合エネルギーは \(0\) です。

具体的な解説と立式
反応(a)に関与する各粒子の結合エネルギーを以下のように置きます。

  • \({}_{3}^{6}\text{Li}\): \(E_{\text{Li}} = 32.0\,\text{MeV}\)
  • \({}_{0}^{1}\text{n}\): \(E_{\text{n}} = 0\,\text{MeV}\)
  • \({}_{2}^{4}\text{He}\): \(E_{\text{He}} = 28.3\,\text{MeV}\)
  • \({}_{1}^{3}\text{H}\): \(E_{\text{H3}} = 8.5\,\text{MeV}\)

発生するエネルギー \(Q_a\) は、生成物の結合エネルギーの和から反応物の結合エネルギーの和を引いたものです。
$$
\begin{aligned}
Q_a &= (E_{\text{He}} + E_{\text{H3}}) – (E_{\text{Li}} + E_{\text{n}})
\end{aligned}
$$

使用した物理公式

  • 反応エネルギーの定義: \(Q = \sum E_{B(\text{後})} – \sum E_{B(\text{前})}\)
計算過程

数値を代入して計算します。
$$
\begin{aligned}
Q_a &= (28.3 + 8.5) – (32.0 + 0) \\[2.0ex]
&= 36.8 – 32.0 \\[2.0ex]
&= 4.8
\end{aligned}
$$

この設問の平易な説明

原子核反応では、反応の前後で「原子核の結びつきの強さ(結合エネルギー)」が変化します。
反応後は、反応前よりも合計で \(36.8\,\text{MeV}\) 分だけ強く結びついた状態になりました。反応前は \(32.0\,\text{MeV}\) でした。
より強く結びつく(より深い穴に落ちるイメージ)と、余ったエネルギーが外に放出されます。その差額 \(4.8\,\text{MeV}\) が、飛び出す粒子の運動エネルギーになります。

結論と吟味

答えは \(4.8\,\text{MeV}\) です。正の値なので発熱反応であり、エネルギーが放出されるという物理的状況と一致します。

解答 (1) 4.8 MeV
別解: エネルギー準位図(ポテンシャル)を用いた解法

思考の道筋とポイント
原子核のエネルギー状態を、バラバラの核子(陽子・中性子)の状態を基準(\(0\,\text{MeV}\))としたポテンシャルエネルギー図で考えます。
結合エネルギー \(E_B\) を持つ原子核のエネルギー準位は \(-E_B\) と表せます。これを用いてエネルギー保存則を立式します。

この設問における重要なポイント

  • エネルギー準位: 結合エネルギー \(E_B\) のとき、ポテンシャルエネルギーは \(-E_B\) です。
  • エネルギー保存則: \((\text{反応前の全エネルギー}) = (\text{反応後の全エネルギー})\)

具体的な解説と立式
反応前の全エネルギー(静止エネルギー+運動エネルギー)と、反応後の全エネルギーが等しいと置きます。
反応前の運動エネルギーは \(0\)(静止)、反応後の運動エネルギーの和を \(K_{\text{全}}\) とします。
$$
\begin{aligned}
(\text{前の核エネルギー}) + (\text{前の運動E}) &= (\text{後の核エネルギー}) + (\text{後の運動E}) \\[2.0ex]
(-E_{\text{Li}} – E_{\text{n}}) + 0 &= (-E_{\text{He}} – E_{\text{H3}}) + K_{\text{全}}
\end{aligned}
$$
ここで \(K_{\text{全}}\) が求める発生エネルギー \(Q_a\) です。

使用した物理公式

  • エネルギー保存則
計算過程

$$
\begin{aligned}
(-32.0 – 0) &= (-28.3 – 8.5) + Q_a \\[2.0ex]
-32.0 &= -36.8 + Q_a \\[2.0ex]
Q_a &= 36.8 – 32.0 \\[2.0ex]
&= 4.8
\end{aligned}
$$

この設問の平易な説明

原子核のエネルギー状態を「穴の深さ」で考えます。
反応前は深さ \(32.0\) の場所にいました。反応後は深さ \(36.8\) の場所へ落ちました。
より深い場所へ落ちたので、その落差分のエネルギーが運動エネルギーとして放出されます。

結論と吟味

結合エネルギーの定義(バラバラ状態よりどれだけ低いか)に基づいた、より原理的な解法です。結果は一致します。

解答 (1) 4.8 MeV

問(2)

思考の道筋とポイント
反応(a)で生じたエネルギー \(Q_a = 4.8\,\text{MeV}\) は、生成される \({}_{2}^{4}\text{He}\) と \({}_{1}^{3}\text{H}\) の運動エネルギーになります。
反応前は静止していたため、全運動量は \(0\) です。したがって、反応後も2つの粒子は「互いに逆向き」に飛び出し、その運動量の大きさは等しくなります。

この設問における重要なポイント

  • 運動量保存則: 静止した物体が2つに分裂する場合、運動量の大きさは等しくなります(\(p_1 = p_2\))。
  • エネルギー分配: 運動エネルギー \(K = \frac{p^2}{2m}\) より、運動量が等しいとき、エネルギーは質量の逆比に分配されます。

具体的な解説と立式
生成される \({}_{2}^{4}\text{He}\) の質量を \(m_{\text{He}} \approx 4\)、\({}_{1}^{3}\text{H}\) の質量を \(m_{\text{H3}} \approx 3\) とします(質量数比で近似)。
それぞれの運動エネルギーを \(K_{\text{He}}, K_{\text{H3}}\) とします。
エネルギー保存則より、以下の式が成り立ちます。
$$
\begin{aligned}
K_{\text{He}} + K_{\text{H3}} &= Q_a \quad \cdots ①
\end{aligned}
$$
運動量保存則より、大きさについて \(p_{\text{He}} = p_{\text{H3}}\) なので、\(K = \frac{p^2}{2m}\) の関係を用いると以下のようになります。
$$
\begin{aligned}
\sqrt{2 m_{\text{He}} K_{\text{He}}} &= \sqrt{2 m_{\text{H3}} K_{\text{H3}}} \\[2.0ex]
m_{\text{He}} K_{\text{He}} &= m_{\text{H3}} K_{\text{H3}}
\end{aligned}
$$
これより、エネルギーの比は質量の逆比になります。
$$
\begin{aligned}
K_{\text{He}} : K_{\text{H3}} &= \frac{1}{m_{\text{He}}} : \frac{1}{m_{\text{H3}}} \\[2.0ex]
&= m_{\text{H3}} : m_{\text{He}} \\[2.0ex]
&= 3 : 4
\end{aligned}
$$
求める \(K_{\text{H3}}\) は、全体 \(Q_a\) を \(3:4\) に分けたうちの \(4\) の方です。
$$
\begin{aligned}
K_{\text{H3}} &= \frac{m_{\text{He}}}{m_{\text{He}} + m_{\text{H3}}} Q_a \quad \cdots ②
\end{aligned}
$$

使用した物理公式

  • 運動エネルギーと運動量の関係: \(K = \frac{p^2}{2m}\)
  • 比例配分
計算過程

式②に数値を代入します。
$$
\begin{aligned}
K_{\text{H3}} &= \frac{4}{4+3} \times 4.8 \\[2.0ex]
&= \frac{4}{7} \times 4.8 \\[2.0ex]
&= \frac{19.2}{7} \\[2.0ex]
&\approx 2.742\dots
\end{aligned}
$$
有効数字2桁で答えます。
$$
\begin{aligned}
K_{\text{H3}} &\approx 2.7\,\text{MeV}
\end{aligned}
$$

この設問の平易な説明

止まっていた爆弾が2つに割れて飛び散るような状況です。
重い破片(He)と軽い破片(H)が反対方向に飛び出します。
作用・反作用の法則(運動量保存)により、両者は同じ強さで押し合いますが、軽い破片の方が動きやすいため、より速く飛び出し、より多くのエネルギーを持ち去ります。
具体的には、質量が \(4:3\) なので、エネルギーは逆の \(3:4\) に配分されます。軽い方(H)が全体の \(4/7\) をもらいます。

結論と吟味

答えは \(2.7\,\text{MeV}\) です。
軽い粒子の方が多くのエネルギーを持つ(\(4.8\) の半分 \(2.4\) より大きい)ため、物理的に妥当です。

解答 (2) 2.7 MeV

問(3)

思考の道筋とポイント
反応(b) \({}_{1}^{3}\text{H} + {}_{1}^{2}\text{H} \to {}_{2}^{4}\text{He} + {}_{0}^{1}\text{n}\) におけるエネルギー収支を考えます。
この反応では、入射する \({}_{1}^{3}\text{H}\) が持っていた運動エネルギー \(K_{\text{H3}}\) に加えて、反応(b)自体で発生する反応エネルギー \(Q_b\) が加算され、それが生成粒子の運動エネルギーになります。

この設問における重要なポイント

  • 反応(b)の反応エネルギー \(Q_b\): 問(1)と同様に結合エネルギーの差から求めます。
  • エネルギー保存則: \((\text{反応後の運動E和}) = (\text{反応前の運動E和}) + Q_b\)

具体的な解説と立式
まず、反応(b)の反応エネルギー \(Q_b\) を求めます。
\({}_{1}^{2}\text{H}\) の結合エネルギーは \(E_{\text{H2}} = 2.2\,\text{MeV}\) です。
$$
\begin{aligned}
Q_b &= (E_{\text{He}} + E_{\text{n}}) – (E_{\text{H3}} + E_{\text{H2}})
\end{aligned}
$$
求める運動エネルギーの和を \(K_{\text{全}}\) とすると、エネルギー保存則より以下のようになります。
$$
\begin{aligned}
K_{\text{全}} &= K_{\text{H3}} + Q_b
\end{aligned}
$$
ここで \(K_{\text{H3}}\) は問(2)で求めた値(計算途中では分数のまま扱うのが精度良く計算するコツです)を用います。

使用した物理公式

  • エネルギー保存則
計算過程

まず \(Q_b\) を計算します。
$$
\begin{aligned}
Q_b &= (28.3 + 0) – (8.5 + 2.2) \\[2.0ex]
&= 28.3 – 10.7 \\[2.0ex]
&= 17.6\,\text{MeV}
\end{aligned}
$$
次に \(K_{\text{全}}\) を計算します。\(K_{\text{H3}} = 2.74\dots\) を用います。
$$
\begin{aligned}
K_{\text{全}} &= 2.74 + 17.6 \\[2.0ex]
&= 20.34
\end{aligned}
$$
有効数字2桁に丸めます。
$$
\begin{aligned}
K_{\text{全}} &\approx 20\,\text{MeV}
\end{aligned}
$$

この設問の平易な説明

今度は、勢いよく飛んできた粒子(H3)が、止まっている別の粒子(H2)に衝突して反応を起こします。
反応後のエネルギーは、「元々H3が持っていた勢い」と「反応によって新たに湧き出したエネルギー(結合エネルギーの差)」の合計になります。
財布に入っていたお金(運動エネルギー)と、バイト代(反応エネルギー)を足して、合計いくらになったかを計算するのと同じです。

結論と吟味

答えは \(20\,\text{MeV}\) です。
反応エネルギー \(17.6\) に入射エネルギー \(2.7\) が加わり、妥当な大きさになっています。

解答 (3) 20 MeV
別解: 結合エネルギーを一括で扱う解法

思考の道筋とポイント
問(1)の別解と同様に、結合エネルギーを負のポテンシャルエネルギーとみなし、反応(b)の前後で一括してエネルギー保存則を立てます。

この設問における重要なポイント

  • エネルギー保存則: 反応前の全エネルギー(運動E+核E)と反応後の全エネルギーが等しい。

具体的な解説と立式
反応前の全エネルギー(運動E+核E)と反応後の全エネルギーが等しいとします。
$$
\begin{aligned}
K_{\text{H3}} + (-E_{\text{H3}} – E_{\text{H2}}) &= K_{\text{全}} + (-E_{\text{He}} – E_{\text{n}})
\end{aligned}
$$
これを \(K_{\text{全}}\) について解きます。
$$
\begin{aligned}
K_{\text{全}} &= K_{\text{H3}} + (E_{\text{He}} + E_{\text{n}}) – (E_{\text{H3}} + E_{\text{H2}})
\end{aligned}
$$
右辺の括弧部分は \(Q_b\) そのものです。

使用した物理公式

  • エネルギー保存則
計算過程

$$
\begin{aligned}
K_{\text{全}} &= 2.74 + (28.3 + 0) – (8.5 + 2.2) \\[2.0ex]
&= 2.74 + 17.6 \\[2.0ex]
&= 20.34 \\[2.0ex]
&\approx 20
\end{aligned}
$$

この設問の平易な説明

反応熱 \(Q\) を個別に計算せず、最初と最後の状態だけでエネルギーの収支を合わせる方法です。
「持っていた運動エネルギー」と「原子核のエネルギー準位の変化」を一度に計算します。

結論と吟味

メインの解法と同じ結果が得られます。反応熱 \(Q\) を明示的に計算するかどうかの違いだけです。

解答 (3) 20 MeV

問(4)

思考の道筋とポイント
反応(b)において、生成された中性子 \({}_{0}^{1}\text{n}\) が入射方向と直角(\(90^\circ\))に飛び出した場合の、中性子の運動エネルギー \(K_{\text{n}}\) を求めます。
これは2次元平面内での衝突・分裂問題です。
x軸方向(入射方向)とy軸方向(中性子の飛び出し方向)のそれぞれについて運動量保存則を立て、さらにエネルギー保存則と連立させます。

この設問における重要なポイント

  • 座標系の設定: 入射方向をx軸、中性子の飛び出し方向をy軸とします。
  • 運動量保存則(ベクトル):
    \(\vec{p}_{\text{前}} = \vec{p}_{\text{後}}\)
    x成分: \(p_{\text{H3}} = p_{\text{He}} \cos\theta\)
    y成分: \(0 = p_{\text{n}} – p_{\text{He}} \sin\theta\) (Heは斜め下に飛ぶと仮定)
  • エネルギー保存則: \(K_{\text{全}} = K_{\text{He}} + K_{\text{n}}\) (問(3)の結果を利用)

具体的な解説と立式
各粒子の質量を \(m\) を用いて以下のように置きます。

  • \({}_{1}^{3}\text{H}\): \(3m\), 速度 \(v\), 運動エネルギー \(K_{\text{H3}}\)
  • \({}_{0}^{1}\text{n}\): \(m\), 速度 \(V_2\), 運動エネルギー \(K_{\text{n}}\)
  • \({}_{2}^{4}\text{He}\): \(4m\), 速度 \(V_1\), 運動エネルギー \(K_{\text{He}}\)

運動量保存則を成分ごとに立てます。Heがx軸となす角を \(\theta\) とします。
$$
\begin{aligned}
\text{x方向}: \quad 3mv &= 4mV_1 \cos\theta \quad \cdots ③ \\[2.0ex]
\text{y方向}: \quad mV_2 &= 4mV_1 \sin\theta \quad \cdots ④
\end{aligned}
$$
エネルギー保存則は以下の通りです。
$$
\begin{aligned}
K_{\text{全}} &= K_{\text{He}} + K_{\text{n}} \quad \cdots ⑤
\end{aligned}
$$
ここで、各運動エネルギーは以下の関係にあります。
$$
\begin{aligned}
K_{\text{H3}} &= \frac{1}{2}(3m)v^2, \quad K_{\text{n}} = \frac{1}{2}mV_2^2, \quad K_{\text{He}} = \frac{1}{2}(4m)V_1^2
\end{aligned}
$$

使用した物理公式

  • 運動量保存則: \(\sum m\vec{v} = \text{一定}\)
  • エネルギー保存則
計算過程

式③、④から \(\theta\) を消去します。
式③より \(4mV_1 \cos\theta = 3mv\)、式④より \(4mV_1 \sin\theta = mV_2\)。
両辺を2乗して足します(\(\cos^2\theta + \sin^2\theta = 1\) を利用)。
$$
\begin{aligned}
(4mV_1)^2 &= (3mv)^2 + (mV_2)^2 \\[2.0ex]
16m^2 V_1^2 &= 9m^2 v^2 + m^2 V_2^2
\end{aligned}
$$
両辺を \(2m\) で割って、運動エネルギーの形 \( \frac{1}{2}MV^2 \) を作り出します。
$$
\begin{aligned}
8 \cdot \left( \frac{1}{2} \cdot 4m V_1^2 \right) &= 6 \cdot \left( \frac{1}{2} \cdot 3m v^2 \right) + 2 \cdot \left( \frac{1}{2} m V_2^2 \right)
\end{aligned}
$$
これを \(K\) で書き換えます。
$$
\begin{aligned}
8 K_{\text{He}} &= 6 K_{\text{H3}} + 2 K_{\text{n}} \\[2.0ex]
4 K_{\text{He}} &= 3 K_{\text{H3}} + K_{\text{n}} \quad \cdots ⑥
\end{aligned}
$$
式⑤ \(K_{\text{He}} = K_{\text{全}} – K_{\text{n}}\) を式⑥に代入して \(K_{\text{He}}\) を消去します。
$$
\begin{aligned}
4 (K_{\text{全}} – K_{\text{n}}) &= 3 K_{\text{H3}} + K_{\text{n}} \\[2.0ex]
4 K_{\text{全}} – 4 K_{\text{n}} &= 3 K_{\text{H3}} + K_{\text{n}} \\[2.0ex]
5 K_{\text{n}} &= 4 K_{\text{全}} – 3 K_{\text{H3}}
\end{aligned}
$$
数値を代入します。\(K_{\text{全}} = 20.34\), \(K_{\text{H3}} = 2.74\) を用います。
$$
\begin{aligned}
5 K_{\text{n}} &= 4 \times 20.34 – 3 \times 2.74 \\[2.0ex]
&= 81.36 – 8.22 \\[2.0ex]
&= 73.14 \\[2.0ex]
K_{\text{n}} &= \frac{73.14}{5} \\[2.0ex]
&= 14.628
\end{aligned}
$$
有効数字2桁で答えます。
$$
\begin{aligned}
K_{\text{n}} &\approx 15\,\text{MeV}
\end{aligned}
$$

この設問の平易な説明

中性子が真横(進行方向と垂直)に飛び出したということは、元々の進行方向(x方向)の勢いは全てヘリウムが受け継いだことになります。さらに、中性子が横に飛び出した反動(y方向の勢い)もヘリウムが受け止めています。
この「運動量のバランス」と「エネルギーの総和」という2つのルールを連立させることで、それぞれのエネルギーが決まります。
計算のコツは、速度 \(v\) を直接求めようとせず、エネルギー \(K\) の関係式に持ち込むことです。

結論と吟味

答えは \(15\,\text{MeV}\) です。
全エネルギー \(20\,\text{MeV}\) のうち、大部分を軽い中性子が持ち去っています。これは問(2)と同様、軽い粒子ほど速く飛び出しやすいため妥当な結果です。

解答 (4) 15 MeV
別解: 運動量ベクトル図(三平方の定理)を用いた解法(設問Qに対応)

思考の道筋とポイント
運動量保存則はベクトル式 \(\vec{p}_{\text{前}} = \vec{p}_{\text{後}}\) です。
これを図示すると、入射粒子H3の運動量 \(\vec{p}_{\text{H3}}\) は、生成粒子Heの運動量 \(\vec{p}_{\text{He}}\) と中性子nの運動量 \(\vec{p}_{\text{n}}\) のベクトル和に等しくなります。
$$
\begin{aligned}
\vec{p}_{\text{H3}} &= \vec{p}_{\text{He}} + \vec{p}_{\text{n}}
\end{aligned}
$$
しかし、この式は「反応後の2つの和が反応前になる」という意味です。
今回の設定では、\(\vec{p}_{\text{H3}}\)(x方向)と \(\vec{p}_{\text{n}}\)(y方向)が直交しています。
ベクトル図を描くと、\(\vec{p}_{\text{He}}\) が斜辺となる直角三角形ではなく、\(\vec{p}_{\text{H3}}\) を底辺、\(\vec{p}_{\text{n}}\) を高さとするような関係…ではありません。
正しくは、\(\vec{p}_{\text{He}} = \vec{p}_{\text{H3}} – \vec{p}_{\text{n}}\) です。
つまり、x方向に \(\vec{p}_{\text{H3}}\)、y方向に \(-\vec{p}_{\text{n}}\) の成分を持つのが \(\vec{p}_{\text{He}}\) です。
したがって、大きさに関しては以下の三平方の定理が成り立ちます。
$$
\begin{aligned}
p_{\text{He}}^2 &= p_{\text{H3}}^2 + p_{\text{n}}^2
\end{aligned}
$$

この設問における重要なポイント

  • ベクトル図の作図: \(\vec{p}_{\text{H3}}\)(右向き)と \(\vec{p}_{\text{n}}\)(上向き)の始点を合わせると、\(\vec{p}_{\text{He}}\) は「H3の先端からnの先端へ向かうベクトル」ではなく、「nの先端からH3の先端へ向かうベクトル」でもなく、\(\vec{p}_{\text{H3}} = \vec{p}_{\text{He}} + \vec{p}_{\text{n}}\) より \(\vec{p}_{\text{He}} = \vec{p}_{\text{H3}} – \vec{p}_{\text{n}}\) となります。
  • 三平方の定理: 直角三角形の辺の長さの関係 \(c^2 = a^2 + b^2\) を利用します。

具体的な解説と立式
運動量と運動エネルギーの関係式 \(p = \sqrt{2mK}\) より、\(p^2 = 2mK\) です。
これを三平方の定理の式に代入します。
$$
\begin{aligned}
2(4m)K_{\text{He}} &= 2(3m)K_{\text{H3}} + 2(m)K_{\text{n}}
\end{aligned}
$$
両辺を \(2m\) で割ります。
$$
\begin{aligned}
4 K_{\text{He}} &= 3 K_{\text{H3}} + K_{\text{n}}
\end{aligned}
$$

使用した物理公式

  • 三平方の定理
  • 運動エネルギーと運動量の関係: \(p^2 = 2mK\)
計算過程

これはメイン解法の式⑥と全く同じです。
あとは同様に \(K_{\text{He}} = K_{\text{全}} – K_{\text{n}}\) と連立して解きます。
$$
\begin{aligned}
4 (K_{\text{全}} – K_{\text{n}}) &= 3 K_{\text{H3}} + K_{\text{n}} \\[2.0ex]
5 K_{\text{n}} &= 4 K_{\text{全}} – 3 K_{\text{H3}}
\end{aligned}
$$
数値代入後の計算はメイン解法と同様です。

この設問の平易な説明

運動量を矢印(ベクトル)で描くと、直角三角形ができることに気づきます。
これを使えば、面倒な角度 \(\theta\) の計算を一切せずに、辺の長さ(運動量の大きさ)の関係式を一発で作れます。
「図形の性質」を物理に応用する強力なテクニックです。

結論と吟味

ベクトル図(幾何学)を利用することで、成分分解や三角関数の消去といった面倒な計算を一切せずに、一撃でエネルギーの関係式を導けます。
設問Qの「運動量ベクトルの図から直接求めよ」という要求に対する答えそのものです。

解答 (4) 15 MeV
別解: 微積分を用いた体系的解法(保存則の導出)

思考の道筋とポイント
ここでは、原子核反応における「運動量保存則」と「エネルギー保存則」が、物理学の基本原理からどのように導かれるかを確認し、それを本問に適用します。

この設問における重要なポイント

  • 運動方程式: \(\frac{d\vec{p}}{dt} = \vec{F}\)
  • 仕事とエネルギー: 力が仕事をすると運動エネルギーが変化する。

具体的な解説と立式
1. 運動量保存則の導出
系全体(ここでは反応に関わる全粒子)の運動方程式を考えます。\(i\) 番目の粒子の運動量を \(\vec{p}_i\) とすると、以下のようになります。
$$
\begin{aligned}
\frac{d\vec{p}_i}{dt} &= \vec{F}_i + \sum_{j \neq i} \vec{f}_{ij}
\end{aligned}
$$
ここで \(\vec{F}_i\) は外力、\(\vec{f}_{ij}\) は粒子間の内力(核力など)です。
全粒子について和をとると、作用・反作用の法則(\(\vec{f}_{ij} = -\vec{f}_{ji}\))により内力の和は消えます。
$$
\begin{aligned}
\frac{d}{dt} \sum \vec{p}_i &= \sum \vec{F}_i
\end{aligned}
$$
原子核反応の瞬間、重力などの外力は無視できるため \(\sum \vec{F}_i = 0\) です。
よって、全運動量 \(\vec{P} = \sum \vec{p}_i\) は時間的に変化せず、保存されます。
$$
\begin{aligned}
\vec{P}_{\text{前}} &= \vec{P}_{\text{後}}
\end{aligned}
$$
これを本問の2次元平面(x, y)に適用したのが、式③、④です。

2. エネルギー保存則の導出
相対論的エネルギー \(E = \sqrt{(mc^2)^2 + (pc)^2} \approx mc^2 + \frac{1}{2}mv^2\) (低速近似)を考えます。
外力が仕事をしない孤立系では、全エネルギーが保存されます。
$$
\begin{aligned}
\sum (m_i c^2 + K_i)_{\text{前}} &= \sum (m_j c^2 + K_j)_{\text{後}}
\end{aligned}
$$
これを整理すると、以下のようになります。
$$
\begin{aligned}
\sum K_{\text{後}} – \sum K_{\text{前}} &= \sum (m_i c^2)_{\text{前}} – \sum (m_j c^2)_{\text{後}}
\end{aligned}
$$
右辺は「質量の減少分(質量欠損)× \(c^2\)」であり、これが反応エネルギー \(Q\) です。
$$
\begin{aligned}
K_{\text{全}} – K_{\text{H3}} &= Q_b
\end{aligned}
$$
これが問(3)および問(4)で使用したエネルギー保存則の正体です。

使用した物理公式

  • ニュートンの運動方程式
  • 作用・反作用の法則
  • 質量とエネルギーの等価性
計算過程

(導出過程自体が計算過程となるため省略)

この設問の平易な説明

高校物理で習う「保存則」は、実はもっと基本的な「運動方程式」から数学的に導き出せるものです。
「力が働かなければ勢いは変わらない(運動量保存)」、「質量が減ればエネルギーが湧き出る(E=mc^2)」という根本原理を確認しました。

結論と吟味

高校物理で習う保存則は、運動方程式と作用・反作用の法則、そして質量とエネルギーの等価性という基本原理から数学的に導かれます。
この体系を理解していれば、どんな複雑な反応でも迷わず保存則を立式できます。

解答 (4) 15 MeV

問(Q)

思考の道筋とポイント
問(4)の別解1で解説した通り、運動量ベクトルの幾何学的関係から式を導きます。
問題文の指示にある「④式」とは、問(4)の解説中にある \(9v^2 + V_2^2 = 16V_1^2\) のことです。

この設問における重要なポイント

  • ベクトル図: 運動量保存則 \(\vec{p}_{\text{H3}} = \vec{p}_{\text{He}} + \vec{p}_{\text{n}}\) を図示する。
  • 直交条件: \(\vec{p}_{\text{H3}} \perp \vec{p}_{\text{n}}\) であることを利用する。

具体的な解説と立式
運動量保存則 \(\vec{p}_{\text{H3}} = \vec{p}_{\text{He}} + \vec{p}_{\text{n}}\) において、\(\vec{p}_{\text{H3}}\) と \(\vec{p}_{\text{n}}\) が直交しています。
ベクトル図を描くと、\(\vec{p}_{\text{He}}\) を斜辺とする直角三角形が形成されます(正確には \(\vec{p}_{\text{He}}\) の始点を原点に置くと、\(\vec{p}_{\text{H3}}\) と \(-\vec{p}_{\text{n}}\) の合成ベクトルとなります)。
三平方の定理より、大きさについて以下の関係が成り立ちます。
$$
\begin{aligned}
(p_{\text{He}})^2 &= (p_{\text{H3}})^2 + (p_{\text{n}})^2
\end{aligned}
$$
各運動量は \(p = mv\) より、以下のようになります。
$$
\begin{aligned}
p_{\text{He}} = 4mV_1, \quad p_{\text{H3}} = 3mv, \quad p_{\text{n}} = mV_2
\end{aligned}
$$
これらを代入します。
$$
\begin{aligned}
(4mV_1)^2 &= (3mv)^2 + (mV_2)^2
\end{aligned}
$$

使用した物理公式

  • 三平方の定理
計算過程

$$
\begin{aligned}
16m^2 V_1^2 &= 9m^2 v^2 + m^2 V_2^2
\end{aligned}
$$
両辺を \(m^2\) で割ります。
$$
\begin{aligned}
16 V_1^2 &= 9 v^2 + V_2^2
\end{aligned}
$$
あるいは、左辺と右辺を入れ替えて、
$$
\begin{aligned}
9 v^2 + V_2^2 &= 16 V_1^2
\end{aligned}
$$

この設問の平易な説明

問(4)の別解1と同じく、運動量の矢印が作る直角三角形に注目しました。
斜辺の2乗は、他の2辺の2乗の和に等しいというピタゴラスの定理(三平方の定理)を使うだけで、目的の式が得られます。

結論と吟味

\(\theta\) を介さずに直接、速度(または運動量)の関係式が得られました。

解答 (Q) \(9v^2 + V_2^2 = 16V_1^2\)

【総まとめ】この一問を未来の得点力へ!完全マスター講座

最重要ポイント:この問題の核心となる物理法則は?

  • 質量とエネルギーの等価性(結合エネルギーと反応熱)
    • 核心: アインシュタインの関係式 \(E=mc^2\) に基づき、原子核反応に伴う質量の減少(質量欠損)が、膨大な運動エネルギーとして放出される現象です。
    • 理解のポイント:
      • 結合エネルギーの定義: バラバラの核子よりも原子核の方がエネルギーが低い(質量が軽い)状態です。
      • 反応熱の計算: 「(反応後の結合エネルギー総和)-(反応前の結合エネルギー総和)」が正なら発熱反応、負なら吸熱反応となります。
  • 運動量保存則(ベクトルとしての保存)
    • 核心: 核反応のような内力のみが働く現象では、系全体の運動量のベクトル和は反応の前後で不変です。
    • 理解のポイント:
      • 静止からの分裂: 運動量の大きさが等しく向きが逆になるため、運動エネルギーは質量の逆比に分配されます。
      • 2次元の衝突: 成分ごとに保存則を立てるか、ベクトル図(三角形)を描いて幾何学的に解きます。

応用テクニック:似た問題が出たらココを見る!解法の鍵と着眼点

  • 応用できる類似問題のパターン:
    • 静止核の崩壊(\(\alpha\)崩壊など): 親核が静止している場合、娘核と放出粒子(\(\alpha\)粒子など)の運動エネルギーは、質量の逆比で一意に決まります。本問の問(2)が典型例です。
    • 弾性衝突と非弾性衝突: 原子核反応は「内部エネルギー(質量)が変化する衝突」とみなせます。力学の衝突問題に \(Q\)(反応熱)の項を追加するだけで全く同じ解法が通用します。
  • 初見の問題での着眼点:
    1. エネルギー収支の確認: 与えられた数値が「質量」なのか「結合エネルギー」なのか「質量欠損」なのかを確認し、反応熱 \(Q\) を最初に計算します。
    2. 運動量ベクトルの作図: 2次元の反応・衝突では、すぐに成分計算に入らず、まず運動量ベクトルを描いてみます。直角三角形や二等辺三角形などの特殊な形状が見つかれば、計算を大幅にショートカットできます。

要注意!ありがちなミス・誤解とその対策

  • 反応熱 \(Q\) の符号ミス:
    • 誤解: 「反応前 - 反応後」なのか「反応後 - 反応前」なのかを丸暗記しようとして、逆にしてしまう。
    • 対策: 「結合エネルギー=穴の深さ」とイメージします。「より深い穴(結合エネルギー大)に落ちれば、エネルギーが余って放出される(発熱)」と物理的意味で判断しましょう。
  • 運動量保存則のベクトル無視:
    • 誤解: 2次元の衝突なのに、単に速さや運動エネルギーの足し算(スカラー和)で保存則を立ててしまう。
    • 対策: 運動量は必ず「ベクトル(矢印)」です。一直線上の衝突でない限り、必ず成分分解するか、ベクトル図を描く習慣をつけましょう。

なぜその公式?論理的な公式選択と適用の思考法

  • 問(4)別解1:運動量ベクトル図(三平方の定理):
    • 選定理由: 成分分解して連立方程式を解くよりも、図形の性質(ピタゴラスの定理)を使う方が計算量が圧倒的に少なく、ミスも防げるため。
    • 適用根拠: 問題の設定で、入射方向と中性子の放出方向が「直角」であると明記されているため、運動量ベクトルが直角三角形を形成することが確定しているからです。
  • 問(4)別解2:\(p = \sqrt{2mK}\) の利用:
    • 選定理由: 求めたいのが「速度」ではなく「運動エネルギー」である場合、速度 \(v\) を経由せずに直接 \(K\) を扱う方が変数が減り、計算が楽になるため。
    • 適用根拠: 運動エネルギー \(K = \frac{1}{2}mv^2\) と運動量 \(p=mv\) の定義から常に成り立つ関係式であり、非相対論的な速度領域では常に使用可能です。

計算ミスをなくす!日頃の意識と実践テクニック

  • 文字式による完遂:
    • 意識: 具体的な数値(\(28.3\) など)を最初から代入すると、計算が煩雑になり、見直しも困難になります。
    • 実践: 最後の最後まで \(Q_a, m_{\text{He}}\) などの文字のまま式変形を行い、最も簡単な形になってから数値を代入します。特に分数は小かずに分数のまま扱うことで、割り切れない数の誤差を防げます。
  • 次元(単位)の確認:
    • 意識: エネルギーの式に運動量を足してしまうような、次元の異なる量の加算ミスを防ぎます。
    • 実践: 式変形の各段階で、左辺と右辺の次元が合っているか(例:全てエネルギーの単位になっているか)をチラッと確認する癖をつけましょう。\(p^2/2m\) はエネルギーの次元ですが、\(p^2/m\) だと合いません。
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問題68 原子核 (名古屋大)

【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド

【相違点に関する注記】
  1. 提示する別解
    • 設問(4)の別解1: エネルギー保存則を用いた解法
      • 模範解答のメイン解法が「質量欠損」に着目して立式するのに対し、別解では「反応前後の全エネルギー(静止エネルギー+運動エネルギー+光子エネルギー)の保存」という観点から立式します。
    • 設問(3)(4)の別解2: 微積分を用いた体系的解法(相対論的保存則)
      • 運動量保存則とエネルギー保存則を、物理学の基本原理(運動方程式の積分形および相対論的エネルギー)から導出し、一括して解くアプローチです。
  2. 上記の別解が有益である理由
    • エネルギー保存則: 「質量がエネルギーに変わる」という現象を、数式上で等価交換として明確に記述できるため、物理的意味が掴みやすくなります。
    • 体系的解法: 個別の公式暗記ではなく、保存則という根本原理から全ての現象を説明できることを理解でき、応用力が身につきます。
  3. 結果への影響
    • いずれのアプローチを用いても、最終的に得られる答えは模範解答と完全に一致します。

この問題のテーマは「原子核反応におけるエネルギーと運動量の保存」です。
前半はX線回折(ブラッグ反射)を用いたガンマ線のエネルギー測定、後半は原子核反応(中性子捕獲)における質量欠損と結合エネルギーの導出を扱います。

問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。

  • ブラッグ反射: 結晶格子による電磁波の干渉条件 \(2d \sin \theta = n \lambda\) を利用します。
  • 光子のエネルギーと運動量: エネルギー \(E = h\nu = hc/\lambda\)、運動量 \(p = E/c = h/\lambda\) の関係を用います。
  • 運動量保存則: 反応前後の運動量の総和は保存されます。
  • 質量とエネルギーの等価性: アインシュタインの関係式 \(E = mc^2\) に基づき、質量の減少(質量欠損)がエネルギーとして放出されることを理解します。

基本的なアプローチは以下の通りです。

  • (1)(2)では、ブラッグの条件式と光子のエネルギーの式を組み合わせて、角度からエネルギーを求めます。
  • (3)では、反応前後の運動量保存則を用いて、重陽子の運動量を光子のエネルギーで表します。
  • (4)では、質量欠損と放出エネルギーの関係、あるいは全エネルギー保存則を用いて、結合エネルギーを式で表します。
  • (5)(6)では、導出した式に具体的な数値を代入し、近似計算を用いて値を求めます。

問(1)

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