問題40 単振動 (北海道大)
【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド
- 提示する別解
- 設問(5)の別解1: 遠心力ポテンシャル(エネルギー保存則)を用いた解法
- 模範解答が単振動の公式(最大速さ \(v_{\text{最大}} = A\omega\) など)を用いて解くのに対し、別解1では回転系における「遠心力の位置エネルギー(ポテンシャル)」を導入し、力学的エネルギー保存則を用いて最大速さ等を導出します。
- 設問(3)〜(5)の別解2: 微積分を用いた体系的解法(微分方程式による一般解の導出)
- 設問ごとに誘導に乗って解くのではなく、運動方程式を2階線形非同次微分方程式として捉え、その一般解を数学的に導出することで、振動中心、周期、変位の式を一挙に導きます。
- 設問(5)の別解1: 遠心力ポテンシャル(エネルギー保存則)を用いた解法
- 上記の別解が有益である理由
- エネルギー保存則の解法: 「遠心力も保存力として扱える(ポテンシャルが定義できる)」という視点を持つことで、複雑な運動方程式を解かずに、始点と終点のエネルギー比較だけで速度や位置を求められるようになります。これは入試実戦において強力な時短テクニックとなります。
- 微積分の解法: 単振動の公式 \(x = A \sin(\omega t + \phi)\) や \(T = 2\pi\sqrt{m/K}\) が「なぜそうなるのか」を根本から理解できます。また、外力が変化する場合や減衰振動など、公式が通用しない応用問題に対処するための基礎体力を養います。
- 結果への影響
- いずれのアプローチを用いても、最終的に得られる答えは模範解答と完全に一致します。
この問題のテーマは「回転座標系における慣性力と単振動」です。円板と共に回転する観測者の視点から、遠心力とばねの弾性力が拮抗する中での小球の運動を解析します。
問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。
- 慣性力(遠心力): 回転する観測者から見ると、物体には回転中心から外向きに \(F = mr\omega^2\) の力がはたらきます。
- 力のつりあい: 静止している状態では、外向きの遠心力と内向きの弾性力がつりあっています。
- 単振動の運動方程式: つりあいの位置からの変位 \(x\) に比例する復元力 \(F = -Lx\) がはたらくとき、物体は単振動を行います。
基本的なアプローチは以下の通りです。
- (1)(2)では、静止状態における力のつりあいの式を立て、静止位置と条件を求めます。
- (3)(4)では、運動中の小球に対する運動方程式を立て、変数変換によって単振動の標準形 \(ma = -Lx\) を導きます。
- (5)では、導かれた単振動のパラメータ(周期、振動中心)と初期条件から、時間、位置、速さを計算します。
問(1)
思考の道筋とポイント
円板と一緒に回転している観測者Aから見た、小球Pの力のつりあいを考えます。
観測者Aは加速度運動(回転運動)をしているため、非慣性系となります。したがって、通常の力(弾性力)に加えて、慣性力である「遠心力」を考慮する必要があります。
この設問における重要なポイント
- 座標系の選択: 円板と共に回転する観測者Aの立場(回転座標系)で考えます。
- 遠心力の作用: 回転中心から外向きに、大きさ \(Mr\omega^2\) の遠心力がはたらきます。
- 力のつりあい: 小球Pが静止して見えるということは、半径方向の力がつりあっていることを意味します。
具体的な解説と立式
小球Pの位置を \(r_0\) とします。
このとき、小球Pにはたらく力は以下の2つです。
1. ばねの弾性力: 自然長が \(l\)、現在の長さが \(r_0\) なので、ばねの伸びは \(r_0 – l\) です。ばねは伸びている(\(r_0 > l\) と仮定)ので、縮もうとする力、すなわち中心向き(内向き)にはたらきます。大きさは \(k(r_0 – l)\) です。
2. 遠心力: 回転中心Oから遠ざかる向き(外向き)にはたらきます。大きさは \(M r_0 \omega^2\) です。
観測者Aから見て小球Pは静止しているので、半径方向の力のつりあいの式を立てます。
外向きを正、内向きを負とするのではなく、物理的に「外向きの力」と「内向きの力」が等しいという形で立式します。
$$
\begin{aligned}
(\text{外向きの遠心力}) &= (\text{内向きの弾性力}) \\[2.0ex]
M r_0 \omega^2 &= k(r_0 – l) \quad \cdots ①
\end{aligned}
$$
使用した物理公式
- 遠心力: \(F = mr\omega^2\)
- フックの法則: \(F = kx\)
式①を \(r_0\) について解きます。
$$
\begin{aligned}
M r_0 \omega^2 &= k r_0 – kl \\[2.0ex]
k r_0 – M r_0 \omega^2 &= kl \\[2.0ex]
(k – M \omega^2) r_0 &= kl \\[2.0ex]
r_0 &= \frac{kl}{k – M \omega^2}
\end{aligned}
$$
回転する円板の上では、外に放り出そうとする「遠心力」と、それを引き戻そうとする「ばねの力」が戦っています。
この2つの力がちょうど同じ大きさになって引き分けになる場所が、静止位置 \(r_0\) です。
計算の結果、ばね定数 \(k\) から遠心力の影響 \(M\omega^2\) を引いた値が分母に来ることがわかりました。
答えは \(r_0 = \frac{kl}{k – M \omega^2}\) です。
もし回転していない(\(\omega = 0\))なら、\(r_0 = l\) となり自然長の位置で静止します。これは直感と一致します。
また、回転が速くなる(\(\omega\) が大きくなる)と、分母が小さくなるため \(r_0\) は大きくなります。つまり、遠心力が強くなってばねがより引き伸ばされるということであり、これも物理的に妥当です。
問(2)
思考の道筋とポイント
問(1)で求めた \(r_0\) が、物理的に意味のある解(正の値)として存在するための条件を考えます。
また、ばねが引き戻す力(復元力)が遠心力に勝っていなければ、小球はどこまでも飛んでいってしまい、つりあう場所が存在しなくなります。
この設問における重要なポイント
- 存在条件: 距離 \(r_0\) は正の値でなければなりません(\(r_0 > 0\))。
- 物理定数の符号: ばね定数 \(k\)、自然長 \(l\)、質量 \(M\) はすべて正の定数です。
具体的な解説と立式
(1)の解 \(r_0 = \frac{kl}{k – M \omega^2}\) において、分子 \(kl\) は正の定数です。
したがって、\(r_0 > 0\) となるためには、分母が正でなければなりません。
$$
\begin{aligned}
k – M \omega^2 &> 0 \quad \cdots ②
\end{aligned}
$$
使用した物理公式
- 不等式の性質
式②を \(\omega\) について解きます。
$$
\begin{aligned}
M \omega^2 &< k \\[2.0ex]
\omega^2 &< \frac{k}{M} \end{aligned} $$ \(\omega > 0\) なので、
$$
\begin{aligned}
\omega &< \sqrt{\frac{k}{M}}
\end{aligned}
$$
もし回転があまりにも速すぎて、遠心力が強くなりすぎると、ばねがどれだけ伸びても小球を引き戻せなくなってしまいます。
「ばねの強さ \(k\)」が「遠心力の強さの係数 \(M\omega^2\)」よりも勝っている状態、それが \(k > M\omega^2\) です。
この条件を満たす範囲でのみ、小球は円板上のどこかで静止することができます。
答えは \(\omega < \sqrt{\frac{k}{M}}\) です。
この限界の角速度 \(\sqrt{k/M}\) は、ばね振り子の固有角振動数と同じ形をしています。これを超えると系が不安定になる(つりあい点がなくなる)というのは物理的に興味深い点です。
問(3)
思考の道筋とポイント
小球Pが動いている状態での運動方程式を立てます。
観測者Aから見ると、小球Pは半径方向(\(r\)軸上)を運動しています。
加速度を \(a\) とし、小球にはたらく力をすべて列挙して、ニュートンの運動方程式 \(ma = F\) に当てはめます。
この設問における重要なポイント
- 座標軸の向き: 問題文により「みぞ方向外向きを正」と指定されています。
- 力の符号: 外向きの力はプラス、内向きの力はマイナスとして扱います。
- 力の内訳:
- 遠心力: 外向き(正)
- 弾性力: 位置 \(r\) にあるとき、ばねの伸びは \(r-l\) なので、力は内向き(負)
具体的な解説と立式
位置 \(r\) における小球Pについて考えます。
加速度を \(a\)(外向き正)とします。
はたらく力は以下の通りです。
1. 遠心力: \(+ M r \omega^2\) (外向き)
2. 弾性力: \(- k(r – l)\) (内向き)
これらを運動方程式 \(ma = F\) に代入します。
$$
\begin{aligned}
Ma &= (\text{外向きの遠心力}) – (\text{内向きの弾性力}) \\[2.0ex]
Ma &= M r \omega^2 – k(r – l) \quad \cdots ③
\end{aligned}
$$
使用した物理公式
- 運動方程式: \(ma = F\)
- 遠心力: \(F = mr\omega^2\)
- フックの法則: \(F = kx\)
式③がそのまま答えとなります。これ以上の変形は求められていません。
動いている小球の加速度を決めるのは、その瞬間に受けている力の合計です。
外に行こうとする遠心力 \(Mr\omega^2\) から、中心に引き戻そうとするばねの力 \(k(r-l)\) を引いた残りの力が、小球を加速させます。
答えは \(Ma = M r \omega^2 – k(r – l)\) です。
\(r\) が大きくなるほど遠心力は増え、弾性力も増えますが、そのバランスによって加速度が決まります。
問(4)
思考の道筋とポイント
問(3)で立てた運動方程式を変数変換し、単振動の標準形 \(ma = -Kx\) に帰着させます。
ここでの \(x\) は、つりあいの位置 \(r_0\) からの変位(ずれ)を表します。
「つりあいの位置からの変位に比例する復元力」が現れることを確認します。
この設問における重要なポイント
- 変数変換: \(r = r_0 + x\) を代入します。
- つりあいの式の利用: 問(1)で求めたつりあいの関係式 \(M r_0 \omega^2 – k(r_0 – l) = 0\) を利用して、定数項を消去します。
具体的な解説と立式
問(3)の運動方程式(式③)に、\(r = r_0 + x\) を代入します。
$$
\begin{aligned}
Ma &= M(r_0 + x)\omega^2 – k(r_0 + x – l)
\end{aligned}
$$
使用した物理公式
- 力のつりあいの式(問1の結果)
これを展開し、\(x\) を含む項と定数項に分けます。
$$
\begin{aligned}
Ma &= (M r_0 \omega^2 + M x \omega^2) – (k r_0 + kx – kl) \\[2.0ex]
&= (M r_0 \omega^2 – k r_0 + kl) + M x \omega^2 – kx
\end{aligned}
$$
ここで、第1項の括弧内 \((M r_0 \omega^2 – k r_0 + kl)\) は、問(1)のつりあいの式 \(M r_0 \omega^2 = k(r_0 – l)\) を変形した \(M r_0 \omega^2 – k r_0 + kl = 0\) より、ゼロになります。
したがって、式は以下のように整理されます。
$$
\begin{aligned}
Ma &= M \omega^2 x – kx \\[2.0ex]
&= – (k – M \omega^2) x \quad \cdots ④
\end{aligned}
$$
問題文より、右辺は \(-Lx\) の形になるとあるので、係数を比較します。
$$
\begin{aligned}
L &= k – M \omega^2
\end{aligned}
$$
運動方程式を「つりあいの位置 \(r_0\)」を基準にして書き直しました。
すると、定数項(\(r_0\) や \(l\) など)が綺麗に消えて、「位置のずれ \(x\)」に比例する力だけが残りました。
この力の係数 \(L = k – M\omega^2\) は、ばねの力から遠心力の効果を差し引いた「実質的なばねの強さ(有効ばね定数)」を表しています。
この力がマイナス(復元力)として働くため、小球は単振動をします。
答えは \(L = k – M \omega^2\) です。
問(2)の条件より \(k > M\omega^2\) なので、\(L > 0\) となり、確かに復元力として機能します。
もし \(L < 0\) なら、変位 \(x\) と同じ向きに力が働き、小球は戻ってこずに飛んでいってしまいます。
問(5)
思考の道筋とポイント
問(4)の結果より、小球Pは \(x=0\)(つまり \(r=r_0\))を中心とする単振動を行うことがわかりました。
この単振動の角振動数、周期、振幅を特定し、求められている物理量を計算します。
この設問における重要なポイント
- 単振動のパラメータ:
- 運動方程式 \(Ma = -Lx\) より、角振動数 \(\Omega = \sqrt{\frac{L}{M}}\)。
- 周期 \(T = \frac{2\pi}{\Omega} = 2\pi \sqrt{\frac{M}{L}}\)。
- 初期条件:
- 位置 \(r = r_1\) で静かに放した(初速度 \(0\))。
- これは、単振動の「端」からスタートすることを意味します。
- 振幅 \(A\) は、スタート位置と中心位置の距離 \(|r_1 – r_0|\) です。
- 「外側に動かし」: 問題文より \(r_1 > r_0\) です。つまり、外側の端からスタートします。
具体的な解説と立式
1. ばねの長さが最小となるまでの時間
小球は \(r=r_1\)(外側の端)からスタートし、中心 \(r_0\) を通り過ぎて、反対側の端(内側の端)に達したとき、ばねの長さ \(r\) が最小になります。
これは単振動の「半周期」に相当します。
求める時間を \(t\) とすると、
$$
\begin{aligned}
t &= \frac{T}{2} \\[2.0ex]
&= \frac{1}{2} \cdot 2\pi \sqrt{\frac{M}{L}} \\[2.0ex]
&= \pi \sqrt{\frac{M}{L}}
\end{aligned}
$$
2. ばねの長さの最小値
振幅 \(A\) は、初期位置 \(r_1\) と中心 \(r_0\) の距離です。
$$
\begin{aligned}
A &= r_1 – r_0
\end{aligned}
$$
ばねの長さ \(r\) は、\(r_0\) を中心に \(\pm A\) の範囲で振動します。
最小値 \(r_{\text{最小}}\) は、中心から内側に \(A\) だけ戻った位置です。
$$
\begin{aligned}
r_{\text{最小}} &= r_0 – A
\end{aligned}
$$
3. Aが見るPの最大の速さ
単振動の最大速さ \(v_{\text{最大}}\) は、振幅 \(A\) と角振動数 \(\Omega\) の積で与えられます。
$$
\begin{aligned}
v_{\text{最大}} &= A \Omega \\[2.0ex]
&= (r_1 – r_0) \sqrt{\frac{L}{M}}
\end{aligned}
$$
使用した物理公式
- 単振動の角振動数: \(\Omega = \sqrt{\frac{K}{m}}\)
- 単振動の周期: \(T = \frac{2\pi}{\Omega}\)
- 単振動の最大速さ: \(v_{\text{最大}} = A\Omega\)
\(L = k – M\omega^2\) を代入して答えを仕上げます。
時間:
$$
\begin{aligned}
t &= \pi \sqrt{\frac{M}{k – M\omega^2}}
\end{aligned}
$$
最小値:
$$
\begin{aligned}
r_{\text{最小}} &= r_0 – (r_1 – r_0) \\[2.0ex]
&= 2r_0 – r_1
\end{aligned}
$$
(\(r_0\) は問(1)の答えを用いても良いですが、問題文に「\(r_0, r_1\) のうち必要なものを用いて」とあるので、このままで正解です)
最大速さ:
$$
\begin{aligned}
v_{\text{最大}} &= (r_1 – r_0) \sqrt{\frac{k – M\omega^2}{M}}
\end{aligned}
$$
小球は、つりあいの位置 \(r_0\) を中心に、行ったり来たりする振動(単振動)をします。
最初に手を離した場所 \(r_1\) が「一番遠い場所(折り返し点)」になります。
そこから「一番近い場所(反対側の折り返し点)」まで行くには、ちょうど1往復の半分(半周期)の時間がかかります。
また、一番近い場所は、中心 \(r_0\) を挟んで \(r_1\) と反対側にあります。
速さが最大になるのは、ブランコと同じで、真ん中(\(r_0\))を通過する瞬間です。
時間は \(\pi \sqrt{\frac{M}{k – M\omega^2}}\)、最小値は \(2r_0 – r_1\)、最大速さは \((r_1 – r_0) \sqrt{\frac{k – M\omega^2}{M}}\) です。
\(k\) が大きい(ばねが強い)ほど時間は短く、速さは速くなります。これは直感と合います。
また、\(M\omega^2\) が \(k\) に近づくと(\(L \to 0\))、復元力が弱くなるため、時間は無限大に発散し、速さは0に近づきます。これも物理的に妥当です。
時間: \(\displaystyle \pi \sqrt{\frac{M}{k – M\omega^2}}\)
最小値: \(\displaystyle 2r_0 – r_1\)
最大の速さ: \(\displaystyle (r_1 – r_0) \sqrt{\frac{k – M\omega^2}{M}}\)
思考の道筋とポイント
観測者A(回転系)において、慣性力である遠心力 \(F = Mr\omega^2\) は、位置 \(r\) だけで決まる力なので「保存力」とみなすことができます。
そこで、遠心力による位置エネルギー(ポテンシャル)を定義し、ばねの弾性エネルギーと合わせて「力学的エネルギー保存則」を適用します。
これにより、運動方程式を解くことなく、状態間のエネルギー比較だけで最大速さ等を求めることができます。
この設問における重要なポイント
- 遠心力ポテンシャル: 力 \(F(r) = +Mr\omega^2\) に対応するポテンシャル \(U_{\text{遠心力}}(r)\) は、\(F = -\frac{dU}{dr}\) の関係より、\(U_{\text{遠心力}}(r) = -\frac{1}{2}M\omega^2 r^2\) と定義できます(基準点は任意ですが、ここでは原点を基準とします)。
- 有効ポテンシャル: 系の全ポテンシャルエネルギー \(U_{\text{有効}}(r)\) は、弾性エネルギーと遠心力ポテンシャルの和です。
- エネルギー保存則: \(\frac{1}{2}Mv^2 + U_{\text{有効}}(r) = \text{一定}\) が成り立ちます。
具体的な解説と立式
系の有効ポテンシャルエネルギー \(U_{\text{有効}}(r)\) を定義します。
$$
\begin{aligned}
U_{\text{有効}}(r) &= (\text{弾性エネルギー}) + (\text{遠心力ポテンシャル}) \\[2.0ex]
&= \frac{1}{2}k(r-l)^2 – \frac{1}{2}M\omega^2 r^2
\end{aligned}
$$
この \(U_{\text{有効}}(r)\) を平方完成して整理します。
問(4)で求めた \(L = k – M\omega^2\) を用いると見通しが良くなります。
$$
\begin{aligned}
U_{\text{有効}}(r) &= \frac{1}{2}k(r^2 – 2lr + l^2) – \frac{1}{2}M\omega^2 r^2 \\[2.0ex]
&= \frac{1}{2}(k – M\omega^2)r^2 – klr + \frac{1}{2}kl^2 \\[2.0ex]
&= \frac{1}{2}L r^2 – klr + \frac{1}{2}kl^2
\end{aligned}
$$
ここで、問(1)の結果 \(r_0 = \frac{kl}{L}\) (つまり \(L r_0 = kl\))を利用して変形します。
$$
\begin{aligned}
U_{\text{有効}}(r) &= \frac{1}{2}L \left( r^2 – \frac{2kl}{L}r \right) + \frac{1}{2}kl^2 \\[2.0ex]
&= \frac{1}{2}L (r^2 – 2r_0 r) + \frac{1}{2}kl^2 \\[2.0ex]
&= \frac{1}{2}L (r – r_0)^2 – \frac{1}{2}L r_0^2 + \frac{1}{2}kl^2 \\[2.0ex]
&= \frac{1}{2}L (r – r_0)^2 + C \quad (C\text{は定数})
\end{aligned}
$$
これは、「有効ばね定数 \(L\) のばねが、つりあいの位置 \(r_0\) につながれている」のとエネルギー的に等価であることを示しています。
最大速さの導出:
エネルギー保存則を立てます。
初期状態(\(r=r_1, v=0\))と、速さが最大になる状態(つりあいの位置 \(r=r_0, v=v_{\text{最大}}\))を比較します。
$$
\begin{aligned}
(\text{初期エネルギー}) &= (\text{最大速さ時のエネルギー}) \\[2.0ex]
0 + U_{\text{有効}}(r_1) &= \frac{1}{2}M v_{\text{最大}}^2 + U_{\text{有効}}(r_0)
\end{aligned}
$$
使用した物理公式
- 遠心力ポテンシャル: \(U = -\frac{1}{2}m\omega^2 r^2\)
- 力学的エネルギー保存則
上の式に \(U_{\text{有効}}(r) = \frac{1}{2}L (r – r_0)^2 + C\) を代入します。
$$
\begin{aligned}
\frac{1}{2}L (r_1 – r_0)^2 + C &= \frac{1}{2}M v_{\text{最大}}^2 + \left( \frac{1}{2}L (r_0 – r_0)^2 + C \right) \\[2.0ex]
\frac{1}{2}L (r_1 – r_0)^2 &= \frac{1}{2}M v_{\text{最大}}^2
\end{aligned}
$$
両辺を整理して \(v_{\text{最大}}\) を求めます。
$$
\begin{aligned}
v_{\text{最大}}^2 &= \frac{L}{M} (r_1 – r_0)^2 \\[2.0ex]
v_{\text{最大}} &= (r_1 – r_0) \sqrt{\frac{L}{M}} \\[2.0ex]
&= (r_1 – r_0) \sqrt{\frac{k – M\omega^2}{M}}
\end{aligned}
$$
「遠心力」も「重力」と同じように、位置によって決まるエネルギー(ポテンシャル)として扱うことができます。
ばねのエネルギーと遠心力のエネルギーを合体させると、あたかも「新しいばね定数 \(L\) のばねが、新しい中心 \(r_0\) にある」かのようなシンプルなエネルギーの式に変身します。
これを使えば、ジェットコースターの計算のように、「高いところ(\(r_1\))から落ちて一番低いところ(\(r_0\))に来たときの速さ」として、最大速さを一発で計算できます。
メインの解法と全く同じ結果が得られました。
この方法は、運動方程式を解くのが難しい場合や、速度と位置の関係だけを知りたい場合に非常に強力です。
思考の道筋とポイント
設問(3)〜(5)を一括して解説します。
運動方程式を「2階線形非同次微分方程式」として捉え、その一般解を数学的に導出します。
このアプローチにより、振動の中心、角振動数、振幅といった単振動の全貌が、誘導なしに自動的に明らかになります。
この設問における重要なポイント
- 微分方程式の立式: 加速度 \(a\) を位置 \(r\) の時間2階微分 \(\frac{d^2r}{dt^2}\)(または \(\ddot{r}\))と表記します。
- 解の構造: 非同次方程式の一般解は、「特解(定常解)」と「斉次方程式の一般解」の和で表されます。
- 特解: \(\ddot{r}=0\) としたときの解(つりあいの位置)。
- 斉次解: 右辺を0とした方程式(単振動)の解。
具体的な解説と立式
問(3)の運動方程式を出発点とします。
$$
\begin{aligned}
M \frac{d^2r}{dt^2} &= M r \omega^2 – k(r – l)
\end{aligned}
$$
これを \(r\) について整理します。
$$
\begin{aligned}
M \frac{d^2r}{dt^2} + (k – M\omega^2)r &= kl
\end{aligned}
$$
両辺を \(M\) で割り、\(\Omega^2 = \frac{k – M\omega^2}{M}\) (ただし \(k > M\omega^2\))と置きます。
$$
\begin{aligned}
\frac{d^2r}{dt^2} + \Omega^2 r &= \frac{kl}{M} \quad \cdots ⑤
\end{aligned}
$$
これが解くべき微分方程式です。
1. 特解(つりあいの位置)を求める
時間変化しない解(\(\frac{d^2r}{dt^2} = 0\))を \(r_{\text{中心}}\) とすると、
$$
\begin{aligned}
\Omega^2 r_{\text{中心}} &= \frac{kl}{M} \\[2.0ex]
r_{\text{中心}} &= \frac{kl}{M\Omega^2} \\[2.0ex]
&= \frac{kl}{k – M\omega^2}
\end{aligned}
$$
これは問(1)の \(r_0\) と一致します。
2. 斉次方程式の一般解を求める
右辺を0とした式 \(\frac{d^2r}{dt^2} + \Omega^2 r = 0\) の解 \(r_{\text{振動}}(t)\) は、単振動の基本形です。
$$
\begin{aligned}
r_{\text{振動}}(t) &= A \cos(\Omega t + \phi) \quad (A, \phi \text{は任意定数})
\end{aligned}
$$
3. 一般解の構成
微分方程式⑤の一般解は \(r(t) = r_{\text{中心}} + r_{\text{振動}}(t)\) です。
$$
\begin{aligned}
r(t) &= r_0 + A \cos(\Omega t + \phi)
\end{aligned}
$$
使用した物理公式
- 運動方程式の微分形: \(F = m \frac{d^2x}{dt^2}\)
- 2階線形常微分方程式の解法
初期条件を用いて任意定数 \(A, \phi\) を決定します。
条件: \(t=0\) で \(r = r_1\)、\(v = \frac{dr}{dt} = 0\)。
まず速度 \(v(t)\) を求めます。
$$
\begin{aligned}
v(t) &= \frac{dr}{dt} \\[2.0ex]
&= -A\Omega \sin(\Omega t + \phi)
\end{aligned}
$$
\(t=0\) を代入します。
$$
\begin{aligned}
v(0) &= -A\Omega \sin\phi \\[2.0ex]
&= 0
\end{aligned}
$$
\(A \neq 0, \Omega \neq 0\) より \(\sin\phi = 0\)。よって \(\phi = 0\) または \(\pi\)。ここでは \(\phi = 0\) を選びます。
次に位置の条件を使います。
$$
\begin{aligned}
r(0) &= r_0 + A \cos 0 \\[2.0ex]
&= r_1
\end{aligned}
$$
これより、
$$
\begin{aligned}
A &= r_1 – r_0
\end{aligned}
$$
以上より、運動の全貌を表す式が得られました。
$$
\begin{aligned}
r(t) &= r_0 + (r_1 – r_0) \cos(\Omega t)
\end{aligned}
$$
ここから問(5)の答えを読み取ります。
- 周期: \(T = \frac{2\pi}{\Omega} = 2\pi \sqrt{\frac{M}{k – M\omega^2}}\)。
- 最小となる時間: \(\cos(\Omega t)\) が \(1\)(スタート)から \(-1\)(最小)になるまでの時間なので、位相が \(\pi\) 進む時間。
$$
\begin{aligned}
t &= \frac{\pi}{\Omega} \\[2.0ex]
&= \pi \sqrt{\frac{M}{k – M\omega^2}}
\end{aligned}
$$ - 最小値: \(\cos(\Omega t) = -1\) のとき。
$$
\begin{aligned}
r_{\text{最小}} &= r_0 – (r_1 – r_0) \\[2.0ex]
&= 2r_0 – r_1
\end{aligned}
$$ - 最大速さ: \(v(t)\) の式の係数の絶対値。
$$
\begin{aligned}
|v_{\text{最大}}| &= |-(r_1 – r_0)\Omega| \\[2.0ex]
&= (r_1 – r_0) \sqrt{\frac{k – M\omega^2}{M}}
\end{aligned}
$$
運動方程式を「ある関数の微分の方程式」と見て、数学的に解きました。
すると、「定数部分(つりあいの位置)」と「振動部分(コサインカーブ)」がきれいに分かれて出てきます。
この式さえ作れてしまえば、いつどこにいるのか、速さはいくらか、周期は何秒か、といった全ての情報が手に入ります。
設問の誘導に頼らず、自分の力で運動の全てを予言できる、物理の王道的な解き方です。
全ての結果がメイン解法と一致しました。
この手法は、外力が時間変化する場合(強制振動)などにも拡張できるため、非常に汎用性が高いです。
【総まとめ】この一問を未来の得点力へ!完全マスター講座
最重要ポイント:この問題の核心となる物理法則は?
- 回転座標系における慣性力(遠心力)の導入
- 核心: 円板と共に回転する観測者(非慣性系)から見ると、静止している物体にも、回転中心から外向きに \(F = mr\omega^2\) の「遠心力」がはたらいているように見えます。この慣性力を正しく導入することで、回転系での運動を通常の力学(力のつりあい、運動方程式)として扱うことが可能になります。
- 理解のポイント:
- 観測者の立場: 「外から見る(静止系)」か「中で見る(回転系)」かを明確に区別します。本問では「円板上で静止している観測者A」とあるため、回転系での記述が必須です。
- 力の向き: 遠心力は常に回転中心から遠ざかる向きにはたらきます。
- 有効ばね定数と単振動の一般化
- 核心: 遠心力がはたらく場でのばね振り子の運動は、ばねの復元力 \(kx\) から遠心力の効果 \(m\omega^2 x\) を差し引いた「有効ばね定数 \(L = k – m\omega^2\)」を持つ単振動として記述できます。
- 理解のポイント:
- 復元力の条件: 単振動が成立するためには、変位に比例して引き戻す力が働く必要があります。つまり、\(L > 0\) (\(k > m\omega^2\))が振動の成立条件となります。
- つりあいの位置の移動: 遠心力によって、振動の中心(つりあいの位置)は自然長よりも外側(\(r_0 > l\))にシフトします。
応用テクニック:似た問題が出たらココを見る!解法の鍵と着眼点
- 応用できる類似問題のパターン:
- 万有引力と遠心力の問題: 地球の自転による遠心力を考慮した重力の変化や、人工衛星の運動など。力 \(F(r)\) の形が異なるだけで、「保存力+遠心力ポテンシャル」のエネルギー保存則という枠組みは共通です。
- 荷電粒子の円運動: 磁場中でのローレンツ力による円運動も、回転系で見れば「ローレンツ力と遠心力のつりあい」として解析できます。
- 鉛直面内の円運動: 最高点や最下点での垂直抗力を求める際、その瞬間の回転中心に乗った観測者から見れば、重力・垂直抗力・遠心力の3力のつりあいとして静力学的に解けます。
- 初見の問題での着眼点:
- 観測者の特定: 問題文に「〜と共に運動する観測者から見て」とあれば、即座に慣性力(等加速度運動なら \(-ma\)、回転運動なら遠心力・コリオリ力)を描き込みます。
- つりあいの位置の計算: 振動問題では、まず \(F_{\text{合力}}=0\) となる位置 \(x_0\) を探します。ここが振動の中心になります。
- 変位 \(x\) の導入: つりあいの位置からのずれを \(x\) と置き、運動方程式を立てて \(ma = -Kx\) の形を目指します。この \(K\) が周期や角振動数を決定します。
要注意!ありがちなミス・誤解とその対策
- 遠心力と向心力の混同:
- 誤解: 「向心力と遠心力がつりあっている」という表現を、静止系(外から見る立場)で使ってしまう。あるいは、向心力という「新しい力」があると思い込む。
- 対策:
- 静止系(外): 遠心力は存在しません。ばねの弾性力が「向心力の役割」を果たし、それが加速度 \(r\omega^2\) を生み出します(運動方程式 \(ma = F\))。
- 回転系(中): 遠心力が存在し、弾性力とつりあっています(力のつりあい \(\sum F = 0\))。
- この2つの立場を混ぜないことが鉄則です。本問は「観測者A(中)」なので後者です。
- ばねの伸びと座標の取り違え:
- 誤解: ばねの弾性力を \(kr\) としてしまう。あるいは、つりあいの位置 \(r_0\) からの変位 \(x\) を、ばねの伸びそのものと混同する。
- 対策:
- 弾性力: 常に \(k \times (\text{現在の長さ} – \text{自然長})\) です。本問では \(k(r-l)\) です。
- 変位 \(x\): 振動の中心からの距離です。\(x = r – r_0\) であり、ばねの伸びとは異なります。図に「自然長の位置」「つりあいの位置」「現在の位置」を明確に描き分けましょう。
- 最大速さの位置の勘違い:
- 誤解: 「ばねが自然長のとき」や「端っこ」で速さが最大になると思い込む。
- 対策: 単振動の速さが最大になるのは、常に「力がつりあう位置(振動中心)」です。本問では \(r=l\) ではなく \(r=r_0\) です。
なぜその公式?論理的な公式選択と適用の思考法
- 問(5)での公式選択(単振動の公式 vs エネルギー保存則):
- 選定理由: 模範解答(単振動の公式 \(v_{\text{最大}} = A\omega\))は、振動の中心や周期が既知であれば最も手早く計算できます。一方、別解(エネルギー保存則)は、振動の周期などを計算しなくても、始点と終点の位置情報だけで速さを求められるため、計算ミスが入り込む余地が少なく、検算としても優秀です。
- 適用根拠: 遠心力 \(Mr\omega^2\) は位置のみに依存する力なので、ポテンシャルエネルギー \(-\frac{1}{2}Mr^2\omega^2\) を定義でき、力学的エネルギー保存則が成立します。
- 問(3)〜(5)別解での公式選択(微分方程式):
- 選定理由: 「運動方程式を立てよ」\(\rightarrow\) 「\(x\)で表せ」\(\rightarrow\) 「周期を求めよ」という誘導形式の問題では、それぞれの設問が微分方程式を解くステップそのものです。微分方程式の解法を知っていれば、誘導の意図(変位 \(x\) への置換など)を俯瞰しながら解き進めることができ、迷子になりません。
- 適用根拠: ニュートンの運動方程式は、数学的には2階の微分方程式そのものです。これを解くことは、物理現象を最も根源的な原理から記述することと同義です。
計算ミスをなくす!日頃の意識と実践テクニック
- 次元解析(単位チェック)の徹底:
- 答えが出たら必ず次元を確認します。
- \(r_0\)(長さ)の式 \(\frac{kl}{k – M\omega^2}\): 分子は \([\text{N}]\cdot[\text{L}]\)、分母は \([\text{N}/\text{L}] – [\text{M}]\cdot[1/\text{T}^2] = [\text{N}/\text{L}]\)(力の単位/長さ)。全体で \([\text{L}]\)(長さ)となりOK。
- \(\omega\)(角速度)の条件 \(\sqrt{k/M}\): \(\sqrt{[\text{N}/\text{L}] / [\text{M}]} = \sqrt{[\text{M}][\text{L}]/[\text{T}^2] / ([\text{L}][\text{M}])} = \sqrt{1/[\text{T}^2]} = [1/\text{T}]\) となりOK。
- 極限的なケースでの検算:
- 回転停止 (\(\omega \to 0\)): 遠心力がなくなるので、\(r_0 \to l\)(自然長で静止)、\(T \to 2\pi\sqrt{M/k}\)(普通のばね振り子)となるはず。本問の解はこれを満たします。
- 共振点 (\(M\omega^2 \to k\)): 遠心力とばねの力が拮抗し、有効ばね定数 \(L \to 0\) となります。このとき \(r_0 \to \infty\)(つりあわない)、\(T \to \infty\)(戻ってこない)となります。これも式の挙動と一致します。
- 文字の置き換えによる簡略化:
- 計算途中では、\(k – M\omega^2\) のような塊を \(L\) や \(K’\) などの1文字に置くことで、式の見通しを良くし、書き写しミスを防ぎます。最後に元の式に戻すのを忘れないようにしましょう。
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問題41 単振動 (東京大)
【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド
- 提示する別解
- 設問(1)の別解: エネルギー保存則を用いた解法
- 模範解答の別解として記載されている通り、力のつりあいではなく、エネルギー保存則を用いて摩擦係数を導出します。
- 設問(3)の別解1: エネルギー保存則(仕事とエネルギーの関係)を用いた解法
- 模範解答が振動の中心や振幅といった運動の幾何学的性質から解くのに対し、別解1では「摩擦力がした仕事の分だけ力学的エネルギーが減少する」というエネルギー原理を用いて、位置や速さを直接的に導出します。
- 設問(2)〜(5)・(Q)の別解2: 微積分を用いた体系的解法(運動方程式の積分と数列的アプローチ)
- 運動方程式を微分方程式として解き、単振動の一般解を導出します。さらに、半周期ごとに運動方程式の定数項(摩擦力の向き)が切り替わる様子を数式で記述し、振幅が等差数列的に減少していく法則性を数学的に導きます。
- 設問(1)の別解: エネルギー保存則を用いた解法
- 上記の別解が有益である理由
- エネルギー保存則の解法: 運動の途中経過(時間や加速度)を気にせず、始点と終点の状態だけで関係式を作れるため、計算量が少なく、検算としても非常に有効です。
- 微積分の解法: 「なぜ振幅が一定量ずつ減るのか」「なぜ半周期ごとに振動中心が入れ替わるのか」といった現象の根本原理を、運動方程式から論理的に理解できます。特に(Q)のような応用問題において、規則性を一般化して解く力が身につきます。
- 結果への影響
- いずれのアプローチを用いても、最終的に得られる答えは模範解答と完全に一致します。
この問題のテーマは「動摩擦力がはたらく水平ばね振り子の減衰振動」です。摩擦力の向きが運動方向によって切り替わることで、振動の中心が半周期ごとに移動し、振幅が一定量ずつ減少していく様子を解析します。
問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。
- 動摩擦力と単振動: 動摩擦力は一定の力として働くため、運動方程式は \(ma = -kx \pm \mu mg\) となり、振動中心がずれた単振動となります。
- 振動中心の移動: 往路(左へ)と復路(右へ)で摩擦力の向きが逆転するため、振動の中心も半周期ごとに入れ替わります。
- エネルギー保存則: 摩擦がある系では、力学的エネルギーの減少量は摩擦力がした仕事(摩擦熱)に等しくなります。
基本的なアプローチは以下の通りです。
- (1)では、動き出す直前のつりあいから静止摩擦係数を、往路の振動中心(対称性)から動摩擦係数を求めます。
- (2)(3)では、摩擦があっても周期が変わらないことを利用し、振動中心と振幅から最大速さを求めます。
- (4)では、エネルギー保存則を用いて、全行程の長さを一気に計算します。
- (5)(Q)では、半周期ごとの振幅の減少則を見抜き、停止条件(復元力 \(\le\) 最大静止摩擦力)を満たすまでの時間を求めます。
問(1)
ここから先が、他の受験生と差がつく重要パートです。
「解法に至る思考プロセス」を
全て言語化した、超詳細解説。
なぜその公式を使うのか?どうしてその着眼点を持てるのか?
市販の解説では省略されてしまう「行間の思考」を、泥臭く解説しています。
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