「名問の森」徹底解説(40〜42問):未来の得点力へ!完全マスター講座【力学・熱・波動Ⅰ】

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問題40 (北海道大)

【問題の確認】まずは問題文をしっかり読み解こう

この問題は、一定角速度で回転する円板上の溝の中におかれた、ばねにつながれた小球の運動を扱います。円板上の観測者から見たときの力のつり合いや運動、特に単振動について考察する問題です。

与えられた条件
  • 水平面内を一定の角速度 \(\omega\) で回転する円板。
  • 円板上には半径方向にみぞが掘られている。
  • みぞの中に、ばね定数 \(k\)、自然長 \(l\) のばねが置かれている。
  • ばねの一端は円板の中心 O に固定されている。
  • ばねの他端には質量 \(M\) の小球 P がつけられている。
  • 小球 P はみぞの中を滑らかに動くことができる。
  • 中心 O から小球 P までの距離を \(r\) を用いておもりの位置を表す。
  • 円板上で静止している観測者 A には、P が \(r=r_0\) の点に静止して見えた。
  • その後、P をみぞに沿って外側に動かし、点 O からの距離 \(r_1\) の点で静かに P を放した。
問われていること
  1. (1) 静止して見えたときの P の位置 \(r_0\) を、\(l, k, M, \omega\) を用いて表すこと。
  2. (2) (1)の状況が成立するために必要な角速度 \(\omega\) に対する条件。
  3. (3) P が位置 \(r\) にあるとき、観測者 A が見る P の加速度を \(a\) とすると、A が書くべき運動方程式。みぞ方向外向きを正とする。
  4. (4) P の位置を \(r_0\) から測った変位 \(x=r-r_0\) を用いて表したとき、運動方程式の右辺の力が \(-Lx\) の形になる場合の \(L\) を \(k, M, \omega\) を用いて表すこと。
  5. (5) P を放してからばねの長さが最小となるまでの時間、ばねの長さの最小値、および A が見る P の最大の速さを、\(k, M, \omega, r_0, r_1\) のうち必要なものを用いて表すこと。

【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド

この問題のテーマは、回転座標系における力のつり合いと単振動です。
問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。

  • 遠心力: 回転する座標系(観測者Aの系)で物体に働く見かけの力。
  • フックの法則: ばねの弾性力に関する法則。
  • 力のつり合い: 物体が静止している状態での力の関係。
  • 運動方程式: 物体の運動状態の変化と働く力の関係を表す法則。
  • 単振動: 特定の復元力を受ける物体の周期的な往復運動。その周期、振幅、最大速度などの基本性質の理解。

これらの法則を正しく理解し適用することで、各設問に答えていくことができます。特に、回転座標系で考えること、そしてその結果として遠心力を考慮に入れることが、この問題の核心部分となります。
全体的な戦略としては、まず(1)と(2)で回転座標系における力のつり合いから静止位置とその条件を求め、(3)で一般の位置での運動方程式を立てます。(4)ではその運動方程式を変形して単振動の形に持ち込み、(5)で単振動の性質を利用して具体的な値を計算します。

問(1)

思考の道筋とポイント
観測者Aは円板と共に回転しているため、非慣性系にいます。Aから見ると、小球Pには円板の中心Oから遠ざかる向きに遠心力が働いているように見えます。Pが \(r=r_0\) の位置で静止しているということは、この位置でPに働く力がつり合っていることを意味します。みぞの方向に働く力は、ばねの弾性力と遠心力です。これらの力のつり合いの式を立てて、\(r_0\) を求めます。

この設問における重要なポイント

  • 回転座標系(観測者Aの系)で力のつり合いを考えます。
  • 遠心力の向き(中心Oから遠ざかる向き、つまりみぞの外向き)と大きさ(\(Mr\omega^2\)、この場合は \(Mr_0\omega^2\))を正確に把握します。
  • ばねの弾性力の向き(自然長からの変位と逆向き、この場合は中心O向き、つまりみぞの内向き)と大きさ(\(k \times (\text{伸び})\))を正確に把握します。ばねが伸びている(\(r_0 > l\))ことを想定します。

具体的な解説と立式
観測者Aにとって、小球Pは距離 \(r_0\) の位置で静止しています。Aは回転座標系にいるため、Pにはみぞ方向外向きに遠心力が働いていると観測します。その大きさ \(F_{\text{遠心力}}\) は、Pの質量が \(M\)、角速度が \(\omega\)、中心からの距離が \(r_0\) なので、\(F_{\text{遠心力}} = Mr_0\omega^2\) と表されます。
一方、ばねは自然長が \(l\) であり、Pの位置が \(r_0\) です。遠心力が外向きに働くため、ばねは自然長よりも伸びていると考えられ、その伸びは \(r_0-l\) です。フックの法則により、ばねの弾性力 \(F_{\text{弾性力}}\) はみぞ方向内向き(中心O向き)に働き、その大きさは、\(F_{\text{弾性力}} = k(r_0-l)\) となります。
Pが静止しているため、これらの力はつり合っています。みぞ方向外向きを正とすると、力のつり合いの式は、
$$Mr_0\omega^2 – k(r_0-l) = 0 \quad \cdots ①$$
と立てられます。

使用した物理公式

  • 遠心力: \(F = mr\omega^2\)
  • フックの法則: \(F = kx\) (ここで \(x\) はばねの伸びまたは縮み)
  • 力のつり合い: \(\sum F = 0\)
計算過程

式① \(Mr_0\omega^2 – k(r_0-l) = 0\) を \(r_0\) について解きます。
まず、括弧を展開します。
$$Mr_0\omega^2 – kr_0 + kl = 0$$
\(r_0\) を含む項を左辺に集め、含まない項を右辺に移項します。
$$Mr_0\omega^2 – kr_0 = -kl$$
左辺を \(r_0\) でくくります。
$$(M\omega^2 – k)r_0 = -kl$$
両辺を \((M\omega^2 – k)\) で割ります。ただし、\(M\omega^2 – k \neq 0\) とします。
$$r_0 = \frac{-kl}{M\omega^2 – k}$$
分母分子に \(-1\) を掛けて、より見やすい形に整理します。
$$r_0 = \frac{kl}{k – M\omega^2} \quad \cdots ②$$

計算方法の平易な説明

観測者Aから見ると、小球Pには「外向きに引っ張る力(遠心力)」と「内向きに引っ張る力(ばねの力)」が働いています。Pが静止しているということは、これらの力がちょうど同じ大きさで反対向きになっている(つり合っている)ということです。
遠心力の大きさは \(Mr_0\omega^2\)、ばねの力の大きさはばねの伸びを \((r_0-l)\) として \(k(r_0-l)\) と書けます。
したがって、「\(Mr_0\omega^2 = k(r_0-l)\)」という式が成り立ちます。この式を、未知数である \(r_0\) について解くことで、\(r_0\) を求めることができます。

結論と吟味

つり合いの位置 \(r_0\) は、\(l, k, M, \omega\) を用いて次のように表されます。
$$r_0 = \frac{kl}{k – M\omega^2}$$
この結果において、\(k, l, M\) は全て正の定数です。\(r_0\) が物理的に意味のある正の値をとるためには、分母である \(k – M\omega^2\) も正である必要があります。この点については問(2)で詳しく考えます。
また、ばねが伸びているという仮定 \(r_0 > l\) は、もし \(k-M\omega^2 > 0\) ならば、\(r_0 = \frac{k}{k-M\omega^2} l\) と書け、\(\frac{k}{k-M\omega^2} > 1\) すなわち \(k > k-M\omega^2\) つまり \(M\omega^2 > 0\) であれば成り立ちます。これは \(\omega \neq 0\) であれば満たされる条件です。

解答 (1) \(\displaystyle r_0 = \frac{kl}{k – M\omega^2}\)

問(2)

思考の道筋とポイント
問(1)で求めた \(r_0\) の式が物理的に意味を持つための条件を考えます。小球Pが実在するためには、その位置 \(r_0\) は正の値でなければなりません (\(r_0 > 0\))。また、ばねが無限に伸びることはできないため、つり合いの位置が存在するための条件、つまり \(r_0\) が有限の値をとるための条件も考慮します。これらの条件から、角速度 \(\omega\) が満たすべき不等式を導きます。

この設問における重要なポイント

  • 問(1)で得られた \(r_0\) の式の物理的妥当性を検討します。
  • \(r_0 > 0\) という条件と、\(r_0\) が発散しない(分母が0にならない)条件を組み合わせます。
  • これらの数学的な条件が、物理的にどのような状況に対応するのかを理解します。

具体的な解説と立式
問(1)で求めたつり合いの位置 \(r_0\) は、式②より \(\displaystyle r_0 = \frac{kl}{k – M\omega^2}\) です。
ばね定数 \(k\) および自然長 \(l\) は正の定数なので、分子の \(kl\) は正です。
小球Pが円板の中心Oから正の距離の位置に存在するためには、\(r_0 > 0\) である必要があります。
分子 \(kl > 0\) であるため、\(r_0 > 0\) が成り立つためには、分母 \(k – M\omega^2\) も正でなければなりません。
$$k – M\omega^2 > 0 \quad \cdots ③$$
もし \(k – M\omega^2 = 0\) となると、\(r_0\) の分母がゼロになり \(r_0\) は無限大に発散してしまい、つり合いの位置が存在しないことになります。
もし \(k – M\omega^2 < 0\) となると、\(r_0 < 0\) となり、Pが中心Oを通り越して反対側にあるという物理的に不可能な状況を示唆します。 したがって、Pが \(r_0 > 0\) の点に静止して見えるために必要な条件は、式③です。

使用した物理公式
(特になし。問(1)の結果に基づく数学的・物理的考察)
計算過程

式③ \(k – M\omega^2 > 0\) を \(\omega\) について解きます。
$$k > M\omega^2$$両辺を \(M\) ( \(M>0\) ) で割ると、$$\frac{k}{M} > \omega^2$$すなわち、$$\omega^2 < \frac{k}{M}$$角速度 \(\omega\) はその大きさを表すので、\(\omega \ge 0\) です。したがって、上記の不等式を満たす \(\omega\) の範囲は、$$0 \le \omega < \sqrt{\frac{k}{M}} \quad \cdots ④$$ 問題文では「一定の角速度で回転している」とあるため、通常 \(\omega > 0\) を考えますが、\(\omega = 0\) の場合も \(r_0 = l\) となりつり合いは存在します。ここでは、模範解答に合わせて \(\omega < \sqrt{\frac{k}{M}}\) とします。

計算方法の平易な説明

(1)で求めた \(r_0\) の式 \(\displaystyle r_0 = \frac{kl}{k – M\omega^2}\) を見ると、分母に \(k – M\omega^2\) という項があります。もし、この分母がゼロになってしまうと、\(r_0\) が計算できなくなります(無限大になってしまいます)。また、もし分母がマイナスになると、\(r_0\) がマイナスの値になってしまい、これも物理的におかしいです。
したがって、\(r_0\) がちゃんとしたプラスの値を持つためには、分母の \(k – M\omega^2\) がプラスでなければなりません。この「\(k – M\omega^2 > 0\)」という条件を、\(\omega\) について解けばよいのです。

結論と吟味

Pが \(r=r_0\) の点に静止して見えるために必要な角速度 \(\omega\) に対する条件は、
$$\omega < \sqrt{\frac{k}{M}}$$
です。(\(\omega \ge 0\) を考慮すると \(0 \le \omega < \sqrt{\frac{k}{M}}\) )
この条件は、物理的に次のように解釈できます。角速度 \(\omega\) が大きすぎると、遠心力 \(Mr_0\omega^2\) が非常に強くなります。もし \(\omega\) が \(\sqrt{k/M}\) 以上になると、どんなにばねが伸びても、ばねの弾性力 \(k(r_0-l)\) が遠心力に打ち勝つことができなくなり、つり合いの位置が存在しなくなってしまいます。したがって、つり合いの位置が存在するためには、角速度がある上限値未満である必要があるのです。

解答 (2) \(\displaystyle \omega < \sqrt{\frac{k}{M}}\)

問(3)

思考の道筋とポイント
観測者Aから見た小球Pの運動を考えます。Pが一般の位置 \(r\) にあるとき、Pに働く力は、みぞ方向外向きの遠心力と、ばねの弾性力です。これらの合力が、観測者Aから見たPの運動を引き起こす力となります。ニュートンの運動方程式 \(Ma = F\)(ここで \(a\) はAから見たPの加速度、\(F\) はAから見たPに働く合力)を立てます。力の向き(座標の正方向に対する符号)に注意して立式します。

この設問における重要なポイント

  • 回転座標系(観測者Aの系)における運動方程式を立てます。
  • 遠心力は物体の位置 \(r\) に依存して \(Mr\omega^2\) と表されることに注意します。
  • ばねの弾性力は、ばねの伸びまたは縮み \((r-l)\) に比例し、\(k(r-l)\) と表されます。その向きは、伸びている場合は内向き、縮んでいる場合は外向きです。
  • みぞ方向外向きを正として、各力の符号を正しく運動方程式に反映させます。

具体的な解説と立式
小球Pが中心Oからの距離 \(r\) の位置にあり、観測者Aから見た加速度が \(a\) であるとします。みぞ方向外向きを正の向きとします。
Pに働く力は以下の通りです。

  1. 遠心力 (\(F_{\text{遠心力}}\)): Pの位置が \(r\) なので、遠心力はみぞ方向外向き(正の向き)に働きます。その大きさは、\(F_{\text{遠心力}} = Mr\omega^2\)。
  2. ばねの弾性力 (\(F_{\text{弾性力}}\)): ばねの自然長は \(l\) です。ばねの伸びは \(r-l\) であり、弾性力は伸びと反対向きに働くので、みぞ方向に対して \(-k(r-l)\) と表せます(\(r>l\) なら内向き、\(r<l\) なら外向きに \(k(l-r)=-k(r-l)\) となる)。

観測者Aの系におけるPの運動方程式 \(Ma = F_{\text{合力}}\) は、これらの力を合算して、
$$Ma = Mr\omega^2 – k(r-l) \quad \cdots ⑤$$
と書くことができます。

使用した物理公式

  • 運動方程式: \(m a = F\)
  • 遠心力: \(F = mr\omega^2\)
  • フックの法則: \(F = k \times (\text{変位})\) (力の向きを考慮して運動方程式に組み込む)
計算過程

(この設問は運動方程式を立てることが目的なので、ここでの計算は不要です。立式⑤が解答となります。)

計算方法の平易な説明

小球Pがみぞの中を動いているとき、観測者Aから見ると、Pにはやはり「外向きの遠心力」と「ばねの力」が働いています。これらの力を合わせたもの(合力)が、Pの動き(加速度 \(a\))を生み出しています。ニュートンの運動の法則「質量 \(M\) × 加速度 \(a\) = 合力」を使って、この関係を式で表します。
遠心力は外向きに \(Mr\omega^2\)。ばねの力は、ばねの伸びが \((r-l)\) だとすると、内向きに \(k(r-l)\) です。運動方程式では、外向きをプラスとすると、ばねの力はマイナスになるので、\(Ma = Mr\omega^2 – k(r-l)\) となります。

結論と吟味

観測者Aが書くべき運動方程式は、みぞ方向外向きを正として、
$$Ma = Mr\omega^2 – k(r-l)$$
です。この方程式の右辺は、Pの位置 \(r\) の関数になっています。これは、Pに働く力が一定ではないことを意味しており、Pは等加速度運動をするわけではないことが示唆されます。この形の方程式が、次の問(4)で単振動の形に結びついていきます。

解答 (3) \(Ma = Mr\omega^2 – k(r-l)\)

問(4)

思考の道筋とポイント
問(3)で得られた運動方程式を、新しい変数 \(x = r-r_0\)(つり合いの位置 \(r_0\) からの変位)を使って書き換えます。目標は、運動方程式の右辺の力を \(-Lx\) という形(単振動の復元力の形)にすることです。これを行うために、\(r = x+r_0\) を問(3)の運動方程式に代入し、さらに問(1)で導いた \(r_0\) での力のつり合いの条件 \(Mr_0\omega^2 = k(r_0-l)\) を巧みに利用して式を整理します。

この設問における重要なポイント

  • 変数の置換 (\(r = x+r_0\)) を正確に行います。
  • つり合いの位置 \(r_0\) で成り立っていた条件式を、式の整理の途中でうまく活用します。これにより、余分な項が消去され、シンプルな形になります。
  • 目標とする単振動の運動方程式 \(Ma = -Lx\) の形を意識しながら変形を進めます。

具体的な解説と立式
問(3)で得られた運動方程式は、
$$Ma = Mr\omega^2 – k(r-l) \quad \cdots ⑤$$
です。
Pの位置を \(r_0\) から測った変位 \(x = r-r_0\) を用いて表すため、\(r = x+r_0\) とします。
この運動方程式の右辺の力を \(-Lx\) の形にすることを目指します。つまり、運動方程式が次の形になるように \(L\) を定めます。
$$Ma = -Lx \quad \cdots ⑦$$
式⑤に \(r=x+r_0\) を代入すると、
$$Ma = M(x+r_0)\omega^2 – k((x+r_0)-l) \quad \cdots ⑥’$$
となります。この式⑥’と、問(1)で導いたつり合いの条件 \(Mr_0\omega^2 – k(r_0-l) = 0\) (式①) を用いて、式⑦の形に整理し、\(L\) を求めます。

使用した物理公式
(特になし。代数的な変形と、既出の問(1)のつり合い条件の利用)
計算過程

式⑥’ \(Ma = M(x+r_0)\omega^2 – k((x+r_0)-l)\) を展開します。
$$Ma = Mx\omega^2 + Mr_0\omega^2 – kx – k(r_0-l)$$
項を並べ替えて、\(x\) を含む項と含まない項(\(r_0\) に関する項)にまとめます。
$$Ma = (Mx\omega^2 – kx) + (Mr_0\omega^2 – k(r_0-l))$$
ここで、式①より \(Mr_0\omega^2 – k(r_0-l) = 0\) なので、これを代入します。
$$Ma = Mx\omega^2 – kx + 0$$
$$Ma = (M\omega^2 – k)x$$
この式を目標の形である式⑦ \(Ma = -Lx\) と比較できるように、右辺の係数を調整します。
$$Ma = -(k – M\omega^2)x$$
したがって、式⑦と比較して、係数 \(L\) は、
$$L = k – M\omega^2 \quad \cdots ⑧$$
と求められます。

計算方法の平易な説明

(3)で作ったPの運動に関する式を、新しい座標 \(x\)(これは \(r_0\) からどれだけズレているかを表す量)を使って書き直す作業です。具体的には、\(r\) の代わりに \(x+r_0\) を(3)の式に入れて計算を進めます。
計算の途中で、(1)で見つけた「\(r_0\) の位置では力がつり合っている」という関係(\(Mr_0\omega^2 = k(r_0-l)\))を利用すると、式の中のいくつかの項がうまく消えてくれて、式がとても簡単な形になります。
最終的に、運動の式が「\(Ma = -(\text{ある定数}) \times x\)」という形になるように変形し、その「ある定数」が求めたい \(L\) になります。

結論と吟味

Pの位置を \(x=r-r_0\) を用いて表すと、運動方程式の右辺の力は \(-Lx\) の形になり、その係数 \(L\) は、
$$L = k – M\omega^2$$
と表されます。
ここで、問(2)で導いた条件 \(\omega < \sqrt{k/M}\) を思い出してみましょう。この条件は \(k – M\omega^2 > 0\) と同値です。したがって、この \(L\) は正の定数であることが保証されます。
運動方程式が \(Ma = -Lx\)(ただし \(L>0\))と書けるということは、小球Pの運動が、\(x=0\)(すなわち \(r=r_0\))をつり合いの中心とする単振動であることを示しています。この \(L\) は、この単振動における「実効的なばね定数」あるいは「復元力の比例定数」と解釈することができます。遠心力の影響で、ばね本来のばね定数 \(k\) が見かけ上 \(k-M\omega^2\) に変化したと考えることができます。

解答 (4) \(L = k – M\omega^2\)

問(5)

思考の道筋とポイント
問(4)の結果から、小球Pは \(x=0\) (すなわち \(r=r_0\)) を中心とする単振動をすることが明らかになりました。この単振動の特性(角振動数、周期、振幅)をまず把握します。
Pは \(r=r_1\) の点で静かに放されるので、この位置が単振動の一方の端点となり、\(r_1-r_0\) が振幅 \(A\) となります。

  1. Pを放してからばねの長さが最小となるまでの時間: これは、単振動の一方の端点から出発して、もう一方の端点に到達するまでの時間であり、周期の半分 (\(T/2\)) に相当します。
  2. ばねの長さの最小値: これは、単振動の振動中心 \(r_0\) から振幅 \(A\) だけ内側に入った位置、つまり \(r_0 – A\) です。
  3. Aが見るPの最大の速さ: 単振動において、物体の速さは振動中心を通過するときに最大となり、その値は \(A \omega_{\text{単}}\) (\(\omega_{\text{単}}\) は単振動の角振動数)です。

この設問における重要なポイント

  • Pの運動が、\(r_0\) を中心とする単振動であることを理解します。
  • 単振動の基本量である角振動数 \(\omega_{\text{単}}\)、周期 \(T\)、振幅 \(A\) を正しく求めます。角振動数は運動方程式 \(Ma=-Lx\) から \(\omega_{\text{単}} = \sqrt{L/M}\) として得られます。
  • 初期条件(\(r=r_1\) で静かに放す)から振幅 \(A = r_1-r_0\) を決定します。
  • 単振動における時間と位置、速度の関係(端から端まで半周期、中心で最大速度など)を正確に適用します。

具体的な解説と立式
問(4)より、小球Pの運動は、つり合いの位置 \(r_0\) (すなわち \(x=0\)) を中心とする単振動であり、その運動方程式は \(Ma = -Lx\)、ここで \(L = k – M\omega^2\) です。
この単振動の角振動数を \(\omega_{\text{単}}\) 、周期を \(T\)、振幅を \(A\) とします。これらは次のように定義されたり、求められたりします。
角振動数 \(\omega_{\text{単}}\) は、\(Ma = -Lx\) から、単振動の角振動数の定義より、
$$\omega_{\text{単}} = \sqrt{\frac{L}{M}} \quad \cdots ⑨$$
周期 \(T\) は、角振動数 \(\omega_{\text{単}}\) を用いて、
$$T = \frac{2\pi}{\omega_{\text{単}}} \quad \cdots ⑩$$
小球Pは、点Oからの距離 \(r_1\) の点で静かに放されるので、この位置が単振動の端点の一つとなります。振動の中心は \(r_0\) ですから、この単振動の振幅 \(A\) は、
$$A = r_1 – r_0 \quad \cdots ⑪$$
となります(\(r_1 > r_0\) としています)。

1. Pを放してからばねの長さが最小となるまでの時間 \(t_{\text{min}}\):
Pを放した点 \(r=r_1\) ( \(x=A\) ) から、ばねの長さが最小となる点(もう一方の端点 \(x=-A\)、すなわち \(r = r_0 – A\))までの時間は、周期の半分です。
$$t_{\text{min}} = \frac{1}{2}T \quad \cdots ⑫$$

2. ばねの長さの最小値 \(r_{\text{min}}\):
振動中心 \(r_0\) から振幅 \(A\) だけ内側に変位した位置が、ばねの長さの最小値です。
$$r_{\text{min}} = r_0 – A \quad \cdots ⑬$$

3. Aが見るPの最大の速さ \(v_{\text{max}}\):
単振動において、物体の速さは振動中心(\(x=0\)、すなわち \(r=r_0\))で最大となります。その値は、
$$v_{\text{max}} = A \omega_{\text{単}} \quad \cdots ⑭$$
で与えられます。これらの式を用いて、各値を \(k, M, \omega, r_0, r_1\) のうち必要なものを用いて表します。

使用した物理公式

  • 単振動の角振動数: \(\omega_{\text{単}} = \sqrt{\frac{L}{M}}\)
  • 単振動の周期: \(T = \frac{2\pi}{\omega_{\text{単}}}\)
  • 単振動の振幅: 初期条件(静かに放した位置が端)から決定
  • 単振動における端から端までの時間: \(\frac{T}{2}\)
  • 単振動の最大速度: \(v_{\text{max}} = A\omega_{\text{単}}\)
計算過程

まず、角振動数 \(\omega_{\text{単}}\) と周期 \(T\) を、問題で与えられた量で表現します。
式⑨に \(L=k-M\omega^2\) (式⑧) を代入すると、
$$\omega_{\text{単}} = \sqrt{\frac{k-M\omega^2}{M}}$$
これを式⑩に代入すると、周期 \(T\) は、
$$T = 2\pi\sqrt{\frac{M}{k-M\omega^2}}$$
となります。

1. Pを放してからばねの長さが最小となるまでの時間 \(t_{\text{min}}\):
式⑫に上記の周期 \(T\) を代入します。
$$t_{\text{min}} = \frac{1}{2} \left( 2\pi\sqrt{\frac{M}{k-M\omega^2}} \right)$$
$$t_{\text{min}} = \pi\sqrt{\frac{M}{k-M\omega^2}} \quad \cdots ⑮$$

2. ばねの長さの最小値 \(r_{\text{min}}\):
式⑬に、式⑪で定義した振幅 \(A = r_1 – r_0\) を代入します。
$$r_{\text{min}} = r_0 – (r_1 – r_0)$$
$$r_{\text{min}} = r_0 – r_1 + r_0$$
$$r_{\text{min}} = 2r_0 – r_1 \quad \cdots ⑯$$

3. Aが見るPの最大の速さ \(v_{\text{max}}\):
式⑭に、式⑪で定義した振幅 \(A = r_1 – r_0\) と、上で求めた角振動数 \(\omega_{\text{単}} = \sqrt{\frac{k-M\omega^2}{M}}\) を代入します。
$$v_{\text{max}} = (r_1 – r_0) \sqrt{\frac{k-M\omega^2}{M}} \quad \cdots ⑰$$

計算方法の平易な説明

(4)で、小球Pの運動は、\(r_0\) を中心とした普通のばね振り子と同じような運動(単振動)をすることがわかりました。ただし、ばねの強さが少し変わったような効果(\(L=k-M\omega^2\))が現れています。

  1. 時間: Pを \(r_1\) の位置でそっと放すと、そこが振動の片方の端になります。ばねの長さが一番短くなるのは、振動の反対側の端に行ったときです。単振動では、端から端まで行くのにかかる時間は「周期の半分」です。まず、この単振動の周期 \(T\) を計算し(\(T = 2\pi \sqrt{M/L}\))、それを2で割れば求めたい時間になります。
  2. 最小の長さ: 振動の中心は \(r_0\) です。振動の幅(振幅 \(A\))は、放した点 \(r_1\) と中心 \(r_0\) の差、つまり \(A = r_1-r_0\) です。ばねが一番短くなるときは、中心 \(r_0\) から振幅 \(A\) だけ内側に入った点なので、その長さは \(r_0 – A = r_0 – (r_1-r_0)\) となります。
  3. 最大の速さ: 単振動では、物体が振動の中心(この場合は \(r_0\))を通過するときに、速さが一番大きくなります。最大の速さは「振幅 \(A\) × 角振動数 \(\omega_{\text{単}}\)」という公式で計算できます。角振動数 \(\omega_{\text{単}}\) は \(\sqrt{L/M}\) で計算できます。
結論と吟味

Pを放してからばねの長さが最小となるまでの時間 \(t_{\text{min}}\)、ばねの長さの最小値 \(r_{\text{min}}\)、およびAが見るPの最大の速さ \(v_{\text{max}}\) は、それぞれ以下のように表されます。

  • Pを放してからばねの長さが最小となるまでの時間: \(\displaystyle t_{\text{min}} = \pi\sqrt{\frac{M}{k-M\omega^2}}\)
  • ばねの長さの最小値: \(r_{\text{min}} = 2r_0 – r_1\)
  • Aが見るPの最大の速さ: \(\displaystyle v_{\text{max}} = (r_1 – r_0) \sqrt{\frac{k-M\omega^2}{M}}\)

これらの結果は、すべて問題で与えられた文字 \(k, M, \omega, r_0, r_1\)で表されています。単位も物理的に妥当です。特に、単振動の周期を安易に \(2\pi\sqrt{M/k}\) としないことが重要で、実効的な復元力の係数が \(L=k-M\omega^2\) となっている点に注意が必要です。

解答 (5) 時間: \(\displaystyle \pi\sqrt{\frac{M}{k-M\omega^2}}\), 最小値: \(2r_0 – r_1\), 最大の速さ: \(\displaystyle (r_1 – r_0) \sqrt{\frac{k-M\omega^2}{M}}\)

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最重要ポイント:この問題の核心となる物理法則は?

  • 回転座標系(非慣性系)における力のつり合いと運動: この問題全体を貫く最も重要な考え方です。
    • 遠心力: 回転する観測者から見たときに物体に働く見かけの力。大きさ \(Mr\omega^2\)、向きは中心から遠ざかる向き。
    • フックの法則: ばねの弾性力 \(F=k \times \text{変位}\)。
    • 力のつり合い (\(\sum F = 0\)): (1)で観測者Aから見てPが静止している条件。遠心力と弾性力がつり合います。
    • 運動方程式 (\(Ma=F\)): (3),(4)で観測者Aから見たPの運動を記述。力には遠心力を含めます。
    • 単振動: (4)で運動方程式が \(Ma = -Lx\) の形に帰着。\(L\) が正の定数であれば、\(x=0\) を中心とする単振動が起こります。
  • これらの概念・法則の本質的な理解のポイントは、遠心力が「見かけの力」であること、そしてばねの力と遠心力が合わさって位置 \(r\) に依存する復元力を形成し、実効的なばね定数が \(k\) から \(L=k-M\omega^2\) へと変化した単振動を引き起こすダイナミクスを捉えることです。

応用テクニック:似た問題が出たらココを見る!解法の鍵と着眼点

  • この問題の考え方や解法は、どのようなパターンの類似問題に応用できるか:
    • 回転する円盤や円錐振り子など、回転運動が関わる系での物体のつり合いや運動の問題。
    • 人工衛星内のような、特定の加速度運動をする系(非慣性系)での物体の挙動を解析する問題。
  • 初見の問題で、どこに着目すればこの問題と同じように解き進められるか:
    1. 観測者の設定(座標系)の確認: 問題文がどの視点(静止系か、運動体と共にか)で現象を記述し、問いを発しているかを見極めます。「観測者Aには…見えた」といった記述は回転座標系での考察を示唆します。
    2. 慣性力の正確な導入: 非慣性系で考える場合、まず慣性力(回転系なら遠心力など)を正しく導入します。向きと大きさを間違えないようにします。
    3. 力のリストアップと図示の徹底: 物体に働くすべての「実質の力」と「慣性力」を漏れなくリストアップし、ベクトルとして図示します。
    4. 運動の状態に応じた法則の選択:
      • 物体が観測者から見て「静止」または「つり合っている」\(\rightarrow\) 力のつり合いの式を立てます。
      • 物体が観測者から見て「運動」している \(\rightarrow\) 運動方程式を立てます。
    5. 単振動の可能性の検討: 運動方程式が、あるつり合い位置からの変位 \(x\) を用いて \(m\ddot{x} = -(\text{正の定数})x\) という形に変形できれば、それは単振動です。
  • 問題解決のヒントや、特に注意すべき点は何か:
    • 「円板上で静止している観測者A」という言葉は、回転座標系で考えよという明確なサインです。
    • 遠心力は常に回転中心から遠ざかる向きに、物体の回転中心からの距離 \(r\) に比例して \(Mr\omega^2\) と働くことを忘れないようにしましょう。
    • ばねの自然長 \(l\)、つり合いの位置 \(r_0\)、一般の位置 \(r\) を区別し、ばねの伸びは「現在の長さ \(r\) – 自然長 \(l\)」で計算します。

要注意!ありがちなミス・誤解とその対策

  • 遠心力の誤解や扱いのミス:
    • 現象: 慣性系から見ているのに遠心力を描いてしまう、またはその逆。遠心力の大きさを \(Mr_0\omega^2\) と固定してしまい、一般の位置 \(r\) での運動方程式を立てる際に \(Mr\omega^2\) とすべきところを間違う。
    • 対策: 常に自分がどの座標系で考えているかを意識し、回転座標系なら遠心力 \(Mr\omega^2\)(\(r\) は変数)を導入します。
  • 単振動の周期の公式の機械的な適用ミス:
    • 現象: この問題の単振動の周期を、単純なばね振り子の公式 \(T=2\pi\sqrt{M/k}\) と勘違いする。
    • 対策: 運動方程式 \(Ma=-Lx\) から出発し、実効的な復元力の係数 \(L\) を正しく求めてから周期 \(T=2\pi\sqrt{M/L}\) を適用します。公式の導出過程を理解しておくことが重要です。
  • 力の向きと符号の混乱:
    • 現象: 運動方程式を立てる際、座標軸の正の向きに対するばねの力や遠心力の符号を間違える。
    • 対策: 座標軸の正の向きを明確に定め、各力がその向きに対して正か負かを慎重に判断します。図を丁寧に描くことも助けになります。
  • \(r_0\) が存在する条件(問(2))の軽視:
    • 現象: \(k-M\omega^2 > 0\) という条件の物理的意味を理解せず、(5)で \(L\) が負になったり、周期のルートの中が負になったりする可能性に気づかない。
    • 対策: 各条件式が持つ物理的な意味を常に考えるようにし、それが後の計算結果の妥当性にどう影響するかを意識します。

物理の眼を養う:現象のイメージ化と図解の極意

  • この問題における物理現象の具体的なイメージ化:
    • 自分が円板の中心近くに立って(観測者A)、半径方向のレール(みぞ)上のばね付きボール(小球P)の動きを観察するイメージ。回転による外向きの力(遠心力)を感じるはずです。
    • 力の図示では、遠心力 \(Mr\omega^2\) が外向き、ばねの力 \(k(r-l)\) が内向き(\(r>l\) の場合)に働くことを明確に描きます。
    • 単振動では、つり合い位置 \(r_0\) を中心に振幅 \(A=r_1-r_0\) で振動する様子を、直線上(みぞ方向)の運動としてイメージします。
  • 図を描く際に注意すべき点は何か:
    • 観測者の立場(回転座標系)を意識します。
    • 力の作用点を明確にPに合わせます。
    • 座標軸(みぞ方向外向きを正など)を図中に示します。
    • ばねの自然長 \(l\)、つり合い点 \(r_0\)、一般の位置 \(r\)、振動の端 \(r_1\) などを区別して図示します。

なぜその公式?論理的な公式選択と適用の思考法

  • 遠心力 (\(Mr\omega^2\)): 選定理由は観測者Aが回転座標系にいるため。適用根拠は非慣性系における見かけの力であること。
  • フックの法則 (\(k \times \text{伸び}\)): 選定理由はPがばねにつながれているため。適用根拠は弾性限界内でのばねの力の性質。
  • 力のつり合い (\(\sum F = 0\)): 選定理由は(1)でPがAから見て静止しているため。適用根拠はニュートンの第一法則(慣性力込み)。
  • 運動方程式 (\(Ma=F\)): 選定理由は(3)以降でPがAから見て運動するため。適用根拠はニュートンの第二法則(慣性力込み)。
  • 単振動の公式群: 選定理由は(4)で運動方程式が \(Ma=-Lx\) の形に帰着されたため。適用根拠はこの形の運動方程式が単振動を記述する数学的定義であること。
  • 公式を適用する前に、その公式が成り立つための「前提条件」を常に確認する癖をつけることが重要です。

思考を整理する:立式から計算までのロジカルフロー

  1. 状況設定の理解 (問1): 回転座標系で物体が静止 \(\rightarrow\) 遠心力と弾性力がつり合う。
  2. 力の特定と定量化: 遠心力 \(Mr_0\omega^2\)、弾性力 \(k(r_0-l)\)。
  3. つり合いの立式: \(Mr_0\omega^2 – k(r_0-l) = 0\)。
  4. 求解 (\(r_0\)): \(r_0\) について解く。
  5. 物理的条件の考察 (問2): \(r_0 > 0\) (かつ分母 \(\neq 0\))となるための条件として \(k-M\omega^2 > 0\) を導く。
  6. 一般の運動の場合 (問3): 位置 \(r\) での運動方程式。力は遠心力 \(Mr\omega^2\) と弾性力 \(-k(r-l)\)。
  7. 運動方程式の立式: \(Ma = Mr\omega^2 – k(r-l)\)。
  8. 座標変換と整理 (問4): \(r = x+r_0\) を代入し、\(Mr_0\omega^2 = k(r_0-l)\) を利用して、\(Ma = -(k-M\omega^2)x\) の形に整理。\(\rightarrow L = k-M\omega^2\)。
  9. 単振動のパラメータ計算 (問5): 角振動数 \(\omega_{\text{単}} = \sqrt{L/M}\)、周期 \(T = 2\pi/\omega_{\text{単}}\)、振幅 \(A = r_1-r_0\)。これらから時間、最小長、最大速さを計算。

計算ミスをなくす!日頃の意識と実践テクニック

  • 今回の計算過程で特に注意すべきだった点:
    • 符号の扱い(力の向き、移項、展開時)。
    • 文字式の正確な計算(展開、整理、因数分解)。
    • (5)での \(L\) や \(A\) の代入と根号の計算。
    • 式の整理による見通しの良さの確保。
  • 日頃から計算練習で意識すべきこと・実践テクニック:
    • 途中式を丁寧に書き、各ステップの意味を意識する。
    • 文字が多い計算に慣れ、どの文字が定数でどれが変数か、何を求めたいかを明確にする。
    • 可能な範囲で検算を行う(極端な値を代入してみるなど)。

解きっぱなしはNG!解答の妥当性を吟味する習慣をつけよう

  • 得られた答えが物理的に妥当かどうかを検討する視点の重要性:
    • (1) \(r_0 = \displaystyle\frac{kl}{k – M\omega^2}\): \(\omega \rightarrow 0\) で \(r_0 \rightarrow l\)。\(M\omega^2 \rightarrow k\) で \(r_0 \rightarrow \infty\)。物理的直感と整合。
    • (2) \(\omega < \sqrt{k/M}\): つり合い位置が存在するための妥当な条件。上限を超えると \(r_0\) が負や発散。
    • (4) \(L = k – M\omega^2\): 回転系での「実効的なばね定数」。\(L>0\) が単振動の条件で、(2)と一致。
    • (5) の結果: 周期 \(T \propto 1/\sqrt{L}\) は、\(L\) が小さい(\(\omega\) が上限に近い)ほど長くなる(振動がゆっくりになる)。これも物理的妥当性あり。
  • 「解の吟味」を通じて得られること:
    • 計算ミスや立式の誤りに気づくきっかけ。
    • 数式の背後にある物理的な意味や構造の深い理解。
    • 「なぜそうなるのか?」を考えることによる論理的思考力や応用力の養成。
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