基礎CHECK
1 コンデンサーの蓄える電気量
【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド
この問題のテーマは「コンデンサーの基本公式 \(Q=CV\) を用いた電気量の計算」です。
問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。
- コンデンサーの基本公式: \(Q=CV\)
- 電気容量 \(C\) の単位: ファラド [F]
- 電圧 \(V\) の単位: ボルト [V]
- 電気量 \(Q\) の単位: クーロン [C]
- 単位の接頭語の理解: \(\mu\) (マイクロ) は \(10^{-6}\) を意味する。
基本的なアプローチは以下の通りです。
- 問題文から電気容量 \(C\) と電圧 \(V\) の値を読み取る。
- 単位の接頭語 \(\mu\) (マイクロ) を \(10^{-6}\) に変換する。
- コンデンサーの基本公式 \(Q=CV\) に値を代入して電気量 \(Q\) を計算する。
思考の道筋とポイント
コンデンサーに蓄えられる電気量を求める問題です。コンデンサーの最も基本的な関係式である \(Q=CV\) を正しく使えるかが問われています。与えられている物理量は、電気容量 \(C = 2.0 \, \mu\text{F}\) と電圧 \(V = 100 \, \text{V}\) です。計算する際には、単位に注意が必要です。特に、電気容量の単位が \(\mu\text{F}\) (マイクロファラド) で与えられているため、基本単位である \(\text{F}\) (ファラド) に直してから計算する必要があります。
この設問における重要なポイント
- コンデンサーの基本公式: \(Q=CV\)
- \(Q\): コンデンサーに蓄えられる電気量 [C]
- \(C\): コンデンサーの電気容量 [F]
- \(V\): コンデンサーの極板間の電圧 [V]
- 電気量、電気容量、電圧の比例関係: 電圧が一定のとき、電気量は電気容量に比例します。電気容量が一定のとき、電気量は電圧に比例します。
- 単位の接頭語: \(\mu\) (マイクロ) は \(10^{-6}\) を意味します。\(1 \, \mu\text{F} = 1 \times 10^{-6} \, \text{F}\) です。
具体的な解説と立式
この問題では、コンデンサーに蓄えられる電気量 \(Q\) を求めます。コンデンサーの電気容量 \(C\)、極板間の電圧 \(V\)、蓄えられる電気量 \(Q\) の間には、次の関係式が成り立ちます。
$$ Q = CV $$
問題文より、電気容量 \(C\) は \(2.0 \, \mu\text{F}\)、電圧 \(V\) は \(100 \, \text{V}\) です。
計算を行うために、電気容量 \(C\) の単位を \(\mu\text{F}\) から \(\text{F}\) に変換します。
$$ C = 2.0 \, \mu\text{F} = 2.0 \times 10^{-6} \, \text{F} $$
これらの値を公式に代入する準備ができました。
使用した物理公式
- コンデンサーの基本公式: \(Q=CV\)
- \(Q\): 電気量 [C]
- \(C\): 電気容量 [F]
- \(V\): 電圧 [V]
「具体的な解説と立式」で準備した値を、公式 \(Q=CV\) に代入します。
$$
\begin{aligned}
Q &= CV \\[2.0ex]&= (2.0 \times 10^{-6}) \times 100 \\[2.0ex]&= 2.0 \times 10^{-6} \times 10^2 \\[2.0ex]&= 2.0 \times 10^{-6+2} \\[2.0ex]&= 2.0 \times 10^{-4} \, [\text{C}]\end{aligned}
$$
したがって、蓄えられる電気量は \(2.0 \times 10^{-4} \, \text{C}\) となります。
コンデンサーは電気をためる「バケツ」のようなものです。「電気容量 \(C\)」はバケツの底面積の広さ、「電圧 \(V\)」は注ぎ込む水の圧力(あるいは水位の高さ)に例えられます。そして、「電気量 \(Q\)」はバケツにたまった水の量に相当します。底面積が広く(\(C\) が大きく)、圧力を高くして水を注ぐ(\(V\) が大きい)ほど、たくさんの水がたまります(\(Q\) が大きい)。この関係が \(Q=CV\) という式で表されます。この問題では、\(C=2.0 \, \mu\text{F}\)、\(V=100 \, \text{V}\) なので、公式にそのまま当てはめて、たまる電気の量を計算するだけです。単位の \(\mu\) (マイクロ) を \(10^{-6}\) に直すことだけ忘れないようにしましょう。
2 平行板コンデンサーの電気容量
【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド
この問題のテーマは「平行板コンデンサーの電気容量が、極板の面積と間隔によってどのように変化するか」を理解することです。
問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。
- 平行板コンデンサーの電気容量の公式: \(C = \varepsilon \displaystyle\frac{S}{d}\)
- 電気容量 \(C\) と極板面積 \(S\) の関係(比例関係)
- 電気容量 \(C\) と極板間隔 \(d\) の関係(反比例関係)
- 真空の誘電率 \(\varepsilon_0\)
基本的なアプローチは以下の通りです。
- 変化前の電気容量を \(C_0\) として、公式を用いて表す。
- 変化後の極板面積 \(S’\) と極板間隔 \(d’\) を、変化前の値 \(S, d\) を使って表す。
- 変化後の電気容量を \(C\) として、\(S’\) と \(d’\) を用いて公式から導出する。
- 変化後の電気容量 \(C\) が、変化前の電気容量 \(C_0\) の何倍になっているかを計算する。
思考の道筋とポイント
平行板コンデンサーの電気容量が何によって決まるかを、公式に基づいて考えます。公式は \(C = \varepsilon_0 \displaystyle\frac{S}{d}\) であり、電気容量 \(C\) は極板の対向面積 \(S\) に比例し、極板間の間隔 \(d\) に反比例することがわかります。
この比例・反比例の関係を直感的に捉えることも大切です。
- 面積 \(S\) が広くなる → より多くの電荷を蓄えられる → 電気容量 \(C\) は大きくなる。
- 間隔 \(d\) が狭くなる → 向かい合う極板の正負の電荷が互いを強く引きつけ合う → より多くの電荷を極板に保持できる → 電気容量 \(C\) は大きくなる。
この感覚を持った上で、問題文の指示通りに面積と間隔を変化させた後の式を立て、元の式と比較します。
この設問における重要なポイント
- 平行板コンデンサーの電気容量の公式: \(C = \varepsilon \displaystyle\frac{S}{d}\)
- \(C\): 電気容量 [F]
- \(\varepsilon\): 極板間の誘電体の誘電率 [F/m] (空気中や真空中では真空の誘電率 \(\varepsilon_0\) を用いる)
- \(S\): 極板の対向面積 [m\(^2\)]
- \(d\): 極板間の間隔 [m]
- 電気容量の変化の関係:
- 面積 \(S\) が \(a\) 倍になると、\(C\) は \(a\) 倍になる。
- 間隔 \(d\) が \(b\) 倍になると、\(C\) は \(\displaystyle\frac{1}{b}\) 倍になる。
具体的な解説と立式
初めのコンデンサーの電気容量を \(C_0\)、極板の面積を \(S\)、極板間の間隔を \(d\) とします。極板間は空気なので、誘電率は真空の誘電率 \(\varepsilon_0\) とみなせます。
平行板コンデンサーの電気容量の公式より、初めの電気容量 \(C_0\) は次のように表されます。
$$ C_0 = \varepsilon_0 \frac{S}{d} \quad \cdots ① $$
次に、問題文の指示に従って極板の形状を変化させます。
極板の間隔を \(\displaystyle\frac{1}{2}\) 倍に狭めるので、変化後の間隔 \(d’\) は、
$$ d’ = \frac{1}{2}d $$
さらに、極板の対向面積を \(2\) 倍に広げるので、変化後の面積 \(S’\) は、
$$ S’ = 2S $$
これらの変化後の値を用いて、変化後の電気容量 \(C\) を求めます。
$$ C = \varepsilon_0 \frac{S’}{d’} \quad \cdots ② $$
これで、変化前と変化後の電気容量を比較する準備が整いました。
使用した物理公式
- 平行板コンデンサーの電気容量: \(C = \varepsilon \displaystyle\frac{S}{d}\)
- \(\varepsilon\): 誘電率 [F/m]
- \(S\): 極板の面積 [m\(^2\)]
- \(d\): 極板間の間隔 [m]
「具体的な解説と立式」で立てた式②に、\(S’ = 2S\) と \(d’ = \displaystyle\frac{1}{2}d\) を代入します。
$$
\begin{aligned}
C &= \varepsilon_0 \frac{S’}{d’} \\[2.0ex]&= \varepsilon_0 \frac{2S}{\displaystyle\frac{1}{2}d} \\[2.0ex]&= \varepsilon_0 \frac{2S \times 2}{d} \\[2.0ex]&= 4 \left( \varepsilon_0 \frac{S}{d} \right)
\end{aligned}
$$
ここで、式①より \(C_0 = \varepsilon_0 \displaystyle\frac{S}{d}\) なので、この関係を代入すると、
$$ C = 4 C_0 $$
したがって、変化後の電気容量は初めの4倍になります。
コンデンサーの電気をためる能力(電気容量)は、2枚の金属板の「面積」が広いほど、そして2枚の板の「すき間」が狭いほど大きくなります。
今回の問題では、まず「面積を2倍」にしました。これにより、電気容量は2倍になります。
次に、「すき間を半分(\(\displaystyle\frac{1}{2}\)倍)」にしました。すき間が狭くなると電気容量は大きくなるので、すき間が\(\displaystyle\frac{1}{2}\)倍になると、電気容量はその逆数である2倍になります。
したがって、トータルの変化は、「面積による変化」と「すき間による変化」を掛け合わせたものになります。
(面積で2倍)×(すき間で2倍)= 合計で4倍、電気をためる能力がアップする、ということです。
3 誘電体とコンデンサーの電気容量
【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド
この問題のテーマは「コンデンサーに誘電体を挿入した際の電気容量の変化」です。
問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。
- 平行板コンデンサーの電気容量の公式: \(C = \varepsilon \displaystyle\frac{S}{d}\)
- 誘電率 \(\varepsilon\) と真空の誘電率 \(\varepsilon_0\) の関係
- 比誘電率 \(\varepsilon_r\) の定義
- 誘電体を挿入すると電気容量が増加するという事実
基本的なアプローチは以下の通りです。
- 誘電体を挿入する前の電気容量 \(C_0\) を、真空の誘電率 \(\varepsilon_0\) を用いて公式で表す。
- 誘電体を挿入した後の誘電率 \(\varepsilon\) を、比誘電率 \(\varepsilon_r\) を用いて表す。
- 誘電体を挿入した後の電気容量 \(C\) を、誘電率 \(\varepsilon\) を用いて公式で表す。
- \(C\) と \(C_0\) を比較して、何倍になるかを計算する。
思考の道筋とポイント
コンデンサーの極板間に誘電体を挿入すると、電気容量が増加します。この増加の度合いを示すのが「比誘電率 \(\varepsilon_r\)」です。比誘電率が \(\varepsilon_r\) の物質で極板間を完全に満たすと、電気容量はもとの \(\varepsilon_r\) 倍になります。この結論は覚えておくと非常に便利です。
本解説では、なぜそうなるのかを平行板コンデンサーの電気容量の公式 \(C = \varepsilon \displaystyle\frac{S}{d}\) と、誘電率の関係式 \(\varepsilon = \varepsilon_r \varepsilon_0\) から導出します。
この設問における重要なポイント
- 誘電率 \(\varepsilon\): 物質が電場中で分極し、電場を弱める度合いを示す物理量。これが大きいほど、コンデンサーは多くの電荷を蓄えられます。単位は [F/m]。
- 真空の誘電率 \(\varepsilon_0\): 真空の誘電率で、物理定数です。
- 比誘電率 \(\varepsilon_r\): 真空の誘電率 \(\varepsilon_0\) を基準として、ある物質の誘電率 \(\varepsilon\) がその何倍かを示す無次元量です。定義式は \(\varepsilon_r = \displaystyle\frac{\varepsilon}{\varepsilon_0}\) であり、これを変形した \(\varepsilon = \varepsilon_r \varepsilon_0\) の形でよく用います。
- 誘電体挿入による電気容量の変化: 極板間を比誘電率 \(\varepsilon_r\) の誘電体で満たすと、電気容量は真空のときの \(\varepsilon_r\) 倍になります。
\(C_{\text{誘電体}} = \varepsilon_r C_{\text{真空}}\)
具体的な解説と立式
初めのコンデンサー(極板間が真空または空気)の電気容量を \(C_0\)、極板の面積を \(S\)、極板間の間隔を \(d\) とします。
平行板コンデンサーの電気容量の公式より、初めの電気容量 \(C_0\) は、真空の誘電率 \(\varepsilon_0\) を用いて次のように表されます。
$$ C_0 = \varepsilon_0 \frac{S}{d} \quad \cdots ① $$
次に、極板間に比誘電率 \(\varepsilon_r = 5\) の油(誘電体)を満たします。
この油の誘電率を \(\varepsilon\) とすると、比誘電率の定義から、\(\varepsilon\) は \(\varepsilon_0\) の \(\varepsilon_r\) 倍なので、
$$ \varepsilon = \varepsilon_r \varepsilon_0 = 5 \varepsilon_0 $$
油を満たした後の電気容量を \(C\) とすると、その公式は次のようになります。
$$ C = \varepsilon \frac{S}{d} \quad \cdots ② $$
これで、変化前と変化後の電気容量を比較する準備が整いました。
使用した物理公式
- 平行板コンデンサーの電気容量: \(C = \varepsilon \displaystyle\frac{S}{d}\)
- 比誘電率の定義: \(\varepsilon = \varepsilon_r \varepsilon_0\)
「具体的な解説と立式」で立てた式②に、\(\varepsilon = 5 \varepsilon_0\) を代入します。
$$
\begin{aligned}
C &= \varepsilon \frac{S}{d} \\[2.0ex]&= (5 \varepsilon_0) \frac{S}{d} \\[2.0ex]&= 5 \left( \varepsilon_0 \frac{S}{d} \right)
\end{aligned}
$$
ここで、式①より \(C_0 = \varepsilon_0 \displaystyle\frac{S}{d}\) なので、この関係を代入すると、
$$ C = 5 C_0 $$
したがって、電気容量は初めの5倍になります。
コンデンサーの極板の間に「誘電体」という絶縁体を入れると、電気をためる能力(電気容量)がアップします。
「比誘電率」というのは、その物質を入れることで、もともとの能力が何倍にアップするかを示す「倍率」そのものです。
この問題では「比誘電率5の油」を入れたので、電気容量は単純に5倍になります。もし比誘電率が3の物質なら3倍、10の物質なら10倍になる、という非常にシンプルな関係です。
4 コンデンサーの接続と合成容量
【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド
この問題のテーマは「コンデンサーの並列接続と直列接続における合成容量の計算」です。
問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。
- コンデンサーの並列接続の合成容量の公式
- コンデンサーの直列接続の合成容量の公式
- 並列接続と直列接続の物理的な意味の違い(電圧、電気量の関係)
- 抵抗の合成抵抗の公式との比較(並列と直列で式の形が逆になること)
基本的なアプローチは以下の通りです。
- 問題文で与えられた2つのコンデンサーの電気容量の値を確認する。
- 並列接続の場合の合成容量 \(C_A\) を、公式を用いて計算する。
- 直列接続の場合の合成容量 \(C_B\) を、公式を用いて計算する。
思考の道筋とポイント
コンデンサーを複数接続したとき、それらをまとめて1つのコンデンサーとみなした場合の容量を「合成容量」といいます。接続方法には「並列接続」と「直列接続」があり、それぞれで合成容量の計算方法が異なります。公式を正しく覚え、適用することが重要です。
特に、コンデンサーの合成容量の公式は、抵抗の合成抵抗の公式と、並列・直列の計算方法がちょうど逆の関係になっていることを意識すると、混同しにくくなります。
この設問における重要なポイント
- 並列接続: 各コンデンサーにかかる電圧が等しくなる接続方法。合成容量は各電気容量の単純な和で与えられ、元のどのコンデンサーよりも大きくなります。
- 公式: \(C = C_1 + C_2 + \dots\)
- 物理的イメージ: 極板面積を合算するのに相当し、より多くの電気量を蓄えられるようになります。
- 直列接続: 各コンデンサーに蓄えられる電気量が等しくなる接続方法。合成容量の逆数が各電気容量の逆数の和で与えられ、元のどのコンデンサーよりも小さくなります。
- 公式: \(\displaystyle\frac{1}{C} = \frac{1}{C_1} + \frac{1}{C_2} + \dots\)
- 物理的イメージ: 極板間隔を広げるのに似た効果があります。
具体的な解説と立式
問題で与えられた2つのコンデンサーの電気容量を \(C_1 = 3.0 \, \mu\text{F}\), \(C_2 = 6.0 \, \mu\text{F}\) とします。
- 並列接続の合成容量 \(C_A\)
並列接続の場合、合成容量 \(C_A\) は各コンデンサーの電気容量の和となります。
$$ C_A = C_1 + C_2 \quad \cdots ① $$ - 直列接続の合成容量 \(C_B\)
直列接続の場合、合成容量 \(C_B\) の逆数が、各コンデンサーの電気容量の逆数の和となります。
$$ \frac{1}{C_B} = \frac{1}{C_1} + \frac{1}{C_2} \quad \cdots ② $$
これらの式に、与えられた値を代入して計算します。
使用した物理公式
- コンデンサーの並列接続の合成容量: \(C = C_1 + C_2 + \dots\)
- コンデンサーの直列接続の合成容量: \(\displaystyle\frac{1}{C} = \frac{1}{C_1} + \frac{1}{C_2} + \dots\)
- 並列接続の合成容量 \(C_A\) の計算
式①に \(C_1 = 3.0 \, \mu\text{F}\), \(C_2 = 6.0 \, \mu\text{F}\) を代入します。
$$
\begin{aligned}
C_A &= C_1 + C_2 \\[2.0ex]&= 3.0 + 6.0 \\[2.0ex]&= 9.0 \, [\mu\text{F}]\end{aligned}
$$ - 直列接続の合成容量 \(C_B\) の計算
式②に \(C_1 = 3.0 \, \mu\text{F}\), \(C_2 = 6.0 \, \mu\text{F}\) を代入します。
$$
\begin{aligned}
\frac{1}{C_B} &= \frac{1}{C_1} + \frac{1}{C_2} \\[2.0ex]&= \frac{1}{3.0} + \frac{1}{6.0} \\[2.0ex]&= \frac{2}{6.0} + \frac{1}{6.0} \\[2.0ex]&= \frac{3}{6.0} \\[2.0ex]&= \frac{1}{2.0}
\end{aligned}
$$
最後に両辺の逆数をとることを忘れないように注意してください。
$$ C_B = 2.0 \, [\mu\text{F}] $$
コンデンサーを複数つなぐとき、その全体の能力(合成容量)がどうなるかを考える問題です。
- 並列接続(横に並べてつなぐ)
これは、電気をためるバケツを横に並べるようなものです。ためられる電気の総量は、単純にそれぞれのバケツの容量を足し算すればよいので、合成容量は \(3.0 + 6.0 = 9.0 \, \mu\text{F}\) となります。 - 直列接続(縦に数珠つなぎにする)
これは少し特殊なつなぎ方で、全体の能力はもとのどのバケツよりも小さくなってしまいます。計算も「逆数の足し算」という特別な方法を使います。\(\displaystyle\frac{1}{3.0}\) と \(\displaystyle\frac{1}{6.0}\) を足すと \(\displaystyle\frac{1}{2.0}\) になるので、もとに戻すと合成容量は \(2.0 \, \mu\text{F}\) となります。これは、もとの \(3.0 \, \mu\text{F}\) よりも小さい値です。
5 コンデンサーに蓄えられるエネルギー
【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド
この問題のテーマは「コンデンサーに蓄えられる静電エネルギーの計算」です。
問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。
- コンデンサーの静電エネルギーの公式(3つの表現)
- コンデンサーの基本公式 \(Q=CV\)
- 電気容量 \(C\)、電圧 \(V\)、電気量 \(Q\)、静電エネルギー \(U\) の単位
- 単位の接頭語 \(\mu\) (マイクロ) の意味
基本的なアプローチは以下の通りです。
- 問題文から電気容量 \(C\) と電圧 \(V\) の値を読み取る。
- 電気容量の単位を \(\mu\text{F}\) から \(\text{F}\) に変換する。
- 静電エネルギーの公式の中から、与えられた物理量(\(C\) と \(V\))で直接計算できる \(U = \displaystyle\frac{1}{2}CV^2\) を選択する。
- 公式に値を代入して、静電エネルギー \(U\) を計算する。
思考の道筋とポイント
コンデンサーを充電すると、その内部の電場にエネルギーが蓄えられます。これを「静電エネルギー」と呼びます。静電エネルギーを求める公式は、電気容量 \(C\)、電圧 \(V\)、電気量 \(Q\) を用いて3通りの形で表すことができます。どの公式を使っても同じ結果が得られますが、問題で与えられている物理量に応じて最も計算が簡単な公式を選択することが重要です。
この問題では電気容量 \(C\) と電圧 \(V\) が与えられているため、\(U = \displaystyle\frac{1}{2}CV^2\) を用いるのが最も直接的です。計算の際には、電気容量の単位を基本単位であるファラド [F] に直すことを忘れないようにしましょう。
この設問における重要なポイント
- コンデンサーの静電エネルギー \(U\) [J] の公式には、以下の3つの形があります。これらは \(Q=CV\) の関係式を使って互いに変形できます。
- \(C\) と \(V\) が分かっているとき: \(U = \displaystyle\frac{1}{2}CV^2\)
- \(Q\) と \(V\) が分かっているとき: \(U = \displaystyle\frac{1}{2}QV\)
- \(Q\) と \(C\) が分かっているとき: \(U = \displaystyle\frac{Q^2}{2C}\)
- 単位の接頭語: \(\mu\) (マイクロ) は \(10^{-6}\) を意味します。\(1 \, \mu\text{F} = 1 \times 10^{-6} \, \text{F}\) です。
具体的な解説と立式
コンデンサーに蓄えられる静電エネルギー \(U\) を求めます。
問題文より、電気容量 \(C\) は \(2.0 \, \mu\text{F}\)、電圧 \(V\) は \(50 \, \text{V}\) です。
まず、電気容量 \(C\) の単位を \(\mu\text{F}\) から \(\text{F}\) に変換します。
$$ C = 2.0 \, \mu\text{F} = 2.0 \times 10^{-6} \, \text{F} $$
静電エネルギーを求める3つの公式のうち、\(C\) と \(V\) が与えられているので、\(U = \displaystyle\frac{1}{2}CV^2\) を使用するのが最も適切です。
$$ U = \frac{1}{2}CV^2 $$
この式に、上記の値を代入する準備ができました。
- コンデンサーの静電エネルギー: \(U = \displaystyle\frac{1}{2}CV^2\)
- \(U\): 静電エネルギー [J]
- \(C\): 電気容量 [F]
- \(V\): 電圧 [V]
「具体的な解説と立式」で準備した式と値を用いて、静電エネルギー \(U\) を計算します。
$$
\begin{aligned}
U &= \frac{1}{2}CV^2 \\[2.0ex]&= \frac{1}{2} \times (2.0 \times 10^{-6}) \times 50^2 \\[2.0ex]&= \frac{1}{2} \times (2.0 \times 10^{-6}) \times 2500 \\[2.0ex]&= 1.0 \times 10^{-6} \times (2.5 \times 10^3) \\[2.0ex]&= 2.5 \times 10^{-6+3} \\[2.0ex]&= 2.5 \times 10^{-3} \, [\text{J}]\end{aligned}
$$
したがって、コンデンサーに蓄えられる静電エネルギーは \(2.5 \times 10^{-3} \, \text{J}\) です。
コンデンサーに電気をためる(充電する)ということは、コンデンサーにエネルギーを蓄えるということです。この蓄えられたエネルギーを「静電エネルギー」と呼びます。
そのエネルギーの量は、コンデンサーの性能(電気容量 \(C\))と、どれくらいの勢いで充電したか(電圧 \(V\))で決まります。
公式 \(U = \displaystyle\frac{1}{2}CV^2\) は、その関係を表しています。
この問題では、\(C = 2.0 \, \mu\text{F}\)、\(V = 50 \, \text{V}\) と分かっているので、これらの値を公式に当てはめるだけで答えが計算できます。ただし、計算前に単位を \(\mu\text{F}\) から \(\text{F}\) に直すのを忘れないようにしましょう。
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