基礎CHECK
1 ヤングの実験
【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド
この問題のテーマは「ヤングの実験における光の干渉条件の理解」です。
問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。
- 波の干渉: 2つの波が重なり合い、強め合ったり弱め合ったりする現象。
- 経路差: 2つの波源から観測点までの距離の差。
- 干渉条件(明線): 経路差が波長の整数倍になるとき、波は強め合う。
- 干渉次数(\(m\)): 経路差が波長の何倍かを示す整数。
基本的なアプローチは以下の通りです。
- ヤングの実験における明線の条件式を思い出す。
- 問題で問われている「中央の明線の隣の明線」が、干渉次数 \(m\) のどの値に対応するかを特定する。
- 条件式に \(m\) の値を代入し、経路差を求める。
思考の道筋とポイント
ヤングの実験は、光の波動性を示す代表的な現象です。2つのスリット \(S_1\), \(S_2\) を通過した光が、スクリーン上の点 \(P\) で干渉し、明暗の縞模様を作ります。この問題では、特に「明線」ができる条件、すなわち光が強め合う条件が問われています。中央の明線(\(m=0\))を基準として、その隣の明線(\(m=1\))の経路差を考えることがポイントです。
この設問における重要なポイント
- 経路差: 2つの波源 \(S_1\), \(S_2\) からスクリーン上の点 \(P\) までの距離の差、すなわち \(|PS_1 – PS_2|\) を指します。
- 明線の条件(強め合い): 経路差が波長 \(\lambda\) の整数倍になるときに起こります。数式で表すと \(|PS_1 – PS_2| = m\lambda\) となります。ここで \(m\) は \(0, 1, 2, \dots\) という整数で、「干渉次数」と呼ばれます。
- 暗線の条件(弱め合い): 経路差が波長の半整数倍 \((m + \displaystyle\frac{1}{2})\lambda\) になるときに起こります。
- 中央の明線: 経路差が0、すなわち \(m=0\) に対応する明線です。スリットから等距離にあるスクリーンの中央に現れます。
- 隣の明線: 中央の明線(\(m=0\))から数えて、次に現れる明線は \(m=1\) に対応します。
具体的な解説と立式
ヤングの実験において、2つのスリット \(S_1\) と \(S_2\) から出た光がスクリーン上の点 \(P\) で干渉し、明線が観測される条件は、2つの光の経路差 \(|PS_1 – PS_2|\) が、光の波長 \(\lambda\) の整数倍になることです。
この条件を数式で表すと以下のようになります。
$$ |PS_1 – PS_2| = m\lambda \quad (m = 0, 1, 2, \dots) $$
ここで、整数 \(m\) は干渉の次数と呼ばれます。
問題では、まず「中央の明線」について考えます。中央の明線は、経路差が \(0\) となる点に現れる最も明るい線であり、これは \(m=0\) の場合に相当します。
次に、その「隣の明線」を考えます。これは中央の明線(\(m=0\))の次に現れる明線なので、干渉次数は \(m=1\) となります。
したがって、求める経路差は、明線の条件式に \(m=1\) を代入することで得られます。
使用した物理公式
- ヤングの実験における明線の条件式: \(|PS_1 – PS_2| = m\lambda\) (ここで \(m=0, 1, 2, \dots\))
「具体的な解説と立式」で述べた通り、中央の明線の隣の明線は、干渉次数 \(m=1\) に対応します。
明線の条件式 \(|PS_1 – PS_2| = m\lambda\) に \(m=1\) を代入します。
$$
\begin{aligned}
|PS_1 – PS_2| &= 1 \times \lambda \\[2.0ex]&= \lambda
\end{aligned}
$$
したがって、経路差 \(|PS_1 – PS_2|\) は \(\lambda\) となります。
これは、波長 \(\lambda\) の1倍です。
光を波だと考えてみましょう。2つのすき間(スリット)から出た波が、スクリーンに届きます。
2つの波が「山と山」または「谷と谷」でぴったり重なると、とても明るい「明線」ができます。これが「強め合い」です。
「中央の明線」は、2つのすき間からスクリーン中央までの距離が全く同じなので、波がずれることなく重なり、一番明るくなる場所です(ズレが0、つまり経路差が0)。
「隣の明線」は、ちょうど波1つ分だけズレて(経路差が波長\(\lambda\)の1倍)、再び「山と山」が重なる場所です。
問題で聞かれているのは、この「隣の明線」での波のズレ(経路差)が、波長(\(\lambda\))の何倍かということです。答えは、ちょうど1つ分ズレているので「1倍」となります。
2 回折格子
【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド
この問題のテーマは「回折格子による光の干渉と、その条件式を用いた波長の計算」です。
問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。
- 回折格子の原理: 多数の微細なスリットによる光の回折と干渉。
- 経路差の計算: 隣り合うスリットを通過する光が進む距離の差。
- 回折格子における明線の条件式: \(d\sin\theta = m\lambda\)。
- 三角関数の基本的な値の理解(\(\sin 30^\circ\))。
基本的なアプローチは以下の通りです。
- 問題文から、格子定数 \(d\)、回折角 \(\theta\)、干渉の次数 \(m\) を正確に読み取る。
- 回折格子の明線(強め合い)の条件式を立てる。
- 条件式に与えられた数値を代入し、未知数である波長 \(\lambda\) について解く。
思考の道筋とポイント
回折格子は、ヤングの実験で用いた複スリット(2つのスリット)を、非常に多数(数千〜数万本/cm)並べたものと考えることができます。各スリットを通過した光が互いに干渉し合うことで、特定の方向にだけ非常にシャープで明るい明線が観測されます。この問題は、その明線が観測される条件を正しく理解し、公式に数値を当てはめることができるかを問う、基本的な計算問題です。
この設問における重要なポイント
- 回折格子: ガラス板などの表面に、1cmあたり数百〜数千本といった多数の平行な溝を等間隔で刻んだ光学素子。溝と溝の間隔を格子定数 \(d\) といいます。
- 経路差: 回折格子に垂直に光を入射したとき、隣り合うスリットから角度 \(\theta\) の方向へ進む光の経路差は \(d\sin\theta\) で与えられます。
- 明線の条件: 経路差 \(d\sin\theta\) が、光の波長 \(\lambda\) の整数 \(m\) 倍になるとき、すべてのスリットからの光が強め合います。この条件式が \(d\sin\theta = m\lambda\) です。
- 次数 \(m\): \(m=0, 1, 2, \dots\) の整数で、\(m=0\) は正面方向(\(\theta=0\))の明線(0次光)、\(m=1\) はその隣の明線(1次光)、\(m=2\) はさらにその隣の明線(2次光)を意味します。
具体的な解説と立式
回折格子に格子定数 \(d\) の面に垂直に波長 \(\lambda\) の光を入射させると、各スリットで回折した光が、遠方で干渉します。
入射方向に対して角度 \(\theta\) の方向にできる明線の条件は、隣り合うスリットを通過した光の経路差 \(d\sin\theta\) が、波長 \(\lambda\) の整数 \(m\) 倍になることです。
したがって、明線の条件式は次のように表されます。
$$ d\sin\theta = m\lambda \quad (m = 0, 1, 2, \dots) $$
問題文で与えられている値は以下の通りです。
- 格子定数: \(d = 2.0 \times 10^{-6} \, \text{m}\)
- 明線の次数: \(m = 2\)
- 回折角: \(\theta = 30^\circ\)
これらの値を明線の条件式に代入して、波長 \(\lambda\) を求めるための方程式を立てます。
$$ (2.0 \times 10^{-6}) \times \sin 30^\circ = 2 \times \lambda $$
使用した物理公式
- 回折格子の明線条件: \(d\sin\theta = m\lambda\) (ここで \(m=0, 1, 2, \dots\))
「具体的な解説と立式」で立てた方程式を、波長 \(\lambda\) について解きます。
$$ (2.0 \times 10^{-6}) \times \sin 30^\circ = 2\lambda $$
ここで、\(\sin 30^\circ = \displaystyle\frac{1}{2} = 0.5\) であることを利用します。
$$
\begin{aligned}
2\lambda &= (2.0 \times 10^{-6}) \times \sin 30^\circ \\[2.0ex]2\lambda &= (2.0 \times 10^{-6}) \times 0.5 \\[2.0ex]2\lambda &= 1.0 \times 10^{-6} \\[2.0ex]\lambda &= \frac{1.0 \times 10^{-6}}{2} \\[2.0ex]\lambda &= 0.50 \times 10^{-6} \\[2.0ex]\lambda &= 5.0 \times 10^{-7} \, (\text{m})
\end{aligned}
$$
問題文の数値が有効数字2桁(\(2.0\))で与えられているため、答えも有効数字2桁で \(5.0 \times 10^{-7} \, \text{m}\) とします。
「回折格子」は、CDの記録面のように、たくさんの細い溝が規則正しく並んだものです。これにレーザーポインターのような単一の色の光を当てると、光が虹のように分かれて、特定の場所に明るい点が現れます。
この明るい点(明線)ができるのは、たくさんの溝から出てきた光の波が、その場所でちょうどピッタリ重なり合って強め合うからです。
「どのくらいズレたら強め合うか」は、公式 \(d\sin\theta = m\lambda\) で決まっています。
- \(d\): 溝と溝の間隔
- \(\theta\): 光が進む角度
- \(m\): 何番目の明るい点か(今回は2番目なので \(m=2\))
- \(\lambda\): 光の波の長さ(波長)
この問題では、\(d\), \(\theta\), \(m\) が分かっているので、この公式を使って、光の波長 \(\lambda\) を計算することができます。
3 光路長
【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド
この問題のテーマは「光路長の定義と物理的意味の理解」です。
問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。
- 屈折率の定義: 真空中の光速と媒質中の光速の比。
- 光の速さと媒質の関係: 光は真空中が最も速く、屈折率 \(n\) の媒質中では \(\displaystyle\frac{1}{n}\) 倍になる。
- 光路長の定義: 媒質中を光が進むのにかかる時間と同じ時間で、真空中を進むことができる距離。
- 「距離 = 速さ × 時間」の基本的な関係。
基本的なアプローチは以下の通りです。
- まず、屈折率 \(n\) のガラス中を光が進む速さを求める。
- 次に、ガラス中を距離 \(d\) 進むのにかかる時間を計算する。
- 最後に、その時間を使って、真空中を光が進む距離を計算する。
思考の道筋とポイント
光がガラスのような媒質の中を進むとき、真空中よりも速度が遅くなります。「光路長」という概念は、この速度の違いを補正し、異なる媒質を進む光を「もし真空中だったらどれだけの距離に相当するか」という共通のモノサシで比較するために導入されました。この問題は、まさに光路長の定義そのものを導出するプロセスを問うています。「同じ時間」という条件が鍵となります。
この設問における重要なポイント
- 真空中の光速を \(c\) とします。
- 屈折率 \(n\) の媒質中での光速 \(v\) は、\(v = \displaystyle\frac{c}{n}\) となります。光速は \(\displaystyle\frac{1}{n}\) 倍に遅くなります。
- 光路長 \(L\) は、媒質中の幾何学的な距離 \(d\) を進む光と、同じ時間で真空中を進む光の距離として定義されます。
- 結果として、光路長 \(L\) は \(L = nd\) と計算されます。これは、光にとっての「見かけの距離」や「光学的な距離」とも解釈できます。
具体的な解説と立式
真空中の光速を \(c\) とします。
屈折率 \(n\) のガラス中での光の速さ \(v\) は、屈折率の定義から次のように表されます。
$$ v = \frac{c}{n} \quad \cdots ① $$
このガラス中を距離 \(d\) だけ進むのにかかる時間 \(t\) は、「時間 = 距離 ÷ 速さ」の関係から、
$$ t = \frac{d}{v} \quad \cdots ② $$
問題で問われているのは、「この時間 \(t\) の間に、真空中を光が進む距離」です。この距離を \(L\) とすると、「距離 = 速さ × 時間」の関係から、
$$ L = c \times t \quad \cdots ③ $$
この \(L\) が、まさに光路長の定義そのものです。
使用した物理公式
- 屈折率と光速の関係: \(v = \displaystyle\frac{c}{n}\)
- 光路長の定義: \(L = nd\)
- 等速直線運動: 距離 = 速さ × 時間
「具体的な解説と立式」で立てた式を組み合わせて \(L\) を求めます。
まず、式②に式①を代入して、時間 \(t\) を \(c\), \(n\), \(d\) で表します。
$$
\begin{aligned}
t &= \frac{d}{v} \\[2.0ex]&= \frac{d}{\frac{c}{n}} \\[2.0ex]&= \frac{nd}{c} \quad \cdots ④
\end{aligned}
$$
次に、この結果(式④)を式③に代入して、求める距離 \(L\) を計算します。
$$
\begin{aligned}
L &= c \times t \\[2.0ex]&= c \times \frac{nd}{c} \\[2.0ex]&= nd
\end{aligned}
$$
したがって、求める距離は \(nd\) となります。
光は、水中やガラスの中では、空気中(真空中)よりも進むのが遅くなります。屈折率 \(n\) のガラスの中では、光の速さは \(\displaystyle\frac{1}{n}\) になります。
例えば、屈折率が2のガラスなら、光の速さは半分になります。
このガラスの中を \(d\) メートル進むのにかかった時間で、もし邪魔のない真空中を走っていたら、もっと長い距離を進めたはずです。
速さが半分になる場所を \(d\) メートル進む時間があれば、真空中ではその2倍の \(2d\) メートル進めますよね。
一般的に、屈折率 \(n\) のガラスの中を \(d\) メートル進む時間があれば、真空中ではその \(n\) 倍の \(nd\) メートル進むことができます。この \(nd\) という距離を「光路長」と呼びます。
4 薄膜に入射する単色光
【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド
この問題のテーマは「薄膜による光の干渉における、経路差、光路差、反射時の位相変化の理解」です。
問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。
- 経路差と光路差の関係。
- 光の反射における位相変化のルール(自由端反射と固定端反射)。
- 屈折率の大小関係と反射の種類。
- 垂直入射の場合の経路差の計算。
基本的なアプローチは以下の通りです。
- 図から、光Iと光IIが実際に進む距離の差(経路差)を求める。
- 経路差に薄膜の屈折率を掛けて、光路差を計算する。
- 光Iと光IIがそれぞれどの境界面で反射するかを確認する。
- 各反射が「屈折率 小→大」か「屈折率 大→小」かを判断し、位相変化の有無を決定する。
思考の道筋とポイント
シャボン玉や水面に浮いた油膜が虹色に見えるのは、薄膜の表面で反射する光と裏面で反射する光が干渉するために起こる現象です。この問題は、その干渉の基本原理を問うています。
2つの光(光Iと光II)が干渉して強め合ったり弱め合ったりする条件を考えるには、それらの「位相差」を正確に求める必要があります。位相差は「光路差による位相のずれ」と「反射による位相の変化」という2つの要因で決まります。この問題では、その両方の要因を正しく評価することが求められます。
この設問における重要なポイント
- 経路差: 光IIは薄膜の中を厚さ \(d\) の距離を往復します。一方、光Iは薄膜の表面で反射するだけなので、その間に進む距離は0とみなせます。したがって、2つの光が実際に進む幾何学的な距離の差は \(2d\) となります。
- 光路差: 上記で求めた経路差は、屈折率 \(n\) の薄膜の中で生じています。光にとっての「光学的な距離」である光路差に換算するには、経路差に屈折率 \(n\) を掛けます。したがって、光路差は \(2nd\) となります。
- 反射と位相変化: 光が異なる屈折率の媒質の境界面で反射するとき、位相が変化することがあります。
- 固定端反射: 屈折率が小さい媒質から大きい媒質へ進む光が境界面で反射する場合です(例:空気→ガラス)。このとき、位相が \(\pi\) ずれます(波の山と谷が反転します)。
- 自由端反射: 屈折率が大きい媒質から小さい媒質へ進む光が境界面で反射する場合です(例:ガラス→空気)。このとき、位相は変化しません。
- 空気の屈折率: 問題文に特に記述がない場合、空気の屈折率は \(1\) と考えて計算します。
具体的な解説と立式
この問題は「経路差・光路差」と「位相の変化」の2つのパートに分けて考えます。
- 経路差と光路差について
- 光Iは、空気と薄膜の境界面(表面)で反射します。
- 光IIは、薄膜の内部に入り、厚さ \(d\) を進んで裏面に到達し、反射して再び厚さ \(d\) を進んで表面から空気中に出てきます。
- 光は薄膜に垂直に入射しているので、光IIが薄膜内を往復する距離は単純な足し算で \(d + d = 2d\) となります。これが光Iと光IIの経路差です。
- この経路差 \(2d\) は、屈折率 \(n\) の媒質内で生じています。したがって、これを真空中の距離に相当する光路差に換算するには、経路差に屈折率 \(n\) を掛けます。
$$ \text{光路差} = \text{屈折率} \times \text{経路差} = n \times (2d) = 2nd $$
- 位相の変化について
- 光Iの反射: 薄膜の表面で起こります。これは空気(屈折率 \(n_{\text{空気}} \approx 1\))から薄膜(屈折率 \(n\))へ向かう光の反射です。問題の状況から \(n > 1\) なので、これは「屈折率 小 → 大」の境界面での反射となります。したがって、これは固定端反射に相当し、位相が \(\pi\) ずれます(半波長分変化します)。
- 光IIの反射: 薄膜の裏面で起こります。これは薄膜(屈折率 \(n\))から空気(屈折率 \(n_{\text{空気}} \approx 1\))へ向かう光の反射です。これは「屈折率 大 → 小」の境界面での反射となります。したがって、これは自由端反射に相当し、位相は変化しません。
使用した物理公式
- 光路長 = 屈折率 × 距離
- 反射における位相変化のルール:
- 屈折率 (小) → (大) の境界面での反射: 位相が \(\pi\) ずれる (固定端反射)
- 屈折率 (大) → (小) の境界面での反射: 位相は変化しない (自由端反射)
この問題は概念の理解を問うものであり、具体的な数値計算はありません。「具体的な解説と立式」で述べた考察がそのまま計算過程となります。
- 経路差: \(d + d = 2d\)
- 光路差: \(n \times (2d) = 2nd\)
- 光Iの位相変化: 空気(\(n_{\text{空気}} \approx 1\)) → 薄膜(\(n\)) での反射。\(n > 1\) より、小→大の反射なので、位相は \(\pi\) ずれる。
- 光IIの位相変化: 薄膜(\(n\)) → 空気(\(n_{\text{空気}} \approx 1\)) での反射。\(n > 1\) より、大→小の反射なので、位相は変化しない。
シャボン玉が虹色に見えるのと同じ現象について考えてみましょう。光はシャボン玉の膜の「表」で跳ね返る光(光I)と、「裏」まで行ってから跳ね返ってくる光(光II)の2つに分かれます。
- 経路差と光路差:
- 「経路差」は、光IIが光Iよりもどれだけ余分に走ったか、という実際の距離です。膜の厚さが \(d\) なので、行って帰ってくる分、つまり \(2d\) だけ多く走ります。
- 「光路差」は、この「膜の中の \(2d\)」という道のりが、「もし邪魔のない真空中だったら、どれくらいの距離に相当するか」という考え方です。膜の中は光にとって進みにくい(速度が遅くなる)ので、その「進みにくさ」の度合いである屈折率 \(n\) を掛け算します。だから光路差は \(2nd\) となります。
- 位相の変化:
- 光が物にぶつかって反射するとき、波の形(山と谷)がひっくり返るかどうかが重要です。
- 光I:空気(進みやすい場所)から膜(進みにくい場所)にぶつかって反射するので、波がひっくり返ります(位相が \(\pi\) ずれる)。これは、硬い壁にボールをぶつけると勢いよく逆向きに跳ね返ってくるイメージです(固定端反射)。
- 光II:膜(進みにくい場所)から空気(進みやすい場所)にぶつかって反射するので、波はひっくり返りません(位相は変化しない)。これは、ロープの端が自由に動ける状態で揺らしたとき、波がそのままの形で返ってくるイメージです(自由端反射)。
光Iの反射による位相の変化:位相が \(\pi\) ずれる(半波長分変化する)
光IIの反射による位相の変化:位相は変化しない
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