無料でしっかり基礎固め!高校物理 問題演習「コンデンサーの直列接続と並列接続」【高校物理対応】

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electromagnetic#18

各設問の思考プロセス

この問題は、コンデンサーの2つの基本的な接続方法、「直列接続」と「並列接続」について、合成容量と蓄えられる電気量を計算する問題です。それぞれの接続方法に関する公式を正しく理解し、使い分けることができれば解くことができます。

この問題を解く上で中心となる物理法則は以下の通りです。

  • コンデンサーの直列接続: 合成容量\(C_{\text{直列}}\)の逆数が、各電気容量の逆数の和に等しくなります。
    $$\frac{1}{C_{\text{直列}}} = \frac{1}{C_1} + \frac{1}{C_2}$$
  • コンデンサーの並列接続: 合成容量\(C_{\text{並列}}\)は、各電気容量の和に等しくなります。
    $$C_{\text{並列}} = C_1 + C_2$$
  • コンデンサーの基本式: 電気量\(Q\)、電気容量\(C\)、電圧\(V\)の間には \(Q=CV\) の関係が成り立ちます。

思考の手順:

  1. (1) 合成容量の計算: まず、直列接続と並列接続の公式に、与えられた\(C_1\)と\(C_2\)の値をそれぞれ代入して、合成容量を計算します。直列接続の場合は、逆数の計算をした後、最後に全体の逆数をとることを忘れないようにします。
  2. (2) 全電気量の計算: (1)で求めた合成容量を、それぞれ一つのコンデンサーと見なします。そのコンデンサーに6.0Vの電圧がかかったと考えて、基本式 \(Q=CV\) を適用し、蓄えられる全電気量を求めます。

各設問の具体的な解説と解答

(1) 合成容量をそれぞれ求めよ。

問われている内容の明確化
\(C_1 = 3.0 \, \mu\text{F}\) と \(C_2 = 2.0 \, \mu\text{F}\) のコンデンサーを、直列接続および並列接続したときの合成容量を求めます。

具体的な解説と立式
直列接続の場合
合成容量を \(C_{\text{直列}}\) とすると、公式は以下の通りです。
$$\frac{1}{C_{\text{直列}}} = \frac{1}{C_1} + \frac{1}{C_2} \quad \cdots ①$$

並列接続の場合
合成容量を \(C_{\text{並列}}\) とすると、公式は以下の通りです。
$$C_{\text{並列}} = C_1 + C_2 \quad \cdots ②$$

使用した物理公式:

  • 直列接続: \(\displaystyle\frac{1}{C_{\text{直列}}} = \frac{1}{C_1} + \frac{1}{C_2}\)
  • 並列接続: \(C_{\text{並列}} = C_1 + C_2\)

計算過程
直列接続
式①に \(C_1 = 3.0\), \(C_2 = 2.0\) を代入します。(単位の\(\mu\text{F}\)は最後につけます)
$$
\begin{aligned}
\frac{1}{C_{\text{直列}}} &= \frac{1}{3.0} + \frac{1}{2.0} \\[2.0ex]&= \frac{2.0}{6.0} + \frac{3.0}{6.0} \\[2.0ex]&= \frac{5.0}{6.0}
\end{aligned}
$$
最後に、これを逆数にして \(C_{\text{直列}}\) を求めます。
$$
\begin{aligned}
C_{\text{直列}} &= \frac{6.0}{5.0} \\[2.0ex]&= 1.2 \, (\mu\text{F})
\end{aligned}
$$

並列接続
式②に値を代入します。
$$
\begin{aligned}
C_{\text{並列}} &= 3.0 \, \mu\text{F} + 2.0 \, \mu\text{F} \\[2.0ex]&= 5.0 \, \mu\text{F}
\end{aligned}
$$

計算方法の平易な説明

  • 直列接続: 逆数を足し合わせます。「1/3 + 1/2」を計算すると「5/6」になります。これはまだ「1/C」なので、答えにするには逆数の「6/5 = 1.2」とします。
  • 並列接続: 単純に足し合わせるだけです。「3.0 + 2.0」を計算して「5.0」となります。

この設問における重要なポイント

  • コンデンサーの直列接続と並列接続の合成容量の公式を正しく使い分けること。
  • 直列接続の計算では、最後に逆数をとるのを忘れないこと。
解答 (1):
直列接続: \(1.2 \, \mu\text{F}\)
並列接続: \(5.0 \, \mu\text{F}\)

(2) それぞれの場合にたくわえられる全電気量を求めよ。

問われている内容の明確化
(1)の直列接続、並列接続のそれぞれに \(V = 6.0 \, \text{V}\) の電圧を加えたときに、全体として蓄えられる電気量 \(Q\) を求めます。

具体的な解説と立式
コンデンサーの基本式 \(Q=CV\) を、(1)で求めた合成容量に対して適用します。

直列接続の場合
全電気量を \(Q_{\text{直列}}\) とすると、
$$Q_{\text{直列}} = C_{\text{直列}} V \quad \cdots ③$$
となります。

並列接続の場合
全電気量を \(Q_{\text{並列}}\) とすると、
$$Q_{\text{並列}} = C_{\text{並列}} V \quad \cdots ④$$
となります。

使用した物理公式: コンデンサーの基本式
$$Q=CV$$

計算過程
直列接続
式③に、\(C_{\text{直列}} = 1.2 \, \mu\text{F}\) と \(V = 6.0 \, \text{V}\) を代入します。
$$
\begin{aligned}
Q_{\text{直列}} &= (1.2 \, \mu\text{F}) \times (6.0 \, \text{V}) \\[2.0ex]&= 7.2 \, \mu\text{C}
\end{aligned}
$$

並列接続
式④に、\(C_{\text{並列}} = 5.0 \, \mu\text{F}\) と \(V = 6.0 \, \text{V}\) を代入します。
$$
\begin{aligned}
Q_{\text{並列}} &= (5.0 \, \mu\text{F}) \times (6.0 \, \text{V}) \\[2.0ex]&= 30 \, \mu\text{C}
\end{aligned}
$$

計算方法の平易な説明

  • (1)で計算した合成容量を、ただ一つのコンデンサーだと考えます。
  • そのコンデンサーに6.0Vの電圧をかけるので、電気量を求める基本公式「\(Q=CV\)」に代入するだけです。
  • 直列の場合: \(Q = (1.2 \, \mu\text{F}) \times (6.0 \, \text{V}) = 7.2 \, \mu\text{C}\)。
  • 並列の場合: \(Q = (5.0 \, \mu\text{F}) \times (6.0 \, \text{V}) = 30 \, \mu\text{C}\)。

この設問における重要なポイント

  • 合成容量を一つの大きなコンデンサーと見なして、\(Q=CV\)を適用すること。
  • 電気容量の単位が \(\mu\text{F}\) (マイクロファラド) のとき、計算される電気量の単位は \(\mu\text{C}\) (マイクロクーロン) になることを理解していること。
解答 (2):
直列接続: \(7.2 \, \mu\text{C}\)
並列接続: \(30 \, \mu\text{C}\)

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問題全体を通して理解しておくべき重要な物理概念や法則

  • コンデンサーの合成容量:
    • 直列接続: 電気容量の逆数の和。合成容量は、個々のどのコンデンサーよりも小さくなる。(\(\frac{1}{C} = \frac{1}{C_1}+\frac{1}{C_2}\))
    • 並列接続: 電気容量の単純な和。合成容量は、個々のどのコンデンサーよりも大きくなる。(\(C = C_1+C_2\))
  • 直列・並列での不変量:
    • 直列: 各コンデンサーを流れる(蓄える)電気量 \(Q\) が等しい
    • 並列: 各コンデンサーにかかる電圧 \(V\) が等しい
  • 抵抗との比較: コンデンサーの合成容量の公式は、抵抗の合成抵抗の公式とちょうど逆の形(直列と並列が入れ替わった形)をしている。この対比を意識すると覚えやすい。

類似の問題を解く上でのヒントや注意点

  • 公式の確実な暗記: コンデンサーの合成容量の公式は、電磁気学の基本です。どちらが逆数でどちらが和なのか、混同しないように確実に覚えましょう。
  • 単位の扱い: \(\mu\) (マイクロ, \(10^{-6}\)) や p (ピコ, \(10^{-12}\)) といった接頭辞の扱いに慣れましょう。この問題のように、最終的な答えも \(\mu\) を使ってよい場合は、計算の途中で \(10^{-6}\) に直さず、\(\mu\) をつけたまま計算すると楽な場合があります。
  • 図を描いて考える: 複雑な回路になった場合でも、どの部分が直列でどの部分が並列なのかを図で確認しながら、少しずつ合成していくのが定石です。

よくある誤解や間違いやすいポイント

  • 直列と並列の公式の混同: 最も多いミスです。抵抗の場合と逆、と覚えておきましょう。
  • 直列計算での逆数忘れ: \(\frac{1}{C} = \frac{5.0}{6.0}\) と計算したあと、答えを \(\frac{5.0}{6.0}\) のままにしてしまうミス。必ず最後に逆数をとって \(C = \frac{6.0}{5.0}\) とする必要があります。
  • (2)で各コンデンサーの電気量を個別に計算して足そうとする:
    • 並列接続の場合は、\(Q_1=C_1V\), \(Q_2=C_2V\) なので \(Q_{\text{全}} = Q_1+Q_2 = (C_1+C_2)V = C_{\text{並列}}V\) となり、結果的に同じですが、
    • 直列接続の場合は、各コンデンサーにかかる電圧が異なる(\(V_1, V_2\) に分圧される)ため、この方法では計算が複雑になります。合成容量を一つのかたまりとして考える方がずっと簡単です。

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