無料でしっかり基礎固め!物理基礎 問題演習「波の干渉(合成波の振幅・波長・振動数)」【高校物理対応】

問題の確認

wave#05

各設問の思考プロセス

この問題は、2つの同一の波が干渉することによって生じる合成波の特性から、元の波のパラメータ(振幅、波長、振動数)を推定するものです。

  1. 振動数の決定:
    • 波が干渉(重ね合わせ)を起こしても、その振動数は変化しません。したがって、観測された合成波の振動数が、元の各波の振動数と等しくなります。
  2. 振幅の決定:
    • 合成波の振幅が最大になるのは、2つの波が強め合う(同位相で重なる)ときです。
    • 元の波の振幅を \(A_0\) とすると、2つの波の振幅が等しいため、最大振幅 \(Y\) は \(A_0 + A_0 = 2A_0\) となります。この関係から \(A_0\) を求めます。
  3. 波長の決定:
    • 「\(x \, \text{[m]}\) おきに最大振幅が見られた」という記述は、干渉によって強め合いの点(いわゆる「腹」)が周期的に現れることを示しています。
    • 2つの同一の波が干渉して定常波のようなパターンを作るとき、隣り合う腹と腹の間隔は、元の波の波長の半分 (\(\lambda/2\)) になります。したがって、この間隔 \(x\) と波長 \(\lambda\) の関係から \(\lambda\) を求めます。

各設問の具体的な解説と解答

問われている内容の明確化:
点Aおよび点Bから出ている元の波の「振幅」「波長」「振動数」を求めます。

具体的な解説と計算手順:

1. 元の波の振動数:
合成波の振動数が \(f \, \text{[Hz]}\) と観測されているため、元の波の振動数もこれと等しくなります。波の干渉では振動数は変化しません。

物理的原理: 重ね合わせの原理

波が重なり合うとき、合成波の振動数は元の波の振動数と同じです。

したがって、A, Bから出ている波の振動数は、

振動数: \(f \, \text{[Hz]}\)

2. 元の波の振幅:
最大振幅 \(Y \, \text{[m]}\) が観測されるのは、2つの波が同位相で重なり強め合うときです。元の波の振幅を \(A_0\) とすると、AとBから出る波の振幅は等しいので、
$$Y = A_0 + A_0 = 2A_0$$
これを \(A_0\) について解くと、
$$A_0 = \frac{Y}{2}$$

物理的原理: 波の強め合い(建設的干渉)

振幅が等しい (\(A_0\)) 2つの波が同位相で重なると、合成波の振幅は \(2A_0\) となります。

したがって、A, Bから出ている波の振幅は、

振幅: \(\displaystyle \frac{Y}{2} \, \text{[m]}\)

3. 元の波の波長:
「\(x \, \text{[m]}\) おきに最大振幅 \(Y \, \text{[m]}\) の波が見られた」とは、強め合いの点(腹)が \(x \, \text{[m]}\) の間隔で規則正しく並んでいることを意味します。
2つの同じ波が干渉してできる定常波や、それに類する干渉パターンでは、隣り合う腹と腹の間隔は元の波の波長の半分 (\(\lambda/2\)) です。
したがって、観測された間隔 \(x\) は、
$$x = \frac{\lambda}{2}$$
これを波長 \(\lambda\) について解くと、
$$\lambda = 2x$$

物理的原理: 干渉縞または定常波の腹の間隔

同じ波長 \(\lambda\) の波が干渉して作る強め合いの点(腹)が周期的に並ぶ場合、その間隔は \(\lambda/2\) です。

したがって、A, Bから出ている波の波長は、

波長: \(\lambda = 2x \, \text{[m]}\)

計算方法の平易な説明:

  • 振動数: 波が重なっても、揺れる速さ(振動数)は変わりません。なので、元の波の振動数は観測された合成波の振動数 \(f\) と同じです。
  • 振幅: 一番大きく揺れるところ(最大振幅 \(Y\))は、2つの波が力を合わせて一番強くなったところです。元の波の振幅を \(A_0\) とすると、同じ振幅の波2つが強め合うと \(A_0 + A_0 = 2A_0\) になるので、\(Y = 2A_0\)。つまり、元の振幅 \(A_0\) は \(Y/2\) です。
  • 波長: 大きく揺れる場所が \(x\) メートルごとに現れるというのは、波の「山」と「山」のような強め合いの点が \(x\) メートル離れているということです。このような強め合いの点と点の間の距離は、実は元の波の「波1つ分の長さ(波長 \(\lambda\))」の半分 (\(\lambda/2\)) になっています。なので、\(x = \lambda/2\) という関係から、波長 \(\lambda\) は \(2x\) となります。

この設問における重要なポイント:

  • 干渉における振動数、振幅(強め合い)、波長(腹の間隔)の基本的な関係を理解する。
  • 「\(x \, \text{[m]}\) おきに最大振幅」という表現が、隣り合う強め合いの点の間隔を示していることを読み取る。
解答:
A,Bから出ている波の振幅は \(\displaystyle \frac{Y}{2} \, \text{[m]}\)、波長は \(2x \, \text{[m]}\)、振動数は \(f \, \text{[Hz]}\) である。

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問題全体を通して理解しておくべき重要な物理概念や法則

  • 波の重ね合わせの原理: 複数の波が空間のある点で出会うとき、その点の変位は、個々の波による変位のベクトル和(ここではスカラー和として扱える)になる。
  • 波の干渉: 重ね合わせの結果、波が互いに強め合ったり弱め合ったりする現象。
    • 建設的干渉(強め合い): 波が同位相で重なるときに起こり、振幅が増大する。
    • 破壊的干渉(弱め合い): 波が逆位相で重なるときに起こり、振幅が減少する。
  • 定常波: 振幅、波長、速さが等しい二つの波が互いに逆向きに進んで重なり合うと生じる。空間的に振幅が最大になる点(腹)と全く振動しない点(節)が交互に現れる。隣り合う腹と腹(または節と節)の間隔は半波長 (\(\lambda/2\))。
  • 波の基本量: 振幅、波長 (\(\lambda\))、振動数 (\(f\))、周期 (\(T\))、速さ (\(v\))。これらの間には \(v=f\lambda\)、\(T=1/f\) といった関係がある。

類似の問題を解く上でのヒントや注意点

  • 「おきに」の解釈: 問題文中の「〜おきに」という言葉は、周期的なパターンの「間隔」や「距離」を示していることが多い。
  • 定常波の知識の活用: 二つの波源から出る波の干渉では、定常波の腹や節の概念が役立つことが多い。特に、同位相の波源や逆位相の波源からの干渉を考える場合。
  • 図による理解: 波の干渉の様子は図でイメージすると理解しやすい。強め合いの点や弱め合いの点がどのように分布するかを考える。

よくある誤解や間違いやすいポイント

  • 腹と腹の間隔と波長の関係: 腹と腹(または節と節)の間隔は \(\lambda/2\) である。これを \(\lambda\) と誤解しやすい。腹と隣の節との間隔は \(\lambda/4\)。
  • 振幅の加算: 強め合う場合の最大振幅は、個々の振幅の和となる。位相がずれている場合は、単純な和とはならない。
  • 振動数の変化: 通常の波の重ね合わせ(線形媒質中)では、振動数自体は変化しない。うなりや非線形効果がある場合は別。

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