無料でしっかり基礎固め!物理基礎 問題演習「波の干渉(合成波の振幅・波長・振動数)」【高校物理対応】

今回の問題

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【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド

この問題のテーマは「波の干渉と定常波」です。2つの同一の波が重なり合うことで生じる合成波の性質から、元の波の性質を解き明かします。
問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。

  • 重ね合わせの原理: 複数の波が重なるとき、媒質の変位は各波の変位の和になります。このとき、振動数は変化しません。
  • 波の干渉: 波が重なり合うことで、特定の場所で常に強く振動したり(強め合い)、ほとんど振動しなくなったり(弱め合い)する現象です。
  • 定常波: 振幅や波長が等しい2つの波が逆向きに進んで干渉すると、波形が進んで見えない定常波ができます。振幅が最大になる「腹」と、全く振動しない「節」が交互に並びます。

基本的なアプローチは以下の通りです。

  1. 観測された合成波の振動数、最大振幅、強め合いの間隔が、それぞれ元の波のどの物理量とどう関係しているかを考えます。
  2. 振動数は干渉によって変化しないこと、最大振幅は強め合いの結果であること、強め合いの間隔は元の波長の半分であること、という3つの基本ルールを適用して、元の波の物理量を求めます。

元の波の振幅、波長、振動数を求めよ。

思考の道筋とポイント
この問題は、観測された合成波の特性(最大振幅、振動数、強め合いの間隔)から、元の波の特性(振幅、振動数、波長)を逆算する問題です。波の干渉に関する3つの基本的な物理法則を理解しているかが問われます。それぞれの観測量が、元の波のどの物理量に対応するのかを一つずつ丁寧に対応付けていくことが解法の鍵です。
この設問における重要なポイント

  • 振動数の不変性: 波が干渉しても、合成波の振動数は元の波の振動数と変わらない。
  • 振幅の強め合い: 2つの波が強め合うとき、合成波の振幅は元の波の振幅の和になる。
  • 強め合いの間隔: 干渉によってできる強め合いの点(定常波の「腹」)の間隔は、元の波の波長の半分(\(\lambda/2\))である。

具体的な解説と立式
問題文で与えられた合成波の物理量と、求める元の波の物理量の関係を考えます。元の波の振幅を\(A_0\)、波長を\(\lambda_0\)、振動数を\(f_0\)とします。

1. 振動数
波が重なり合っても、媒質が振動する速さ(振動数)は変わりません。したがって、観測された合成波の振動数\(f\) [Hz]は、元の波の振動数\(f_0\)と等しくなります。
$$ f_0 = f $$

2. 振幅
観測された最大振幅\(Y\) [m]は、2つの波が同位相で重なり、最も強くめ合った点(腹)での振幅です。元の波の振幅は等しく\(A_0\)なので、強め合ったときの振幅は\(A_0 + A_0\)となります。
$$ Y = A_0 + A_0 = 2A_0 $$
これを元の振幅\(A_0\)について解くと、
$$ A_0 = \frac{Y}{2} $$

3. 波長
「\(x\) [m] おきに最大振幅が見られた」という記述は、強め合いの点(腹)が\(x\) [m]の間隔で並んでいることを意味します。定常波において、隣り合う腹と腹の間隔は、元の波の波長\(\lambda_0\)の半分です。
$$ x = \frac{\lambda_0}{2} $$
これを元の波長\(\lambda_0\)について解くと、
$$ \lambda_0 = 2x $$

使用した物理公式

  • 重ね合わせの原理(振動数不変): \(f_{\text{合成}} = f_{\text{元}}\)
  • 強め合いの振幅: \(A_{\text{最大}} = A_1 + A_2\)
  • 定常波の腹の間隔: \(d = \displaystyle\frac{\lambda}{2}\)
計算過程

この問題は文字式で物理法則を適用するものであり、具体的な数値計算はありません。上記の立式がそのまま計算過程となります。

  • 振動数: 観測値 \(f\) がそのまま元の波の振動数となる。
  • 振幅: 観測された最大振幅 \(Y\) を2で割ることで、元の波の振幅 \(\displaystyle\frac{Y}{2}\) が得られる。
  • 波長: 観測された強め合いの間隔 \(x\) を2倍することで、元の波の波長 \(2x\) が得られる。
計算方法の平易な説明

元の波の性質を探る探偵になったと想像してみましょう。

  • 振動数: 波が2つ合わさっても、揺れるリズムは変わりません。だから、観測されたリズム(振動数\(f\))が、そのまま元の波のリズムです。
  • 振幅: 観測された一番大きな揺れ(最大振幅\(Y\))は、2つの波が力を合わせた結果です。同じ力(振幅)の波が2つ合わさって\(Y\)になったので、元の波1つ分の力は半分の\(\displaystyle\frac{Y}{2}\)です。
  • 波長: 大きく揺れる場所が\(x\)メートルごとに現れる、という手がかりがあります。実は、この「大きく揺れる点の間隔」は、元の波の「波1つ分の長さ(波長)」のちょうど半分になるというルールがあります。なので、元の波長は\(x\)の2倍、つまり\(2x\)になります。
結論と吟味

A, Bから出ている元の波の物理量は、振幅が \(\displaystyle\frac{Y}{2}\) [m]、波長が \(2x\) [m]、振動数が \(f\) [Hz] となります。それぞれ、波の干渉における基本的な法則から論理的に導かれた妥当な結果です。

解答 振幅 \(\displaystyle\frac{Y}{2}\) [m], 波長 \(2x\) [m], 振動数 \(f\) [Hz]

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最重要ポイント:この問題の核心となる物理法則は?

  • 波の干渉の基本法則:
    • 核心: この問題のすべては、2つの波が干渉した結果として観測される現象(合成波)と、元の波の性質を結びつける3つの基本法則を理解しているかどうかにかかっています。
      1. 振動数は不変
      2. 強め合いの振幅は和(\(A_1+A_2\))
      3. 強め合いの間隔は半波長(\(\lambda/2\))
    • 理解のポイント: なぜそうなるのかをイメージで掴むことが重要です。振動数は波源の振動で決まるため、伝わる途中で重なっても変化しません。振幅は変位の足し算なので、山と山が重なれば高さは和になります。腹の間隔が\(\lambda/2\)になるのは、波が\(\lambda/2\)ずれると位相が\(\pi\)(180°)ずれて山と谷が重なる関係になるため、その中間で再び山と山が重なるからです。

応用テクニック:似た問題が出たらココを見る!解法の鍵と着眼点

  • 応用できる類似問題のパターン:
    • 弱め合いの条件を問う問題: 「全く振動しない点(節)が\(x\) [m]おきに見られた」とあれば、それは弱め合いの条件です。節と節の間隔も同じく\(\lambda/2\)です。また、腹と隣の節の間隔は\(\lambda/4\)になります。
    • 逆位相の波源: 2つの波源が逆位相(一方が山のとき他方が谷)で振動している場合、強め合いと弱め合いの条件が逆転します。
    • 2次元の干渉: 水面波のように波が2次元で広がる場合、強め合いの線(腹線)や弱め合いの線(節線)は、2つの波源を焦点とする双曲線を描きます。
    • 光の干渉(ヤングの実験など): 光も波なので干渉します。スクリーン上にできる明線(強め合い)と暗線(弱め合い)の間隔から、光の波長を求める問題は頻出です。考え方の基本は同じです。
  • 初見の問題での着眼点:
    1. 現象の特定: 「合成波」「最大振幅」「〜おきに」といったキーワードから、「波の干渉」や「定常波」の問題であると特定します。
    2. 観測量と物理法則の対応付け: 問題文で与えられた観測量(この問題では\(Y, f, x\))が、干渉のどの法則に対応するかを考えます。「最大振幅\(Y\)」→強め合いの振幅、「振動数\(f\)」→振動数不変、「間隔\(x\)」→腹の間隔、というように結びつけます。
    3. 波源の条件を確認: 波源が同位相か逆位相か、振幅や波長が等しいかなどを確認します。この問題では「振幅, 波長, 振動数の等しい2つの波」と明記されています。

要注意!ありがちなミス・誤解とその対策

  • 腹と腹の間隔と波長の関係:
    • 誤解: 強め合いの間隔\(x\)を、そのまま波長\(\lambda\)だと思ってしまう。(\(x = \lambda\)としてしまうミス)
    • 対策: 定常波の図を一度は自分で描いてみましょう。1波長の中に腹が2つ含まれることが視覚的にわかります。これにより、腹の間隔は半波長(\(\lambda/2\))であることが記憶に定着します。「腹の間隔は波長の半分」と何度も唱えて覚えるのも有効です。
  • 振幅と変位の混同:
    • 誤解: 振幅は振動の中心からの最大の「変位」ですが、ある瞬間の「変位」そのものと混同してしまう。
    • 対策: 振幅は振動の大きさを表す「定数」であり、変位は時間と共に変化する「変数」であることを明確に区別しましょう。

なぜその公式?論理的な公式選択と適用の思考法

  • 腹の間隔が\(\lambda/2\)である理由:
    • 選定理由: これは定常波の最も基本的な性質であり、干渉パターンにおける空間的な周期性を表します。
    • 適用根拠: ある点で2つの波が山と山で重なり強め合っているとします。そこから波長の半分(\(\lambda/2\))だけ離れた点では、一方の波の位相は\(\pi\)だけ変化します(波1つで\(2\pi\)なので)。もう一方の波(逆向きに進む)も\(\lambda/2\)だけ離れた点では位相が\(\pi\)変化します。結果として、両方の波が\(\pi\)ずつ位相がずれる(山が谷になる)ため、谷と谷で重なり、再び強め合います。したがって、強め合いの点(腹)は\(\lambda/2\)ごとに現れるのです。

計算ミスをなくす!日頃の意識と実践テクニック

  • 文字式のまま丁寧に扱う: この問題は文字式で答えるため、計算ミスは起きにくいですが、移項や割り算の際に符号や分母・分子を間違えないようにしましょう。例えば、\(Y=2A_0\)から\(A_0\)を求めるときに、\(A_0=2Y\)としてしまうような単純なミスに注意します。
  • 関係性を図で確認する: 波長と腹の間隔の関係は、簡単な定常波の図を描くだけで確認できます。文字や式だけで考えず、図を併用することで、誤った関係式を立てるのを防げます。
  • 単位を意識する: 最終的な答えに正しい単位 [m], [Hz] を付けることを忘れないようにしましょう。単位を意識することで、例えば振幅を求めるべきところで振動数を代入するような、次元の異なる量をごちゃ混ぜにするミスを防げます。

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