無料でしっかり基礎固め!物理基礎 問題演習「定在波の性質(腹の振動数・振幅、節の間隔)」【高校物理対応】

問題の確認

wave#08

各設問の思考プロセス

この問題は、2つの同一の進行波が逆向きに進んで干渉し、定在波を形成する際の基本的な性質について問うています。

  1. 定在波の振動数:
    • 定在波を構成する各点(節を除く)は単振動を行いますが、その振動数は元の進行波の振動数と同一です。
  2. 定在波の腹における振幅:
    • 腹は、2つの波が常に強め合う(変位の絶対値が最大になるように重なる)点です。
    • 元の進行波の振幅が \(A_0\) であるため、腹における合成波の振幅は、それぞれの振幅の和 \(A_0 + A_0 = 2A_0\) となります。
  3. 定在波の節と節の間隔:
    • 節は、2つの波が常に弱め合い、全く振動しない点です。
    • 定在波において、隣り合う節と節の間隔は、元の進行波の波長の半分 (\(\lambda_0/2\)) になります。

各設問の具体的な解説と解答

(1) 腹の位置での振動について,振動数f [Hz と振幅 A [m]を求めよ。

問われている内容の明確化:
定在波の腹における媒質の振動数 \(f\) と振幅 \(A\) を、元の波の振動数 \(f_0\) と振幅 \(A_0\) を用いて表します。

具体的な解説と計算手順:
振動数 \(f\):
定在波を形成する媒質の各点は、元の波と同じ振動数で単振動します。元の波の振動数は \(f_0\) です。

物理的原理: 定在波の振動数

定在波の各点(節を除く)の振動数は、それを構成する元の進行波の振動数に等しい。

したがって、腹の位置での振動数は、
$$f = f_0$$

振幅 \(A\):
腹は、定在波の中で最も大きく振動する点です。これは、2つの進行波が常に強め合うように重なるためです。元の進行波の振幅は \(A_0\) です。
腹における振幅は、それぞれの波の振幅の和となります。

物理的原理: 定在波の腹の振幅

振幅 \(A_0\) の2つの同一の波が逆向きに進んで定在波を形成するとき、腹における振幅は \(2A_0\) となる。

したがって、腹の位置での振幅は、
$$A = A_0 + A_0 = 2A_0$$

計算方法の平易な説明:

  • 振動数: 定在波がブルブルと震える速さ(振動数)は、元になっている2つの波の震える速さ \(f_0\) と同じです。だから \(f = f_0\)。
  • 振幅: 定在波の「腹」とは、一番大きく揺れる場所のことです。元の波の揺れの幅(振幅)が \(A_0\) だとすると、腹では2つの波が力を合わせるので、揺れの幅は \(A_0 + A_0 = 2A_0\) と、元の波の2倍になります。だから \(A = 2A_0\)。

この設問における重要なポイント:

  • 定在波の振動数は、元の進行波の振動数 \(f_0\) に等しい。
  • 定在波の腹における振幅は、元の進行波の振幅 \(A_0\) の2倍、つまり \(2A_0\) となる。
解答 (1):
腹の位置での振動数: \(f = f_0 \, \text{[Hz]}\)
腹の位置での振幅: \(A = 2A_0 \, \text{[m]}\)

(2) 節と節の間隔 d は何m か。

問われている内容の明確化:
定在波において、全く振動しない点である「節」と、隣り合う「節」との間の距離 \(d\) を、元の波の波長 \(\lambda_0\) を用いて表します。

具体的な解説と計算手順:
定在波では、節は空間的に固定された点であり、等間隔に並びます。隣り合う節と節の間隔は、元の進行波の波長 \(\lambda_0\) の半分になります。

物理的原理: 定在波の節の間隔

定在波において、隣り合う節と節(または腹と腹)の間隔は、元の進行波の波長 \(\lambda_0\) の半分 (\(\lambda_0/2\)) である。

したがって、節と節の間隔 \(d\) は、
$$d = \frac{\lambda_0}{2}$$

計算方法の平易な説明:
定在波には、全く揺れない「節」という場所があります。これらの節は、等しい間隔で並んでいます。
この「節」と「隣の節」との間の距離 \(d\) は、元の波の「波1つ分の長さ(波長 \(\lambda_0\))」のちょうど半分になります。
だから、\(d = \frac{\lambda_0}{2}\)。

この設問における重要なポイント:

  • 定在波の隣り合う節と節の間隔は、元の進行波の波長 \(\lambda_0\) の半分である \(\lambda_0/2\)。
  • 同様に、隣り合う腹と腹の間隔も \(\lambda_0/2\)、隣り合う節と腹の間隔は \(\lambda_0/4\) であることも重要。
解答 (2):
節と節の間隔 \(d\) は \(\displaystyle d = \frac{\lambda_0}{2} \, \text{[m]}\) である。

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問題全体を通して理解しておくべき重要な物理概念や法則

  • 定在波(定常波): 同じ振幅・振動数・波長を持つ2つの波が互いに逆向きに進んで重なり合うことで生じる、空間的に進行しない波。
  • 腹 (Antinode): 定在波において振幅が最大になる点。元の波の振幅を \(A_0\) とすると、腹の振幅は \(2A_0\)。
  • 節 (Node): 定在波において全く振動しない点(振幅 \(0\))。
  • 定在波の振動数: 定在波の各点(節を除く)の振動数は、元の進行波の振動数 \(f_0\) と同じ。
  • 定在波の空間的パターン:
    • 隣り合う節と節の間隔: \(\lambda_0/2\)
    • 隣り合う腹と腹の間隔: \(\lambda_0/2\)
    • 隣り合う節と腹の間隔: \(\lambda_0/4\)

    ここで \(\lambda_0\) は元の進行波の波長。

  • 重ね合わせの原理: 複数の波が媒質中で出会うとき、各点の変位は個々の波による変位の和となる。

類似の問題を解く上でのヒントや注意点

  • 元の波の特性把握: 定在波を理解するには、まずそれを形成する元の進行波の振幅、振動数、波長を明確にすることが基本。
  • 定在波の構造の視覚化: 腹と節が交互に \(\lambda_0/4\) の間隔で配置される様子をイメージすると理解しやすい。
  • エネルギーの伝播: 進行波はエネルギーを運ぶが、理想的な定在波はエネルギーを一方向に運ばない(エネルギーは節と腹の間で局在的に振動する)。

よくある誤解や間違いやすいポイント

  • 腹の振幅の誤認: 定在波の腹の振幅を、元の進行波の振幅 \(A_0\) と同じだと勘違いする(正しくは \(2A_0\))。
  • 節と節の間隔の誤認: 節と節の間隔を \(\lambda_0\) と間違える(正しくは \(\lambda_0/2\))。
  • 定在波の「波長」: 定在波のパターンが繰り返す空間的な長さ(例えば、腹から次の腹までの距離の2倍)は、元の進行波の波長 \(\lambda_0\) に等しい。

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