「セミナー物理基礎+物理2025」徹底解説!【第 Ⅰ 章 3】基本問題68~77

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基本問題

68 弾性力と垂直抗力

【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド

【相違点に関する注記】
  1. 提示する別解
    • 設問(2)と(3)の別解: 垂直抗力をばねの伸びの関数として捉える解法
      • 模範解答が設問(2)と(3)をそれぞれ独立した力のつりあいの問題として解くのに対し、別解ではまず、ばねの伸び \(x\) が変化する際の垂直抗力 \(N\) の変化を、\(N = mg – kx\) という一つの一般式で表します。そして、(2)を「\(x\) が特定の値のときの \(N\) を求める問題」、(3)を「\(N=0\) となる \(x\) を求める問題」として、統一的に扱います。
  2. 上記の別解が有益である理由
    • 物理的本質の深化: ばねを引く力を徐々に大きくしていくと、弾性力が増加し、その分だけ垂直抗力が減少していく、という一連の連続的な物理現象として捉えることができます。
    • 思考の一般化: 個別の状況設定だけでなく、変数を用いた一般式を立てることで、問題全体の見通しが良くなり、より発展的な問題への応用力が養われます。
  3. 結果への影響
    • いずれのアプローチを用いても、計算過程や思考の出発点が異なるだけで、最終的に得られる答えは模範解答と完全に一致します。

この問題のテーマは「ばねの弾性力と垂直抗力が関わる力のつりあい」です。物体にはたらく複数の力(重力、弾性力、垂直抗力)の関係を、力のつりあいの法則を用いて解析します。特に、ばねを引く強さを変えることで、垂直抗力がどのように変化し、やがてゼロになる(物体が机からはなれる)かを理解することが重要です。

問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。

  1. フックの法則: ばねの弾性力の大きさ \(F\) は、ばねの自然長からの伸び \(x\) に比例する (\(F=kx\)) ことを理解していること。
  2. 力のつりあい: 物体が静止しているとき、物体にはたらく力の合力はゼロであること。特に鉛直方向において、「上向きの力の総和」と「下向きの力の総和」が等しいという関係を数式で表せること。
  3. 垂直抗力の性質: 垂直抗力は、物体が面を押す力に応じて面が押し返す力であり、物体が面から離れればゼロになる (\(N \ge 0\)) ことを理解していること。
  4. 物体が面からはなれる条件: 物体が面からはなれる「瞬間」とは、垂直抗力の大きさがちょうどゼロになる (\(N=0\)) 瞬間のことであると物理的に解釈できること。

基本的なアプローチは以下の通りです。

  1. (1)では、与えられたばねの「長さ」と「自然長」から「伸び」を計算し、フックの法則に代入して弾性力の大きさを求めます。
  2. (2)では、物体にはたらく3つの力(重力、弾性力、垂直抗力)を図示し、「上向きの力の和 = 下向きの力の和」という力のつりあいの式を立てて、未知数である垂直抗力の大きさを計算します。
  3. (3)では、「物体が机からはなれる」という条件を「垂直抗力 \(N=0\)」と数式化し、そのときの力のつりあいの式(弾性力 = 重力)を解いて、ばねの伸び、そして長さを求めます。

問(1)

思考の道筋とポイント
物体がばねから受ける力、すなわち弾性力の大きさを求めます。弾性力の大きさはフックの法則 \(F=kx\) で計算できます。この式を使うには、ばねの「伸び」\(x\) が必要です。問題文で与えられているのは「ばねの長さ」なので、まず「ばねの長さ」から「自然の長さ」を引いて「伸び」を計算します。
この設問における重要なポイント

  • ばねの「伸び」\(x\) は、\((\text{ばねの長さ}) – (\text{自然の長さ})\) で計算する。
  • フックの法則 \(F=kx\) に、与えられたばね定数 \(k\) と計算した伸び \(x\) を代入する。

具体的な解説と立式
ばねの弾性力の大きさを \(F\)、ばね定数を \(k\)、ばねの自然長を \(L_0\)、ばねの長さを \(L\) とします。
ばねの伸び \(x\) は、
$$
\begin{aligned}
x &= L – L_0
\end{aligned}
$$
と表せます。
フックの法則より、弾性力の大きさ \(F\) は、
$$
\begin{aligned}
F &= kx \\[2.0ex]
&= k(L – L_0)
\end{aligned}
$$
となります。

使用した物理公式

  • フックの法則: \(F=kx\)
計算過程

与えられた値を代入して計算します。
– ばねの伸び:
$$
\begin{aligned}
x &= 0.110 – 0.100 \\[2.0ex]
&= 0.010\,\text{m}
\end{aligned}
$$
– 弾性力:
$$
\begin{aligned}
F &= (4.9 \times 10^2) \times 0.010 \\[2.0ex]
&= 490 \times 0.010 \\[2.0ex]
&= 4.9\,\text{N}
\end{aligned}
$$

この設問の平易な説明

ばねがどれくらいの力で物体を引っぱっているかを計算します。ばねの力は「ばねの硬さ(ばね定数)」と「元の長さからの伸び」の掛け算で決まります。まず、ばねがどれだけ伸びたかを計算し(\(0.110 – 0.100 = 0.010\,\text{m}\))、その伸びにばねの硬さを掛けて力の大きさを求めます。

結論と吟味

弾性力の大きさは \(4.9\,\text{N}\) と求まりました。これは物理的に妥当な値です。

解答 (1) \(4.9\,\text{N}\)

問(2)

思考の道筋とポイント
物体が机から受ける垂直抗力の大きさを求めます。物体はばねに引かれながらも机の上で静止しているので、物体にはたらく全ての力がつりあっています。物体にはたらく力をすべて特定し(重力、弾性力、垂直抗力)、「上向きの力の和 = 下向きの力の和」というつりあいの式を立てることで、垂直抗力を求めることができます。
この設問における重要なポイント

  • 物体にはたらく力をすべて図示する(上向き:弾性力、垂直抗力 / 下向き:重力)。
  • 力のつりあいの式を正しく立てる。
  • (1)で求めた弾性力と、質量から計算した重力の値を代入する。

具体的な解説と立式
物体にはたらく力は、以下の3つです。

  1. ばねが物体を引く力「弾性力 \(F\)」(鉛直上向き)
  2. 机が物体を支える力「垂直抗力 \(N\)」(鉛直上向き)
  3. 地球が物体を引く力「重力 \(W\)」(鉛直下向き)

物体は静止しているので、鉛直方向の力がつりあっています。
$$
\begin{aligned}
(\text{上向きの力の和}) &= (\text{下向きの力の和})
\end{aligned}
$$
したがって、以下のつりあいの式が成り立ちます。
$$
\begin{aligned}
F + N &= W
\end{aligned}
$$
ここで、重力 \(W\) は \(W=mg\) で計算できます。

使用した物理公式

  • 力のつりあいの条件
  • 重力の公式: \(W=mg\)
計算過程

(1)で求めた弾性力 \(F=4.9\,\text{N}\) と、与えられた質量 \(m=1.0\,\text{kg}\)、重力加速度 \(g=9.8\,\text{m/s}^2\) を用いて、つりあいの式に値を代入します。
– 重力:
$$
\begin{aligned}
W &= 1.0 \times 9.8 \\[2.0ex]
&= 9.8\,\text{N}
\end{aligned}
$$
– つりあいの式:
$$
\begin{aligned}
4.9 + N &= 9.8 \\[2.0ex]
N &= 9.8 – 4.9 \\[2.0ex]
&= 4.9\,\text{N}
\end{aligned}
$$

この設問の平易な説明

物体は下向きに重力で引かれています。それに対して、上向きに「ばねが引く力」と「机が支える力(垂直抗力)」の2つがはたらいています。物体が静止しているのは、下向きの力と、上向きの2つの力の合計が等しいからです。「重力 = ばねの力 + 垂直抗力」という式を立てて、分かっていない垂直抗力の大きさを計算します。

結論と吟味

垂直抗力の大きさは \(4.9\,\text{N}\) と求まりました。ばねが上向きに引くのを手伝っているため、机が支える力は、物体がただ置かれているだけのとき(\(9.8\,\text{N}\))よりも小さくなっています。これは物理的に妥当な結果です。

解答 (2) \(4.9\,\text{N}\)

問(3)

思考の道筋とポイント
物体が机からはなれる「瞬間」のばねの長さを求めます。「机からはなれる」という物理的な現象を、「机が物体を支える必要がなくなる」、すなわち「垂直抗力 \(N\) がちょうどゼロになる」という数式的な条件に置き換えることが、この問題を解く鍵です。この \(N=0\) という条件の下で、改めて力のつりあいを考えます。
この設問における重要なポイント

  • 「机からはなれる瞬間」の条件は、垂直抗力 \(N=0\) である。
  • \(N=0\) のとき、物体にはたらく力は弾性力と重力のみとなり、この2力がつりあう。
  • つりあいの式(弾性力 = 重力)を解いて、そのときのばねの「伸び」を求め、最後に「自然長」を足してばねの「長さ」を計算する。

具体的な解説と立式
物体が机からはなれる瞬間、垂直抗力 \(N\) は \(0\) になります。
このとき、物体にはたらく力は鉛直上向きの「弾性力 \(F’\)」と鉛直下向きの「重力 \(W\)」の2つだけになります。
物体はまだ(ギリギリ)静止しているので、この2力がつりあっています。
$$
\begin{aligned}
(\text{上向きの力}) &= (\text{下向きの力}) \\[2.0ex]
F’ &= W
\end{aligned}
$$
このときのばねの長さを \(L\)、伸びを \(x’\) とすると、フックの法則より \(F’ = kx’ = k(L – L_0)\) となります。また、重力は \(W=mg\) です。
したがって、つりあいの式は以下のようになります。
$$
\begin{aligned}
k(L – L_0) &= mg
\end{aligned}
$$

使用した物理公式

  • 力のつりあいの条件 (\(N=0\))
  • フックの法則: \(F=kx\)
  • 重力の公式: \(W=mg\)
計算過程

上記で立式した式を、ばねの長さ \(L\) について解きます。
$$
\begin{aligned}
L – L_0 &= \frac{mg}{k} \\[2.0ex]
L &= L_0 + \frac{mg}{k}
\end{aligned}
$$
値を代入して計算します。
$$
\begin{aligned}
L &= 0.100 + \frac{1.0 \times 9.8}{4.9 \times 10^2} \\[2.0ex]
&= 0.100 + \frac{9.8}{490} \\[2.0ex]
&= 0.100 + 0.020 \\[2.0ex]
&= 0.120\,\text{m}
\end{aligned}
$$

この設問の平易な説明

ばねをどんどん強く引いていくと、やがて物体が机から浮き上がります。この「浮き上がる瞬間」とは、ばねが引く力だけで、物体の重さを完全に支えきった瞬間です。つまり、「ばねの力 = 重力」となるときです。この等式を使って、そのときのばねの伸びを計算し、元の長さに足してあげれば、答えの長さが求まります。

結論と吟味

ばねの長さは \(0.120\,\text{m}\) と求まりました。このときの伸びは \(0.020\,\text{m}\) であり、(1)の伸び \(0.010\,\text{m}\) よりも大きいので、より強く引いている状況と一致します。また、このときの弾性力は \(k \times 0.020 = 490 \times 0.020 = 9.8\,\text{N}\) となり、重力 \(9.8\,\text{N}\) と確かにつりあっています。

解答 (3) \(0.120\,\text{m}\)
別解: 垂直抗力をばねの伸びの関数として捉える解法

思考の道筋とポイント
設問(2)と(3)は、ばねを徐々に引いていく一連のプロセスの中の特定の瞬間を問うています。そこで、まずばねの伸びが \(x\) のときの垂直抗力 \(N\) を表す一般式を立てます。この式を分析することで、(2)と(3)を統一的に解くことができます。
この設問における重要なポイント

  • まず、任意の伸び \(x\) に対する垂直抗力 \(N\) の関係式を導出する。
  • (2)と(3)を、その関係式に特定の値を代入する問題として捉え直す。

具体的な解説と立式
ばねの伸びを \(x\) としたとき、物体にはたらく力は、上向きに弾性力 \(F=kx\) と垂直抗力 \(N\)、下向きに重力 \(W=mg\) です。
力のつりあいの式は、
$$
\begin{aligned}
kx + N &= mg
\end{aligned}
$$
となります。この式を垂直抗力 \(N\) について解くと、\(N\) と \(x\) の関係式が得られます。
$$
\begin{aligned}
N &= mg – kx \quad \cdots ①
\end{aligned}
$$
この式は、ばねの伸び \(x\) が大きくなるにつれて、垂直抗力 \(N\) が線形的に減少することを示しています。

使用した物理公式

  • 力のつりあいの条件
  • フックの法則: \(F=kx\)
  • 重力の公式: \(W=mg\)
計算過程

【設問(2)の計算】
ばねの長さが \(0.110\,\text{m}\) のとき、伸びは \(x = 0.110 – 0.100 = 0.010\,\text{m}\) です。この値を式①に代入します。
$$
\begin{aligned}
N &= (1.0 \times 9.8) – (4.9 \times 10^2 \times 0.010) \\[2.0ex]
&= 9.8 – 4.9 \\[2.0ex]
&= 4.9\,\text{N}
\end{aligned}
$$

【設問(3)の計算】
物体が机からはなれる瞬間は、垂直抗力 \(N=0\) となるときです。この条件を式①に代入して、そのときの伸び \(x\) を求めます。
$$
\begin{aligned}
0 &= mg – kx \\[2.0ex]
kx &= mg \\[2.0ex]
x &= \frac{mg}{k} \\[2.0ex]
&= \frac{1.0 \times 9.8}{4.9 \times 10^2} \\[2.0ex]
&= \frac{9.8}{490} \\[2.0ex]
&= 0.020\,\text{m}
\end{aligned}
$$
求められているのはばねの「長さ」なので、自然長にこの伸びを加えます。
$$
\begin{aligned}
L &= L_0 + x \\[2.0ex]
&= 0.100 + 0.020 \\[2.0ex]
&= 0.120\,\text{m}
\end{aligned}
$$

この設問の平易な説明

ばねを引けば引くほど、机が物体を支える力(垂直抗力)はだんだん小さくなっていきます。この「垂直抗力」と「ばねの伸び」の関係を、最初に一つの数式で表してしまいます。そうすれば、(2)の「ばねの長さが \(0.110\,\text{m}\) のとき」も、(3)の「垂直抗力がゼロになるとき」も、その式に数字を入れたり、式を解いたりするだけで、両方の問題を一度に解くことができます。

結論と吟味

主たる解法と完全に一致した結果が得られました。このアプローチにより、垂直抗力がばねの伸び \(x\) の一次関数として表され、\(x=0\) のとき最大値 \(mg\) をとり、\(x\) が増加するにつれて減少して \(x=mg/k\) でゼロになる、という物理現象の全体像をより明確に理解することができます。

解答 (2) \(4.9\,\text{N}\)
解答 (3) \(0.120\,\text{m}\)

【総まとめ】この一問を未来の得点力へ!完全マスター講座

最重要ポイント:この問題の核心となる物理法則は?
  • 複数の力が関わる力のつりあいと条件変化
    • 核心: この問題の核心は、物体にはたらく力が3つ(重力、弾性力、垂直抗力)存在し、それらがつりあっている状況を正しく立式できることです。さらに重要なのは、ばねを引く力を変化させることで、弾性力が増加し、それに伴って垂直抗力が減少するという、力のバランスの変化を理解することです。特に、「物体が面からはなれる」という物理現象を「垂直抗力がゼロになる」という数学的な条件に翻訳できるかどうかが、最大のポイントとなります。
    • 理解のポイント:
      • 力のつりあい: 物体が静止している限り、「上向きの力の和(弾性力 + 垂直抗力)」と「下向きの力の和(重力)」は常に等しい、という関係が成り立ちます。
      • 垂直抗力の受動性: 垂直抗力は、ばねの弾性力のように能動的に決まる力ではありません。他の力(この場合は重力と弾性力)のつりあいを満たすために、必要な分だけ「自動的に調整される」受動的な力です。ただし、押し返すことしかできないため、その値はゼロ以上 (\(N \ge 0\)) に限られます。
      • 限界条件(はなれる瞬間): ばねを引く力を強くしていくと、弾性力が増加します。つりあいを保つため、垂直抗力は減少していきます。そして、ついに垂直抗力がゼロになったときが、物体が机の支えを必要としなくなる、すなわち「はなれる瞬間」です。この瞬間、力のつりあいは「弾性力 = 重力」というシンプルな形になります。
応用テクニック:似た問題が出たらココを見る!解法の鍵と着眼点
  • 応用できる類似問題のパターン:
    • 摩擦力が関わる問題: 「ばねで物体を水平に引くとき、物体が動き出す瞬間のばねの伸びはいくらか?」という問題。「動き出す瞬間」を「静止摩擦力が最大静止摩擦力 \(\mu N\) に達した瞬間」と読み替え、そのときの力のつりあいの式(弾性力 = 最大静止摩擦力)を立てて解きます。
    • 物体を斜めに引く場合: 「ばねを斜め上方に引いて物体を支える。物体がはなれる瞬間のばねの伸びはいくらか?」という問題。この場合、弾性力を水平成分と鉛直成分に分解する必要があります。力のつりあいの式は、「(弾性力の鉛直成分 + 垂直抗力) = 重力」となります。「はなれる瞬間 (\(N=0\))」は、「弾性力の鉛直成分 = 重力」となるときです。
    • 浮力が関わる問題: 「水中の物体をばねで引き上げる。物体が水底からはなれる瞬間のばねの伸びはいくらか?」という問題。「はなれる瞬間」は「垂直抗力 \(N=0\)」のときであり、そのときの力のつりあいは「(弾性力 + 浮力) = 重力」となります。
  • 初見の問題での着眼点:
    1. まず物体にはたらく力を全て図示する: 重力、弾性力、垂直抗力、摩擦力など、考えられる力を漏れなく矢印で描き込みます。これが全ての基本です。
    2. 「〜のとき」「〜の瞬間」というキーワードに注目する: 問題文中のこれらの言葉は、特定の物理的状況を示しています。その状況を数式(例: \(N=0\), \(f=\mu N\))に変換することが、問題を解くための突破口になります。
    3. 垂直抗力 \(N\) や摩擦力 \(f\) を安易に \(mg\) や \(\mu mg\) と決めつけない: これらの力は状況に応じて変化します。必ず力のつりあいの式を立てて、その式から値を決定するようにしましょう。
要注意!ありがちなミス・誤解とその対策
  • (2)で垂直抗力を \(N=mg\) と勘違いする:
    • 誤解: 物体が机の上にあるから、垂直抗力は常に重力と等しいと思い込んでしまう。
    • 対策: 垂直抗力は、あくまで「面に垂直な方向の力のつりあい」から決まる量です。この問題のように、他に上向きの力(弾性力)がはたらいている場合、垂直抗力は重力からその分だけ「肩代わり」してもらっているため、\(mg\) よりも小さくなります。必ず、全ての力を考慮したつりあいの式を立てる癖をつけましょう。
  • (3)で力のつりあいを考え忘れる:
    • 誤解: 「はなれる」という言葉から、何か特別な公式があるのではないかと考えてしまい、基本的な力のつりあいに立ち返れない。
    • 対策: 「はなれる瞬間」も、物体はまだ(ギリギリ)静止している、あるいは動き出す直前の状態であり、力のつりあいの法則が適用できると考えましょう。物理の多くの「〜の瞬間」を問う問題は、つりあいの式やエネルギー保存則といった基本法則の特定の条件下での適用に過ぎません。
  • (3)で「伸び」を答えてしまう:
    • 誤解: 計算でばねの伸び \(x=0.020\,\text{m}\) を求めたところで満足し、それを最終的な答えとしてしまう。
    • 対策: 問題文が「ばねの長さは何mか」と問うていることを、計算の最後に必ず確認しましょう。求めた「伸び」を「自然長」に足す、という最後の仕上げを忘れないように注意が必要です。
なぜその公式?論理的な公式選択と適用の思考法
  • (1)での公式選択(フックの法則):
    • 選定理由: 求めたいのは「弾性力」。与えられているのは、ばねの性質(ばね定数 \(k\))と状態(伸び \(x\))。これら3つを結びつける法則はフックの法則 \(F=kx\) しかありません。
    • 適用根拠: ばねの弾性的な振る舞いを記述する基本法則であり、この問題設定で適用するのは当然です。
  • (2)での公式選択(力のつりあい):
    • 選定理由: 求めたいのは「垂直抗力 \(N\)」。物体は「静止」しており、複数の力(重力、弾性力、垂直抗力)がはたらいています。物体が静止している以上、力のつりあいの法則を適用するのが最も直接的なアプローチです。つりあいの式を立てることで、未知の力 \(N\) を他の既知の力から逆算できます。
    • 適用根拠: ニュートンの第一法則(慣性の法則)が適用される典型的な状況です。
  • (3)でのアプローチ選択(\(N=0\) を力のつりあいの式に適用):
    • 選定理由: 「物体がはなれる」という物理的なキーワードを、まず「\(N=0\)」という数学的な条件に翻訳します。これは物理的な洞察です。次に、この条件が成立している「瞬間」においても、物体はまだ力のつりあいの状態にあると考え、(2)で用いた力のつりあいの式に \(N=0\) を代入します。これにより、未知の量(この場合は伸び、ひいては長さ)を求める方程式が得られます。
    • 適用根拠: 物理現象の特定の「限界状態」を、基本法則(力のつりあい)における特定の「条件」として扱う、物理学の一般的な問題解決手法を適用しています。
計算ミスをなくす!日頃の意識と実践テクニック
  • 指数表記の扱いに慣れる: ばね定数 \(k=4.9 \times 10^2\) のような指数表記は、計算の際には \(490\) と直してから扱うとミスが減ります。特に、割り算 \(\frac{9.8}{4.9 \times 10^2}\) では、\(\frac{9.8}{490}\) と直してから計算すると見通しが良くなります。さらに、\(9.8\) は \(4.9 \times 2\) であることに気づけば、\(\frac{2 \times 4.9}{100 \times 4.9} = \frac{2}{100} = 0.02\) と暗算レベルで計算できます。
  • 単位を揃えてから計算する: この問題では単位は \(\text{m}\), \(\text{kg}\), \(\text{N}\) に統一されていますが、もし自然長が \(\text{cm}\) で与えられていたら、計算前に \(\text{m}\) に直す必要があります。常にSI単位系に揃える意識を持ちましょう。
  • 概算で検算する:
    • (2) 重力 \(9.8\,\text{N}\) に対して、弾性力が \(4.9\,\text{N}\)(ちょうど半分)で助けているので、垂直抗力も残りの半分 \(4.9\,\text{N}\) になるはずだ、と予測できます。
    • (3) 物体がはなれるのは、弾性力が重力 \(9.8\,\text{N}\) と等しくなるとき。(1)で \(4.9\,\text{N}\) の力で \(0.010\,\text{m}\) 伸びたのだから、その2倍の力である \(9.8\,\text{N}\) では、伸びも2倍の \(0.020\,\text{m}\) になるはず。したがって、ばねの長さは \(0.100 + 0.020 = 0.120\,\text{m}\) になる、と比例計算でも検算できます。

69 3力のつりあい

【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド

【相違点に関する注記】
  1. 提示する別解
    • 主たる解法(力の成分分解法)と別解(力のベクトル図形法)
      • 主たる解法は、各張力を水平・鉛直の成分に分解し、それぞれの方向で力のつりあいの連立方程式を立てて解く、代数的なアプローチです。
      • 別解は、「2本の糸の張力の合力が、重力とつりあう」という物理的な関係に注目し、力のベクトルが作る図形の幾何学的な性質(三角比や辺の比)を利用して解く、図形的なアプローチです。
  2. 上記の別解が有益である理由
    • 物理的本質の深化: 「3力のつりあい」を、「2力の合力が残りの1力とつりあう」という関係として捉え直すことで、力の合成とつりあいの関係への理解が深まります。
    • 思考の柔軟性向上: 問題の図形的特徴に応じて、代数的な解法と幾何学的な解法を使い分ける能力が養われます。特に、角度がきれいな場合は図形的に解く方が直感的で速いことがあります。
  3. 結果への影響
    • いずれのアプローチを用いても、思考の出発点が異なるだけで、最終的に得られる答えは模範解答と完全に一致します。

この問題のテーマは「3力のつりあい」です。静止した物体にはたらく3つの力が互いに打ち消し合っている状態を、数式で表現する基本的な問題です。特に、斜め向きの力を適切に扱う「力の分解」が鍵となります。

問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。

  1. 力の図示: 注目する物体(おもり)にはたらく全ての力(重力、2本の糸の張力)を正しく矢印で図示できること。
  2. 力の分解: 斜め向きの張力を、計算しやすい水平方向(x)と鉛直方向(y)の成分に、三角比を用いて正しく分解できること。
  3. 力のつりあいの条件: 物体が静止しているとき、水平方向、鉛直方向それぞれで、力の合力がゼロになる(力がつりあっている)ことを理解していること。
  4. 連立方程式の解法: 水平方向と鉛直方向のつりあいの式から得られる2つの連立方程式を解いて、未知の張力を求めることができること。

基本的なアプローチは以下の通りです。

  1. おもりにはたらく3つの力(重力、張力 \(T_1\)、張力 \(T_2\))を図示します。
  2. 2つの張力をそれぞれ水平成分と鉛直成分に分解します。
  3. 水平方向について「右向きの力の和 = 左向きの力の和」、鉛直方向について「上向きの力の和 = 下向きの力の和」という2つのつりあいの式を立てます。
  4. この2つの式を連立方程式として解き、\(T_1\) と \(T_2\) を求めます。

問(1)

思考の道筋とポイント
おもりには、下向きの重力と、2本の糸による斜め上向きの張力がはたらいて静止しています。この「静止」という状態から、力が完全につりあっていることがわかります。2つの張力 \(\vec{T}_1, \vec{T}_2\) を水平・鉛直成分に分解し、水平方向と鉛直方向、それぞれで力のつりあいの式を立てます。図が左右対称であることから、\(T_1\) と \(T_2\) の大きさが等しくなることが予測できます。
この設問における重要なポイント

  • 2つの張力を水平成分と鉛直成分に分解する。
  • 水平方向のつりあい: \(T_1\) の左向き成分と \(T_2\) の右向き成分が等しい。
  • 鉛直方向のつりあい: \(T_1\) と \(T_2\) の上向き成分の和が、下向きの重力と等しい。

具体的な解説と立式
糸1, 2の張力の大きさをそれぞれ \(T_1, T_2\) とします。おもりにはたらく力は、重力(大きさ \(10\,\text{N}\)、鉛直下向き)、張力 \(\vec{T}_1\)、張力 \(\vec{T}_2\) の3つです。
張力 \(\vec{T}_1, \vec{T}_2\) を水平・鉛直成分に分解します。天井とのなす角が \(30^\circ\) なので、水平線とのなす角も \(30^\circ\) です。
– \(\vec{T}_1\) の成分: 水平成分 \(T_1 \cos 30^\circ\) (左向き), 鉛直成分 \(T_1 \sin 30^\circ\) (上向き)
– \(\vec{T}_2\) の成分: 水平成分 \(T_2 \cos 30^\circ\) (右向き), 鉛直成分 \(T_2 \sin 30^\circ\) (上向き)

物体は静止しているので、水平方向と鉛直方向の力がそれぞれつりあっています。
– 水平方向のつりあい:
$$
\begin{aligned}
(\text{右向きの力の和}) &= (\text{左向きの力の和}) \\[2.0ex]
T_2 \cos 30^\circ &= T_1 \cos 30^\circ \quad \cdots ①
\end{aligned}
$$
– 鉛直方向のつりあい:
$$
\begin{aligned}
(\text{上向きの力の和}) &= (\text{下向きの力の和}) \\[2.0ex]
T_1 \sin 30^\circ + T_2 \sin 30^\circ &= 10 \quad \cdots ②
\end{aligned}
$$

使用した物理公式

  • 力のつりあいの条件
  • 力の成分分解
計算過程

式①より、\(\cos 30^\circ \neq 0\) なので、両辺を \(\cos 30^\circ\) で割ると、
$$
\begin{aligned}
T_2 &= T_1
\end{aligned}
$$
となります。この結果を式②に代入します。
$$
\begin{aligned}
T_1 \sin 30^\circ + T_1 \sin 30^\circ &= 10 \\[2.0ex]
2 T_1 \sin 30^\circ &= 10
\end{aligned}
$$
\(\sin 30^\circ = \displaystyle\frac{1}{2}\) なので、
$$
\begin{aligned}
2 T_1 \times \frac{1}{2} &= 10 \\[2.0ex]
T_1 &= 10\,\text{N}
\end{aligned}
$$
\(T_1 = T_2\) なので、\(T_2 = 10\,\text{N}\) となります。

この設問の平易な説明

おもりが静止しているのは、左右に引っぱる力がつりあい、かつ上下に引っぱる力がつりあっているからです。左右対称なので、2本の糸が引く力は同じ大きさのはずです。上下のつりあいを考えると、2本の糸が上向きに引く力の合計が、下向きの重力 \(10\,\text{N}\) と等しくなります。この考え方で式を立てて計算します。

結論と吟味

\(T_1 = 10\,\text{N}\), \(T_2 = 10\,\text{N}\) と求まりました。左右対称な状況で、2つの張力が等しくなるという直感とも一致しており、妥当な結果です。

解答 (1) 糸1: \(10\,\text{N}\), 糸2: \(10\,\text{N}\)
別解: 力のベクトル図形法

思考の道筋とポイント
3つの力がつりあっているので、「2つの張力の合力」が「重力」とつりあっている、と考えることができます。つまり、2つの張力の合力は、鉛直上向きで大きさが \(10\,\text{N}\) となります。この合力と、各張力の関係を図形的に考えます。
この設問における重要なポイント

  • 2つの張力の合力が、重力と大きさが同じで向きが反対になる。
  • 合力は、各張力の鉛直成分の和に等しい。

具体的な解説と立式
2つの張力 \(\vec{T}_1, \vec{T}_2\) の合力を \(\vec{T}_{\text{合}}\) とします。力のつりあいより、\(\vec{T}_{\text{合}}\) は重力とつりあうので、鉛直上向きに \(10\,\text{N}\) の大きさです。
この合力は、各張力の鉛直成分の和に等しいので、
$$
\begin{aligned}
T_1 \sin 30^\circ + T_2 \sin 30^\circ &= 10
\end{aligned}
$$
また、水平方向には動かないので、水平成分はつりあっています。
$$
\begin{aligned}
T_2 \cos 30^\circ &= T_1 \cos 30^\circ
\end{aligned}
$$
これらは主たる解法で立てた式と全く同じであり、以降の計算も同様です。

使用した物理公式

  • 力の合成とつりあい
計算過程

主たる解法と同様の計算により、
$$
\begin{aligned}
T_1 &= 10\,\text{N}
\end{aligned}
$$
$$
\begin{aligned}
T_2 &= 10\,\text{N}
\end{aligned}
$$
が得られます。

この設問の平易な説明

2本の糸が協力して、重力 \(10\,\text{N}\) を真上に引き上げて打ち消している、と考えます。2本の糸が力を合わせて生み出す「合計の力」は、真上を向いていて、大きさは \(10\,\text{N}\) のはずです。この「合計の力」が、それぞれの糸の力の上向き成分を足し合わせたものであることから、計算を進めることができます。

結論と吟味

主たる解法と同じ結果が得られました。力のつりあいを「成分ごとのつりあい」で考えるか、「合力と残りの力のつりあい」で考えるかは、同じ現象を異なる視点から見ているだけであり、本質的には同じです。

解答 (1) 糸1: \(10\,\text{N}\), 糸2: \(10\,\text{N}\)

問(2)

思考の道筋とポイント
(1)と同様に、張力 \(\vec{T}_1, \vec{T}_2\) を水平・鉛直成分に分解し、それぞれの方向で力のつりあいの式を立てます。今回は左右非対称なので、\(T_1\) と \(T_2\) の大きさは異なります。水平方向と鉛直方向の2つのつりあいの式から、2つの未知数 \(T_1, T_2\) を求める連立方程式を解く問題になります。
この設問における重要なポイント

  • 天井との角度が、水平線との角度と同じになることを利用する。
  • 水平方向のつりあい: \(T_1\) の左向き成分と \(T_2\) の右向き成分が等しい。
  • 鉛直方向のつりあい: \(T_1\) と \(T_2\) の上向き成分の和が、下向きの重力と等しい。

具体的な解説と立式
張力 \(\vec{T}_1, \vec{T}_2\) を水平・鉛直成分に分解します。
– \(\vec{T}_1\) の成分: 水平成分 \(T_1 \cos 60^\circ\) (左向き), 鉛直成分 \(T_1 \sin 60^\circ\) (上向き)
– \(\vec{T}_2\) の成分: 水平成分 \(T_2 \cos 30^\circ\) (右向き), 鉛直成分 \(T_2 \sin 30^\circ\) (上向き)

– 水平方向のつりあい:
$$
\begin{aligned}
T_2 \cos 30^\circ &= T_1 \cos 60^\circ \quad \cdots ③
\end{aligned}
$$
– 鉛直方向のつりあい:
$$
\begin{aligned}
T_1 \sin 60^\circ + T_2 \sin 30^\circ &= 10 \quad \cdots ④
\end{aligned}
$$

使用した物理公式

  • 力のつりあいの条件
  • 力の成分分解
計算過程

式③に \(\cos 30^\circ = \displaystyle\frac{\sqrt{3}}{2}\), \(\cos 60^\circ = \displaystyle\frac{1}{2}\) を代入します。
$$
\begin{aligned}
T_2 \times \frac{\sqrt{3}}{2} &= T_1 \times \frac{1}{2} \\[2.0ex]
T_1 &= \sqrt{3} T_2 \quad \cdots ⑤
\end{aligned}
$$
次に、式④に \(\sin 60^\circ = \displaystyle\frac{\sqrt{3}}{2}\), \(\sin 30^\circ = \displaystyle\frac{1}{2}\) を代入します。
$$
\begin{aligned}
T_1 \times \frac{\sqrt{3}}{2} + T_2 \times \frac{1}{2} &= 10
\end{aligned}
$$
この式に⑤を代入します。
$$
\begin{aligned}
(\sqrt{3} T_2) \times \frac{\sqrt{3}}{2} + \frac{T_2}{2} &= 10 \\[2.0ex]
\frac{3}{2} T_2 + \frac{1}{2} T_2 &= 10 \\[2.0ex]
\frac{4}{2} T_2 &= 10 \\[2.0ex]
2 T_2 &= 10 \\[2.0ex]
T_2 &= 5.0\,\text{N}
\end{aligned}
$$
この結果を⑤に代入して \(T_1\) を求めます。\(\sqrt{3} \approx 1.73\) を用います。
$$
\begin{aligned}
T_1 &= \sqrt{3} \times 5.0 \\[2.0ex]
&\approx 1.73 \times 5.0 \\[2.0ex]
&= 8.65\,\text{N}
\end{aligned}
$$
有効数字2桁で \(8.7\,\text{N}\) となります。

この設問の平易な説明

(1)と同じように、左右のつりあいと上下のつりあいを考えます。今回は左右非対称なので、2本の糸が引く力は異なります。より急な角度で引いている糸1の方が、緩やかな角度の糸2よりも大きな力で引いているはずです。「右向きの力 = 左向きの力」と「上向きの力の合計 = 下向きの力」という2つの式を立て、連立方程式として解きます。

結論と吟味

\(T_1 \approx 8.7\,\text{N}\), \(T_2 = 5.0\,\text{N}\) と求まりました。より鉛直に近い、急な角度でつるしている糸1の方が大きな張力を持っており、直感と一致します。

解答 (2) 糸1: \(8.7\,\text{N}\), 糸2: \(5.0\,\text{N}\)
別解: 力のベクトル図形法

思考の道筋とポイント
2つの張力の合力が、鉛直上向きに \(10\,\text{N}\) となります。この合力ベクトルを、糸1の方向と糸2の方向に分解すると考えます。合力ベクトルを対角線とし、辺が糸の方向を向いている平行四辺形を描くと、その辺の長さが張力の大きさ \(T_1, T_2\) になります。
この設問における重要なポイント

  • 合力(上向き \(10\,\text{N}\))を、2つの張力の方向に分解する。
  • 糸1と糸2のなす角が \(180^\circ – 60^\circ – 30^\circ = 90^\circ\) であることに注目する。
  • 分解する2つの方向が直交しているため、力の分解が容易になる。

具体的な解説と立式
2つの張力 \(\vec{T}_1, \vec{T}_2\) の合力は、鉛直上向きに \(10\,\text{N}\) です。
糸1の方向は鉛直方向と \(90^\circ – 60^\circ = 30^\circ\) の角をなし、糸2の方向は鉛直方向と \(90^\circ – 30^\circ = 60^\circ\) の角をなします。
この合力ベクトル(大きさ \(10\,\text{N}\))を、糸1の方向と糸2の方向に分解します。糸1と糸2の方向は互いに直交しているので、合力ベクトルを斜辺とする直角三角形が描けます。
この直角三角形において、
– \(T_1\) は、斜辺 \(10\,\text{N}\) と \(30^\circ\) の角をなす辺の長さ。
– \(T_2\) は、斜辺 \(10\,\text{N}\) と \(60^\circ\) の角をなす辺の長さ。
となります。したがって、
$$
\begin{aligned}
T_1 &= 10 \cos 30^\circ
\end{aligned}
$$
$$
\begin{aligned}
T_2 &= 10 \cos 60^\circ
\end{aligned}
$$

使用した物理公式

  • 力の分解
計算過程

$$
\begin{aligned}
T_1 &= 10 \times \frac{\sqrt{3}}{2} \\[2.0ex]
&= 5\sqrt{3} \\[2.0ex]
&\approx 5 \times 1.73 \\[2.0ex]
&= 8.65\,\text{N}
\end{aligned}
$$
有効数字2桁で \(8.7\,\text{N}\) となります。
$$
\begin{aligned}
T_2 &= 10 \times \frac{1}{2} \\[2.0ex]
&= 5.0\,\text{N}
\end{aligned}
$$

この設問の平易な説明

2本の糸が協力して生み出す上向き \(10\,\text{N}\) の力を、それぞれの糸の方向に「分解」して、各糸の分担分を計算します。糸1と糸2は互いに直角をなしているので、力の分解が簡単です。上向き \(10\,\text{N}\) の矢印を斜辺とする直角三角形を描き、それぞれの辺の長さを三角比で計算します。

結論と吟味

主たる解法と完全に一致した結果が得られました。2つの張力が直交しているという特殊な状況に気づけば、この図形的な解法の方が連立方程式を解くよりもはるかに速く、直感的です。

解答 (2) 糸1: \(8.7\,\text{N}\), 糸2: \(5.0\,\text{N}\)

問(3)

思考の道筋とポイント
糸2が水平なので、張力 \(\vec{T}_2\) はx成分しか持ちません。張力 \(\vec{T}_1\) は斜めを向いているので、水平・鉛直成分に分解します。この問題では、鉛直方向の力は重力と \(\vec{T}_1\) の鉛直成分しかないので、まず鉛直方向のつりあいから \(T_1\) を直接求めることができます。次に、その \(T_1\) の値を使って水平方向のつりあいを考えれば、\(T_2\) が求まります。
この設問における重要なポイント

  • 鉛直方向のつりあいを先に考えると、未知数が1つだけの式が立てられる。
  • 鉛直方向のつりあい: \(T_1\) の上向き成分が、下向きの重力と等しい。
  • 水平方向のつりあい: \(T_1\) の左向き成分と、右向きの \(T_2\) が等しい。

具体的な解説と立式
張力 \(\vec{T}_1\) を水平・鉛直成分に分解します。鉛直線とのなす角が \(45^\circ\) なので、
– \(\vec{T}_1\) の成分: 水平成分 \(T_1 \sin 45^\circ\) (左向き), 鉛直成分 \(T_1 \cos 45^\circ\) (上向き)
張力 \(\vec{T}_2\) は水平右向きです。

– 鉛直方向のつりあい:
$$
\begin{aligned}
(\text{上向きの力の和}) &= (\text{下向きの力の和}) \\[2.0ex]
T_1 \cos 45^\circ &= 10 \quad \cdots ⑥
\end{aligned}
$$
– 水平方向のつりあい:
$$
\begin{aligned}
(\text{右向きの力の和}) &= (\text{左向きの力の和}) \\[2.0ex]
T_2 &= T_1 \sin 45^\circ \quad \cdots ⑦
\end{aligned}
$$

使用した物理公式

  • 力のつりあいの条件
  • 力の成分分解
計算過程

まず、式⑥から \(T_1\) を求めます。\(\cos 45^\circ = \displaystyle\frac{1}{\sqrt{2}}\) を用います。
$$
\begin{aligned}
T_1 \times \frac{1}{\sqrt{2}} &= 10 \\[2.0ex]
T_1 &= 10\sqrt{2}
\end{aligned}
$$
\(\sqrt{2} \approx 1.41\) を用いて、
$$
\begin{aligned}
T_1 &\approx 10 \times 1.41 \\[2.0ex]
&= 14.1\,\text{N}
\end{aligned}
$$
有効数字2桁で \(14\,\text{N}\) となります。
次に、この \(T_1\) の値を式⑦に代入して \(T_2\) を求めます。\(\sin 45^\circ = \displaystyle\frac{1}{\sqrt{2}}\) を用います。
$$
\begin{aligned}
T_2 &= (10\sqrt{2}) \times \frac{1}{\sqrt{2}} \\[2.0ex]
&= 10\,\text{N}
\end{aligned}
$$

この設問の平易な説明

おもりにはたらく下向きの重力 \(10\,\text{N}\) は、斜めに引く糸1だけで支えなければなりません。このことから、まず糸1の張力の大きさが決まります。次に、糸1は斜めに引いているので、左向きにも力を加えてしまっています。おもりが左に動かないのは、糸2がちょうど同じ力で右に引いてバランスをとっているからです。この考え方で、順番に力の大きさを計算できます。

結論と吟味

\(T_1 \approx 14\,\text{N}\), \(T_2 = 10\,\text{N}\) と求まりました。\(T_1\) は重力 \(10\,\text{N}\) を斜めに支えるため、\(10\,\text{N}\) より大きな力が必要となり、\(14\,\text{N}\) という結果は妥当です。

解答 (3) 糸1: \(14\,\text{N}\), 糸2: \(10\,\text{N}\)
別解: 力のベクトル図形法

思考の道筋とポイント
3つの力 \(\vec{T}_1, \vec{T}_2, \vec{W}\) (重力) をベクトルとして足し合わせるとゼロになるので、矢印をつなぐと閉じた三角形ができます。この「力のベクトル三角形」は、辺の長さが力の大きさに対応します。各ベクトルのなす角から、この三角形がどのような図形になるかを考えます。
この設問における重要なポイント

  • 3つの力のベクトルが閉じた三角形をなす。
  • \(\vec{T}_2\)(水平)と \(\vec{W}\)(鉛直)は直交している。
  • \(\vec{T}_1\) は鉛直と \(45^\circ\) の角をなす。

具体的な解説と立式
3つの力ベクトル \(\vec{T}_1, \vec{T}_2, \vec{W}\) をつなぐと、閉じた三角形ができます。
– \(\vec{W}\) は鉛直下向き。
– \(\vec{T}_2\) は水平右向き。
– \(\vec{T}_1\) は左上 \(45^\circ\) の向き。
これらのベクトルで三角形を作ると、\(\vec{W}\) と \(\vec{T}_2\) が直角をなすため、直角三角形になります。
また、\(\vec{T}_1\) の向きから、この直角三角形の角は \(45^\circ, 45^\circ, 90^\circ\) となり、直角二等辺三角形であることがわかります。
この三角形の辺の長さの比は \(1:1:\sqrt{2}\) であり、
– 鉛直な辺の長さが \(W = 10\,\text{N}\)
– 水平な辺の長さが \(T_2\)
– 斜辺の長さが \(T_1\)
に対応します。

使用した物理公式

  • 力のつりあい(ベクトル三角形)
計算過程

辺の比の関係から、
$$
\begin{aligned}
T_1 : T_2 : W &= \sqrt{2} : 1 : 1
\end{aligned}
$$
– \(T_2\) の計算:
$$
\begin{aligned}
T_2 : W &= 1 : 1 \\[2.0ex]
T_2 &= W \\[2.0ex]
&= 10\,\text{N}
\end{aligned}
$$
– \(T_1\) の計算:
$$
\begin{aligned}
T_1 : W &= \sqrt{2} : 1 \\[2.0ex]
T_1 &= \sqrt{2} W \\[2.0ex]
&= 10\sqrt{2} \\[2.0ex]
&\approx 14.1\,\text{N}
\end{aligned}
$$
有効数字2桁で \(14\,\text{N}\) となります。

この設問の平易な説明

3つの力の矢印を、しっぽに頭をつなぐように並べると、ちょうど元の場所に戻ってくる三角形ができます。今回は、重力(真下)と糸2の力(真横)が直角なので、この三角形は直角三角形になります。さらに、糸1の角度が \(45^\circ\) なので、三角定規でおなじみの直角二等辺三角形だとわかります。辺の長さの比が \(1:1:\sqrt{2}\) であることを使えば、簡単に力の大きさを計算できます。

結論と吟味

主たる解法と完全に一致した結果が得られました。この問題のように、力のなす角に \(45^\circ\) や \(90^\circ\) が含まれる場合、図形的な解法は非常に強力で、計算も簡単になります。

解答 (3) 糸1: \(14\,\text{N}\), 糸2: \(10\,\text{N}\)

【総まとめ】この一問を未来の得点力へ!完全マスター講座

最重要ポイント:この問題の核心となる物理法則は?
  • 3力のつりあいと力の分解
    • 核心: この問題の核心は、静止した物体にはたらく3つの力がつりあっている状態を、数学的に正しく処理できるかどうかにあります。そのための最も基本的かつ汎用的な手法が「力の分解」です。斜めを向いた力を水平(x)成分と鉛直(y)成分に分解し、「x方向の力のつりあい」と「y方向の力のつりあい」という2つの独立した式を立てて連立方程式として解く、という一連のプロセスが、3力のつりあいを解く上での王道となります。
    • 理解のポイント:
      • 3力のつりあいの条件: 3つの力 \(\vec{F}_1, \vec{F}_2, \vec{F}_3\) がつりあう条件は、ベクトル和がゼロになること、すなわち \(\vec{F}_1 + \vec{F}_2 + \vec{F}_3 = \vec{0}\) です。これは、どの2つの力の合力も、残りの1つの力と大きさが同じで向きが逆になることを意味します。
      • 成分ごとのつりあい: 上記のベクトル方程式は、成分で考えると「\(F_{1x}+F_{2x}+F_{3x}=0\)」と「\(F_{1y}+F_{2y}+F_{3y}=0\)」という2つのスカラー方程式と等価です。物理の問題では、この成分ごとのつりあいの式を「右向きの力の和 = 左向きの力の和」「上向きの力の和 = 下向きの力の和」という直感的な形で立式することが一般的です。
応用テクニック:似た問題が出たらココを見る!解法の鍵と着眼点
  • 応用できる類似問題のパターン:
    • 壁と床に立てかけた棒のつりあい: 棒にはたらく重力、壁からの垂直抗力、床からの垂直抗力と摩擦力など、複数の力が関わるつりあいの問題。各力を成分分解し、水平・鉛直のつりあいの式、さらに力のモーメントのつりあいの式を立てて解きます。
    • 糸で引かれる斜面上の物体: 斜面上の物体に、重力、垂直抗力、摩擦力に加えて、斜め上方に引く糸の張力がはたらく問題。全ての力を「斜面に平行」と「斜面に垂直」な方向に分解し、それぞれの方向で力のつりあいの式を立てます。
    • ラミの定理: 3つの力がつりあっているとき、各力の大きさと、他の2つの力がなす角の正弦(sin)との間には一定の関係 (\(\displaystyle\frac{F_1}{\sin\theta_1} = \frac{F_2}{\sin\theta_2} = \frac{F_3}{\sin\theta_3}\)) が成り立ちます。これを知っていると、角度が分かっている場合に素早く解けることがあります(高校範囲外だが強力)。
  • 初見の問題での着眼点:
    1. まずは力の図示: 注目する物体(おもり)に、どのような力が、どの方向にはたらいているかを、矢印で全て描き出すことが全ての始まりです。
    2. 座標軸の設定: 力を分解するために、水平・鉛直方向、あるいは斜面に平行・垂直な方向にx, y軸を設定します。
    3. 角度の特定: 各力のベクトルが、設定した座標軸となす角を、図形の性質(錯角、同位角など)を使って正確に求めます。ここを間違えると全ての計算が狂います。
    4. 図形の対称性や特殊な角度に注目する: (1)の左右対称性や、(2)(3)の \(30^\circ, 45^\circ, 60^\circ, 90^\circ\) といった特殊な角度に気づけば、計算が簡単になったり、別解(図形法)が使えたりします。
要注意!ありがちなミス・誤解とその対策
  • 角度の取り違え:
    • 誤解: 天井との角度や鉛直線との角度を、水平線との角度と混同してしまい、分解に使う \(\sin, \cos\) を逆にしてしまう。
    • 対策: 毎回、水平線と鉛直線を補助線として描き、力のベクトルと水平線がなす角を明確に図示する癖をつけましょう。その上で、水平成分が \(\cos\)、鉛直成分が \(\sin\) と覚えるか、あるいは角度を挟む辺が \(\cos\)、向かいの辺が \(\sin\) と図形的に判断するのが確実です。
  • 連立方程式の計算ミス:
    • 誤解: (2)のように、代入や式の整理の過程で計算を間違えてしまう。
    • 対策: \(\sin 30^\circ = 0.5\) のように小数に直すよりも、\(\displaystyle\frac{1}{2}\) のように分数のまま計算を進める方が、約分などで式が簡単になることが多く、ミスを減らせます。また、一方の式を \(T_1 = \dots\) の形に変形してからもう一方の式に代入する、という手順を丁寧に踏むことが重要です。
  • 別解(図形法)での勘違い:
    • 誤解: 力のベクトル三角形を描く際に、ベクトルの向きを無視して単に辺をつないでしまったり、角度の関係を間違えたりする。
    • 対策: ベクトルは「矢印」であることを意識し、必ず「Aの終点にBの始点をつなぐ」というルールを守って作図します。また、力のベクトルがなす角と、三角形の内角は異なる場合が多いので注意が必要です。
なぜその公式?論理的な公式選択と適用の思考法
  • アプローチ選択(力の分解法):
    • 選定理由: この方法は、どんな角度、どんな力の組み合わせであっても、機械的な手順で必ず解けるという、非常に汎用性が高いアプローチです。未知数が2つ(\(T_1, T_2\))に対し、独立した方程式が2つ(水平方向のつりあい、鉛直方向のつりあい)立てられるため、数学的に必ず解けることが保証されています。
    • 適用根拠: ベクトルで表された物理法則(力のつりあい \(\vec{F}_{\text{合}} = \vec{0}\))を、スカラー量である成分ごとの方程式(\(F_{\text{合}x} = 0, F_{\text{合}y} = 0\))に落とし込むという、物理学における基本的な問題解決戦略に基づいています。
  • 別解のアプローチ選択(ベクトル図形法):
    • 選定理由: 問題の図形的な特徴(対称性や \(30^\circ, 45^\circ, 90^\circ\) などの特殊な角度)が顕著な場合に、この方法は非常に強力です。代数的な計算を、幾何学的な辺の比の計算に置き換えることで、思考を単純化し、計算を高速化できます。
    • 適用根拠: 「3力のつりあい」は、ベクトル図形上では「3つのベクトルで閉じた三角形が描ける」という条件と等価です。この幾何学的な性質を利用して、三角形の辺の長さ(力の大きさ)を三角法や相似比で求めるのは、数学的に正当なアプローチです。
計算ミスをなくす!日頃の意識と実践テクニック
  • 三角比の値を正確に覚える: \(\sin, \cos\) の \(30^\circ, 45^\circ, 60^\circ\) の値は即座に出てくるように完璧に覚えておきましょう。特に、\(\displaystyle\frac{1}{2}, \frac{1}{\sqrt{2}}, \frac{\sqrt{3}}{2}\) の対応を間違えないように注意が必要です。
  • 物理的な意味を考えながら検算する:
    • (1) 左右対称なので \(T_1=T_2\) になるはず。
    • (2) 糸1の方が急な角度で吊っているので、鉛直方向への貢献が大きく、より大きな張力が必要なはず (\(T_1 > T_2\))。
    • (3) 鉛直方向の力は糸1だけで支えているので、その鉛直成分は \(10\,\text{N}\) のはず。斜めになっている分、\(T_1\) 自体は \(10\,\text{N}\) より大きくなるはず。

    このような物理的な直感と計算結果が一致するかを確認する癖をつけると、大きなミスに気づきやすくなります。

  • ルートの近似値を覚えておく: \(\sqrt{2} \approx 1.41\), \(\sqrt{3} \approx 1.73\) は物理で頻出します。覚えておくと、最終的な数値計算が速く、正確になります。

70 斜面上での力のつりあい

【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド

【相違点に関する注記】
  1. 提示する別解
    • 運動方程式を用いる解法
      • 模範解答が「力のつりあい」という静力学的な条件から立式するのに対し、別解ではより普遍的な法則である「運動方程式 \(ma=F\)」において、加速度 \(a=0\) の場合として考え、同様の結論を導きます。
  2. 上記の別解が有益である理由
    • 物理的本質の深化: 「力のつりあいの状態」が、運動方程式における「加速度がゼロの状態」という特殊な場合に過ぎないことを理解することで、静力学と動力学が分断されたものではなく、一つの統一された法則で説明できることへの理解が深まります。
    • 思考の普遍性向上: どのような力学の問題に直面しても、まずは運動方程式を立てる、という一貫したアプローチを身につけることができます。
  3. 結果への影響
    • いずれのアプローチを用いても、思考の出発点が異なるだけで、立式される方程式と最終的な答えは模範解答と完全に一致します。

この問題のテーマは「なめらかな斜面上での弾性力を含む力のつりあい」です。斜面上の物体にはたらく重力を適切に分解し、斜面に平行な方向の力のつりあいを考える、力学の基本問題です。

問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。

  1. 重力の分解: 斜面上にある物体にはたらく重力 \(mg\) を、斜面に平行な成分 \(mg\sin\theta\) と、斜面に垂直な成分 \(mg\cos\theta\) に正しく分解できること。
  2. 力のつりあいの条件: 物体が静止しているとき、物体にはたらく力の合力はゼロであること。この問題では、特に斜面に平行な方向の力がつりあっていることに着目します。
  3. フックの法則: ばねの弾性力の大きさ \(F\) は、ばねの自然長からの伸びや縮み \(x\) に比例する (\(F=kx\)) ことを理解していること。

基本的なアプローチは以下の通りです。

  1. (1)では、まず物体にはたらく力をすべて図示します。次に、重力を斜面に平行な方向と垂直な方向に分解します。物体が静止していることから、斜面に平行な方向の力のつりあいの式を立て、弾性力の大きさを求めます。
  2. (2)では、(1)で求めた弾性力の大きさを、フックの法則の式に代入することで、ばねの縮みを計算します。

問(1)

思考の道筋とポイント
物体がばねから受ける弾性力の大きさを求めます。物体は「静止」しているので、物体にはたらく全ての力はつりあっています。特に、斜面に平行な方向の力に着目すると、物体を斜面に沿って滑り落とそうとする「重力の斜面成分」と、ばねがそれを押し返している「弾性力」の2つがはたらいています。これら2つの力がつりあっている(大きさが等しい)という式を立てることで、弾性力を求めることができます。
この設問における重要なポイント

  • 物体にはたらく力を図示する(重力、垂直抗力、弾性力)。
  • 重力を斜面に平行な成分 \(mg\sin\theta\) と垂直な成分 \(mg\cos\theta\) に分解する。
  • 「静止」という条件から、斜面に平行な方向の力のつりあいを考える。

具体的な解説と立式
物体にはたらく力は、以下の3つです。

  1. 地球が物体を引く力「重力」(大きさ \(mg\)、鉛直下向き)
  2. ばねが物体を押す力「弾性力」(大きさ \(F\)、斜面に沿って上向き)
  3. 斜面が物体を支える力「垂直抗力」(大きさ \(N\)、斜面に垂直で上向き)

このうち、重力を斜面に平行な方向と垂直な方向に分解します。
– 斜面に平行(下向き)な成分: \(mg\sin\theta\)
– 斜面に垂直(斜面にめり込む向き)な成分: \(mg\cos\theta\)

物体は静止しているので、斜面に平行な方向の力がつりあっています。
$$
\begin{aligned}
(\text{斜面に沿って上向きの力}) &= (\text{斜面に沿って下向きの力})
\end{aligned}
$$
したがって、以下のつりあいの式が成り立ちます。
$$
\begin{aligned}
F &= mg\sin\theta
\end{aligned}
$$

使用した物理公式

  • 力のつりあいの条件
  • 重力の分解
計算過程

上記で立式した式がそのまま答えとなります。

この設問の平易な説明

斜面の上に置かれた物体は、重力によって斜面を滑り落ちようとします。この「滑り落ちようとする力」の大きさは \(mg\sin\theta\) で計算できます。今回は、ばねが縮んで物体を押し返すことで、この滑り落ちようとする力とちょうど引き分け(つりあい)の状態になり、物体は静止しています。したがって、ばねが押す力は、「滑り落ちようとする力」と全く同じ大きさになります。

結論と吟味

弾性力の大きさは \(mg\sin\theta\) と求まりました。傾斜角 \(\theta\) が \(0\) のとき(水平な面)は \(\sin 0 = 0\) なので弾性力は \(0\) に、\(\theta\) が \(90^\circ\) のとき(鉛直な壁)は \(\sin 90^\circ = 1\) なので弾性力は \(mg\) となり、物理的な直感と一致する妥当な結果です。

解答 (1) \(mg\sin\theta\)

問(2)

思考の道筋とポイント
ばねの縮みを求めます。(1)で弾性力の大きさ \(F\) が \(mg\sin\theta\) であることがわかりました。弾性力の大きさとばねの変形量(縮み)の関係は、フックの法則 \(F=kx\) で与えられます。この式に(1)の結果を代入し、縮み \(x\) について解きます。
この設問における重要なポイント

  • フックの法則 \(F=kx\) を適用する。
  • (1)で求めた弾性力 \(F\) の式を代入する。

具体的な解説と立式
ばねの縮みを \(x\) とします。フックの法則より、弾性力の大きさ \(F\) は、
$$
\begin{aligned}
F &= kx
\end{aligned}
$$
と表せます。(1)の結果から \(F = mg\sin\theta\) なので、これを代入すると、
$$
\begin{aligned}
kx &= mg\sin\theta
\end{aligned}
$$
となります。

使用した物理公式

  • フックの法則: \(F=kx\)
計算過程

上記で立式した式を、縮み \(x\) について解きます。
$$
\begin{aligned}
x &= \frac{mg\sin\theta}{k}
\end{aligned}
$$

この設問の平易な説明

(1)で、ばねがどれくらいの力で物体を押し返しているかがわかりました。ばねの力は「ばねの硬さ(\(k\))」と「縮んだ長さ(\(x\))」を掛け算したものです。したがって、「ばねの力」を「ばねの硬さ」で割り算すれば、「縮んだ長さ」を計算することができます。

結論と吟味

ばねの縮みは \(\displaystyle\frac{mg\sin\theta}{k}\) と求まりました。この式から、物体の質量が重いほど、また斜面の傾きが急であるほど、ばねは大きく縮むことがわかります。逆に、ばねが硬い(\(k\) が大きい)ほど、縮みは小さくなります。これらは物理的な直感と一致しており、妥当な結果です。

解答 (2) \(\displaystyle\frac{mg\sin\theta}{k}\)
別解: 運動方程式を用いる解法

思考の道筋とポイント
すべての力学現象の基本である運動方程式 \(ma=F_{\text{合力}}\) から出発する方法です。物体が「静止」しているということは、速度がゼロで一定、つまり加速度 \(a\) がゼロであると解釈します。この条件を、斜面に平行な方向の運動方程式に適用することで、弾性力と縮みを求めます。
この設問における重要なポイント

  • 力のつりあいの状態は、運動方程式 \(ma=F_{\text{合力}}\) において加速度 \(a=0\) の特別な場合であると理解する。
  • 座標軸(斜面に沿って上向き)を正として定義し、各力の向きを符号(正負)で正しく表現する。

具体的な解説と立式
斜面に沿って上向きを正の方向と定めます。
物体にはたらく斜面方向の力は、ばねが押す「弾性力 \(F\)」(正の向き)と、物体を滑り落とそうとする「重力の斜面成分 \(mg\sin\theta\)」(負の向き)です。
物体の質量を \(m\)、加速度を \(a\) として、斜面方向の運動方程式を立てると、
$$
\begin{aligned}
ma &= F – mg\sin\theta
\end{aligned}
$$
となります。
問題文より、物体は「静止」しているので、その加速度は \(a=0\) です。この条件を運動方程式に代入します。
$$
\begin{aligned}
m \times 0 &= F – mg\sin\theta
\end{aligned}
$$

使用した物理公式

  • 運動方程式: \(ma=F_{\text{合力}}\)
  • 重力の分解
  • フックの法則: \(F=kx\)
計算過程

【設問(1)の計算】
上記で立式した式を \(F\) について解きます。
$$
\begin{aligned}
0 &= F – mg\sin\theta \\[2.0ex]
F &= mg\sin\theta
\end{aligned}
$$
これが弾性力の大きさです。

【設問(2)の計算】
この結果に、フックの法則 \(F=kx\)(\(x\) は縮み)を適用します。
$$
\begin{aligned}
kx &= mg\sin\theta
\end{aligned}
$$
これを \(x\) について解くと、
$$
\begin{aligned}
x &= \frac{mg\sin\theta}{k}
\end{aligned}
$$
となります。

この設問の平易な説明

物理の運動に関する万能ルールである「運動方程式」を使っても解くことができます。このルールは、「物体の動きの変化(加速度)」は「物体にはたらく力の合計(合力)」によって決まる、というものです。今回は物体が静止していて動きが変化しないので、「加速度はゼロ」です。これを万能ルールに当てはめると、「物体にはたらく力の合計もゼロ」でなければならない、ということになります。力の合計がゼロということは、斜面に沿って上向きに押すばねの力と、下向きに滑り落ちようとする重力の分力が等しいということなので、結局は同じ計算で答えを出すことができます。

結論と吟味

主たる解法と完全に一致した結果が得られました。このことは、「力のつりあい」が、より普遍的な法則である「運動方程式」の特別な場合(\(a=0\))であることを明確に示しています。

解答 (1) \(mg\sin\theta\)
解答 (2) \(\displaystyle\frac{mg\sin\theta}{k}\)

【総まとめ】この一問を未来の得点力へ!完全マスター講座

最重要ポイント:この問題の核心となる物理法則は?
  • 斜面方向の力のつりあい
    • 核心: この問題の核心は、斜面上に置かれた物体にはたらく力を、物理的に意味のある2つの方向、すなわち「斜面に平行な方向」と「斜面に垂直な方向」に分けて考えることにあります。物体が静止しているため、これら2つの方向それぞれで力がつりあっています。特に、ばねの伸び縮みは斜面に平行な運動に関わるため、「斜面に平行な方向の力のつりあい」に注目することが、問題を解くための最短ルートとなります。
    • 理解のポイント:
      • 座標軸の選択: なぜ水平・鉛直ではなく、斜面に沿った座標軸を選ぶのか。それは、物体の運動(あるいはその可能性)や、垂直抗力・弾性力といった力が、斜面に沿った方向に現れるからです。問題の状況に最も適した座標軸を選ぶことが、力学の問題解決における重要な戦略です。
      • 独立性: 斜面に平行な方向の力のつりあいと、斜面に垂直な方向の力のつりあいは、互いに独立しています。この問題では、垂直抗力は計算に不要ですが、それは斜面に垂直な方向のつりあい(垂直抗力 = 重力の垂直成分 \(mg\cos\theta\))が、斜面平行方向のつりあいとは独立に成り立っているためです。
      • つりあいの式: 斜面に平行な方向には、物体を滑り落とそうとする「重力の成分」と、それを支える「弾性力」の2つしかはたらいていません。したがって、この2つの力が等しいというシンプルなつりあいの式を立てることができます。
応用テクニック:似た問題が出たらココを見る!解法の鍵と着眼点
  • 応用できる類似問題のパターン:
    • 摩擦のある斜面上のばね: 「傾斜角 \(\theta\) の粗い斜面上で、ばねが物体を支えて静止している。ばねの縮みはいくらか?」という問題。この場合、物体を滑り落とそうとする重力の成分 \(mg\sin\theta\) に対して、弾性力と静止摩擦力が協力して支えます。力のつりあいの式は「弾性力 + 静止摩擦力 = \(mg\sin\theta\)」となります。静止摩擦力は状況によって変化するため、ばねの縮みは一定の値ではなく、ある範囲をとることになります。
    • 斜面をばねで引き上げる問題: 「ばねの一端を斜面の上方に固定し、他端で物体をつるして静止させた。ばねの伸びはいくらか?」という問題。この場合も、物体を滑り落とそうとする重力の成分 \(mg\sin\theta\) と、ばねが引き上げる弾性力がつりあうため、結果として同じ \(kx = mg\sin\theta\) という式が成り立ちます。
    • 斜面上の単振動: この問題の状態から物体を少しずらして放すと、物体はつりあいの位置を中心として単振動を始めます。そのときの振動の中心が、まさにこの問題で求めた「力のつりあいの位置」になります。
  • 初見の問題での着眼点:
    1. 「なめらかな斜面」というキーワードを確認する: 「なめらか」という言葉は、摩擦を考えなくてよいことを意味します。これにより、考えるべき力が重力、垂直抗力、弾性力(や張力)などに限定され、問題が単純化されます。
    2. 力を「斜面に平行」と「斜面に垂直」な方向に分解する: 斜面問題の鉄則です。特に、鉛直下向きの重力をこの2方向に分解することが全ての始まりです。
    3. どの方向のつりあいに注目すべきか判断する: 問題で問われている量(この場合は弾性力とばねの縮み)が、どの方向の運動に関係しているかを考えます。ばねの伸縮は斜面に平行な方向なので、この方向の力のつりあいに着目すればよいと判断できます。
要注意!ありがちなミス・誤解とその対策
  • 重力の分解方向を間違える:
    • 誤解: 重力を、水平方向と鉛直方向に分解してしまう。
    • 対策: 斜面上の問題では、運動や力が斜面に束縛されるため、水平・鉛直に分解しても式が複雑になるだけです。座標軸は常に「斜面に平行」と「斜面に垂直」にとる、という基本ルールを徹底しましょう。
  • 分解した重力の成分と、元の重力を二重に数えてしまう:
    • 誤解: 力のつりあいの式を立てる際に、分解後の \(mg\sin\theta\) や \(mg\cos\theta\) に加えて、分解前の \(mg\) も式に入れてしまう。
    • 対策: 分解は、1つの力を複数の力に「分け直す」作業です。分解した後は、元の力はもう存在しないものとして考えましょう。図に力を描き込む際も、分解前の重力ベクトルに斜線を引くなどして、計算に使わないことを明示するとミスが減ります。
  • 弾性力と重力の成分の向きを混同する:
    • 誤解: ばねが「縮んで」いるのに、弾性力が斜面下向きにはたらくと考えてしまう。
    • 対策: 弾性力は、ばねが「自然長に戻ろうとする」向きにはたらきます。ばねが縮んでいる場合は、伸びようとして物体を「押す」ので、斜面上向きにはたらきます。ばねが伸びている場合は、縮もうとして物体を「引く」ので、これも斜面上向き(ばねが斜面の上方にある場合)にはたらきます。
なぜその公式?論理的な公式選択と適用の思考法
  • (1)でのアプローチ選択(斜面平行方向の力のつりあい):
    • 選定理由: 求めたいのは「弾性力 \(F\)」。この力は、斜面に平行な方向にはたらいています。物体は静止しているので、この方向で力がつりあっているはずです。この方向にはたらく他の力は「重力の斜面平行成分」のみです。したがって、「弾性力 = 重力の斜面平行成分」という式を立てるのが、未知数 \(F\) を求めるための最も直接的で論理的な選択です。斜面に垂直な方向のつりあい(垂直抗力 = 重力の斜面垂直成分)は、この設問を解く上では不要な情報です。
    • 適用根拠: ベクトルで表される力のつりあいの法則は、任意の直交する2つの方向で、成分ごとに独立して成り立ちます。問題解決に必要な情報が得られる方向(斜面平行方向)の式だけを選択して利用するのは、効率的な問題解決の基本です。
  • (2)での公式選択(フックの法則):
    • 選定理由: 求めたいのは「ばねの縮み \(x\)」。(1)で、その縮みを引き起こしている「弾性力 \(F\)」の大きさが求まりました。ばねの変形量(\(x\))と弾性力(\(F\))、そしてばねの性質(\(k\))を結びつける唯一の法則がフックの法則 \(F=kx\) です。
    • 適用根拠: (1)で力のつりあいというマクロな法則から弾性力を求め、(2)でそのミクロな原因(ばねの変形)をフックの法則で記述するという、異なる階層の物理法則を連携させて問題を解いています。
計算ミスをなくす!日頃の意識と実践テクニック
  • 文字式のまま計算を進める: この問題のように、具体的な数値ではなく文字(\(m, g, k, \theta\))で与えられている場合、計算ミスは起こりにくいですが、式の変形は丁寧に行いましょう。特に、分数の形に整理する際は、分母と分子を間違えないように注意が必要です。
  • 極端な場合を代入して検算する:
    • (2)で求めた \(x = \displaystyle\frac{mg\sin\theta}{k}\) という答えを吟味してみましょう。
    • \(\theta=0\)(水平)のとき: \(\sin 0 = 0\) なので \(x=0\)。ばねは縮まない。正しい。
    • \(\theta=90^\circ\)(鉛直)のとき: \(\sin 90^\circ = 1\) なので \(x = mg/k\)。これは、ばねを鉛直に立てて質量 \(m\) の物体を乗せたときの縮みと一致する。正しい。
    • \(m\) が大きいほど \(x\) は大きい、\(k\) が大きいほど \(x\) は小さい。これも直感と一致します。
  • 単位を確認する(次元解析): 答えの式の単位が、求めたい量の単位と一致するかを確認します。\(x = \displaystyle\frac{mg\sin\theta}{k}\) の右辺の単位は、\(\displaystyle\frac{[\text{N}]}{[\text{N/m}]} = [\text{m}]\) となり、求めたい縮み(長さ)の単位と一致します。これにより、式が物理的に妥当である可能性が高いと判断できます。
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71 2物体のつりあい

【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド

【相違点に関する注記】
  1. 提示する別解
    • 別解1: 図形の相似比を用いる解法
      • 主たる解法が三角比(\(\sin 30^\circ\))を用いて重力の成分を計算するのに対し、この別解では、傾斜角が\(30^\circ\)の直角三角形の辺の比(\(1:2:\sqrt{3}\))を利用して、幾何学的に力の成分を求めます。
    • 別解2: 系全体の位置エネルギーで考える解法
      • 主たる解法が「台車」と「おもり」を別々の物体として扱い、それぞれの力のつりあいを考えるのに対し、この別解では「台車とおもりを一体のシステム(系)」と見なし、系全体の位置エネルギーがつりあいの位置で極値をとる(仮想的に動かしたときの位置エネルギー変化がゼロになる)という原理を用いて、おもりの質量を直接求めます。
  2. 上記の別解が有益である理由
    • 物理的本質の深化: 相似比を用いる解法は、力の分解が図形の相似関係に基づいていることを直感的に理解させます。エネルギーを用いる解法は、個々の力のつりあいだけでなく、系全体のエネルギーという、より高い視点からつりあい状態を捉えることを可能にします。
    • 思考の柔軟性向上: 問題の特性に応じて、代数的なアプローチ(三角比)、幾何学的なアプローチ(相似比)、エネルギー的なアプローチを使い分ける経験を積むことで、問題解決能力の幅が広がります。
  3. 結果への影響
    • いずれのアプローチを用いても、計算過程や思考の出発点が異なるだけで、最終的に得られる答えは模範解答と完全に一致します。

この問題のテーマは「糸と滑車でつながれた2物体のつりあい」です。斜面上にある物体と、滑車を介してつるされた物体の2つが静止している状況を、それぞれの物体にはたらく力のつりあいを考えることで解析します。

問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。

  1. 力の図示と分解: 各物体にはたらく力をすべて図示し、特に斜面上の物体にはたらく重力を、斜面に平行な成分と垂直な成分に正しく分解できること。
  2. 力のつりあいの条件: 静止している物体にはたらく力は、どの方向においてもつりあっている(合力がゼロである)ことを理解していること。
  3. 糸の張力の性質: 軽くて伸び縮みしない糸の場合、糸の張力は糸に沿って両端の物体を同じ大きさで引くこと。
  4. 複数物体の扱い: 複数の物体が連動している場合、それぞれの物体について個別に力のつりあいの式を立て、連立させて解くのが基本戦略であること。

基本的なアプローチは以下の通りです。

  1. (1)では、まず斜面上の「台車」に着目します。台車にはたらく力のうち、斜面に平行な方向の力がつりあっているという式を立てることで、糸の張力 \(T\) を求めます。
  2. (2)では、次に「おもり」に着目します。おもりにはたらく鉛直方向の力がつりあっているという式を立てます。このとき、おもりを引く張力は(1)で求めた \(T\) と同じ大きさであることを利用して、おもりの質量を求めます。

問(1)

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