無料でしっかり基礎固め!物理基礎 問題演習「運動方程式 F=ma の基本」【高校物理対応】

問題の確認

dynamics#24

各設問の思考プロセス

この問題は、力学の最も基本的かつ重要な法則であるニュートンの「運動の第二法則(運動方程式)」を、正しく理解し使えるかを問う問題です。物体にはたらく「力 \(F\)」、物体の「質量 \(m\)」、そして力の作用によって生じる「加速度 \(a\)」という3つの物理量の関係を扱います。

この問題を解く上で中心となる物理法則は、ただ一つです。

  • ニュートンの運動の第二法則(運動方程式):
    $$F = ma$$
    この単一の式が、すべての力学現象を記述する出発点となります。

この問題を解くための手順は非常にシンプルです。

  1. (1) 加速度を求める:
    運動方程式 \(F=ma\) を、求めたい加速度 \(a\) について変形し (\(a=F/m\))、与えられた \(F\) と \(m\) の値を代入して計算します。
  2. (2) 力を求める:
    運動方程式 \(F=ma\) に、与えられた \(m\) と \(a\) の値をそのまま代入して、力 \(F\) を計算します。

どちらの設問も、運動方程式という一つの法則を異なる視点から適用する練習となります。

各設問の具体的な解説と解答

(1) 物体は何 \(m/s^2\) の加速度で運動するか。

問われている内容の明確化
質量 \(5.0 \, \text{kg}\) の物体に \(10 \, \text{N}\) の力を加えたときに生じる加速度 \(a\) を求めます。

具体的な解説と立式
ニュートンの運動方程式 \(F=ma\) を、求めたい加速度 \(a\) について解きます。両辺を質量 \(m\) で割ることで、
$$a = \frac{F}{m} \quad \cdots ①$$
となります。この式に、与えられた値を代入します。

使用した物理公式: ニュートンの運動方程式
$$F = ma$$

計算過程
式①に、\(F = 10 \, \text{N}\), \(m = 5.0 \, \text{kg}\) を代入します。
$$
\begin{aligned}
a &= \frac{10 \, \text{N}}{5.0 \, \text{kg}} \\[2.0ex]&= 2.0 \, \text{m/s}^2
\end{aligned}
$$
(注: \(1 \, \text{N} = 1 \, \text{kg} \cdot \text{m/s}^2\) なので、単位も正しく \(\text{m/s}^2\) となります。また、与えられた数値が有効数字2桁なので、答えも2.0としています。)

計算方法の平易な説明

  • 加速度は、物体にはたらく力を物体の質量で割ることで計算できます。
  • 10 N を 5.0 kg で割ると、2.0 となります。加速度の単位は \(\text{m/s}^2\) です。

この設問における重要なポイント

  • 運動方程式 \(F=ma\) を、求めたい物理量(この場合はa)について正しく変形できること。
解答 (1):
\(2.0 \, \text{m/s}^2\)

(2) 物体にはたらいている力は何Nか。

問われている内容の明確化
質量 \(5.0 \, \text{kg}\) の物体を \(1.5 \, \text{m/s}^2\) の加速度で動かすために必要な力 \(F\) を求めます。

具体的な解説と立式
ニュートンの運動方程式 \(F=ma\) をそのまま用います。
$$F = ma \quad \cdots ②$$
この式に、与えられた質量 \(m\) と加速度 \(a\) の値を代入します。

使用した物理公式: ニュートンの運動方程式
$$F = ma$$

計算過程
式②に、\(m = 5.0 \, \text{kg}\), \(a = 1.5 \, \text{m/s}^2\) を代入します。
$$
\begin{aligned}
F &= (5.0 \, \text{kg}) \times (1.5 \, \text{m/s}^2) \\[2.0ex]&= 7.5 \, \text{N}
\end{aligned}
$$
(注: \(\text{kg} \cdot \text{m/s}^2\) という単位の組み合わせが、力の単位である N(ニュートン)の定義です。)

計算方法の平易な説明

  • 物体にはたらく力は、その物体の質量と加速度を掛け合わせることで計算できます。
  • 5.0 kg に 1.5 \(\text{m/s}^2\) を掛けると、7.5 となります。力の単位は N です。

この設問における重要なポイント

  • 運動方程式 \(F=ma\) を、力を求めるために直接使えること。
  • 力の単位がN(ニュートン)であることを理解していること。
解答 (2):
7.5 N

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問題全体を通して理解しておくべき重要な物理概念や法則

  • ニュートンの運動の第二法則(運動方程式 \(F=ma\)): 力学における最も重要な法則の一つです。物体に力がはたらくと、物体は力の向きに加速度を生じ、その大きさは力の大きさに比例し、物体の質量に反比例するという関係を表します。
  • 力・質量・加速度の関係: この3つの量は、運動方程式によって互いに関連付けられています。どれか2つが分かれば、残りの1つを計算することができます。

類似の問題を解く上でのヒントや注意点

  • 単位の統一: この問題では単位がすべて国際単位系(SI単位)で与えられていますが、問題によっては質量がg(グラム)で与えられることもあります。その場合は、必ずkgに変換してから計算するようにしましょう。
  • 合力を考える: 複数の力がはたらいている場合は、運動方程式の \(F\) には、それらの力の「合力(ベクトル和)」を代入する必要があります。この問題は力が一つしかないので単純ですが、より複雑な問題では合力を正しく求めることが第一歩になります。

よくある誤解や間違いやすいポイント

  • 公式の混同: \(F=ma\) の関係を、例えば \(m=Fa\) のように間違えて覚えてしまうケース。式の意味(力が原因で加速度が結果として生じる)を理解することが大切です。
  • 単位の間違い: 力の単位をkg、質量の単位をNなど、基本的な単位を混同しないように注意が必要です。力は[N]、質量は[kg]、加速度は[\(\text{m/s}^2\)]です。
  • 静止している物体には力がはたらいていないという誤解: 静止している物体や、等速直線運動をしている物体は、加速度が \(a=0\) です。運動方程式 \(F=ma\) から、これは「はたらいている力の合力が0」であることを意味します。力が全くはたらいていない場合だけでなく、複数の力がつり合っている場合も含まれることに注意が必要です。

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