問題58 光の粒子性 (名古屋大+東北大+大阪公立大)
【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド
- 提示する別解
- 設問(5)〜(7)の別解: 空間積分(斜柱モデル)を用いた体系的解法
- 模範解答は、1個の光子が長時間に及ぼす平均の力を求め、それを全粒子数倍して全体の力を求めています。
- 対して別解では、微小時間 \(\Delta t\) の間に壁面に衝突する光子群の領域(斜柱)の体積を考え、その中に含まれる光子の総運動量変化を一気に計算して圧力を導出します。これは気体分子運動論のより一般的で厳密な導出方法です。
- 設問Qの別解: 立体角積分を用いた統計力学的解法
- 模範解答は、球形容器内を特定の角度で反射し続ける光子の幾何学的性質(衝突距離と頻度)に着目して解いています。
- 対して別解では、容器内の光子の速度方向があらゆる方向に均等に分布している(等方性)と仮定し、立体角を用いた積分計算によって、容器の形状に依存しない普遍的な圧力の式を導出します。
- 設問(5)〜(7)の別解: 空間積分(斜柱モデル)を用いた体系的解法
- 上記の別解が有益である理由
- 斜柱モデル: 「単位時間あたりに面を通過する粒子数(フラックス)」という概念は、物理学全般(流体力学、電磁気学など)で頻出する重要な考え方です。
- 立体角積分: 圧力が \(P = \frac{1}{3}U\) となる係数 \(\frac{1}{3}\) が、空間が3次元であることに由来する事実を数学的に理解でき、応用力が飛躍的に向上します。
- 結果への影響
- いずれのアプローチを用いても、最終的に得られる答えは模範解答と完全に一致します。
この問題のテーマは「光子気体による圧力(光圧)」です。光を粒子(光子)として扱い、気体分子運動論のアナロジー(類推)を用いて、光子が壁に及ぼす圧力を導出します。さらに、容器が球形の場合についても考察します。
問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。
- 光子の運動量とエネルギー: 振動数 \(\nu\) の光子1個のエネルギーは \(E = h\nu\)、運動量は \(p = \frac{h\nu}{c}\) です。
- 力積と運動量変化の関係: 物体が受ける力積は、その物体の運動量の変化に等しいです(\(\vec{I} = \Delta \vec{p}\))。
- 作用・反作用の法則: 壁が光子に与えた力積と、光子が壁に与えた力積は、大きさ等しく逆向きです。
- 気体分子運動論の考え方: 微視的な粒子の衝突による力積の総和を、巨視的な圧力として捉えます。
基本的なアプローチは以下の通りです。
- (1)〜(3)では、1個の光子に着目し、壁との1回の衝突での運動量変化と、時間 \(t\) における衝突回数から、壁に与える力積を求めます。
- (4)では、光子の運動の等方性(ランダムさ)を利用して、速度成分の平均値を求めます。
- (5)〜(7)では、全光子 \(N\) 個からの寄与を合計し、圧力 \(P\) とエネルギー密度 \(U\) の関係式を導きます。
- Qでは、球形容器の場合について、幾何学的な考察を行い圧力を求めます。
問(1)
思考の道筋とポイント
光子の運動量を、速度成分を用いて表します。
光子の運動量の大きさは \(p = \frac{h\nu}{c}\) です。
運動量ベクトル \(\vec{p}\) の向きは速度ベクトル \(\vec{c}\) の向きと一致するため、各成分の比は等しくなります。
この設問における重要なポイント
- ベクトルの比例関係: 運動量ベクトル \(\vec{p}\) と速度ベクトル \(\vec{c}\) は平行です。
- 成分分解: \(x\) 成分についても、大きさの比が成り立ちます。
具体的な解説と立式
光子の運動量の大きさ \(p\) は以下の通りです。
$$
\begin{aligned}
p &= \frac{h\nu}{c}
\end{aligned}
$$
運動量ベクトル \(\vec{p}\) と速度ベクトル \(\vec{c}\) は平行なので、その \(x\) 成分 \(p_x\) と速度の \(x\) 成分 \(c_x\) の間には以下の比例関係が成り立ちます。
$$
\begin{aligned}
p_x : p &= c_x : c \\[2.0ex]
\frac{p_x}{p} &= \frac{c_x}{c}
\end{aligned}
$$
これより、\(p_x\) を求める式を立てます。
$$
\begin{aligned}
p_x &= \frac{c_x}{c} p
\end{aligned}
$$
使用した物理公式
- 光子の運動量: \(p = \frac{h\nu}{c}\)
\(p = \frac{h\nu}{c}\) を代入します。
$$
\begin{aligned}
p_x &= \frac{c_x}{c} \cdot \frac{h\nu}{c} \\[2.0ex]
&= \frac{h\nu}{c^2} c_x
\end{aligned}
$$
問題文の空欄 (1) は係数部分を求めているので、\(\frac{h\nu}{c^2}\) が該当します。
光の粒(光子)が持っている「勢い(運動量)」を、スピードの \(x\) 方向成分を使って表す問題です。
全体の勢いは \(h\nu/c\) ですが、これを \(x\) 方向のスピード \(c_x\) と全体のスピード \(c\) の比率で分配すれば、\(x\) 方向の勢いが求まります。
答えは \(\frac{h\nu}{c^2}\) です。
次元を確認すると、\([h\nu/c^2] \cdot [c] = [E/c] = [p]\) となり、運動量の次元と一致しています。
問(2)
思考の道筋とポイント
光子が \(x\) 軸に垂直な面S(例えば容器の右側の壁)に衝突する頻度を考えます。
光子は箱の中を往復しながら壁に衝突します。
\(x\) 方向の往復距離は \(2L\) です。
この設問における重要なポイント
- 往復運動: 1回衝突してから次に同じ壁に衝突するまでに、光子は \(x\) 方向に \(2L\) 進む必要があります。
- 等速運動: 光子の \(x\) 成分の速さ \(c_x\) は、衝突の前後で大きさは変わらず向きだけ逆転します(完全弾性衝突)。
具体的な解説と立式
光子は \(x\) 方向に速さ \(c_x\) で運動しています。
面Sに衝突してから、対面の壁で反射し、再び面Sに戻ってくるまでの距離は \(2L\) です。
したがって、1回の衝突に要する時間 \(\Delta t\) は以下のようになります。
$$
\begin{aligned}
\Delta t &= \frac{2L}{c_x}
\end{aligned}
$$
時間 \(t\) の間に衝突する回数 \(n\) は、時間を1回あたりの所要時間で割れば求まります。
$$
\begin{aligned}
n &= \frac{t}{\Delta t}
\end{aligned}
$$
使用した物理公式
- 等速直線運動: \((\text{距離}) = (\text{速さ}) \times (\text{時間})\)
式を代入して計算します。
$$
\begin{aligned}
n &= \frac{t}{\frac{2L}{c_x}} \\[2.0ex]
&= \frac{c_x t}{2L}
\end{aligned}
$$
光子は箱の中でピンポン玉のように跳ね返っています。
右の壁に当たってから、左の壁に行って、また右の壁に戻ってくるまでの距離は、箱の長さの2倍(\(2L\))です。
\(x\) 方向のスピード \(c_x\) でこの距離を走るのにかかる時間を計算し、全体の時間 \(t\) をその時間で割ることで、何回壁にタッチできるかを数えました。
答えは \(\frac{c_x t}{2L}\) です。
時間が長いほど、速さが速いほど回数は増え、箱が大きいほど回数は減るため、直感的に妥当です。
問(3)
思考の道筋とポイント
面Sが受ける力積を求めます。
まず、1回の衝突で光子が受ける力積を求め、作用・反作用の法則から面が受ける力積を求めます。
それに衝突回数 \(n\) を掛ければ、合計の力積になります。
この設問における重要なポイント
- 運動量変化と力積: \((\text{後の運動量}) – (\text{前の運動量}) = (\text{力積})\)。
- 完全弾性衝突: 壁との衝突で、速度の \(x\) 成分は \(c_x \to -c_x\) と変化します。
- 作用・反作用: 面が受ける力積は、光子が受ける力積と逆符号です。
具体的な解説と立式
衝突前の光子の運動量 \(x\) 成分は \(p_x\)、衝突後は \(-p_x\) です。
1回の衝突で光子が受ける力積 \(I_{\text{光子}}\) は以下の通りです。
$$
\begin{aligned}
I_{\text{光子}} &= (-p_x) – p_x \\[2.0ex]
&= -2p_x
\end{aligned}
$$
作用・反作用の法則より、面Sが受ける力積 \(I_{\text{面}}\) は符号が逆になります。
$$
\begin{aligned}
I_{\text{面}} &= -I_{\text{光子}} \\[2.0ex]
&= 2p_x
\end{aligned}
$$
時間 \(t\) の間の合計の力積 \(I_t\) は、これに回数 \(n\) を掛けたものです。
$$
\begin{aligned}
I_t &= I_{\text{面}} \times n \\[2.0ex]
&= 2p_x \cdot n
\end{aligned}
$$
使用した物理公式
- 運動量と力積の関係: \(\vec{p}’ – \vec{p} = \vec{I}\)
- 作用・反作用の法則
(1)の結果 \(p_x = \frac{h\nu}{c^2} c_x\) と、(2)の結果 \(n = \frac{c_x t}{2L}\) を代入します。
$$
\begin{aligned}
I_t &= 2 \left( \frac{h\nu}{c^2} c_x \right) \cdot \left( \frac{c_x t}{2L} \right) \\[2.0ex]
&= \frac{h\nu c_x^2 t}{c^2 L}
\end{aligned}
$$
1回壁にぶつかると、光子は跳ね返されます。このとき壁を「ドン」と押します。
その押す強さ(力積)は、光子の勢いの2倍分です(行きと帰りの分)。
これに、さっき求めた「ぶつかる回数」を掛け算すれば、時間 \(t\) の間に壁が受け取った力積の合計になります。
答えは \(\frac{h\nu c_x^2 t}{c^2 L}\) です。
\(c_x^2\) に比例し、\(L\) に反比例する形になっています。
問(4)
思考の道筋とポイント
光子はあらゆる方向にランダムに運動しています(不規則運動)。
この「等方性」を利用して、速度の2乗の平均値 \(\overline{c_x^2}\) と、全速度の2乗 \(c^2\) の関係を導きます。
この設問における重要なポイント
- 等方性: \(x, y, z\) どの方向も対等であるため、平均をとると \(\overline{c_x^2} = \overline{c_y^2} = \overline{c_z^2}\) となります。
- 三平方の定理: 速度ベクトルについて \(c^2 = c_x^2 + c_y^2 + c_z^2\) が成り立ちます。
具体的な解説と立式
三平方の定理より、任意の光子について以下の関係があります。
$$
\begin{aligned}
c^2 &= c_x^2 + c_y^2 + c_z^2
\end{aligned}
$$
多数の光子について平均をとります(\(c\) は一定なので \(\overline{c^2} = c^2\))。
$$
\begin{aligned}
c^2 &= \overline{c_x^2} + \overline{c_y^2} + \overline{c_z^2}
\end{aligned}
$$
運動の方向は不規則で等方的なので、各成分の平均値は等しくなります。
$$
\begin{aligned}
\overline{c_x^2} &= \overline{c_y^2} = \overline{c_z^2}
\end{aligned}
$$
これらを連立して \(\overline{c_x^2}\) を求めます。
使用した物理公式
- 三平方の定理(速度ベクトル)
- 統計的な等方性の原理
$$
\begin{aligned}
c^2 &= \overline{c_x^2} + \overline{c_x^2} + \overline{c_x^2} \\[2.0ex]
c^2 &= 3 \overline{c_x^2} \\[2.0ex]
\overline{c_x^2} &= \frac{1}{3} c^2
\end{aligned}
$$
空欄 (4) は係数なので \(\frac{1}{3}\) です。
光子はあっちこっちデタラメに飛んでいます。
\(x\) 方向、\(y\) 方向、\(z\) 方向の動きやすさに偏りはありません。
全体のスピードの2乗(エネルギーのようなもの)を、3つの方向に公平に分けるので、1つの方向あたりは全体の \(1/3\) になります。
答えは \(\frac{1}{3}\) です。
3次元空間での等方性から必然的に導かれる係数です。
問(5)
思考の道筋とポイント
これまでは1個の光子についての話でしたが、ここでは容器内の全光子 \(N\) 個が面Sに及ぼす力 \(F\) を求めます。
個々の光子の \(c_x\) は異なりますが、全体として平均値 \(\overline{c_x^2}\) を用いて計算できます。
力 \(F\) と力積 \(I\) の関係式 \(Ft = (\text{力積の総和})\) を使います。
この設問における重要なポイント
- 総和の計算: 全光子からの力積の和は、個数 \(N\) と平均力積 \(\overline{I_t}\) の積になります。
- 力と力積: 一定の力 \(F\) が時間 \(t\) 働いたときの力積は \(Ft\) です。
具体的な解説と立式
全光子 \(N\) 個が時間 \(t\) の間に面Sに与える力積の総和 \(I_{\text{合計}}\) は、(3)の \(I_t\) の式中の \(c_x^2\) を平均値 \(\overline{c_x^2}\) に置き換え、\(N\) 倍したものです。
$$
\begin{aligned}
I_{\text{合計}} &= N \times \frac{h\nu \overline{c_x^2} t}{c^2 L}
\end{aligned}
$$
この力積は、面Sが受ける平均の力 \(F\) が時間 \(t\) の間になした力積 \(Ft\) に等しいはずです。
$$
\begin{aligned}
Ft &= I_{\text{合計}}
\end{aligned}
$$
使用した物理公式
- 力積の定義: \(I = Ft\)
式を代入して \(F\) を求めます。
$$
\begin{aligned}
Ft &= N \frac{h\nu \overline{c_x^2} t}{c^2 L}
\end{aligned}
$$
両辺を \(t\) で割り、(4)の結果 \(\overline{c_x^2} = \frac{1}{3}c^2\) を代入します。
$$
\begin{aligned}
F &= \frac{N h\nu}{c^2 L} \cdot \left( \frac{1}{3} c^2 \right) \\[2.0ex]
&= \frac{N h\nu}{3L}
\end{aligned}
$$
1個の光子が与える力積の平均を計算し、それが \(N\) 個あるので \(N\) 倍します。
「力積=力×時間」なので、計算した合計の力積を時間 \(t\) で割り算すれば、壁を押し続ける一定の力 \(F\) が求まります。
答えは \(\frac{N h\nu}{3L}\) です。
光子の数 \(N\) やエネルギー \(h\nu\) に比例し、箱の大きさ \(L\) に反比例します。
問(6)
思考の道筋とポイント
圧力 \(P\) を求めます。圧力は「単位面積あたりの力」です。
面Sの面積は \(L^2\) です。
また、体積 \(V = L^3\) を用いて式を整理します。
この設問における重要なポイント
- 圧力の定義: \(P = \frac{F}{S}\)。
- 体積: 立方体の体積 \(V = L^3\)。
具体的な解説と立式
圧力 \(P\) は力 \(F\) を面積 \(L^2\) で割ったものです。
$$
\begin{aligned}
P &= \frac{F}{L^2}
\end{aligned}
$$
使用した物理公式
- 圧力の定義: \(P = F/S\)
(5)の結果 \(F = \frac{N h\nu}{3L}\) を代入します。
$$
\begin{aligned}
P &= \frac{\frac{N h\nu}{3L}}{L^2} \\[2.0ex]
&= \frac{N h\nu}{3L^3}
\end{aligned}
$$
ここで \(L^3 = V\) なので、
$$
\begin{aligned}
P &= \frac{N h\nu}{3V}
\end{aligned}
$$
さっき求めた力 \(F\) を、壁の面積 \(L^2\) で割るだけです。
分母に \(L\) が3つ集まるので、これを体積 \(V\) に書き換えます。
答えは \(\frac{N h\nu}{3V}\) です。
気体分子運動論で得られる \(P = \frac{N m \overline{v^2}}{3V}\) と似た形をしています。
問(7)
思考の道筋とポイント
単位体積あたりのエネルギー \(U\) を用いて圧力 \(P\) を表します。
全エネルギーは \(N\) 個の光子のエネルギーの和です。
この設問における重要なポイント
- エネルギー密度: \(U = \frac{(\text{全エネルギー})}{V}\)。
- 光子の全エネルギー: \(E_{\text{全}} = N \times h\nu\)。
具体的な解説と立式
光子気体の全エネルギー \(E_{\text{全}}\) は以下の通りです。
$$
\begin{aligned}
E_{\text{全}} &= N h\nu
\end{aligned}
$$
単位体積あたりのエネルギー \(U\) は、これを体積 \(V\) で割ったものです。
$$
\begin{aligned}
U &= \frac{N h\nu}{V}
\end{aligned}
$$
これを用いて (6) の \(P\) の式を書き換えます。
使用した物理公式
- エネルギー密度の定義
(6)の式 \(P = \frac{1}{3} \frac{N h\nu}{V}\) に、\(U = \frac{N h\nu}{V}\) を代入します。
$$
\begin{aligned}
P &= \frac{1}{3} U
\end{aligned}
$$
圧力の式の中に、エネルギー密度 \(U\) の正体(\(Nh\nu/V\))が隠れています。
それを見つけて \(U\) に置き換えると、非常にシンプルな関係式になります。
答えは \(\frac{1}{3} U\) です。
これは相対論的な粒子(質量0の光子など)の気体における状態方程式の特徴です。通常の気体分子(非相対論的)では \(P = \frac{2}{3} U\) となります。
思考の道筋とポイント
設問(5)〜(7)を一括して解きます。
1個の粒子の往復運動を追うのではなく、微小時間 \(\Delta t\) の間に壁に衝突する「光子の集団」を考えます。
速度 \(c_x\) を持つ光子が \(\Delta t\) 間に壁に到達できる領域は、底面積 \(S\)、高さ \(c_x \Delta t\) の斜柱(または円柱)となります。この体積内の光子が運ぶ運動量を計算します。
この設問における重要なポイント
- フラックス(粒子束)の概念: 単位時間に単位面積を通過する粒子数を考えます。
- 微小体積内の粒子数: 体積 \(V\) 中に \(N\) 個あるので、数密度は \(\rho = N/V\) です。
- 運動量変化率としての力: \(F = \frac{\Delta P_{\text{合計}}}{\Delta t}\)(運動量の時間変化率=力)。
具体的な解説と立式
\(x\) 軸正の向きに速度成分 \(c_x (>0)\) を持つ光子群のみを考えます。
微小時間 \(\Delta t\) の間に、面積 \(S (=L^2)\) の壁に衝突できるのは、壁から距離 \(c_x \Delta t\) 以内にある光子です。
この領域の体積 \(\Delta V\) は以下の通りです。
$$
\begin{aligned}
\Delta V &= S c_x \Delta t
\end{aligned}
$$
この中に含まれる光子の数 \(\Delta N\) を求めます。
全光子 \(N\) 個のうち、\(x\) 成分の速度が \(c_x\) 付近である光子の割合を考慮する必要がありますが、ここでは平均的な議論として、全光子のうち \(x\) 正方向に進むものの平均速度成分を \(\overline{c_x}\) とし、その密度を考えます。
より厳密には、速度の2乗平均を用いて圧力を計算します。
壁に衝突して跳ね返る際の1個あたりの力積は \(2p_x = 2 \frac{h\nu}{c^2} c_x\) です。
単位体積あたりの光子数を \(\rho = N/V\) とします。
速度成分が \(c_x\) である光子の数密度を \(\rho(c_x)\) とすると、\(\Delta t\) 間に壁に与える総力積 \(I_{\text{合計}}\) は、全ての正の \(c_x\) についての和(積分)となります。
$$
\begin{aligned}
I_{\text{合計}} &= \sum_{c_x > 0} (\text{個数}) \times (\text{1個の力積}) \\[2.0ex]
&= \sum_{c_x > 0} \{ \rho(c_x) S c_x \Delta t \} \times \{ 2 \frac{h\nu}{c^2} c_x \} \\[2.0ex]
&= \frac{2 S h\nu \Delta t}{c^2} \sum_{c_x > 0} \rho(c_x) c_x^2
\end{aligned}
$$
ここで、\(\sum_{c_x > 0} \rho(c_x) c_x^2\) は、全光子の単位体積あたりの運動エネルギー(の類似量)の半分(\(x\) 正方向のみだから)に相当します。
全光子についての平均 \(\overline{c_x^2}\) を用いると、\(\sum \rho(c_x) c_x^2 = \frac{1}{2} \rho \overline{c_x^2}\) と書けます(\(1/2\) は正方向のみの寄与)。
$$
\begin{aligned}
I_{\text{合計}} &= \frac{2 S h\nu \Delta t}{c^2} \cdot \frac{1}{2} \frac{N}{V} \overline{c_x^2} \\[2.0ex]
&= \frac{S h\nu \Delta t N}{c^2 V} \overline{c_x^2}
\end{aligned}
$$
力 \(F\) は \(I_{\text{合計}} / \Delta t\) です。
$$
\begin{aligned}
F &= \frac{S h\nu N}{c^2 V} \overline{c_x^2}
\end{aligned}
$$
使用した物理公式
- 運動量の時間変化率: \(F = \frac{dp}{dt}\)
- 空間積分による粒子数のカウント
等方性より \(\overline{c_x^2} = \frac{1}{3} c^2\) を代入します。
$$
\begin{aligned}
F &= \frac{S h\nu N}{c^2 V} \cdot \frac{1}{3} c^2 \\[2.0ex]
&= \frac{S N h\nu}{3V}
\end{aligned}
$$
圧力 \(P = F/S\) を求めます。
$$
\begin{aligned}
P &= \frac{1}{S} \cdot \frac{S N h\nu}{3V} \\[2.0ex]
&= \frac{N h\nu}{3V}
\end{aligned}
$$
\(U = N h\nu / V\) を用いて、
$$
\begin{aligned}
P &= \frac{1}{3} U
\end{aligned}
$$
壁に向かって飛んでくる光子の集団を「流れ」として捉えました。
短い時間 \(\Delta t\) の間に壁に到達できるのは、壁のすぐ近くにいる光子だけです。その範囲(体積)にある光子の数を計算し、それらが一斉に壁にぶつかって落とす運動量の合計を求めました。
これにより、個々の往復運動を追わなくても、全体としての圧力をズバリと求めることができます。
模範解答と同じ結果 \(P = \frac{1}{3}U\) が得られました。
この方法は容器の形状に依存しにくく、より一般的な導出方法といえます。
問Q (球形容器)
思考の道筋とポイント
容器が半径 \(r\) の球形の場合を考えます。
光子は内壁で反射を繰り返しますが、球の幾何学的性質により、入射角 \(\theta\) は常に一定に保たれます。
1回の衝突での運動量変化と、次の衝突までの距離を幾何学的に求め、圧力の式を導きます。
この設問における重要なポイント
- 球の対称性: 中心を通る断面で考えると、入射角と反射角が等しいため、二等辺三角形が連続する軌道を描きます。よって入射角 \(\theta\) は不変です。
- 衝突間隔: 弦の長さとして計算できます。
具体的な解説と立式
入射角を \(\theta\) とします。
1回の衝突で光子が壁に与える力積(法線方向成分)\(I_1\) は、運動量の法線成分 \(p \cos\theta\) の2倍です。
$$
\begin{aligned}
I_1 &= 2 p \cos\theta \\[2.0ex]
&= 2 \frac{h\nu}{c} \cos\theta
\end{aligned}
$$
次の衝突までの距離 \(l\) は、半径 \(r\) の円の弦の長さなので、
$$
\begin{aligned}
l &= 2r \cos\theta
\end{aligned}
$$
光子の速さは \(c\) なので、衝突から次の衝突までの時間 \(\Delta t\) は、
$$
\begin{aligned}
\Delta t &= \frac{l}{c} \\[2.0ex]
&= \frac{2r \cos\theta}{c}
\end{aligned}
$$
時間 \(t\) の間の衝突回数 \(n\) は、
$$
\begin{aligned}
n &= \frac{t}{\Delta t} \\[2.0ex]
&= \frac{ct}{2r \cos\theta}
\end{aligned}
$$
1個の光子が時間 \(t\) に与える総力積 \(I_t\) は \(I_1 \times n\) です。
$$
\begin{aligned}
I_t &= \left( 2 \frac{h\nu}{c} \cos\theta \right) \times \left( \frac{ct}{2r \cos\theta} \right)
\end{aligned}
$$
使用した物理公式
- 幾何学的関係(弦の長さ)
- 力積と運動量
\(I_t\) を計算します。驚くべきことに \(\theta\) が消去されます。
$$
\begin{aligned}
I_t &= \frac{2 h\nu \cos\theta}{c} \cdot \frac{ct}{2r \cos\theta} \\[2.0ex]
&= \frac{h\nu t}{r}
\end{aligned}
$$
全光子 \(N\) 個が与える力 \(F\) は、\(N I_t = Ft\) より、
$$
\begin{aligned}
F &= \frac{N I_t}{t} \\[2.0ex]
&= \frac{N h\nu}{r}
\end{aligned}
$$
球の表面積 \(S = 4\pi r^2\) で割って圧力 \(P\) を求めます。
$$
\begin{aligned}
P &= \frac{F}{4\pi r^2} \\[2.0ex]
&= \frac{N h\nu}{4\pi r^3}
\end{aligned}
$$
球の体積 \(V = \frac{4}{3}\pi r^3\) を用いて変形します。
$$
\begin{aligned}
P &= \frac{N h\nu}{3 \cdot (\frac{4}{3}\pi r^3)} \\[2.0ex]
&= \frac{N h\nu}{3V}
\end{aligned}
$$
単位体積あたりのエネルギー \(U = N h\nu / V\) を用いると、
$$
\begin{aligned}
P &= \frac{1}{3} U
\end{aligned}
$$
球の中で跳ね回る光子を考えます。
浅い角度で当たる光子は、壁を押す力は弱いですが、頻繁に衝突します。
深い角度で当たる光子は、壁を強く押しますが、衝突頻度は低いです。
計算してみると、この「強さ」と「頻度」がちょうど打ち消し合い、どの角度で飛んでいる光子も、時間あたりに壁に与える効果は全く同じ(\(h\nu/r\))になることが分かります。
これより、全光子の効果を単純に足し合わせるだけで圧力が求まります。
答えは \(P = \frac{N h\nu}{3V}\) (または \(P = \frac{1}{3}U\))です。
立方体の場合と全く同じ結果になりました。これは、光圧とエネルギー密度の関係 \(P=U/3\) が、容器の形状によらない普遍的なものであることを示唆しています。
思考の道筋とポイント
模範解答では個々の光子の軌道を追跡しましたが、ここでは統計力学的なアプローチをとります。
容器内の光子はあらゆる方向に均等に運動している(等方性)と仮定します。
壁面上の微小面積 \(dS\) に、あらゆる方向から飛来する光子の衝突による力積を、立体角積分を用いて合算します。
この設問における重要なポイント
- 立体角と確率: 全立体角 \(4\pi\) のうち、微小立体角 \(d\Omega\) の方向を向いている光子の割合は \(\frac{d\Omega}{4\pi}\) です。
- 入射角とフラックス: 法線と角度 \(\theta\) をなす方向から入射する光子が、微小時間 \(\Delta t\) に \(dS\) に衝突する体積は \(dS \cdot c \Delta t \cos\theta\) です。
具体的な解説と立式
単位体積あたりの光子数を \(\rho = N/V\) とします。
壁面の法線方向に対し、角度 \(\theta\)(\(0 \le \theta < \pi/2\))の方向から飛んでくる光子を考えます。
微小立体角 \(d\Omega = 2\pi \sin\theta d\theta\)(方位角については積分済み)に含まれる光子の密度は、
$$
\begin{aligned}
\rho_{\theta} &= \rho \frac{d\Omega}{4\pi} \\[2.0ex]
&= \rho \frac{2\pi \sin\theta d\theta}{4\pi} \\[2.0ex]
&= \frac{1}{2} \rho \sin\theta d\theta
\end{aligned}
$$
微小時間 \(\Delta t\) の間に微小面積 \(dS\) に衝突する、角度 \(\theta\) 方向の光子の個数 \(dN_{\theta}\) は、
$$
\begin{aligned}
dN_{\theta} &= \rho_{\theta} \times (dS \cdot c \cos\theta \Delta t) \\[2.0ex]
&= \frac{1}{2} \rho c \Delta t dS \sin\theta \cos\theta d\theta
\end{aligned}
$$
これら1個1個が壁に与える力積は \(2 \frac{h\nu}{c} \cos\theta\) です。
角度 \(\theta\) の光子群による総力積 \(dI_{\theta}\) は、
$$
\begin{aligned}
dI_{\theta} &= dN_{\theta} \times 2 \frac{h\nu}{c} \cos\theta \\[2.0ex]
&= (\frac{1}{2} \rho c \Delta t dS \sin\theta \cos\theta d\theta) \times (2 \frac{h\nu}{c} \cos\theta) \\[2.0ex]
&= \rho h\nu \Delta t dS \cos^2\theta \sin\theta d\theta
\end{aligned}
$$
これを全方向(\(\theta = 0 \to \pi/2\))について積分して、全力積 \(dI_{\text{合計}}\) を求めます。
$$
\begin{aligned}
dI_{\text{合計}} &= \int_{0}^{\frac{\pi}{2}} \rho h\nu \Delta t dS \cos^2\theta \sin\theta \, d\theta
\end{aligned}
$$
使用した物理公式
- 立体角積分: \(\int d\Omega = 4\pi\)
- 置換積分法
定数を積分の外に出し、積分を実行します。
$$
\begin{aligned}
dI_{\text{合計}} &= \rho h\nu \Delta t dS \int_{0}^{\frac{\pi}{2}} \cos^2\theta \sin\theta \, d\theta
\end{aligned}
$$
ここで、\(u = \cos\theta\) と置くと、\(du = -\sin\theta d\theta\) です。
積分範囲は \(1 \to 0\) となります。
$$
\begin{aligned}
\int_{0}^{\frac{\pi}{2}} \cos^2\theta \sin\theta \, d\theta &= \int_{1}^{0} u^2 (-du) \\[2.0ex]
&= \int_{0}^{1} u^2 du \\[2.0ex]
&= \left[ \frac{1}{3} u^3 \right]_0^1 \\[2.0ex]
&= \frac{1}{3}
\end{aligned}
$$
よって、
$$
\begin{aligned}
dI_{\text{合計}} &= \frac{1}{3} \rho h\nu \Delta t dS
\end{aligned}
$$
圧力 \(P\) は、単位面積あたり、単位時間あたりの力積(力)なので、
$$
\begin{aligned}
P &= \frac{dI_{\text{合計}}}{dS \Delta t} \\[2.0ex]
&= \frac{1}{3} \rho h\nu
\end{aligned}
$$
\(\rho = N/V\) を代入します。
$$
\begin{aligned}
P &= \frac{1}{3} \frac{N}{V} h\nu \\[2.0ex]
&= \frac{1}{3} U
\end{aligned}
$$
容器の形がどうであれ、中の光子が「あらゆる方向に均等に飛んでいる」という事実だけを使って計算しました。
壁にぶつかる角度によって「強さ」や「当たりやすさ」が違いますが、それらを全て足し合わせる(積分する)と、綺麗に \(1/3\) という数字が出てきます。
この \(1/3\) は、空間が3次元であること(\(x, y, z\) の3方向があること)に由来しています。
幾何学的な詳細に立ち入ることなく、統計的な性質のみから \(P = \frac{1}{3}U\) を導出できました。
これにより、この関係式が容器の形状によらず成立する普遍的な法則であることが確認できます。
【総まとめ】この一問を未来の得点力へ!完全マスター講座
最重要ポイント:この問題の核心となる物理法則は?
- 気体分子運動論のアナロジー(光子気体)
- 核心: 光を粒子(光子)の集団とみなし、壁との衝突による力積の総和として圧力を導出するプロセスは、理想気体の圧力導出と全く同じ論理構造を持っています。
- 理解のポイント:
- 微視的視点: 1個の粒子の運動(衝突頻度、運動量変化)を解析します。
- 巨視的視点: 全粒子数 \(N\) 倍し、時間平均・空間平均をとることで、圧力 \(P\) やエネルギー密度 \(U\) といったマクロな量を導きます。
- 等方性と平均化
- 核心: 多数の粒子がランダムに運動している系では、特定の方向に偏りがなく、各成分の二乗平均が等しくなる(\(\overline{c_x^2} = \overline{c_y^2} = \overline{c_z^2} = \frac{1}{3}c^2\))という統計的性質が成立します。
- 理解のポイント:
- 係数1/3の由来: 空間が3次元であるため、全エネルギー(速度の2乗)が3つの自由度に等分配される結果として現れます。
応用テクニック:似た問題が出たらココを見る!解法の鍵と着眼点
- 応用できる類似問題のパターン:
- 理想気体の圧力: 質量 \(m\)、速度 \(v\) の分子の場合、運動量変化は \(2mv_x\) となり、最終的に \(P = \frac{2}{3}U\) (\(U\)は単位体積あたりの運動エネルギー)となります。光子(\(P = \frac{1}{3}U\))との係数の違い(2倍)は、エネルギーと運動量の関係式の違い(\(E=p^2/2m\) vs \(E=pc\))に由来します。
- 壁が動く場合(断熱変化): 壁が速度 \(u\) で動く場合、衝突後の速度が変化します(ドップラー効果または反発係数の考え方)。これにより気体の内部エネルギーが変化する様子を微視的に扱えます。
- 初見の問題での着眼点:
- 1回の衝突を解析する: まず粒子1個が壁に与える力積を、運動量変化から正確に計算します。入射角や反射の法則に注意します。
- 衝突回数を数える: 「速さ÷往復距離」または「円柱(斜柱)モデル」を用いて、単位時間あたりの衝突数を数えます。
- 平均化と合計: \(\overline{v_x^2} = v^2/3\) などの統計的性質を使い、全粒子数 \(N\) を掛けてマクロな量に変換します。
要注意!ありがちなミス・誤解とその対策
- 運動量とエネルギーの混同:
- 誤解: 光子の運動量を \(mv\) のように質量を使って表そうとしたり、エネルギー \(h\nu\) と運動量 \(h\nu/c\) を取り違える。
- 対策: 光子は質量ゼロです。必ず \(E = h\nu\)、\(p = h\nu/c\) (または \(E = pc\))という光子特有の関係式を使いましょう。
- 係数1/3の適用忘れ:
- 誤解: \(x\) 方向の運動だけを考えているのに、全速度 \(c\) をそのまま使ってしまい、\(\overline{c_x^2}\) を \(c^2\) として計算してしまう。
- 対策: 「3次元空間をランダムに飛んでいる」という記述を見たら、即座に \(\overline{v_x^2} = \frac{1}{3}v^2\) の関係を思い出し、式に反映させましょう。
なぜその公式?論理的な公式選択と適用の思考法
- 問(5)〜(7)での別解(斜柱モデル)の選択:
- 選定理由: 模範解答の「往復運動モデル」は、粒子同士の衝突を無視できる希薄な気体で、かつ容器が単純な形状の場合にのみ直感的に分かりやすい方法です。一方、別解の「斜柱モデル(フラックス法)」は、粒子の流れに着目するため、容器の形状や粒子の密度によらず適用できる汎用性の高い方法です。
- 適用根拠: 単位時間に壁に到達できるのは、壁から \(c_x \Delta t\) の距離にいる粒子だけである、という幾何学的事実は常に成立するため。
- 問Qでの別解(立体角積分)の選択:
- 選定理由: 球形容器での幾何学的考察(特定の軌道)は、特殊なケースに依存しがちです。立体角積分は「等方性」という統計力学の基本原理から出発するため、物理的な本質(係数1/3の意味など)をより深く理解できます。
- 適用根拠: 多数の光子がランダムに運動しているという「光子気体」の前提条件があるため、方向分布が均一であるとして積分計算が可能です。
計算ミスをなくす!日頃の意識と実践テクニック
- 次元解析(単位チェック)の徹底:
- 意識: 答えが出たら必ず次元を確認します。
- 実践: 例えば圧力 \(P\) の答えが \(\frac{N h\nu}{3V}\) なら、\([N]\cdot[\text{エネルギー}]/[\text{体積}] = [\text{J/m}^3] = [\text{N}\cdot\text{m}/\text{m}^3] = [\text{N/m}^2]\) となり、圧力の単位(パスカル)と一致することを確認します。
- 文字の定義の確認:
- 意識: \(L\) は一辺の長さか体積か? \(n\) は回数か個数密度か?
- 実践: 問題文で与えられた文字(\(L, V, N, t\) など)と、自分で設定した文字(\(n, \rho\) など)を混同しないよう、解答の最後で指定された文字だけで表されているかチェックします。
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問題59 X線管・物質波 (筑波大)
【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド
- 提示する別解
- 設問Q2の別解: 運動方程式と保存則を用いた原理的解法
- 模範解答は、光の屈折と同様に「屈折の法則」を既知として適用し、エネルギー保存則と組み合わせて解いています。
- 対して別解では、ポテンシャルが変化する境界における電子の運動方程式から出発し、界面に平行な方向の運動量保存則を導出することで、屈折の法則そのものを物理的に証明しながら解答を導きます。
- 設問Q2の別解: 運動方程式と保存則を用いた原理的解法
- 上記の別解が有益である理由
- 原理的理解: 「なぜ電子線も光のように屈折するのか?」という疑問に対し、波動性(ホイヘンスの原理)だけでなく、粒子性(力学的な運動量保存)の観点からも説明がつくことを理解できます。
- 応用力: 電場や磁場中での荷電粒子の運動解析における「保存される成分」を見抜く力を養います。
- 結果への影響
- いずれのアプローチを用いても、最終的に得られる答えは模範解答と完全に一致します。
この問題のテーマは「X線の発生と粒子の波動性(物質波)」です。前半はX線の発生メカニズムと結晶による回折(ブラッグ反射)、後半は電子線を波として扱った場合の干渉と屈折を扱います。
問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。
- エネルギー保存則(X線発生): 電子の運動エネルギーがX線光子のエネルギーに変換されます。\(eV = h\nu\)。
- ブラッグの条件: 結晶格子による波の干渉条件です。\(2d \sin\theta = n\lambda\)。
- ド・ブロイ波長: 運動量 \(p\) の粒子が持つ波としての波長です。\(\lambda = \frac{h}{p} = \frac{h}{mv}\)。
- 電子線の屈折: 電位差のある領域間を電子が移動するとき、速度変化に伴って進行方向が変わる現象です。
基本的なアプローチは以下の通りです。
- (1)では、連続X線の最短波長と加速電圧の関係式を用います。
- (2)では、グラフから読み取った波長と角度を用いて、ブラッグの式から格子定数を求めます。
- (3)〜(4)では、電子を波とみなしてブラッグの条件を適用します。
- Q1, Q2では、固有X線の起源や、電子線の屈折現象について掘り下げて考察します。
問(1)
ここから先が、他の受験生と差がつく重要パートです。
「解法に至る思考プロセス」を
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なぜその公式を使うのか?どうしてその着眼点を持てるのか?
市販の解説では省略されてしまう「行間の思考」を、泥臭く解説しています。
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