問題37 (名城大)
【問題の確認】まずは問題文をしっかり読み解こう
この問題は、磁場中を運動する導体(回路)に生じる「電磁誘導」と、回路に接続された「コンデンサー」の振る舞いを組み合わせた、複合的な問題です。導体棒が磁場を横切ることで「電池」となり(誘導起電力)、回路に電流を流します。そして、電流が一定になった定常状態のときにコンデンサーがどのように充電されるか、また、回路全体を等速で動かし続けるために必要な外力はいくらか、といった点が問われます。時間の経過とともに、磁場の中を動く辺が入れ替わるため、2つの期間に分けて考える必要があります。
- 回路: 一辺の長さ\(l\)、各辺の抵抗\(R\)の長方形回路(2つの正方形で構成)。
- コンデンサー: 容量\(C\)、af間に接続。
- 磁場: 磁束密度\(B\)、紙面の裏から表向き、幅\(l\)の領域に存在。
- 運動: 回路全体が右向きに一定の速さ\(v\)で移動。
- 時刻: \(t=0\)で辺cdが磁場に進入開始。
- 期間1 (\(0 < t < l/v\)): 辺cdのみが磁場内にある定常状態
- (1) 辺beを流れる電流の向きと強さ。
- (2) コンデンサーのa側極板の電荷。
- (3) 回路全体の消費電力と、加えている外力の大きさ・向き。
- 期間2 (\(l/v < t < 2l/v\)): 辺beのみが磁場内にある定常状態
- (4) コンデンサーの静電エネルギーと、加えている外力の大きさ・向き。
【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド
本解説は、模範解答で採用されている、定常状態の物理的性質を利用した効率的な解法を主たる解説としつつ、以下の別解を提示します。
- 提示する別解
- 設問(3), (4)の外力の別解: エネルギー保存則(仕事率の関係)を用いる解法
- 模範解答が力のつりあいから外力を求めるのに対し、別解では「外力がする仕事率が、回路で消費されるジュール熱に等しい」というエネルギー保存則の観点から外力を導出します。
- 設問(3), (4)の外力の別解: エネルギー保存則(仕事率の関係)を用いる解法
- 上記の別解が有益である理由
- 物理的視点の多様化: エネルギー保存則を用いる別解は、力学的な視点(力のつりあい)と熱力学的な視点(エネルギー変換)が等価な結果をもたらすことを示し、物理法則の間の深いつながりを理解する助けとなります。
- 検算手法の習得: 異なるアプローチで同じ結論に至ることを確認することで、解答の確からしさを高める有効な検算手法を学ぶことができます。
- 結果への影響
- いずれのアプローチを用いても、計算過程や思考の出発点が異なるだけで、最終的に得られる答えは模範解答と完全に一致します。
この問題のテーマは「磁場中を運動する導体棒に生じる誘導起電力と、コンデンサーを含む直流回路」です。回路が定常状態にあるときのコンデンサーの振る舞いを正しく理解しているかが鍵となります。
問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。
- 誘導起電力: 磁場を横切る導体棒に生じる起電力の公式 \(V=vBl\) を理解し、その向きをローレンツ力から正しく判断できること。
- 定常状態のコンデンサー: 直流回路において、充電が完了したコンデンサーは電流を通さない(その部分の回路は開放されていると見なせる)ことを理解していること。
- オームの法則: 回路を流れる電流、抵抗、起電力の関係を正しく立式できること。
- 電磁力と力のつりあい: 電流が流れる導体が磁場から受ける力(電磁力)を計算し、等速運動であることから外力とのつりあいを考えられること。
- エネルギー保存則: 外力がする仕事率と、回路で消費されるジュール熱の関係を理解していること。
基本的なアプローチは以下の通りです。
- 設問I, IIの各状況で、どの導体棒が起電力を生む「電池」になるかを特定します。
- 定常状態であることから、コンデンサー部分は電流が流れないと考え、電流が流れる閉回路を特定し、合成抵抗を求めます。
- オームの法則を用いて回路を流れる電流を計算します。
- 求めた電流から、コンデンサーの両端の電位差や回路の消費電力を計算します。
- 導体棒に働く電磁力を計算し、力のつりあい、またはエネルギー保存則から外力の大きさと向きを求めます。
問(1)
思考の道筋とポイント
設問I (\(0 < t < l/v\)) の状況では、辺cdのみが磁場中を運動しています。この辺cdが誘導起電力を生む「電池」の役割を果たします。問題文に「電流が一定になったとき」とあるので、これは回路が定常状態になったことを意味します。定常状態では、コンデンサーの充電が完了し、電流を流さなくなります。このため、電流はコンデンサーを含まない右側のループ(b-c-d-e-b)のみを流れることになります。
この設問における重要なポイント
- 誘導起電力が生じるのは、磁場を横切る辺cdのみ。
- 定常状態ではコンデンサーに電流は流れないため、電流経路はb-c-d-e-bのループに限定される。
- このループにおいて、辺bc, cd, de, ebの4つの抵抗が直列接続されていると見なせる。
- 起電力の向きは、導体内の荷電粒子が受けるローレンツ力によって決まる。
具体的な解説と立式
まず、辺cdに生じる誘導起電力の大きさと向きを考えます。
辺cdは磁束密度\(B\)の磁場を速さ\(v\)で垂直に横切るので、起電力の大きさ\(V\)は、
$$
\begin{aligned}
V &= vBl
\end{aligned}
$$
となります。
起電力の向きを考えるため、辺cd内にある正の電荷キャリアに注目します。この電荷は、回路と共に速さ\(v\)で右向きに運動しています。磁場は紙面の裏から表向きです。電荷が磁場から受けるローレンツ力の向きは、\(\vec{F} = q(\vec{v} \times \vec{B})\)の関係から、下向き(cからdの向き)となります。この力によって正の電荷がd側に、負の電荷がc側に集まるため、d側の電位が高く、c側が低くなります。したがって、辺cdはd側が正極、c側が負極の電池と見なせます。
次に、電流が流れる経路を考えます。定常状態ではコンデンサーCに電流は流れません。したがって、電流は辺cdという電池によって、ループb-c-d-e-bにのみ流れます。このループの合成抵抗\(R_{\text{合成}}\)は、4つの辺の抵抗\(R\)の直列接続なので、
$$
\begin{aligned}
R_{\text{合成}} &= R+R+R+R \\[2.0ex]
&= 4R
\end{aligned}
$$
よって、オームの法則より、回路を流れる電流の強さ\(I\)は、
$$
\begin{aligned}
I &= \frac{V}{R_{\text{合成}}}
\end{aligned}
$$
電流の向きは、電池の正極dから出て、d→e→b→cと流れます。したがって、問われている辺beを流れる電流は、eからbの向きとなります。
使用した物理公式
- 誘導起電力: \(V=vBl\)
- オームの法則: \(I = V/R\)
- ローレンツ力: \(\vec{F} = q(\vec{v} \times \vec{B})\)
「具体的な解説と立式」で立てた式に値を代入します。
$$
\begin{aligned}
I &= \frac{V}{R_{\text{合成}}} \\[2.0ex]
&= \frac{vBl}{4R}
\end{aligned}
$$
回路が磁場に入ると、動いている辺cdが発電機(電池)になります。この電池の電圧は \(vBl\) です。問題では「電流が一定になった」とあるので、これはコンデンサーの充電が終わった合図です。充電が終わったコンデンサーは電気をせき止めるので、左側の回路には電流が流れません。結果として、電気は右側の四角いループ(b-c-d-e-b)だけをぐるぐる回ることになります。このループには抵抗が4つ直列につながっているので、全体の抵抗は \(4R\) です。あとはオームの法則「電流=電圧÷抵抗」を使って、電流の強さを計算します。電流の向きは、電池のプラス極(d点)からマイナス極(c点)へ向かう流れなので、辺beではeからbへ向かって流れます。
辺beを流れる電流の向きはe→b、強さは \(\displaystyle\frac{vBl}{4R}\) となります。これは、誘導起電力と直流回路の基本的な法則から導かれる妥当な結果です。
問(2)
思考の道筋とポイント
コンデンサーの電荷を求めるには、まずコンデンサーにかかる電圧(電位差)\(V_{\text{C}}\)を求める必要があります。コンデンサーは辺af間に接続されています。左側のループには電流が流れていないため、抵抗abとfeでの電圧降下はありません。したがって、a点とb点は等電位、f点とe点も等電位です。この結果、コンデンサーの電位差 \(V_{\text{C}}\) は、辺be間の電位差 \(V_{eb}\) に等しくなります。
この設問における重要なポイント
- 定常状態では、電流が流れていない導線部分はすべて等電位である。
- コンデンサーの電圧 \(V_{\text{C}}\) は、辺be間の電圧 \(V_{eb}\) に等しい。
- 辺be間の電圧は、オームの法則 \(V=IR\) で計算できる。
- コンデンサーの極性(どちらが正極か)は、電位の高低で決まる。
具体的な解説と立式
(1)より、辺beにはe→bの向きに強さ \(I\) の電流が流れています。辺beの抵抗は \(R\) なので、オームの法則により、辺be間の電位差 \(V_{eb}\) は、
$$
\begin{aligned}
V_{eb} &= IR
\end{aligned}
$$
電流は電位の高い方から低い方へ流れるので、e点の電位はb点の電位よりも高くなります。
コンデンサーの電圧 \(V_{\text{C}}\) はこの \(V_{eb}\) に等しいので、
$$
\begin{aligned}
V_{\text{C}} &= V_{eb}
\end{aligned}
$$
コンデンサーに蓄えられる電荷の大きさ \(Q\) は、\(Q=CV_{\text{C}}\) の公式から、
$$
\begin{aligned}
Q &= CV_{\text{C}}
\end{aligned}
$$
次に、極性を考えます。コンデンサーのa側の極板はb点と、f側の極板はe点とつながっています。e点の電位がb点より高いので、f側が正極、a側が負極となります。したがって、a側の極板の電荷は負であり、その値は \(-Q\) となります。
使用した物理公式
- コンデンサーの基本式: \(Q=CV\)
- オームの法則: \(V=IR\)
a側の極板の電荷を \(Q_a\) とします。まず \(V_{eb}\) を計算します。
$$
\begin{aligned}
V_{eb} &= IR \\[2.0ex]
&= \left(\frac{vBl}{4R}\right) R \\[2.0ex]
&= \frac{1}{4}vBl
\end{aligned}
$$
次に \(Q\) を計算し、\(Q_a\) を求めます。
$$
\begin{aligned}
Q_a &= -Q \\[2.0ex]
&= -CV_{\text{C}} \\[2.0ex]
&= -C V_{eb} \\[2.0ex]
&= -C \left(\frac{1}{4}vBl\right) \\[2.0ex]
&= -\frac{1}{4}CvBl
\end{aligned}
$$
コンデンサーにどれだけ電気がたまるかは、コンデンサーにかかる電圧で決まります。この回路では、コンデンサーは辺beと並列につながっているのと同じ状態です。なので、辺beにかかる電圧を調べればOKです。辺beには抵抗 \(R\) があり、(1)で求めた電流 \(I\) が流れているので、オームの法則から電圧は \(V_{eb} = I \times R\) で計算できます。計算すると、電圧は \(\displaystyle\frac{1}{4}vBl\) となります。あとは公式 \(Q=CV\) を使って電気の量を計算します。最後に、電流がe→bに流れていることから、e点の方が電位が高いとわかります。コンデンサーのa側はb点につながっているので、a側はマイナスに帯電することになります。
コンデンサーのa側の極板の電荷は \(-\displaystyle\frac{1}{4}CvBl\) となります。負号は電位の高低関係から正しく判断されており、大きさも物理法則に則っており妥当です。
問(3)
思考の道筋とポイント
回路全体での消費電力を求めます。電流が流れているのは右側のループ(b-c-d-e-b)のみであり、このループの合成抵抗は \(4R\) です。消費電力は、\(P = R_{\text{合成}}I^2\) や \(P=VI\) の公式で計算できます。
次に、外力の大きさと向きを求めます。回路は等速直線運動をしているため、加えている外力と、回路に働く電磁力はつりあっています。電磁力の向きは、運動を妨げる向きに働くというレンツの法則から判断するのが最も確実です。
この設問における重要なポイント
- 消費電力は、電流が流れている部分の抵抗でのみ生じる。
- 電磁力は、運動を妨げる向きに働く(レンツの法則)。
- 等速運動であるため、力のつりあいが成立する: `(外力)=(電磁力)`。
具体的な解説と立式
消費電力 \(P\):
電流 \(I\) が流れているのは、合成抵抗 \(R_{\text{合成}} = 4R\) の部分です。消費電力 \(P\) は、
$$
\begin{aligned}
P &= R_{\text{合成}} I^2
\end{aligned}
$$
外力 \(F\):
回路が右向きに運動することで誘導電流が発生します。レンツの法則によれば、この誘導電流が作る電磁力は、原因である運動を妨げる向きに働きます。運動は右向きなので、磁場中の辺cdに働く電磁力 \(F_{\text{B}}\) は左向きとなります。
電磁力の大きさ \(F_{\text{B}}\) は、\(F_{\text{B}} = IBl\) で計算できます。
$$
\begin{aligned}
F_{\text{B}} &= IBl
\end{aligned}
$$
回路は速さ\(v\)で等速運動をしているので、力のつりあいが成り立っています。したがって、外力\(F\)は、電磁力\(F_{\text{B}}\)と逆向き(右向き)で、同じ大きさとなります。
$$
\begin{aligned}
(\text{右向きの力の和}) &= (\text{左向きの力の和}) \\[2.0ex]
F &= F_{\text{B}}
\end{aligned}
$$
使用した物理公式
- 消費電力: \(P=RI^2\)
- 電磁力: \(F=IBl\)
- レンツの法則
- 力のつりあい
消費電力 \(P\):
$$
\begin{aligned}
P &= R_{\text{合成}} I^2 \\[2.0ex]
&= (4R) \left(\frac{vBl}{4R}\right)^2 \\[2.0ex]
&= 4R \cdot \frac{v^2B^2l^2}{16R^2} \\[2.0ex]
&= \frac{v^2B^2l^2}{4R}
\end{aligned}
$$
外力 \(F\):
$$
\begin{aligned}
F &= F_{\text{B}} \\[2.0ex]
&= IBl \\[2.0ex]
&= \left(\frac{vBl}{4R}\right) B l \\[2.0ex]
&= \frac{vB^2l^2}{4R}
\end{aligned}
$$
消費電力: 電気製品が電気を使うのと同じで、この回路の抵抗も電気を熱として消費します。電力は「全体の抵抗 × (電流)\(^2\)」で計算できます。電流が流れているのは抵抗が4つある右ループだけなので、全体の抵抗は \(4R\)。これに(1)で求めた電流を代入して計算します。
外力: 磁石の中で電線を動かすと発電できますが、同時に磁石から「動かすのを邪魔する力(電磁力)」を受けます。物理法則(レンツの法則)により、この力は必ず運動を妨げる向き、つまり左向きに働きます。回路を一定の速さで動かし続けるためには、この邪魔な力とちょうど同じ大きさで、逆向き(右向き)に力を加え続ける必要があります。この加える力が「外力」です。
消費電力は \(\displaystyle\frac{v^2B^2l^2}{4R}\)、外力は右向きに \(\displaystyle\frac{vB^2l^2}{4R}\) となります。外力がした仕事率 \(Fv = \left(\frac{vB^2l^2}{4R}\right)v = \frac{v^2B^2l^2}{4R}\) が、消費電力 \(P\) と一致しており、エネルギー保存則が成り立っていることが確認できます。
思考の道筋とポイント
力学的な力のつりあいではなく、エネルギーの観点から外力を求めます。回路は等速運動しており、運動エネルギーは変化しません。このとき、外部から加えた力がする仕事(仕事率)は、すべて回路内で熱として消費されるエネルギー(消費電力)に変換されるはずです。このエネルギー保存則を利用します。
この設問における重要なポイント
- エネルギー保存則: `(外力の仕事率)=(回路全体の消費電力)`
- 仕事率の公式: \(P = Fv\) (力\(F\)と速さ\(v\)が同じ向きの場合)
具体的な解説と立式
外力\(F\)の向きを運動方向と同じ右向きと仮定すると、外力が単位時間あたりにする仕事、すなわち仕事率 \(P_{\text{外力}}\) は、
$$
\begin{aligned}
P_{\text{外力}} &= Fv
\end{aligned}
$$
一方、回路全体での消費電力 \(P\) は、先ほど計算したように、
$$
\begin{aligned}
P &= \frac{v^2B^2l^2}{4R}
\end{aligned}
$$
エネルギー保存則より、この二つは等しくなければなりません。
$$
\begin{aligned}
P_{\text{外力}} &= P
\end{aligned}
$$
よって、
$$
\begin{aligned}
Fv &= \frac{v^2B^2l^2}{4R}
\end{aligned}
$$
使用した物理公式
- エネルギー保存則: \(P_{\text{外力}} = P_{\text{消費}}\)
- 仕事率: \(P = Fv\)
上記で立式した式の両辺を \(v\) で割ることで、\(F\) を求めます。
$$
\begin{aligned}
F &= \frac{1}{v} \cdot \frac{v^2B^2l^2}{4R} \\[2.0ex]
&= \frac{vB^2l^2}{4R}
\end{aligned}
$$
力の大きさが正の値として求まったので、仮定した向き(右向き)が正しいことがわかります。
別の考え方をしてみましょう。回路を動かすために外から加えるエネルギー(外力の仕事)は、どこへ行くのでしょうか? 回路の速さは変わらないので、運動エネルギーにはなりません。実は、加えたエネルギーはすべて、回路の抵抗で発生する熱(消費電力)に変わってしまいます。つまり、「1秒あたりの外力の仕事」と「1秒あたりの消費電力」は等しくなります。この関係式を立てて解くことでも、外力の大きさを求めることができます。
力のつりあいから求めた結果と完全に一致しました。これは、力学的アプローチとエネルギー的アプローチが物理的に等価であることを示しています。
問(4)
思考の道筋とポイント
設問II (\(l/v < t < 2l/v\)) の状況では、辺beが磁場中を運動し、辺cdは磁場から出ています。したがって、今度は辺beが誘導起電力を生む「電池」となります。設問Iと同様に、定常状態なのでコンデンサーに電流は流れず、電流は右側のループのみを流れます。この新しい状況で、コンデンサーのエネルギーと外力を計算します。
この設問における重要なポイント
- 誘導起電力が生じるのは、辺beのみ。
- 電流経路は設問Iと同じくb-c-d-e-bのループ。
- コンデンサーの電圧は、起電力を生んでいる辺be自身の両端の電圧(端子電圧)に等しくなる。
- 外力は、今度は辺beに働く電磁力とつりあう。
具体的な解説と立式
コンデンサーのエネルギー \(U\):
まず、辺beに生じる誘導起電力の大きさと向きを考えます。大きさ\(V\)は、
$$
\begin{aligned}
V &= vBl
\end{aligned}
$$
向きは、辺be内の正電荷が右向きに運動するため、ローレンツ力により下向き(bからeの向き)の力を受けます。これによりe側の電位が高く、b側が低くなります。したがって、辺beはe側が正極、b側が負極の電池と見なせます。
この起電力により、ループb-c-d-e-bに電流が流れます。電流の向きは、電池の正極eから出て、e→d→c→bと流れます。電流の強さ \(I’\) は、合成抵抗が \(4R\) なので、
$$
\begin{aligned}
I’ &= \frac{V}{4R}
\end{aligned}
$$
コンデンサーの電圧 \(V_{\text{C}}’\) は、辺be間の電位差 \(V_{eb}\) に等しくなります。辺beは、起電力\(V\)と抵抗\(R\)が一体化した部分です。e点とb点の電位差は、電池の端子電圧に相当します。bからeへ移動する際の電位の変化を考えると、起電力によって電位は \(V\) 上がりますが、辺be自身の抵抗\(R\)を電流\(I’\)がb→eの向きに流れるため、電位は \(I’R\) 下がります。したがって、
$$
\begin{aligned}
V_{\text{C}}’ &= V_{eb} \\[2.0ex]
&= V – I’R
\end{aligned}
$$
コンデンサーに蓄えられる静電エネルギー \(U\) は、\(U = \displaystyle\frac{1}{2}CV^2\) の公式より、
$$
\begin{aligned}
U &= \frac{1}{2}C(V_{\text{C}}’)^2
\end{aligned}
$$
外力 \(F’\):
回路が右向きに運動することで、辺beに誘導電流が流れます。レンツの法則により、この電流が作る電磁力 \(F_{\text{B}}’\) は、運動を妨げる左向きに働きます。
電磁力の大きさ \(F_{\text{B}}’\) は、\(F_{\text{B}}’ = I’lB\) で計算できます。
$$
\begin{aligned}
F_{\text{B}}’ &= I’lB
\end{aligned}
$$
回路は等速運動をしているので、外力\(F’\)は電磁力\(F_{\text{B}}’\)とつりあいます。
$$
\begin{aligned}
(\text{右向きの力の和}) &= (\text{左向きの力の和}) \\[2.0ex]
F’ &= F_{\text{B}}’
\end{aligned}
$$
使用した物理公式
- 誘導起電力: \(V=vBl\)
- コンデンサーのエネルギー: \(U = \frac{1}{2}CV^2\)
- 電磁力: \(F=IBl\)
- レンツの法則
- 力のつりあい
コンデンサーのエネルギー \(U\):
まず電流 \(I’\) を求めます。
$$
\begin{aligned}
I’ &= \frac{vBl}{4R}
\end{aligned}
$$
次にコンデンサーの電圧 \(V_{\text{C}}’\) を求めます。
$$
\begin{aligned}
V_{\text{C}}’ &= V – I’R \\[2.0ex]
&= vBl – \left(\frac{vBl}{4R}\right)R \\[2.0ex]
&= vBl – \frac{vBl}{4} \\[2.0ex]
&= \frac{3}{4}vBl
\end{aligned}
$$
最後にエネルギー \(U\) を計算します。
$$
\begin{aligned}
U &= \frac{1}{2}C(V_{\text{C}}’)^2 \\[2.0ex]
&= \frac{1}{2}C\left(\frac{3}{4}vBl\right)^2 \\[2.0ex]
&= \frac{1}{2}C \cdot \frac{9}{16}(vBl)^2 \\[2.0ex]
&= \frac{9}{32}C(vBl)^2
\end{aligned}
$$
外力 \(F’\):
$$
\begin{aligned}
F’ &= F_{\text{B}}’ \\[2.0ex]
&= I’lB \\[2.0ex]
&= \left(\frac{vBl}{4R}\right) l B \\[2.0ex]
&= \frac{vB^2l^2}{4R}
\end{aligned}
$$
今度は、回路の真ん中の辺beが磁場に入り、発電機(電池)になります。右側の辺cdは磁場の外に出たので、もう発電しません。辺beが作る電圧は同じく \(vBl\) です。
エネルギー: (1)と同じように右ループに電流が流れます。コンデンサーの電圧は、発電所でもある辺be自身の両端の電圧になります。発電した電圧 \(V\) の一部は、辺be自身の抵抗で消費されてしまう(内部抵抗による電圧降下)ので、両端の電圧は \(V\) より少し小さくなります。この電圧を使ってエネルギーの公式 \(U = \frac{1}{2}CV^2\) で計算します。
外力: 今度は辺beが、動かすのを邪魔する力(電磁力)を左向きに受けます。これとつりあうように、同じ大きさで右向きに外力を加え続ける必要があります。
コンデンサーのエネルギーは \(\displaystyle\frac{9}{32}C(vBl)^2\)、外力は右向きに \(\displaystyle\frac{vB^2l^2}{4R}\) となります。外力の大きさは設問Iのときと変わらないことがわかります。これは、起電力の大きさ、合成抵抗、電流の強さが設問Iと同じであるため、電磁力の大きさも同じになるからです。
思考の道筋とポイント
設問(3)の別解と同様に、エネルギー保存則の観点から外力を求めます。外力の仕事率が、回路の消費電力とコンデンサーのエネルギー増加率の和に等しくなる、という関係を使います。ただし、問題文では「電流が一定になったとき」を考えているため、コンデンサーの充電は完了しており、エネルギーの増加はありません。したがって、この場合も外力の仕事率は消費電力に等しくなります。
この設問における重要なポイント
- エネルギー保存則: `(外力の仕事率)=(回路全体の消費電力)`
- 定常状態ではコンデンサーのエネルギーは変化しない。
具体的な解説と立式
外力\(F’\)がする仕事率 \(P_{\text{外力}}’\) は、
$$
\begin{aligned}
P_{\text{外力}}’ &= F’v
\end{aligned}
$$
一方、回路全体での消費電力 \(P’\) は、電流\(I’\)と合成抵抗\(4R\)から、
$$
\begin{aligned}
P’ &= (4R)(I’)^2
\end{aligned}
$$
エネルギー保存則より、\(P_{\text{外力}}’ = P’\) なので、
$$
\begin{aligned}
F’v &= (4R)(I’)^2
\end{aligned}
$$
使用した物理公式
- エネルギー保存則: \(P_{\text{外力}} = P_{\text{消費}}\)
- 仕事率: \(P = Fv\)
まず消費電力 \(P’\) を計算します。
$$
\begin{aligned}
P’ &= (4R)\left(\frac{vBl}{4R}\right)^2 \\[2.0ex]
&= \frac{v^2B^2l^2}{4R}
\end{aligned}
$$
次に、エネルギー保存則の式から \(F’\) を求めます。
$$
\begin{aligned}
F’v &= \frac{v^2B^2l^2}{4R} \\[2.0ex]
F’ &= \frac{1}{v} \cdot \frac{v^2B^2l^2}{4R} \\[2.0ex]
&= \frac{vB^2l^2}{4R}
\end{aligned}
$$
向きは運動方向と同じ右向きです。
設問(3)の別解と全く同じ考え方が使えます。回路を動かすために加えたエネルギーは、どこへ行くのでしょうか? 速さは一定で、コンデンサーの充電も終わっているので、運動エネルギーもコンデンサーのエネルギーも増えません。ということは、加えたエネルギーはすべて抵抗で発生する熱に変わってしまいます。したがって、「1秒あたりの外力の仕事」と「1秒あたりの消費電力」は等しくなります。この関係式から、力のつりあいを使ったときと同じ答えが導き出せます。
力のつりあいから求めた結果と完全に一致します。設問(3)と同様に、力学的アプローチとエネルギー的アプローチが等価であることが確認できました。
【総まとめ】この一問を未来の得点力へ!完全マスター講座
最重要ポイント:この問題の核心となる物理法則は?
- 誘導起電力 \(V=vBl\)
- 核心: 磁場を導体が横切るとき、その導体は電池になる、という電磁誘導の現象が全ての起点です。
- 理解のポイント:
- 力の図示: 導体内の正電荷が受けるローレンツ力 \(\vec{F} = q(\vec{v} \times \vec{B})\) を図示することで、どちらの端に電荷が偏り、どちらが高電位になるかを視覚的に理解できます。
- 電池への置き換え: 誘導起電力が生じる導体棒を、回路図上で「電池マーク」に置き換えてしまうと、問題が単なる直流回路として捉えやすくなり、思考が整理されます。
- コンデンサーの定常状態
- 核心: 直流回路において、十分に時間が経過した定常状態では、コンデンサーは充電を完了し、その部分には電流が流れなくなる(断線とみなせる)という性質が、回路の電流経路を特定する上で決定的に重要でした。
- 理解のポイント:
- 電流経路の単純化: 「定常状態」というキーワードを見たら、コンデンサーが接続されている枝を回路図から消してしまう(または断線マークを入れる)ことで、電流が流れる実際のループが明確になります。
- 電位差の特定: コンデンサーの電圧は、それが接続されている2点間の電位差に等しくなります。電流が流れていない部分では電圧降下がないため、電位差を計算しやすい他の部分(今回の問題では辺be)と電圧が等しくなることを見抜くのが鍵です。
- 力のつり合いとエネルギー保存
- 核心: 等速運動という条件から、「力のつり合い(外力=電磁力)」または「エネルギー保存(外力の仕事率=消費電力)」の関係式を立てることが、未知数を求める鍵となりました。
- 理解のポイント:
- レンツの法則の活用: 電磁力の向きは、フレミングの左手の法則でも求められますが、「運動を妨げる向き」というレンツの法則で考えると、より直感的で間違いが少なくなります。
- 2つの視点: 「力のつり合い」と「エネルギー保存」は、同じ現象を異なる側面から見たものです。どちらのアプローチでも解けるようになっておくと、問題に応じて効率的な方を選べたり、検算に使えたりと応用力が格段に上がります。
応用テクニック:似た問題が出たらココを見る!解法の鍵と着眼点
- 応用できる類似問題のパターン:
- RC回路と電磁誘導の組み合わせ: コンデンサーと抵抗を含む回路に誘導起電力が加わる問題全般に応用できます。特に「定常状態」というキーワードに注目することが重要です。
- エネルギー変換を伴う問題: 発電機やモーターのように、力学的な仕事と電気エネルギーが相互に変換される問題で、エネルギーの収支や効率を考える際にも同じ考え方が使えます。
- 初見の問題での着眼点:
- 「動く導体」を探す: 回路図の中に磁場を横切る導体があれば、そこを「電池」マークに置き換えて考えることから始めます。
- 「コンデンサー」と「定常状態」のキーワード: これらがあれば、コンデンサーの枝は「断線」として扱い、電流経路を単純化します。
- 「等速運動」のキーワード: 「力のつり合い」または「エネルギー保存」のどちらかの式を立てるチャンスだと考えます。
要注意!ありがちなミス・誤解とその対策
- 誘導起電力の向きのミス:
- 誤解: フレミングの右手の法則を使い慣れていなかったり、左右の手を混同したりして、起電力の極性を逆にしてしまう。
- 対策: 「導体内の正電荷がローレンツ力でどちらに寄せられるか」という原理に立ち返ると、間違いが減ります。右手の親指(v)、人差し指(B)、中指(I)の対応を正確に覚えましょう。
- コンデンサーの電圧の計算ミス:
- 誤解: 問(4)のように、起電力を生む導体自身に抵抗がある場合に、コンデンサーの電圧を起電力\(V\)と勘違いしてしまう。
- 対策: 常に「コンデンサーの電圧=接続された2点間の電位差」と考える。起電力を生む導体の場合は「端子電圧」を求める必要があり、「端子電圧=起電力-内部抵抗での電圧降下」という関係を思い出しましょう。
- 電磁力の向きのミス:
- 誤解: 電磁力(\(F=IBl\))の向きをフレミングの左手の法則で決めるときに、電流の向きを間違えて判断してしまう。
- 対策: 回路をしっかり解いて電流の向きを確定させてから、落ち着いて左手の法則を適用する。左手の中指(I)、人差し指(B)、親指(F)の対応を正確に覚えましょう。
なぜその公式?論理的な公式選択と適用の思考法
- \(V=vBl\):
- 選定理由: 導体が磁場を「横切って」運動し、電圧が発生する、という「電磁誘導」の現象そのものを数式化したものだからです。
- 適用根拠: ファラデーの電磁誘導の法則 \(\left(V = -N\frac{\Delta \Phi}{\Delta t}\right)\) を、導体棒が動くケースに適用した結果がこの式になります。
- \(Q=CV\):
- 選定理由: コンデンサーに蓄えられる「電荷」を問われているからです。これはコンデンサーの性能(容量C)と電圧を結びつける基本定義式です。
- 適用根拠: コンデンサーの極板間の電位差と蓄えられる電荷が比例関係にあるという実験事実に基づいています。
- \(P = RI^2\) と \(Fv=P\):
- 選定理由: 消費「電力」や、外力の「仕事率」といった、エネルギーの時間変化率が問われているからです。
- 適用根拠: エネルギー保存則に基づいています。外部から供給されたエネルギー(仕事)は、形を変えても(熱エネルギーなど)その総量は変わらないという物理学の大原則です。
計算ミスをなくす!日頃の意識と実践テクニック
- 場合分けの意識:
- 特に注意すべき点: この問題のように、時間や場所によって状況が変わる問題では、それぞれの期間で何が起きているかを混同しないように、図や思考を明確に分けることが重要です。
- 日頃の練習: 期間Iと期間IIで、それぞれ回路図を書き直し、「どこが電池か」「電流はどこを流れるか」を明確に図示する習慣をつけましょう。
- 文字式の整理:
- 特に注意すべき点: \(B, l, v, R, C\)など多くの文字が出てくるため、式変形の際に混乱しないよう、丁寧に整理することが大切です。特に分数の計算は慎重に行いましょう。
- 日頃の練習: 最終的な答えの形をある程度予測しながら計算を進めると、途中のミスに気づきやすくなります。
解きっぱなしはNG!解答の妥当性を吟味する習慣をつけよう
- 得られた答えの物理的妥当性の検討:
- 問(4)のコンデンサー電圧: コンデンサーの電圧が起電力 \(vBl\) よりも小さくなりました(\(\frac{3}{4}vBl\))。これは、起電力を生む導体自身が抵抗として働き、電流を流すことで「内部で電圧降下」が起きたため、と物理的に解釈でき、妥当な結果です。
- 外力の大きさ: 期間Iと期間IIで外力の大きさが同じになりました。これは、どちらの期間も同じ大きさの電流が磁場中の同じ長さの導線を流れるため、ブレーキとなる電磁力が同じになるからです。これも物理的に理にかなっています。
- 別解による検算:
- 問(3)や(4)で示したように、「力のつり合い」から求めた外力と、「エネルギー保存」から求めた外力が一致することを確認する作業は、非常に有効な検算方法です。
- 極端な条件での検討:
- もし抵抗\(R\)がゼロだったらどうなるか? 電流\(I\)が無限大に発散してしまいます。これは、ブレーキとなる電磁力を発生させるためのジュール熱消費が起こらないため、等速運動が実現できないことを示唆しており、物理的に妥当な発散と言えます。
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問題38 (東京大)
【問題の確認】まずは問題文をしっかり読み解こう
この問題は、傾いたレール上の導体棒に、重力、摩擦力、そして電磁力が働く、力学と電磁気学の融合問題です。特に、磁場が鉛直上向きに加えられているため、電流が流れることで生じる電磁力の働く向きが、斜面に対して水平方向になることが最大のポイントです。この3次元的な力の関係を、斜面に沿った方向と垂直な方向に正しく分解し、力のつり合いを考えられるかが問われます。
- 斜面: 傾角\(\theta\)
- レール: 間隔\(l\)
- 導体棒: 長さ\(l\)、質量\(M\)、電気抵抗\(R\)
- 磁場: 磁束密度\(B\)、鉛直上向きで一様
- 重力加速度: \(g\)
- その他: 導体棒以外の電気抵抗は無視。スイッチSで回路を切り替え可能。
- (1) スイッチが開いた状態で、棒が滑り始める傾角が\(\theta_0\)のときの静止摩擦係数\(\mu_0\)。
- (2) 傾角\(\theta_1\)で、電源をつないで棒を上方へ滑らせ始めるための、電源の極性と電位差\(V_0\)。
- (3) 傾角\(\theta_2\)で、レールをショートさせて滑り落ち、等速になったときの速さ\(u\)。(動摩擦係数\(\mu\))
- (コラムQ): (3)の状況におけるエネルギー保存則(単位時間あたり)。
【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド
本解説は、模範解答で採用されている力のつり合いを用いた解法を主たる解説としつつ、以下の別解を提示します。
- 提示する別解
- コラムQの別解: 力のつり合いの式からエネルギー保存則を導出する解法
- 主たる解法が、エネルギーの供給源と消費先の仕事率を直接比較してエネルギー保存則を立式するのに対し、別解では問(3)で導いた力のつり合いの式を数学的に変形することで、同じエネルギー保存則が導かれることを示します。
- コラムQの別解: 力のつり合いの式からエネルギー保存則を導出する解法
- 上記の別解が有益である理由
- 物理法則の等価性の理解: 「力のつり合い」と「エネルギー保存則」が、同じ物理現象を記述する異なる表現形式であり、数学的に相互に変換可能であることを示すことで、物理法則の普遍性への理解が深まります。
- 思考の多角化: 一つの問題に対して、力学的視点とエネルギー的視点の両方からアプローチできることを学び、思考の柔軟性を養います。
- 結果への影響
- いずれのアプローチを用いても、導出されるエネルギー保存則の式は完全に一致します。
この問題を攻略する鍵は、3つの異なる物理分野の法則を正確に連携させることです。
- 力学(力のつり合い): 物体が静止している、または等速直線運動をしているとき、物体に働く力のベクトル和はゼロになります。この問題では、重力、垂直抗力、摩擦力、そして電磁力を図示し、斜面に平行な方向と垂直な方向に分解して力のつり合いの式を立てることが基本戦略です。
- 電磁力: 電流\(I\)が流れる導体棒は、磁場\(B\)の中から力 \(F=IBl\) を受けます。この力の向きはフレミングの左手の法則で決まります。この問題では、電流\(I\)と磁場\(B\)が常に直角なので大きさの計算は単純ですが、力の向きが水平方向になる、という点が最大の注意点です。
- 電磁誘導: 導体棒が速さ\(v\)で運動すると、起電力 \(V=vBl\) が生じます。このときの\(v\)は磁場Bに対して垂直な速度成分を用いる必要があります。この誘導起電力が回路に電流を流す「電池」の役割を果たします。
これらの要素を、設問の状況に合わせて一つずつ丁寧に適用していきましょう。