問題64 弦の振動 (上智大)
【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド
- 提示する別解
- 全設問共通の別解: 微積分を用いた体系的解法(波動方程式の導出と一般解)
- 弦の微小部分に対する運動方程式から波動方程式を導出し、その一般解(定常波)から固有振動数や波長の条件を導きます。これにより、公式 \(v = \sqrt{S/\rho}\) や共振条件が原理から導かれることを示します。
- 全設問共通の別解: 微積分を用いた体系的解法(波動方程式の導出と一般解)
- 上記の別解が有益である理由
- 微積分の解法: 「弦の張力と線密度で速さが決まる理由」や「なぜ定常波ができるのか」を根本から理解でき、公式の暗記に頼らない応用力を養います。
- 結果への影響
- いずれのアプローチを用いても、最終的に得られる答えは模範解答と完全に一致します。
この問題のテーマは「弦の固有振動」です。弦の長さ、張力、線密度(単位長さあたりの質量)が変化したときに、共振(定常波の形成)条件がどのように変わるかを考察します。
問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。
- 弦を伝わる波の速さ: 弦の張力を \(S\)、線密度を \(\rho\) とすると、波の速さ \(v\) は \(v = \sqrt{\frac{S}{\rho}}\) で表されます。
- 定常波の条件: 両端が固定された弦(長さ \(L\))に定常波ができるとき、両端は「節」となります。したがって、弦の長さは半波長 \(\frac{\lambda}{2}\) の整数倍でなければなりません(\(L = n \frac{\lambda}{2}\))。
- 波の基本式: 波の速さ \(v\)、振動数 \(f\)、波長 \(\lambda\) の間には \(v = f\lambda\) の関係が成り立ちます。
基本的なアプローチは以下の通りです。
- 問1では、弦の長さの変化から波長を特定し、波の基本式と速さの公式を用いて振動数などを求めます。
- 問2では、弦の太さ(直径)が変わることで線密度が変化し、それに伴い波の速さが変わることを考慮して、新たな共振条件を導きます。
問1 (1)〜(3)
思考の道筋とポイント
コマBを動かして弦の長さ \(a\) を変えると、共振(定常波の発生)する条件が変わります。
\(a=30\,\text{cm}\) と \(a=35\,\text{cm}\) で共振したということは、この間に節の数が1つ増えた(または減った)ことを意味します。
振動源Sの振動数 \(f\) は一定であり、弦の張力 \(S\)(おもりの重力)と線密度 \(\rho\) も変わらないため、波の速さ \(v\) と波長 \(\lambda\) は一定です。
この設問における重要なポイント
- 波長の不変性: 振動数 \(f\) と波の速さ \(v\) が変わらないため、波長 \(\lambda = v/f\) も変化しません。
- 共振条件: 弦の長さ \(a\) が半波長 \(\frac{\lambda}{2}\) の整数倍になるとき共振します。
- 隣り合う共振点: \(a\) を徐々に長くしていくと、半波長 \(\frac{\lambda}{2}\) ごとに次の共振点が現れます。
具体的な解説と立式
(1) 波長 \(\lambda\)
\(a=30\,\text{cm}\) で共振し、次に \(a=35\,\text{cm}\) で共振しました。
定常波の節と節の間隔は \(\frac{\lambda}{2}\) です。
共振する弦の長さの間隔 \(\Delta a\) は、ちょうど半波長分に相当します。
$$
\begin{aligned}
\frac{\lambda}{2} &= 35 – 30
\end{aligned}
$$
(2) 腹の数 \(n\)
\(a=35\,\text{cm}\) のときの腹の数を求めます。
弦の長さ \(a\) は半波長 \(\frac{\lambda}{2}\) の \(n\) 倍(腹の数 \(n\) 個分)です。
$$
\begin{aligned}
a &= n \times \frac{\lambda}{2}
\end{aligned}
$$
(3) 振動数 \(f\)
まず、弦の線密度 \(\rho\) を求めます。
全体の長さ \(L_0 = 120\,\text{cm} = 1.20\,\text{m}\)、質量 \(M = 1.8\,\text{g} = 1.8 \times 10^{-3}\,\text{kg}\) です。
$$
\begin{aligned}
\rho &= \frac{M}{L_0}
\end{aligned}
$$
次に、弦の張力 \(S\) を求めます。おもりの質量 \(m = 6\,\text{kg}\)、重力加速度 \(g = 10\,\text{m}/\text{s}^2\) です。
$$
\begin{aligned}
S &= mg
\end{aligned}
$$
これらを用いて波の速さ \(v\) を求めます。
$$
\begin{aligned}
v &= \sqrt{\frac{S}{\rho}}
\end{aligned}
$$
最後に、波の基本式 \(v = f\lambda\) より振動数 \(f\) を求めます。
$$
\begin{aligned}
f &= \frac{v}{\lambda}
\end{aligned}
$$
使用した物理公式
- 定常波の条件: \(L = n \frac{\lambda}{2}\)
- 線密度の定義: \(\rho = \frac{M}{L}\)
- 弦を伝わる波の速さ: \(v = \sqrt{\frac{S}{\rho}}\)
- 波の基本式: \(v = f\lambda\)
(1) 波長
$$
\begin{aligned}
\frac{\lambda}{2} &= 5\,\text{cm} \\[2.0ex]
\lambda &= 10\,\text{cm}
\end{aligned}
$$
(2) 腹の数
\(a=35\,\text{cm}\) を代入します。
$$
\begin{aligned}
35 &= n \times 5 \\[2.0ex]
n &= 7
\end{aligned}
$$
(3) 振動数
線密度 \(\rho\) を計算します。
$$
\begin{aligned}
\rho &= \frac{1.8 \times 10^{-3}}{1.20} \\[2.0ex]
&= 1.5 \times 10^{-3}\,\text{kg}/\text{m}
\end{aligned}
$$
張力 \(S\) を計算します。
$$
\begin{aligned}
S &= 6 \times 10 \\[2.0ex]
&= 60\,\text{N}
\end{aligned}
$$
波の速さ \(v\) を計算します。
$$
\begin{aligned}
v &= \sqrt{\frac{60}{1.5 \times 10^{-3}}} \\[2.0ex]
&= \sqrt{\frac{60000}{1.5}} \\[2.0ex]
&= \sqrt{40000} \\[2.0ex]
&= 200\,\text{m}/\text{s}
\end{aligned}
$$
振動数 \(f\) を計算します。波長 \(\lambda = 10\,\text{cm} = 0.10\,\text{m}\) に注意します。
$$
\begin{aligned}
f &= \frac{200}{0.10} \\[2.0ex]
&= 2000\,\text{Hz}
\end{aligned}
$$
弦の長さを少しずつ変えていくと、ある長さで「ワーン」と大きく揺れます(共振)。次に共振するのは、弦の長さが「半波長」だけ伸びたときです。この差から波長が分かります。
波の速さは、弦の「ピンと張る強さ(張力)」と「重さ(線密度)」で決まります。これらを計算して、波長で割れば、1秒間に何回振動しているか(振動数)が分かります。
波長 \(10\,\text{cm}\)、腹の数7個、振動数 \(2000\,\text{Hz}\) という値は、実験室レベルの弦の振動として妥当なオーダーです。
問1 (4)
思考の道筋とポイント
おもりを4倍(\(4m\))にすると張力が変わり、波の速さが変わります。振動数 \(f\) は振動源Sによって決まるため一定です。その結果、波長 \(\lambda\) が変化します。
新しい波長 \(\lambda_1\) を求め、\(a=35\,\text{cm}\) からどれだけ動かせば共振条件(\(a’ = n’ \frac{\lambda_1}{2}\))を満たすかを考えます。
この設問における重要なポイント
- 張力の変化: おもりが4倍になると、張力 \(S\) も4倍になります。
- 速さの変化: \(v \propto \sqrt{S}\) なので、張力が4倍になると速さは \(\sqrt{4}=2\) 倍になります。
- 波長の変化: \(v = f\lambda\) において \(f\) 一定で \(v\) が2倍になるので、波長 \(\lambda\) も2倍になります。
具体的な解説と立式
おもりの質量を \(m’ = 4m\) とします。新しい張力 \(S’\) は \(4mg\) です。
新しい波の速さ \(v_1\) は、
$$
\begin{aligned}
v_1 &= \sqrt{\frac{4mg}{\rho}} \\[2.0ex]
&= 2 \sqrt{\frac{mg}{\rho}} \\[2.0ex]
&= 2v
\end{aligned}
$$
振動数 \(f\) は変わらないので、新しい波長 \(\lambda_1\) は、
$$
\begin{aligned}
\lambda_1 &= \frac{v_1}{f} \\[2.0ex]
&= \frac{2v}{f} \\[2.0ex]
&= 2\lambda
\end{aligned}
$$
共振するための弦の長さ \(a’\) は、新しい半波長 \(\frac{\lambda_1}{2}\) の整数倍である必要があります。
$$
\begin{aligned}
a’ &= n’ \times \frac{\lambda_1}{2}
\end{aligned}
$$
現在の長さ \(a=35\,\text{cm}\) よりも大きく、かつ最も近い \(a’\) を探します。
移動距離 \(\Delta x\) は、
$$
\begin{aligned}
\Delta x &= a’ – 35
\end{aligned}
$$
使用した物理公式
- \(v = \sqrt{\frac{S}{\rho}}\)
- \(v = f\lambda\)
新しい波長 \(\lambda_1\) を計算します。元の波長 \(\lambda = 10\,\text{cm}\) より、
$$
\begin{aligned}
\lambda_1 &= 2 \times 10 \\[2.0ex]
&= 20\,\text{cm}
\end{aligned}
$$
新しい半波長は、
$$
\begin{aligned}
\frac{\lambda_1}{2} &= 10\,\text{cm}
\end{aligned}
$$
共振する長さ \(a’\) は \(10\,\text{cm}\) の整数倍(\(10, 20, 30, 40, \dots\))です。
現在 \(a=35\,\text{cm}\) なので、これを右(長くする方向)に動かして最初に共振するのは、
$$
\begin{aligned}
a’ &= 40\,\text{cm}
\end{aligned}
$$
移動距離は、
$$
\begin{aligned}
\Delta x &= 40 – 35 \\[2.0ex]
&= 5\,\text{cm}
\end{aligned}
$$
おもりを4倍重くすると、弦が強く張られて波が2倍速く伝わるようになります。振動数は変わらないので、波の歩幅(波長)も2倍になります。
新しい波長での「半波長」は \(10\,\text{cm}\) です。弦の長さが \(10\,\text{cm}\) の倍数のときに共振します。今は \(35\,\text{cm}\) なので、一番近い倍数の \(40\,\text{cm}\) にするには、あと \(5\,\text{cm}\) 伸ばせばOKです。
波長が2倍になり、共振条件が変わるという流れは論理的です。\(5\,\text{cm}\) という移動量も現実的です。
問2 (5)
思考の道筋とポイント
弦を直径が2倍のものに張り替えます。これにより線密度 \(\rho\) が変化します。
おもりは元の \(6\,\text{kg}\) に戻すので、張力 \(S\) は元通りです。
線密度の変化 \(\rightarrow\) 速さの変化 \(\rightarrow\) 波長の変化 \(\rightarrow\) 腹の数の変化、という順序で考えます。
この設問における重要なポイント
- 線密度の変化: 直径が2倍になると、断面積は \(2^2=4\) 倍になります。材質が同じなら体積密度は同じなので、単位長さあたりの質量(線密度)も4倍になります。
- 速さの変化: \(v \propto 1/\sqrt{\rho}\) なので、線密度が4倍になると速さは \(1/\sqrt{4} = 1/2\) 倍になります。
具体的な解説と立式
新しい弦の直径 \(d’\) は元の直径 \(d\) の2倍です。断面積 \(A\) は直径の2乗に比例します。
$$
\begin{aligned}
A’ &\propto (2d)^2 = 4d^2 \propto 4A
\end{aligned}
$$
したがって、新しい線密度 \(\rho_2\) は元の線密度 \(\rho\) の4倍です。
$$
\begin{aligned}
\rho_2 &= 4\rho
\end{aligned}
$$
新しい波の速さ \(v_2\) は、
$$
\begin{aligned}
v_2 &= \sqrt{\frac{S}{\rho_2}} \\[2.0ex]
&= \sqrt{\frac{S}{4\rho}} \\[2.0ex]
&= \frac{1}{2} v
\end{aligned}
$$
振動数 \(f\) は変わらないので、新しい波長 \(\lambda_2\) は、
$$
\begin{aligned}
\lambda_2 &= \frac{v_2}{f} \\[2.0ex]
&= \frac{v/2}{f} \\[2.0ex]
&= \frac{1}{2} \lambda
\end{aligned}
$$
弦の長さ \(a=30\,\text{cm}\) における腹の数 \(n_2\) を求めます。
$$
\begin{aligned}
a &= n_2 \times \frac{\lambda_2}{2}
\end{aligned}
$$
使用した物理公式
- 線密度と断面積の関係: \(\rho \propto A \propto d^2\)
- \(v = \sqrt{\frac{S}{\rho}}\)
元の波長 \(\lambda = 10\,\text{cm}\) より、新しい波長は、
$$
\begin{aligned}
\lambda_2 &= \frac{1}{2} \times 10 \\[2.0ex]
&= 5\,\text{cm}
\end{aligned}
$$
新しい半波長は \(2.5\,\text{cm}\) です。
\(a=30\,\text{cm}\) に含まれる腹の数 \(n_2\) は、
$$
\begin{aligned}
30 &= n_2 \times 2.5 \\[2.0ex]
n_2 &= \frac{30}{2.5} \\[2.0ex]
&= 12
\end{aligned}
$$
弦を太くすると重くなります。直径が2倍だと、太さ(面積)は4倍になり、重さも4倍になります。
重い弦は動きにくいので、波の伝わる速さは半分になります。すると波長も半分になります。
波長が半分になったので、同じ長さの弦の中にできる波の山(腹)の数は、倍の12個になります。
線密度4倍で速さ半減、波長半減、腹の数倍増。すべて整合しています。
問2 (6)
思考の道筋とポイント
腹の数を3個にしたい、つまり現在の12個から減らしたいわけです。
弦の状態(張力、線密度)はそのままで、振動源の振動数 \(f\) を変えます。
腹の数が変わるということは、波長が変わるということです。
必要な波長 \(\lambda_3\) を求め、そこから逆算して新しい振動数 \(f’\) を求めます。
この設問における重要なポイント
- 目標の波長: 弦の長さ \(a=30\,\text{cm}\) で腹が3個になるような波長 \(\lambda_3\) を求めます。
- 速さの不変性: 弦の張力と線密度は変わらないので、波の速さ \(v_2\)(問2(5)で求めた値)はそのまま使えます。
具体的な解説と立式
腹の数が3個になる条件式を立てます。
$$
\begin{aligned}
a &= 3 \times \frac{\lambda_3}{2}
\end{aligned}
$$
ここから必要な波長 \(\lambda_3\) が求まります。
波の速さは \(v_2 = \frac{1}{2}v = 100\,\text{m}/\text{s}\) です。
新しい振動数 \(f’\) は、
$$
\begin{aligned}
f’ &= \frac{v_2}{\lambda_3}
\end{aligned}
$$
使用した物理公式
- 定常波の条件: \(L = n \frac{\lambda}{2}\)
- \(v = f\lambda\)
波長 \(\lambda_3\) を求めます。
$$
\begin{aligned}
30 &= \frac{3}{2} \lambda_3 \\[2.0ex]
\lambda_3 &= 20\,\text{cm} = 0.20\,\text{m}
\end{aligned}
$$
振動数 \(f’\) を求めます。
$$
\begin{aligned}
f’ &= \frac{100}{0.20} \\[2.0ex]
&= 500\,\text{Hz}
\end{aligned}
$$
腹の数を12個から3個に減らしたいということは、波長を4倍長くしたい(波をゆったりさせたい)ということです。
波の速さは弦の状態で決まっているので変わりません。波長を長くするには、振動数を下げてゆっくり揺らせばよいです。
計算すると、振動数を \(500\,\text{Hz}\) にすればよいことが分かります。
腹の数を \(1/4\) にするには波長を4倍にする必要があり、そのためには振動数を \(1/4\) にする必要があります。元の \(2000\,\text{Hz}\) の \(1/4\) は \(500\,\text{Hz}\) なので、正解です。
思考の道筋とポイント
弦の微小部分における運動方程式から波動方程式を導出し、その解として定常波が得られることを示します。これにより、波の速さの公式 \(v = \sqrt{S/\rho}\) や共振条件が、物理の基本原理から自然に導かれることを確認します。
この設問における重要なポイント
- 微小部分の運動方程式: 弦の微小要素に働く張力の合力が、復元力として働きます。
- 波動方程式: \(\frac{\partial^2 y}{\partial t^2} = v^2 \frac{\partial^2 y}{\partial x^2}\) の形になり、ここから \(v\) が決まります。
- 変数分離法: 波動方程式を解いて、定常波の形 \(y(x, t) = X(x)T(t)\) を導きます。
具体的な解説と立式
1. 波動方程式の導出
線密度 \(\rho\)、張力 \(S\) の弦を考えます。
位置 \(x\) と \(x+\Delta x\) の間の微小部分(質量 \(\rho \Delta x\))の運動方程式を立てます。
弦の変位 \(y\) が微小であると仮定すると、位置 \(x\) における弦の傾きは \(\tan \theta \approx \sin \theta \approx \frac{\partial y}{\partial x}\) です。
微小部分に働く \(y\) 方向の力 \(F_y\) は、両端の張力の \(y\) 成分の差です。
$$
\begin{aligned}
F_y &= S \sin \theta(x+\Delta x) – S \sin \theta(x) \\[2.0ex]
&\approx S \left[ \frac{\partial y}{\partial x}(x+\Delta x) – \frac{\partial y}{\partial x}(x) \right] \\[2.0ex]
&\approx S \frac{\partial^2 y}{\partial x^2} \Delta x
\end{aligned}
$$
運動方程式 \(ma = F\) より、
$$
\begin{aligned}
(\rho \Delta x) \frac{\partial^2 y}{\partial t^2} &= S \frac{\partial^2 y}{\partial x^2} \Delta x \\[2.0ex]
\frac{\partial^2 y}{\partial t^2} &= \frac{S}{\rho} \frac{\partial^2 y}{\partial x^2}
\end{aligned}
$$
これは速さ \(v = \sqrt{\frac{S}{\rho}}\) の波動方程式です。これにより、波の速さの公式が導かれました。
2. 定常波の解と共振条件
この方程式の解として、定常波(変数分離形)を仮定します。
$$
\begin{aligned}
y(x, t) &= A \sin(kx) \cos(\omega t)
\end{aligned}
$$
これを波動方程式に代入すると、\(\omega^2 = v^2 k^2\) すなわち \(v = \frac{\omega}{k} = f\lambda\) が成立します。
境界条件として、両端 \(x=0\) と \(x=a\) で固定端(\(y=0\))とします。
\(x=0\) で \(y=0\) は \(\sin(0)=0\) より満たされます。
\(x=a\) で \(y=0\) となるには、
$$
\begin{aligned}
\sin(ka) &= 0 \\[2.0ex]
ka &= n\pi \quad (n=1, 2, \dots)
\end{aligned}
$$
ここで波数 \(k = \frac{2\pi}{\lambda}\) を代入すると、
$$
\begin{aligned}
\frac{2\pi}{\lambda} a &= n\pi \\[2.0ex]
a &= n \frac{\lambda}{2}
\end{aligned}
$$
これが問1(2)などで用いた共振条件(腹の数 \(n\))です。
3. 設問への適用
(5) 線密度変化の影響
直径2倍 \(\rightarrow\) 断面積4倍 \(\rightarrow\) 線密度 \(\rho’ = 4\rho\)。
波動方程式の係数 \(v^2 = S/\rho\) より、
$$
\begin{aligned}
v’^2 &= \frac{S}{4\rho} = \frac{1}{4} v^2 \\[2.0ex]
v’ &= \frac{1}{2} v
\end{aligned}
$$
振動数 \(f\)(\(\omega\))は外部(振動源)で固定されているため、
$$
\begin{aligned}
k’ &= \frac{\omega}{v’} = \frac{\omega}{v/2} = 2k
\end{aligned}
$$
波数が2倍になるので、波長 \(\lambda’ = 2\pi/k’\) は半分になります。
共振条件 \(k’ a = n’ \pi\) より、
$$
\begin{aligned}
(2k) a &= n’ \pi \\[2.0ex]
2 (ka) &= n’ \pi
\end{aligned}
$$
元の状態で \(ka = n\pi\) だったので、
$$
\begin{aligned}
2 (n\pi) &= n’ \pi \\[2.0ex]
n’ &= 2n
\end{aligned}
$$
元の腹の数 \(n\) が6個(\(30\,\text{cm}\) は \(5\,\text{cm}\) の6倍)だったので、新しい腹の数は \(12\) 個となります。
【総まとめ】この一問を未来の得点力へ!完全マスター講座
最重要ポイント:この問題の核心となる物理法則は?
- 弦を伝わる波の速さの決定要因
- 核心: 波の速さ \(v\) は、弦の「張力 \(S\)」と「線密度 \(\rho\)(単位長さあたりの質量)」だけで決まります。公式 \(v = \sqrt{\frac{S}{\rho}}\) は、弦の振動問題を解くための最強の武器です。
- 理解のポイント:
- 張力 \(S\): 弦をピンと張るほど、復元力が強くなり、波は速く伝わります(\(v \propto \sqrt{S}\))。
- 線密度 \(\rho\): 弦が重くなるほど、慣性が大きくなり、波は遅く伝わります(\(v \propto 1/\sqrt{\rho}\))。
- 定常波の共振条件(境界条件)
- 核心: 両端が固定された弦では、両端が必ず「節」になります。そのため、弦の長さ \(L\) の中に半波長 \(\frac{\lambda}{2}\) がちょうど整数個(\(n\) 個)入る波しか存在できません。
- 理解のポイント:
- 基本式: \(L = n \frac{\lambda}{2}\) (\(n\) は腹の数)。この式を変形して、波長 \(\lambda = \frac{2L}{n}\) や振動数 \(f_n = \frac{v}{\lambda} = \frac{n}{2L}\sqrt{\frac{S}{\rho}}\) を導けるようにしましょう。
応用テクニック:似た問題が出たらココを見る!解法の鍵と着眼点
- 応用できる類似問題のパターン:
- 気柱の共鳴: 弦の振動と全く同じロジックで解けます。「両端が開いた管(開管)」は「両端固定の弦」と同じ条件(\(L = n \frac{\lambda}{2}\))、「片方が閉じた管(閉管)」は「片方が自由端の弦」と同じ条件(\(L = (2n-1) \frac{\lambda}{4}\))になります。
- ギターやバイオリンのチューニング: 弦を巻いて張力を変えたり、指で押さえて長さを変えたりして音程(振動数)を調整する仕組みは、まさにこの問題そのものです。
- 初見の問題での着眼点:
- 何が変化したか?: 「長さ \(L\)」「張力 \(S\)」「線密度 \(\rho\)」「振動数 \(f\)」のうち、どれが変わり、どれが一定かを見極めます。
- 振動源が同じ \(\rightarrow\) \(f\) が一定。
- おもりが同じ \(\rightarrow\) \(S\) が一定。
- 弦が同じ \(\rightarrow\) \(\rho\) が一定。
- 因果関係の連鎖:
- \(S, \rho\) の変化 \(\rightarrow\) \(v\) の変化 \(\rightarrow\) (\(f\)一定なら)\(\lambda\) の変化 \(\rightarrow\) 腹の数 \(n\) の変化。
- \(L\) の変化 \(\rightarrow\) \(\lambda\) の変化(共振条件) \(\rightarrow\) (\(v\)一定なら)\(f\) の変化。
- 何が変化したか?: 「長さ \(L\)」「張力 \(S\)」「線密度 \(\rho\)」「振動数 \(f\)」のうち、どれが変わり、どれが一定かを見極めます。
要注意!ありがちなミス・誤解とその対策
- 線密度の計算ミス:
- 誤解: 「直径が2倍」を「線密度が2倍」と勘違いしてしまう。
- 対策: 線密度は断面積に比例し、断面積は直径の2乗に比例します。「直径 \(d \to 2d\) なら、面積 \(A \to 4A\)、線密度 \(\rho \to 4\rho\)」と、必ず面積を介して考える癖をつけましょう。
- 波長と半波長の混同:
- 誤解: 弦の長さ \(L\) をそのまま波長 \(\lambda\) としたり、節と節の間隔を \(\lambda\) としたりする。
- 対策: 定常波の基本単位(ラグビーボール型)は「半波長 \(\frac{\lambda}{2}\)」です。図を描くときは必ず「山と谷で1セット(\(\lambda\))」を確認し、「腹から腹は \(\frac{\lambda}{2}\)」と唱えながら計算しましょう。
- 単位の換算忘れ:
- 誤解: 質量の \(1.8\,\text{g}\) や長さの \(120\,\text{cm}\) をそのまま公式に代入してしまう。
- 対策: 物理公式(特に力学的なもの)は基本的にSI単位系(\(\text{kg}, \text{m}, \text{s}\))で機能します。計算前に必ず \(\text{kg}\) と \(\text{m}\) に直す習慣を徹底しましょう。
なぜその公式?論理的な公式選択と適用の思考法
- 問1(3)での公式選択(\(v = \sqrt{S/\rho}\)):
- 選定理由: 振動数 \(f\) を求めるには \(v\) と \(\lambda\) が必要です。\(\lambda\) は幾何学的な条件から求まりましたが、\(v\) は弦の物理的な性質(張力と重さ)から決まるため、この公式しか選択肢がありません。
- 適用根拠: この公式は、弦の微小部分に対する運動方程式(復元力と慣性の関係)から数学的に導出されるものであり、張力と線密度が一様な弦を伝わる横波に対して普遍的に成立するためです。
- 問2(6)での公式選択(\(v = f\lambda\) の逆算):
- 選定理由: 「腹の数を変えたい」という目的(\(\lambda\) の変更)に対し、操作できる変数が \(f\) だけであるため、\(v\) が一定であることを利用して \(f\) を逆算するのが最短ルートです。
- 適用根拠: 波の基本式 \(v = f\lambda\) は、波動現象全般において常に成立する定義式であり、特にこの場面では弦の物理的状態(\(S, \rho\))が変わらないため \(v\) が定数として扱えることが保証されているためです。
計算ミスをなくす!日頃の意識と実践テクニック
- 比の計算の活用:
- 問1(4)や問2(5)のように「〇倍になったらどうなる?」という問題では、具体的な数値を代入して計算し直すよりも、「\(v \propto \sqrt{S}\) だから \(S\) が4倍なら \(v\) は2倍」のように、比例関係を使って倍率だけで計算する方が圧倒的に速く、ミスも少なくなります。
- 次元解析(単位チェック):
- \(v = \sqrt{S/\rho}\) の計算結果が \(\text{m/s}\) になっているか確認します。\(S [\text{N}] = [\text{kg} \cdot \text{m}/\text{s}^2]\)、\(\rho [\text{kg}/\text{m}]\) なので、\(S/\rho = [\text{m}^2/\text{s}^2]\)、ルートをとれば \([\text{m}/\text{s}]\) となり、正しいことが分かります。
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問題65 弦の共振 (京都工繊大)
【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド
- 提示する別解
- 設問(1)の別解: 固有振動数の公式を用いた解法
- 模範解答が波長と速さの関係から連立方程式を立てるのに対し、別解では弦の固有振動数の公式 \(f = \frac{n}{2L}\sqrt{\frac{S}{\rho}}\) を直接用いて、振動数が等しいという条件から腹の数を決定します。
- 全設問共通の別解: 微積分を用いた体系的解法(波動方程式と境界条件)
- 異なる線密度を持つ2つの弦が接続された系において、波動方程式から導かれる一般解に対し、接続点Bでの境界条件(変位と力の連続性)を適用し、定常波の形成条件を厳密に導きます。
- 設問(1)の別解: 固有振動数の公式を用いた解法
- 上記の別解が有益である理由
- 固有振動数の解法: 公式の形から物理量の依存関係(長さ、密度、張力)が一目で分かり、計算の見通しが良くなります。
- 微積分の解法: 「接続点Bが節になる」という現象が、単なる偶然や仮定ではなく、物理的な境界条件(インピーダンスの不整合など)から必然的に導かれるケースや、逆に節にならないケースを理解する基礎となります。
- 結果への影響
- いずれのアプローチを用いても、最終的に得られる答えは模範解答と完全に一致します。
この問題のテーマは「複合弦の振動と定常波」です。線密度の異なる2本の弦をつないで振動させたとき、それぞれの弦で波の速さや波長がどうなるか、そして全体としてどのような定常波ができるかを考察します。
問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。
- 弦を伝わる波の速さ: 張力を \(S\)、線密度を \(\rho\) とすると、波の速さ \(v\) は \(v = \sqrt{\frac{S}{\rho}}\) で決まります。
- 振動数の保存: 波が異なる媒質(弦)へ伝わっても、振動源(おんさ)の振動数 \(f\) は変わりません。
- 定常波の条件: 両端(AとC)は固定端なので節になります。また、問題文より接続点Bも節となります。弦の長さ \(L\) は半波長 \(\frac{\lambda}{2}\) の整数倍になります。
基本的なアプローチは以下の通りです。
- (1)では、線密度の比から波の速さの比を求め、振動数が共通であることを利用して波長の比を導きます。さらに、腹の総数が5個という条件から各弦の腹の数を決定し、波長を求めます。
- (2)では、求めた波長と振動数から波の速さを計算します。
- (3)では、求めた腹の数に基づいて定常波の概形を描きます。
問(1)
ここから先が、他の受験生と差がつく重要パートです。
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なぜその公式を使うのか?どうしてその着眼点を持てるのか?
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