「名問の森」徹底解説(61〜63問):未来の得点力へ!完全マスター講座【力学・熱・波動Ⅰ】

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問題61 熱力学 (東京大)

【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド

【相違点に関する注記】
  1. 提示する別解
    • 設問(3)の別解1: エネルギー保存則を用いた解法
      • 模範解答が \(P-V\) グラフの面積から仕事を求めるのに対し、別解1では「気体がした仕事=水の位置エネルギー増加+大気圧に対する仕事」というエネルギー保存則を用いて仕事を求めます。
    • 設問(3)の別解2: 微積分を用いた体系的解法(仕事の定義式からの積分)
      • 力のつりあいから圧力 \(P\) を変位 \(x\) の関数として表し、仕事の定義式 \(W = \int P dV\) に基づいて積分計算を行うことで、グラフに頼らず数式的に仕事を導出します。
    • 設問(4)の別解1: \(P-V\) グラフの面積(平行四辺形)を用いた解法
      • 1サイクルの正味の仕事が \(P-V\) グラフ上の閉曲線で囲まれた面積に等しいことを利用し、平行四辺形の面積公式から一発で仕事を求めます。
    • 設問(4)の別解2: エネルギー保存則(揚水ポンプの原理)を用いた解法
      • 1サイクル全体で見ると、気体は元の状態に戻るため内部エネルギー変化はゼロです。系全体(気体+水+大気)のエネルギー収支を考えると、気体がした正味の仕事は、最終的に「水を高さ \(h\) だけ持ち上げた位置エネルギー」に変換されたとみなせます。
  2. 上記の別解が有益である理由
    • エネルギー保存則の解法: 複雑な圧力変化を追うことなく、始状態と終状態のエネルギー差のみに着目することで、計算量を大幅に削減し、物理的直感を養います。
    • 微積分の解法: グラフの形状(直線)に依存せず、どのような圧力変化であっても適用可能な普遍的な手法であり、物理の基礎原理(仕事の定義)への理解を深めます。
    • グラフの面積解法: 視覚的に理解しやすく、検算としても非常に有効です。
  3. 結果への影響
    • いずれのアプローチを用いても、最終的に得られる答えは模範解答と完全に一致します。

この問題のテーマは「気体の熱膨張を利用した揚水ポンプのサイクル」です。
円筒容器内の気体を加熱・冷却することでピストンを上下させ、水を汲み上げる装置の熱力学的サイクルを解析します。

問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。

  • 力のつりあい: ピストンがゆっくり動く(準静的過程)とき、気体の圧力による力は、大気圧、水圧、ピストンの重さ(今回は無視)の合力とつりあっています。
  • 理想気体の状態方程式: \(PV = nRT\)
  • 熱力学第一法則: \(Q = \Delta U + W\) (単原子分子理想気体では \(\Delta U = \frac{3}{2}nR\Delta T\))
  • 仕事の定義: \(W = \int P dV\) (\(P-V\) グラフの面積)

基本的なアプローチは以下の通りです。

  • (1)では、各状態における力のつりあいを立式し、圧力を求めます。その後、状態方程式から温度を求めます。
  • (2)~(3)では、各過程における仕事 \(W\) と吸熱量 \(Q\) を計算します。特に(3)の過程は圧力が一定ではないため、積分の考え方やグラフの面積、あるいはエネルギー保存則を利用します。
  • (4)では、1サイクル全体での正味の仕事を求めます。

設問(1)

思考の道筋とポイント
各状態(I, II, III, IV)における気体の圧力 \(p_1, p_2, p_3, p_4\) を、ピストンにはたらく力のつりあいから求めます。
ピストンの質量は無視できるため、気体の圧力は「大気圧 \(p_0\) + 水圧」となります。
水圧は水深に比例します(\(\rho g \times \text{深さ}\))。
圧力が求まったら、各状態の体積(断面積 \(S \times\) 高さ)を用いて、理想気体の状態方程式から温度 \(T\) を求めます。

この設問における重要なポイント

  • 水圧の計算: 水深 \(d\) の場所での水圧は \(\rho g d\) です。
  • 状態の把握:
    • 状態I: 水深 \(b\) の水が乗っている。気柱の高さ \(a\)。
    • 状態II: 水面が上昇し、排水口D(高さ \(h\))に達した瞬間。まだ水はあふれていない。気柱の高さ \(a+h\)。水深は \(b\) のまま(水面と一緒にピストンも上がるため)。
    • 状態III: さらに加熱し、ピストンが排水口Dに達した状態。水はすべて押し出された。気柱の高さ \(a+h+b\)。水深は \(0\)(上に水はない)。
    • 状態IV: 冷却してピストンが下がり、注水口Cに達した状態。気柱の高さ \(a+b\)。水深は \(0\)(Cが開く直前)。

具体的な解説と立式
【圧力の導出】
鉛直上向きを正とします。ピストンの面積を \(S\) とします。
力のつりあいより、気体がピストンを押す力 \(pS\) は、上から押す力(大気圧 \(p_0 S\) + 水の重さ \(mg\))とつりあいます。
水の質量 \(m\) は、密度 \(\rho\) \(\times\) 体積 \(V_{\text{水}}\) です。

  • 状態I:
    気柱の高さは \(a\)。ピストン上の水の深さは \(b\) なので、体積 \(V_{\text{水}} = Sb\)。
    $$
    \begin{aligned}
    p_1 S &= p_0 S + (\rho S b) g \quad \cdots ①
    \end{aligned}
    $$
  • 状態II:
    気柱の高さは \(a+h\)。ピストン上の水の深さは変わらず \(b\) です。
    $$
    \begin{aligned}
    p_2 S &= p_0 S + (\rho S b) g \quad \cdots ②
    \end{aligned}
    $$
  • 状態III:
    気柱の高さは \(a+h+b\)。ピストン上に水はありません。
    $$
    \begin{aligned}
    p_3 S &= p_0 S \quad \cdots ③
    \end{aligned}
    $$
  • 状態IV:
    気柱の高さは \(a+b\)。ピストン上に水はありません。
    $$
    \begin{aligned}
    p_4 S &= p_0 S \quad \cdots ④
    \end{aligned}
    $$

【温度の導出】
理想気体の状態方程式 \(PV = nRT\) を用います。
状態Iの温度は \(T_0\) と与えられています。
$$
\begin{aligned}
p_1 (Sa) &= nR T_0 \quad \cdots ⑤
\end{aligned}
$$
これを用いて、他の状態の温度を \(T_0\) で表します。

  • 状態II:
    $$
    \begin{aligned}
    p_2 \{ S(a+h) \} &= nR T_2 \quad \cdots ⑥
    \end{aligned}
    $$
  • 状態III:
    $$
    \begin{aligned}
    p_3 \{ S(a+h+b) \} &= nR T_3 \quad \cdots ⑦
    \end{aligned}
    $$
  • 状態IV:
    $$
    \begin{aligned}
    p_4 \{ S(a+b) \} &= nR T_4 \quad \cdots ⑧
    \end{aligned}
    $$

使用した物理公式

  • 力のつりあい: \(F_{\text{上}} = F_{\text{下}}\)
  • 理想気体の状態方程式: \(PV = nRT\)
計算過程

【圧力の計算】
式①より、
$$
\begin{aligned}
p_1 &= p_0 + \rho b g
\end{aligned}
$$
式②より、
$$
\begin{aligned}
p_2 &= p_0 + \rho b g
\end{aligned}
$$
式③より、
$$
\begin{aligned}
p_3 &= p_0
\end{aligned}
$$
式④より、
$$
\begin{aligned}
p_4 &= p_0
\end{aligned}
$$

【温度の計算】
式⑤と式⑥の比をとります。\(p_1 = p_2\) であることを用います。
$$
\begin{aligned}
\frac{p_2 S(a+h)}{p_1 Sa} &= \frac{nR T_2}{nR T_0} \\[2.0ex]
\frac{a+h}{a} &= \frac{T_2}{T_0} \\[2.0ex]
T_2 &= \frac{a+h}{a} T_0
\end{aligned}
$$
式⑤より \(nR = \frac{p_1 Sa}{T_0}\) なので、これを式⑦に代入して \(T_3\) を求めます。
$$
\begin{aligned}
p_3 S(a+h+b) &= \frac{p_1 Sa}{T_0} T_3 \\[2.0ex]
T_3 &= \frac{p_3 (a+h+b)}{p_1 a} T_0 \\[2.0ex]
&= \frac{p_0 (a+h+b)}{a (p_0 + \rho b g)} T_0
\end{aligned}
$$
同様に、式⑧に \(nR\) を代入して \(T_4\) を求めます。
$$
\begin{aligned}
p_4 S(a+b) &= \frac{p_1 Sa}{T_0} T_4 \\[2.0ex]
T_4 &= \frac{p_4 (a+b)}{p_1 a} T_0 \\[2.0ex]
&= \frac{p_0 (a+b)}{a (p_0 + \rho b g)} T_0
\end{aligned}
$$

この設問の平易な説明

ピストンを押しているのは「空気の圧力」と「乗っかっている水の重さ」です。
状態IとIIでは水が乗っているので重く、圧力が高くなります。
状態IIIとIVでは水を捨てた後なので軽く、圧力は大気圧と同じになります。
温度は、圧力と体積(高さ)の掛け算に比例するので、それぞれの状態の圧力と高さを代入して計算しました。

結論と吟味

\(T_2 > T_0\) は明らかです(体積増、圧力一定)。
\(T_3\) や \(T_4\) の分母に \(p_1\)(大きい圧力)、分子に \(p_0\)(小さい圧力)が来ていますが、体積が増加しているため、全体として温度がどうなるかは \(a, h, b\) の値によります。式の形として次元(単位)は合っています。

解答 (1)
\(p_1 = p_0 + \rho b g, \quad p_2 = p_0 + \rho b g, \quad p_3 = p_0, \quad p_4 = p_0\)
\(T_2 = \displaystyle\frac{a+h}{a} T_0, \quad T_3 = \displaystyle\frac{(a+h+b) p_0}{a (p_0 + \rho b g)} T_0, \quad T_4 = \displaystyle\frac{(a+b) p_0}{a (p_0 + \rho b g)} T_0\)

設問(2)

思考の道筋とポイント
状態IからIIへの変化は、圧力が \(p_1\) で一定の「定圧変化」です。
定圧変化における仕事 \(W\) は \(P\Delta V\) で求められます。
吸熱量 \(Q\) は、定圧モル比熱 \(C_p\) を用いるか、第一法則 \(Q = \Delta U + W\) から求めます。単原子分子なので \(C_p = \frac{5}{2}R\) です。

この設問における重要なポイント

  • 定圧変化の仕事: \(W = P(V_{\text{後}} – V_{\text{前}})\)
  • 定圧変化の吸熱: \(Q = n C_p \Delta T = n \frac{5}{2} R \Delta T\)

具体的な解説と立式
【仕事 \(W_1\) の導出】
圧力は \(p_1\) で一定です。
体積変化は \(\Delta V = S(a+h) – Sa = Sh\) です。
$$
\begin{aligned}
W_1 &= p_1 \Delta V \quad \cdots ⑨
\end{aligned}
$$

【吸熱量 \(Q_1\) の導出】
単原子分子理想気体の定圧変化なので、
$$
\begin{aligned}
Q_1 &= n C_p (T_2 – T_0) \\[2.0ex]
&= n \left( \frac{5}{2} R \right) (T_2 – T_0) \quad \cdots ⑩
\end{aligned}
$$

使用した物理公式

  • 定圧変化の仕事: \(W = P\Delta V\)
  • 定圧変化の熱量: \(Q = \frac{5}{2} nR \Delta T = \frac{5}{2} P \Delta V\)
計算過程

式⑨に \(p_1 = p_0 + \rho b g\) を代入します。
$$
\begin{aligned}
W_1 &= (p_0 + \rho b g) Sh
\end{aligned}
$$
式⑩において、状態方程式の差分 \(p_1 \Delta V = nR(T_2 – T_0)\) を利用します。
$$
\begin{aligned}
Q_1 &= \frac{5}{2} (p_1 \Delta V) \\[2.0ex]
&= \frac{5}{2} W_1 \\[2.0ex]
&= \frac{5}{2} (p_0 + \rho b g) Sh
\end{aligned}
$$

この設問の平易な説明

圧力が一定のまま膨らむとき、気体は「圧力 \(\times\) 増えた体積」だけの仕事をします。
また、単原子分子の気体が定圧膨張するとき、吸収した熱の \(2/5\) が仕事になり、\(3/5\) が温度上昇(内部エネルギー)に使われます。
今回は仕事 \(W_1\) が求まったので、その \(5/2\) 倍が吸収した熱量になります。

結論と吟味

\(W_1\) は正の値であり、気体が外部へ仕事をしています。\(Q_1\) も正であり、吸熱しています。物理的に妥当です。

解答 (2) \(W_1 = (p_0 + \rho b g) Sh, \quad Q_1 = \displaystyle\frac{5}{2} (p_0 + \rho b g) Sh\)

設問(3)

思考の道筋とポイント
状態IIからIIIへの変化では、ピストンが上昇するにつれて水が排水口Dからあふれ出し、ピストン上の水の量が減っていきます。
そのため、気体の圧力は一定ではなく、徐々に減少します。
仕事 \(W_2\) を求めるには、\(P-V\) グラフの面積を計算するのが定石です。
吸熱量 \(Q_2\) は、第一法則 \(Q = \Delta U + W\) から求めます。

この設問における重要なポイント

  • 圧力の変化: ピストンが \(x\) 上がると、水は \(x\) だけあふれ出るため、水深が \(b-x\) になります。圧力は \(x\) の一次関数になります。
  • \(P-V\) グラフ: 圧力が体積(高さ)に対して直線的に変化するため、グラフは台形になります。仕事はその面積です。

具体的な解説と立式
【仕事 \(W_2\) の導出】
状態II(高さ \(a+h\))での圧力は \(p_2 = p_0 + \rho b g\) です。
状態III(高さ \(a+h+b\))での圧力は \(p_3 = p_0\) です。
この間、圧力は高さ(体積)に対して直線的に減少します。
\(P-V\) グラフを描くと、横軸が体積 \(V\)、縦軸が圧力 \(P\) の台形になります。
台形の上底は \(p_3\)、下底は \(p_2\)、高さは体積変化 \(V_3 – V_2 = Sb\) です。
仕事 \(W_2\) はこの台形の面積です。
$$
\begin{aligned}
W_2 &= \frac{p_2 + p_3}{2} (V_3 – V_2) \quad \cdots ⑪
\end{aligned}
$$

【吸熱量 \(Q_2\) の導出】
熱力学第一法則 \(Q_2 = \Delta U_{23} + W_2\) を用います。
内部エネルギー変化 \(\Delta U_{23}\) は、
$$
\begin{aligned}
\Delta U_{23} &= \frac{3}{2} nR (T_3 – T_2) \\[2.0ex]
&= \frac{3}{2} (p_3 V_3 – p_2 V_2) \quad \cdots ⑫
\end{aligned}
$$

使用した物理公式

  • \(P-V\) グラフの面積(台形): \(W = \frac{P_{\text{始}} + P_{\text{終}}}{2} \Delta V\)
  • 熱力学第一法則: \(Q = \Delta U + W\)
  • 内部エネルギー変化: \(\Delta U = \frac{3}{2} (P_{\text{終}}V_{\text{終}} – P_{\text{始}}V_{\text{始}})\)
計算過程

式⑪に値を代入して \(W_2\) を計算します。
$$
\begin{aligned}
W_2 &= \frac{(p_0 + \rho b g) + p_0}{2} (Sb) \\[2.0ex]
&= \left( p_0 + \frac{1}{2} \rho b g \right) Sb
\end{aligned}
$$
式⑫に値を代入して \(\Delta U_{23}\) を計算します。
\(p_3 = p_0, \quad V_3 = S(a+h+b)\)
\(p_2 = p_0 + \rho b g, \quad V_2 = S(a+h)\)
$$
\begin{aligned}
\Delta U_{23} &= \frac{3}{2} \{ p_0 S(a+h+b) – (p_0 + \rho b g) S(a+h) \} \\[2.0ex]
&= \frac{3}{2} S \{ p_0(a+h) + p_0 b – p_0(a+h) – \rho b g(a+h) \} \\[2.0ex]
&= \frac{3}{2} S \{ p_0 b – \rho b g(a+h) \} \\[2.0ex]
&= \frac{3}{2} Sb \{ p_0 – \rho g(a+h) \}
\end{aligned}
$$
これに \(W_2\) を加えて \(Q_2\) を計算します。
$$
\begin{aligned}
Q_2 &= \frac{3}{2} Sb \{ p_0 – \rho g(a+h) \} + \left( p_0 + \frac{1}{2} \rho b g \right) Sb \\[2.0ex]
&= Sb \left\{ \frac{3}{2} p_0 – \frac{3}{2} \rho g(a+h) + p_0 + \frac{1}{2} \rho b g \right\} \\[2.0ex]
&= Sb \left\{ \frac{5}{2} p_0 – \frac{3}{2} \rho g a – \frac{3}{2} \rho g h + \frac{1}{2} \rho g b \right\} \\[2.0ex]
&= \frac{1}{2} Sb \{ 5p_0 – \rho g (3a + 3h – b) \}
\end{aligned}
$$

この設問の平易な説明

水があふれていくので、ピストンにかかる重さがだんだん軽くなります。
圧力は「重い状態」から「軽い状態」へ一直線に下がるので、仕事は「平均の圧力 \(\times\) 動いた体積」で計算できます。
熱量は、温度変化によるエネルギー変化と、この仕事を足し合わせることで求められます。

結論と吟味

\(Q_2\) の式は複雑ですが、各項の次元は \([Pa \cdot m^3] = [J]\) で統一されています。

解答 (3) \(W_2 = \left( p_0 + \displaystyle\frac{1}{2} \rho b g \right) Sb, \quad Q_2 = \displaystyle\frac{1}{2} Sb \{ 5p_0 – \rho g (3a + 3h – b) \}\)
別解: エネルギー保存則を用いた解法

思考の道筋とポイント
気体がした仕事 \(W_2\) は、何に使われたかを考えます。
ピストンが \(b\) だけ上がる間に、水は排水口から押し出されました。
これは、「質量 \(m = \rho S b\) の水を、重心の高さだけ持ち上げ、さらに大気圧に逆らって押し広げた」ことと等価です。

この設問における重要なポイント

  • 重心の上昇: 水の層(厚さ \(b\))は、最初はピストンの上にありましたが、最終的に排水口の高さで排出されました。重心は \(b/2\) だけ上昇したと考えられます。
  • 大気圧の仕事: ピストンが大気を押した仕事 \(p_0 \Delta V\) も含みます。

具体的な解説と立式
気体がした仕事 \(W_2\) は、以下の和になります。
1. 水の位置エネルギーの増加:
水の質量 \(M = \rho S b\)。
重心の上昇距離は \(b/2\) です(ピストン上の水が、高さ \(b\) の範囲から徐々に排出されるため、平均して \(b/2\) 持ち上げたとみなせます)。
$$
\begin{aligned}
\Delta U_{\text{重力}} &= M g \frac{b}{2} \quad \cdots ⑬
\end{aligned}
$$
2. 大気圧に対してした仕事:
$$
\begin{aligned}
W_{\text{大気}} &= p_0 \Delta V \quad \cdots ⑭
\end{aligned}
$$
よって、
$$
\begin{aligned}
W_2 &= \Delta U_{\text{重力}} + W_{\text{大気}}
\end{aligned}
$$

使用した物理公式

  • 仕事とエネルギーの関係: \(W = \Delta E\)
計算過程

式⑬、⑭に値を代入して計算します。
$$
\begin{aligned}
\Delta U_{\text{重力}} &= (\rho S b) g \frac{b}{2} \\[2.0ex]
&= \frac{1}{2} \rho S b^2 g
\end{aligned}
$$
$$
\begin{aligned}
W_{\text{大気}} &= p_0 (Sb)
\end{aligned}
$$
これらを足し合わせます。
$$
\begin{aligned}
W_2 &= \frac{1}{2} \rho S b^2 g + p_0 Sb \\[2.0ex]
&= \left( p_0 + \frac{1}{2} \rho b g \right) Sb
\end{aligned}
$$

この設問の平易な説明

気体が頑張ってピストンを押し上げたエネルギーは、「水を持ち上げるエネルギー」と「外の空気を押しのけるエネルギー」に使われました。
これを足し算するだけで、積分やグラフを使わずに仕事が求まります。

結論と吟味

メイン解法と完全に一致します。

解答 (3) \(W_2 = \left( p_0 + \displaystyle\frac{1}{2} \rho b g \right) Sb\)
別解: 微積分を用いた体系的解法(仕事の定義式からの積分)

思考の道筋とポイント
圧力 \(P\) をピストンの位置 \(x\) の関数として表し、仕事の定義式 \(W = \int P dV\) に従って積分計算を行います。

この設問における重要なポイント

  • 変数の設定: 状態IIからのピストンの上昇距離を \(x\) とします(\(0 \le x \le b\))。
  • 圧力の関数化: 上昇距離 \(x\) のとき、残っている水の深さは \(b-x\) です。

具体的な解説と立式
状態IIから \(x\) だけ上昇したとき、ピストン上の水の深さは \(b-x\) です。
このときの気体の圧力 \(P(x)\) は、
$$
\begin{aligned}
P(x) &= p_0 + \rho (b-x) g \quad \cdots ⑮
\end{aligned}
$$
微小体積変化 \(dV\) は、断面積 \(S\) を用いて \(dV = S dx\) と表せます。
仕事 \(W_2\) は、\(x\) が \(0\) から \(b\) まで変化する間の積分の和です。
$$
\begin{aligned}
W_2 &= \int_{0}^{b} P(x) S dx \quad \cdots ⑯
\end{aligned}
$$

使用した物理公式

  • 仕事の積分定義: \(W = \int P dV\)
計算過程

式⑮を式⑯に代入して積分を実行します。
$$
\begin{aligned}
W_2 &= S \int_{0}^{b} \{ p_0 + \rho g (b-x) \} dx \\[2.0ex]
&= S \left[ p_0 x + \rho g \left( bx – \frac{x^2}{2} \right) \right]_{0}^{b} \\[2.0ex]
&= S \left\{ p_0 b + \rho g \left( b^2 – \frac{b^2}{2} \right) \right\} \\[2.0ex]
&= S \left( p_0 b + \frac{1}{2} \rho g b^2 \right) \\[2.0ex]
&= \left( p_0 + \frac{1}{2} \rho b g \right) Sb
\end{aligned}
$$

この設問の平易な説明

圧力が刻一刻と変化する場合、本来は積分計算が必要です。
「ある瞬間の圧力 \(\times\) ほんの少しの移動距離」を、最初から最後まで全部足し合わせる計算を行いました。
結果はグラフの面積(台形の公式)と同じになります。

結論と吟味

メイン解法と完全に一致します。

解答 (3) \(W_2 = \left( p_0 + \displaystyle\frac{1}{2} \rho b g \right) Sb\)

設問(4)

思考の道筋とポイント
1サイクル(I \(\to\) II \(\to\) III \(\to\) IV \(\to\) I)での正味の仕事 \(W\) を求めます。
\(W = W_{\text{I}\to\text{II}} + W_{\text{II}\to\text{III}} + W_{\text{III}\to\text{IV}} + W_{\text{IV}\to\text{I}}\) です。
\(W_1\) と \(W_2\) は既に求めました。
\(W_3\)(III \(\to\) IV)と \(W_4\)(IV \(\to\) I)を計算して合計します。

この設問における重要なポイント

  • 圧縮過程の仕事: 体積が減る過程(III \(\to\) IV, IV \(\to\) I)では、仕事は負になります。
  • 圧力の変化:
    • III \(\to\) IV: 圧力 \(p_0\) で一定(定圧圧縮)。
    • IV \(\to\) I: 注水口Cが開き、水が流入する。ピストンが下がるにつれて水深が増し、圧力が増加する。II \(\to\) III の逆過程に似ています。

具体的な解説と立式
【各過程の仕事】

  • I \(\to\) II: \(W_1 = (p_0 + \rho b g) Sh\) (膨張、正)
  • II \(\to\) III: \(W_2 = (p_0 + \frac{1}{2} \rho b g) Sb\) (膨張、正)
  • III \(\to\) IV:
    圧力 \(p_0\) で一定。体積は \(S(a+h+b)\) から \(S(a+b)\) へ減少。変化量は \(-Sh\)。
    $$
    \begin{aligned}
    W_3 &= p_0 (-Sh) \quad \cdots ⑰
    \end{aligned}
    $$
  • IV \(\to\) I:
    ピストンが下がるにつれて水が入ってきます。
    高さ \(a+b\) から \(a\) へ変化。体積変化は \(-Sb\)。
    圧力は \(p_0\) から \(p_1 = p_0 + \rho b g\) へ直線的に増加します。
    \(P-V\) グラフは台形になります(II \(\to\) III のグラフを横にずらして逆走した形)。
    平均圧力は \(\frac{p_0 + (p_0 + \rho b g)}{2} = p_0 + \frac{1}{2} \rho b g\)。
    $$
    \begin{aligned}
    W_4 &= \left( p_0 + \frac{1}{2} \rho b g \right) (-Sb) \quad \cdots ⑱
    \end{aligned}
    $$

【合計仕事 \(W\)】
$$
\begin{aligned}
W &= W_1 + W_2 + W_3 + W_4 \quad \cdots ⑲
\end{aligned}
$$

使用した物理公式

  • サイクルの仕事: \(W = \sum W_i\)
計算過程

式⑰より、
$$
\begin{aligned}
W_3 &= -p_0 Sh
\end{aligned}
$$
式⑱より、
$$
\begin{aligned}
W_4 &= – \left( p_0 + \frac{1}{2} \rho b g \right) Sb
\end{aligned}
$$
式⑲に各仕事を代入します。
$$
\begin{aligned}
W &= (p_0 + \rho b g) Sh + \left( p_0 + \frac{1}{2} \rho b g \right) Sb – p_0 Sh – \left( p_0 + \frac{1}{2} \rho b g \right) Sb
\end{aligned}
$$
\(W_2\) と \(W_4\) は大きさが同じで符号が逆なので相殺されます(\(W_2 + W_4 = 0\))。
残るのは \(W_1\) と \(W_3\) の和です。
$$
\begin{aligned}
W &= (p_0 + \rho b g) Sh – p_0 Sh \\[2.0ex]
&= p_0 Sh + \rho b g Sh – p_0 Sh \\[2.0ex]
&= \rho b g Sh \\[2.0ex]
&= \rho S b g h
\end{aligned}
$$

この設問の平易な説明

1周回って元の状態に戻る間に、気体がトータルでした仕事は、「膨張するときにした仕事」から「圧縮されるときにされた仕事」を引いた残りです。
計算してみると、複雑な部分(水が出入りする部分)はプラスマイナスゼロで消えてしまい、単純な部分の差だけが残りました。

結論と吟味

答えは \(\rho S b g h\) です。これは「質量 \(\rho S b\) の水を、高さ \(h\) だけ持ち上げる仕事」に等しいです。揚水ポンプとしての機能が数式に現れています。

解答 (4) \(\rho S b g h\)
別解: \(P-V\) グラフの面積を用いた解法

思考の道筋とポイント
1サイクルの正味の仕事 \(W\) は、\(P-V\) グラフ上でサイクルが囲む閉曲線の面積に等しくなります。
このサイクルの形状を把握し、面積を計算します。

この設問における重要なポイント

  • サイクルの形状: 平行四辺形になります。
    • I \(\to\) II: 圧力 \(p_1\) 一定、幅 \(Sh\)。
    • II \(\to\) III: 圧力減少、幅 \(Sb\)。
    • III \(\to\) IV: 圧力 \(p_0\) 一定、幅 \(Sh\)(戻る)。
    • IV \(\to\) I: 圧力増加、幅 \(Sb\)(戻る)。

具体的な解説と立式
\(P-V\) グラフを描くと、底辺が \(Sh\)(体積変化)、高さが \(p_1 – p_0 = \rho b g\)(圧力差)の平行四辺形になります。
(正確には、I\(\to\)IIとIII\(\to\)IVが水平で、II\(\to\)IIIとIV\(\to\)Iが斜めの平行線です)
面積 \(S_{\text{graph}}\) は、
$$
\begin{aligned}
S_{\text{graph}} &= (\text{底辺}) \times (\text{高さ}) \\[2.0ex]
&= (Sh) \times (p_1 – p_0) \quad \cdots ⑳
\end{aligned}
$$

使用した物理公式

  • サイクルの仕事: \(W = \oint P dV = \text{囲まれた面積}\)
計算過程

式⑳を計算します。
$$
\begin{aligned}
W &= Sh \times \rho b g \\[2.0ex]
&= \rho S b g h
\end{aligned}
$$

この設問の平易な説明

グラフを描いてみると、サイクルが囲む形は平行四辺形になります。
その面積を計算するだけで、面倒な足し算引き算をせずに一発で答えが出ます。

結論と吟味

メイン解法と完全に一致します。

解答 (4) \(\rho S b g h\)
別解: エネルギー保存則(揚水ポンプの原理)を用いた解法

思考の道筋とポイント
この装置は何をしたのか?という全体像を見ます。
1サイクルで気体は元の状態に戻るので、気体のエネルギー変化はゼロです。
結果として残ったのは、「下の水槽(高さ \(0\))から上の水槽(高さ \(h\))へ、水(質量 \(m=\rho S b\))が移動した」という事実だけです。

この設問における重要なポイント

  • エネルギー収支: 気体がした正味の仕事 \(W\) は、外部(水)の力学的エネルギーの増加に等しい。

具体的な解説と立式
1サイクルを通して、気体は外部に対して正味の仕事 \(W\) をしました。
この仕事によってなされたことは、質量 \(m = \rho S b\) の水を、高さ \(h\) だけ持ち上げたことです(注水口Cから入り、排水口Dから出た)。
よって、仕事 \(W\) は水の位置エネルギーの増加量に等しくなります。
$$
\begin{aligned}
W &= m g h \quad \cdots ㉑
\end{aligned}
$$

使用した物理公式

  • 仕事とエネルギーの関係: \(W = \Delta E\)
計算過程

式㉑に \(m = \rho S b\) を代入します。
$$
\begin{aligned}
W &= (\rho S b) g h \\[2.0ex]
&= \rho S b g h
\end{aligned}
$$

この設問の平易な説明

細かい計算を全部すっ飛ばして、「結局この機械は何をしたの?」と考えます。
水を下から上へ \(h\) だけ汲み上げただけです。
そのために必要なエネルギー(仕事)は、物理の基本通り \(mgh\) です。これだけで答えが出ます。

結論と吟味

最も本質的かつ最速の解法です。

解答 (4) \(\rho S b g h\)

【総まとめ】この一問を未来の得点力へ!完全マスター講座

最重要ポイント:この問題の核心となる物理法則は?

  • 準静的過程における力のつりあい
    • 核心: ピストンがゆっくり動くとき、気体の圧力は常に外部からの力(大気圧+水圧)とつりあっています。これにより、複雑な装置でも圧力を簡単に決定できます。
    • 理解のポイント:
      • 水圧の寄与: 水圧は深さに比例するため、水深が変わる過程では圧力が直線的に変化します。これが \(P-V\) グラフで台形や平行四辺形が現れる理由です。
      • 状態の追跡: 「今、ピストンの上にどれだけの水が乗っているか?」を常に把握することが、圧力を正しく求める鍵です。
  • サイクルの仕事とエネルギー保存則
    • 核心: 1サイクルでの正味の仕事は、\(P-V\) グラフの面積に等しく、また、系全体(水)になされた仕事(位置エネルギーの増加)とも等しくなります。
    • 理解のポイント:
      • ミクロな視点: 個別の過程を積分計算やグラフの面積で求める方法。
      • マクロな視点: 装置全体の機能(揚水)を見ることで、エネルギー収支から一気に仕事を求める方法。この両方の視点を持つことで、検算やショートカットが可能になります。

応用テクニック:似た問題が出たらココを見る!解法の鍵と着眼点

  • 応用できる類似問題のパターン:
    • ばね付きピストン: 水圧の代わりにばねの弾性力が働く場合も、圧力は体積(変位)の一次関数になり、\(P-V\) グラフは台形になります。解法は全く同じです。
    • 熱機関のサイクル: スターリングサイクルやオットーサイクルなど、様々なサイクル問題において、\(P-V\) グラフの面積計算は必須テクニックです。
  • 初見の問題での着眼点:
    1. 圧力を決める要因を探す: ピストンを押しているのは何か?(重り、ばね、水圧、大気圧)。それらが体積変化とともにどう変わるかを式にします。
    2. グラフを描く: 圧力が体積の関数としてわかったら、概略でも良いので \(P-V\) グラフを描きます。面積が見えれば勝機ありです。
    3. 「結局何をしたか」を考える: 複雑な計算に埋没しそうになったら、エネルギー保存則(仕事=エネルギー変化)でショートカットできないか検討します。

要注意!ありがちなミス・誤解とその対策

  • 水圧の計算ミス:
    • 誤解: 水深 \(b\) ではなく、気柱の高さ \(a\) を水圧の計算に使ってしまう。
    • 対策: 「水圧は水の深さで決まる」ことを再確認し、図に水深を明記しましょう。気柱の高さは体積計算に使います。
  • 仕事の符号ミス:
    • 誤解: 圧縮過程(体積が減る)なのに仕事を正として足してしまう。
    • 対策: 「膨張=仕事をする(正)」「圧縮=仕事をされる(負)」を常に意識し、積分の方向や面積の引き算を間違えないようにします。
  • 状態方程式の適用ミス:
    • 誤解: 圧力が変化しているのに、始状態や終状態の圧力だけで計算してしまう。
    • 対策: 変化の途中(平均圧力)を考える必要があるのは「仕事」の計算です。「温度」はあくまでその瞬間の状態量なので、その瞬間の圧力と体積を使います。

なぜその公式?論理的な公式選択と適用の思考法

  • 問(3)別解での公式選択(エネルギー保存則 vs 積分):
    • 選定理由: 積分計算は強力ですが、計算ミスのリスクがあります。エネルギー保存則(仕事=位置エネルギー増+大気圧仕事)は、物理的な意味が明確で計算も単純なため、検算や実戦での第一選択として推奨されます。
    • 適用根拠: 力学的エネルギー保存則は、摩擦などの非保存力がない限り常に成立します。
  • 問(4)別解での公式選択(グラフの面積 vs 個別計算):
    • 選定理由: 個別に計算して足し合わせると、項が多くなり符号ミスが起きやすいです。グラフの面積(平行四辺形)なら、底辺 \(\times\) 高さだけで求まるため、圧倒的に速く正確です。
    • 適用根拠: サイクルの正味の仕事が \(P-V\) グラフの閉曲線内の面積に等しいことは、熱力学の基本原理です。

計算ミスをなくす!日頃の意識と実践テクニック

  • 次元確認(ディメンションチェック):
    • 答えが出たら単位を確認します。圧力 \([Pa]\)、仕事 \([J]\)、温度 \([K]\)。例えば \(W = \rho S b g h\) なら \([kg/m^3][m^2][m][m/s^2][m] = [kg \cdot m^2/s^2] = [J]\) で正しいと判断できます。
  • 極限的なケースでの検算:
    • もし水がない(\(b=0\))としたら? 圧力は常に \(p_0\) になり、仕事も \(0\) になるはずです。式で \(b=0\) とおいて確認します。
    • もし高さが変わらない(\(h=0\))としたら? 仕事は \(0\) になるはずです。式で \(h=0\) とおいて確認します。
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問題62 波の性質

【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド

【相違点に関する注記】
  1. 提示する別解
    • 設問(2)の別解: 波形の平行移動を用いた解法
      • 模範解答が周期性を用いて計算で解くのに対し、別解では「波形全体が時間とともに移動する」という波の性質を利用し、図形的に解きます。
    • 全設問共通の別解: 微積分を用いた体系的解法(波動関数の導入)
      • グラフから波の数式(波動関数)を決定し、それを時間微分して速度を、位置微分して密度(ひずみ)を導出します。これにより、(1)〜(5)および追加問題Qのすべてを統一的な数式処理で解きます。
  2. 上記の別解が有益である理由
    • 平行移動の解法: 複雑な位相計算を回避し、視覚的に直感的な理解を促します。特にセンター試験や共通テストのようなマーク式問題で迅速に正答を導くのに有効です。
    • 微積分の解法: 「傾きが負なら密」「速度の向きは微小時間後の波形」といった定性的なルールを暗記するのではなく、物理学の基本原理(定義式)から論理的に現象を導く力を養います。
  3. 結果への影響
    • いずれのアプローチを用いても、最終的に得られる答えは模範解答と完全に一致します。

この問題のテーマは「縦波のグラフ表現と媒質の運動」です。縦波を横波表示したグラフ(\(y-x\) 図と \(y-t\) 図)から、波の基本量や媒質の状態(変位、速度、密度)を読み取る力を養います。

問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。

  1. 縦波の横波表示: 縦波の媒質の変位(\(x\) 軸方向)を、便宜的に \(y\) 軸方向の変位としてプロットしたものです。「\(+y\) 方向の変位」は実際には「\(+x\) 方向(右)への変位」を表します。
  2. 波の基本式: 波の速さ \(v\)、振動数 \(f\)、波長 \(\lambda\)、周期 \(T\) の間には、\(v = f\lambda\) および \(f = 1/T\) の関係が成り立ちます。
  3. 媒質の速度と密度:
    • 媒質の速度は、変位の時間変化率(\(y-t\) グラフの接線の傾き)です。
    • 媒質の密度変化は、変位の位置変化率(\(y-x\) グラフの接線の傾き)に関連し、傾きが負(右下がり)の場所が「密」、正(右上がり)の場所が「疎」となります。

基本的なアプローチは以下の通りです。

  1. (1)では、2つのグラフから直接 \(\lambda\) と \(T\) を読み取り、公式を用いて計算します。
  2. (2)では、波の空間的・時間的な周期性を利用して、計算しやすい位置や時刻に変換して変位を求めます。
  3. (3)〜(5)では、グラフの傾きや波形の移動を用いて、密度や速度の状態を判定します。
  4. 最後に追加問題として、波の進行方向が逆になった場合を考察します。

問(1)

ここから先が、他の受験生と差がつく重要パートです。

「解法に至る思考プロセス」
全て言語化した、超詳細解説。

なぜその公式を使うのか?どうしてその着眼点を持てるのか?
市販の解説では省略されてしまう「行間の思考」を、泥臭く解説しています。
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