「リードα 物理基礎・物理 改訂版」徹底解説!【第6章】基礎CHECK

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基礎CHECK

1 仕事の正負

【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド

この問題のテーマは「仕事の正負の判断」です。
問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。

  1. 仕事の定義式: \(W = Fx \cos\theta\)
  2. 力のベクトルと変位のベクトルのなす角 \(\theta\) の意味
  3. 仕事が正になる条件(\(0^\circ \le \theta < 90^\circ\))
  4. 仕事が負になる条件(\(90^\circ < \theta < 180^\circ\))
  5. 仕事がゼロになる条件(\(\theta = 90^\circ\))

基本的なアプローチは以下の通りです。

  1. 図に示された4つの力((1)〜(4))を一つずつ取り上げる。
  2. それぞれの力の向きと、物体の移動の向き(右向き)とのなす角 \(\theta\) を確認する。
  3. 角 \(\theta\) の値に応じて、仕事が「正」「負」「ゼロ」のいずれになるかを判断し、選択肢を選ぶ。

思考の道筋とポイント
物理における「仕事」とは、物体に力がはたらき、その力の向きに物体が移動したときに「力が仕事をした」と表現します。重要なのは、力の向きと移動の向きの関係性です。この関係性を、力のベクトルと移動(変位)のベクトルのなす角 \(\theta\) を用いて考えることが、仕事の正負を理解する上での核心となります。物体を動かそうとする力は正の仕事をし、動きを妨げようとする力は負の仕事をすると直感的に理解することも大切です。

この設問における重要なポイント

  • 仕事の定義式: \(W = Fx \cos\theta\) (\(F\): 力の大きさ, \(x\): 移動距離, \(\theta\): 力の向きと移動の向きのなす角)
  • 正の仕事 (\(W > 0\)): 力が物体の運動を助ける場合。力の向きと移動の向きのなす角 \(\theta\) が鋭角(\(0^\circ \le \theta < 90^\circ\))のとき。特に \(\theta=0^\circ\) のとき、仕事は最大値 \(Fx\) となります。
  • 負の仕事 (\(W < 0\)): 力が物体の運動を妨げる場合。力の向きと移動の向きのなす角 \(\theta\) が鈍角(\(90^\circ < \theta < 180^\circ\))のとき。摩擦力や空気抵抗がする仕事が典型例です。
  • 仕事をしない (\(W = 0\)): 力の向きと移動の向きが垂直(\(\theta = 90^\circ\))のとき。このとき \(\cos 90^\circ = 0\) となるため、仕事はゼロになります。また、力がはたらいていても移動しない場合(\(x=0\))も仕事はゼロです。

具体的な解説と立式
この問題では、物体の移動の向きは「右向き」で一貫しています。各力について、この移動の向きとのなす角 \(\theta\) を考え、仕事の正負を判断します。仕事の量を \(W\)、力の大きさを \(F\)、移動距離を \(x\) とすると、仕事は \(W = Fx \cos\theta\) と表されます。この式の \(\cos\theta\) の符号が仕事の正負を決定します。

  1. 力(1)について:
    力の向きは「右向き」で、移動の向きと同じです。したがって、なす角は \(\theta = 0^\circ\) です。\(\cos 0^\circ = 1\) なので、仕事は正になります。
  2. 力(2)について:
    力の向きは「上向き」で、移動の向き(右向き)と垂直です。したがって、なす角は \(\theta = 90^\circ\) です。\(\cos 90^\circ = 0\) なので、仕事はゼロになります。
  3. 力(3)について:
    力の向きは「左向き」で、移動の向き(右向き)と真逆です。したがって、なす角は \(\theta = 180^\circ\) です。\(\cos 180^\circ = -1\) なので、仕事は負になります。
  4. 力(4)について:
    力の向きは「下向き」で、移動の向き(右向き)と垂直です。したがって、なす角は \(\theta = 90^\circ\) です。\(\cos 90^\circ = 0\) なので、仕事はゼロになります。

使用した物理公式

  • 仕事の定義式: \(W = Fx \cos\theta\)
  • \(\theta\): 力のベクトルと変位のベクトルのなす角
計算過程

この問題は、具体的な数値を代入する計算はありません。上記の「具体的な解説と立式」で述べた、角 \(\theta\) に基づく定性的な判断が解答プロセスとなります。

  • 力(1): \(\theta = 0^\circ\) より \(\cos\theta = 1 > 0\)。よって、正の仕事(①)。
  • 力(2): \(\theta = 90^\circ\) より \(\cos\theta = 0\)。よって、仕事をしない(③)。
  • 力(3): \(\theta = 180^\circ\) より \(\cos\theta = -1 < 0\)。よって、負の仕事(②)。
  • 力(4): \(\theta = 90^\circ\) より \(\cos\theta = 0\)。よって、仕事をしない(③)。
計算方法の平易な説明

仕事をしたかどうか、プラスかマイナスかを見分けるには、力の向きが物体の動きを「手伝っている」か「邪魔している」かで考えると簡単です。

  • 正の仕事: 運動を「手伝う」向きの力です。進行方向に押してあげるイメージで、物体はエネルギーをもらって元気になります。力(1)がこれにあたります。
  • 負の仕事: 運動を「邪魔する」向きの力です。進行方向と逆向きにブレーキをかけるイメージで、物体はエネルギーを奪われます。力(3)がこれにあたります。
  • 仕事をしない: 運動の向きと「無関係な」向き(直角方向)の力です。真上から押さえつけたり(力(4))、真上に持ち上げたり(力(2))しても、右に進むこと自体には直接影響しません。だから仕事はゼロです。
解答 (1) ① (2) ③ (3) ② (4) ③

2 仕事

【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド

この問題のテーマは「仕事の基本的な計算」です。
問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。

  1. 仕事の定義式: \(W = Fx \cos\theta\)
  2. 力の向きと移動の向きが同じ場合(\(\theta = 0^\circ\))の仕事の式 \(W=Fx\)
  3. 仕事の単位(ジュール、\(\text{J}\))の関係: \(1\,\text{J} = 1\,\text{N} \cdot \text{m}\)

基本的なアプローチは以下の通りです。

  1. 問題文から、力の大きさ \(F\) と移動距離 \(x\) の値を読み取る。
  2. 問題文の「その力の向きに」という記述から、力と移動の向きが同じであることを確認する。
  3. 仕事の基本公式 \(W=Fx\) に値を代入して計算する。

思考の道筋とポイント
物理における「仕事」は、物体にはたらく「力」と、その「力の向きに移動した距離」の積で定義されます。この問題は、仕事の計算で最も基本的なケースを扱っています。問題文の「力の向きに…動かす」という部分が、計算式を決定する上で最も重要な情報です。この記述により、力のベクトルと移動のベクトルのなす角 \(\theta\) が \(0^\circ\) であることが分かり、仕事の一般式 \(W = Fx \cos\theta\) が最もシンプルな形 \(W = Fx\) で使えることが確定します。

この設問における重要なポイント

  • 仕事 \(W\) は、力の大きさ \(F\) と、力の向きへの移動距離 \(x\) の積で求められます。
  • 公式: \(W = Fx\)
  • 単位の関係: 力の単位はニュートン[\(\text{N}\)]、距離の単位はメートル[\(\text{m}\)]で計算すると、仕事の単位はジュール[\(\text{J}\)]となります。つまり、\(1\,\text{J} = 1\,\text{N} \cdot \text{m}\) です。

具体的な解説と立式
問題文より、物体に加えられた力の大きさ \(F\) は \(2\,\text{N}\) です。
また、物体は「その力の向きに」\(3\,\text{m}\) 動いたとあるので、力の向きへの移動距離 \(x\) は \(3\,\text{m}\) となります。
この状況は、力の向きと移動の向きが完全に一致しているため、なす角 \(\theta\) は \(0^\circ\) です。
仕事 \(W\) を求める一般式は \(W = Fx \cos\theta\) ですが、今回は \(\theta = 0^\circ\) なので \(\cos 0^\circ = 1\) となり、式は以下のように簡略化されます。
$$ W = Fx $$

使用した物理公式

  • 仕事の基本公式: \(W = Fx\) (力の向きと移動の向きが同じ場合)
計算過程

「具体的な解説と立式」で立てた式 \(W = Fx\) に、問題文で与えられた値を代入します。
力の大きさ \(F = 2\,\text{N}\)、移動距離 \(x = 3\,\text{m}\) なので、
$$
\begin{aligned}
W &= Fx \\[2.0ex]&= 2 \times 3 \\[2.0ex]&= 6
\end{aligned}
$$
したがって、力が物体にした仕事は \(6\,\text{J}\) となります。

計算方法の平易な説明

物理でいう「仕事」は、とてもシンプルに「力 × 距離」で計算できます。
「どれくらいの力で、どれくらいの距離を押したか?」を掛け合わせるだけです。
この問題では、\(2\,\text{N}\) という力で \(3\,\text{m}\) 押したので、
\(2 \times 3 = 6\)
となり、答えは \(6\,\text{J}\) です。ジュール(\(\text{J}\))は、仕事の量を表すための単位だと覚えておきましょう。

解答 6 J

3 仕事

【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド

この問題のテーマは「斜めにはたらく力の仕事の計算」です。
問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。

  1. 仕事の一般式: \(W = Fx \cos\theta\)
  2. 力の分解: 力を移動方向とそれに垂直な方向に分解する考え方。
  3. 仕事の定義の再確認: 仕事は「力の移動方向成分」と「移動距離」の積であること。

基本的なアプローチは以下の通りです。

  1. (メイン解法)仕事の公式 \(W = Fx \cos\theta\) に、問題文で与えられた力の大きさ \(F\)、移動距離 \(x\)、なす角 \(\theta\) を直接代入して計算する。
  2. (別解)力を移動方向と垂直方向に分解し、移動方向の分力 \(F_x\) を求め、仕事の定義 \(W = F_x x\) に従って計算する。

思考の道筋とポイント
力が物体の移動方向に対して斜めにはたらく場合、仕事の計算には2つの考え方があります。一つは、仕事の定義式 \(W = Fx \cos\theta\) を直接利用する方法です。この \(\cos\theta\) は、力のベクトル \(F\) のうち、移動方向に対してどれだけの成分が有効に寄与しているかを示す係数と見なせます。もう一つは、より物理的なイメージに近い考え方で、初めに力そのものを「移動に貢献する成分」と「貢献しない成分」に分解してしまうアプローチです。どちらの方法でも同じ結果に至ることを理解することが重要です。

この設問における重要なポイント

  • 仕事の一般式: \(W = Fx \cos\theta\) を正しく使うことが基本です。
  • \(\theta\) は「力の向き」と「移動の向き」のなす角です。問題文と図を照らし合わせて、どの角度が \(\theta\) に相当するかを正確に特定することが不可欠です。
  • 三角関数の値、特にこの問題では \(\cos 60^\circ = \displaystyle\frac{1}{2}\) を正確に計算できることが求められます。

具体的な解説と立式
問題文から、加えられた力の大きさは \(F = 2\,\text{N}\)、移動距離は \(x = 3\,\text{m}\) です。
そして、力の向きと移動の向きがなす角は \(\theta = 60^\circ\) です。
これらの値を、仕事の一般式に代入することで、仕事 \(W\) を求めることができます。
$$ W = Fx \cos\theta $$

使用した物理公式

  • 仕事の一般式: \(W = Fx \cos\theta\)
計算過程

「具体的な解説と立式」で立てた式に、\(F=2\,\text{N}\), \(x=3\,\text{m}\), \(\theta=60^\circ\) を代入します。
$$
\begin{aligned}
W &= Fx \cos\theta \\[2.0ex]&= 2 \times 3 \times \cos 60^\circ \\[2.0ex]&= 6 \times \frac{1}{2} \\[2.0ex]&= 3
\end{aligned}
$$
したがって、力が物体にした仕事は \(3\,\text{J}\) となります。

計算方法の平易な説明

斜め上に向かって \(2\,\text{N}\) の力で引っ張っても、実際に物体を前に進めるのに役立っているのは、その力のうちの「前向き成分」だけです。仕事の公式にある \(\cos 60^\circ\) を掛けるという計算は、まさにこの「前向き成分」だけを取り出す操作をしています。あとは、公式に \(F=2\), \(x=3\), \(\theta=60^\circ\) という数字を当てはめれば、\(2 \times 3 \times \cos 60^\circ = 3\,\text{J}\) と答えが出ます。

別解: 力を分解して考える方法

思考の道筋とポイント
仕事の定義を「(移動方向の力の成分)×(移動距離)」と捉え直すアプローチです。この考え方では、まず初めに、加えられた斜め向きの力を「移動方向(水平方向)」と「それに垂直な方向(鉛直方向)」の2つの分力に分解します。仕事の計算には、このうち移動方向の分力のみが関係し、垂直方向の分力は仕事に寄与しない(仕事がゼロになる)という事実を利用します。この方法は、仕事という概念の物理的な意味をより深く理解するのに役立ちます。

この設問における重要なポイント

  • 力の分解: 斜めにはたらく力 \(F\) は、移動方向(水平)の成分 \(F_x = F \cos\theta\) と、それに垂直な(鉛直)方向の成分 \(F_y = F \sin\theta\) に分解できます。
  • 仕事に寄与するのは移動方向の成分のみです。したがって、仕事は \(W = F_x \cdot x\) と計算できます。
  • 垂直方向の力 \(F_y\) は、移動方向と \(90^\circ\) の角をなすため、仕事をしません。

具体的な解説と立式
まず、加えた力 \(F=2\,\text{N}\) を、移動方向である水平方向と、それに垂直な鉛直方向に分解します。
移動方向(水平方向)の分力の大きさ \(F_x\) は、三角比の関係から次のように求められます。
$$ F_x = F \cos 60^\circ \quad \cdots ① $$
仕事 \(W\) は、この移動方向の分力 \(F_x\) と移動距離 \(x=3\,\text{m}\) の積で計算できます。
$$ W = F_x \cdot x \quad \cdots ② $$
なお、鉛直方向の分力 \(F_y = F \sin 60^\circ\) は移動方向と垂直なので、仕事をしません。

使用した物理公式

  • 力の分解: \(F_x = F \cos\theta\)
  • 仕事の定義: \(W = (\text{力の移動方向成分}) \times (\text{移動距離})\)
計算過程

まず、式①を用いて、力の水平成分 \(F_x\) を計算します。
$$
\begin{aligned}
F_x &= 2 \times \cos 60^\circ \\[2.0ex]&= 2 \times \frac{1}{2} \\[2.0ex]&= 1\,\text{N}
\end{aligned}
$$
次に、この \(F_x = 1\,\text{N}\) と移動距離 \(x=3\,\text{m}\) を式②に代入して、仕事 \(W\) を計算します。
$$
\begin{aligned}
W &= F_x \cdot x \\[2.0ex]&= 1 \times 3 \\[2.0ex]&= 3
\end{aligned}
$$
したがって、仕事は \(3\,\text{J}\) となり、メインの解法と同じ結果が得られます。

計算方法の平易な説明

斜め上向きに \(2\,\text{N}\) で引っ張る力は、「前に進める力」と「上に持ち上げる力」の2つに分けることができます。三角比を使って計算すると、「前に進める力」は \(1\,\text{N}\) であることがわかります。物体は前に \(3\,\text{m}\) 進んだので、この力がした仕事は、「前に進める力」×「前に進んだ距離」で \(1\,\text{N} \times 3\,\text{m} = 3\,\text{J}\) となります。一方、「上に持ち上げる力」は、物体が上下には動いていないので、仕事をしていません。

解答 3 J

4 仕事の原理

【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド

この問題のテーマは「動滑車と仕事の原理」です。
問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。

  1. 仕事の原理
  2. 動滑車の仕組み(力と距離の関係)
  3. 力のつり合い

基本的なアプローチは以下の通りです。

  1. 設問(1)では、図を用いて荷物の上昇距離とロープを引く距離の関係を幾何学的に考えます。
  2. 設問(2)では、「仕事の原理」を用いて、人がする仕事と荷物にした仕事が等しいことから力の関係を導きます。または、力のつり合いから直接力の大きさを求めます。

問(1)

思考の道筋とポイント
動滑車の特徴を理解することが核心です。動滑車は、荷物と一緒に上下に動きます。荷物が一定の高さだけ上昇するとき、動滑車を支えている左右のロープがそれぞれどれだけ短くなるかを考えます。その短くなったロープの長さの合計が、人が手元で引かなければならないロープの長さに等しくなります。

この設問における重要なポイント

  • 動滑車を1つ使うと、ロープを引く距離は荷物を持ち上げる高さの2倍になります。
  • これは、荷物を支えるロープが2本あるため、それぞれのロープが荷物の上昇分だけ短くなる必要があるからです。

具体的な解説と立式
荷物が上がる高さを \(d\) とします。
図を見ると、動滑車は2本のロープで支えられています。荷物が \(d\) 上昇すると、動滑車も同じく \(d\) 上昇します。
これにより、動滑車を支えている左右のロープが、それぞれ \(d\) ずつ短くなる必要があります。したがって、人が手元で引かなければならないロープの全長は、この短くなった分を合計した長さになります。
$$ (\text{ロープを引く距離}) = d + d = 2d $$
よって、ロープを引く距離 \(2d\) は、荷物が上がる高さ \(d\) の2倍となります。

使用した物理公式

  • 動滑車の幾何学的な関係
計算過程

荷物が上がる高さを \(h_{\text{荷物}} = d\) とします。
ロープを引く距離を \(l_{\text{ロープ}}\) とすると、上記の解説より \(l_{\text{ロープ}} = 2d\) となります。
求める倍率は、ロープを引く距離と荷物が上がる高さの比なので、
$$
\begin{aligned}
\frac{l_{\text{ロープ}}}{h_{\text{荷物}}} &= \frac{2d}{d} \\[2.0ex]&= 2
\end{aligned}
$$
したがって、2倍となります。

計算方法の平易な説明

動滑車は、荷物を2本のロープでぶら下げているようなものです。イメージとして、荷物を1m持ち上げるには、その2本のロープをそれぞれ1mずつ、合計2mたぐり寄せる必要があります。だから、ロープを引く距離は、荷物が上がる高さの2倍になります。

解答 (1) 2倍

問(2)

思考の道筋とポイント
「仕事の原理」を利用するのが最も一般的な解法です。仕事の原理とは、「道具を使っても使わなくても、物体を同じ状態に変化させるのに必要な仕事の総量は変わらない」という法則です。この問題では、人がロープを引いてする仕事が、最終的に荷物を持ち上げる仕事に変換されていると考えます。つまり、「人がする仕事」と「荷物がされた仕事」が等しいという式を立て、(1)で求めた距離の関係を利用して力の関係を導き出します。

この設問における重要なポイント

  • 仕事の原理: \((\text{人が加える力}) \times (\text{人が引く距離}) = (\text{荷物の重さ}) \times (\text{荷物が上がる高さ})\)
  • 動滑車を使うと、引く距離は2倍になりますが、その代わり、引く力は半分で済みます。
  • 物理では「楽はできない」という考え方が基本ですが、道具は力の向きを変えたり、力を小さくしたりするのに役立ちます。

具体的な解説と立式
人がロープを引く力を \(F\)、ロープを引く距離を \(l\) とします。
荷物の質量を \(m\)、重力加速度を \(g\) とすると、荷物の重さは \(mg\) です。荷物が上がる高さを \(h\) とします。
人がする仕事 \(W_{\text{人}}\) は、
$$ W_{\text{人}} = F \cdot l \quad \cdots ① $$
一方、荷物がされた仕事 \(W_{\text{荷物}}\) は、重力 \(mg\) に逆らって高さ \(h\) だけ持ち上げられるので、
$$ W_{\text{荷物}} = mg \cdot h \quad \cdots ② $$
仕事の原理より、摩擦などを無視すれば \(W_{\text{人}} = W_{\text{荷物}}\) が成り立ちます。
$$ F \cdot l = mg \cdot h \quad \cdots ③ $$
ここで、(1)の結果から、ロープを引く距離 \(l\) は荷物が上がる高さ \(h\) の2倍なので、\(l=2h\) という関係があります。これを③式に代入して \(F\) を求めます。

使用した物理公式

  • 仕事の原理: \(W_{\text{入力}} = W_{\text{出力}}\)
  • 仕事の定義: \(W = (\text{力}) \times (\text{距離})\)
計算過程

式③に \(l=2h\) を代入します。
$$
\begin{aligned}
F \cdot (2h) &= mg \cdot h \\[2.0ex]2Fh &= mgh
\end{aligned}
$$
両辺を \(h\) で割ると(\(h \neq 0\))、
$$
\begin{aligned}
2F &= mg \\[2.0ex]F &= \frac{1}{2}mg
\end{aligned}
$$
荷物を直接持ち上げるのに必要な力は、その重さに等しい \(F_{\text{直接}} = mg\) です。
したがって、ロープを引く力 \(F\) が直接持ち上げる力の何倍かを求めると、
$$
\begin{aligned}
\frac{F}{F_{\text{直接}}} &= \frac{\displaystyle\frac{1}{2}mg}{mg} \\[2.0ex]&= \frac{1}{2}
\end{aligned}
$$
よって、\(\displaystyle\frac{1}{2}\)倍となります。

計算方法の平易な説明

仕事の原理は「楽した分、どこかで余分に動く必要がある」というイメージです。(1)で、ロープを引く距離が2倍になり、動く量は「損」をしました。その代わり、(2)では、引く力が半分で済むという「得」をします。距離が2倍になったから、力は半分で済む、と考えると分かりやすいです。

別解: 力のつり合いから考える方法

思考の道筋とポイント
問題文に「一定の速さで」引き上げるとあるため、荷物(と動滑車)にはたらく力はつり合っていると考えることができます。動滑車と荷物を一つの物体とみなし、この物体にはたらく上向きの力と下向きの力が等しい、というつり合いの式を立てて解くアプローチです。

この設問における重要なポイント

  • 動滑車には、下向きに荷物の重力 \(mg\) がはたらきます。(滑車は軽いので質量は無視)
  • 上向きには、2本のロープが張力で動滑車を支えています。
  • 1本のロープにかかる張力の大きさは、人が引く力 \(F\) の大きさに等しくなります。(定滑車は力の向きを変えるだけで、大きさは変えません)

具体的な解説と立式
人がロープを引く力を \(F\) とします。ロープに摩擦はなく、質量も無視できるとすると、ロープのどの部分でも張力の大きさは等しくなります。したがって、動滑車を支える2本のロープの張力は、どちらも \(F\) となります。
動滑車と荷物を一体と見なすと、この物体にはたらく力は以下の通りです。

  • 下向きの力: 荷物の重力 \(mg\)
  • 上向きの力: 2本のロープによる張力の合計 \(F + F = 2F\)

物体は一定の速さで動いているので、これらの力はつり合っています。
$$ (\text{上向きの力の合計}) = (\text{下向きの力の合計}) $$
$$ 2F = mg $$

使用した物理公式

  • 力のつり合い: \(\sum F = 0\)
  • 張力の伝達(一本の軽いロープでは張力は一定)
計算過程

力のつり合いの式 \(2F = mg\) を \(F\) について解きます。
$$
\begin{aligned}
F &= \frac{1}{2}mg
\end{aligned}
$$
荷物を直接持ち上げる力は \(F_{\text{直接}} = mg\) ですから、その比を求めると、
$$
\begin{aligned}
\frac{F}{F_{\text{直接}}} &= \frac{\displaystyle\frac{1}{2}mg}{mg} \\[2.0ex]&= \frac{1}{2}
\end{aligned}
$$
したがって、\(\displaystyle\frac{1}{2}\)倍となり、仕事の原理を用いた解法と同じ結果が得られます。

計算方法の平易な説明

荷物の重さを、2本のロープで「分担」して支えていると考えることができます。重さ \(mg\) の荷物を2本のロープで支えるので、1本あたりのロープが負担する力、つまり人が引く力は、重さのちょうど半分で済みます。

解答 (2) 1/2倍

5 仕事率

【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド

この問題のテーマは「仕事率の定義と計算」です。
問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。

  1. 仕事率の定義: 単位時間(1秒)あたりにする仕事。
  2. 仕事率の公式: \(P = \displaystyle\frac{W}{t}\)
  3. 単位の換算: 時間の単位を「分」から「秒」に直すこと。
  4. 仕事率の単位: ワット(\(\text{W}\))。\(1\,\text{W} = 1\,\text{J/s}\)

基本的なアプローチは以下の通りです。

  1. 問題文から、仕事 \(W\) と時間 \(t\) の値を読み取る。
  2. 時間の単位を「分」から「秒」に変換する。
  3. 仕事率の公式 \(P = \displaystyle\frac{W}{t}\) に値を代入して計算する。
  4. 有効数字に注意して解答する。

思考の道筋とポイント
「仕事率」とは、仕事をする「ペース」や「効率」を表す量です。同じ量の仕事をする場合でも、短い時間で終えるほど仕事率は高くなります。この問題では、仕事率の定義である「単位時間(1秒)あたりにする仕事の量」を正しく理解し、公式に当てはめることが求められます。計算自体は単純な割り算ですが、単位の換算、特に物理計算の基本である「秒」に時間を合わせることを忘れないのがポイントです。

この設問における重要なポイント

  • 仕事率 \(P\)、仕事 \(W\)、時間 \(t\) の関係式は \(P = \displaystyle\frac{W}{t}\) です。
  • 単位を正しく扱うことが重要です。仕事 \(W\) はジュール[\(\text{J}\)]、時間 \(t\) は秒[\(\text{s}\)]で計算します。
  • 仕事率 \(P\) の単位はワット[\(\text{W}\)]であり、\(1\,\text{W}\) は \(1\,\text{J/s}\)(1秒あたり1ジュールの仕事)に等しいです。
  • 問題文の数値が「1.0分」「300J」と与えられています。「1.0分」は有効数字2桁なので、計算結果もそれに合わせて有効数字2桁で答える必要があります。

具体的な解説と立式
仕事率 \(P\) は、かかった時間 \(t\) で、その間にした仕事 \(W\) を割ることで求められます。
$$ P = \frac{W}{t} $$
問題文から、した仕事は \(W = 300\,\text{J}\) です。
かかった時間は \(1.0\)分なので、物理計算で標準的に用いる単位である「秒」に換算します。
\(1\)分は\(60\)秒なので、\(t = 60\,\text{s}\) となります。

使用した物理公式

  • 仕事率の定義式: \(P = \displaystyle\frac{W}{t}\)
計算過程

「具体的な解説と立式」で立てた式に、\(W = 300\,\text{J}\)、\(t = 60\,\text{s}\) を代入します。
$$
\begin{aligned}
P &= \frac{300}{60} \\[2.0ex]&= 5.0
\end{aligned}
$$
問題文の「1.0分」が有効数字2桁であるため、計算結果も有効数字2桁で表します。
したがって、仕事率は \(5.0\,\text{W}\) となります。

計算方法の平易な説明

「仕事率」とは、簡単に言うと「1秒あたりにした仕事の量」のことです。
この問題では「1.0分間(つまり60秒間)に300Jの仕事をした」と書かれています。
では、1秒あたりにどれだけの仕事をしたかを知るには、全体の仕事量をかかった秒数で割ればよいので、
\(300 \div 60 = 5\)
となります。
これは「1秒あたりに5Jのペースで仕事をした」という意味で、物理の世界ではこれを \(5.0\,\text{W}\)(ワット)という単位で表します。

解答 5.0 W

6 運動エネルギー

【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド

この問題のテーマは「運動エネルギーの基本的な計算」です。
問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。

  1. 運動エネルギーの定義: 運動している物体が持つエネルギー。
  2. 運動エネルギーの公式: \(K = \displaystyle\frac{1}{2}mv^2\)
  3. 単位の整合性: 質量はキログラム(\(\text{kg}\))、速さはメートル毎秒(\(\text{m/s}\))で計算する。
  4. 有効数字の考慮。

基本的なアプローチは以下の通りです。

  1. 問題文から、物体の質量 \(m\) と速さ \(v\) の値を読み取る。
  2. 運動エネルギーの公式 \(K = \displaystyle\frac{1}{2}mv^2\) に、読み取った値を代入する。
  3. 計算結果を、問題文の有効数字に合わせて整理する。

思考の道筋とポイント
「運動エネルギー」とは、その名の通り、運動している物体が持つエネルギーのことです。物体の質量が大きいほど、また速さが速いほど、そのエネルギーは大きくなります。特に、運動エネルギーは速さの「2乗」に比例する点が非常に重要です。つまり、速さが2倍になれば、運動エネルギーは \(2^2=4\) 倍になります。この問題は、運動エネルギーの公式を正しく覚えて、与えられた数値を代入するだけの基本的な計算問題です。

この設問における重要なポイント

  • 運動エネルギー \(K\) の公式: \(K = \displaystyle\frac{1}{2}mv^2\)
  • 各記号の意味: \(K\) は運動エネルギー[単位: \(\text{J}\)]、\(m\) は質量[単位: \(\text{kg}\)]、\(v\) は速さ[単位: \(\text{m/s}\)]です。
  • 単位系を揃えることが計算の基本です。この問題では、質量が \(\text{kg}\)、速さが \(\text{m/s}\) で与えられているため、そのまま公式に代入すれば、エネルギーの単位はジュール[\(\text{J}\)]で得られます。
  • 有効数字: 問題文の数値は「\(5.0\,\text{m/s}\)」「\(2.0\,\text{kg}\)」であり、どちらも有効数字2桁です。したがって、計算結果も有効数字2桁で答えるのが適切です。

具体的な解説と立式
運動エネルギー \(K\) を求める公式は以下の通りです。
$$ K = \frac{1}{2}mv^2 $$
問題文から、物体の質量は \(m = 2.0\,\text{kg}\)、速さは \(v = 5.0\,\text{m/s}\) であることがわかります。
これらの値を上記の公式に代入して、運動エネルギー \(K\) を計算します。

使用した物理公式

  • 運動エネルギーの公式: \(K = \displaystyle\frac{1}{2}mv^2\)
計算過程

運動エネルギーの公式に、\(m = 2.0\,\text{kg}\)、\(v = 5.0\,\text{m/s}\) を代入します。
$$
\begin{aligned}
K &= \frac{1}{2}mv^2 \\[2.0ex]&= \frac{1}{2} \times 2.0 \times (5.0)^2 \\[2.0ex]&= \frac{1}{2} \times 2.0 \times 25 \\[2.0ex]&= 1.0 \times 25 \\[2.0ex]&= 25
\end{aligned}
$$
したがって、物体がもつ運動エネルギーは \(25\,\text{J}\) となります。
この結果は有効数字2桁であり、問題文の指定と一致しています。

計算方法の平易な説明

「運動エネルギー」は、動いている物体がどれくらいの勢いを持っているかを示す数値だと思ってください。計算はとても簡単で、公式「\(K = \displaystyle\frac{1}{2} \times (\text{質量}) \times (\text{速さ}) \times (\text{速さ})\)」に数字を当てはめるだけです。
この問題では、質量が \(2.0\,\text{kg}\)、速さが \(5.0\,\text{m/s}\) なので、
\(\displaystyle\frac{1}{2} \times 2.0 \times 5.0 \times 5.0\)
を計算します。これを計算すると \(25\) になるので、答えは \(25\,\text{J}\) です。

解答 25 J

7 重力による位置エネルギー

【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド

この問題のテーマは「重力による位置エネルギーの基本的な計算」です。
問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。

  1. 重力による位置エネルギーの定義: 基準点からの高さによって物体が持つ潜在的なエネルギー。
  2. 位置エネルギーの公式: \(U = mgh\)
  3. 基準点の重要性: 位置エネルギーは基準点をどこに取るかで値が変わる。
  4. 有効数字の考慮。

基本的なアプローチは以下の通りです。

  1. 問題文から質量 \(m\)、基準からの高さ \(h\)、重力加速度 \(g\) の値を読み取る。
  2. 位置エネルギーの公式 \(U = mgh\) に値を代入する。
  3. 計算結果を有効数字に注意して整理する。

思考の道筋とポイント
「重力による位置エネルギー」とは、物体が「ある高さ」にいることで蓄えているエネルギーのことです。高いところにある物体ほど、落下したときに大きな仕事ができる(=大きなエネルギーを持つ)とイメージできます。この問題は、位置エネルギーの公式 \(U=mgh\) を正しく覚えて、与えられた数値を代入できるかを問う、基本的な計算問題です。問題文の「位置エネルギーの基準を地面にとり」という記述が、高さ \(h\) の値を決定する上で重要な情報となります。

この設問における重要なポイント

  • 重力による位置エネルギー \(U\) の公式: \(U = mgh\)
  • 各記号の意味: \(U\) は位置エネルギー[単位: \(\text{J}\)]、\(m\) は質量[単位: \(\text{kg}\)]、\(g\) は重力加速度の大きさ[単位: \(\text{m/s}^2\)]、\(h\) は基準点からの高さ[単位: \(\text{m}\)]です。
  • 単位系を揃えることが計算の基本です。この問題では、質量が \(\text{kg}\)、高さが \(\text{m}\)、重力加速度が \(\text{m/s}^2\) で与えられているため、そのまま公式に代入すれば、エネルギーの単位はジュール[\(\text{J}\)]で得られます。
  • 有効数字: 問題文の数値は「\(25\,\text{m}\)」「\(2.0\,\text{kg}\)」「\(9.8\,\text{m/s}^2\)」であり、すべて有効数字2桁です。したがって、計算結果も有効数字2桁で答える必要があります。

具体的な解説と立式
重力による位置エネルギー \(U\) を求める公式は以下の通りです。
$$ U = mgh $$
問題文から、各物理量を読み取ります。

  • 質量: \(m = 2.0\,\text{kg}\)
  • 重力加速度の大きさ: \(g = 9.8\,\text{m/s}^2\)
  • 基準点からの高さ: 位置エネルギーの基準は地面であり、物体は地上 \(25\,\text{m}\) の所にあるため、\(h = 25\,\text{m}\) となります。

これらの値を上記の公式に代入して、位置エネルギー \(U\) を計算します。

使用した物理公式

  • 重力による位置エネルギーの公式: \(U = mgh\)
計算過程

位置エネルギーの公式に、\(m = 2.0\,\text{kg}\)、\(g = 9.8\,\text{m/s}^2\)、\(h = 25\,\text{m}\) を代入します。
$$
\begin{aligned}
U &= mgh \\[2.0ex]&= 2.0 \times 9.8 \times 25
\end{aligned}
$$
計算の順序を工夫すると、計算が楽になります。先に \(2.0 \times 25\) を計算します。
$$
\begin{aligned}
U &= (2.0 \times 25) \times 9.8 \\[2.0ex]&= 50 \times 9.8 \\[2.0ex]&= 490
\end{aligned}
$$
計算結果を有効数字2桁で表すため、指数形式に直します。
$$ U = 4.9 \times 10^2 $$
したがって、物体がもつ重力による位置エネルギーは \(4.9 \times 10^2\,\text{J}\) となります。

計算方法の平易な説明

位置エネルギーは、公式「質量 × 重力加速度 × 高さ」で計算できます。問題に書かれている数字をこの公式に当てはめて、掛け算をするだけです。
\(2.0 \times 9.8 \times 25\)
という計算をします。このまま計算するのは少し大変なので、順番を入れ替えて \(2.0 \times 25\) を先に計算すると \(50\) になります。残りの計算は \(50 \times 9.8\) となり、答えは \(490\) です。
最後に、問題の数字が「2.0」や「9.8」のように有効数字2桁なので、答えも「490」ではなく「\(4.9 \times 10^2\)」という形で書くのがルールです。

解答 4.9×10² J

8 ばねのもつ弾性エネルギー

【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド

この問題のテーマは「ばねの弾性エネルギーの基本的な計算」です。
問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。

  1. 弾性エネルギーの定義: ばねが自然長から伸びたり縮んだりしたときに蓄えるエネルギー。
  2. 弾性エネルギーの公式: \(U = \displaystyle\frac{1}{2}kx^2\)
  3. 単位の整合性: ばね定数はニュートン毎メートル(\(\text{N/m}\))、伸びはメートル(\(\text{m}\))で計算する。
  4. 有効数字の考慮。

基本的なアプローチは以下の通りです。

  1. 問題文から、ばね定数 \(k\) とばねの伸び \(x\) の値を読み取る。
  2. 弾性エネルギーの公式 \(U = \displaystyle\frac{1}{2}kx^2\) に値を代入する。
  3. 計算結果を有効数字に注意して整理する。

思考の道筋とポイント
「弾性エネルギー」とは、ばねがその自然な長さから引き伸ばされたり、押し縮められたりしたときに蓄えるエネルギーのことです。ばねの硬さを示す「ばね定数」が大きいほど、また自然長からの変形量(伸びや縮み)が大きいほど、蓄えられるエネルギーは大きくなります。特に、弾性エネルギーは変形量の「2乗」に比例する点が重要です。つまり、ばねの伸びが2倍になれば、弾性エネルギーは \(2^2=4\) 倍になります。この問題は、弾性エネルギーの公式を正しく覚えて、与えられた数値を代入するだけの基本的な計算問題です。

この設問における重要なポイント

  • 弾性エネルギー \(U\) の公式: \(U = \displaystyle\frac{1}{2}kx^2\)
  • 各記号の意味: \(U\) は弾性エネルギー[単位: \(\text{J}\)]、\(k\) はばね定数[単位: \(\text{N/m}\)]、\(x\) は自然長からの伸びまたは縮み[単位: \(\text{m}\)]です。
  • 単位系を揃えることが計算の基本です。この問題では、ばね定数が \(\text{N/m}\)、伸びが \(\text{m}\) で与えられているため、そのまま公式に代入すれば、エネルギーの単位はジュール[\(\text{J}\)]で得られます。
  • 有効数字: 問題文の数値は「\(20\,\text{N/m}\)」「\(0.30\,\text{m}\)」であり、どちらも有効数字2桁です。したがって、計算結果も有効数字2桁で答える必要があります。

具体的な解説と立式
ばねの弾性エネルギー \(U\) を求める公式は以下の通りです。
$$ U = \frac{1}{2}kx^2 $$
問題文から、各物理量を読み取ります。

  • ばね定数: \(k = 20\,\text{N/m}\)
  • ばねの伸び: \(x = 0.30\,\text{m}\)

これらの値を上記の公式に代入して、弾性エネルギー \(U\) を計算します。

使用した物理公式

  • 弾性エネルギーの公式: \(U = \displaystyle\frac{1}{2}kx^2\)
計算過程

弾性エネルギーの公式に、\(k = 20\,\text{N/m}\)、\(x = 0.30\,\text{m}\) を代入します。
$$
\begin{aligned}
U &= \frac{1}{2}kx^2 \\[2.0ex]&= \frac{1}{2} \times 20 \times (0.30)^2 \\[2.0ex]&= \frac{1}{2} \times 20 \times 0.090 \\[2.0ex]&= 10 \times 0.090 \\[2.0ex]&= 0.90
\end{aligned}
$$
したがって、ばねのもつ弾性エネルギーは \(0.90\,\text{J}\) となります。
この結果は有効数字2桁であり、問題文の指定と一致しています。

計算方法の平易な説明

ばねが蓄えるエネルギーのことを「弾性エネルギー」と呼びます。計算はとても簡単で、公式「\(U = \displaystyle\frac{1}{2} \times (\text{ばね定数}) \times (\text{伸び}) \times (\text{伸び})\)」に数字を当てはめるだけです。
この問題では、ばね定数が \(20\)、伸びが \(0.30\) なので、
\(\displaystyle\frac{1}{2} \times 20 \times 0.30 \times 0.30\)
を計算します。これを計算すると \(0.90\) になるので、答えは \(0.90\,\text{J}\) です。

解答 0.90 J
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