今回の問題
thermodynamicsall#14【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド
この問題のテーマは「気体分子運動論」です。
問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。
- 運動量と力積: 分子の衝突による運動量の変化が、壁に力積を与えるという考え方。
- 圧力の定義: 圧力が単位面積あたりに受ける力であること。
- 平均の考え方: 多数の分子の運動を統計的に扱い、速度の2乗平均などを用いること。
- エネルギー等分配則: 分子の運動エネルギーが、各自由度(x, y, z方向)に均等に分配されるという考え方。
- 理想気体の状態方程式: マクロな物理量(圧力、体積、温度)とミクロな物理量(分子の運動エネルギー)を結びつける法則。
基本的なアプローチは以下の通りです。
- まず、1個の分子が壁との1回の衝突で壁に与える力積を計算します。
- 次に、その分子が単位時間あたりに何回壁に衝突するかを考え、1個の分子が壁に及ぼす平均の力を求めます。
- N個の分子全体が及ぼす力を求め、圧力に換算します。
- 最後に、導出した圧力の式と理想気体の状態方程式を比較することで、気体分子の平均運動エネルギーと絶対温度の関係を導きます。
問(ア)
思考の道筋とポイント
分子が壁Aと弾性衝突するときの、分子の運動量の変化を求める問題です。運動量はベクトル量であるため、向きに注意して「衝突後の運動量」から「衝突前の運動量」を引きます。
この設問における重要なポイント
- 運動量は \(p = mv\) で定義されるベクトル量である。
- 弾性衝突では、壁に垂直な方向の速度成分の大きさが変わらず、向きだけが反転する。
- 運動量の変化は「(変化後の量) – (変化前の量)」で計算する。
具体的な解説と立式
壁Aはyz平面上にあり、x軸に垂直です。分子が壁Aに衝突する際、x軸方向の速度成分のみが変化します。
衝突前の分子のx軸方向の速度を \(v_x\) とします。これはx軸の正の向きです。
衝突前のx軸方向の運動量は \(m v_x\) です。
弾性衝突なので、分子は壁Aで跳ね返され、x軸方向の速度は \(-v_x\) になります。
衝突後のx軸方向の運動量は \(m(-v_x) = -m v_x\) です。
したがって、この衝突による分子の運動量の変化 \(\Delta p_x\) は、
$$ \Delta p_x = (\text{衝突後の運動量}) – (\text{衝突前の運動量}) $$
$$ \Delta p_x = (-m v_x) – (m v_x) \quad \cdots ① $$
使用した物理公式
- 運動量の定義: \(\vec{p} = m\vec{v}\)
- 運動量変化の定義: \(\Delta \vec{p} = \vec{p}_{\text{後}} – \vec{p}_{\text{前}}\)
式①を計算します。
$$
\begin{aligned}
\Delta p_x &= -m v_x – m v_x \\
&= -2mv_x
\end{aligned}
$$
分子が壁にぶつかって跳ね返る状況を考えます。運動量は「質量×速度」です。はじめ、分子は速度 \(v_x\) で壁に向かっているので、運動量は \(mv_x\) です。跳ね返った後は、逆向きに同じ速さで動くので、速度は \(-v_x\) となり、運動量は \(-mv_x\) になります。運動量の「変化」は、「後の運動量」から「前の運動量」を引いて計算するので、\((-mv_x) – (mv_x)\) となり、合計で \(-2mv_x\) だけ変化したことになります。
分子の運動量は \(-2mv_x\) だけ変化します。負の符号は、運動量の変化の向きがx軸の負の向きであることを示しています。これは、壁からx軸負の向きに力を受けた(力積を与えられた)ことと対応しており、物理的に妥当です。
問(イ)
思考の道筋とポイント
1個の分子が、壁Aに \(t\) 秒間に何回衝突するかを求める問題です。分子は壁Aと反対側の壁(x=0の位置)との間を往復運動していると考えられます。1回の往復にかかる時間と、往復する距離から衝突頻度を計算します。
この設問における重要なポイント
- 分子は壁Aに衝突した後、反対側の壁まで行って戻ってきて、再び壁Aに衝突する。
- この往復距離は \(2L\) である。
- 分子のx軸方向の速さは常に \(v_x\) である。
具体的な解説と立式
分子が壁Aに衝突してから、次に再び壁Aに衝突するまでの1往復にかかる時間 \(\Delta t\) は、進む距離が \(2L\) で速さが \(v_x\) なので、
$$ \Delta t = \frac{2L}{v_x} $$
となります。これが、壁Aへの衝突の時間間隔です。
したがって、\(t\) 秒間に壁Aに衝突する回数 \(N_{\text{衝突}}\) は、\(t\) をこの時間間隔 \(\Delta t\) で割ることで求められます。
$$ N_{\text{衝突}} = \frac{t}{\Delta t} \quad \cdots ① $$
使用した物理公式
- 時間 = 距離 ÷ 速さ
式①に \(\Delta t = \displaystyle\frac{2L}{v_x}\) を代入して計算します。
$$
\begin{aligned}
N_{\text{衝突}} &= \frac{t}{2L/v_x} \\
&= \frac{v_x t}{2L}
\end{aligned}
$$
分子が壁Aに1回ぶつかってから、次にまた壁Aにぶつかるまでには、反対側の壁まで行って帰ってくる必要があります。容器の幅は \(L\) なので、往復の距離は \(2L\) です。分子はx方向には速さ \(v_x\) で動いているので、1回の往復にかかる時間は「距離 \(2L\) ÷ 速さ \(v_x\)」です。
\(t\) 秒間に何回衝突するかは、\(t\) をこの「1回あたりの時間」で割ればわかります。
\(t\) 秒間に \(\displaystyle\frac{v_x t}{2L}\) 回衝突します。この式は、時間が長いほど、また分子の速度が速いほど衝突回数が増え、容器の幅が広いほど衝突回数が減ることを示しており、直感と一致します。
問(ウ)
思考の道筋とポイント
壁Aが \(t\) 秒間に受ける力積を求める問題です。力積は「1回の衝突で壁が受ける力積」×「\(t\) 秒間の衝突回数」で計算できます。壁が受ける力積は、分子が受けた力積と作用・反作用の関係にあります。
この設問における重要なポイント
- 作用・反作用の法則より、壁が分子から受ける力積は、分子が壁から受ける力積と大きさが等しく、向きが逆である。
- 分子が壁から受けた力積は、分子の運動量変化に等しい((ア)の結果)。
具体的な解説と立式
(ア)より、1回の衝突で分子が受ける力積(運動量の変化)は \(-2mv_x\) です。
作用・反作用の法則により、1回の衝突で壁Aが分子から受ける力積は、この反作用なので \(+2mv_x\) となります。
(イ)より、この分子は \(t\) 秒間に \(\displaystyle\frac{v_x t}{2L}\) 回、壁Aに衝突します。
したがって、壁Aが \(t\) 秒間に受ける力積の合計 \(I_{\text{壁}}\) は、
$$ I_{\text{壁}} = (\text{1回あたりの力積}) \times (\text{衝突回数}) $$
$$ I_{\text{壁}} = (2mv_x) \times \left( \frac{v_x t}{2L} \right) \quad \cdots ① $$
使用した物理公式
- 力積と運動量の関係: \(I = \Delta p\)
- 作用・反作用の法則
式①を計算します。
$$
\begin{aligned}
I_{\text{壁}} &= 2mv_x \times \frac{v_x t}{2L} \\
&= \frac{mv_x^2 t}{L}
\end{aligned}
$$
壁が受ける力積の合計は、「1回あたりの力積」と「衝突回数」を掛ければ求まります。
1回の衝突で、分子は \(-2mv_x\) の力積を受けました(アの結果)。作用・反作用で、壁は逆向きに \(+2mv_x\) の力積を受けます。
この衝突が \(t\) 秒間に \(\frac{v_x t}{2L}\) 回起こるので(イの結果)、この2つを掛け合わせると、壁が受けた合計の力積がわかります。
壁Aが \(t\) 秒間に受ける力積は \(\displaystyle\frac{mv_x^2 t}{L}\) となります。この力積はx軸の正の向きであり、壁が分子から押されているという状況と一致します。
問(エ)
思考の道筋とポイント
壁Aがこの1個の分子から受ける力の大きさを求める問題です。力と力積の関係「力積 = 力 × 時間」を利用します。
この設問における重要なポイント
- 一定の力 \(F\) が時間 \(t\) だけ働いたときの力積は \(I = Ft\) である。
- (ウ)で求めたのは、\(t\) 秒間に壁が受けた合計の力積である。
具体的な解説と立式
壁Aが分子から受ける平均の力を \(f\) とします。
力と力積の関係より、\(t\) 秒間に壁が受けた力積 \(I_{\text{壁}}\) は \(I_{\text{壁}} = f t\) と表せます。
(ウ)の結果 \(I_{\text{壁}} = \displaystyle\frac{mv_x^2 t}{L}\) と等しいとおくと、
$$ f t = \frac{mv_x^2 t}{L} \quad \cdots ① $$
使用した物理公式
- 力と力積の関係: \(I = F \Delta t\)
式①の両辺から \(t\) を消去して、力 \(f\) を求めます。
$$ f = \frac{mv_x^2}{L} $$
「力積」は「力 × 時間」で計算できます。逆に言えば、「力」は「力積 ÷ 時間」です。
(ウ)で、\(t\) 秒間の力積が \(\frac{mv_x^2 t}{L}\) であることがわかったので、これを時間 \(t\) で割れば、平均の力が求まります。
1個の分子から壁Aが受ける力の大きさは \(\displaystyle\frac{mv_x^2}{L}\) です。分子の質量が大きいほど、また速度が速いほど力が強くなるのは直感に合っています。
問(オ)
思考の道筋とポイント
速度の2乗の平均値 \(\overline{v^2}\) と、そのx成分の2乗の平均値 \(\overline{v_x^2}\) の関係を問う問題です。分子の運動は等方的(方向によらない)であるという仮定(エネルギー等分配則)から、各方向の運動は同等に扱えると考えます。
この設問における重要なポイント
- 分子の速度ベクトル \(\vec{v}\) の2乗は、各成分の2乗の和で表される: \(v^2 = v_x^2 + v_y^2 + v_z^2\)。
- 分子の運動はランダムで方向性がないため、統計的に見ればx, y, z各方向の運動は同等であると考えられる。
- したがって、各方向の速度の2乗の平均値は等しくなる: \(\overline{v_x^2} = \overline{v_y^2} = \overline{v_z^2}\)。
具体的な解説と立式
三平方の定理を3次元に拡張すると、分子の速さ \(v\) の2乗は、速度の各成分の2乗の和で表せます。
$$ v^2 = v_x^2 + v_y^2 + v_z^2 $$
この式の、多数の分子にわたる平均をとります。
$$ \overline{v^2} = \overline{v_x^2 + v_y^2 + v_z^2} $$
和の平均は平均の和に等しいので、
$$ \overline{v^2} = \overline{v_x^2} + \overline{v_y^2} + \overline{v_z^2} $$
ここで、分子の運動は特定の方向に偏りがなく、どの方向にも均等である(等方性)と仮定します。すると、各方向の速度の2乗の平均値は等しくなると考えられます。
$$ \overline{v_x^2} = \overline{v_y^2} = \overline{v_z^2} $$
この関係を使うと、
$$
\begin{aligned}
\overline{v^2} &= \overline{v_x^2} + \overline{v_x^2} + \overline{v_x^2} \\
&= 3\overline{v_x^2} \quad \cdots ①
\end{aligned}
$$
問題文の式 \(\overline{v_x^2} = \displaystyle\frac{\text{オ}}{3}\) と比較すると、オに入るのは \(\overline{v^2}\) であることがわかります。
使用した物理公式
- 三平方の定理: \(v^2 = v_x^2 + v_y^2 + v_z^2\)
- エネルギー等分配則の考え方
式①を変形します。
$$ \overline{v_x^2} = \frac{1}{3}\overline{v^2} $$
よって、オは \(\overline{v^2}\) です。
分子の速さの2乗は、x, y, z各方向の速さの2乗を足し合わせたものです (\(v^2 = v_x^2 + v_y^2 + v_z^2\))。
分子はデタラメな方向に運動しているので、平均的に見れば、x方向、y方向、z方向の運動の激しさは同じはずです。つまり、\(\overline{v_x^2}\), \(\overline{v_y^2}\), \(\overline{v_z^2}\) はすべて同じ値になります。
よって、\(\overline{v^2} = 3\overline{v_x^2}\) という関係が成り立ちます。
オは \(\overline{v^2}\) です。これは、全運動エネルギーが3つの方向に等しく分配されていることを意味しており、エネルギー等分配則の考え方に基づいた妥当な結果です。
問(カ)
思考の道筋とポイント
N個の分子全体から壁Aが受ける圧力 \(p\) を求める問題です。(エ)で求めた1分子あたりの力をもとに、N個の分子による力の合計を計算し、それを面積で割って圧力を求めます。
この設問における重要なポイント
- 圧力は単位面積あたりの力: \(p = \displaystyle\frac{F}{S}\)。
- N個の分子が及ぼす力の合計は、1分子あたりの力の平均値のN倍で近似できる。
- (エ)で求めた力は \(v_x^2\) を含んでいるため、N個の分子についてはその平均値 \(\overline{v_x^2}\) を用いる。
具体的な解説と立式
(エ)より、1個の分子(x方向の速度成分が \(v_x\))が壁Aに及ぼす平均の力は \(\displaystyle\frac{mv_x^2}{L}\) です。
N個の分子が壁Aに及ぼす力の合計 \(F\) は、各分子が及ぼす力の和になります。各分子のx方向速度は異なるため、その2乗の平均値 \(\overline{v_x^2}\) を用いて、
$$ F = N \times (\text{1分子あたりの平均の力}) $$
$$ F = N \frac{m\overline{v_x^2}}{L} $$
(オ)の関係式 \(\overline{v_x^2} = \displaystyle\frac{1}{3}\overline{v^2}\) を代入すると、
$$
\begin{aligned}
F &= N \frac{m}{L} \left( \frac{1}{3}\overline{v^2} \right) \\
&= \frac{Nm\overline{v^2}}{3L}
\end{aligned}
$$
圧力 \(p\) は、この力 \(F\) を壁Aの面積 \(S=L^2\) で割ったものです。
$$ p = \frac{F}{S} $$
$$
\begin{aligned}
p &= \frac{1}{L^2} \left( \frac{Nm\overline{v^2}}{3L} \right) \\
&= \frac{Nm\overline{v^2}}{3L^3}
\end{aligned}
$$
ここで、容器の体積は \(V=L^3\) なので、
$$ p = \frac{Nm\overline{v^2}}{3V} \quad \cdots ① $$
使用した物理公式
- 圧力の定義: \(p = F/S\)
- (エ), (オ)の結果
式①が求める圧力 \(p\) の式です。
$$ p = \frac{Nm\overline{v^2}}{3V} $$
よって、カは \(\displaystyle\frac{Nm\overline{v^2}}{3V}\) です。
まず、N個の分子が壁を押す力の合計を求めます。(エ)で求めた1個あたりの力 \(\frac{mv_x^2}{L}\) の、N個の分子についての平均を考えます。分子の速さはバラバラなので、\(v_x^2\) の代わりに平均値 \(\overline{v_x^2}\) を使って、力の合計は \(N \frac{m\overline{v_x^2}}{L}\) となります。
次に、(オ)の関係を使って \(\overline{v_x^2}\) を \(\frac{1}{3}\overline{v^2}\) に置き換えます。
最後に、圧力は「力÷面積」なので、この力の合計を壁の面積 \(L^2\) で割ります。式を整理すると、圧力 \(p\) が求まります。
圧力 \(p\) は \(\displaystyle\frac{Nm\overline{v^2}}{3V}\) となります。この式は、気体の圧力が、分子の数、質量、速さの2乗に比例し、体積に反比例することを示しており、ボイルの法則とも整合性がとれています。
問(キ)
思考の道筋とポイント
理想気体の状態方程式 \(pV = \text{キ}\) の右辺を求める問題です。問題文で与えられている情報(物質量 \(n\)、気体定数 \(R\)、絶対温度 \(T\))を用いて、よく知られた状態方程式の形を答えます。
この設問における重要なポイント
- 理想気体の状態方程式は、圧力 \(p\)、体積 \(V\)、物質量 \(n\)、気体定数 \(R\)、絶対温度 \(T\) を用いて \(pV=nRT\) と表される。
具体的な解説と立式
理想気体の状態方程式は、実験則(ボイル・シャルルの法則)とアボガドロの法則をまとめたもので、マクロな量 \(p, V, T\) と物質量 \(n\) を関係づける fundamental な式です。
その形は、
$$ pV = nRT $$
と与えられます。
使用した物理公式
- 理想気体の状態方程式
上記の式より、キは \(nRT\) です。
理想気体の状態方程式は、気体の性質を表す最も重要な公式の一つです。圧力 \(p\) と体積 \(V\) の積が、物質量 \(n\)、気体定数 \(R\)、絶対温度 \(T\) の積に等しい、という形で表されます。これは公式として覚えておくべきものです。
キは \(nRT\) です。これは理想気体の状態方程式そのものです。
問(ク)
思考の道筋とポイント
気体分子1個あたりの平均運動エネルギー \(\displaystyle\frac{1}{2}m\overline{v^2}\) を求める問題です。(カ)で導いた分子運動論からの圧力の式と、(キ)の理想気体の状態方程式を等しいとおくことで、ミクロな量(運動エネルギー)とマクロな量(温度)の関係を導きます。
この設問における重要なポイント
- (カ)と(キ)の結果は、どちらも \(pV\) を表しているので、等しいとおくことができる。
- 解答には、問題文で与えられている文字(\(n, R, T, N\)など)のみを用いる。
具体的な解説と立式
(カ)の結果 \(p = \displaystyle\frac{Nm\overline{v^2}}{3V}\) を変形すると、
$$ pV = \frac{1}{3}Nm\overline{v^2} $$
(キ)の結果は \(pV = nRT\) なので、両式を等しいとおきます。
$$ \frac{1}{3}Nm\overline{v^2} = nRT $$
この式を、求めたい平均運動エネルギー \(\displaystyle\frac{1}{2}m\overline{v^2}\) が現れるように変形します。
まず、両辺に \(\displaystyle\frac{3}{2N}\) を掛けます。
$$ \frac{1}{2}m\overline{v^2} = \frac{3nRT}{2N} \quad \cdots ① $$
使用した物理公式
- (カ), (キ)の結果
式①が求める平均運動エネルギーの式です。問題文で与えられた文字で表現されているため、これが解答となります。
$$ \frac{1}{2}m\overline{v^2} = \frac{3nRT}{2N} $$
よって、クは \(\displaystyle\frac{3nRT}{2N}\) です。
(カ)で求めた式を変形すると \(pV = \frac{1}{3}Nm\overline{v^2}\) となります。一方、(キ)で求めたのは \(pV = nRT\) です。これらはどちらも同じ \(pV\) を表しているので、イコールで結ぶことができます。
この式 \(\frac{1}{3}Nm\overline{v^2} = nRT\) を、求めたい「分子1個の平均運動エネルギー \(\frac{1}{2}m\overline{v^2}\)」の形になるように変形していきます。
式を整理すると、平均運動エネルギーが、問題文で与えられた文字 \(n, R, T, N\) を使って表せます。
気体分子の平均運動エネルギーは \(\displaystyle\frac{3nRT}{2N}\) となります。ここで、アボガドロ定数を \(N_A = N/n\)、ボルツマン定数を \(k_B = R/N_A\) と定義すれば、この式は \(\displaystyle\frac{3}{2}k_B T\) と書き換えられ、分子の平均運動エネルギーが絶対温度にのみ比例するという、物理的に非常に重要な結論が導かれます。
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