- まずはザックリ理解したい
- イメージを優先したい
- 苦手を克服したい
このような方向けに解説をしていきます。
【今回わかること】
- 熱運動とはなにか
- セルシウス温度と絶対温度の違い
- 2つの温度の変換方法
熱運動とは分子がランダムに動くこと
物質を構成する分子や原子の個々の不規則な運動。熱エネルギーの本質で、温度が高くなるほど激しく活発になる。
(出典:コトバンク)
身の回りの物質は、目には見えないほど小さな原子や分子が集まってできています。
この原子や分子たちは、それぞれがいろいろな方向に動いています。
例えばピンボールマシンで、障害物になる柱が震えているところをイメージしてみましょう。
すべての柱が同じ震え方をすることはありません。
振動する向きもタイミングもバラバラです。
この柱の振動が熱運動と同じです。
液体や気体の分子はそれぞれがランダムに動き続けています。
このランダムに動く運動のことを『熱運動』と呼びます。
熱運動が激しい | 熱運動が穏やか |
---|---|
温度が高い | 温度が低い |
熱運動とブラウン運動の違い
流体(気体あるいは液体)中にあるコロイド粒子(直径がミクロン程度の粒子)が行う不規則運動。
(出典:コトバンク)
水で薄めた牛乳を顕微鏡で観察すると、牛乳中の粒子がランダムに運動している様子を見ることができます。
このランダムな運動のことを『ブラウン運動』と呼びます。
今回もピンボールを例にイメージしてみましょう。
障害物となる柱は振動しているとして、そこにボールを打ち込んでみます。
振動している障害物にボールがぶつかると、ボールがいろいろと向きを変えながら進んでいきます。
もちろん2回目のボールを打ち込んだ場合、1回目とは違う動きをするでしょう。
この「ボールの動き」がブラウン運動のイメージです。
熱運動をしている分子に別の粒子がぶつかることで、不規則に運動することになります。
絶対温度とは分子の動きに注目した温度
日常生活では「セルシウス温度」という、 [ ℃ ] を使った温度を使う場面が多いです。
- 天気予報の気温
- 体温計の温度
- 揚げ物をするときの油の温度 など
セルシウス温度は、水が凍る温度を0℃とするという基準があります。
しかし、熱力学という分野で扱うものは水だけではありません。
物質ごとに凍る温度は違うので、別の基準があったほうが便利です。
そこで「分子の動き」に注目して基準を決めた温度を使うことにします。
その温度を『絶対温度』と呼びます。
分子の動きが激しいと温度が高い、分子の動きが穏やかだと温度が低いということでした。
分子の動きがどんどんゆっくりになっていくと、最終的には動きが止まってしまいます。
静止している状態よりゆっくりな動きというものはありませんよね?
この分子の動きが完全に止まったときの温度を0とするのが『絶対温度』です!
絶対温度の単位 [K] (ケルビン)
日常的に使っているセルシウス温度では[ ℃ ] という単位を使うのに対して、絶対温度では[ K ] (読み方:ケルビン) という単位を使います。
分子の動きが完全に止まるときの絶対温度が 0 [ K ] です。
つまり、絶対温度 0 [ K ]より低い温度は存在しません!
今後熱力学で出てくる公式では、セルシウス温度は絶対温度に直してから代入しましょう。
絶対温度とセルシウス温度の変換をする計算方法
熱力学の問題では、温度を「セルシウス温度」で設定していることがあります。
今後登場する公式では、絶対温度に直してから代入するという話を先ほどしました。
なので、セルシウス温度 [ ℃ ]を絶対温度 [ K ]に変えるための関係式を覚えておきましょう。
- 0 [ ℃ ] → 273 [ K ]
- 27 [ ℃ ] → 300 [ K ]
- -73 [ ℃ ] → 200 [ K ]
「2つの間の関係性」を見ながらであれば書き換えもカンタンです。
しかし、テストになると「あれ?どっちに273を足すんだっけ?」となることが多いです。
なので次のような覚え方をしておくのがオススメです。