プロセス
1 セルシウス温度と絶対温度
【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド
この問題のテーマは「セルシウス温度と絶対温度の換算」です。物理学で用いられる温度の基準について理解を深めます。
問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。
- セルシウス温度(摂氏温度)の定義: 日常生活で広く使われる温度目盛り。
- 絶対温度(ケルビン)の定義: 物理学、特に熱力学の計算で基準となる温度目盛り。
- 絶対零度の概念: 全ての粒子の熱運動が停止する理論上の最低温度。
- セルシウス温度と絶対温度の換算式。
基本的なアプローチは以下の通りです。
- セルシウス温度 \(t\) [℃] と絶対温度 \(T\) [K] の関係式を思い出す。
- 与えられたセルシウス温度の値を関係式に代入する。
- 計算を行い、対応する絶対温度を求める。
思考の道筋とポイント
物理学、特に気体の状態方程式などを扱う熱力学の分野では、温度を「絶対温度」で計算するのが基本です。私たちが日常で使う「セルシウス温度(摂氏)」と、科学の世界の基準である「絶対温度」の関係を正しく理解し、いつでもスムーズに換算できるようにしておくことが非常に重要です。この問題は、その最も基本的な換算式 \(T \text{[K]} = t \text{[℃]} + 273\) を正しく記憶し、使えるかを問うています。
この設問における重要なポイント
- セルシウス温度(摂氏温度) \(t\)[℃]: 水の凝固点を \(0\)℃、沸点を \(100\)℃とし、その間を \(100\) 等分した温度目盛りです。
- 絶対温度 \(T\)[K]: 物質を構成する粒子の熱運動が理論上完全に停止する温度を \(0\)\(\text{K}\)(絶対零度)とする温度目盛りです。単位はケルビン(\(\text{K}\))を用います。
- 換算式: \(T \text{[K]} = t \text{[℃]} + 273\)。セルシウス温度の値に \(273\) を足すと、絶対温度の値になります。
- 絶対零度: \(0\)\(\text{K}\) は、セルシウス温度では \(-273\)℃に相当します。これより低い温度は存在しません。
- 目盛りの幅: 絶対温度の \(1\)\(\text{K}\) の温度変化は、セルシウス温度の \(1\)℃の温度変化と等しいです。つまり、温度の「差」を考えるときは、どちらの単位でも同じ値になります。
具体的な解説と立式
絶対温度 \(T\) [K] とセルシウス温度 \(t\) [℃] の間には、以下の関係式が成り立ちます。この式は、物理学における温度の基準を、物質の性質によらない普遍的な下限である絶対零度に置いていることに由来します。
$$
T = t + 273
$$
この問題では、与えられた \(27\)℃と \(100\)℃を、それぞれこの式に代入して絶対温度を求めます。
使用した物理公式
- 絶対温度とセルシウス温度の換算式: \(T \text{[K]} = t \text{[℃]} + 273\)
与えられた各セルシウス温度を換算式に代入して計算します。
- \(27\)℃の場合:
換算式に \(t = 27\) を代入します。
$$
\begin{aligned}
T &= 27 + 273 \\[2.0ex]
&= 300 \, \text{K}
\end{aligned}
$$ - \(100\)℃の場合:
換算式に \(t = 100\) を代入します。
$$
\begin{aligned}
T &= 100 + 273 \\[2.0ex]
&= 373 \, \text{K}
\end{aligned}
$$
したがって、\(27\)℃は \(300\)\(\text{K}\)、\(100\)℃は \(373\)\(\text{K}\)となります。
温度には、私たちが普段天気予報などで目にする「℃(度)」で表すもの(セルシウス温度)と、科学の世界で基準として使われる「K(ケルビン)」で表すもの(絶対温度)の2種類があります。
この2つは、基準となる「\(0\)」の位置が違うだけで、温度の目盛りの幅(\(1\)度の大きさ)は同じです。
絶対温度は、セルシウス温度よりも常に \(273\) だけ大きい値になる、と覚えておけば大丈夫です。
なので、セルシウス温度を絶対温度に直すには、単純に \(273\) を足し算します。
- \(27\)℃なら \(27 + 273 = 300\)\(\text{K}\)
- \(100\)℃なら \(100 + 273 = 373\)\(\text{K}\)
となります。とても簡単ですね。
2 絶対温度とセルシウス温度
【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド
この問題のテーマは「絶対温度とセルシウス温度の換算」です。前の問題とは逆に、物理学で基準となる絶対温度から、日常生活でなじみのあるセルシウス温度へ変換します。
問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。
- 絶対温度(ケルビン)の定義: 物理学の計算で基準となる温度目盛り。
- セルシウス温度(摂氏温度)の定義: 日常生活で広く使われる温度目盛り。
- 絶対零度の概念: 全ての粒子の熱運動が停止する理論上の最低温度。
- 絶対温度とセルシウス温度の換算式。
基本的なアプローチは以下の通りです。
- 絶対温度 \(T\) [K] とセルシウス温度 \(t\) [℃] の関係式を思い出す。
- 関係式をセルシウス温度 \(t\) について解く。
- 与えられた絶対温度の値を式に代入する。
- 計算を行い、対応するセルシウス温度を求める。
思考の道筋とポイント
この問題は、前の問題で行った「セルシウス温度 → 絶対温度」の換算の逆操作です。用いる関係式は全く同じ \(T = t + 273\) ですが、今回は \(T\) が与えられて \(t\) を求めるため、式を \(t\) について解き直してから計算するとスムーズです。特に、\(0\)\(\text{K}\)(絶対零度)がセルシウス温度で何℃になるかは、物理学における温度の下限を知る上で非常に重要です。また、\(77\)\(\text{K}\)は液体窒素の沸点であり、科学実験などでよく耳にする温度です。
この設問における重要なポイント
- 換算式: 絶対温度 \(T\)[K] とセルシウス温度 \(t\)[℃] の関係は \(T = t + 273\) で与えられます。
- 逆換算: この式を \(t\) について解くと、\(t = T – 273\) となります。絶対温度から \(273\) を引くとセルシウス温度が得られます。
- 絶対零度: \(T = 0\)\(\text{K}\) は、理論上到達可能な最低温度であり、これを絶対零度と呼びます。セルシウス温度では \(-273\)℃に相当します。
- 目盛りの幅: 温度の「変化量」や「差」は、ケルビンで測ってもセルシウス度で測っても同じ値になります。例えば、温度が \(10\)\(\text{K}\) 上昇することは、\(10\)℃上昇することと同じです。
具体的な解説と立式
絶対温度 \(T\) [K] とセルシウス温度 \(t\) [℃] の関係式は以下の通りです。
$$
T = t + 273
$$
この問題を解くには、この式を \(t\) について変形します。\(273\) を左辺に移項すると、
$$
t = T – 273
$$
となります。この式に、与えられた絶対温度 \(T\) の値を代入して、セルシウス温度 \(t\) を計算します。
使用した物理公式
- 絶対温度とセルシウス温度の換算式: \(t \text{[℃]} = T \text{[K]} – 273\)
与えられた各絶対温度を換算式に代入して計算します。
- \(0\)\(\text{K}\)の場合:
換算式に \(T = 0\) を代入します。
$$
\begin{aligned}
t &= 0 – 273 \\[2.0ex]
&= -273 \, \text{℃}
\end{aligned}
$$ - \(77\)\(\text{K}\)の場合:
換算式に \(T = 77\) を代入します。
$$
\begin{aligned}
t &= 77 – 273 \\[2.0ex]
&= -196 \, \text{℃}
\end{aligned}
$$
したがって、\(0\)\(\text{K}\)は \(-273\)℃、\(77\)\(\text{K}\)は \(-196\)℃となります。
今回は、科学の世界で使う「K(ケルビン)」を、私たちが普段使う「℃(度)」に直す問題です。
前の問題では「℃」に \(273\) を足して「K」にしましたが、今回はその逆なので、単純に「K」から \(273\) を引き算すれば「℃」になります。
- \(0\)\(\text{K}\) の場合: \(0 – 273 = -273\)℃
これが「絶対零度」と呼ばれる、この世で最も低い温度です。これより冷たいものはありません。 - \(77\)\(\text{K}\) の場合: \(77 – 273 = -196\)℃
これは、よくテレビの科学実験などで、バナナで釘を打ったり、花を凍らせてパリパリに砕いたりする時に使う「液体窒素」の温度です。とても冷たい世界ですね。
3 比熱と熱容量
【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド
この問題のテーマは「比熱と熱容量の関係」です。物質固有の性質である「比熱」と、物体固有の性質である「熱容量」の違いを理解し、両者の関係式を用いて計算します。
問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。
- 熱容量の定義: 物体全体の温度を \(1\)\(\text{K}\) 上昇させるのに必要な熱量。
- 比熱の定義: 物質 \(1\)\(\text{g}\) の温度を \(1\)\(\text{K}\) 上昇させるのに必要な熱量。
- 熱容量と比熱の関係式: \(C = mc\)。
- 単位の整合性の確認。
基本的なアプローチは以下の通りです。
- 熱容量 \(C\)、質量 \(m\)、比熱 \(c\) の関係式を立てる。
- 問題文から与えられている質量 \(m\) と比熱 \(c\) の値を特定する。
- 関係式に値を代入し、熱容量 \(C\) を計算する。
思考の道筋とポイント
熱の分野で混同しやすいのが「比熱」と「熱容量」です。この二つの言葉の定義を正確に区別することが、この問題を解く上での最大のポイントです。
- 比熱 \(c\) は、鉄や水、アルミニウムといった「物質の種類」によって決まる値です。単位 \(\text{[J/(g}\cdot\text{K)]}\) が示す通り、「\(1\)\(\text{g}\)あたり、\(1\)\(\text{K}\)あたり」の熱量を表します。物質の温まりにくさの指標と言えます。
- 熱容量 \(C\) は、目の前にある「物体」そのものに固有の値です。単位 \(\text{[J/K]}\) が示す通り、「物体全体を \(1\)\(\text{K}\)あたり」どれくらいの熱量が必要かを表します。物体の温まりにくさの指標です。
この関係を理解すれば、\(1\)\(\text{g}\)あたりの性質(比熱)を、物体の質量(\(m\)\(\text{g}\))倍すれば、物体全体の性質(熱容量)になる、という関係式 \(C=mc\) が自然に導き出せます。
この設問における重要なポイント
- 熱容量 \(C\) [J/K]: 物体全体の温度を \(1\)\(\text{K}\)(または \(1\)℃)上昇させるのに必要な熱量。
- 比熱 \(c\) [J/(g・K)]:** 物質 \(1\)\(\text{g}\) の温度を \(1\)\(\text{K}\)(または \(1\)℃)上昇させるのに必要な熱量。物質固有の値。
- 関係式 \(C=mc\): 熱容量 \(C\) は、質量 \(m\) と比熱 \(c\) の積で表される。
- 単位の確認: 関係式の両辺の単位が一致することを確認する習慣をつけましょう。
\([\text{J/K}] = [\text{g}] \times [\text{J/(g}\cdot\text{K)}]\)
右辺の \(\text{g}\) が約分され、左辺と一致することがわかります。
具体的な解説と立式
物体の熱容量 \(C\) [J/K] は、その物体の質量を \(m\) [g]、物体を構成する物質の比熱を \(c\) [J/(g・K)] とすると、以下の式で表されます。
$$
C = mc
$$
この式は、比熱の定義(物質 \(1\)\(\text{g}\) を \(1\)\(\text{K}\) 温めるのに必要な熱量)を、物体の質量 \(m\) [g] 倍することで、物体全体を \(1\)\(\text{K}\) 温めるのに必要な熱量(熱容量)を求めていることを意味します。
問題文より、鉄球の質量は \(m = 200 \, \text{g}\)、鉄の比熱は \(c = 0.45 \, \text{J/(g}\cdot\text{K)}\) です。これらの値を上の式に代入します。
使用した物理公式
- 熱容量と比熱の関係式: \(C = mc\)
「具体的な解説と立式」で立てた式に、数値を代入して計算します。
$$
\begin{aligned}
C &= m \times c \\[2.0ex]
&= 200 \times 0.45 \\[2.0ex]
&= 90 \, \text{J/K}
\end{aligned}
$$
したがって、この鉄球の熱容量は \(90 \, \text{J/K}\) となります。
「比熱」と「熱容量」の違いを、料理に例えてみましょう。
- 「比熱」は、食材の性質のようなものです。「鉄」という食材は、\(1\)\(\text{g}\) を \(1\)℃温めるのに \(0.45\)\(\text{J}\) の熱が必要、という性質を持っています。これは鉄ならどれでも同じです。
- 「熱容量」は、出来上がった料理全体の性質です。今、目の前にある「\(200\)\(\text{g}\) の鉄球」という料理を \(1\)℃温めるのに、どれくらいの熱が必要かを表します。
計算はとてもシンプルです。
「\(1\)\(\text{g}\) あたりの温めにくさ(比熱)」に、「その物体の重さ(質量)」を掛けてあげれば、「物体全体の温めにくさ(熱容量)」が求まります。
\((\text{熱容量}) = (\text{質量}) \times (\text{比熱})\)
\(C = 200 \, \text{g} \times 0.45 \, \text{J/(g}\cdot\text{K)} = 90 \, \text{J/K}\)
つまり、この \(200\)\(\text{g}\) の鉄球を \(1\)℃温めるには \(90\)\(\text{J}\) の熱が必要だ、ということです。
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4 熱量、温度変化、熱容量の関係
【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド
この問題のテーマは「熱量、温度変化、熱容量の関係」です。熱容量の定義に基づいて、与えられた熱量と温度変化から物体の熱容量を算出します。
問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。
- 熱容量の定義: 物体の温度を \(1\)\(\text{K}\) 上昇させるのに必要な熱量。
- 熱量 \(Q\)、熱容量 \(C\)、温度変化 \(\Delta T\) の関係式: \(Q = C\Delta T\)。
- 単位の整合性の確認。
- 有効数字の取り扱い。
基本的なアプローチは以下の通りです。
- 熱量 \(Q\)、熱容量 \(C\)、温度変化 \(\Delta T\) の関係式を立てる。
- 問題文から与えられている熱量 \(Q\) と温度変化 \(\Delta T\) の値を特定する。
- 関係式を熱容量 \(C\) について解き、値を代入して計算する。
- 計算結果を適切な有効数字で表す。