「物理のエッセンス(熱・電磁気・原子)」徹底解説(熱力学16〜20問):物理の”土台”を固める!完全マスター講座

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熱力学範囲 16~20

16 熱力学第1法則

【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド

【相違点に関する注記】

本解説は、模範解答で採用されている「気体がされた仕事」を用いる形式の熱力学第一法則 (\(\Delta U = Q + W\)) を主たる解説としつつ、以下の別解を提示します。

  1. 提示する別解
    • 「気体がした仕事」を用いる形式の熱力学第一法則 (\(Q = \Delta U + W’\)) を使う解法
      • 主たる解法が、外部から「された」仕事を基準にエネルギーの出入りを考えるのに対し、別解では、気体が外部へ「した」仕事を基準にエネルギー保存則を考えます。
  2. 上記の別解が有益である理由
    • 物理的意味の明確化: \(Q = \Delta U + W’\) という形式は、「加えた熱(収入)は、内部エネルギーの増加(貯金)と、外部への仕事(支出)に分配される」というエネルギーの収支モデルとして非常に直感的で理解しやすいです。
    • 混乱の回避: 問題文で「外へ \(100 \, \text{J}\) の仕事をした」と与えられているため、\(W’ = 100 \, \text{J}\) とそのまま代入でき、符号の変換ミスを防ぎやすいという利点があります。
    • 解法の多角化: 物理の教科書や参考書によって採用している熱力学第一法則の形式が異なる場合があるため、両方の形式に慣れておくことは非常に重要です。
  3. 結果への影響
    • どちらの形式の公式を用いても、符号の扱いに注意すれば、最終的に得られる答えは完全に一致します。

この問題のテーマは「熱力学第一法則の基本的な適用」です。気体のエネルギー保存則である熱力学第一法則を正しく理解し、各項(内部エネルギーの変化、熱、仕事)の符号の意味を正確に扱えるかが問われます。

問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。

  1. 熱力学第一法則: 気体の内部エネルギーの変化 \(\Delta U\) は、気体が吸収した熱量 \(Q\) と、気体が外部からされた仕事 \(W\) の和に等しい (\(\Delta U = Q + W\))。
  2. 仕事の符号:
    • 気体が外部から仕事をされる(圧縮される)とき、\(W\) はの値をとる。
    • 気体が外部へ仕事をする(膨張する)とき、\(W\) はの値をとる。
  3. 内部エネルギーと温度の関係: 理想気体の内部エネルギーは、その絶対温度にのみ比例します。したがって、内部エネルギーが増加すれば (\(\Delta U > 0\)) 温度は上がり、減少すれば (\(\Delta U < 0\)) 温度は下がります。

基本的なアプローチは以下の通りです。

  1. 問題文から、気体が吸収した熱量 \(Q\) と、気体が「した」仕事の値を読み取ります。
  2. 気体が「した」仕事を、熱力学第一法則の公式で用いる「された」仕事 \(W\) に、符号を反転させて変換します。
  3. 熱力学第一法則の公式 \(\Delta U = Q + W\) に、数値を代入して内部エネルギーの変化 \(\Delta U\) を計算します。
  4. \(\Delta U\) の符号から、温度が上がったか下がったかを判断します。

内部エネルギーの変化と温度変化

思考の道筋とポイント
この問題は、気体のエネルギー収支を考える「熱力学第一法則」を適用する典型的な問題です。
熱力学第一法則は、気体のエネルギー保存則であり、「気体の内部エネルギーの変化 \(\Delta U\) は、外部から吸収した熱量 \(Q\) と、外部からされた仕事 \(W\) の合計に等しい」と表現されます。数式で書くと、
$$ \Delta U = Q + W $$
です。

この公式を使う上で最も重要なのが、各項の「符号」のルールを正確に理解することです。

  • \(\Delta U\): 内部エネルギーが増加すれば減少すれば
  • \(Q\): 気体が熱を吸収すれば放出すれば
  • \(W\): 気体が外部から仕事をされれば正、外部へ仕事をすれば負

問題文の情報を、このルールに従って数式に代入していきます。

  • 「\(200 \, \text{J}\) の熱を吸収し」→ \(Q = +200 \, \text{J}\)
  • 「外へ \(100 \, \text{J}\) の仕事をした」→ これは「された仕事 \(W\)」とは逆なので、\(W = -100 \, \text{J}\) となります。

これらの値を公式に代入すれば、内部エネルギーの変化 \(\Delta U\) が計算できます。
最後に、\(\Delta U\) の符号を見れば、温度が上がったか下がったかがわかります。理想気体の内部エネルギーは温度に比例するため、\(\Delta U\) が正なら温度は上昇、負なら温度は下降します。
この設問における重要なポイント

  • 熱力学第一法則: \(\Delta U = Q + W\)
  • 熱の吸収は \(Q > 0\)。
  • 外部への仕事は \(W < 0\)。
  • 内部エネルギーの増加 (\(\Delta U > 0\)) は、温度の上昇を意味する。

具体的な解説と立式
熱力学第一法則は、内部エネルギーの変化 \(\Delta U\)、気体が吸収した熱量 \(Q\)、気体が外部からされた仕事 \(W\) の間に成り立つ以下の関係式です。
$$ \Delta U = Q + W $$
問題文から、各項の値を読み取ります。

  • 気体が \(200 \, \text{J}\) の熱を吸収したので、\(Q = +200 \, \text{J}\)。
  • 気体が外へ \(100 \, \text{J}\) の仕事をしたので、気体が「された」仕事 \(W\) はその逆で、\(W = -100 \, \text{J}\)。

これらの値を熱力学第一法則の式に代入します。
$$ \Delta U = 200 + (-100) $$
この計算により、内部エネルギーの変化 \(\Delta U\) が求まります。

また、理想気体の内部エネルギーは絶対温度に比例するため、\(\Delta U\) の符号が正であれば温度は上昇し、負であれば下降します。

使用した物理公式

  • 熱力学第一法則: \(\Delta U = Q + W\)
  • 内部エネルギーと温度の関係: \(\Delta U > 0 \Leftrightarrow\) 温度上昇
計算過程

上記で立式した式を計算します。
$$
\begin{aligned}
\Delta U &= 200 – 100 \\[2.0ex]
&= 100 \, [\text{J}]
\end{aligned}
$$
内部エネルギーの変化は \(100 \, \text{J}\) の増加となります。
\(\Delta U = 100 > 0\) なので、内部エネルギーは増加しました。したがって、気体の温度は上がったことがわかります。

この設問の平易な説明

気体をお財布に例えてみましょう。「内部エネルギー」はお財布の中身(貯金)です。

  • 「熱を吸収する」のは、お小遣いをもらうこと(収入)。
  • 「外へ仕事をする」のは、何かを買うこと(支出)。

今回は、「\(200\) 円のお小遣いをもらい(\(Q=+200\))、\(100\) 円の買い物をした(\(W’ = +100\))」という状況です。
お財布の中身の変化は、「収入 – 支出」なので、\(200 – 100 = 100\) 円の増加となります。
つまり、内部エネルギーは \(100 \, \text{J}\) 増加したことになります。
気体の内部エネルギー(貯金)が増えたということは、気体の元気度、すなわち温度が上がったことを意味します。

結論と吟味

内部エネルギーの変化は \(100 \, \text{J}\) の増加であり、それに伴い温度は上がります。
気体は \(200 \, \text{J}\) のエネルギーを熱として受け取り、そのうち \(100 \, \text{J}\) を外部への仕事として使いましたが、残りの \(100 \, \text{J}\) は自身の内部エネルギーとして蓄えられた、というエネルギーの収支が明確に示されており、物理的に妥当な結果です。

解答 内部エネルギーの変化: \(100 \, \text{J}\), 温度は上がった。
別解: 「気体がした仕事」を用いる形式の熱力学第一法則 (\(Q = \Delta U + W’\)) を使う解法

思考の道筋とポイント
熱力学第一法則には、もう一つの表現形式があります。それは、「気体に加えた熱量 \(Q\) は、内部エネルギーの変化 \(\Delta U\) と、気体が外部にした仕事 \(W’\) の和に等しい」というもので、数式では
$$ Q = \Delta U + W’ $$
と書かれます。これは「収入=貯金+支出」という形で、エネルギーの分配を直感的に理解しやすい形式です。

この公式における符号のルールは以下の通りです。

  • \(Q\): 気体が熱を吸収すれば
  • \(\Delta U\): 内部エネルギーが増加すれば
  • \(W’\): 気体が外部へ仕事をすれば正

問題文の情報をこのルールに当てはめると、

  • 「\(200 \, \text{J}\) の熱を吸収し」→ \(Q = +200 \, \text{J}\)
  • 「外へ \(100 \, \text{J}\) の仕事をした」→ \(W’ = +100 \, \text{J}\)

となり、符号の変換が不要で、より直感的に代入できます。
この設問における重要なポイント

  • 熱力学第一法則の別形式: \(Q = \Delta U + W’\)
  • 熱の吸収は \(Q > 0\)。
  • 外部への仕事は \(W’ > 0\)。

具体的な解説と立式
熱力学第一法則の \(Q = \Delta U + W’\) の形式を用います。
問題文から、各項の値を読み取ります。

  • 気体が \(200 \, \text{J}\) の熱を吸収したので、\(Q = +200 \, \text{J}\)。
  • 気体が外へ \(100 \, \text{J}\) の仕事をしたので、\(W’ = +100 \, \text{J}\)。

これらの値を式に代入します。
$$ 200 = \Delta U + 100 $$
この方程式を \(\Delta U\) について解くことで、内部エネルギーの変化を求めます。

使用した物理公式

  • 熱力学第一法則(別形式): \(Q = \Delta U + W’\)
計算過程

上記で立式した方程式を \(\Delta U\) について解きます。
$$
\begin{aligned}
\Delta U &= 200 – 100 \\[2.0ex]
&= 100 \, [\text{J}]
\end{aligned}
$$
主たる解法と全く同じく、内部エネルギーは \(100 \, \text{J}\) 増加したことがわかります。
\(\Delta U > 0\) なので、温度は上がります。

この設問の平易な説明

「収入=貯金+支出」という家計簿のルールで考えてみましょう。
「\(200\) 円の収入があった (\(Q=+200\))」
「\(100\) 円の支出があった (\(W’=+100\))」
このとき、貯金はいくら増えたでしょうか?
「貯金の増加額=収入-支出」なので、\(200 – 100 = 100\) 円となります。
気体の内部エネルギーもこれと全く同じで、\(100 \, \text{J}\) 増加し、その結果として温度が上がります。

結論と吟味

主たる解法と全く同じ結果が得られました。どちらの形式の公式を使っても、符号のルールを正しく守れば同じ結論に至ります。自分が直感的に理解しやすい、あるいは問題文の表現に合っていて代入しやすい方の公式を使いこなせるようにしておくと良いでしょう。

解答 内部エネルギーの変化: \(100 \, \text{J}\), 温度は上がった。

【総まとめ】この一問を未来の得点力へ!完全マスター講座

最重要ポイント:この問題の核心となる物理法則は?
  • 熱力学第一法則(エネルギー保存則):
    • 核心: この問題の根幹は、気体という系におけるエネルギー保存則である「熱力学第一法則」です。これは、「気体の内部エネルギーの変化量は、外部から得た熱と、外部からされた仕事の和に等しい」という法則です。
    • 理解のポイント:
      • エネルギーの出入り: 気体のエネルギー(内部エネルギー)を変化させる方法は、「熱を加える(奪う)」か「仕事をする(される)」かの2種類しかありません。この法則は、そのエネルギーの出入りを定量的に記述したものです。
      • 二つの表現形式: この法則には、主に2つの数式表現があります。
        1. \(\Delta U = Q + W\): 内部エネルギーの変化 \(\Delta U\) を主役にした形式。\(W\) は「された仕事」。
        2. \(Q = \Delta U + W’\): 吸収した熱 \(Q\) の使い道を示した形式。\(W’\) は「した仕事」。

        本質的には同じことを言っており、\(W = -W’\) の関係で結ばれています。どちらの形式を使うにせよ、各項の符号のルールを正確に理解することが極めて重要です。

  • 内部エネルギーと温度の関係:
    • 核心: 理想気体の内部エネルギーは、その気体の絶対温度にのみ比例します。
    • 理解のポイント:
      • 温度の指標: この関係により、内部エネルギーの変化 \(\Delta U\) の符号を調べるだけで、温度が上がったか (\(\Delta U > 0\))、下がったか (\(\Delta U < 0\))、あるいは変わらないか (\(\Delta U = 0\)) を判断することができます。
応用テクニック:似た問題が出たらココを見る!解法の鍵と着眼点
  • 応用できる類似問題のパターン:
    • 定積変化: 体積が一定なので、気体は仕事をしません(\(W’=0, W=0\))。したがって、熱力学第一法則は \(\Delta U = Q\) となり、加えられた熱はすべて内部エネルギーの増加(温度上昇)に使われます。
    • 等温変化: 温度が一定なので、内部エネルギーは変化しません(\(\Delta U = 0\))。したがって、熱力学第一法則は \(Q = W’\) (または \(Q = -W\)) となり、吸収した熱はすべて外部への仕事に使われます。
    • 断熱変化: 外部との熱のやりとりがないので、\(Q=0\) です。したがって、熱力学第一法則は \(\Delta U = W\) (または \(\Delta U = -W’\)) となります。気体が断熱膨張して外部に仕事 (\(W’>0\)) をすると、その分だけ内部エネルギーが減少し (\(\Delta U < 0\))、温度が下がります。
  • 初見の問題での着眼点:
    1. エネルギーの出入りをリストアップ: 問題文から、「熱を吸収したか/放出したか」「仕事をしたか/されたか」という情報を抜き出し、それぞれの量を \(Q, W, W’\) の記号と数値でメモします。
    2. 符号を確定させる: メモした各量について、符号のルール(吸収は+、放出は-、した仕事は \(W’\) が+、された仕事は \(W\) が+)に従って、符号を確定させます。
    3. 公式を選択し代入: 自分が使うと決めた熱力学第一法則の公式(\(\Delta U = Q+W\) または \(Q = \Delta U + W’\))に、符号を確定させた数値を代入して計算します。
    4. \(\Delta U\) の符号から温度変化を判断: 計算結果の \(\Delta U\) の符号を見て、温度の上昇・下降を結論づけます。
要注意!ありがちなミス・誤解とその対策
  • 仕事の符号のミス:
    • 誤解: 「した仕事」と「された仕事」を混同し、符号を逆にして公式に代入してしまう。特に、\(\Delta U = Q+W\) の公式を使う際に、問題文の「\(100 \, \text{J}\) の仕事をした」をそのまま \(W=+100\) として代入するミスが非常に多いです。
    • 対策: 自分がどちらの公式(\(\Delta U = Q+W\) か \(Q = \Delta U + W’\))を使うのかをまず明確にし、その公式に対応する仕事の定義(\(W\) なのか \(W’\) なのか)と符号のルールを正確に適用します。自信がなければ、「収入=貯金+支出」のイメージで直感的に理解しやすい \(Q = \Delta U + W’\) を使うことをお勧めします。
  • 熱量 \(Q\) の符号のミス:
    • 誤解: 「熱を放出した」場合にも、\(Q\) を正の値として代入してしまう。
    • 対策: 気体を主語にして考えます。気体が熱を得る(吸収する)のがプラス、気体が熱を失う(放出する)のがマイナス、というルールを徹底しましょう。
  • 内部エネルギーと温度の関係の誤解:
    • 誤解: 内部エネルギーが増加しても、温度は下がることがあるなどと勘違いしてしまう。
    • 対策: 理想気体においては、「内部エネルギー = 温度」とほぼ同義である、と強くインプットしておきましょう。内部エネルギーは分子の運動エネルギーの総和であり、温度はその激しさの指標なので、両者は必ず連動します。
なぜその公式?論理的な公式選択と適用の思考法
  • 熱力学第一法則の選択:
    • 選定理由: 問題が「内部エネルギーの変化」「熱の吸収」「仕事」という、熱力学第一法則を構成する3つの要素の関係を直接問うているからです。これは、この法則を適用するために作られたような、最も基本的な問題設定です。
    • 適用根拠: 熱力学第一法則は、力学におけるエネルギー保存則を、熱現象を含む系に拡張したものです。閉じた系全体のエネルギーは不変である、という物理学の大原則に基づいているため、あらゆる熱力学的な過程に適用できる、極めて信頼性の高い法則です。
  • \(Q = \Delta U + W’\) という形式の有効性(別解):
    • 選定理由: エネルギーの流れを「収支」として捉えることができるため、物理的なイメージが非常に掴みやすいからです。「入ってきた熱エネルギー \(Q\) が、内部エネルギーの増加 \(\Delta U\) と外部への仕事 \(W’\) に分配される」という描像は、日常的な金銭の出入りに例えることができ、直感的です。
    • 適用根拠: これは \(\Delta U = Q + W\) という式で \(W = -W’\) と置き換えただけの、数学的に完全に等価な式です。どちらを使うかは純粋に好みや問題の状況によりますが、物理的な意味を考えながら解きたい場合には、こちらの形式が思考の助けになることが多いです。
計算ミスをなくす!日頃の意識と実践テクニック
  • 符号を明記した立式: 計算を始める前に、\(Q = +200 \, \text{J}\), \(W = -100 \, \text{J}\) のように、各項の符号を明確にしたメモ書きをする習慣をつけましょう。この一手間が、代入時の符号ミスを防ぎます。
  • 言葉で確認しながら計算する: 「200ジュールの熱をもらって、100ジュールの仕事をしたから、差し引き100ジュールが内部エネルギーとして残った」のように、計算プロセスを言葉で追いながら確認すると、単純な計算ミスや符号の取り違えに気づきやすくなります。
  • 結論の二重チェック:
    1. \(\Delta U\) の値を求める。
    2. \(\Delta U\) の符号から温度変化を判断する。

    という2つの問いに、それぞれ明確に答えることを意識します。片方だけ答えて満足しないように注意しましょう。

17 熱力学第1法則

【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド

【相違点に関する注記】

本解説は、模範解答で採用されている「気体がされた仕事」を用いる形式の熱力学第一法則 (\(\Delta U = Q + W\)) を主たる解説としつつ、以下の別解を提示します。

  1. 提示する別解
    • 「気体がした仕事」を用いる形式の熱力学第一法則 (\(Q = \Delta U + W’\)) を使う解法
      • 主たる解法が、外部から「された」仕事を基準にエネルギーの出入りを考えるのに対し、別解では、気体が外部へ「した」仕事を基準にエネルギー保存則を考えます。
  2. 上記の別解が有益である理由
    • 物理的意味の明確化: \(Q = \Delta U + W’\) という形式は、「加えた熱(収入)は、内部エネルギーの増加(貯金)と、外部への仕事(支出)に分配される」というエネルギーの収支モデルとして非常に直感的で理解しやすいです。
    • 解法の多角化: 物理の教科書や参考書によって採用している熱力学第一法則の形式が異なる場合があるため、両方の形式に慣れておくことは非常に重要です。
    • 論理的整合性の確認: 異なる形式の公式を用いても、符号のルールを正しく適用すれば同じ結論に至ることを確認でき、法則への理解が深まります。
  3. 結果への影響
    • どちらの形式の公式を用いても、符号の扱いに注意すれば、最終的に得られる答えは完全に一致します。

この問題のテーマは「熱力学第一法則の基本的な適用」です。気体のエネルギー保存則である熱力学第一法則を正しく理解し、各項(内部エネルギーの変化、熱、仕事)の符号の意味を正確に扱えるかが問われます。

問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。

  1. 熱力学第一法則: 気体の内部エネルギーの変化 \(\Delta U\) は、気体が吸収した熱量 \(Q\) と、気体が外部からされた仕事 \(W\) の和に等しい (\(\Delta U = Q + W\))。
  2. 熱量 \(Q\) の符号: 気体が熱を吸収した場合は放出した場合はとなります。この問題では、この \(Q\) の符号を計算結果から判断します。
  3. 仕事 \(W\) の符号: 気体が外部から仕事をされる(圧縮される)とき、\(W\) はの値をとります。逆に、気体が外部へ仕事をする(膨張する)とき、\(W\) はの値をとります。

基本的なアプローチは以下の通りです。

  1. 問題文から、内部エネルギーの変化 \(\Delta U\) と、気体が「された」仕事 \(W\) の値を、符号に注意して読み取ります。
  2. 熱力学第一法則の公式 \(\Delta U = Q + W\) に、読み取った数値を代入します。
  3. この方程式を解いて、熱量 \(Q\) を求めます。
  4. 計算結果である \(Q\) の符号を見て、気体が熱を吸収したのか(\(Q>0\))、放出したのか(\(Q<0\))を判断します。

熱の吸収・放出とその大きさ

思考の道筋とポイント
この問題は、前問に引き続き、気体のエネルギー収支を考える「熱力学第一法則」を適用する問題です。今回は、内部エネルギーの変化と仕事が与えられ、熱の出入りを求めます。

用いる法則は、熱力学第一法則 \(\Delta U = Q + W\) です。
この公式の各項の符号のルールを正確に適用することが、正解への唯一の道です。

  • \(\Delta U\): 内部エネルギーが増加すれば減少すれば
  • \(Q\): 気体が熱を吸収すれば放出すれば
  • \(W\): 気体が外部から仕事をされれば正、外部へ仕事をすれば負

問題文の情報を、このルールに従って数式に代入していきます。

  • 「内部エネルギーが \(200 \, \text{J}\) 増した」→ \(\Delta U = +200 \, \text{J}\)
  • 「\(300 \, \text{J}\) の仕事をされ」→ \(W = +300 \, \text{J}\)

これらの値を公式に代入すれば、未知数である熱量 \(Q\) を計算することができます。
最後に、計算された \(Q\) の符号を見ることで、熱を吸収したのか、放出したのかを判断します。
この設問における重要なポイント

  • 熱力学第一法則: \(\Delta U = Q + W\)
  • 内部エネルギーの増加は \(\Delta U > 0\)。
  • 外部から仕事をされるのは \(W > 0\)。
  • 熱の吸収は \(Q > 0\)、放出は \(Q < 0\)。

具体的な解説と立式
熱力学第一法則は、内部エネルギーの変化 \(\Delta U\)、気体が吸収した熱量 \(Q\)、気体が外部からされた仕事 \(W\) の間に成り立つ以下の関係式です。
$$ \Delta U = Q + W $$
問題文から、各項の値を読み取ります。

  • 内部エネルギーが \(200 \, \text{J}\) 増したので、\(\Delta U = +200 \, \text{J}\)。
  • 気体が \(300 \, \text{J}\) の仕事をされたので、\(W = +300 \, \text{J}\)。

これらの値を熱力学第一法則の式に代入します。
$$ 200 = Q + 300 $$
この方程式を解くことで、熱量 \(Q\) が求まります。

使用した物理公式

  • 熱力学第一法則: \(\Delta U = Q + W\)
計算過程

上記で立式した方程式を \(Q\) について解きます。
$$
\begin{aligned}
Q &= 200 – 300 \\[2.0ex]
&= -100 \, [\text{J}]
\end{aligned}
$$
計算結果が \(Q = -100 \, \text{J}\) となりました。
\(Q\) の符号は負なので、これは気体が熱を「吸収」したのではなく、「放出」したことを意味します。その大きさは \(100 \, \text{J}\) です。

この設問の平易な説明

今回もお財布の例えで考えてみましょう。「内部エネルギー」は貯金です。

  • 「\(300 \, \text{J}\) の仕事をされた」というのは、外部からエネルギーをもらったということなので、「\(300\) 円の臨時収入があった」と考えます。
  • 「内部エネルギーが \(200 \, \text{J}\) 増した」というのは、「貯金が \(200\) 円増えた」ということです。

さて、ここで疑問が湧きます。\(300\) 円も収入があったのに、なぜ貯金は \(200\) 円しか増えていないのでしょうか?
その差額の \(100\) 円はどこへ消えたのでしょう。考えられるのは、どこかへお金が出て行った、ということです。熱力学では、この「出て行ったお金」が「放出した熱」にあたります。
したがって、この気体は \(100 \, \text{J}\) の熱を放出した、と結論できます。

結論と吟味

気体は \(100 \, \text{J}\) の熱を放出しました。
エネルギー収支を考えると、外部から仕事として \(300 \, \text{J}\) のエネルギーを受け取りましたが、同時に熱として \(100 \, \text{J}\) のエネルギーを失いました。その結果、差し引きで \(300 – 100 = 200 \, \text{J}\) のエネルギーが気体の中に残り、これが内部エネルギーの増加分となった、という物理的な流れと完全に一致します。

解答 \(100 \, \text{J}\) の熱を放出した。
別解: 「気体がした仕事」を用いる形式の熱力学第一法則 (\(Q = \Delta U + W’\)) を使う解法

思考の道筋とポイント
熱力学第一法則のもう一つの表現形式 \(Q = \Delta U + W’\) を用いるアプローチです。これは「収入=貯金+支出」というエネルギーの分配モデルで、各項の符号のルールは以下の通りです。

  • \(Q\): 気体が熱を吸収すれば
  • \(\Delta U\): 内部エネルギーが増加すれば
  • \(W’\): 気体が外部へ仕事をすれば正

問題文の情報をこのルールに当てはめます。

  • 「内部エネルギーが \(200 \, \text{J}\) 増した」→ \(\Delta U = +200 \, \text{J}\)
  • 「\(300 \, \text{J}\) の仕事をされ」→ これは「した仕事 \(W’\)」とは逆なので、\(W’ = -300 \, \text{J}\) となります。

この設問における重要なポイント

  • 熱力学第一法則の別形式: \(Q = \Delta U + W’\)
  • 内部エネルギーの増加は \(\Delta U > 0\)。
  • 外部から仕事をされるのは \(W’ < 0\)。

具体的な解説と立式
熱力学第一法則の \(Q = \Delta U + W’\) の形式を用います。
問題文から、各項の値を読み取ります。

  • 内部エネルギーが \(200 \, \text{J}\) 増したので、\(\Delta U = +200 \, \text{J}\)。
  • 気体が \(300 \, \text{J}\) の仕事をされたので、気体が「した」仕事 \(W’\) はその逆で、\(W’ = -300 \, \text{J}\)。

これらの値を式に代入します。
$$ Q = 200 + (-300) $$
この計算により、熱量 \(Q\) が求まります。

使用した物理公式

  • 熱力学第一法則(別形式): \(Q = \Delta U + W’\)
計算過程

上記で立式した式を計算します。
$$
\begin{aligned}
Q &= 200 – 300 \\[2.0ex]
&= -100 \, [\text{J}]
\end{aligned}
$$
主たる解法と全く同じく、\(Q\) が負の値となりました。これは、気体が \(100 \, \text{J}\) の熱を放出したことを意味します。

この設問の平易な説明

「収入=貯金+支出」という家計簿のルールで考えてみましょう。

  • 「貯金が \(200\) 円増えた (\(\Delta U = +200\))」
  • 「\(300\) 円の仕事をされた」ということは、「\(300\) 円の支出をしなかった(むしろもらった)」ということなので、「支出はマイナス \(300\) 円 (\(W’ = -300\))」と記録します。

このときの収入 \(Q\) は、「収入=貯金+支出」のルールから、
収入 \(Q = 200 + (-300) = -100\) 円
となります。収入がマイナスということは、実際には「\(100\) 円のお金が出て行った(熱を放出した)」ことを意味します。

結論と吟味

主たる解法と全く同じ結果が得られました。どちらの形式の公式を使っても、符号のルールを正しく守れば同じ結論に至ります。問題文の表現に合わせて、自分が間違いにくいと感じる方の公式を選択するのが良いでしょう。

解答 \(100 \, \text{J}\) の熱を放出した。

【総まとめ】この一問を未来の得点力へ!完全マスター講座

最重要ポイント:この問題の核心となる物理法則は?
  • 熱力学第一法則(エネルギー保存則):
    • 核心: この問題の根幹は、前問に引き続き、気体という系におけるエネルギー保存則である「熱力学第一法則」です。今回は、内部エネルギーの変化と仕事の情報から、熱の出入りを特定するためにこの法則を適用します。
    • 理解のポイント:
      • エネルギー収支の計算: この法則は、\(\Delta U, Q, W\) の3つの量のうち、2つが分かれば残りの1つを計算できる、という関係式です。問題に応じて、どの量を未知数として解くかが変わります。
      • 符号の物理的意味: 計算結果として得られた物理量の「符号」が、物理的な現象(増加/減少、吸収/放出、した/された)を決定づける、という点が極めて重要です。特に、\(Q\) が負の値として計算された場合、それは「熱を放出した」と解釈する必要があります。
  • 仕事の符号の正確な理解:
    • 核心: 熱力学第一法則を正しく適用する上で、最も間違いやすいのが仕事の符号の扱いです。気体を主語としたとき、「仕事をする」ことと「仕事をされる」ことのエネルギー的な意味の違いを明確に理解することが不可欠です。
    • 理解のポイント:
      • 仕事をされる (\(W>0\)): 気体が外部から圧縮されるなどして、エネルギーを受け取る場合です。これは気体の内部エネルギーを増加させる要因になります。
      • 仕事をする (\(W’>0\)): 気体が膨張するなどして、外部に対してエネルギーを消費する場合です。これは気体の内部エネルギーを減少させる要因になります。
      • 問題文との対応: 問題文の「仕事をされ」という表現を、自分が使う公式の記号(\(W\) または \(W’\))と符号のルールに正しく変換できるかが、正解への鍵となります。
応用テクニック:似た問題が出たらココを見る!解法の鍵と着眼点
  • 応用できる類似問題のパターン:
    • 内部エネルギーの変化を問う問題: (前問16)熱の出入り \(Q\) と仕事 \(W\) (または \(W’\)) が与えられ、\(\Delta U\) を計算する。
    • 仕事の量を問う問題: 内部エネルギーの変化 \(\Delta U\) と熱の出入り \(Q\) が与えられ、仕事 \(W\) (または \(W’\)) を計算する。
    • 特定の状態変化における熱量を問う問題: (例:定圧変化で温度が \(\Delta T\) 上昇した。吸収した熱量はいくらか?)。この場合、まず \(\Delta U = nC_v\Delta T\) と \(W’ = nR\Delta T\) を計算し、\(Q = \Delta U + W’\) から熱量を求めます。
  • 初見の問題での着眼点:
    1. 熱力学第一法則の3要素を特定: 問題文に「熱」「仕事」「内部エネルギー」という3つのキーワードのうち、どの2つが与えられ、どの1つが問われているのかを把握します。
    2. 各量の符号を確定: 与えられた2つの量について、符号のルールに従ってプラスかマイナスかを確定させます。「増した」→ \(\Delta U > 0\)。「仕事をされ」→ \(W > 0\) (または \(W’ < 0\))。
    3. 公式に代入し、未知数を解く: 熱力学第一法則の式に、符号を確定させた数値を代入し、残りの未知数についての方程式を解きます。
    4. 結果の符号を解釈する: 計算で得られた未知数の符号から、物理的な意味(吸収か放出か、など)を正しく読み取り、言葉で解答します。
要注意!ありがちなミス・誤解とその対策
  • 仕事の符号のミス:
    • 誤解: 「仕事をされ」という言葉を、エネルギーが「出ていく」イメージと結びつけてしまい、\(W\) を負の値としてしまう。
    • 対策: 仕事の符号は、常に「気体を主語」として考えます。気体がエネルギーをもらうのがプラス、気体がエネルギーを使うのがマイナス、と覚えましょう。「仕事をされる」のは、外部からエネルギーを注入されることなので、気体にとってはプラスのエネルギー流入です。したがって、\(\Delta U = Q+W\) の形式では \(W>0\) となります。
  • 計算結果の符号の解釈ミス:
    • 誤解: \(Q=-100\) という計算結果が出たときに、大きさだけを見て「\(100 \, \text{J}\) の熱を吸収した」と答えてしまう。
    • 対策: 計算で出てきたマイナス符号には、「放出」という重要な物理的意味があることを忘れないようにします。最終的な答えは、符号の意味を言葉に翻訳して「\(100 \, \text{J}\) の熱を放出した」と記述する必要があります。
  • エネルギー収支の直感的な誤り:
    • 誤解: 内部エネルギーが増加した(\(\Delta U > 0\))のだから、必ず熱を吸収した(\(Q>0\))はずだ、と早合点してしまう。
    • 対策: 内部エネルギーを増加させる要因は「熱の吸収」と「仕事をされる」の2つがあります。この問題のように、仕事をされた量 (\(300 \, \text{J}\)) が内部エネルギーの増加量 (\(200 \, \text{J}\)) よりも大きい場合、その差額は熱として外部に逃げている (\(Q<0\)) ことになります。必ず熱力学第一法則の式に基づいて、定量的に判断する癖をつけましょう。
なぜその公式?論理的な公式選択と適用の思考法
  • 熱力学第一法則の選択:
    • 選定理由: 問題が「内部エネルギーの変化」「熱」「仕事」という、熱力学第一法則を構成する3つの要素の関係を直接問うているため、この法則を選択するのは必然です。
    • 適用根拠: 熱力学第一法則は、マクロなスケールでのエネルギー保存則であり、気体の状態変化をエネルギーの出入りという観点から記述する、熱力学の根幹をなす法則です。
  • \(\Delta U = Q + W\) という形式の有効性(主たる解法):
    • 選定理由: この形式は、内部エネルギーの変化 \(\Delta U\) を主役としており、「内部エネルギーは何によって変化するのか」という視点を提供します。また、問題文で「仕事をされ」という言葉が使われている場合、\(W\) に正の値をそのまま代入できるため、思考のステップが少なく済みます。
    • 適用根拠: これは熱力学第一法則の標準的な表現の一つであり、物理的に厳密に正しい関係式です。
計算ミスをなくす!日頃の意識と実践テクニック
  • エネルギーの収支図を描く: 気体を円で表し、系に入ってくるエネルギー(熱の吸収、仕事をされる)を内向きの矢印、系から出ていくエネルギー(熱の放出、仕事をする)を外向きの矢印で描く、簡単なエネルギー収支図を描くと、状況を視覚的に整理できます。この問題では、「\(W=300 \, \text{J}\) が入ってきて、\(\Delta U=200 \, \text{J}\) が中に溜まった。では、熱 \(Q\) は入ってきたのか、出ていったのか?」という図になります。
  • 移項の際の符号ミスに注意: \(200 = Q + 300\) という式から \(Q\) を求める際に、\(Q = 200 – 300\) と正しく移項することが基本ですが、焦っているとミスしやすいポイントです。落ち着いて計算しましょう。
  • 言葉での最終確認: 計算結果 \(Q=-100\) が出たら、「マイナスは放出を意味する。大きさは100ジュール。だから、100ジュールの熱を放出した。これでOK」というように、自分の答えを言葉で再確認するプロセスを入れると、符号の解釈ミスを防げます。
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18 熱力学第1法則

【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド

【相違点に関する注記】

本解説は、模範解答で採用されている「気体がされた仕事」を用いる形式の熱力学第一法則 (\(\Delta U = Q + W\)) を主たる解説としつつ、以下の別解を提示します。

  1. 提示する別解
    • 「気体がした仕事」を用いる形式の熱力学第一法則 (\(Q = \Delta U + W’\)) を使う解法
      • 主たる解法が、外部から「された」仕事を基準にエネルギーの出入りを考えるのに対し、別解では、気体が外部へ「した」仕事を基準にエネルギー保存則を考えます。
  2. 上記の別解が有益である理由
    • 物理的意味の明確化: \(Q = \Delta U + W’\) という形式は、「加えた熱(収入)は、内部エネルギーの増加(貯金)と、外部への仕事(支出)に分配される」というエネルギーの収支モデルとして非常に直感的で理解しやすいです。
    • 混乱の回避: 問題文で「(外へ)仕事は \(400 \, \text{J}\) であった」と与えられているため、\(W’ = 400 \, \text{J}\) とそのまま代入でき、符号の変換ミスを防ぎやすいという利点があります。
    • 解法の多角化: 物理の教科書や参考書によって採用している熱力学第一法則の形式が異なる場合があるため、両方の形式に慣れておくことは非常に重要です。
  3. 結果への影響
    • どちらの形式の公式を用いても、符号の扱いに注意すれば、最終的に得られる答えは完全に一致します。

この問題のテーマは「等温変化における熱力学第一法則」です。気体のエネルギー保存則である熱力学第一法則を、等温変化という特殊な条件下で適用する問題です。各項(内部エネルギーの変化、熱、仕事)の符号の意味と、等温変化の物理的な特性を正確に理解しているかが問われます。

問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。

  1. 熱力学第一法則: 気体の内部エネルギーの変化 \(\Delta U\) は、気体が吸収した熱量 \(Q\) と、気体が外部からされた仕事 \(W\) の和に等しい (\(\Delta U = Q + W\))。
  2. 等温変化の特性: 「等温変化」とは、温度が一定のまま起こる変化です。理想気体の内部エネルギーは絶対温度にのみ依存するため、等温変化では内部エネルギーは変化しません (\(\Delta U = 0\))。
  3. 仕事の符号: 気体が外部へ仕事をする(膨張する)とき、気体が「された」仕事 \(W\) はの値をとり、気体が「した」仕事 \(W’\) はの値をります。

基本的なアプローチは以下の通りです。

  1. 「等温変化」というキーワードから、内部エネルギーの変化 \(\Delta U\) がゼロであることを確定させます。
  2. 問題文から「気体がした仕事」の値を読み取り、熱力学第一法則の公式で用いる「された仕事 \(W\)」に、符号を反転させて変換します。
  3. 熱力学第一法則の公式 \(\Delta U = Q + W\) に、数値を代入して熱量 \(Q\) を計算します。
  4. \(Q\) の符号から、気体が熱を吸収したのか(\(Q>0\))、放出したのか(\(Q<0\))を判断します。

熱の吸収・放出とその大きさ

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