「名問の森」徹底解説(7〜9問):未来の得点力へ!完全マスター講座【波動Ⅱ・電磁気・原子】

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問題7 光の干渉 (新潟大)

【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド

【相違点に関する注記】
  1. 提示する別解
    • 設問(1)の別解: 波動関数を用いた体系的解法
      • 回折格子による干渉を、多数のスリットからの球面波の重ね合わせとして捉え、波動関数の和から強度分布を導出します。
    • 設問(3)の別解: 媒質中の波長を用いた解法
      • 模範解答が光路差(\(n \times d \sin \theta\))を用いるのに対し、別解では「水中では波長が縮む(\(\lambda’ = \lambda/n\))」という視点から条件式を立て直します。
  2. 上記の別解が有益である理由
    • 波動関数の解法: 「なぜ \(d \sin \theta = m\lambda\) で強め合うのか」という根本原理を、波の干渉の数学的記述から理解できます。
    • 波長の視点: 屈折率が干渉縞に与える影響を、「距離が伸びる」と見るか「定規が縮む」と見るかの多角的な視点を提供します。
  3. 結果への影響
    • いずれのアプローチを用いても、最終的に得られる答えは模範解答と完全に一致します。

この問題のテーマは「回折格子とドップラー効果」です。
回折格子による光の干渉縞の間隔を計算し、その変化から光源(星雲)の運動速度を求めるという、天文学的な応用を含んだ総合問題です。

問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。

  • 回折格子の干渉条件: 格子定数 \(d\)、回折角 \(\theta\) のとき、強め合いの条件は \(d \sin \theta = m\lambda\) です。
  • 光のドップラー効果: 光源が速度 \(v\) で近づくとき、観測される振動数 \(f’\) は \(f’ = \frac{c}{c-v} f\) となり、波長 \(\lambda’\) は短くなります。
  • 屈折率と光路長: 屈折率 \(n\) の媒質中では、光の速さは \(c/n\) になり、波長は \(\lambda/n\) になります。

基本的なアプローチは以下の通りです。

  • (1)では、回折格子の公式と幾何学的近似を用いて、スクリーン上の明線の間隔 \(\Delta x\) を求めます。
  • (2)では、間隔の変化 \(\Delta x – \Delta x’\) から波長の変化 \(\Delta \lambda\) を求め、ドップラー効果の式を用いて星雲の速度 \(v\) を逆算します。
  • (3)では、装置全体を水で満たしたときの変化を、光路差または波長の変化として考慮し、新たな間隔を計算します。

問(1)

思考の道筋とポイント
回折格子によって光が曲げられ、スクリーン上で干渉して明るい線(明線)を作ります。
明線の位置 \(x\) を求めるために、回折角 \(\theta\) との関係式を立てます。
\(\theta\) が微小であるという近似を利用します。

この設問における重要なポイント

  • 格子定数 \(d\): 1cmあたり400本なので、\(d = \frac{1}{400}\,\text{cm}\) です。
  • 回折格子の公式: \(d \sin \theta = m\lambda\)。
  • 幾何学的関係: スクリーン上の位置 \(x\) と焦点距離 \(F\) の関係は \(x = F \tan \theta\) です。
  • 微小角近似: \(\theta \ll 1\) のとき、\(\sin \theta \approx \tan \theta \approx \theta\)。

具体的な解説と立式
まず、格子定数 \(d\) を求めます。
$$
\begin{aligned}
d &= \frac{1\,\text{cm}}{400}
\end{aligned}
$$
回折格子による強め合いの条件式(回折角 \(\theta\))は以下の通りです。
$$
\begin{aligned}
d \sin \theta &= m\lambda \quad (m=0, 1, 2, \dots)
\end{aligned}
$$
スクリーン上の明線の位置 \(x_m\) は、レンズの中心を通る光線が直進することから、幾何学的に次のように表せます。
$$
\begin{aligned}
x_m &= F \tan \theta
\end{aligned}
$$
回折角 \(\theta\) は微小なので、\(\sin \theta \approx \tan \theta\) の近似が成り立ちます。
これより、条件式は次のように変形できます。
$$
\begin{aligned}
d \frac{x_m}{F} &\approx m\lambda \\[2.0ex]
x_m &= \frac{F\lambda}{d} m
\end{aligned}
$$
隣り合う明線の間隔 \(\Delta x\) は、\(m\) が1増えたときの \(x\) の増加分です。
$$
\begin{aligned}
\Delta x &= x_{m+1} – x_m \\[2.0ex]
&= \frac{F\lambda}{d} (m+1) – \frac{F\lambda}{d} m \\[2.0ex]
&= \frac{F\lambda}{d}
\end{aligned}
$$

使用した物理公式

  • 回折格子の公式: \(d \sin \theta = m\lambda\)
  • 近似式: \(\sin \theta \approx \tan \theta\)
計算過程

数値を代入します。単位を \(\text{cm}\) に統一します。
\(F = 100\,\text{cm}\)
\(\lambda = 656\,\text{nm} = 656 \times 10^{-9}\,\text{m} = 656 \times 10^{-7}\,\text{cm}\)
\(d = \frac{1}{400}\,\text{cm}\)
$$
\begin{aligned}
\Delta x &= \frac{100 \times 656 \times 10^{-7}}{1/400} \\[2.0ex]
&= 100 \times 656 \times 10^{-7} \times 400 \\[2.0ex]
&= 4 \times 656 \times 10^{-3} \\[2.0ex]
&= 2624 \times 10^{-3} \\[2.0ex]
&= 2.624\,\text{cm}
\end{aligned}
$$
有効数字2桁で答えます。
$$
\begin{aligned}
\Delta x &\approx 2.6\,\text{cm}
\end{aligned}
$$

この設問の平易な説明

回折格子を通った光は、特定の角度に曲げられます。その角度は光の波長で決まります。
曲げられた光はレンズを通ってスクリーンに集まり、縞模様を作ります。
「どれくらい曲がるか(角度)」と「スクリーンまでの距離」から、縞模様の間隔を計算しました。

結論と吟味

\(\Delta x = 2.6\,\text{cm}\)。
1m先のスクリーンで数cmの間隔というのは、実験室レベルで観測しやすい妥当な値です。

解答 (1) \(2.6\,\text{cm}\)
別解: 波動関数を用いた体系的解法

思考の道筋とポイント
回折格子を多数のスリットの集合と考え、各スリットからの光の位相差を考慮して重ね合わせます。

この設問における重要なポイント

  • 位相差: 隣り合うスリット(間隔 \(d\))からの光の経路差は \(d \sin \theta\) なので、位相差は \(\delta = k d \sin \theta\) です。

具体的な解説と立式
スリットの数を \(N\) とし、第 \(j\) 番目のスリットからの光を \(E_j = E_0 e^{i(\omega t – j\delta)}\) と表します(複素表示)。
全振幅 \(E\) は等比数列の和となります。
$$
\begin{aligned}
E &= \sum_{j=0}^{N-1} E_0 e^{i(\omega t – j\delta)} \\[2.0ex]
&= E_0 e^{i\omega t} \frac{1 – e^{-iN\delta}}{1 – e^{-i\delta}}
\end{aligned}
$$
強度 \(I \propto |E|^2\) は、\(\frac{\sin^2(N\delta/2)}{\sin^2(\delta/2)}\) に比例します。
これが極大になるのは、分母が0になるとき、つまり \(\delta/2 = m\pi\) のときです。
$$
\begin{aligned}
\frac{\delta}{2} &= m\pi \\[2.0ex]
\frac{k d \sin \theta}{2} &= m\pi \\[2.0ex]
\frac{2\pi}{\lambda} \frac{d \sin \theta}{2} &= m\pi \\[2.0ex]
d \sin \theta &= m\lambda
\end{aligned}
$$
これにより、回折格子の公式が導かれました。
以降の計算はメイン解法と同じです。
$$
\begin{aligned}
\Delta x &= \frac{F\lambda}{d}
\end{aligned}
$$

使用した物理公式

  • 波動関数の合成
計算過程

(メイン解法と同様のため省略)

この設問の平易な説明

たくさんの隙間から出る波を全部足し合わせました。
波のタイミング(位相)がぴったり揃う方向だけで、波が強め合って明るくなることが数式からわかります。

結論と吟味

メイン解法と同じ結果が得られます。

解答 (1) \(2.6\,\text{cm}\)

問(2)

思考の道筋とポイント
星雲からの光の干渉縞の間隔が変化しました。これはドップラー効果によって波長が変化したためです。
間隔が小さくなった \(\to\) 波長が短くなった \(\to\) 星雲は近づいている、と推論します。

この設問における重要なポイント

  • 間隔と波長の関係: \(\Delta x = \frac{F\lambda}{d}\) より、\(\Delta x \propto \lambda\) です。
  • ドップラー効果: 光源が近づくとき波長は短くなり(青方偏移)、遠ざかるとき長くなります(赤方偏移)。
  • ドップラーシフトの式: 波長の変化分 \(\Delta \lambda\) と速度 \(v\) の関係は \(\frac{|\Delta \lambda|}{\lambda} = \frac{v}{c}\) です(\(v \ll c\) の近似)。

具体的な解説と立式
まず、星雲の運動方向を判定します。
問題文より、間隔が \(0.011\,\text{cm}\) 小さくなりました。
\(\Delta x\) が小さくなったということは、波長 \(\lambda\) が短くなったことを意味します。
波長が短くなるのは、光源が観測者に**近づいている**ときです。

次に、星雲の速さ \(v\) を求めます。
間隔の変化分を \(\delta x\) とすると、波長の変化分 \(\delta \lambda\) との間には以下の関係があります。
$$
\begin{aligned}
\delta x &= \frac{F}{d} \delta \lambda
\end{aligned}
$$
ドップラー効果の公式(波長形式)より、
$$
\begin{aligned}
\frac{\delta \lambda}{\lambda} &= \frac{v}{c}
\end{aligned}
$$
これらより、
$$
\begin{aligned}
\delta \lambda &= \lambda \frac{v}{c}
\end{aligned}
$$
これを \(\delta x\) の式に代入します。
$$
\begin{aligned}
\delta x &= \frac{F}{d} \left( \lambda \frac{v}{c} \right) \\[2.0ex]
&= \left( \frac{F\lambda}{d} \right) \frac{v}{c} \\[2.0ex]
&= \Delta x \frac{v}{c}
\end{aligned}
$$
よって、
$$
\begin{aligned}
v &= c \frac{\delta x}{\Delta x}
\end{aligned}
$$

使用した物理公式

  • ドップラー効果: \(\frac{\Delta \lambda}{\lambda} = \frac{v}{c}\)
計算過程

数値を代入します。
\(c = 3.0 \times 10^8\,\text{m/s}\)
\(\delta x = 0.011\,\text{cm}\)
\(\Delta x = 2.624\,\text{cm}\) ((1)の計算途中の値を使用するのが望ましいですが、有効数字を考慮して \(2.6\) でも可。ここでは精度のため \(2.624\) を使います)
$$
\begin{aligned}
v &= 3.0 \times 10^8 \times \frac{0.011}{2.624} \\[2.0ex]
&= 3.0 \times 10^8 \times 0.00419… \\[2.0ex]
&\approx 1.257 \times 10^6\,\text{m/s}
\end{aligned}
$$
有効数字2桁で答えます。
$$
\begin{aligned}
v &\approx 1.3 \times 10^6\,\text{m/s}
\end{aligned}
$$

この設問の平易な説明

星雲が動いているせいで、光の波長が伸び縮みし、その結果として縞模様の間隔が変わりました。
間隔が狭くなったということは、波長が縮んだ、つまり星雲がこちらに向かってきているということです。
間隔の変化率(何%変わったか)は、光の速さに対する星雲の速さの比率と同じなので、そこから速さを計算しました。

結論と吟味

近づいている。速さは \(1.3 \times 10^6\,\text{m/s}\)。
光速の約0.4%という猛スピードですが、天体現象としてはあり得る値です。

解答 (2) 近づいている,\(1.3 \times 10^6\,\text{m/s}\)

問(3)

思考の道筋とポイント
装置全体を水(屈折率 \(n=1.33\))で満たしました。
光路差が変化するため、干渉条件が変わります。

この設問における重要なポイント

  • 光路差: 水中では幾何学的な距離 \(L\) に対して、光路長は \(nL\) になります。
  • 干渉条件の変化: 経路差 \(d \sin \theta\) が光路差 \(n d \sin \theta\) に変わります。

具体的な解説と立式
水中での回折格子の干渉条件を考えます。
隣り合うスリットからの光の幾何学的経路差は \(d \sin \theta\) です。
水中なので、光路差(光学距離差)は \(n\) 倍になります。
$$
\begin{aligned}
\text{光路差} &= n d \sin \theta
\end{aligned}
$$
強め合いの条件は、光路差が真空中の波長 \(\lambda\) の整数倍になることです。
$$
\begin{aligned}
n d \sin \theta &= m\lambda
\end{aligned}
$$
微小角近似 \(\sin \theta \approx \tan \theta = x/F\) を用います。
$$
\begin{aligned}
n d \frac{x}{F} &= m\lambda \\[2.0ex]
x &= \frac{F\lambda}{nd} m
\end{aligned}
$$
隣り合う明線の間隔 \(\Delta x’\) は以下のようになります。
$$
\begin{aligned}
\Delta x’ &= \frac{F\lambda}{nd} \\[2.0ex]
&= \frac{1}{n} \left( \frac{F\lambda}{d} \right) \\[2.0ex]
&= \frac{1}{n} \Delta x
\end{aligned}
$$
つまり、間隔は空気中の \(1/n\) 倍になります。

使用した物理公式

  • 光路長: \(L_{\text{opt}} = nL\)
計算過程

(1)の結果 \(\Delta x = 2.624\,\text{cm}\) と \(n = 1.33\) を代入します。
$$
\begin{aligned}
\Delta x’ &= \frac{2.624}{1.33} \\[2.0ex]
&\approx 1.972…\,\text{cm}
\end{aligned}
$$
有効数字2桁で答えます。
$$
\begin{aligned}
\Delta x’ &\approx 2.0\,\text{cm}
\end{aligned}
$$

この設問の平易な説明

水の中では光の進み方が遅くなるため、同じ距離でも「光にとっての距離(光路長)」は長くなります。
そのため、条件を満たす角度が小さくなり、縞模様の間隔は狭くなります。
計算すると、ちょうど屈折率分の1に縮むことがわかります。

結論と吟味

\(\Delta x’ = 2.0\,\text{cm}\)。
屈折率 \(1.33 \approx 4/3\) なので、間隔は元の \(3/4\) 倍程度になるはずです。\(2.6 \times 0.75 \approx 1.95\) なので妥当です。

解答 (3) \(2.0\,\text{cm}\)
別解: 媒質中の波長を用いた解法

思考の道筋とポイント
「光路差が \(n\) 倍になる」と考える代わりに、「波長が \(1/n\) 倍になる」と考えます。
物理的には等価なアプローチです。

この設問における重要なポイント

  • 媒質中の波長: 屈折率 \(n\) の媒質中では、波長は \(\lambda’ = \lambda/n\) になります。

具体的な解説と立式
水中での波長を \(\lambda’\) とします。
$$
\begin{aligned}
\lambda’ &= \frac{\lambda}{n}
\end{aligned}
$$
幾何学的な経路差 \(d \sin \theta\) が、この「縮んだ波長 \(\lambda’\)」の整数倍になれば強め合います。
$$
\begin{aligned}
d \sin \theta &= m\lambda’
\end{aligned}
$$
近似 \(\sin \theta \approx x/F\) を用います。
$$
\begin{aligned}
d \frac{x}{F} &= m \frac{\lambda}{n} \\[2.0ex]
x &= \frac{F\lambda}{nd} m
\end{aligned}
$$
間隔 \(\Delta x’\) は、
$$
\begin{aligned}
\Delta x’ &= \frac{F\lambda}{nd}
\end{aligned}
$$

使用した物理公式

  • 媒質中の波長: \(\lambda’ = \lambda/n\)
計算過程

メイン解法と全く同じ式が得られました。
$$
\begin{aligned}
\Delta x’ &= \frac{1}{n} \Delta x \\[2.0ex]
&\approx 2.0\,\text{cm}
\end{aligned}
$$

この設問の平易な説明

水の中では、光の波長(定規の目盛り)が縮んで細かくなります。
そのため、同じ「波長1個分のズレ」を作るのに必要な角度が小さくて済みます。
結果として、縞模様全体がキュッと縮まります。

結論と吟味

メイン解法と同じ結果が得られます。

解答 (3) \(2.0\,\text{cm}\)

【総まとめ】この一問を未来の得点力へ!完全マスター講座

最重要ポイント:この問題の核心となる物理法則は?

  • 回折格子の干渉条件
    • 核心: 隣り合うスリットからの光の経路差 \(d \sin \theta\) が波長 \(\lambda\) の整数倍になるとき、全ての波が同位相で重なり合い、鋭い明線が生じます。
    • 理解のポイント:
      • 公式: \(d \sin \theta = m\lambda\)。
      • 近似: \(\theta \ll 1\) のとき、\(\sin \theta \approx \tan \theta = x/F\) を用いて、\(x = \frac{m\lambda F}{d}\) と変形できます。
  • 光のドップラー効果
    • 核心: 光源と観測者の相対運動により、観測される光の波長(および振動数)が変化します。
    • 理解のポイント:
      • 近づくとき: 波長は短くなる(青方偏移)。\(\Delta \lambda < 0\)。
      • 遠ざかるとき: 波長は長くなる(赤方偏移)。\(\Delta \lambda > 0\)。
      • 変化率: 波長の変化率 \(\Delta \lambda / \lambda\) は、光速に対する相対速度の比 \(v/c\) に等しい。

応用テクニック:似た問題が出たらココを見る!解法の鍵と着眼点

  • 応用できる類似問題のパターン:
    • ヤングの実験: スリットが2つだけの場合。公式は \(d \sin \theta = m\lambda\) で同じですが、明線はなだらかな山になります。
    • 単スリット回折: スリット幅 \(a\) 自身による干渉。条件式が \(a \sin \theta = m\lambda\) で暗線の条件になる点に注意が必要です。
    • 宇宙膨張(ハッブルの法則): 遠くの銀河ほど速く遠ざかっているため、スペクトル線が赤方偏移します。本問のドップラー効果の応用です。
  • 初見の問題での着眼点:
    1. 幾何学的配置の確認: \(d\)(スリット間隔)、\(F\)(スクリーンまでの距離)、\(x\)(縞の位置)の関係を図に描いて整理します。
    2. 近似の可否: 角度 \(\theta\) が小さいか確認し、\(\sin \theta \approx \tan \theta\) が使えるか判断します。
    3. 変化の因果関係: 「縞間隔が変わった」\(\to\)「波長が変わった」\(\to\)「光源が動いている」という論理の鎖を逆にたどります。

要注意!ありがちなミス・誤解とその対策

  • 単位の不統一:
    • 誤解: \(d\) は cm、\(\lambda\) は nm、\(F\) は m など、単位がバラバラのまま計算してしまう。
    • 対策: 計算前に必ず全ての長さをメートル(m)またはセンチメートル(cm)に統一する。特に nm(\(10^{-9}\) m)の換算に注意。
  • ドップラーシフトの符号:
    • 誤解: 「近づく=プラス」と思い込み、波長の変化式で符号を間違える。
    • 対策: 「近づく \(\to\) 押されて縮む \(\to\) 波長短くなる」という物理的イメージを持ち、計算結果の符号が直感と合うか確認する。

なぜその公式?論理的な公式選択と適用の思考法

  • 媒質中の波長(別解):
    • 選定理由: 「光路差 \(nL\)」で考えるよりも、「波長 \(\lambda/n\)」で考えた方が、式の形を変えずに変数だけ置き換えれば済むため、計算ミスが減る。
    • 適用根拠: 屈折率 \(n\) の媒質中では、光速が \(1/n\) になり、振動数は不変であるため、必然的に波長が \(1/n\) になる。
  • 波動関数による解法(別解):
    • 選定理由: 回折格子の鋭いピーク(明線)が、多数の波の干渉によってどのように形成されるか、その強度分布まで含めて厳密に理解するため。
    • 適用根拠: 光の干渉は線形な重ね合わせの原理に従うため。

計算ミスをなくす!日頃の意識と実践テクニック

  • 変化率(比)の利用:
    • 意識: \(v = c \frac{\Delta \lambda}{\lambda}\) の計算で、\(\lambda\) や \(c\) の巨大な数値をまともに計算すると大変。
    • 実践: \(\frac{\Delta \lambda}{\lambda} = \frac{\Delta x}{x}\) の関係を使い、測定値の比率(\(0.011 / 2.6\))を先に計算してから \(c\) を掛ける。
  • 有効数字の処理:
    • 意識: 途中の計算で丸めすぎると、最後の答えがずれる。
    • 実践: 途中計算では有効数字+1桁(3桁)で計算し、最後に2桁に丸める。例えば \(2.624\) は \(2.62\) として計算する。
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問題8 光の干渉 (東京理科大)

【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド

【相違点に関する注記】
  1. 提示する別解
    • 設問(1)の別解1: 変化量に着目した解法(模範解答の別解)
      • 光路差の絶対値ではなく、移動による「変化分」と「半波長ごとの周期性」に着目して回数を数える直感的な解法です。
    • 設問(1)の別解2: 波動関数と位相差を用いた体系的解法(微積分アプローチ)
      • 光を正弦波(波動関数)として定義し、重ね合わせの原理と三角関数の加法定理を用いて合成波の振幅を導出します。これにより、干渉条件(強め合い・弱め合い)が位相差によって決まることを数学的に示し、問(1)〜(3)の現象を一括して説明します。
    • 設問(4)の別解: 光路差の変化分に着目した解法(模範解答の別解)
      • 膜を挿入する前後の光路差の「差」のみを計算し、それが波長の整数倍になる条件を利用します。
  2. 上記の別解が有益である理由
    • 変化量に着目した解法: 計算量が少なく、物理現象の周期性を直感的に捉える訓練になります。
    • 微積分アプローチ: 「光路差 \(=\) 波長の整数倍」という公式を暗記するのではなく、波動の基本原理から干渉現象を導出することで、応用問題(位相のずれや強度の変化など)に対応できる深い理解を養います。
  3. 結果への影響
    • いずれのアプローチを用いても、最終的に得られる答えは模範解答と完全に一致します。

この問題のテーマは「マイケルソン干渉計を用いた光の干渉」です。光をハーフミラー(半透鏡)で2つの経路に分割し、再び合成することで干渉縞を観測します。

問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。

  1. 光路長(光学距離): 屈折率 \(n\) の媒質中を距離 \(L\) 進むとき、光路長は \(nL\) となります。真空中の距離に換算したものです。
  2. 反射による位相のずれ: 屈折率の小さい媒質から大きい媒質への反射(固定端反射相当)では位相が \(\pi\)(波長換算で \(\lambda/2\))ずれ、逆の場合(自由端反射相当)ではずれません。
  3. 干渉条件: 2つの光の光路差が波長の整数倍なら強め合い、半整数倍なら弱め合います(反射による位相のずれが同条件の場合)。

基本的なアプローチは以下の通りです。

  1. (1)〜(3)では、鏡 \(M_1\) の移動による幾何学的な距離の変化が、光路差にどう影響するかを考えます。
  2. (4)では、透明な膜を挿入したことによる光路長の変化(空気部分が膜に置き換わることによる増加)を計算します。

問(1)

ここから先が、他の受験生と差がつく重要パートです。

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