「名問の森」徹底解説(49〜51問):未来の得点力へ!完全マスター講座【波動Ⅱ・電磁気・原子】

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問題49 (東京大+甲南大+電通大)

【問題の確認】まずは問題文をしっかり読み解こう

この問題は、交流回路の性質と、オシロスコープの表示原理(リサージュ図形)を組み合わせた、思考力を要する応用問題です。目に見えない電圧や電流の「大きさ(振幅)」と「タイミング(位相)」の関係が、画面上の図形の「大きさ」と「形」にどのように現れるのかを考察します。

与えられた条件
  • 回路(図1): 交流電源に抵抗RとコイルLが直列に接続されている。
  • オシロスコープ(図2):
    • X-X’間の電圧 \(V_{XX’}\) が輝点のx座標に、Y-Y’間の電圧 \(V_{YY’}\) がy座標に比例する。
    • 比例定数はx, yで共通。
  • 前提条件1: Rの電圧をX-X’にかけると、x軸上の振幅が \(a\) の直線が光る (\(-a \le x \le a\))。
    • 解釈: 抵抗Rにかかる電圧の最大値 \(V_{R0}\) は、振幅 \(a\) に対応する。
  • 前提条件2: 電源電圧をX-X’にかけると、x軸上の振幅が \(2a\) の直線が光る (\(-2a \le x \le 2a\))。
    • 解釈: 電源電圧の最大値 \(V_{電源0}\) は、振幅 \(2a\) に対応する。
問われていること
  • (1) コイルLの電圧をかけた場合に光る部分。
  • (2) Lを抵抗R'(\(=2R\))に替え、Rの電圧をx、R’の電圧をyにかけた場合の軌跡。
  • (3) 元のRL回路で、Rの電圧をx、Lの電圧をyにかけた場合の軌跡。
  • (4) 図1の回路で周波数を変えて円を描かせたときの、周波数の倍率と円の半径。
  • (コラムQ) xにのこぎり波電圧、yに交流電圧をかけた場合の図形。

【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド

この問題を解く鍵は、冒頭の前提条件から「電源電圧の最大値は、抵抗Rにかかる電圧の最大値の2倍である (\(V_{電源0} = 2V_{R0}\))」という関係を導き出し、これを基に電圧ベクトル図やリサージュ図形の考え方を適用していくことです。

問 (1)

思考の道筋とポイント
この設問では、X-X’間にコイルLの電圧 \(V_L\) をかけます。したがって、輝点が描く直線の長さ(振幅)は、\(V_L\) の最大値 \(V_{L0}\) に比例します。\(V_{L0}\) を求めるために、前提条件で導いた \(V_{電源0} = 2V_{R0}\) と、RL直列回路における電圧の関係(電圧ベクトル図)を利用します。

具体的な解説と立式
RL直列回路では、抵抗の電圧 \(V_R\) とコイルの電圧 \(V_L\) の位相が \(\pi/2\) ずれているため、それぞれの最大値 \(V_{R0}\), \(V_{L0}\) と電源電圧の最大値 \(V_{電源0}\) との間には、三平方の定理が成り立ちます。
$$V_{電源0}^2 = V_{R0}^2 + V_{L0}^2 \quad \cdots ①$$
ここに、前提条件から得られた関係式 \(V_{電源0} = 2V_{R0}\) を用います。

使用した物理公式

  • RL直列回路における電圧の関係(電圧ベクトル図): \(V_{電源0}^2 = V_{R0}^2 + V_{L0}^2\)
計算過程

式①に \(V_{電源0} = 2V_{R0}\) を代入します。
$$(2V_{R0})^2 = V_{R0}^2 + V_{L0}^2$$
$$4V_{R0}^2 = V_{R0}^2 + V_{L0}^2$$
\(V_{L0}^2\) について整理します。
$$V_{L0}^2 = 3V_{R0}^2$$
$$V_{L0} = \sqrt{3} V_{R0}$$
前提条件より、電圧 \(V_{R0}\) がx方向の振幅 \(a\) に対応していました。コイルの電圧 \(V_{L0}\) はその \(\sqrt{3}\) 倍なので、対応するx方向の振幅も \(\sqrt{3}a\) となります。

結論と吟味

コイルにかかる電圧の振幅は、抵抗にかかる電圧の \(\sqrt{3}\) 倍でした。したがって、蛍光面ではx軸上の \(-\sqrt{3}a \le x \le \sqrt{3}a\) の範囲が光ります。

解答 (1) x軸上の直線部分 \(-\sqrt{3}a \le x \le \sqrt{3}a\) が光る。

問 (2)

思考の道筋とポイント
コイルLを抵抗R'(\(=2R\))に取り替えた場合、回路は抵抗Rと抵抗R’の単純な直列回路になります。x座標は\(V_R\)に、y座標は\(V_{R’}\)に比例します。電源電圧が2つの抵抗に分圧されることを利用してxとyの振幅を求めます。抵抗同士の電圧は同位相なので、軌跡は直線になります。

具体的な解説と立式
回路は抵抗RとR'(\(=2R\))の直列接続なので、電源電圧 \(V_{電源}\) は抵抗値の比 \(R:R’ = 1:2\) に応じて分圧されます。
x座標の振幅を \(A_x\)、y座標の振幅を \(A_y\) とすると、これらは各抵抗にかかる電圧の最大値に比例します。
$$V_{R0}’ = V_{電源0} \times \frac{R}{R+R’} \quad \cdots ②$$
$$V_{R’0} = V_{電源0} \times \frac{R’}{R+R’} \quad \cdots ③$$
x, yの電圧は同位相なので、時刻\(t\)の関数として、\(x(t) = A_x \sin(\omega t)\), \(y(t) = A_y \sin(\omega t)\) と書け、これから軌跡の方程式を求めます。

使用した物理公式

  • 抵抗の直列接続における分圧
計算過程

電圧 \(V_{R0}\) が振幅 \(a\) に、\(V_{電源0}\) が振幅 \(2a\) に対応することを使います。比例定数を\(k\)とします。
xの振幅 \(A_x\) は電圧 \(V_{R0}’\) に、yの振幅 \(A_y\) は電圧 \(V_{R’0}\) に比例します。
$$A_x = k V_{R0}’ = k \left(V_{電源0} \frac{R}{R+2R}\right) = k \left(\frac{1}{3}V_{電源0}\right) = \frac{1}{3} (k V_{電源0}) = \frac{1}{3} (2a) = \frac{2}{3}a$$
$$A_y = k V_{R’0} = k \left(V_{電源0} \frac{2R}{R+2R}\right) = k \left(\frac{2}{3}V_{電源0}\right) = \frac{2}{3} (k V_{電源0}) = \frac{2}{3} (2a) = \frac{4}{3}a$$
\(x(t) = \frac{2}{3}a \sin(\omega t)\) と \(y(t) = \frac{4}{3}a \sin(\omega t)\) から、\(\sin(\omega t)\) を消去すると、
$$y = 2x$$
この直線が描かれるxの範囲は、振幅 \(A_x\) から \(-\frac{2}{3}a \le x \le \frac{2}{3}a\) です。

解答 (2) 傾き2で原点を通る直線。ただし \(-\frac{2}{3}a \le x \le \frac{2}{3}a\) の範囲。

問 (3)

思考の道筋とポイント
元のRL直列回路に戻します。x座標は抵抗の電圧 \(V_R\) に、y座標はコイルの電圧 \(V_L\) に比例します。xの振幅は \(a\)、yの振幅は \(\sqrt{3}a\) であり、コイルの電圧 \(V_L\) は抵抗の電圧 \(V_R\) に対して位相が \(\pi/2\) 進みます。振幅が異なり、位相が \(\pi/2\) ずれた2つの単振動を合成すると、軌跡は楕円になります。

具体的な解説と立式
x, y座標の振幅はそれぞれ \(A_x = a\), \(A_y = \sqrt{3}a\) です。
位相差を考慮して、時刻 \(t\) の関数としてx, yを表します。
$$x(t) = a \sin(\omega t)$$
$$y(t) = \sqrt{3}a \sin(\omega t + \frac{\pi}{2}) = \sqrt{3}a \cos(\omega t)$$
この2つの式から媒介変数 \(t\) を消去するために、三角関数の公式 \(\sin^2(\omega t) + \cos^2(\omega t) = 1\) を利用します。

使用した物理公式

  • RL直列回路における電圧の位相差
  • 三角関数の公式: \(\sin^2\theta + \cos^2\theta = 1\)
計算過程

\(x(t)\), \(y(t)\) の式を、それぞれ \(\sin(\omega t)\) と \(\cos(\omega t)\) について解きます。
$$\sin(\omega t) = \frac{x}{a}$$
$$\cos(\omega t) = \frac{y}{\sqrt{3}a}$$
これらを \(\sin^2(\omega t) + \cos^2(\omega t) = 1\) に代入します。
$$\left(\frac{x}{a}\right)^2 + \left(\frac{y}{\sqrt{3}a}\right)^2 = 1$$
$$\frac{x^2}{a^2} + \frac{y^2}{3a^2} = 1$$

解答 (3) 楕円 \(\displaystyle\frac{x^2}{a^2} + \frac{y^2}{3a^2} = 1\) が現れる。

問 (4)

思考の道筋とポイント
蛍光面に「円」が描かれる条件は、x方向とy方向の振動の振幅が等しく、かつ位相差が \(\pi/2\) であることです。この回路では位相差は常に \(\pi/2\) なので、振幅が等しくなる条件、つまり \(V_{R0} = V_{L0}\) を満たすように周波数を調整すればよいことになります。

具体的な解説と立式
円が現れる条件は、\(V_{R0} = V_{L0}\) です。リアクタンスの式を代入すると、
$$RI_0 = (\omega’L)I_0 \quad \rightarrow \quad R = \omega’L \quad \cdots ④$$
一方、元の周波数 \(\omega\) での関係は、問(1)の結果 \(V_{L0}=\sqrt{3}V_{R0}\) より、
$$(\omega L)I_0 = \sqrt{3}(RI_0) \quad \rightarrow \quad \omega L = \sqrt{3} R \quad \cdots ⑤$$
式④と⑤を比較することで、周波数の変化率を求めます。
円の半径を求めるには、\(V_{R0} = V_{L0}\) のときの電圧ベクトル図を考えます。
$$V_{電源0}^2 = V_{R0}^2 + V_{L0}^2 = 2V_{R0}^2 \quad \rightarrow \quad V_{電源0} = \sqrt{2}V_{R0} \quad \cdots ⑥$$
この関係と、前提条件の比例関係を使って半径を求めます。

使用した物理公式

  • リアクタンス: \(X_R=R, X_L=\omega L\)
  • 電圧ベクトル図
計算過程

周波数の変化:
式④を式⑤で割ります。
$$\frac{\omega’L}{\omega L} = \frac{R}{\sqrt{3}R} \quad \rightarrow \quad \frac{\omega’}{\omega} = \frac{1}{\sqrt{3}}$$
周波数は角周波数に比例するので、周波数も \(\frac{1}{\sqrt{3}}\) 倍になります。

円の半径:
比例定数を\(k\)とすると、前提条件より \(k V_{電源0} = 2a\)。求める半径は \(a_{円} = k V_{R0}\) です。
式⑥ \(V_{電源0} = \sqrt{2}V_{R0}\) の両辺に \(k\) を乗じます。
$$k V_{電源0} = \sqrt{2} (k V_{R0})$$
$$2a = \sqrt{2} a_{円}$$
$$a_{円} = \frac{2a}{\sqrt{2}} = \sqrt{2}a$$

解答 (4) 周波数を \(\displaystyle\frac{1}{\sqrt{3}}\) 倍にした。円の半径は \(\sqrt{2}a\)。

【コラム】Q. xにのこぎり波電圧、yに交流電圧をかけた場合の図形は?

思考の道筋とポイント
これは、オシロスコープがどのようにして電圧の「波形」を表示するのか、という基本原理そのものを問う問題です。x方向とy方向の輝点の動きを別々に考え、それを合成します。

  • x方向の動き(水平掃引): のこぎり波電圧は、電圧が時間に比例して一定の速さで増加し、瞬時にゼロに戻ることを繰り返します。これにより、輝点は画面の左から右へ一定の速さで移動(掃引)し、右端に着くと瞬時に左端に戻ります。x軸が「時間軸」の役割を果たします。
  • y方向の動き(垂直偏向): 周期Tの交流電圧(正弦波)がかかるので、輝点は上下に単振動します。y軸が「電圧軸」の役割を果たします。

この2つの動きを合成することで、y方向の電圧の時間変化、つまり交流電圧の波形が画面上に描かれます。

具体的な解説と立式
x方向ののこぎり波電圧とy方向の交流電圧の周期が同じTである点に注目します。
のこぎり波の1周期(\(0 \le t \le T\))において、x方向の電圧は時間に比例するので、輝点のx座標も時間に比例します。比例定数を\(c_1\)として、
$$x(t) = c_1 t$$
y方向の電圧は正弦波なので、輝点のy座標も同様に変化します。振幅を\(A_y\)として、
$$y(t) = A_y \sin(\omega t + \delta) = A_y \sin\left(\frac{2\pi}{T}t + \delta\right)$$
これらの式から、yをxの関数として表すことで、軌跡の形を調べます。

使用した物理公式

  • オシロスコープの原理(変位は電圧に比例)
  • 単振動の変位の式
計算過程

\(x(t) = c_1 t\) より、\(t = x/c_1\) です。これを \(y(t)\) の式に代入します。
$$y(x) = A_y \sin\left(\frac{2\pi}{T}\frac{x}{c_1} + \delta\right)$$
これは、横軸をx、縦軸をyとすると、正弦波のグラフそのものを表しています。\(t=T\) で輝点はx軸の右端に達し、次の瞬間に左端に戻って再び同じ波形を描き始めます。この繰り返しにより、静止した波形として観測されます。

結論と吟味

のこぎり波による水平掃引と、観測したい交流電圧による垂直偏向を組み合わせることで、電圧の時間変化のグラフ(波形)を視覚的に表示することができます。これはオシロスコープの最も基本的な機能です。

Qの解答 交流電圧の1周期分の時間変化を表す波形が現れる。

【総まとめ】この一問を未来の得点力へ!完全マスター講座

最重要ポイント:この問題の核心となる物理法則は?

  • RLC直列回路の電圧ベクトル図: 電源電圧と各素子の電圧の最大値(振幅)の関係は、位相を考慮したベクトル(フェーザ)の和で考えます。特にRL回路やRC回路では、三平方の定理がそのまま適用でき、電圧の大きさを求める強力なツールとなります。
  • リサージュ図形の原理: 互いに垂直な2方向の単振動を合成すると、その振幅比と位相差によって、直線、楕円、円といった様々な図形(リサージュ図形)が描かれます。この問題は、オシロスコープという具体的な装置を通して、この原理を理解しているかを問うています。

応用テクニック:似た問題が出たらココを見る!解法の鍵と着眼点

  • 前提条件の数式化: 問題文の冒頭に書かれている定性的な記述や実験結果を、まず数式(この問題では \(V_{電源0} = 2V_{R0}\))に翻訳することが、問題を解く上での第一歩であり、最も重要な作業です。
  • 媒介変数表示された軌跡の処理: 問(2)や(3)のように、xとyが共に時刻tの関数として与えられている場合、三角関数の性質などを利用してtを消去し、xとyの直接の関係式(軌跡の方程式)を導く数学的スキルが役立ちます。
  • 未知の素子の決定: 交流回路の位相差の情報と、直流回路の過渡現象の情報を組み合わせることで、ブラックボックスの素子を特定する論理的な推理が求められます。

要注意!ありがちなミス・誤解とその対策

  • 振幅と位相差の混同:
    • 現象: リサージュ図形の問題で、振幅の関係だけを見て軌跡を判断し、位相差の考慮を忘れてしまう。
    • 対策: 「形は位相差、大きさは振幅」と覚え、必ず両方の要素を確認する習慣をつける。特にRL回路やRC回路では、位相差が\(\pi/2\)であることを常に意識する。
  • 電圧と抵抗の混同:
    • 現象: 電圧ベクトル図を描く際に、ベクトルの長さを抵抗値やリアクタンスそのものだと勘違いしてしまう。
    • 対策: ベクトル図はあくまで「電圧」の大きさと位相の関係を示した図であることを明確に意識する。インピーダンス図と混同しないように注意する。

物理の眼を養う:現象のイメージ化と図解の極意

  • 電圧ベクトル図の活用: RL直列回路の電圧関係を考える際、右向きに\(V_{R0}\)のベクトル、上向きに\(V_{L0}\)のベクトルを描き、その合成ベクトルが\(V_{電源0}\)になる、という直角三角形をイメージすることが極めて有効です。この図一つで、電圧の大きさの関係(三平方の定理)と位相の関係が一目瞭然になります。
  • リサージュ図形の生成イメージ: x方向とy方向にそれぞれ振動するペン先を想像し、そのペンが紙の上を動く軌跡をイメージすると、リサージュ図形がどのように描かれるか直感的に理解できます。xとyの振動の「タイミング」がずれる(位相差がある)と、軌跡が円や楕円のように膨らむ様子を想像してみましょう。

なぜその公式?論理的な公式選択と適用の思考法

  • 電圧ベクトル図 (\(V_{電源0}^2 = V_{R0}^2 + V_{L0}^2\)):
    • 選定理由: RL直列回路で、各部品の電圧の最大値(大きさ)の関係を知りたいから。位相差があるので単純な足し算はできず、ベクトルの和(三平方の定理)で考える必要がある。
    • 適用根拠: 電流を基準ベクトルとしたとき、\(V_R\)は同相、\(V_L\)は\(\pi/2\)進む。この直交するベクトルの合成として\(V_{電源}\)を求めるため。
  • リアクタンスの式 (\(V_{L0} = \omega L I_0\)):
    • 選定理由: コイルにかかる電圧の大きさを、電流の大きさと回路の特性(\(\omega\), \(L\))から計算するため。
    • 適用根拠: ファラデーの電磁誘導の法則 \(V = -L\frac{dI}{dt}\) を、\(I = I_0 \sin(\omega t)\) という正弦波交流に適用した結果。
  • 媒介変数表示 (\(x(t)\), \(y(t)\)):
    • 選定理由: 2つの独立した方向の運動(振動)を合成した結果、どのような図形が描かれるかを調べるため。
    • 適用根拠: オシロスコープのx偏向とy偏向が独立しており、共通の時間 \(t\) で連動しているという物理的状況を数式で表現するため。

思考を整理する:立式から計算までのロジカルフロー

  1. 前提条件の解読・数式化: 問題文の実験結果から \(V_{電源0} = 2V_{R0}\) を導出。これが全ての起点。
  2. 素子の特定: 交流の位相差からXをコイルと特定。直流の過渡現象からYを抵抗、Zをコンデンサーと特定。
  3. 定数の計算: 特定した素子ごとに、対応する公式 (\(V=\omega LI\), \(V=RI\)など) を使って \(L\), \(R\), \(C\) を順に計算。
  4. 各設問の状況把握: どの電圧が \(x\), \(y\) に対応するか、回路構成はどうなっているかを設問ごとに整理。
  5. 軌跡の分析:
    • \(x\), \(y\) の振幅を電圧の分圧やベクトル図から計算。
    • \(x\), \(y\) の位相差を確認(同位相なら直線、\(\pi/2\)なら楕円/円)。
    • 媒介変数 \(t\) を消去し、軌跡の方程式を導出。

計算ミスをなくす!日頃の意識と実践テクニック

  • 比例関係の利用: \(V_{R0}\) が振幅 \(a\) に対応するという基準を常に意識する。他の電圧も \(V_{R0}\) の何倍かで考え、最終的に \(a\) を使って振幅を表すと混乱が少ない。
  • 角周波数と周期: \(\omega\) と \(T\) の変換 (\(\omega = 2\pi/T\)) を正確に行う。\(10^{-2}\) などの指数計算を間違えない。
  • ベクトル図の活用: 電圧の大きさを計算するときは、必ずベクトル図を描いて視覚的に確認する。三平方の定理の適用ミスを防ぐ。

解きっぱなしはNG!解答の妥当性を吟味する習慣をつけよう

  • 定性的な確認:
    • 問(3): RL回路で位相差があるから、軌跡は直線ではなく、閉じた曲線(楕円)になるはずだ。→ OK。
    • 問(4): 周波数を下げるとコイルのリアクタンス \(\omega L\) は小さくなる。元の状態では\(\omega L = \sqrt{3}R\)だったので、\(R\)に近づけるには周波数を下げる必要がある。→ \(\frac{1}{\sqrt{3}}\)倍は1より小さいので、定性的に合っている。
  • 極端な条件での検討:
    • もしコイルLがなければ(L=0)、\(V_L=0\)。電圧ベクトル図から \(V_{電源0} = V_{R0}\) となるはず。これは前提条件 \(V_{電源0} = 2V_{R0}\) と矛盾するので、Lはゼロではないとわかる。
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問題50 (工学院大)

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