問題13 静電気・単振動 (関西大+大阪大)
【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド
- 提示する別解
- 設問(7)の別解: 相平面(\(v-x\) グラフ)を用いた幾何学的解法
- 模範解答は単振動の対称性を言葉で説明していますが、別解では縦軸に速度 \(v\)、横軸に位置 \(x\) をとったグラフ(相平面)を描き、エネルギー保存則が楕円軌道になることを利用して、視覚的かつ直感的に対称性を証明します。
- 設問(Q)の別解: 微積分を用いた体系的解法(運動方程式の積分によるエネルギー保存則の導出)
- 模範解答は単振動のエネルギー保存則を既知として利用していますが、別解では運動方程式 \(ma = F\) から出発し、これを位置 \(x\) で積分することで、ポテンシャルエネルギーの定義とエネルギー保存則を数学的に導出します。これにより、公式の暗記ではなく原理からの理解を促します。
- 設問(7)の別解: 相平面(\(v-x\) グラフ)を用いた幾何学的解法
- 上記の別解が有益である理由
- 相平面の解法: 振動の中心や速度が同じになる位置関係が一目で分かるため、複雑な計算を省略して対称性を見抜く力が身につきます。
- 微積分の解法: 「なぜ単振動のエネルギーは \(\frac{1}{2}K(x-x_{\text{中心}})^2\) なのか?」という根本的な疑問に答え、電位によるエネルギーと仕事の関係を統合的に理解する助けとなります。
- 結果への影響
- いずれのアプローチを用いても、最終的に得られる答えは模範解答と完全に一致します。
この問題のテーマは「電場中における帯電体の運動と摩擦力」です。
一定の速度で動くベルトの上で、物体が「共に動く(静止摩擦)」状態と「滑る(動摩擦)」状態を繰り返す様子を考察します。特に、滑っている間は復元力が働くため単振動の一部となることがポイントです。
問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。
- 摩擦力の切り替わり: 物体がベルトに対して静止している間は静止摩擦力、滑っている間は動摩擦力が働きます。
- 単振動の運動方程式: 復元力 \(F = -K(x – x_{\text{中心}})\) が働くとき、物体は \(x_{\text{中心}}\) を中心とする単振動を行います。
- 力学的エネルギー保存則: 摩擦力以外の非保存力が仕事をしない、あるいは仕事を含めたエネルギー原理を用いることで、速度と位置の関係を導けます。
基本的なアプローチは以下の通りです。
- (1)では、力のつりあいから滑り出す限界の位置を求めます。
- (2)〜(6)では、滑り出した後の運動方程式を立て、単振動の諸量(中心、周期、振幅)を特定します。
- (7)〜(8)では、再びベルトと同じ速度になる瞬間を捉え、運動の対称性を利用して位置や時間を求めます。
- (Q)では、エネルギー保存則を用いて振幅の端点 \(b\) を決定します。
問(1)
思考の道筋とポイント
小物体Pは最初、原点Oに置かれ、ベルトと共に右向きに一定の速さ \(V\) で動いています。
このとき、Pはベルトに対して静止しているので、働く摩擦力は「静止摩擦力」です。
原点から離れるにつれて、左向きの電場による力(静電気力)が大きくなります。これに耐えられなくなった瞬間に滑り出します。
この設問における重要なポイント
- 慣性系での観測: 地面(静止系)から見て考えます。Pは等速直線運動をしているので、加速度は \(0\) です。つまり、水平方向の力はつりあっています。
- 摩擦力の向き: 電場 \(E = -ax\) による力 \(F_E = qE = -aqx\) は左向きです。Pを右へ運び続けようとする静止摩擦力は、これに逆らう「右向き」に働きます。
- 滑り出す条件: 静止摩擦力が最大静止摩擦力 \(\mu_1 mg\) に達したとき、滑り始めます。
具体的な解説と立式
滑り出す位置を \(x_1\) とします。
この位置での電場の強さは \(E = -ax_1\) なので、Pが受ける静電気力の大きさは \(|-qax_1| = qax_1\) (左向き)です。
Pは等速運動をしているため、力のつりあいが成り立ちます。
右向きを正とすると、以下のようになります。
$$
\begin{aligned}
(\text{右向きの静止摩擦力}) &= (\text{左向きの静電気力})
\end{aligned}
$$
滑り出す直前、静止摩擦力は最大値 \(\mu_1 mg\) に達しています。
$$
\begin{aligned}
\mu_1 mg &= qax_1 \quad \cdots ①
\end{aligned}
$$
使用した物理公式
- 電場による力: \(F = qE\)
- 最大静止摩擦力: \(f_{\text{最大}} = \mu_1 N = \mu_1 mg\)
- 力のつりあい: \(\sum \vec{F} = 0\)
式①を \(x_1\) について解きます。
$$
\begin{aligned}
x_1 &= \frac{\mu_1 mg}{aq}
\end{aligned}
$$
ベルトに乗った物体は、最初はベルトとの摩擦のおかげで一緒に運ばれます。しかし、進めば進むほど「原点に戻そうとする電気の力」が強くなります。
摩擦力が頑張れる限界(最大静止摩擦力)を超えた瞬間、物体はベルトについていけなくなり、滑り始めます。その限界の場所を計算しました。
答えは \(x_1 = \frac{\mu_1 mg}{aq}\) です。
摩擦係数 \(\mu_1\) が大きいほど遠くまで運ばれ、電気の力係数 \(a\) や電荷 \(q\) が大きいほどすぐに滑り出すことになり、物理的直感と一致します。
問(2)
思考の道筋とポイント
位置 \(x_1\) を超えると、Pはベルトに対して滑り始めます。
このとき、Pの速度 \(v\) はまだ右向きですが、ベルトの速度 \(V\) より遅れ始めるため、ベルトから見るとPは左へ動こうとします。
したがって、Pはベルトから「右向き」の動摩擦力を受けます。
この設問における重要なポイント
- 動摩擦力の向き: 相対速度(ベルトに対するPの速度)と逆向きです。Pはベルトより遅い(左にずれる)ので、摩擦は右向きに働きます。
- 合力の計算: 電場による力(左向き)と動摩擦力(右向き)の合力を求めます。
具体的な解説と立式
位置 \(x\) (\(> x_1\)) における力を考えます。
- 電場による力: \(F_E = -qax\) (左向きなので負)
- 動摩擦力: \(f’ = \mu_2 mg\) (右向きなので正)
合力 \(F\) はこれらの和となります。
$$
\begin{aligned}
F &= (\text{電場による力}) + (\text{動摩擦力}) \\[2.0ex]
F &= -qax + \mu_2 mg \quad \cdots ②
\end{aligned}
$$
使用した物理公式
- 動摩擦力: \(f’ = \mu_2 N = \mu_2 mg\)
式②はこれ以上変形できませんが、物理的な意味を見やすくするために \(x\) の係数でくくる準備をしておきます(次の設問への布石)。
$$
\begin{aligned}
F &= -aqx + \mu_2 mg
\end{aligned}
$$
滑り出した後は、一定の大きさの「動摩擦力」が右向きに助けてくれますが、位置 \(x\) に比例して強くなる「電気の力」が左向きに邪魔をします。これら2つの力の合計が、物体を動かす合力となります。
\(x\) が大きくなると負の値(左向きの力)が大きくなるため、物体はいずれ減速し、止まり、引き返すと予想できます。
問(3)
思考の道筋とポイント
(2)で求めた合力 \(F\) が、単振動の復元力の形 \(F = -K(x – x_{\text{中心}})\) になっていることを見抜きます。
これにより、振動の中心 \(x_{\text{中心}}\) とばね定数相当の \(K\) が分かります。
最大速さ \(v_{\text{最大}}\) は、物体が振動の中心を通過するときに記録されます。
この設問における重要なポイント
- 単振動の標準形: 運動方程式 \(ma = -K(x – x_{\text{中心}})\) において、\(K\) は復元力の比例定数、\(x_{\text{中心}}\) は振動の中心(力がつりあう位置)です。
- 最大速さの位置: 単振動では、振動の両端で速さが \(0\)、振動の中心で速さが最大になります。
具体的な解説と立式
(2)の合力の式を変形します。
$$
\begin{aligned}
F &= -aq \left( x – \frac{\mu_2 mg}{aq} \right)
\end{aligned}
$$
これを運動方程式 \(ma = F\) に適用すると、以下のようになります。
$$
\begin{aligned}
ma &= -aq \left( x – \frac{\mu_2 mg}{aq} \right) \quad \cdots ③
\end{aligned}
$$
これは、ばね定数 \(K = aq\)、振動中心 \(x_{\text{中心}} = \frac{\mu_2 mg}{aq}\) の単振動を表しています。
題意より、最大速さ \(v_{\text{最大}}\) となる位置 \(x_2\) は振動中心のことです。
$$
\begin{aligned}
x_2 &= x_{\text{中心}}
\end{aligned}
$$
使用した物理公式
- 単振動の運動方程式: \(ma = -K(x – x_{\text{中心}})\)
式③より、振動中心 \(x_2\) を読み取ります。
$$
\begin{aligned}
x_2 &= \frac{\mu_2 mg}{aq}
\end{aligned}
$$
力の式を整理すると、「ある決まった場所(中心)に戻そうとする力」の形になっていることが分かります。この「戻そうとする力」によって物体は振動します。
ブランコが一番速くなるのが真下(中心)であるのと同じように、この物体も振動の中心を通るときに最も速くなります。
\(x_2 = \frac{\mu_2 mg}{aq}\) です。これは動摩擦力と電場力がつりあう位置(\(aqx = \mu_2 mg\))でもあります。力がつりあう場所で速さが最大になるのは力学の基本通りです。
問(4)
思考の道筋とポイント
単振動の最大速さ \(v_{\text{最大}}\) を求めます。
単振動の振幅を \(A\)、角振動数を \(\omega\) とすると、\(v_{\text{最大}} = A\omega\) の関係があります。
あるいは、エネルギー保存則を用いても求められます。ここでは振幅 \(A\) が図や問題文の \(b\) を使って表せることに着目します。
この設問における重要なポイント
- 振幅の特定: 物体は \(x=b\) で一瞬静止したとあります。これは振動の右端(折り返し点)です。振動中心は \(x_2\) なので、振幅 \(A\) は \(A = b – x_2\) となります。
- 角振動数の特定: 運動方程式 \(ma = -Kx\) より、\(\omega = \sqrt{\frac{K}{m}}\) です。ここでは \(K=aq\) です。
具体的な解説と立式
角振動数 \(\omega\) を求めます。復元力の定数は \(K=aq\) なので、以下のようになります。
$$
\begin{aligned}
m\omega^2 &= aq \\[2.0ex]
\omega &= \sqrt{\frac{aq}{m}} \quad \cdots ④
\end{aligned}
$$
振幅 \(A\) は、振動中心 \(x_2\) と右端 \(b\) の距離です。
$$
\begin{aligned}
A &= b – x_2 \quad \cdots ⑤
\end{aligned}
$$
最大速さ \(v_{\text{最大}}\) は以下の式で表されます。
$$
\begin{aligned}
v_{\text{最大}} &= A\omega \quad \cdots ⑥
\end{aligned}
$$
使用した物理公式
- 単振動の角振動数: \(\omega = \sqrt{\frac{K}{m}}\)
- 最大速さ: \(v_{\text{最大}} = A\omega\)
式④、⑤を式⑥に代入します。
$$
\begin{aligned}
v_{\text{最大}} &= (b – x_2) \sqrt{\frac{aq}{m}}
\end{aligned}
$$
ここで \(x_2 = \frac{\mu_2 mg}{aq}\) を代入して具体的な形にします。
$$
\begin{aligned}
v_{\text{最大}} &= \left( b – \frac{\mu_2 mg}{aq} \right) \sqrt{\frac{aq}{m}}
\end{aligned}
$$
単振動の「速さの最大値」は、「振れ幅(振幅)」と「振動の激しさ(角振動数)」の掛け算で求まります。
振れ幅は「端っこから中心までの距離」、振動の激しさは「ばねの強さ(ここでは電気の力)と重さ」で決まります。これらを組み合わせて計算しました。
次元を確認します。\([L] \cdot [T]^{-1}\) となり速度の次元を持ちます。振幅が大きいほど、また復元力が強いほど速くなるという直感に合致します。
問(5)
思考の道筋とポイント
\(x=b\)(右端)から \(x_2\)(中心)までの移動時間を求めます。
単振動において、端から中心までの移動時間は、周期 \(T\) のちょうど \(\frac{1}{4}\) 倍です。
この設問における重要なポイント
- 単振動の周期: \(T = 2\pi \sqrt{\frac{m}{K}}\) です。
- 位相の関係: 端(速度0)から中心(速度最大)までは位相が \(\frac{\pi}{2}\) 進む区間です。
具体的な解説と立式
周期 \(T\) は、\(K=aq\) より以下のようになります。
$$
\begin{aligned}
T &= 2\pi \sqrt{\frac{m}{aq}} \quad \cdots ⑦
\end{aligned}
$$
求める時間 \(t_1\) は周期の \(\frac{1}{4}\) なので、以下のようになります。
$$
\begin{aligned}
t_1 &= \frac{1}{4} T \quad \cdots ⑧
\end{aligned}
$$
使用した物理公式
- 単振動の周期: \(T = 2\pi \sqrt{\frac{m}{K}}\)
式⑦を式⑧に代入します。
$$
\begin{aligned}
t_1 &= \frac{1}{4} \cdot 2\pi \sqrt{\frac{m}{aq}} \\[2.0ex]
&= \frac{\pi}{2} \sqrt{\frac{m}{aq}}
\end{aligned}
$$
単振動は、行って帰ってくるまで(1周期)のリズムが一定です。
「端から中心まで」は、全体の動きのちょうど4分の1にあたります。これを利用して時間を求めました。
質量 \(m\) が大きいと動きが遅くなり時間がかかり、力 \(aq\) が強いと速く動くので時間が短くなる。結果は妥当です。
問(6)
思考の道筋とポイント
再び一瞬静止する位置 \(x_3\) を求めます。
これは単振動の「左端」にあたります。
単振動は中心 \(x_2\) に対して左右対称な運動です。
この設問における重要なポイント
- 対称性: 右端が \(b\) で中心が \(x_2\) なら、左端 \(x_3\) は中心から見て右端と反対側に同じ距離だけ離れた位置にあります。
具体的な解説と立式
振幅 \(A = b – x_2\) です。
左端 \(x_3\) は、中心 \(x_2\) から左へ \(A\) だけ進んだ位置です。
$$
\begin{aligned}
x_3 &= x_2 – A \\[2.0ex]
&= x_2 – (b – x_2) \\[2.0ex]
&= 2x_2 – b \quad \cdots ⑨
\end{aligned}
$$
使用した物理公式
- 対称性: \(x_{\text{左}} = x_{\text{中心}} – \text{振幅}\)
式⑨に \(x_2 = \frac{\mu_2 mg}{aq}\) を代入します。
$$
\begin{aligned}
x_3 &= 2\left( \frac{\mu_2 mg}{aq} \right) – b \\[2.0ex]
&= \frac{2\mu_2 mg}{aq} – b
\end{aligned}
$$
単振動は中心に対して鏡写しのような動きをします。
右側の折り返し点までの距離が分かっているので、左側の折り返し点も中心から同じ距離の反対側にあります。
\(x_3\) は \(b\) より小さい値になります。計算結果は座標として妥当です。
問(7)
思考の道筋とポイント
左端 \(x_3\) で折り返した後、Pは右へ加速していきます。
速度が増加し、ベルトの速度 \(V\) に追いついた瞬間(位置 \(x_4\))、Pはベルトに対して静止し、再び静止摩擦力で運ばれる運動(等速運動)に戻ります。
この \(x_4\) を求めるために、単振動の対称性を利用します。
この設問における重要なポイント
- 運動の推移: \(x_1\) で速度 \(V\) で滑り出し(単振動開始) \(\to\) \(b\) で停止 \(\to\) \(x_3\) で停止 \(\to\) \(x_4\) で速度 \(V\) になり単振動終了。
- エネルギーと対称性: 単振動では、同じ速さになる位置は、振動中心に対して対称になります。
- 開始点 \(x_1\): 速さ \(V\)
- 終了点 \(x_4\): 速さ \(V\)
- したがって、\(x_1\) と \(x_4\) は中心 \(x_2\) に対して対称な位置関係にあります。
具体的な解説と立式
\(x_1\) と \(x_4\) は振動中心 \(x_2\) に関して対称なので、中点が \(x_2\) になります。
$$
\begin{aligned}
\frac{x_1 + x_4}{2} &= x_2 \quad \cdots ⑩
\end{aligned}
$$
これを \(x_4\) について解きます。
$$
\begin{aligned}
x_4 &= 2x_2 – x_1
\end{aligned}
$$
使用した物理公式
- 単振動の対称性: 同じ速さを持つ2点は中心に対して対称。
\(x_1 = \frac{\mu_1 mg}{aq}\)、\(x_2 = \frac{\mu_2 mg}{aq}\) を代入します。
$$
\begin{aligned}
x_4 &= 2\left( \frac{\mu_2 mg}{aq} \right) – \frac{\mu_1 mg}{aq} \\[2.0ex]
&= \frac{mg}{aq} (2\mu_2 – \mu_1)
\end{aligned}
$$
単振動を始めたとき(\(x_1\))の速度は \(V\) でした。
単振動が終わるとき(\(x_4\))の速度も \(V\) です。
同じ速度になる場所は、振動の中心を挟んでちょうど反対側にあります。これを使って場所を特定しました。
\(\mu_2 < \mu_1\) なので、\(2\mu_2 – \mu_1\) は正にも負にもなり得ますが、\(x_4 < x_1\) であることは確実です(\(x_1\) より左側で再びベルトに乗る)。これは図の状況と一致します。
思考の道筋とポイント
単振動のエネルギー保存則 \(\frac{1}{2}mv^2 + \frac{1}{2}K(x-x_{\text{中心}})^2 = E\) は、縦軸に \(v\)、横軸に \(x\) をとったグラフ(相平面)において、楕円の方程式を表します。
この楕円軌道を描くことで、速度が \(V\) となる2点 \(x_1, x_4\) の対称性を視覚的に証明します。
この設問における重要なポイント
- 相平面上の軌道: 単振動は \(v-x\) 平面上で楕円を描きます。
- 対称軸: 楕円の中心は \((x_{\text{中心}}, 0)\) であり、直線 \(x=x_{\text{中心}}\) に関して左右対称です。
具体的な解説と立式
単振動のエネルギー保存則を変形します。
$$
\begin{aligned}
\frac{v^2}{\frac{2E}{m}} + \frac{(x-x_{\text{中心}})^2}{\frac{2E}{K}} &= 1
\end{aligned}
$$
これは \(v-x\) 平面上の楕円です。中心は \((x_{\text{中心}}, 0)\) です。
この楕円と、直線 \(v=V\) の交点が、速度が \(V\) となる位置 \(x_1\) と \(x_4\) です。
使用した物理公式
- 楕円の方程式: \(\frac{x^2}{a^2} + \frac{y^2}{b^2} = 1\)
楕円は中心を通る鉛直線 \(x=x_{\text{中心}}\)(ここでは \(x=x_2\))に対して左右対称です。
水平線 \(v=V\) 上の2つの交点も、当然この軸に対して対称になります。
したがって、\(x_1\) と \(x_4\) の中点は \(x_2\) です。
$$
\begin{aligned}
\frac{x_1 + x_4}{2} &= x_2 \\[2.0ex]
x_4 &= 2x_2 – x_1
\end{aligned}
$$
これ以降の計算はメイン解法と同じです。
速度と位置の関係をグラフにすると、きれいな楕円になります。
この楕円は真ん中で左右対称なので、同じ高さ(速度 \(V\))にある2つの点は、真ん中の線から等しい距離にあります。
これを使えば、計算しなくても対称性が一目で分かります。
図形的性質から直ちに \(x_4 = 2x_2 – x_1\) が導かれます。計算をせずとも対称性が保証される強力な手法です。
問(8)
思考の道筋とポイント
位置 \(x_4\) でPの速度は \(V\) になり、ベルトの速度と一致します。
この瞬間、相対速度が \(0\) になるため、摩擦力は動摩擦力から静止摩擦力に切り替わります。
この位置 \(x_4\) での静止摩擦力の大きさは \(|qE| = qax_4\) です。
\(x_4 < x_1\) なので、この力は最大静止摩擦力 \(\mu_1 mg\) より小さく、Pは滑らずにベルトと共に等速運動を始めます。
その後、再び \(x_1\) に到達すると滑り出します。
求める時間 \(t_2\) は、\(x_4\) から \(x_1\) まで等速 \(V\) で移動する時間です。
この設問における重要なポイント
- 運動の状態: \(x_4 \to x_1\) の区間は、速度 \(V\) の等速直線運動です。
- 時間の計算: 時間 \(=\) 距離 \(\div\) 速さ。
具体的な解説と立式
移動距離は \(x_1 – x_4\) です。速さは \(V\) です。
$$
\begin{aligned}
t_2 &= \frac{x_1 – x_4}{V} \quad \cdots ⑪
\end{aligned}
$$
使用した物理公式
- 等速運動: \(t = \frac{L}{v}\)
(7)の結果 \(x_1 – x_4 = x_1 – (2x_2 – x_1) = 2(x_1 – x_2)\) を利用すると計算が楽です。
$$
\begin{aligned}
x_1 – x_2 &= \frac{\mu_1 mg}{aq} – \frac{\mu_2 mg}{aq} \\[2.0ex]
&= \frac{mg}{aq}(\mu_1 – \mu_2)
\end{aligned}
$$
よって、以下のようになります。
$$
\begin{aligned}
t_2 &= \frac{2 \cdot \frac{mg}{aq}(\mu_1 – \mu_2)}{V} \\[2.0ex]
&= \frac{2mg(\mu_1 – \mu_2)}{aqV}
\end{aligned}
$$
一度ベルトにキャッチされた物体は、再び滑り落ちる限界の場所(\(x_1\))までベルトに運ばれていきます。
その距離をベルトのスピードで割り算して、運ばれている時間を求めました。
摩擦係数の差 \(\mu_1 – \mu_2\) が大きいほど、再び滑り出すまでの距離が長くなり、時間がかかります。妥当です。
問(Q)
思考の道筋とポイント
未知数であった右端の位置 \(b\) を、与えられた物理量で表します。
単振動の開始点 \(x_1\)(速度 \(V\))と、折り返し点 \(b\)(速度 \(0\))の間で、単振動のエネルギー保存則を適用します。
この設問における重要なポイント
- エネルギー保存則: \(\frac{1}{2}mv^2 + \frac{1}{2}K(x – x_{\text{中心}})^2 = \text{一定}\)
- 状態の比較:
- 状態1 (\(x=x_1\)): 速度 \(v=V\)、変位 \(x_1 – x_2\)
- 状態2 (\(x=b\)): 速度 \(v=0\)、変位 \(b – x_2\)
具体的な解説と立式
単振動のエネルギー保存則より、以下のようになります。
$$
\begin{aligned}
\frac{1}{2}mV^2 + \frac{1}{2}K(x_1 – x_2)^2 &= \frac{1}{2}m(0)^2 + \frac{1}{2}K(b – x_2)^2 \quad \cdots ⑫
\end{aligned}
$$
ここで \(K=aq\) です。
使用した物理公式
- 単振動のエネルギー保存則: \(\frac{1}{2}mv^2 + \frac{1}{2}K(x-x_{\text{中心}})^2 = \text{一定}\)
式⑫を整理して \(b\) を求めます。
$$
\begin{aligned}
mV^2 + aq(x_1 – x_2)^2 &= aq(b – x_2)^2 \\[2.0ex]
(b – x_2)^2 &= \frac{mV^2}{aq} + (x_1 – x_2)^2
\end{aligned}
$$
\(b > x_2\) なので平方根をとります。
$$
\begin{aligned}
b – x_2 &= \sqrt{\frac{mV^2}{aq} + (x_1 – x_2)^2} \\[2.0ex]
b &= x_2 + \sqrt{\frac{mV^2}{aq} + (x_1 – x_2)^2}
\end{aligned}
$$
ここで、\(x_1 – x_2 = \frac{mg}{aq}(\mu_1 – \mu_2)\) を代入します。
$$
\begin{aligned}
b &= \frac{\mu_2 mg}{aq} + \sqrt{\frac{mV^2}{aq} + \left\{ \frac{mg}{aq}(\mu_1 – \mu_2) \right\}^2} \\[2.0ex]
&= \frac{\mu_2 mg}{aq} + \sqrt{\frac{mV^2}{aq} + \frac{m^2 g^2}{a^2 q^2}(\mu_1 – \mu_2)^2}
\end{aligned}
$$
ルートの中を通分して整理します(\(\frac{m^2 g^2}{a^2 q^2}\) をくくり出す形がきれいです)。
$$
\begin{aligned}
b &= \frac{\mu_2 mg}{aq} + \sqrt{\frac{m^2 g^2}{a^2 q^2} \left( \frac{aqV^2}{mg^2} + (\mu_1 – \mu_2)^2 \right)} \\[2.0ex]
&= \frac{\mu_2 mg}{aq} + \frac{mg}{aq} \sqrt{\frac{aqV^2}{mg^2} + (\mu_1 – \mu_2)^2} \\[2.0ex]
&= \frac{mg}{aq} \left\{ \mu_2 + \sqrt{(\mu_1 – \mu_2)^2 + \frac{aqV^2}{mg^2}} \right\}
\end{aligned}
$$
「滑り始めたときの勢い(運動エネルギー)」と「ばねが縮んでいるエネルギー(位置エネルギー)」の合計は、止まる瞬間まで変わりません。
滑り始めのエネルギーの合計を計算し、それが全て「ばねのエネルギー」に変わったときの伸び(距離)を逆算することで、どこまで到達するかを求めました。
\(V=0\) ならば \(b = \frac{mg}{aq}(\mu_2 + \mu_1 – \mu_2) = x_1\) となり、滑り出した瞬間に止まる(動かない)ことになり整合します。
思考の道筋とポイント
公式としての「単振動のエネルギー保存則」を暗記していなくても、運動方程式から出発して積分を行うことで、エネルギー保存則を自力で導出できます。
これにより、電位による位置エネルギーと摩擦力の仕事の関係が明確になります。
この設問における重要なポイント
- 運動方程式の積分: 運動方程式の両辺に速度 \(v\) を掛けて時間積分すると、エネルギー保存則が得られます。
- ポテンシャルエネルギー: 保存力 \(F\) に対して、\(U = -\int F dx\) で定義されます。
具体的な解説と立式
滑り出し後の運動方程式は以下の通りです。
$$
\begin{aligned}
m \frac{d^2x}{dt^2} &= -aqx + \mu_2 mg \quad \cdots ⑬
\end{aligned}
$$
この両辺に速度 \(v = \frac{dx}{dt}\) を掛け、時刻 \(t\) で積分します。
左辺の積分:
$$
\begin{aligned}
\int m \frac{dv}{dt} v \, dt &= \int m v \, dv \\[2.0ex]
&= \frac{1}{2}mv^2
\end{aligned}
$$
右辺の積分(\(x\) での積分に置換):
$$
\begin{aligned}
\int (-aqx + \mu_2 mg) \frac{dx}{dt} \, dt &= \int (-aqx + \mu_2 mg) \, dx \\[2.0ex]
&= -\frac{1}{2}aqx^2 + \mu_2 mg x + C \quad (C\text{は積分定数})
\end{aligned}
$$
これらを結ぶと、以下の保存則が得られます。
$$
\begin{aligned}
\frac{1}{2}mv^2 + \frac{1}{2}aqx^2 – \mu_2 mg x &= \text{一定} \quad \cdots ⑭
\end{aligned}
$$
この式は、「運動エネルギー」+「電場による位置エネルギー(\(\frac{1}{2}aqx^2\))」+「動摩擦力がした仕事のポテンシャル(\(-\mu_2 mg x\))」の和が保存されることを示しています。
(※通常、非保存力である摩擦力の仕事は右辺に移項して考えますが、ここでは一定の力なのでポテンシャルとして組み込んでいます。これを平方完成すると単振動のエネルギー保存則 \(\frac{1}{2}K(x-x_{\text{中心}})^2\) になります。)
使用した物理公式
- 微分の連鎖律: \(\frac{dv}{dt} = \frac{dv}{dx}\frac{dx}{dt} = v\frac{dv}{dx}\)
- 積分の基本公式: \(\int x dx = \frac{1}{2}x^2\)
式⑭に、始点 \(x_1\)(\(v=V\))と終点 \(b\)(\(v=0\))を代入して等号で結びます。
$$
\begin{aligned}
\frac{1}{2}mV^2 + \frac{1}{2}aqx_1^2 – \mu_2 mg x_1 &= 0 + \frac{1}{2}aqb^2 – \mu_2 mg b
\end{aligned}
$$
両辺を2倍して整理します。
$$
\begin{aligned}
mV^2 + aq(x_1^2 – b^2) – 2\mu_2 mg(x_1 – b) &= 0 \\[2.0ex]
mV^2 – aq(b – x_1)(b + x_1) + 2\mu_2 mg(b – x_1) &= 0
\end{aligned}
$$
\(b \neq x_1\) なので \(b – x_1\) で割りたいところですが、項が複雑になるため、平方完成形(単振動のエネルギー保存則)への変形を確認します。
式⑭を平方完成すると:
$$
\begin{aligned}
\frac{1}{2}mv^2 + \frac{1}{2}aq \left( x – \frac{\mu_2 mg}{aq} \right)^2 + \text{定数} &= \text{一定}
\end{aligned}
$$
これはまさにメイン解法で使用した式⑫と同じ形になります。
したがって、ここからの計算手順はメイン解法と同様になり、同じ結果が得られます。
運動方程式という「力のルール」を積分という数学の技で変形すると、「エネルギーのルール」に生まれ変わります。
この方法を使えば、公式を覚えていなくても、力さえ分かればエネルギーの式を自分で作ることができます。
今回は、電気の力と摩擦の力を積分して、エネルギー保存則を導き出しました。
運動方程式を積分することで、エネルギー保存則が自然に導かれました。
特に \(\frac{1}{2}aqx^2\) という項は、電場 \(E=-ax\) の電位 \(V(x) = \int -E dx = \frac{1}{2}ax^2\) に電荷 \(q\) を掛けた静電エネルギーそのものです。
物理的背景がより明確になる解法です。
【総まとめ】この一問を未来の得点力へ!完全マスター講座
最重要ポイント:この問題の核心となる物理法則は?
- 摩擦力の性質と相対運動
- 核心: 物体がベルトに対して「止まっている(静止摩擦)」か「滑っている(動摩擦)」かで、働く力の種類と大きさが劇的に変わります。
- 理解のポイント:
- 静止摩擦力は「耐える力」で、外力に合わせて変化します(最大値あり)。
- 動摩擦力は「一定の力」で、相対速度と逆向きに働きます。
- 定数項を含む復元力による単振動
- 核心: 力が \(F = -Kx + F_0\) の形になるとき、物体は \(F=0\) となる位置 \(x_{\text{中心}} = F_0/K\) を中心とした単振動を行います。
- 理解のポイント:
- 定数力 \(F_0\)(ここでは動摩擦力)は、振動の中心位置をずらすだけで、周期 \(T\) や角振動数 \(\omega\) には影響しません。
応用テクニック:似た問題が出たらココを見る!解法の鍵と着眼点
- 応用できる類似問題のパターン:
- 鉛直ばね振り子: 重力 \(mg\) という定数力が働くため、自然長ではなくつりあいの位置が振動中心になります。本問の動摩擦力と同じ役割です。
- 電磁気学での単振動: 一様磁場中でのコイルの回転や、ローレンツ力を受ける導体棒の運動など、復元力が電磁気的な力であるケースです。
- 初見の問題での着眼点:
- 力の作図と分類: 働く力をすべて書き出し、位置 \(x\) に比例する項(復元力)と定数項(中心をずらす力)に分けます。
- 運動の切り替わりポイント: 「滑り出す」「再び静止する」といったイベントが起きる条件(\(f = f_{\text{最大}}\) や \(v_{\text{相対}} = 0\))を数式化します。
要注意!ありがちなミス・誤解とその対策
- 摩擦力の向きの決定ミス:
- 誤解: 「摩擦力は常に運動方向と逆」と思い込み、ベルトの速度 \(V\) を無視して、物体の速度 \(v\) だけで向きを決めてしまう。
- 対策: 必ず「ベルトから見た物体の速度(相対速度 \(v – V\))」を考えます。相対速度と逆向きに摩擦力が働きます。
- 振動中心と原点の混同:
- 誤解: 座標の原点 \(O\) をそのまま単振動の中心だと思い込んで計算してしまう。
- 対策: 必ず運動方程式 \(ma = -K(x – x_{\text{中心}})\) を立て、力が \(0\) になる位置 \(x_{\text{中心}}\) を明示的に求めてから議論を始めます。
なぜその公式?論理的な公式選択と適用の思考法
- 問(Q)でのエネルギー保存則の選択:
- 選定理由: 時間 \(t\) が問われておらず、速度 \(v\) と位置 \(x\) の関係のみが必要なため、運動方程式を解くよりも計算が圧倒的に速いからです。
- 適用根拠: 動摩擦力は非保存力ですが、一定の力であるためポテンシャルエネルギーとして扱える(あるいは仕事として計算できる)ため適用可能です。
- 問(7)での対称性の利用:
- 選定理由: まともに三角関数 \(x(t)\) を解いて \(v(t)=V\) となる時間を求めるのは計算が煩雑すぎるため。
- 適用根拠: 単振動の軌道(相平面上の楕円)は振動中心に対して点対称・線対称であるという幾何学的性質に基づいています。
計算ミスをなくす!日頃の意識と実践テクニック
- 物理量の塊(チャンク)化:
- 意識: 複雑な分数を何度も書くと書き写しミスが起きる。
- 実践: \(x_2 = \frac{\mu_2 mg}{aq}\) のように、意味のある塊を文字(\(x_2\) や \(x_{\text{中心}}\))で置いて計算を進め、最後に代入します。
- 次元解析(単位チェック):
- 意識: 答えの式が物理的にあり得ない形になっていないか確認する。
- 実践: 例えば時間の答えに \(\sqrt{m/aq}\) が含まれているか(\(T \propto \sqrt{m/K}\))、長さの答えが長さの次元になっているかを確認します。
[mathjax] SNSでのシェアはご自由にどうぞ。(上のボタンをクリック) ブログで引用する際には、こちらのリンクを添えてください。 【引用】https://makoto-physics-school.com […]
問題14 静電気 (センター試験+福井大)
【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド
- 提示する別解
- 全設問共通の別解: 「電位の重ね合わせモデル」を用いた数式解法
- 模範解答は電荷の移動や電気力線を用いて定性的に説明していますが、別解では「導体の電位は、自身の電荷と外部電荷による電位の和である」という原理(\(V = Q/C + \phi_{\text{外}}\))を用いて、現象を数式で定量的に説明します。
- これにより、B(1)の「閉じてから再び開く」現象や、B(3)の「開きが大きくなる」理由を、曖昧さなく論理的に導出します。
- 全設問共通の別解: 「電位の重ね合わせモデル」を用いた数式解法
- 上記の別解が有益である理由
- 論理の明確化: 感覚的な説明になりがちな静電誘導や接地の問題を、数式変形だけで機械的に解けるようになります。
- 応用力: 複雑なコンデンサー回路や電位の問題にもそのまま適用できる汎用的な考え方です。
- 結果への影響
- いずれのアプローチを用いても、最終的に得られる答えは模範解答と完全に一致します。
この問題のテーマは「はく検電器における静電誘導と電位」です。
帯電体を近づけたときの電荷の移動、接地(アース)による電荷の出入り、そして電位の変化を追跡します。
問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。
- 静電誘導: 導体に帯電体を近づけると、近い側に異符号、遠い側に同符号の電荷が現れます。
- 導体の性質: 導体内部の電場は \(0\) であり、導体全体は等電位になります。
- 接地(アース): 導体を地球(大地)につなぐと、地球と等電位(基準 \(0\,\text{V}\))になります。必要に応じて自由電子が無限に出入りします。
- はくの開閉: はく(L)が開くのは、はくに電荷が蓄えられ、同符号の電荷同士が反発するからです。電荷がなければ閉じます。
基本的なアプローチは以下の通りです。
- Aパート: 帯電していない検電器に対し、静電誘導と接地を行ったときの振る舞いを追います。
- Bパート: 既に帯電している検電器に対し、さらに帯電体を近づけたときの電位変化と電荷の再配分を考察します。
- Qパート: 静電遮蔽の原理を確認します。
問A(1)
ここから先が、他の受験生と差がつく重要パートです。
「解法に至る思考プロセス」を
全て言語化した、超詳細解説。
なぜその公式を使うのか?どうしてその着眼点を持てるのか?
市販の解説では省略されてしまう「行間の思考」を、泥臭く解説しています。
まずは2週間、無料でこの続きを読んでみませんか?