問題4 (徳島大)
【問題の確認】まずは問題文をしっかり読み解こう
この問題は、壁に立てかけられたはしごのつり合いに関する問題です。はしご自身の重さや人が登ることによる力の変化、そして摩擦力が重要な役割を果たします。剛体のつり合いの条件(力のつり合いとモーメントのつり合い)を正しく適用できるかが問われます。
- はしご: 長さ \(10l\)、質量 \(M\)、一様
- 設置状況: 滑らかな鉛直壁、床との間の距離 \(6l\)
- 床との静止摩擦係数: \(\mu = \frac{1}{2}\)
- 重力加速度: \(g\)
- 人の質量: \(5M\) (設問(3), (4)で登場)
- (1) 人が乗っていないとき、上端Aが壁から受ける抗力の大きさと、下端Bが床から受ける抗力(垂直抗力と摩擦力の合力)の大きさ。
- (2) はしごが滑ってしまう限界の静止摩擦係数の値。
- (3) 質量 \(5M\) の人が下端Bから登れる限界の距離。
- (4) 人が下端Bから \(2l\) の距離にいるときの、上端Aと下端Bで働く抗力の作用線の交点Pの位置。
【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド
本解説は、模範解答で採用されている解法を主たる解説としつつ、以下の別解を提示します。
- 提示する別解
- 問(1) 床からの抗力の別解: A点のまわりのモーメントを利用する解法
- 主たる解法がB点のまわりのモーメントから壁の抗力Rを求め、力のつり合いから床の摩擦力Fを導くのに対し、別解ではA点のまわりのモーメントから床の垂直抗力Nと摩擦力Fの関係式を直接導き、連立して解きます。
- 問(3) 人が登れる距離の別解: A点のまわりのモーメントを利用する解法
- 主たる解法と同様に、回転軸の選び方を変えることで、異なる視点から立式し、同じ結論に至ることを確認します。計算の複雑さを比較する上でも有益です。
- 問(4) 交点Pの位置の別解: 幾何学的なアプローチ
- 主たる解法が重心の座標計算からPの位置を特定するのに対し、別解では、はしごの角度と重心の位置から三角形の相似などを利用して、より図形的にPの座標を求めます。
- 問(1) 床からの抗力の別解: A点のまわりのモーメントを利用する解法
- 上記の別解が有益である理由
- 解法の選択肢の理解: 剛体のつり合いでは、モーメントの回転軸をどこに選ぶかは任意です。異なる回転軸で計算を試すことで、どの選択が最も効率的かを体感的に学ぶことができます。
- 物理と数学の連携: 物理的な条件(3力つり合い)を、座標計算や幾何学的性質といった異なる数学的ツールで解く経験は、思考の幅を広げます。
- 結果への影響
- いずれのアプローチを用いても、計算過程や思考の出発点が異なるだけで、最終的に得られる答えは完全に一致します。
この問題のテーマは「剛体のつり合い」です。物体が静止し続けるための条件である「力のつり合い」と「力のモーメントのつり合い」を正しく適用できるかが問われます。
問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。
- 力のつり合い: 物体(はしご)に働く力のベクトル和がゼロであること。通常、水平方向と鉛直方向に分けて立式します。(\(\sum F_x = 0\), \(\sum F_y = 0\))
- 力のモーメントのつり合い: ある点のまわりの力のモーメントの総和がゼロであること。(\(\sum M = 0\)) 回転軸を戦略的に選ぶことで、計算を大幅に簡略化できます。
- 静止摩擦力: 物体が滑り出さないように働く摩擦力。その大きさは外力に応じて変化し、最大値(最大静止摩擦力 \(F_{\text{max}} = \mu N\)、ここで \(\mu\) は静止摩擦係数、\(N\) は垂直抗力)を超えません。「滑り出す限界」では、静止摩擦力はその最大値に達します。
基本的なアプローチは以下の通りです。
- まず、問題の幾何学的な条件から、はしごの角度に関する三角比(\(\sin\theta, \cos\theta\))を求めておきます。
- 各設問の状況に応じて、はしごに働く全ての力(重力、垂直抗力、摩擦力)を正確に図示します。
- 「力のつり合い」と「力のモーメントのつり合い」の式を立て、未知の力を求めます。モーメントの回転軸は、未知の力が最も多く集まる点を選ぶのが定石です。
- 「滑り出す限界」を問われた場合は、静止摩擦力が最大静止摩擦力に等しいという条件を追加して方程式を解きます。
まず、はしごの長さが \(10l\)、床と壁の間の距離が \(6l\) なので、はしごが壁にかかっている高さを \(h_A\) とすると、三平方の定理より \((10l)^2 = (6l)^2 + h_A^2\)。
これを解くと \(h_A = 8l\) となります。
はしごが水平面となす角を \(\theta\) とすると、
\(\cos\theta = \displaystyle\frac{6l}{10l} = \frac{3}{5}\)
\(\sin\theta = \displaystyle\frac{8l}{10l} = \frac{4}{5}\)
これらの値は計算の途中で使います。
問(1)
思考の道筋とポイント
人が乗っていない状態のはしごのつり合いを考えます。はしごに働く力は、重力 \(Mg\)、壁からの垂直抗力 \(R\)、床からの垂直抗力 \(N\)、床からの静止摩擦力 \(F\) の4つです。
「下端Bが床から受ける抗力」は、垂直抗力 \(N\) と静止摩擦力 \(F\) の合力を指します。
力のつり合い(水平・鉛直)と、モーメントのつり合いの式を立てて \(R\)、\(N\)、\(F\) を求め、その後 \(N\) と \(F\) の合力の大きさを計算します。モーメントの回転軸は、未知の力が集中している点Bを選ぶと計算が簡単になります。
この設問における重要なポイント
- はしごに働く力をすべて図示する。
- 水平方向、鉛直方向の力のつり合いの式を立てる。
- 任意の点のまわりの力のモーメントのつり合いの式を立てる。点Bを回転軸に選ぶと計算がしやすい。
- 床からの抗力は、垂直抗力 \(N\) と静止摩擦力 \(F\) の合力である。合力の大きさは \(\sqrt{N^2 + F^2}\) で計算できる。
具体的な解説と立式
はしごに働く力は、
- 重力 \(Mg\): はしごの中点(Bから \(5l\) の位置)に鉛直下向きに作用。
- 壁からの垂直抗力 \(R\): 点Aで壁から水平右向きに作用。
- 床からの垂直抗力 \(N\): 点Bで床から鉛直上向きに作用。
- 床からの静止摩擦力 \(F\): 点Bで床から水平左向きに作用。
力のつり合いの式:
水平方向:
$$
\begin{aligned}
(\text{右向きの力の和}) &= (\text{左向きの力の和}) \\
R &= F \quad \cdots ①
\end{aligned}
$$
鉛直方向:
$$
\begin{aligned}
(\text{上向きの力の和}) &= (\text{下向きの力の和}) \\
N &= Mg \quad \cdots ②
\end{aligned}
$$
点Bのまわりの力のモーメントのつり合い:
重力 \(Mg\)(反時計回り)と壁からの抗力 \(R\)(時計回り)がつり合います。
$$
\begin{aligned}
(\text{反時計回りのモーメントの和}) &= (\text{時計回りのモーメントの和}) \\
Mg \times (5l \cos\theta) &= R \times (10l \sin\theta) \quad \cdots ③
\end{aligned}
$$
下端Bが床から受ける抗力(合力)の大きさを \(K_B\) とすると、
$$
\begin{aligned}
K_B &= \sqrt{N^2 + F^2} \quad \cdots ④
\end{aligned}
$$
使用した物理公式
- 力のつり合い: \(\sum F_x = 0\), \(\sum F_y = 0\)
- 力のモーメントのつり合い: \(\sum M = 0\)
- 三平方の定理(合力の大きさ)
まず、式②から床からの垂直抗力 \(N\) が求まります。
$$
\begin{aligned}
N &= Mg
\end{aligned}
$$
次に、式③に \(\cos\theta = 3/5\), \(\sin\theta = 4/5\) を代入して壁からの垂直抗力 \(R\) を求めます。
$$
\begin{aligned}
Mg \times (5l \cdot \frac{3}{5}) &= R \times (10l \cdot \frac{4}{5}) \\[2.0ex]
Mg \times 3l &= R \times 8l \\[2.0ex]
3Mg &= 8R \\[2.0ex]
R &= \frac{3}{8}Mg
\end{aligned}
$$
式①より、静止摩擦力 \(F\) は、
$$
\begin{aligned}
F &= R \\[2.0ex]
&= \frac{3}{8}Mg
\end{aligned}
$$
最後に、下端Bが床から受ける抗力(合力)の大きさ \(K_B\) を式④を用いて計算します。
$$
\begin{aligned}
K_B &= \sqrt{N^2 + F^2} \\[2.0ex]
&= \sqrt{(Mg)^2 + \left(\frac{3}{8}Mg\right)^2} \\[2.0ex]
&= \sqrt{M^2g^2 + \frac{9}{64}M^2g^2} \\[2.0ex]
&= \sqrt{\left(1 + \frac{9}{64}\right)M^2g^2} \\[2.0ex]
&= \sqrt{\frac{73}{64}M^2g^2} \\[2.0ex]
&= \frac{\sqrt{73}}{8}Mg
\end{aligned}
$$
はしごが倒れも滑りもしないで静止している状態を考えます。このとき、はしごにかかる力は上下左右でつり合い、回転させようとする力(モーメント)もつり合っています。
まず、上下の力のつり合いから、床がはしごを支える垂直な力 \(N\) は、はしごの重さ \(Mg\) と等しいことがわかります。
次に、はしごの下の端B点を回転の中心と考えると、重さ \(Mg\) がはしごを反時計回りに回そうとし、壁が押す力 \(R\) が時計回りに回そうとします。この2つの回転力がつり合っていることから、壁が押す力 \(R\) が計算できます。
左右の力のつり合いから、床の摩擦力 \(F\) は壁が押す力 \(R\) と等しくなります。
最後に、床がはしごを支える力は、垂直な力 \(N\) と摩擦力 \(F\) の合体したものです。この2力は直角なので、三平方の定理で合力の大きさを計算します。
上端Aが壁から受ける抗力の大きさは \(R = \displaystyle\frac{3}{8}Mg\) です。
下端Bが床から受ける抗力(合力)の大きさは \(K_B = \displaystyle\frac{\sqrt{73}}{8}Mg\) となります。
このとき、はしごが滑らないためには \(F \le \mu N\) が満たされている必要があります。\(\frac{3}{8}Mg \le \frac{1}{2}Mg \Rightarrow \frac{3}{8} \le \frac{1}{2}\)。これは成り立っているので、この状態では滑りません。
思考の道筋とポイント
モーメントのつり合いはどの点を回転軸に選んでも成立します。ここでは、壁からの抗力 \(R\) が作用する点Aを回転軸として立式し、主たる解法と同じ結果が得られることを確認します。この場合、\(R\) のモーメントは0になります。
この設問における重要なポイント
- 回転軸として点Aを選ぶ。
- 点Aのまわりのモーメントのつり合いの式を立てる。
- 力のつり合いの式と連立させて未知数を解く。
具体的な解説と立式
点Aのまわりの力のモーメントのつり合いを考えます。
重力 \(Mg\)(反時計回り)と、床からの垂直抗力 \(N\)(時計回り)、床からの摩擦力 \(F\)(時計回り)がつり合います。
$$
\begin{aligned}
(\text{反時計回りのモーメントの和}) &= (\text{時計回りのモーメントの和}) \\
Mg \times (5l \cos\theta) &= N \times (10l \cos\theta) + F \times (10l \sin\theta) \quad \cdots ⑤’
\end{aligned}
$$
この式と、力のつり合いの式①(\(R=F\))、②(\(N=Mg\))を連立させて解きます。
使用した物理公式
- 力のつり合い: \(\sum F_x = 0\), \(\sum F_y = 0\)
- 力のモーメントのつり合い: \(\sum M = 0\)
式⑤’に、式②(\(N=Mg\))と三角比の値を代入します。
$$
\begin{aligned}
Mg \times (5l \cdot \frac{3}{5}) &= (Mg) \times (10l \cdot \frac{3}{5}) + F \times (10l \cdot \frac{4}{5}) \\[2.0ex]
Mg \times 3l &= Mg \times 6l + F \times 8l
\end{aligned}
$$
両辺を \(l\) で割ると、
$$
\begin{aligned}
3Mg &= 6Mg + 8F \\[2.0ex]
8F &= 3Mg – 6Mg \\[2.0ex]
8F &= -3Mg \\[2.0ex]
F &= -\frac{3}{8}Mg
\end{aligned}
$$
ここで得られた負号は、最初に仮定した摩擦力 \(F\) の向き(左向き)が正しかったことを示しています。モーメントの式では、力の向きを仮定して立式するため、このような結果になることがあります。力の大きさとしては \(F = \frac{3}{8}Mg\) です。
式①より \(R=F=\frac{3}{8}Mg\)。
式②より \(N=Mg\)。
これらの値は主たる解法で得られたものと完全に一致します。したがって、床からの抗力の大きさも同じ \(\frac{\sqrt{73}}{8}Mg\) となります。
シーソーのどこに座ってもつり合いが取れるように、モーメントのつり合いはどこを回転の中心に考えても成り立ちます。この別解では、はしごの上端A点を中心に考えてみます。この場合、壁が押す力 \(R\) は回転の中心に働くので、モーメントはゼロになり計算から消えます。代わりに、床からの力 \(N\) と \(F\) がモーメントを持つことになります。このモーメントのつり合いの式と、上下左右の力のつり合いの式を組み合わせることで、同じ答えを導き出すことができます。
回転軸の選び方によって計算の途中経過は変わりますが、最終的な物理量は同じ値になります。未知数が集中する点Bを軸に選んだ主たる解法の方が、計算が簡潔であることがわかります。
問(2)
思考の道筋とポイント
床とはしごの間の静止摩擦係数がある値 \(\mu_0\) より小さいと、はしごは滑ってしまいます。この限界の値 \(\mu_0\) を求めます。
はしごが滑り出す直前には、静止摩擦力 \(F\) が最大静止摩擦力 \(F_{\text{max}} = \mu_0 N\) に等しくなっています。
問(1)で求めた \(F\) と \(N\) の関係を使って、この条件から \(\mu_0\) を求めます。
この設問における重要なポイント
- 滑り出す直前の条件: 静止摩擦力 \(F\) = 最大静止摩擦力 \(F_{\text{max}}\)。
- \(F_{\text{max}} = \mu_0 N\)。
- 問(1)の結果 \(F = \frac{3}{8}Mg\) と \(N = Mg\) を用いる。
具体的な解説と立式
はしごが滑らないためには、静止摩擦力 \(F\) が最大静止摩擦力 \(F_{\text{max}}\) 以下である必要があります。
$$
\begin{aligned}
F &\le \mu N \quad \cdots ⑤
\end{aligned}
$$
ここで \(\mu\) は床とはしごの間の静止摩擦係数です。
はしごが滑り出す限界の静止摩擦係数を \(\mu_0\) とすると、このときちょうど \(F = \mu_0 N\) となります。
問(1)で求めた、人が乗っていない場合の静止摩擦力は \(F = \displaystyle\frac{3}{8}Mg\)、床からの垂直抗力は \(N = Mg\) でした。
これらの値を \(F = \mu_0 N\) に代入すると、
$$
\begin{aligned}
\frac{3}{8}Mg &= \mu_0 (Mg) \quad \cdots ⑥
\end{aligned}
$$
この式から \(\mu_0\) を求めます。
使用した物理公式
- 最大静止摩擦力: \(F_{\text{max}} = \mu N\)
- 滑らない条件: \(F \le F_{\text{max}}\)
式⑥の両辺を \(Mg\) で割ると(\(Mg \neq 0\))、
$$
\begin{aligned}
\mu_0 &= \frac{3}{8}
\end{aligned}
$$
したがって、静止摩擦係数が \(\frac{3}{8}\) より小さいと、はしごは滑ってしまいます。求める値はその限界値 \(\frac{3}{8}\) です。
床のザラザラ具合(静止摩擦係数)が、はしごを支えるのに十分かどうかを考えます。
(1)で、はしごが滑らないためには、床から \(\frac{3}{8}Mg\) の摩擦力が必要だとわかりました。
一方、床が出せる摩擦力の最大値は \(\mu_0 N = \mu_0 Mg\) です。
滑り出すギリギリの状況では、「必要な摩擦力」と「出せる摩擦力の最大値」が等しくなります。
つまり、\(\frac{3}{8}Mg = \mu_0 Mg\) という式が成り立ちます。これを解けば、限界のザラザラ具合 \(\mu_0\) がわかります。
はしごが滑ってしまう限界の静止摩擦係数は \(\mu_0 = \displaystyle\frac{3}{8}\) です。
問題文で与えられている静止摩擦係数 \(\mu = 1/2\) は、\(\frac{1}{2} = \frac{4}{8}\) なので、\(\mu > \mu_0\) です。したがって、(1)の状況でははしごは滑らないことが確認できます。
問(3)
思考の道筋とポイント
質量 \(5M\) の人がはしごを登り、下端Bから \(x\) の距離の所で滑り出す限界になったとします。このとき、床からの静止摩擦力は最大静止摩擦力 \(F’_{\text{max}}\) になっています。
はしごに働く力に人の重力 \(5Mg\) を加え、力のつり合い(水平・鉛直)と、モーメントのつり合い(点Bまわり)の式を立てます。
滑り出す限界なので、\(F’_{\text{max}} = \mu N’ = \frac{1}{2}N’\) の関係も使います。これらの式を連立させて \(x\) を求めます。
この設問における重要なポイント
- 人が乗ったことで、はしごにかかる重力が増え、その作用点も変わる(はしごの重力と人の重力を別々に考える)。
- 滑り出す限界なので、静止摩擦力は最大静止摩擦力 \(F’_{\text{max}} = \mu N’ = \frac{1}{2}N’\)。
- 力のつり合い、モーメントのつり合いの式を立てる。
具体的な解説と立式
人が下端Bから距離 \(x\) の位置にいるとき、はしごに働く力は、
- はしごの重力 \(Mg\)
- 人の重力 \(5Mg\)
- 壁からの垂直抗力 \(R’\)
- 床からの垂直抗力 \(N’\)
- 床からの最大静止摩擦力 \(F’_{\text{max}}\)
力のつり合いの式:
鉛直方向:
$$
\begin{aligned}
N’ &= Mg + 5Mg \\[2.0ex]
&= 6Mg \quad \cdots ⑧
\end{aligned}
$$
滑り出す限界なので、静止摩擦力は最大静止摩擦力に等しく、\(F’_{\text{max}} = \mu N’\)。
問題文より \(\mu = 1/2\) なので、
$$
\begin{aligned}
F’_{\text{max}} &= \frac{1}{2}N’ \quad \cdots ⑨
\end{aligned}
$$
水平方向:
$$
\begin{aligned}
R’ &= F’_{\text{max}} \quad \cdots ⑦
\end{aligned}
$$
点Bのまわりの力のモーメントのつり合い:
$$
\begin{aligned}
(\text{反時計回りのモーメントの和}) &= (\text{時計回りのモーメントの和}) \\[2.0ex]
Mg \times (5l \cos\theta) + 5Mg \times (x \cos\theta) &= R’ \times (10l \sin\theta) \quad \cdots ⑪
\end{aligned}
$$
この連立方程式を \(x\) について解きます。
使用した物理公式
- 力のつり合い: \(\sum F_x = 0\), \(\sum F_y = 0\)
- 力のモーメントのつり合い: \(\sum M = 0\)
- 最大静止摩擦力: \(F_{\text{max}} = \mu N\)
まず、\(N’\) と \(R’\) を求めます。
式⑧より \(N’ = 6Mg\)。
式⑨に代入して \(F’_{\text{max}} = \frac{1}{2}(6Mg) = 3Mg\)。
式⑦より \(R’ = F’_{\text{max}} = 3Mg\)。
次に、モーメントのつり合いの式⑪にこれらの値と角度の値を代入します。
$$
\begin{aligned}
Mg \times (5l \cdot \frac{3}{5}) + 5Mg \times (x \cdot \frac{3}{5}) &= (3Mg) \times (10l \cdot \frac{4}{5}) \\[2.0ex]
Mg \times 3l + 5Mg \times \frac{3}{5}x &= (3Mg) \times 8l \\[2.0ex]
3Mgl + 3Mgx &= 24Mgl
\end{aligned}
$$
両辺を \(Mg\) で割ると、
$$
\begin{aligned}
3l + 3x &= 24l \\[2.0ex]
3x &= 21l \\[2.0ex]
x &= 7l
\end{aligned}
$$
人がはしごを登ると、はしごを反時計回りに回そうとする力(モーメント)が大きくなり、それに伴ってはしごが壁を強く押すようになります。その結果、壁からの押し返す力 \(R’\) が増え、はしごが滑るのを防ぐために必要な摩擦力 \(F’\) も大きくなります。
床の摩擦力には限界があるので、人が登れる距離にも限界があります。
この問題では、その限界、つまり摩擦力が最大値になったときに、人がどこまで登れるかを計算します。力のつり合いとモーメントのつり合いの式を立て、摩擦力が最大値 \(\mu N’\) になったという条件を加えて解けば、限界の距離 \(x\) がわかります。
人は下端Bから \(x=7l\) の距離の所まで登れます。
はしごの長さは \(10l\) なので、\(7l\) ははしごの半分 (\(5l\)) よりも上です。もし計算結果が \(10l\) を超える場合は、はしごの端まで登っても滑らないことを意味しますが、今回は \(7l < 10l\) なので、途中で滑り出す限界があることがわかります。
問(4)
思考の道筋とポイント
人が下端Bから \(2l\) の距離にいるとき、上端Aと下端Bで働く抗力の作用線の交点Pの位置を図中に示します。
この状況では、はしご(人と合わせて一体と考える)に働く力は以下の3つです。
- 壁からの抗力 \(R”\) (点A、水平右向き)
- 床からの抗力(垂直抗力 \(N”\) と静止摩擦力 \(F”\) の合力)(点B)
- はしごと人の合計の重力 (\(6Mg\)) (全体の重心Gに作用)
物体が3つの力でつり合っているとき、それらの力が互いに平行でなければ、3つの力の作用線は1点で交わります。
まず、はしごと人の全体の重心Gの位置を求めます。次に、全体の重力の作用線と、壁からの抗力 \(R”\) の作用線(これは水平線)の交点Pを求めます。床からの抗力の作用線もこの点Pを通ります。
この設問における重要なポイント
- 3つの力がつり合っている場合、作用線は1点で交わる(力が平行でない場合)。
- はしごと人の全体の重心の位置を求める。
- 全体の重力の作用線と壁からの抗力の作用線の交点が求める点P。
具体的な解説と立式
人が下端Bから \(2l\) の距離にいるとします。
はしごの質量は \(M\)、重心はBから \(5l\) の位置。
人の質量は \(5M\)、位置はBから \(2l\) の位置。
はしごと人の全体の重心Gの、下端Bからの距離 \(x_G\) は、重心の公式で求められます。
$$
\begin{aligned}
x_G &= \frac{M \cdot 5l + 5M \cdot 2l}{M + 5M} \quad \cdots ⑫
\end{aligned}
$$
この重心Gを通る鉛直下向きの線が、全体の重力 \(6Mg\) の作用線です。
壁からの抗力 \(R”\) は点Aで水平右向きに働きます。その作用線は、点Aを通る水平線です。
点Pは、この「全体の重力の作用線」と「壁からの抗力の作用線」の交点です。
使用した物理公式
- 重心の公式: \(x_G = \displaystyle\frac{m_1x_1 + m_2x_2 + \dots}{m_1+m_2+\dots}\)
- 3力のつり合いの条件(作用線が1点で交わる)
全体の重心GのBからの距離 \(x_G\) を式⑫で計算します。
$$
\begin{aligned}
x_G &= \frac{5Ml + 10Ml}{6M} \\[2.0ex]
&= \frac{15Ml}{6M} \\[2.0ex]
&= \frac{5}{2}l \\[2.0ex]
&= 2.5l
\end{aligned}
$$
点Pの位置を作図で示すには、
- はしごを描き、点Aと点Bを定める。
- Bから斜面に沿って \(2.5l\) の位置に全体の重心Gをプロットする。
- Gから鉛直下向きに線(重力の作用線)を引く。
- 点Aから水平に線(壁の抗力の作用線)を引く。
- 3と4の交点がPとなる。
はしごには、大きく分けて「壁からの力」「床からの力」「重力(はしごと人の合計)」の3つの力が働いています。物体が3つの力で静止しているとき、それらの力の矢印の延長線は、必ず1点で交わるという性質があります。
この問題では、その交点Pを図に描きなさい、と言われています。
「重力」の作用線は、はしごと人の合わせた重心Gから真下に引いた線です。
「壁からの力」の作用線は、はしごの上端Aから真横に引いた線です。
この2本の線が交わったところが、求める点Pになります。(床からの力も、実はこのP点に向かって働いています。)
点Pの位置は、全体の重心G(下端Bから斜面に沿って \(2.5l\) の点)から鉛直下向きに引いた線と、上端Aから水平に引いた線の交点です。
具体的に座標を計算すると、床の点Bを原点 \((0,0)\) とし、床に沿って右向きをX軸正、鉛直上向きをY軸正とすると、点Pの座標は \((1.5l, 8l)\) となります。
【総まとめ】この一問を未来の得点力へ!完全マスター講座
最重要ポイント:この問題の核心となる物理法則は?
- 剛体のつり合いの条件:
- 核心: この問題は、物体が静止し続けるための2つの絶対条件、「力のつり合い」と「力のモーメントのつり合い」を適用する典型例です。物体が並進も回転もしない状態を数式で記述することが核心となります。
- 理解のポイント:
- 力のつり合い: 物体に働く全ての力をベクトルとして足し合わせるとゼロになる (\(\sum \vec{F} = \vec{0}\))。通常は、水平方向(\(x\))と鉛直方向(\(y\))に分解し、\(\sum F_x = 0\) と \(\sum F_y = 0\) の2本の式を立てます。
- 力のモーメントのつり合い: 任意の点のまわりで、物体を回転させようとする力の効果(モーメント)の総和がゼロになる (\(\sum M = 0\))。反時計回りを正、時計回りを負として計算します。
- 回転軸の任意性: モーメントのつり合いは、どこを回転軸に選んでも成り立ちます。計算を簡単にするため、未知の力が多く集まる点(この問題では点B)を軸に選ぶのがセオリーです。
- 静止摩擦力:
- 核心: 静止摩擦力は「滑るのを防ぐために必要なだけ働く、上限のある力」です。その上限値が最大静止摩擦力 \(F_{\text{max}} = \mu N\) であり、「滑り出す限界」を考えるときにのみ、この等式が成立します。
- 理解のポイント:
- 受動的な力: 静止摩擦力は、何もしなければゼロです。滑らせようとする外力があって初めて発生します。その大きさは、つり合いの式から求められます。
- 限界条件: 「滑り出す」「滑り出す直前」といったキーワードが出てきたら、それは \(F = F_{\text{max}} = \mu N\) を使う合図です。
応用テクニック:似た問題が出たらココを見る!解法の鍵と着眼点
- 応用できる類似問題のパターン:
- 壁や床に角度がついていたり、壁にも摩擦があったりする問題: 力の分解や、未知の摩擦力が追加されるため、式の数が増えますが、基本的な考え方は同じです。
- 物体が倒れる条件を問う問題: 物体が倒れる直前は、床との接地面の端から垂直抗力が作用すると考えます。滑り出す条件と倒れる条件のどちらが先に満たされるかを比較する問題は頻出です。
- 複数の物体が接触し合ってつり合っている系の問題: 各物体について、それぞれ力のつり合いとモーメントのつり合いを考えます。作用・反作用の法則を正しく適用することが重要になります。
- 初見の問題での着眼点:
- 力の図示の徹底: まず、注目する物体(はしご)に働く力を「もれなく」「向きを正しく」図示する。重力、垂直抗力、摩擦力、張力など、考えられる力を全てリストアップします。
- 回転軸の戦略的選択: モーメントのつり合いを考える際、未知の力が多く作用する点や、問題で問われていない力が作用する点を回転軸に選ぶと、それらの力のモーメントが0になり、式が簡単になることが多いです。
- 限界条件の把握: 問題が「滑り出す」「倒れる」「登れる限界」といった限界状態を問うている場合、そのときの物理的条件(静止摩擦力が最大になる、特定の点の垂直抗力が0になるなど)を正確に数式化することが突破口になります。
要注意!ありがちなミス・誤解とその対策
- 力の図示漏れや向きの間違い:
- 誤解: 摩擦力の向きを逆に描いてしまう。壁からの抗力は垂直抗力のみ(滑らかな場合)であることを見落とす。
- 対策: 「物体が受ける力」を意識し、接触している物体から受ける力、遠隔力(重力など)を系統的にリストアップする。摩擦力の向きは「もし摩擦がなかったらどちらに動くか」を考えてその反対向きにします。
- モーメントの腕の長さの計算ミス:
- 誤解: 回転軸から力の作用点までの距離をそのまま腕の長さとしてしまう。
- 対策: 腕の長さは、回転軸から力の「作用線」までの「垂直な」距離であることを常に意識します。図を丁寧に描き、力の作用線と回転軸からの垂線を作図するか、\(M = Fd\sin\phi\) の公式(\(d\)は作用点までの距離、\(\phi\)は角度)を正しく使います。
- 静止摩擦力と最大静止摩擦力の混同:
- 誤解: 静止しているからといって、常に最大静止摩擦力 \(F_{\text{max}} = \mu N\) が働いていると勘違いする。
- 対策: 通常のつり合いでは静止摩擦力を未知数 \(F\) とおき、力のつり合いから求めます。「滑り出す限界」という特別な状況でのみ \(F=\mu N\) を使います。
なぜその公式?論理的な公式選択と適用の思考法
- 力のつり合い (\(\sum F_x = 0, \sum F_y = 0\)):
- 選定理由: 物体が静止または等速直線運動している場合(つまり加速度が0の場合)の基本条件。並進運動のつり合いを記述します。
- 適用根拠: ニュートンの運動の第1法則または第2法則 (\(F=ma\) で \(a=0\))。問題文で「静止している」「立てかけてある」と記述されているため、この法則が適用できます。
- 力のモーメントのつり合い (\(\sum M = 0\)):
- 選定理由: 物体が回転しないで静止している場合(つまり角加速度が0の場合)の基本条件。回転運動のつり合いを記述します。
- 適用根拠: 回転に関する運動方程式 (\(I\alpha = N\)) で角加速度 \(\alpha=0\)。はしごが回転せずに静止しているため、この法則が適用できます。
- 重心の公式 (\(x_G = \frac{\sum m_i x_i}{\sum m_i}\)):
- 選定理由: 複数の質量を持つ物体や、複数の物体を一体とみなしたときの、全体の重力の作用点を特定するために用います。
- 適用根拠: 重力は物体の各部分に働きますが、剛体の力学では、それらの合力が重心に作用すると考えて計算できるため。
計算ミスをなくす!日頃の意識と実践テクニック
- 角度の三角比の正確な使用:
- 特に注意すべき点: \(\cos\theta = 3/5, \sin\theta = 4/5\) を正しく代入する。腕の長さを求める際に \(\cos\theta\) か \(\sin\theta\) かを間違えない。
- 日頃の練習: モーメントを計算する際、腕の長さを図形的に求める練習を積む。回転軸と力の作用点を結ぶ線分を斜辺とする直角三角形を描き、必要な辺の長さを三角比で求める習慣をつけるとミスが減ります。
- 連立方程式の解法:
- 特に注意すべき点: 未知数が複数ある場合、どの式からどの未知数を消去していくか、計画的に解く。
- 日頃の練習: まず、立てた式(力のつり合い2本、モーメントのつり合い1本)と未知数(例:N, F, R)の数を数え、解ける見通しを立てます。どの式がどの未知数を求めるのに最も適しているか(例:モーメントの式でRを求める、鉛直の式でNを求める)を判断する訓練をします。
- 単位長さ \(l\) の扱い:
- 特に注意すべき点: 式の中で \(l\) が正しく約分されるか、残るべきかを確認する。
- 日頃の練習: モーメントの式では、全ての項に長さの次元 \([L]\) が含まれているはずです。計算の最終段階で、両辺の \(l\) がきれいに消えることを確認する癖をつけると、立式ミスに気づきやすくなります。
解きっぱなしはNG!解答の妥当性を吟味する習慣をつけよう
- 得られた答えの物理的妥当性の検討:
- 問(2) \(\mu_0 = 3/8 = 0.375\): 一般的な床と物体の静止摩擦係数として、妥当な範囲の値です。
- 問(3) \(x=7l\): 人がはしごの中点 (\(5l\)) より上に登れるのは、床の摩擦がある程度大きいからです。もし \(\mu\) が限界値の \(\mu_0=3/8\) だったら、人は全く登れない(\(x=0\) で滑る)はずか、などを考えてみます。(実際に \(\mu=3/8\) で計算すると \(x=5l\) となり、人が中点に達した瞬間に滑ることがわかります。)
- 問(4) 点Pの位置: 重い人がはしごの低い位置にいれば、全体の重心は下に寄り、Pの水平位置もBに近づきます。逆に人が高い位置にいれば、Pの水平位置は壁から遠ざかります。このように、条件を変えたときに結果がどう変化するかを想像することは、理解を深める上で非常に有効です。
- 極端な条件での考察:
- もし摩擦が全くなかったら (\(\mu=0\)): モーメントの式③から \(R\) がゼロでない値を持つ一方、力のつり合いの式①から \(F=R\) となり、\(F\) もゼロでない必要があります。しかし \(\mu=0\) なら \(F=0\) でなければならず、矛盾が生じます。つまり、摩擦がないと立てかけられない、という結論が導かれます。
- はしごの角度 \(\theta\) が非常に大きい(ほぼ鉛直)場合: \(\cos\theta \rightarrow 0\), \(\sin\theta \rightarrow 1\)。モーメントの式③から \(R \rightarrow 0\)、よって必要な摩擦力 \(F \rightarrow 0\) となります。これは、はしごを垂直に立てれば滑らないという直感と一致します。
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問題5 (京都大)
【問題の確認】まずは問題文をしっかり読み解こう
この問題は、傾角 \(\theta\) の斜面上に置かれた一様な直方体に、斜面に平行な力 \(F\) を加えたときのつり合いと、その限界(滑り出す条件、倒れ始める条件)について考察するものです。静止摩擦力、力のモーメント、そしてそれらの条件が複雑に絡み合います。
- 物体: 質量 \(M\)[kg]の一様な直方体。図から、斜面に沿った辺の長さを\(a\)[m]、斜面に垂直な方向(高さ)の辺の長さを\(b\)[m]と読み取ります。
- 斜面: 傾角 \(\theta\)。
- 力 \(F\)[N]: 直方体の上端の水平な辺の中央に、斜面に平行に加えられる。
- 静止摩擦係数: Mと斜面の間で \(\mu\)。ただし \(\mu > \tan\theta\)。
- 重力加速度: \(g\)[m/s²]。
- ア: Mが斜面上を滑り始めるためには、力Fは \(F > \text{(ア)}\) [N] を満たす必要がある。
- イ: また、Mが倒れ始めないためには、力Fは \(F \le \text{(イ)}\) [N] を満たさなければならない。
- ウ: したがって、Mを倒れ始めることなく滑らせるためには、これらの条件を同時に満たす力Fを作用させる必要がある。このような力Fが存在するためには \(\frac{a}{b}\) と \(\theta\), \(\mu\) の間に \(\frac{a}{b} > \text{(ウ)}\) が成立する必要がある。
【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド
【注記】本問については、模範解答のアプローチが最も標準的かつ効率的であるため、別解の提示は省略します。
この問題を解くためには、剛体のつり合いの条件、特に「力のつり合い」と「力のモーメントのつり合い」を理解し適用することが不可欠です。また、「滑り出す直前」や「倒れ始める直前」といった限界状態における物理的条件を正確に把握する必要があります。
問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。
- 力のつり合い: 物体に働く力のベクトル和が0であること (\(\sum \vec{F} = \vec{0}\))。斜面に平行な方向と垂直な方向で考えます。
- 力のモーメントのつり合い: 任意の点のまわりの力のモーメントの和が0であること (\(\sum M = 0\))。
- 静止摩擦力: 大きさが \(0 \le f \le \mu N\) の範囲で変化し、滑りを防ぐ向きに働く。滑り出す直前には最大静止摩擦力 \(f_{\text{最大}} = \mu N\) となります。
- 垂直抗力の作用点: 物体が倒れ始める直前には、垂直抗力の作用点が支持面の端に移動します。
基本的なアプローチは以下の通りです。
- アでは、滑り出す直前の力のつり合いを考え、最大静止摩擦力の式を適用します。
- イでは、倒れ始める直前の力のモーメントのつり合いを考えます。このとき、垂直抗力の作用点が回転軸となる角に移動することがポイントです。
- ウでは、アとイで求めた条件を組み合わせ、「倒れる前に滑る」ための条件を不等式で導出します。