基礎CHECK
1 音の波形
【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド
この問題のテーマは「音の3要素(大きさ・高さ・音色)と波形の関係」です。オシロスコープに表示された波形から、音の物理的な性質を読み解く力を養います。
問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。
- 音の大きさ(ラウドネス)と振幅の関係
- 音の高さ(ピッチ)と振動数(周期)の関係
- 音色(ねいろ)と波形の関係
- オシロスコープの波形の見方(横軸が時間、縦軸が変位)
基本的なアプローチは以下の通りです。
- 基準となる波形①を分析し、その周期、振幅、形を把握する。
- 各設問で求められる音の変化(強く、高く、違う音色)が、波形のどの要素(振幅、振動数、形)の変化に対応するかを考える。
- 選択肢②~④の中から、その変化に合致する波形を特定する。
問(1)
思考の道筋とポイント
「より強くたたいた」ときの音の変化を考えます。強くたたくと、音は「大きく」なります。音の物理的な性質のうち、「大きさ」に対応するのは波の「振幅」です。また、「同じおんさ」をたたいているので、音の高さ(振動数)や音色(波形)は変わりません。したがって、基準の波形①と比べて、振動数と波形は同じで、振幅だけが大きくなっている波形を探します。
この設問における重要なポイント
- 音の大きさ ⇔ 振幅: 音が大きいほど、波の振幅(波形の上下の揺れの幅)は大きくなります。
- 音の高さ ⇔ 振動数: 音が高いほど、振動数は大きく(周期は短く)なります。波形は横方向に密になります。
- 音色 ⇔ 波形: 音色が異なると、波形そのものの形が異なります。
- 基準波形①の分析: 周期は横軸4目盛り分、振幅は縦軸2目盛り分、形はきれいな正弦波です。
具体的な解説と立式
「このおんさをより強くたたいたとき」の音は、元の音に比べて「大きい音」になります。
音の大きさは、波の振幅によって決まります。大きい音ほど振幅が大きくなります。
同じおんさなので、音の高さ、すなわち振動数(周期)は変わりません。また、音色、すなわち波形も変わりません。
基準の波形①(周期4目盛り、振幅2目盛り、正弦波)と比較して、各選択肢を吟味します。
- ②: 周期が2目盛りと短くなっているため、音が高くなっている。不適。
- ③: 波形が正弦波ではないため、音色が異なっている。不適。
- ④: 周期は4目盛りで①と同じ、波形も同じ正弦波で、振幅が3目盛りと①より大きくなっている。
以上の比較から、条件に合致するのは④です。
使用した物理公式
- 音の大きさは振幅に比例する。
この問題は計算過程はなく、波形の比較によって解答を導きます。
- 基準①: 周期4目盛り, 振幅2目盛り, 正弦波
- 条件: 周期は同じ, 振幅は大きい, 波形は同じ
- 選択肢④: 周期4目盛り, 振幅3目盛り, 正弦波 → 条件に合致
「強くたたく」と「大きな音」が出ます。オシロスコープの画面では、音の大きさは波の「上下の揺れの幅(振幅)」で表されます。同じおんさなので、音の高さ(波の横方向の混み具合)や音色(波の形)は変わりません。基準の①と比べて、波の形と混み具合は同じで、上下の揺れ幅だけが大きくなっている④が正解です。
問(2)
思考の道筋とポイント
「より高い音の出るおんさ」の波形を考えます。音の「高さ」に対応するのは波の「振動数」です。振動数が大きいほど音は高くなります。オシロスコープの横軸は時間なので、振動数が大きい(=周期が短い)波は、より密に詰まって表示されます。音の大きさ(振幅)については特に指定がないので、基準と同じと考えます。また、「おんさ」なので波形はきれいな正弦波のままです。
この設問における重要なポイント
- 音の高さ ⇔ 振動数: 高い音ほど振動数が大きく、周期(1回の振動にかかる時間)は短くなります。
- 周期と波形表示: オシロスコープ上では、周期が短い波ほど、横方向に圧縮されたように密な波形として表示されます。
- 振動数 \(f\) と周期 \(T\) は \(f=1/T\) の逆数の関係にあります。
具体的な解説と立式
「このおんさより高い音」は、元の音に比べて「振動数が大きい」音です。
振動数が大きいということは、周期(1回の振動にかかる時間)が短いことを意味します。
音の大きさ(振幅)と音色(波形)は、基準の波形①と同じであると考えられます。
基準の波形①(周期4目盛り、振幅2目盛り、正弦波)と比較して、各選択肢を吟味します。
- ②: 周期が2目盛りと①より短く、振幅は2目盛りで①と同じ、波形も同じ正弦波である。
- ③: 周期は4目盛りで①と同じだが、波形が異なる。不適。
- ④: 周期は4目盛りで①と同じだが、振幅が大きい。不適。
以上の比較から、条件に合致するのは②です。
使用した物理公式
- 音の高さは振動数に比例する。
この問題は計算過程はなく、波形の比較によって解答を導きます。
- 基準①: 周期4目盛り, 振幅2目盛り, 正弦波
- 条件: 周期は短い, 振幅は同じ, 波形は同じ
- 選択肢②: 周期2目盛り, 振幅2目盛り, 正弦波 → 条件に合致
「高い音」は、波が「せかせか」とたくさん振動している状態です。オシロスコープの画面では、音の高さは波の「横方向の混み具合(振動数)」で表されます。高い音ほど波がギューッと詰まって見えます。基準の①と比べて、波の上下の揺れ幅(大きさ)や形(音色)は同じで、横方向の混み具合だけが密になっている②が正解です。
問(3)
思考の道筋とポイント
「おんさとは異なる音色」の波形を考えます。音の「音色」に対応するのは「波形」そのものです。おんさの音は倍音をほとんど含まない純粋な音であるため、その波形はきれいな「正弦波」になります。したがって、おんさとは異なる音色の音は、正弦波ではない、より複雑な形をした波形を持つと考えられます。
この設問における重要なポイント
- 音色 ⇔ 波形: 音の個性を特徴づける音色は、波の形で決まります。
- おんさの波形: おんさの出す音は基本音(最も振動数の小さい音)が主成分であるため、その波形は非常にきれいな正弦波に近くなります。
- 他の音源の波形: 楽器や人の声などは、基本音に加えて様々な倍音(振動数が整数倍の音)が含まれているため、波形は正弦波からずれた複雑な形になります。
具体的な解説と立式
「音色」は、波の「形」によって決まります。
基準となるおんさの音の波形①は、きれいな正弦波です。
おんさとは異なる音色の音は、この正弦波とは異なる、より複雑な波形を持つはずです。
選択肢の中から、正弦波ではない波形を選びます。
- ②: きれいな正弦波。おんさの音と考えられる。
- ③: 周期や振幅は①と似ているが、波の形がギザギザしており、正弦波ではない。
- ④: きれいな正弦波。おんさの音と考えられる。
したがって、おんさとは異なる音色を持つ波形は③です。
使用した物理公式
- 音色は波形によって決まる。
この問題は計算過程はなく、波形の比較によって解答を導きます。
- 基準①: 正弦波
- 条件: 正弦波ではない波形
- 選択肢③: 非正弦波 → 条件に合致
「音色」とは、同じ「ド」の音でも、ピアノとバイオリンで聞こえ方が違う、といった音の個性や響きの違いのことです。この音の個性は、波の「形」で決まります。おんさの音は、とてもシンプルで純粋な「きれいなカーブ(正弦波)」を描きます(①がその例)。これに対して、他の楽器の音などは、もっと複雑なギザギザした形になります。選択肢の中で、①のようなきれいなカーブではない、ギザギザした形の③が、おんさとは違う音色の波形ということになります。
2 音の速さ
【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド
この問題のテーマは「気温と音の速さの関係式を用いた計算」です。与えられた公式に数値を代入し、指定された条件で計算する、基本的な問題です。
問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。
- 音の速さが温度に依存することの理解。
- 与えられた公式 \(V = 331.5 + 0.6t\) の意味を理解し、正しく使用すること。
- 基本的な代入計算と、乗算・加算の順序。
- 問題の指示に従って、指定された桁数へ四捨五入する処理。
基本的なアプローチは以下の通りです。
- 問題文で与えられた音速と温度の関係式を確認する。
- 関係式に、指定された温度の値 \(t=15\) を代入する。
- 計算結果を、指示に従って小数点以下で四捨五入し、整数で答える。
思考の道筋とポイント
この問題は、物理法則の深い理解を問うというよりは、与えられた情報を正しく使って計算できるかを確認するものです。問題文で音の速さ \(V\) と気温 \(t\) の関係式 \(V = 331.5 + 0.6t\) が親切に与えられているので、やるべきことは明確です。指定された気温 \(t=15\) をこの式に代入し、計算を進めるだけです。計算ミスをしないことと、最後の「小数点以下を四捨五入」という指示を見落とさないことが重要です。
この設問における重要なポイント
- 音速と温度の関係式: \(V = 331.5 + 0.6t\) は、空気中の音速を近似する有名な公式です。
- \(331.5 \, \text{m/s}\): この値は、気温が \(0\)℃ のときの音の速さを表します。
- \(+ 0.6t\) の項: この項は、気温が \(1\)℃ 上昇するごとに、音の速さが約 \(0.6 \, \text{m/s}\) ずつ増加することを示しています。
- 四捨五入: 「小数点以下を四捨五入して求めよ」という指示は、計算結果の小数点第一位の数字を見て、その数が4以下なら切り捨て、5以上なら切り上げて整数にすることを意味します。
具体的な解説と立式
問題で与えられた、気温 \(t\) [℃] と大気中の音の速さ \(V\) [m/s] の関係式は以下の通りです。
$$ V = 331.5 + 0.6t $$
この式に、問題で指定された気温 \(t = 15\) ℃ を代入して、音の速さ \(V\) を求めます。
使用した物理公式
- 音の速さと温度の関係式: \(V = 331.5 + 0.6t\)
与えられた式に \(t=15\) を代入します。
$$
\begin{aligned}
V &= 331.5 + 0.6 \times 15 \\[2.0ex]&= 331.5 + 9.0 \\[2.0ex]&= 340.5
\end{aligned}
$$
計算結果は \(340.5 \, \text{m/s}\) となりました。問題の指示に従い、この値の小数点以下を四捨五入します。小数点第一位の数字は「5」なので、切り上げます。
$$ 340.5 \rightarrow 341 $$
よって、求める音の速さは \(341 \, \text{m/s}\) となります。
この問題は、料理のレシピに材料を入れる作業とよく似ています。
「音の速さ \(V = 331.5 + 0.6 \times (\text{気温})\)」というレシピ(公式)が問題文に書かれています。
そして、「気温は \(15\)℃ です」と材料が指定されています。
やることは、レシピの「気温」のところに、指定された \(15\) を入れるだけです。
計算すると、まず掛け算から \(0.6 \times 15 = 9.0\)。
次に足し算をして \(331.5 + 9.0 = 340.5\)。
最後に、問題に「小数点以下を四捨五入して」というおまけの指示があるので、\(340.5\) の小数点第一位の「5」を切り上げて、答えは \(341\) となります。
3 うなり
【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド
この問題のテーマは「うなりの振動数の計算」です。振動数がわずかに異なる2つの音を同時に鳴らしたときに生じる「うなり」の回数を、公式を用いて計算します。
問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。
- うなりの定義: 振動数がわずかに異なる2つの音波が干渉し、音の強弱が周期的に変化する現象。
- うなり振動数の公式: 1秒あたりのうなりの回数(うなり振動数)は、2つの音の振動数の差の絶対値に等しい。
- 振動数の単位ヘルツ(Hz)の意味: 1秒あたりの振動回数を表す。
基本的なアプローチは以下の通りです。
- 問題文から、2つの音源の振動数をそれぞれ特定する。
- うなり振動数を求める公式に、2つの振動数の値を代入する。
- 計算結果が「毎秒のうなりの回数」となることを確認して解答する。
思考の道筋とポイント
問題で問われている「うなりは毎秒何回聞こえるか」は、物理用語でいう「うなり振動数」を求めることに他なりません。うなり振動数は、2つの音の振動数の差を計算するだけで簡単に求めることができます。この基本公式を正しく適用することが、この問題を解くための全てです。
この設問における重要なポイント
- うなり: 2つの波が重なり合うことで、合成波の振幅が周期的に大きくなったり小さくなったりする現象です。この振幅の変化が、耳には音の強弱の周期的な変化「ワーン、ワーン…」として聞こえます。
- うなり振動数 \(f\): 1秒間にうなりが聞こえる回数のことです。単位は回/秒、すなわちヘルツ(Hz)です。
- 公式: 2つの音の振動数をそれぞれ \(f_1\), \(f_2\) とすると、うなり振動数 \(f\) は、その差の絶対値で与えられます。
$$ f = |f_1 – f_2| $$ - 絶対値の重要性: うなりの回数は常に正の値であるため、必ず絶対値をとります。\(|502 – 500|\) でも \(|500 – 502|\) でも、結果は同じ \(2\) となります。
具体的な解説と立式
2つのおんさの振動数をそれぞれ \(f_1\), \(f_2\) とします。
問題文より、
$$ f_1 = 500 \, \text{Hz} $$
$$ f_2 = 502 \, \text{Hz} $$
と与えられています。
毎秒に聞こえるうなりの回数、すなわちうなり振動数 \(f\) は、これらの振動数の差の絶対値として計算されます。
$$ f = |f_2 – f_1| $$
使用した物理公式
- うなり振動数の公式: \(f = |f_1 – f_2|\)
上記の公式に、与えられた振動数の値を代入します。
$$
\begin{aligned}
f &= |f_2 – f_1| \\[2.0ex]&= |502 – 500| \\[2.0ex]&= 2
\end{aligned}
$$
うなり振動数の単位はヘルツ(Hz)なので、\(f = 2 \, \text{Hz}\) となります。これは、1秒間に2回うなりが聞こえることを意味します。
「うなり」とは、少しだけ高さが違う2つの音を一緒に聞くと、「ワーン、ワーン」と音が大きくなったり小さくなったりして聞こえる現象のことです。
1秒間に何回「ワーン」と聞こえるかを知る方法はとても簡単で、2つの音の振動数(1秒間に空気が震える回数)を引き算するだけです。
この問題では、2つの音の振動数が \(502\) 回と \(500\) 回なので、その差は \(502 – 500 = 2\) となります。
したがって、うなりは毎秒2回聞こえます。
4 弦の振動
【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド
この問題のテーマは「弦に生じる定在波の基本振動」です。弦の長さと基本振動の波長の関係を理解し、波の基本式を用いて振動数を計算することが求められます。
問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。
- 定在波(定常波)の概念と、腹・節の理解。
- 弦の振動における「基本振動」がどのような振動モードかを把握すること。
- 基本振動の波形と弦の長さの関係。
- 波の基本式 \(v = f\lambda\)。
基本的なアプローチは以下の通りです。
- まず、基本振動の図から、弦の長さ \(L\) と波長 \(\lambda_1\) の関係式を立て、波長 \(\lambda_1\) を求める。
- 次に、波の基本式 \(v = f_1 \lambda_1\) に、与えられた速さ \(v\) と上で求めた波長 \(\lambda_1\) を代入し、振動数 \(f_1\) を計算する。
思考の道筋とポイント
この問題は、弦の振動の中でも最も基本的な「基本振動」について扱っています。「基本振動」とは、弦全体が1つの大きな腹となって振動する、最もシンプルで振動数が最も小さい振動モードです。
まず、この基本振動の様子を図から読み取り、弦の長さ \(L\) が定在波の波長 \(\lambda_1\) のちょうど半分に相当することを見抜くことが第一のステップです。
波長 \(\lambda_1\) が求まれば、あとは物理学で最も基本的な関係式の一つである「波の基本式 \(v=f\lambda\)」を用いて、振動数 \(f_1\) を計算するだけです。
この設問における重要なポイント
- 定在波: 逆向きに進む同じ波(この場合は弦の両端で反射してくる波)が重なり合ってできる、その場に止まって振動しているように見える波のことです。
- 節と腹: 定在波において、全く振動しない点を「節」、最も大きく振動する点を「腹」と呼びます。弦の振動では、固定された両端は必ず節になります。
- 基本振動: 両端が節となり、その間に腹が1つだけ存在する最も単純な振動モードです。このときの振動数を基本振動数、波長を基本波長と呼びます。
- 弦の長さ \(L\) と波長 \(\lambda_1\) の関係: 基本振動では、弦の長さ \(L\) は、定在波の波長 \(\lambda_1\) のちょうど半分になります。数式で表すと \(L = \displaystyle\frac{\lambda_1}{2}\) です。
- 波の基本式: 波の速さ \(v\)、振動数 \(f\)、波長 \(\lambda\) の間には、常に \(v = f\lambda\) という関係が成り立ちます。
具体的な解説と立式
1. 基本振動の波長 \(\lambda_1\) の計算
問題の図は、弦の基本振動の様子を示しています。基本振動では、弦の長さ \(L\) が、定在波の波長 \(\lambda_1\) の半分に等しくなります。
弦の長さは \(L = 1.0 \, \text{m}\) なので、以下の関係式が成り立ちます。
$$ L = \displaystyle\frac{\lambda_1}{2} $$
2. 基本振動の振動数 \(f_1\) の計算
弦を伝わる波の速さ \(v\)、基本振動数 \(f_1\)、基本波長 \(\lambda_1\) の間には、波の基本式が成り立ちます。
$$ v = f_1 \lambda_1 $$
この式を \(f_1\) について解くことで、振動数を求めることができます。
使用した物理公式
- 基本振動の条件: \(L = \displaystyle\frac{\lambda_1}{2}\)
- 波の基本式: \(v = f\lambda\)
波長 \(\lambda_1\) の計算
\(L = \displaystyle\frac{\lambda_1}{2}\) に、\(L = 1.0 \, \text{m}\) を代入します。
$$
\begin{aligned}
1.0 &= \displaystyle\frac{\lambda_1}{2} \\[2.0ex]\lambda_1 &= 1.0 \times 2 \\[2.0ex]&= 2.0 \, (\text{m})
\end{aligned}
$$
振動数 \(f_1\) の計算
波の基本式 \(v = f_1 \lambda_1\) に、与えられた速さ \(v = 50 \, \text{m/s}\) と、上で求めた波長 \(\lambda_1 = 2.0 \, \text{m}\) を代入します。
$$
\begin{aligned}
50 &= f_1 \times 2.0 \\[2.0ex]f_1 &= \displaystyle\frac{50}{2.0} \\[2.0ex]&= 25 \, (\text{Hz})
\end{aligned}
$$
波長の求め方
ギターの弦が一番シンプルに「ブーン」と震えるとき(基本振動)、弦の形は波1つ分の「山」の部分だけに見えます。波というのは「山」と「谷」がセットになって初めて1つ分なので、このときの波の長さ(波長)は、見えている弦の長さのちょうど2倍になります。
弦の長さが \(1.0 \, \text{m}\) なので、波長は \(1.0 \times 2 = 2.0 \, \text{m}\) となります。
振動数の求め方
振動数(1秒間に何回震えるか)は、「速さ ÷ 波長」という簡単な式で計算できます。
問題文から、波の速さは \(50 \, \text{m/s}\)、そして先ほど計算した波長は \(2.0 \, \text{m}\) です。
したがって、振動数は \(50 \div 2.0 = 25\) となります。単位はヘルツ(Hz)なので、答えは \(25 \, \text{Hz}\) です。
5 気柱の振動
【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド
この問題のテーマは「閉管と開管における気柱の基本振動」です。管の端の状態(開いているか閉じているか)によって定在波の様子がどう変わるかを理解し、それぞれの基本振動の波長と振動数を計算します。
問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。
- 気柱の定在波における腹と節の位置(開口端は腹、閉口端は節)。
- 閉管の基本振動の波長と管の長さの関係。
- 開管の基本振動の波長と管の長さの関係。
- 波の基本式 \(V = f\lambda\)。
基本的なアプローチは以下の通りです。
- 各場合(閉管・開管)について、基本振動の定在波の様子を考える。
- 管の長さ \(L\) と波長 \(\lambda_1\) の関係式を立て、\(\lambda_1\) を計算する。
- 波の基本式 \(V = f_1 \lambda_1\) を用いて、振動数 \(f_1\) を計算する。
- 最後に有効数字2桁に整理する。
問(1) 閉管の場合
思考の道筋とポイント
まず「閉管」の基本振動について考えます。閉管とは、管の一方の端が閉じていて、もう一方が開いている管のことです。気柱の振動では、空気の振動が妨げられる閉口端が「節」、空気が自由に出入りできる開口端が「腹」となります。基本振動は、この条件を満たす最も単純な(波長の最も長い)定在波です。この定在波の形から、管の長さ \(L\) と波長 \(\lambda_1\) の関係を導き、波長を計算します。その後、波の基本式を使って振動数を求めます。
この設問における重要なポイント
- 閉管の定在波: 開口端が腹、閉口端が節。
- 基本振動の波形: 管の中に、節と腹が1つずつ存在する形になります。これは、定在波の波長のちょうど \(1/4\) の部分に相当します。
- 関係式: 管の長さを \(L\)、基本振動の波長を \(\lambda_1\) とすると、\(L = \displaystyle\frac{1}{4}\lambda_1\) が成り立ちます。したがって、\(\lambda_1 = 4L\) となります。
- 波の基本式: \(V = f_1 \lambda_1\)。
- 有効数字: 問題の指示に従い、最終的な答えは2桁でまとめます。
具体的な解説と立式
1. 波長 \(\lambda_1\) の計算
閉管の基本振動では、管の長さ \(L\) は波長 \(\lambda_1\) の \(1/4\) に相当します。
$$ L = \displaystyle\frac{1}{4}\lambda_1 $$
したがって、波長 \(\lambda_1\) は管の長さ \(L\) の4倍となります。
$$ \lambda_1 = 4L $$
2. 振動数 \(f_1\) の計算
音の速さ \(V\)、振動数 \(f_1\)、波長 \(\lambda_1\) の間には、波の基本式が成り立ちます。
$$ V = f_1 \lambda_1 $$
使用した物理公式
- 閉管の基本振動の条件: \(L = \displaystyle\frac{1}{4}\lambda_1\)
- 波の基本式: \(V = f\lambda\)
波長 \(\lambda_1\) の計算
管の長さ \(L = 0.30 \, \text{m}\) を代入します。
$$
\begin{aligned}
\lambda_1 &= 4 \times 0.30 \\[2.0ex]&= 1.2 \, (\text{m})
\end{aligned}
$$
振動数 \(f_1\) の計算
\(V = 336 \, \text{m/s}\) と上で求めた \(\lambda_1 = 1.2 \, \text{m}\) を波の基本式に代入します。
$$
\begin{aligned}
336 &= f_1 \times 1.2 \\[2.0ex]f_1 &= \displaystyle\frac{336}{1.2} \\[2.0ex]&= \displaystyle\frac{3360}{12} \\[2.0ex]&= 280
\end{aligned}
$$
これを有効数字2桁で表すと \(2.8 \times 10^2 \, \text{Hz}\) となります。
閉じた管(閉管)で一番低い音(基本振動)が出るとき、管の中には波の「4分の1」だけが入っているとイメージしてください。
- 波長: 波全体の長さ(波長)は、管の長さの4倍になります。管の長さが \(0.30 \, \text{m}\) なので、波長は \(0.30 \times 4 = 1.2 \, \text{m}\) です。
- 振動数: 振動数は「速さ ÷ 波長」で計算できます。\(336 \div 1.2 = 280\) となります。問題の指示で「有効数字2桁」とあるので、\(2.8 \times 10^2\) と書き直して答えます。
問(2) 開管の場合
思考の道筋とポイント
次に「開管」の基本振動について考えます。開管とは、管の両端が開いている管のことです。この場合、両方の開口端が「腹」となります。基本振動は、この条件を満たす最も単純な定在波で、両端が腹、中央に節が1つ存在する形になります。この定在波の形から、管の長さ \(L\) と波長 \(\lambda_1\) の関係を導き、波長を計算します。その後、同様に波の基本式を使って振動数を求めます。
この設問における重要なポイント
- 開管の定在波: 両端の開口端が腹。
- 基本振動の波形: 管の中に、腹が2つ、節が1つ存在する形になります。これは、定在波の波長のちょうど \(1/2\) の部分に相当します。
- 関係式: 管の長さを \(L\)、基本振動の波長を \(\lambda_1\) とすると、\(L = \displaystyle\frac{1}{2}\lambda_1\) が成り立ちます。したがって、\(\lambda_1 = 2L\) となります。
- 波の基本式: \(V = f_1 \lambda_1\)。
- 有効数字: 最終的な答えは2桁でまとめます。
具体的な解説と立式
1. 波長 \(\lambda_1\) の計算
開管の基本振動では、管の長さ \(L\) は波長 \(\lambda_1\) の \(1/2\) に相当します。
$$ L = \displaystyle\frac{1}{2}\lambda_1 $$
したがって、波長 \(\lambda_1\) は管の長さ \(L\) の2倍となります。
$$ \lambda_1 = 2L $$
2. 振動数 \(f_1\) の計算
音の速さ \(V\)、振動数 \(f_1\)、波長 \(\lambda_1\) の間には、波の基本式が成り立ちます。
$$ V = f_1 \lambda_1 $$
使用した物理公式
- 開管の基本振動の条件: \(L = \displaystyle\frac{1}{2}\lambda_1\)
- 波の基本式: \(V = f\lambda\)
波長 \(\lambda_1\) の計算
管の長さ \(L = 0.30 \, \text{m}\) を代入します。
$$
\begin{aligned}
\lambda_1 &= 2 \times 0.30 \\[2.0ex]&= 0.60 \, (\text{m})
\end{aligned}
$$
振動数 \(f_1\) の計算
\(V = 336 \, \text{m/s}\) と上で求めた \(\lambda_1 = 0.60 \, \text{m}\) を波の基本式に代入します。
$$
\begin{aligned}
336 &= f_1 \times 0.60 \\[2.0ex]f_1 &= \displaystyle\frac{336}{0.60} \\[2.0ex]&= \displaystyle\frac{33600}{60} \\[2.0ex]&= 560
\end{aligned}
$$
これを有効数字2桁で表すと \(5.6 \times 10^2 \, \text{Hz}\) となります。
両端が開いた管(開管)で一番低い音(基本振動)が出るとき、管の中には波の「半分」だけが入っているとイメージしてください。
- 波長: 波全体の長さ(波長)は、管の長さの2倍になります。管の長さが \(0.30 \, \text{m}\) なので、波長は \(0.30 \times 2 = 0.60 \, \text{m}\) です。
- 振動数: 振動数は「速さ ÷ 波長」で計算できます。\(336 \div 0.60 = 560\) となります。問題の指示で「有効数字2桁」とあるので、\(5.6 \times 10^2\) と書き直して答えます。
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