「リードα 物理基礎・物理 改訂版」徹底解説!【第1章】基本問題7~16

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基本問題

7 相対速度

【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド

この問題のテーマは「相対速度」です。動いている物体から別の動いている物体を見たとき、それがどのように見えるか(見かけの速度)を扱う、相対運動の基本問題です。

  1. 相対速度: ある物体(観測者)から見た、別の物体の速度のこと。
  2. 相対速度の公式: 観測者Aから見た物体Bの相対速度を \(v_{AB}\) とすると、\(v_{AB} = v_B – v_A\) という関係が成り立ちます。これは「(相手の速度)-(自分の速度)」と覚えます。
  3. 座標軸の設定と符号: 直線上の運動では、一方の向きを正(例:東向きを正)と定めることで、速度の向きをプラス・マイナスの符号で表すことができます。これにより、ベクトルの計算が簡単な代数計算になります。
  4. 作用・反作用との類似性: Aから見たBの速度 \(v_{AB}\) と、Bから見たAの速度 \(v_{BA}\) は、大きさが同じで向きが逆になります。(\(v_{BA} = -v_{AB}\))

基本的なアプローチは以下の通りです。

  1. まず、東向きを正として座標軸を設定し、問題文で与えられた各物体の速度を符号付きで表します。
  2. (1)と(2)では、相対速度の公式 \(v_{AB} = v_B – v_A\) に値を代入して、相対速度を計算します。計算結果の符号から向きを判断します。
  3. (3)では、相対速度が与えられているので、公式に既知の値を代入し、未知の速度 \(v_C\) を求める方程式として解きます。

問(1)

思考の道筋とポイント
「Aから見たBの速度」を求める問題です。観測者はA、観測される相手はBです。互いに逆向きに動いているため、Aから見るとBは非常に速く遠ざかっていくように見えるはずです。この直感を、相対速度の公式を用いて定量的に計算します。
この設問における重要なポイント

  • 相対速度の公式は「相手の速度 – 自分の速度」。
  • 計算の前に、基準となる向き(正の向き)を定め、各物体の速度を符号で表す。

具体的な解説と立式
まず、東向きを正の向きと定めます。すると、各物体の速度は以下のように表せます。

  • 列車Aの速度 \(v_A\): 西向きに \(30 \text{ m/s}\) なので、\(v_A = -30 \text{ m/s}\)
  • 自動車Bの速度 \(v_B\): 東向きに \(15 \text{ m/s}\) なので、\(v_B = +15 \text{ m/s}\)

Aから見たBの速度 \(v_{AB}\) は、相対速度の公式より、
$$ v_{AB} = v_B – v_A $$

使用した物理公式

  • 相対速度の公式: \(v_{AB} = v_B – v_A\)
計算過程

各値を式に代入して計算します。
$$
\begin{aligned}
v_{AB} &= (+15) – (-30) \\[2.0ex]
&= 15 + 30 \\[2.0ex]
&= +45 \text{ [m/s]}
\end{aligned}
$$

平易な説明

自分が西向きに秒速30mで進んでいる列車Aに乗っていると想像してください。地面に静止している木でさえ、自分から見れば東向きに秒速30mで遠ざかって見えます。それに加えて、自動車Bは実際に東向きに秒速15mで走っています。したがって、Aから見ると、Bは「自分が動いていることによる見かけの速さ」と「B自身の速さ」が合わさって、東向きに \(30 + 15 = 45\) m/s という猛スピードで遠ざかっていくように見えます。

結論と吟味

計算結果は \(+45 \text{ m/s}\) となりました。正の向きは東向きと定めたので、答えは「東向きに \(45 \text{ m/s}\)」となります。互いに反対方向に進む物体どうしがすれ違うとき、その相対的な速さは各々の速さの和になる、という直感とも一致しており、結果は妥当です。

解答 (1) 東向きに \(45 \text{ m/s}\)

問(2)

思考の道筋とポイント
「Bから見たAの速度」を求める問題です。(1)とは観測者と相手が入れ替わっています。Aから見てBが東へ遠ざかるなら、Bから見ればAは西へ遠ざかるはずです。この関係性を数式で確認します。
この設問における重要なポイント

  • 観測者がB、相手がAなので、公式は \(v_{BA} = v_A – v_B\) となる。
  • Aから見たBの速度と、Bから見たAの速度は、大きさが等しく向きが逆になる (\(v_{BA} = -v_{AB}\))。

具体的な解説と立式
東向きを正とする設定は(1)と同じです。

  • 列車Aの速度 \(v_A = -30 \text{ m/s}\)
  • 自動車Bの速度 \(v_B = +15 \text{ m/s}\)

Bから見たAの速度 \(v_{BA}\) は、相対速度の公式より、
$$ v_{BA} = v_A – v_B $$

使用した物理公式

  • 相対速度の公式: \(v_{BA} = v_A – v_B\)
計算過程

各値を式に代入して計算します。
$$
\begin{aligned}
v_{BA} &= (-30) – (+15) \\[2.0ex]
&= -30 – 15 \\[2.0ex]
&= -45 \text{ [m/s]}
\end{aligned}
$$

平易な説明

(1)の状況を、今度は自動車Bの運転席から見てみましょう。Aから見てBが「東向きに45m/s」で遠ざかるということは、Bから見れば、Aは全く逆の「西向きに45m/s」で遠ざかっていくはずです。

結論と吟味

計算結果は \(-45 \text{ m/s}\) となりました。負の向きは西向きと定めたので、答えは「西向きに \(45 \text{ m/s}\)」となります。(1)の答えと大きさが同じで向きだけが逆になっており、物理的に正しい関係です。

解答 (2) 西向きに \(45 \text{ m/s}\)

問(3)

思考の道筋とポイント
今度は相対速度が与えられており、それをもとに自動車Cの地面に対する速度(絶対速度)を求める問題です。相対速度の公式を、未知数 \(v_C\) を含む方程式として扱い、解を求めます。
この設問における重要なポイント

  • 与えられた相対速度の情報を、設定した座標軸の符号に正しく変換する。
  • 相対速度の公式に既知の値をすべて代入し、未知数についての方程式を立てる。

具体的な解説と立式
東向きを正とする設定は同じです。

  • 列車Aの速度 \(v_A = -30 \text{ m/s}\)
  • Cから見たAの速度 \(v_{CA}\) は「西向きに \(10 \text{ m/s}\)」なので、\(v_{CA} = -10 \text{ m/s}\)
  • 求める自動車Cの速度を \(v_C\) とします。

相対速度の公式 \(v_{CA} = v_A – v_C\) に、これらの値を代入します。
$$ -10 = (-30) – v_C $$
この方程式を \(v_C\) について解きます。

使用した物理公式

  • 相対速度の公式: \(v_{CA} = v_A – v_C\)
計算過程

方程式を \(v_C\) について解きます。
$$
\begin{aligned}
-10 &= -30 – v_C \\[2.0ex]
v_C &= -30 – (-10) \\[2.0ex]
v_C &= -30 + 10 \\[2.0ex]
v_C &= -20 \text{ [m/s]}
\end{aligned}
$$

平易な説明

Cから見ると、Aは西向きに秒速10mで遠ざかって見えます。しかし、Aは地面に対しては西向きに秒速30mというもっと速いスピードで走っています。Aが「思ったより遅く」見えるのは、C自身もAと同じ西向きに追いかけているからです。その速度の差が10m/sなので、Cの速さはAの速さより10m/sだけ遅い、つまり西向きに \(30 – 10 = 20\) m/sの速さで走っているとわかります。

結論と吟味

計算結果は \(-20 \text{ m/s}\) となりました。負の向きは西向きなので、答えは「西向きに \(20 \text{ m/s}\)」となります。
この結果が正しいか検算してみましょう。もしCが西向きに20m/sで走っているなら、Cから見たAの速度は \(v_A – v_C = (-30) – (-20) = -10 \text{ m/s}\) となり、問題文の「西向きに10m/s」という条件と一致します。

解答 (3) 西向きに \(20 \text{ m/s}\)

【総まとめ】この一問を未来の得点力へ!完全マスター講座

最重要ポイント:この問題の核心となる物理法則は?
  • 相対速度の公式:
    • 核心: 「観測者Aから見た物体Bの相対速度 \(v_{AB}\)」は、「Bの(地面に対する)速度 \(v_B\)」から「Aの(地面に対する)速度 \(v_A\)」を引いたものである、という公式 \(v_{AB} = v_B – v_A\) を理解し、使いこなすことが全てです。
    • 理解のポイント:
      • 言葉と式を正確に対応させること。「Aから見たBの速度」と言われたら、添字を \(v_{AB}\) とし、式は \(v_B – v_A\) となります。「〜から見た」の「〜」が引かれる方(基準)です。
      • この式はベクトル式なので、1次元の運動では、あらかじめ設定した座標軸の向き(例:東向きを正)に従って、各速度を符号付きのスカラー量として扱うことが重要です。
  • 速度の相対性:
    • 核心: 速度は絶対的なものではなく、誰(どの座標系)から見るかによって変わる相対的な量であるという概念を理解すること。
    • 理解のポイント:
      • 問題文で与えられる速度は、特に断りがなければ「地面」という静止した基準から見た速度(絶対速度)です。
      • 相対速度は、動いている観測者という「動く座標系」から見た速度と言い換えることができます。
応用テクニック:似た問題が出たらココを見る!解法の鍵と着眼点
  • 応用できる類似問題のパターン:
    • 2次元の相対速度: 互いに直角やある角度をなして進む2物体の相対速度を求める問題。この場合、\(v_{AB} = v_B – v_A\) をベクトルの引き算として図示し、三平方の定理や余弦定理を用いて解くことになります。
    • 衝突問題: 衝突する2物体の一方から見たもう一方の物体の運動を考えることで、問題が簡単になる場合があります(重心座標系)。
    • ドップラー効果: 音源や観測者が動くことで音の振動数が変わって聞こえる現象も、音速と物体速度の相対的な関係が基礎となっています。
  • 初見の問題での着眼点:
    1. 誰が観測者か?: 問題文の「〜から見た」という表現に注目し、誰が観測者(基準)で、誰が観測される相手なのかを明確にします。
    2. 座標軸を設定する: 東向きを正、西向きを負など、自分で座標軸を決め、そのことを答案に明記します。
    3. 全ての速度を符号付きでリストアップする: 問題文にある全ての速度と、求めたい未知の速度を、設定した座標軸に従って符号付きで書き出します。(例: \(v_A = -30\), \(v_B = +15\), \(v_{CA} = -10\))
    4. 公式に代入する: リストアップした値を、相対速度の公式 \(v_{AB} = v_B – v_A\) に機械的に代入します。これにより、足し算か引き算かといった混乱を避けられます。
要注意!ありがちなミス・誤解とその対策
  • 引く順番の間違い:
    • 誤解: 「Aから見たBの速度」を計算するのに、\(v_A – v_B\) と計算してしまう。
    • 対策: 「(相手)-(自分)」または「(見られる方)-(見る方)」というルールを徹底します。言葉の順番(AからB)と式の添字の順番(AB)を合わせ、式の右辺は添字をひっくり返して引き算(B-A)と覚えるのも有効です。
  • 符号の扱いミス:
    • 誤解: (1)で \(v_{AB} = 15 – 30 = -15\) のように、\(v_A\) の負号を考慮し忘れる。または、(3)で \(v_C = -30 – 10 = -40\) のように、移項の際の符号変化を間違える。
    • 対策: 速度を代入する際は、必ず括弧をつけて代入する癖をつける(例: \((+15) – (-30)\))。これにより、マイナスとマイナスが重なる場合の計算ミスを防げます。方程式を解く際も、焦らず一行ずつ丁寧に式変形することが重要です。
  • 直感による誤った計算:
    • 誤解: (1)で、すれ違うから速さの差だろうと考え、\(30 – 15 = 15\) と計算してしまう。
    • 対策: 直感はあくまで検算や理解の助けに留め、計算自体は必ず公式に忠実に従う。特に相対速度では、直感が外れることも多いため、座標軸を設定して機械的に計算する方が安全です。
なぜその公式?論理的な公式選択と適用の思考法
  • 相対速度の公式 (\(v_{AB} = v_B – v_A\)):
    • 選定理由: この問題は「Aから見たBの速度」のように、ある物体から見た別の物体の速度、すなわち「相対速度」を問うているため、この公式が直接的に適用されます。
    • 適用根拠: この公式は、速度の座標変換の一種と考えることができます。地面に固定された座標系での速度 \(v_A, v_B\) を、Aに固定された(Aと共に動く)座標系から見た速度に変換する操作が、基準となるAの速度を引くことに相当します。
      • (1), (2)では、地面に対する速度 \(v_A, v_B\) から相対速度 \(v_{AB}, v_{BA}\) を求めるので、公式をそのまま使います。
      • (3)では、相対速度 \(v_{CA}\) と地面に対する速度 \(v_A\) から、もう一方の地面に対する速度 \(v_C\) を求めるので、公式を方程式として利用します。
計算ミスをなくす!日頃の意識と実践テクニック
  • 正の向きを明記する: 計算を始める前に、答案用紙の最初に「東向きを正とする」と宣言する。この一手間が、思考の基準を明確にし、符号ミスを防ぎます。
  • 括弧を使って代入: 負の値を代入するときは、必ず \((-30)\) のように括弧を使う。特に \(-(-30)\) のような形になるときにミスが激減します。
  • 移項は一段階ずつ: (3)のような方程式を解く際は、\(v_C = -30 – (-10)\) のように、一気に答えを出そうとせず、まずは \(v_C\) を左辺に、数値を右辺に集めるなど、一段階ずつ丁寧に行う。
  • 検算の習慣: (3)で \(v_C = -20\) m/s と求めたら、それを使ってCから見たAの速度を計算し直してみる。「\(v_{CA} = v_A – v_C = (-30) – (-20) = -10\) m/s。これは西向きに10m/sを意味し、問題文と一致する。OK。」という確認作業を行うことで、解答の確実性が格段に上がります。

8 相対速度

【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド

この問題のテーマは「2次元平面における相対速度」です。互いに直交する方向に進む2つの物体の相対的な運動を、ベクトルを用いて考える問題です。ベクトルの引き算を正しく図示し、三平方の定理を適用する能力が問われます。

  1. 相対速度の公式: 観測者Aから見た物体Bの相対速度 \(\vec{v}_{AB}\) は、\(\vec{v}_{AB} = \vec{v}_B – \vec{v}_A\) で表されます。これはベクトルの引き算です。
  2. ベクトルの引き算の図示: \(\vec{v}_B – \vec{v}_A\) を図示するには、主に2つの方法があります。
    1. \(\vec{v}_B + (-\vec{v}_A)\) と考え、\(\vec{v}_B\) と、\(\vec{v}_A\) の逆ベクトル \(-\vec{v}_A\) を合成(足し算)する。
    2. \(\vec{v}_A\) と \(\vec{v}_B\) の始点をそろえて描き、\(\vec{v}_A\) の終点から \(\vec{v}_B\) の終点へ向かうベクトルを引く。
  3. ベクトルの図示と三平方の定理: 速度ベクトルの関係を直角三角形として図示し、各辺の大きさ(速さ)の関係を三平方の定理で計算します。

基本的なアプローチは以下の通りです。

  1. (1)では、相対速度の公式 \(\vec{v}_{AB} = \vec{v}_B – \vec{v}_A\) をベクトル図で表現します。Aの速度ベクトル \(\vec{v}_A\) とBの速度ベクトル \(\vec{v}_B\) が直交しているため、結果としてできる直角三角形に三平方の定理を適用して、相対速度の大きさと向きを求めます。
  2. (2)では、Aに対するCの相対速度 \(\vec{v}_{AC}\) の大きさが与えられています。関係式 \(\vec{v}_{AC} = \vec{v}_C – \vec{v}_A\) を同様にベクトル図で考え、三平方の定理を用いて未知の速さ \(v_C\) を方程式として解きます。

問(1)

思考の道筋とポイント
Aに対するBの相対速度、つまり列車Aに乗っている人から見た自動車Bの速度を求めます。Aは東へ、Bは南へ進んでいるため、Aから見るとBは「自分が東へ進むことによる見かけの西向きの動き」と「B自身の南向きの動き」が合わさって、南西方向へ動いて見えるはずです。この見え方をベクトル計算で正確に求めます。
この設問における重要なポイント

  • 相対速度の公式 \(\vec{v}_{AB} = \vec{v}_B – \vec{v}_A\) をベクトルとして扱う。
  • ベクトルの引き算は、逆ベクトル \(-\vec{v}_A\) を用いて \(\vec{v}_{AB} = \vec{v}_B + (-\vec{v}_A)\) と考えると、ベクトルの合成(足し算)として作図しやすく、直感的で分かりやすい。
  • \(\vec{v}_A\) と \(\vec{v}_B\) は直交しているので、\(\vec{v}_B\) と \(-\vec{v}_A\) も直交する。

具体的な解説と立式
列車Aの速度を \(\vec{v}_A\)(東向き、大きさ \(v_A = 20 \text{ m/s}\))、自動車Bの速度を \(\vec{v}_B\)(南向き、大きさ \(v_B = 20 \text{ m/s}\))とします。
Aに対するBの相対速度 \(\vec{v}_{AB}\) は、公式より
$$ \vec{v}_{AB} = \vec{v}_B – \vec{v}_A $$
このベクトルの引き算は、\(\vec{v}_A\) の逆ベクトル \(-\vec{v}_A\) を使って、次のように足し算の形に変形できます。
$$ \vec{v}_{AB} = \vec{v}_B + (-\vec{v}_A) $$
ここで、\(-\vec{v}_A\) は「西向きに \(20 \text{ m/s}\)」の速度ベクトルです。
したがって、求める相対速度 \(\vec{v}_{AB}\) は、「南向きに \(20 \text{ m/s}\)」の \(\vec{v}_B\) と「西向きに \(20 \text{ m/s}\)」の \(-\vec{v}_A\) を合成したベクトルになります。
この2つのベクトルは直交しており、その大きさを \(v_{AB}\) とすると、三平方の定理から以下の式が成り立ちます。
$$ v_{AB}^2 = v_B^2 + v_A^2 $$

使用した物理公式

  • 相対速度の公式: \(\vec{v}_{AB} = \vec{v}_B – \vec{v}_A\)
  • 三平方の定理
計算過程

各値を式に代入して、大きさ \(v_{AB}\) を計算します。
$$
\begin{aligned}
v_{AB}^2 &= 20^2 + 20^2 \\[2.0ex]
&= 400 + 400 \\[2.0ex]
&= 800
\end{aligned}
$$
\(v_{AB} > 0\) なので、
$$
\begin{aligned}
v_{AB} &= \sqrt{800} = \sqrt{400 \times 2} = 20\sqrt{2}
\end{aligned}
$$
\(\sqrt{2} \approx 1.41\) を用いて、
$$
\begin{aligned}
v_{AB} &= 20 \times 1.41 = 28.2
\end{aligned}
$$
有効数字2桁に丸めて、大きさは \(28 \text{ m/s}\) となります。
向きは、南向きのベクトルと西向きのベクトルを合成したので、「南西向き」となります。

平易な説明

列車Aに乗っている人から見ると、世界は西向きに秒速20mで動いて見えます。その世界の中で、自動車Bはさらに南向きに秒速20mで動いています。この「西向きの動き」と「南向きの動き」が合わさるため、AからはBが南西の方向へ進むように見えます。その速さは、縦20、横20の直角二等辺三角形の斜辺の長さを求める計算と同じで、\(20\sqrt{2}\) m/s、およそ28m/sとなります。

結論と吟味

Aに対するBの相対速度は、大きさが \(28 \text{ m/s}\) で、向きは南西向きです。AとBの速度の大きさが同じなので、相対速度の向きがちょうど中間である南西向きになるという結果は妥当です。

解答 (1) 大きさ: \(28 \text{ m/s}\), 向き: 南西向き

問(2)

思考の道筋とポイント
Aに対するCの相対速度の大きさが与えられており、それをもとに自動車Cの速さを求める問題です。これも(1)と同様に、相対速度の公式をベクトル図で表現し、三平方の定理を適用します。今回は、求める速さ \(v_C\) が直角三角形の一辺の長さとして現れます。
この設問における重要なポイント

  • 関係式 \(\vec{v}_{AC} = \vec{v}_C – \vec{v}_A\) をベクトル三角形で考える。
  • \(\vec{v}_A\)(東向き)と \(\vec{v}_C\)(北向き)は直交している。
  • この直角三角形において、相対速度 \(\vec{v}_{AC}\) が斜辺になる。

具体的な解説と立式
列車Aの速度を \(\vec{v}_A\)(東向き、大きさ \(v_A = 20 \text{ m/s}\))、自動車Cの速度を \(\vec{v}_C\)(北向き、大きさ \(v_C\) は未知)とします。
Aに対するCの相対速度 \(\vec{v}_{AC}\) の大きさは \(v_{AC} = 25 \text{ m/s}\) です。
相対速度の公式は、
$$ \vec{v}_{AC} = \vec{v}_C – \vec{v}_A $$
この3つのベクトルの関係を図で考えます。\(\vec{v}_A\) と \(\vec{v}_C\) の始点をそろえて描くと、\(\vec{v}_A\) の終点から \(\vec{v}_C\) の終点へ引いたベクトルが \(\vec{v}_{AC}\) となります。
ここで、\(\vec{v}_A\)(東向き)と \(\vec{v}_C\)(北向き)は互いに直交しているため、この3つのベクトルでできる三角形は直角三角形になります。
三平方の定理より、斜辺である \(v_{AC}\) の2乗は、他の2辺 \(v_A\) と \(v_C\) の2乗の和に等しくなります。
$$ v_{AC}^2 = v_A^2 + v_C^2 $$

使用した物理公式

  • 相対速度の公式: \(\vec{v}_{AC} = \vec{v}_C – \vec{v}_A\)
  • 三平方の定理
計算過程

各値を式に代入して、未知数 \(v_C\) を含む方程式を解きます。
$$
\begin{aligned}
25^2 &= 20^2 + v_C^2 \\[2.0ex]
625 &= 400 + v_C^2 \\[2.0ex]
v_C^2 &= 625 – 400 \\[2.0ex]
v_C^2 &= 225
\end{aligned}
$$
\(v_C > 0\) なので、
$$ v_C = \sqrt{225} = 15 \text{ [m/s]} $$

平易な説明

Aから見ると、Cは斜め(北西方向)に25m/sで動いて見えます。この「見かけの動き」は、「C自身の本当の動き(北向き)」と、「Aが動いていることによる見かけの動き(西向き20m/s)」が合わさったものです。これら3つの速さの関係は、斜辺の長さが25、一つの辺の長さが20の直角三角形をなします。三平方の定理を使って残りの辺の長さ(Cの本当の速さ)を計算すると、15m/sと求まります。これは、辺の比が3:4:5となる有名な直角三角形(15:20:25)の関係になっています。

結論と吟味

自動車Cの速さは \(15 \text{ m/s}\) です。速さ 20, 15, 25 は、3:4:5 の直角三角形の辺の比(各辺を5倍したもの)に相当し、計算結果は整合性が取れています。

解答 (2) \(15 \text{ m/s}\)

【総まとめ】この一問を未来の得点力へ!完全マスター講座

最重要ポイント:この問題の核心となる物理法則は?
  • 2次元における相対速度のベクトル演算:
    • 核心: 相対速度の公式 \(\vec{v}_{AB} = \vec{v}_B – \vec{v}_A\) を、1次元の符号付き数値の計算から、2次元平面上でのベクトルの引き算として正しく理解し、実行できることが最も重要です。
    • 理解のポイント:
      • ベクトルの引き算 \(\vec{v}_B – \vec{v}_A\) は、\(\vec{v}_A\) の逆ベクトル \(-\vec{v}_A\) を用いて、\(\vec{v}_B + (-\vec{v}_A)\) というベクトルの足し算(合成)として考えると、作図がしやすく直感的です。
      • あるいは、\(\vec{v}_A\) と \(\vec{v}_B\) の始点をそろえて描き、「引く側(\(\vec{v}_A\))の終点」から「引かれる側(\(\vec{v}_B\))の終点」へ向かうベクトルが相対速度 \(\vec{v}_{AB}\) になる、という作図法をマスターすることも重要です。
応用テクニック:似た問題が出たらココを見る!解法の鍵と着眼点
  • 応用できる類似問題のパターン:
    • 一般的な角度での相対速度: 互いに直交しない角度で進む2物体の相対速度。この場合、ベクトル図は一般的な三角形になり、余弦定理や正弦定理を用いて解くことになります。
    • 衝突と相対速度: 2次元での衝突現象を、一方の物体から見た相対的な運動として捉えることで、衝突後の軌道を予測する問題。
    • 速度の合成との関係: 川を渡る船の問題(速度の合成)は、岸から見た船の速度を求めるものでした。相対速度は、その逆で、船から見た岸の動きや、別の船の動きを考えることに相当し、表裏一体の関係にあります。
  • 初見の問題での着眼点:
    1. ベクトル図を描くことを前提とする: 2次元の速度の問題を見たら、まずベクトル図を描くことから始めます。
    2. 3つのベクトルを特定する: 観測者(自分)の速度ベクトル、相手の速度ベクトル、そして相対速度ベクトルの3つを意識します。
    3. ベクトル三角形を構築する: \(\vec{v}_{AB} = \vec{v}_B – \vec{v}_A\) の関係を満たすように、3つのベクトルで三角形を描きます。どのベクトルがどの辺に対応するかを正確に配置します。
    4. 三角形の種類を特定する: ベクトルの向きの関係(直交など)から、描いた三角形が直角三角形、直角二等辺三角形など、特別な形になっていないかを確認します。これにより、使うべき数学的ツール(三平方の定理、三角比など)が決まります。
要注意!ありがちなミス・誤解とその対策
  • ベクトル演算をスカラー演算と混同する:
    • 誤解: (1)で、速さが同じ20m/sだからといって、相対速度の大きさを \(20 – 20 = 0\) と計算してしまう。
    • 対策: 速度が向きを持つベクトル量であることを常に意識する。2次元平面での速度の問題では、単純な足し算・引き算ではなく、必ず図形的な関係(ベクトル図)を考える癖をつける。
  • ベクトルの引き算の作図ミス:
    • 誤解: \(\vec{v}_B – \vec{v}_A\) を計算する際に、単純に \(\vec{v}_A\) と \(\vec{v}_B\) を合成(足し算)してしまう。
    • 対策: 相対速度は「引き算」であると強く意識する。そして、\(\vec{v}_{AB} = \vec{v}_B + (-\vec{v}_A)\) のように、一度「逆ベクトルの足し算」の形に直してから作図すると、合成の考え方が使えるためミスが減ります。
  • 三平方の定理の立式ミス:
    • 誤解: (2)で、どの辺が斜辺になるかを間違え、\(v_C^2 = v_{AC}^2 + v_A^2\) のように立式してしまう。
    • 対策: 必ずベクトル三角形を描き、「直角の対辺が斜辺である」という基本原則を確認する。(2)では、東向きの\(\vec{v}_A\)と北向きの\(\vec{v}_C\)が直交するため、その2つを結ぶ相対速度\(\vec{v}_{AC}\)が斜辺になります。
なぜその公式?論理的な公式選択と適用の思考法
  • 相対速度の公式 (\(\vec{v}_{AB} = \vec{v}_B – \vec{v}_A\)):
    • 選定理由: 問題が「Aに対するBの速度」という、動く観測者から見た物体の運動を問うているため、相対速度の定義式そのものを使います。
    • 適用根拠: この公式は、1次元だけでなく、2次元、3次元空間でも普遍的に成り立つベクトル方程式です。この方程式を、ベクトルを図形(矢印)と見なして幾何学的に解くのが、2次元における基本的なアプローチとなります。
  • 三平方の定理:
    • 選定理由: (1), (2)ともに、速度ベクトルの関係が「直角三角形」をなすためです。これは、問題設定で各物体の運動方向が互いに直交(東と南、東と北)していることに起因します。
    • 適用根拠: 直角三角形の3辺の長さ(ここでは速さ)の関係を表す最も基本的な定理であり、これを用いることで未知の辺の長さ(求める速さ)を計算できます。
計算ミスをなくす!日頃の意識と実践テクニック
  • 大きく正確な図を描く: 小さくごちゃごちゃした図はミスの元です。フリーハンドでも良いので、ベクトルの向きや直角関係がはっきりわかるように、大きく図を描きましょう。
  • 有名な辺の比を意識する: (1)では \(20:20\) なので \(1:1:\sqrt{2}\) の直角二等辺三角形、(2)では \(v_A=20, v_{AC}=25\) なので、\(20:25 = 4:5\)。ここから、残りの辺 \(v_C\) は比が3になる、つまり \(v_C=15\) だと瞬時に推測できます(3:4:5の直角三角形)。この知識は計算時間の短縮と検算に非常に有効です。
  • 平方根の計算: \(\sqrt{800}\) のような計算では、\(\sqrt{800} = \sqrt{100 \times 8} = 10\sqrt{8} = 10 \times 2\sqrt{2} = 20\sqrt{2}\) のように、ルートの中から2乗の数を外に出す計算を正確に行う練習が必要です。
  • 向きの答え忘れ: (1)では「大きさと向き」が問われています。大きさ(28m/s)だけを答えて、向き(南西向き)を書き忘れないように、問題文の要求を最後に再確認しましょう。

9 相対速度

【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド

この問題のテーマは「動く観測者から見た物体の運動(相対速度)」です。地面に静止している人から見た運動と、動いている電車の中から見た運動の関係を、ベクトルを用いて正しく理解し、未知の速度を導き出す応用問題です。

  1. 相対速度の公式: 観測者Aから見た物体Bの相対速度 \(\vec{v}_{AB}\) は、\(\vec{v}_{AB} = \vec{v}_B – \vec{v}_A\) で表されます。この関係をベクトル図で表現することが重要です。
  2. ベクトルの図示: 3つの速度ベクトル(電車の速度、地面に対する雨の速度、電車から見た雨の速度)の関係を、ベクトル(矢印)で正しく図示することが解法の鍵となります。
  3. 特別な直角三角形の辺の比: 速度ベクトルで構成される三角形が、辺の比が \(1:2:\sqrt{3}\) となる特別な直角三角形(角度が30°-60°-90°)になることを見抜きます。
  4. 三角比の利用: または、三角比(特に \(\tan\theta\))を用いて、直角三角形の辺の長さの関係を立式して解くこともできます。

基本的なアプローチは以下の通りです。

  1. 3つの速度ベクトル、すなわち「地面に対する電車の速度 \(\vec{v}_A\)」、「地面に対する雨の速度 \(\vec{v}_{\text{雨}}\)」、「電車から見た雨の速度 \(\vec{v}_{A\text{雨}}\)」の関係式を立てます。
  2. この関係式をベクトル図で表現します。すると、3つのベクトルが直角三角形をなすことがわかります。
  3. 問題文で与えられた角度の情報(鉛直と30°)をベクトル図に書き込み、三角形の辺の比の関係から、未知である地面に対する雨の速さ \(v_{\text{雨}}\) を計算します。

思考の道筋とポイント
動いている電車の中から見た「見かけの雨の速度」の情報をもとに、静止している地面から見た「本当の雨の速度」を逆算する問題です。「本当の雨の動き」に「自分が動くことによる見かけの動き」が加わって、「見かけの雨の動き」が作られている、という関係性をベクトルで捉えます。
この設問における重要なポイント

  • 3つの速度ベクトルの関係式は \(\vec{v}_{A\text{雨}} = \vec{v}_{\text{雨}} – \vec{v}_A\) である。
  • この関係をベクトル図で表現すると、直角三角形が現れる。
  • 「鉛直と30°の角度」という情報から、この直角三角形が \(30^\circ-60^\circ-90^\circ\) の特別な三角形であることがわかる。
  • 辺の比 \(1:2:\sqrt{3}\) を利用して、既知の速さ(電車の速さ)から未知の速さ(雨の速さ)を求める。

具体的な解説と立式

  • 地面に対する電車Aの速度を \(\vec{v}_A\) とします。大きさは \(v_A = 5.0 \text{ m/s}\) で、向きは水平です。
  • 地面に対する雨の速度を \(\vec{v}_{\text{雨}}\) とします。向きは鉛直下向きで、求める速さを \(v_{\text{雨}}\) とします。
  • 電車Aから見た雨の速度(相対速度)を \(\vec{v}_{A\text{雨}}\) とします。このベクトルの向きが、鉛直方向と30°の角をなします。

これらの速度ベクトルの間には、相対速度の公式から以下の関係が成り立ちます。
$$ \vec{v}_{A\text{雨}} = \vec{v}_{\text{雨}} – \vec{v}_A $$
このベクトルの引き算を図示する方法の一つとして、\(\vec{v}_A\) と \(\vec{v}_{\text{雨}}\) の始点をそろえて描き、\(\vec{v}_A\) の終点から \(\vec{v}_{\text{雨}}\) の終点へ向かうベクトルとして \(\vec{v}_{A\text{雨}}\) を描くことができます。
図を描くと、\(\vec{v}_A\)(水平)と \(\vec{v}_{\text{雨}}\)(鉛直)が直交しているため、これらと \(\vec{v}_{A\text{雨}}\) で構成される三角形は直角三角形になります。
問題文より、\(\vec{v}_{A\text{雨}}\) は鉛直方向(\(\vec{v}_{\text{雨}}\) の向き)と30°の角をなします。したがって、この直角三角形は内角が30°, 60°, 90°の特別な三角形です。
この三角形の辺の長さの比は \(1:2:\sqrt{3}\) であり、各辺の速さとの対応は以下のようになります。

  • \(v_A\) が、30°の角に対する辺(対辺)なので、比は「1」
  • \(v_{\text{雨}}\) が、60°の角に対する辺(対辺)なので、比は「\(\sqrt{3}\)」
  • \(v_{A\text{雨}}\) が、斜辺なので、比は「2」

したがって、\(v_A\) と \(v_{\text{雨}}\) の間には以下の比例関係が成り立ちます。
$$ v_A : v_{\text{雨}} = 1 : \sqrt{3} $$

使用した物理公式

  • 相対速度の公式: \(\vec{v}_{AB} = \vec{v}_B – \vec{v}_A\)
  • 特別な直角三角形の辺の比
計算過程

上記の比例式から、内項の積と外項の積は等しいので、
$$
\begin{aligned}
v_{\text{雨}} \times 1 &= v_A \times \sqrt{3} \\[2.0ex]
v_{\text{雨}} &= \sqrt{3} v_A
\end{aligned}
$$
この式に \(v_A = 5.0 \text{ m/s}\) と、近似値 \(\sqrt{3} \approx 1.73\) を代入します。
$$
\begin{aligned}
v_{\text{雨}} &= 1.73 \times 5.0 \\[2.0ex]
&= 8.65
\end{aligned}
$$
有効数字2桁に丸めて、答えは \(8.7 \text{ m/s}\) となります。

平易な説明

電車が水平に動いているため、電車内の人には、静止している景色が逆向きに動いて見えます。これと同じで、真下に降る雨も、この「見かけの横向きの動き」が加わって、斜め後ろに降ってくるように見えます。
この「本当の雨の速さ(縦)」、「見かけの横向きの速さ(横)」、「見かけの雨の速さ(斜め)」の3つは、直角三角形の関係になります。
見かけの雨が鉛直と30°の角度をなすことから、この三角形は有名な30°-60°-90°の三角形だとわかります。辺の比は \(1:2:\sqrt{3}\) です。
「見かけの横向きの速さ」は電車の速さと同じ 5.0 m/s で、これが比の「1」にあたります。求めたい「本当の雨の速さ」は、比の「\(\sqrt{3}\)」にあたる辺です。
したがって、雨の速さは電車の速さの\(\sqrt{3}\)倍、つまり \(5.0 \times \sqrt{3}\) を計算すれば求まります。

結論と吟味

地面に対する雨粒の落下の速さは \(8.7 \text{ m/s}\) です。
ベクトル図と三角比(または辺の比)を用いて、見かけの運動から実際の運動を正しく推定することができました。電車の速さ 5.0 m/s よりも速いという結果も、ベクトル図の関係から妥当であると言えます。

解答 \(8.7 \text{ m/s}\)

【総まとめ】この一問を未来の得点力へ!完全マスター講座

最重要ポイント:この問題の核心となる物理法則は?
  • 相対速度のベクトル的解釈:
    • 核心: 「電車から見た雨の速度 \(\vec{v}_{A\text{雨}}\)」=「地面に対する雨の速度 \(\vec{v}_{\text{雨}}\)」-「地面に対する電車の速度 \(\vec{v}_A\)」という公式を、単なる文字式ではなく、ベクトル(矢印)の関係として図形的に捉えることが最も重要です。
    • 理解のポイント:
      • 「見かけの運動」は、「相手の本当の運動」と「自分の運動による見かけの運動(自分の速度の逆ベクトル)」の合成である、と理解すること。つまり、\(\vec{v}_{A\text{雨}} = \vec{v}_{\text{雨}} + (-\vec{v}_A)\) と考えることで、ベクトルの足し算として直感的に作図できます。
  • 問題文の情報をベクトル図に翻訳する能力:
    • 核心: 問題文の言葉による記述を、物理的なベクトルとその関係性に正確に変換する能力。
    • 理解のポイント:
      • 「鉛直に降っている雨」→ \(\vec{v}_{\text{雨}}\) は鉛直下向き。
      • 「水平な線路上を速さ5.0m/sで走る電車」→ \(\vec{v}_A\) は水平方向で、大きさは5.0。
      • 「鉛直と30°の角度をなして見えた」→ \(\vec{v}_{A\text{雨}}\) の向きが鉛直線と30°をなす。

      この3つの情報を正しくベクトル図に落とし込めるかが、正解への分かれ道です。

応用テクニック:似た問題が出たらココを見る!解法の鍵と着眼点
  • 応用できる類似問題のパターン:
    • 風の中を飛ぶ飛行機: 鉛直に上昇する気球を、水平に吹く風の中で見るとどうなるか、など。電車と雨の関係を、他の物体に置き換えただけの問題です。
    • 未知数が変わる問題: 例えば、雨の本当の速さと、見かけの角度が与えられていて、電車の速さを求める問題。同じベクトル図を描き、未知数が変わるだけです。
    • 一般的な角度の問題: 雨が元から斜めに降っている場合など。この場合、ベクトル図は直角三角形にはならず、余弦定理や正弦定理が必要になります。
  • 初見の問題での着眼点:
    1. 3つの速度ベクトルを特定する: 「自分(観測者)の速度」「相手の本当の速度」「自分から見た相手の速度(相対速度)」の3つを問題文から抜き出します。
    2. 相対速度のベクトル方程式を立てる: \(\vec{v}_{\text{相対}} = \vec{v}_{\text{相手}} – \vec{v}_{\text{自分}}\) の関係式を必ず書きます。
    3. ベクトル三角形を描く: 上記の方程式を満たすように、3つのベクトルで三角形を描きます。特に、\(\vec{v}_{\text{相対}} = \vec{v}_{\text{相手}} + (-\vec{v}_{\text{自分}})\) の形で描くと、合成の考え方が使えて分かりやすいです。
    4. 既知の情報を図に書き込む: 与えられた速さ(辺の長さ)や角度を、描いた三角形に書き込みます。
    5. 数学的ツールを選択する: 図が直角三角形なら、辺の比や三平方の定理、三角比を使います。そうでなければ余弦定理などを検討します。
要注意!ありがちなミス・誤解とその対策
  • ベクトル図の作図ミス:
    • 誤解: \(\vec{v}_{A\text{雨}} = \vec{v}_{\text{雨}} – \vec{v}_A\) を、単純な足し算 \(\vec{v}_{\text{雨}} + \vec{v}_A\) と勘違いして作図してしまう。
    • 対策: 相対速度は「引き算」であると強く意識すること。または、\((-\vec{v}_A)\) という「逆ベクトル」を明確に描き、それと \(\vec{v}_{\text{雨}}\) を「足し算」する、という手順を踏むとミスが減ります。
  • 角度の適用の間違い:
    • 誤解: 「鉛直と30°」という角度を、水平線との間の角度と勘違いして図に書き込んでしまう。
    • 対策: 図を大きく描き、基準となる「鉛直線」を点線で描き足し、そこからの角度が30°であることを明確に図示する。
  • 三角比や辺の比の適用の間違い:
    • 誤解: 辺の比 \(1:2:\sqrt{3}\) のどれが \(v_A\) でどれが \(v_{\text{雨}}\) に対応するのかを間違える。または、\(\tan 30^\circ = \displaystyle\frac{v_{\text{雨}}}{v_A}\) のように、分母と分子を逆にしてしまう。
    • 対策: 「30°の対辺が比=1」「60°の対辺が比=\(\sqrt{3}\)」のように、角度と対辺の関係で覚える。三角比を使う場合も、\(\tan\theta = \displaystyle\frac{\text{対辺}}{\text{底辺}}\) の定義に立ち返り、図と照らし合わせて慎重に立式する。
なぜその公式?論理的な公式選択と適用の思考法
  • 相対速度の公式 (\(\vec{v}_{A\text{雨}} = \vec{v}_{\text{雨}} – \vec{v}_A\)):
    • 選定理由: 問題が「電車Aの窓から見ると〜」という、動いている観測者からの視点での運動を記述しているため、相対速度の概念が不可欠です。この公式が、3つの速度ベクトルの関係性を結びつける唯一の物理法則です。
    • 適用根拠: このベクトル方程式を立てることで、物理の問題が「辺の長さと角度が一部与えられた三角形の、未知の辺の長さを求める」という幾何学の問題に変換されます。
  • 三角比 (\(\tan\theta\)) または辺の比:
    • 選定理由: ベクトル図が直角三角形になり、その辺の長さ(速さ)と角度の関係を解く必要があるためです。
    • 適用根拠: この問題では、電車の速度 \(v_A\)(水平)と雨の速度 \(v_{\text{雨}}\)(鉛直)が直交するため、ベクトル図は必然的に直角三角形になります。既知の辺 \(v_A\) と未知の辺 \(v_{\text{雨}}\) は、与えられた角度30°に対してそれぞれ「対辺」と「底辺」の関係にあります。辺と角の関係を結びつける数学的ツールとして、三角比(特に\(\tan\theta\))や、特別な角の三角形の辺の比が最適となります。具体的には、\(\tan 30^\circ = \displaystyle\frac{v_A}{v_{\text{雨}}}\) という関係が成り立ちます。
計算ミスをなくす!日頃の意識と実践テクニック
  • 図を大きく丁寧に描く: 速度ベクトル、角度、既知の速さなどを、ごちゃごちゃしないように大きく描くことが、正しい立式への第一歩です。
  • 辺の比の活用: 30°-60°-90°の三角形を見たら、すぐに「\(1:2:\sqrt{3}\)」を書き込み、どの辺がどの比に対応するかを矢印などで結びつける。これにより、立式が簡単になり、ミスも減ります。
  • 近似値の代入は最後: \(\sqrt{3}\) の計算は、\(v_{\text{雨}} = 5.0\sqrt{3}\) のように式の最後まで文字のまま進め、最終段階で \(1.73\) を代入する。これにより、計算途中の手間や誤差を減らせます。
  • 有効数字の意識: 問題文の「5.0 m/s」は有効数字2桁です。したがって、計算結果の \(8.65\) も、指示がなくても有効数字2桁に丸めて \(8.7\) と答えるのが適切です。計算の最終段階で常に有効数字を確認する癖をつけましょう。

10 運動の分析

【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド

この問題のテーマは「記録タイマーを用いた物体の運動分析」です。実験データである打点テープから、物体の運動にかかった時間や平均の速さを計算する、物理実験の基本的な解析手法が問われます。

  1. 記録タイマーの周期: 1秒間に打つ点の数(周波数)が分かれば、1打点にかかる時間(周期)が計算できます。
  2. 打点数と時間の関係: 記録タイマーの周期と打点数から、ある区間にかかった時間を求めることができます。
  3. 平均の速さの定義: 平均の速さは「移動距離 ÷ 経過時間」で求められます。
  4. 単位の換算: 計算を行う前に、長さをcmからmへ、国際単位系(SI)に統一することが重要です。

基本的なアプローチは以下の通りです。

  1. (1)では、記録タイマーが1秒間に50打点することから、1打点あたりの時間を計算し、それを5倍して5打点分の時間を求めます。
  2. (2)では、(1)で求めた時間と、図から読み取れる各区間の距離(cmからmに換算)を用いて、平均の速さの公式に当てはめて計算します。

問(1)

思考の道筋とポイント
5打点分の時間を求める問題です。まず「1秒間に50打点」という情報から、1打点にかかる時間を求め、それを5倍するという手順で考えます。
この設問における重要なポイント

  • 記録タイマーの周波数は 50 Hz(ヘルツ)である。
  • 1打点にかかる時間(周期)は、周波数の逆数で求められる。
  • 5打点分の時間は、1打点にかかる時間の5倍である。

具体的な解説と立式
記録タイマーは1秒間に50回打点します。したがって、1つの打点から次の打点までの時間(周期 \(T\))は、
$$ T = \frac{1}{50} \text{ [s]} $$
となります。
5打点分の時間 \(t\) は、この周期の5倍なので、以下の式で計算できます。
$$ t = 5 \times T = 5 \times \frac{1}{50} $$

使用した物理公式

  • 周期と周波数の関係: \(T = \displaystyle\frac{1}{f}\)
計算過程

立式した式を計算します。
$$
\begin{aligned}
t &= 5 \times \frac{1}{50} \\[2.0ex]
&= \frac{5}{50} \\[2.0ex]
&= \frac{1}{10} \\[2.0ex]
&= 0.10 \text{ [s]}
\end{aligned}
$$

平易な説明

1秒間で50個の点を打つので、点と点の間の時間は「1秒 ÷ 50」で 1/50 秒です。5打点分の区間というのは、この「点と点の間」が5つあるということなので、かかる時間は「(1/50秒) × 5つ」で 5/50 秒、つまり 0.10 秒となります。

結論と吟味

5打点分の時間は \(0.10 \text{ s}\) です。記録タイマーの基本的な原理からの計算であり、妥当な結果です。

別解: 比例式を用いる方法

思考の道筋とポイント
「打点の数」と「経過時間」は比例するという関係性を利用して解くアプローチです。記録タイマーの打点間隔は一定なので、打点の数がN倍になれば、かかる時間もN倍になります。この比例関係から、直接時間を求めることができます。
この設問における重要なポイント

  • 打点の数と経過時間は比例する。
  • 比例式「(打点数1) : (打点数2) = (時間1) : (時間2)」を正しく立てる。

具体的な解説と立式
「1秒間に50打点」という情報から、「50打点」という数と「1秒」という時間が対応していることがわかります。
今求めたいのは「5打点」に対応する時間です。この時間を \(t\) [s] とおきます。
打点の数と時間の関係は比例するので、以下の比例式を立てることができます。
$$ 50 \text{ [打点]} : 5 \text{ [打点]} = 1 \text{ [s]} : t \text{ [s]} $$

使用した物理公式

  • 比例関係
計算過程

比例式では「内項の積 = 外項の積」が成り立つので、
$$
\begin{aligned}
50 \times t &= 5 \times 1 \\[2.0ex]
50t &= 5 \\[2.0ex]
t &= \frac{5}{50} \\[2.0ex]
&= 0.10 \text{ [s]}
\end{aligned}
$$

平易な説明

「50個の点で1秒かかる」という関係がわかっています。では「5個の点では何秒かかるか?」という問題です。打点の数が 50個から5個へと1/10になっているので、かかる時間も1秒からその1/10、つまり0.10秒になるはずです。

結論と吟味

比例式を用いて計算した結果、5打点分の時間は \(0.10 \text{ s}\) となり、周期から計算したメインの解法と一致します。どちらのアプローチでも同じ結果が得られることを確認できました。

解答 (1) \(0.10 \text{ s}\)

問(2)

思考の道筋とポイント
区間AB間とBC間の平均の速さを求める問題です。平均の速さは「その区間の移動距離」を「その区間にかかった時間」で割ることで求められます。移動距離は図から読み取り、時間は(1)で求めた値を使います。単位の換算に注意が必要です。
この設問における重要なポイント

  • 平均の速さの公式: \(\bar{v} = \displaystyle\frac{\text{移動距離}}{\text{経過時間}}\)
  • 単位換算: 距離の単位をcmからmに直す (\(1 \text{ m} = 100 \text{ cm}\))。
  • AB間、BC間はどちらも5打点分の区間なので、かかる時間は(1)で求めた \(0.10 \text{ s}\) で共通。

具体的な解説と立式
まず、図から読み取った距離をm(メートル)に換算します。

  • AB間の距離: \(\Delta x_{AB} = 5.0 \text{ cm} = 0.050 \text{ m}\)
  • BC間の距離: \(\Delta x_{BC} = 7.5 \text{ cm} = 0.075 \text{ m}\)

各区間にかかった時間 \(\Delta t\) は、(1)より \(0.10 \text{ s}\) です。
平均の速さの公式 \(\bar{v} = \displaystyle\frac{\Delta x}{\Delta t}\) を用いて、各区間の速さを立式します。

AB間の平均の速さ \(\bar{v}_{AB}\):
$$ \bar{v}_{AB} = \frac{\Delta x_{AB}}{\Delta t} = \frac{0.050}{0.10} $$

BC間の平均の速さ \(\bar{v}_{BC}\):
$$ \bar{v}_{BC} = \frac{\Delta x_{BC}}{\Delta t} = \frac{0.075}{0.10} $$

使用した物理公式

  • 平均の速さ: \(\bar{v} = \displaystyle\frac{\Delta x}{\Delta t}\)
計算過程

\(\bar{v}_{AB}\) の計算:
$$
\begin{aligned}
\bar{v}_{AB} &= \frac{0.050}{0.10} \\[2.0ex]
&= 0.50 \text{ [m/s]}
\end{aligned}
$$
\(\bar{v}_{BC}\) の計算:
$$
\begin{aligned}
\bar{v}_{BC} &= \frac{0.075}{0.10} \\[2.0ex]
&= 0.75 \text{ [m/s]}
\end{aligned}
$$

平易な説明

速さは「距離 ÷ 時間」で計算します。AB間もBC間も、テープが通過するのにかかった時間は(1)で求めた0.10秒です。
AB間の距離は 5.0 cm、つまり 0.050 m なので、速さは「0.050 m ÷ 0.10 s」で 0.50 m/s となります。
BC間の距離は 7.5 cm、つまり 0.075 m なので、速さは「0.075 m ÷ 0.10 s」で 0.75 m/s となります。

結論と吟味

AB間の平均の速さは \(0.50 \text{ m/s}\)、BC間の平均の速さは \(0.75 \text{ m/s}\) です。テープの区間長が 5.0 cm から 7.5 cm へと長くなっていることから、物体がだんだん速くなる運動(加速運動)をしていることがわかります。したがって、後の区間であるBC間の平均の速さが、前の区間であるAB間よりも大きくなるという計算結果は、実験データと整合性が取れており妥当です。

解答 (2) \(\bar{v}_{AB} = 0.50 \text{ m/s}\), \(\bar{v}_{BC} = 0.75 \text{ m/s}\)

【総まとめ】この一問を未来の得点力へ!完全マスター講座

最重要ポイント:この問題の核心となる物理法則は?
  • 記録タイマーの原理と平均の速さの定義:
    • 核心: この問題は、2つの基本的な物理概念の組み合わせで解くことができます。
      1. 記録タイマーの周期性: 記録タイマーが一定の時間間隔で点を打つという原理。これにより、「打点の数」を「経過時間」に変換できます。
      2. 平均の速さの定義: 平均の速さが「移動距離 ÷ 経過時間」で計算されるという、速度の最も基本的な定義。
    • 理解のポイント:
      • 周波数と周期: 「1秒間に50打点(周波数 50 Hz)」と「1打点あたり \(\displaystyle\frac{1}{50}\) 秒(周期)」が逆数の関係にあることを理解することが、全ての時間計算の出発点です。
      • 実験データの物理量への変換: 打点テープの「区間の長さ」が物理量の「移動距離 \(\Delta x\)」に、「打点の数」が「経過時間 \(\Delta t\)」に対応することを正確に結びつけることが重要です。
応用テクニック:似た問題が出たらココを見る!解法の鍵と着眼点
  • 応用できる類似問題のパターン:
    • \(v-t\)グラフの作成: 各区間の平均の速さを、その区間の中央時刻における「瞬間の速さ」とみなしてプロットし、運動の様子を\(v-t\)グラフで表現する問題。
    • 加速度の計算: 上記で作成した\(v-t\)グラフの傾きから、物体の平均の加速度を求める問題。打点間隔が広くなっていれば加速、狭くなっていれば減速していることがわかります。
    • 西日本(60Hz)での実験: 記録タイマーの周波数が60Hzの場合。1打点あたりの時間は \(\displaystyle\frac{1}{60}\) 秒となり、時間計算の基準が変わります。
  • 初見の問題での着眼点:
    1. 周波数の確認: まず、記録タイマーが50Hz(東日本)か60Hz(西日本)かを確認します。これが時間 \(\Delta t\) を計算する上での最も重要な初期情報です。
    2. 区切りの打点数を確認: 問題が「何打点ごと」にテープを区切っているかを確認します。今回は「5打点ごと」なので、これが \(\Delta t\) の単位となります。
    3. 単位の統一: テープの長さがcmで与えられている場合、計算前に必ずmに換算します。物理計算の基本はSI単位系(メートル、秒、キログラム)です。
要注意!ありがちなミス・誤解とその対策
  • 時間の計算ミス:
    • 誤解: (1)で「5打点」という数字に惑わされ、\(\displaystyle\frac{1}{5}\) 秒などと勘違いしてしまう。
    • 対策: 必ず「1打点あたりの時間」から計算する癖をつける。「1秒で50打点 → 1打点は \(\displaystyle\frac{1}{50}\) 秒」。そして、5打点分なのでそれを5倍して \(\displaystyle\frac{5}{50} = 0.10\) 秒、という手順を確実に踏む。
  • 単位換算忘れ:
    • 誤解: (2)で、距離をcmのまま計算してしまい、\(\bar{v}_{AB} = \displaystyle\frac{5.0}{0.10} = 50 \text{ m/s}\) のような非現実的な速さを算出してしまう。
    • 対策: 計算を始める前に、問題で与えられた数値を全てSI単位系に直してメモする習慣をつける。「\(5.0 \text{ cm} = 0.050 \text{ m}\)」と書き出してから立式する。
  • 打点数と「間の数」の混同:
    • 誤解: 5打点なので、点と点の「間の数」は4つだと考えて、時間を \(\displaystyle\frac{4}{50}\) 秒と計算してしまう。
    • 対策: 問題文の「5打点ごとの長さ」が、打点5つ分の時間間隔を意味することを正しく理解する。図を見ても、AからBまでには5つの点の間隔があることが確認できます。
なぜその公式?論理的な公式選択と適用の思考法
  • 周期と周波数の関係式 (\(T = \displaystyle\frac{1}{f}\)):
    • 選定理由: (1)で、時間の最小単位である「1打点あたりの時間(周期)」を求めるために使用します。
    • 適用根拠: これは公式というより定義そのものです。周波数 \(f\) は「1秒あたりの回数」、周期 \(T\) は「1回あたりの時間」なので、両者が逆数の関係にあるのは自明です。1秒間に50回打つなら、1回打つのにかかる時間は \(\displaystyle\frac{1}{50}\) 秒です。
  • 平均の速さの定義式 (\(\bar{v} = \displaystyle\frac{\Delta x}{\Delta t}\)):
    • 選定理由: (2)で「平均の速さ」を求めるために使用します。これも物理量の定義そのものです。
    • 適用根拠: 記録タイマーの実験データは、まさにこの定義式を体現しています。テープの区間の長さが「位置の変化(移動距離)\(\Delta x\)」に、その区間に対応する時間が「経過時間 \(\Delta t\)」に直接対応するため、この式を適用して速さを求めることができます。
計算ミスをなくす!日頃の意識と実践テクニック
  • 単位換算を最初に実行: 計算式に代入する前に、\(5.0 \text{ cm} = 0.050 \text{ m}\)、\(7.5 \text{ cm} = 0.075 \text{ m}\) のように、使う数値をすべてSI単位系に直して準備しておく。
  • 分数の計算を丁寧に行う: (1)の \(t = \displaystyle\frac{5}{50}\) は、まず \(\displaystyle\frac{1}{10}\) に約分してから小数 \(0.10\) に直す。(2)の \(\displaystyle\frac{0.050}{0.10}\) のような小数の割り算は、分母・分子を100倍して \(\displaystyle\frac{5}{10}\) と考えれば、\(0.5\) であることが分かりやすくなります。
  • 有効数字を意識する: 問題文の数値が \(5.0\) cm, \(7.5\) cm と有効数字2桁で与えられているため、最終的な答えも \(0.50\) m/s, \(0.75\) m/s のように有効数字2桁で答えるのが望ましいです。計算結果が \(0.5\) となっても、\(0.50\) と末尾に0を付けて桁をそろえる意識を持つことが大切です。
  • 比例式の活用(検算): (1)の別解で示したように、比例式 \(50\text{打点} : 5\text{打点} = 1\text{s} : t\text{s}\) を立てて解くこともできます。メインの解法で計算した後の検算として使うと、計算の信頼性が高まります。
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