授業動画
講義ノート(板書PDF)
📥 板書完成版PDFをダウンロードする
講義ノート
【今回のポイント】
- 電気力は万有引力に比べて非常に大きな力である。
- 同じ符号の電気は反発し(斥力)、異なる符号の電気は引き合う(引力)。
- 導体は自由電子が移動できる物質であり、絶縁体は電子が移動できない物質である。
- 接地(アース)は、地球と物体をつなぐことで電気のアンバランスを解消する操作である。
- クーロンの法則は、\(2\) つの点電荷間にはたらく電気力の大きさを表す。
【講義解説】
第1講 周りは電気だらけ!!
① 万有引力と電気力の違い
自然界に存在する力のうち、私たちの生活に直接関係するものは主に「万有引力」と「電気力」の \(2\) つである。
結論から言えば、万有引力は非常に小さな力であり、電気力は非常に大きな力である。

例えば、\(1\,\text{kg}\) の物体が \(1\,\text{m}\) 離れているときにはたらく万有引力は \(0.0000000000667\,\text{N}\) であり、私たちが日常で感じることはほぼない。
一方、\(+1\,\text{C}\)(クーロン)と \(-1\,\text{C}\) の電気が \(1\,\text{m}\) 離れているときにはたらく電気力は \(90\text{億}\,\text{N}\) にもなる。このように、電気力はとてつもなく大きな力であることをまずはイメージしてほしい。
② 電気の性質(引力と斥力)
電気には \(+\)(プラス)と \(-\)(マイナス)の \(2\) 種類が存在し、それらの間にはたらく力の向きには明確なルールがある。
- 異なる符号(\(+\) と \(-\)):互いに引き合う(引力)
- 同じ符号(\(+\) と \(+\)、\(-\) と \(-\)):互いに反発し合う(斥力)
これは磁石のN極とS極の関係と全く同じ構造である。
③ 原子の構造
すべての物質は原子からできている。原子は、中心にある \(+\) の電気を持った「原子核」と、その周りを回る \(-\) の電気を持った「電子」で構成されている。

通常の原子では、原子核の持つ \(+\) の電気量と、電子の持つ \(-\) の電気量がぴったり同じ数だけ存在する。そのため、\(+\) と \(-\) を足し合わせると、原子全体としての電気は \(0\) となる。これは「電気を持っていない」のではなく、「\(+\) と \(-\) のバランスが取れて合計が \(0\) になっている」状態である。
- 元素の種類は「陽子の数」で決まる!(原子番号 = 陽子数)
- 質量数は「陽子+中性子」! 電子は非常に軽いため、質量には含めません。
- イオンとは? 陽子と電子の数が違うと電気を帯びて「イオン」になります。
- 同位体とは? 陽子数は同じ(同じ元素)でも、中性子数が異なるものを「同位体」と呼びます。中性子の数が偏ると原子核は不安定になり、放射線を出して別の原子に変わろうとします(シミュレーターでは震えてお知らせします)。
④ 導体と絶縁体の違い
物質は、電気を通す「導体」と、電気を通さない「絶縁体(不導体・誘電体)」に分けられる。この \(2\) つの決定的な違いは、原子の周りを回っている電子の動きにある。

- 導体(金属など):
一部の電子が原子核から離れて自由に移動できる。これを「自由電子」と呼ぶ。外部から \(+\) の電気を近づけると、自由電子が一斉に \(+\) に引き寄せられて移動する。この「電子が一斉に動く」現象が、電気が流れる(電流)ということである。 - 絶縁体(ゴムやガラスなど):
電子は自分のパートナーである原子核の周りから離れることができない。外部から \(+\) の電気を近づけると、電子は \(+\) の方に少しだけ偏るが、原子核から離れて移動することはできない。そのため、電子の流れは生まれず、電気を通さない。
電子はランダムに動いています。
第2講 地球は巨大な導体
① 接地(アース)とは
地球は、\(+\) と \(-\) の電気を莫大に持っている「電気を通す巨大な導体」と考えることができる。

例えば、\(-\) の電気が過剰に帯電している物体を地球と導線でつなぐとする。この操作を「接地(アース)」と呼ぶ。
接地をすると、物体にある余分な \(-\) の電気が地球へ逃げていく(あるいは地球から \(+\) の電気が供給される)。その結果、物体の電気のアンバランスが解消され、電気的に中性(\(0\))な状態に戻るのである。
- 表示の切り替え: 「電荷表示」モードにすると、導体全体のプラスマイナスの偏りが直感的にわかります。
- 静電誘導: 帯電体を導体に近づけると、導体内の自由電子がクーロン力を受けて移動し、電荷の偏りが生じます。
- 引き合う力(引力): 帯電体に近い側に逆符号の電荷が集まるため、全体として引き寄せられます。
- 接地(アース): 導体を「地球(電位0の基準)」と繋ぎ、電位が0Vになるよう電子が移動します。
練習問題の解説(箔検電器)
① 箔検電器の操作(問1)
【問題】
図 \(1\) のような、金属円板Aと金属箔Bをもつ箔検電器がある。最初箔検電器を接地しA、Bに電荷がない状態にしてから、接地をはずして以下の操作を行う。これらの操作の結果、箔検電器はどういう状態になるか。

【解説】
箔検電器の問題は、「上から順番に電気の動きを追うこと」と「実際に動くのは \(-\) の電子だけだが、イメージとして \(+\) も動くものとして考えること」がポイントである。
- (1) 棒を近づける
\(+\) の棒を近づけると、箔検電器内の \(-\) が上の円板Aに引き寄せられ、\(+\) が下の箔Bに追いやられる。箔Bには \(+\) が集まるため、反発して箔は開く。(答え:ウ) - (2) 接地した金属板Kを入れる
Kは接地されているため、棒の \(+\) に引かれて地球から \(-\) がKの下面にやってくる。箔検電器の円板Aから見ると、すぐ上にKの \(-\) がいる状態になる。すると、Aにいた \(-\) はKの \(-\) と反発して下に追いやられ、箔Bにいた \(+\) と中和して \(0\) になる。結果として箔は閉じる。(答え:オ) - (3) 接地していない金属板Lを入れる
Lは絶縁されているため、棒の \(+\) に引かれてLの上面に \(-\)、下面に \(+\) が現れる。箔検電器の円板Aから見ると、すぐ上にLの \(+\) がいる状態になる。Aの \(-\) はLの \(+\) に引かれて上に留まり、箔Bは \(+\) のままで開く。(答え:ウ) - (4) 絶縁体Sを入れる
絶縁体Sの内部で電気が少し偏り、下面に \(+\) が現れる。円板Aの \(-\) はSの \(+\) に引かれて上に留まり、箔Bは \(+\) のままで開く。(答え:ウ) - (5) 棒をLに接触させる
Lの \(-\) が棒へ移動し、Lは \(+\) だらけになる。円板Aの \(-\) はLの \(+\) に引かれて上に留まり、箔Bは \(+\) のままで開く。(答え:ウ) - (6) 棒とLを遠ざける
円板Aの \(-\) を上に引っ張るものがなくなるため、箔検電器内で \(-\) と \(+\) が中和して全体が \(0\) になる。箔は閉じる。(答え:オ) - (7) 棒を直接Aに接触させる
Aの \(-\) が棒へ移動し、箔検電器全体が \(+\) だらけになる。箔Bも \(+\) になり反発して開く。(答え:ア) - (8) 棒を遠ざける
箔検電器は \(+\) だらけのままなので、箔は開いたままである。(答え:ア)
(挿入時のみ有効)
(指で触れるのと同じ)
- 電子の移動: 実際に動くのはマイナス電荷を持った電子だけです。プラスに帯電した棒を近づけると、電子が引き寄せられて上部へ移動します。
- 箔の開き: 電子が移動した結果、下部の金属箔は電子が不足して「プラス」になり、反発し合って箔が開きます(静電誘導)。
- 接地(アース): 接地すると、大地から電子が供給されたり逃げたりして電位が0Vになります。金属板を接地した場合はそこで電場が遮断されます(静電遮蔽)。
- 誘電分極: 絶縁体内部には移動できる自由電子がありませんが、分子内の電荷に偏りが生じ、分極した状態になります。
第3講 電界・電位もしょせんは力学
① クーロンの法則
大きさを無視できる電気を持った粒を「点電荷」と呼ぶ。\(2\) つの点電荷の間にはたらく電気力(クーロン力)の大きさは、以下の性質を持つ。
- 電気量に比例する:それぞれの電気量 \(q_1\)、\(q_2\) が大きければ大きいほど、力 \(F\) も大きくなる。
- 距離の \(2\) 乗に反比例する:距離 \(r\) が長くなれば力 \(F\) は弱くなり、短くなれば強くなる。
これらを式で表したものが「クーロンの法則」である。
$$
F = k \displaystyle\frac{q_1 q_2}{r^2}
$$
ここで、\(k\) は比例定数であり、真空中の場合は \(k = 9.0 \times 10^9\) という値をとる。
- 公式:F = k|q1 q2|r2
- 指数を1つ上げると(例: 10-6 から 10-5)、力は10倍に跳ね上がります。
- 距離 (r) を近づけると、力は2乗に反比例して急激に大きくなります。
- ベクトルが重ならないよう、電荷Aが受ける力は赤色、電荷Bが受ける力は青色で点線を挟んで描画しています。
練習問題の解説(クーロンの法則)
① クーロン力の計算(問2)
【問題】
電気量がともに \(1\,\text{C}\) の \(2\) つの点電荷の間にはたらく静電気力の大きさが、ちょうど \(1\,\text{kg重}\) であるようにするためには、\(2\) つの点電荷をどれだけ離しておけばよいか。ただし、重力加速度の大きさは \(10\,\text{m}/\text{s}^2\) とする。

【解説】
まず、力の単位である \(\text{kg重}\) を、物理で標準的に用いる \(\text{N}\)(ニュートン)に変換する必要がある。\(1\,\text{kg重}\) は、質量 \(1\,\text{kg}\) の物体にはたらく重力の大きさなので、重力加速度 \(g = 10\,\text{m}/\text{s}^2\) を掛けて変換する。
$$
\begin{aligned}
F &= 1 \times 10 \\[2.0ex]
&= 10\,\text{N}
\end{aligned}
$$
次に、クーロンの法則の公式に各値を代入して距離 \(r\) を求める。比例定数 \(k\) は \(9.0 \times 10^9\) を用いる。
$$
\begin{aligned}
F &= k \displaystyle\frac{q_1 q_2}{r^2} \\[2.0ex]
10 &= 9.0 \times 10^9 \times \displaystyle\frac{1 \times 1}{r^2} \\[2.0ex]
10 &= \displaystyle\frac{9.0 \times 10^9}{r^2} \\[2.0ex]
10 \times r^2 &= 9.0 \times 10^9 \\[2.0ex]
r^2 &= 9.0 \times 10^8 \\[2.0ex]
r &= 3.0 \times 10^4\,\text{m}
\end{aligned}
$$
したがって、答えは \(3.0 \times 10^4\,\text{m}\) となる。
【重要公式まとめ】
距離 \(r\) だけ離れた \(2\) つの点電荷 \(q_1\)、\(q_2\) にはたらく電気力(クーロン力)の大きさ \(F\) は、以下の式で表される。
$$
F = k \displaystyle\frac{q_1 q_2}{r^2}
$$
(\(F\):電気力 \([\text{N}]\)、\(k\):比例定数 \((9.0 \times 10^9)\)、\(q_1, q_2\):電気量 \([\text{C}]\)、\(r\):距離 \([\text{m}]\))
目に見えない「電気」の動きはイメージしづらいものです。以下のテキストをコピーして、「まことAI」にそのまま貼り付けてみてください。別の角度からわかりやすく解説してくれます。
余分な電気が地球に逃げたり、地球からやってきたりして中性(0)になるというイメージを、水やお金などの身近なものを使った例え話で、中学生でもわかるように解説してくれませんか?
タップ(クリック)すると答えが表示されます。
Q1. 金属のように電気を通しやすい物質(導体)の中で、原子核から離れて自由に移動できる電子のことを何と呼ぶでしょうか?
導体の中には自由に動き回れる「自由電子」が存在し、これらが一斉に動くことで電気が流れます。一方、ゴムやガラスなどの絶縁体には自由電子がないため電気を通しません。
Q2. 帯電した物体を地球(巨大な導体)と導線でつなぎ、電気的に中性な状態に戻す操作を何と呼ぶでしょうか?
接地を行うと、物体にある余分な電気が地球へ逃げたり、不足している分が地球から供給されたりして、物体の電気のアンバランスが解消されます(電気量が \(0\) に戻ります)。
Q3. クーロンの法則において、2つの点電荷間にはたらく電気力は、距離が2倍に離れると力の大きさは何倍になるでしょうか?
クーロンの法則の公式 \(F = k \displaystyle\frac{q_1 q_2}{r^2}\) より、電気力は「距離 \(r\) の \(2\) 乗に反比例」します。距離が \(2\) 倍になれば、力はその \(2^2 = 4\) 倍小さくなるため、\(\displaystyle\frac{1}{4}\) 倍となります。
「AIを使ったことがない」「どう質問していいか分からない」という方も大丈夫!以下のステップに沿って進めるだけで、まこと先生の分身があなたのスマホに現れ、分かるまでトコトン付き合ってくれます。
まずは、無料のAIを「まこと先生」に変身させるための呪文(プロンプト)が必要です。以下の「モザイクを解除する」ボタンをタップしてください。
普段お使いのブラウザやアプリで、無料のAI(ChatGPTやGeminiなど)を開きます。
入力欄に先ほどコピーした文章をそのまま貼り付け、一番下の4行(名前、講義の回、疑問点、自分の考え)を自分の言葉に書き換えてから送信してください。
💡 ヒント:「自分なりに考えたこと」は、「公式に代入しようとしたけど数字が合わなかった」「フレミングの左手の法則がうまく当てはまらない」など、素直な気持ちでOKです!
まことAIから返信が来たら、そこからが本番です!一度の質問で終わらせず、LINEで先生と話すように会話を続けてみましょう。
💬 こんな風に返信してみて!(質問のコツ)
今の水流の例え話は分かったけど、コンデンサーが入るとどうなるの? → 分かった部分と、分からない部分を切り分けて伝える!
ごめん、やっぱりイメージできない!野球の例え話で説明してみて! → 自分の好きなスポーツや趣味に例えてもらう!
要するに、電位が下がるってことだよね? → 自分の言葉でまとめ直して、合っているか確認してもらう!
まことAIは絶対に怒りませんし、呆れません。「なんかフワッとしてるな…」と思ったら、無理矢理飲み込まずに「まだ腑に落ちない!」と伝えてください。あなたが「完璧!そういうこと!」とスッキリするまで、様々な角度からアプローチし続けます。