「セミナー物理基礎+物理2025」徹底解説!【第 Ⅰ 章 3】プロセス

当ページでは、数式をより見やすく表示するための処理に、少しお時間がかかることがございます。お手数ですが、ページを開いたまま少々お待ちください。

プロセス

1 重さと質量

【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド

この問題のテーマは「質量と重さ(重力)の関係」です。物理学における基本的な概念である「質量」と、それによって生じる「重さ(重力という力)」の違いを理解し、公式を用いて重さの大きさを計算する方法を学びます。
問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。

  1. 質量と重さの区別: 質量は物体の固有の量、重さは物体に働く力であるという違いを明確に理解する。
  2. 重力の定義式: 重さ(重力)\(W\) は、質量 \(m\) と重力加速度 \(g\) の積で表される (\(W=mg\))。
  3. 力の単位: 力の単位であるニュートン(\(\text{N}\))の意味を理解する。
  4. 有効数字の処理: 計算結果を与えられた数値の精度に合わせて表現する。

基本的なアプローチは以下の通りです。

  1. 問題文から質量 \(m\) と、共通条件から重力加速度の大きさ \(g\) の値を読み取る。
  2. 重力の大きさを求める公式 \(W=mg\) に、これらの値を代入する。
  3. 計算結果の有効数字が適切であるかを確認する。

思考の道筋とポイント
日常生活では混同されがちな「質量」と「重さ」ですが、物理学では明確に区別される異なる量です。「質量」は物体そのものが持つ動きにくさや物質の量を表し、単位は \(\text{kg}\) です。一方、「重さ」とは、その物体に働く「重力」という力の大きさのことであり、単位は力の単位である \(\text{N}\)(ニュートン)です。
この2つの量をつなぐのが「重力加速度 \(g\)」です。重さ \(W\) は、質量 \(m\) に比例し、その比例定数が \(g\) となります。この関係を数式で表したものが \(W=mg\) であり、この問題はこの公式に数値を代入するだけで解くことができます。

この設問における重要なポイント

  • 質量(\(m\)): 物体の動きにくさ(慣性)の度合いや、万有引力を生じさせる根源となる量。単位は \(\text{kg}\)。場所によらず一定の値をとる。
  • 重さ(\(W\)): 物体に働く重力という「力」の大きさ。単位は \(\text{N}\)。物体が存在する場所の重力加速度の大きさに依存するため、月面では地球上の約 \(1/6\) になるなど、場所によって変わる。
  • 重力加速度(\(g\)): 質量 \(1 \, \text{kg}\) の物体に働く重力の大きさ。地球表面では約 \(9.8 \, \text{N/kg}\) であり、これは物体を自由落下させたときの加速度 \(9.8 \, \text{m/s}^2\) と等価である。
  • 公式 \(W=mg\): 重さ(\(\text{N}\)) \(=\) 質量(\(\text{kg}\)) \( \times \) 重力加速度(\(\text{m/s}^2\))。

具体的な解説と立式
問題文および共通条件から、以下の物理量を読み取ります。

  • 質量: \(m = 5.0 \, \text{kg}\)
  • 重力加速度の大きさ: \(g = 9.8 \, \text{m/s}^2\)

物体の重さ(重力の大きさ)を \(W\) とすると、公式 \(W=mg\) より、以下のように立式できます。
$$
W = m \times g
$$

使用した物理公式

  • 重力の大きさ: \(W = mg\)
計算過程

上記で立てた式に、具体的な数値を代入して計算します。
$$
\begin{aligned}
W &= 5.0 \, \text{kg} \times 9.8 \, \text{m/s}^2 \\[2.0ex]
&= 49 \, \text{kg} \cdot \text{m/s}^2 \\[2.0ex]
&= 49 \, \text{N}
\end{aligned}
$$
計算に用いた \(5.0\) と \(9.8\) はどちらも有効数字2桁なので、計算結果の \(49\) も有効数字2桁となり、このままで適切です。

この設問の平易な説明

「質量」と「重さ」は似ているようで違います。「質量」は、月に行っても火星に行っても変わらない、その物体が持っている物質の量のようなものです。一方、「重さ」は、その物体が星から引っ張られる力のことで、場所によって変わります。
地球上では、「質量 \(1 \, \text{kg}\) の物体には、約 \(9.8 \, \text{N}\) の重力が働く」というルールがあります。
今回は質量が \(5.0 \, \text{kg}\) なので、働く重力はその \(5.0\) 倍になります。
したがって、重さは \(5.0 \times 9.8 = 49 \, \text{N}\) と計算できます。

解答 \(49 \, \text{N}\)
別解: ニュートンの運動方程式からのアプローチ

思考の道筋とポイント
重力の公式 \(W=mg\) を、より根源的な法則であるニュートンの運動方程式 \(F=ma\) から理解するアプローチです。重力とは、「質量 \(m\) の物体を自由落下させたときに、加速度 \(g\) を生じさせる力」と定義できます。この関係を運動方程式に当てはめることで、\(W=mg\) という式が必然的に導かれることを確認します。

この設問における重要なポイント

  • ニュートンの運動方程式: 物体に働く力 \(F\) は、その物体の質量 \(m\) と生じる加速度 \(a\) の積に等しい (\(F=ma\))。
  • 自由落下運動への適用: 物体を自由落下させると、物体に働く力は重力 \(W\) のみであり、そのときの加速度が重力加速度 \(g\) である。

具体的な解説と立式
ニュートンの運動方程式 \(F=ma\) を考えます。
質量 \(m\) の物体を自由落下させる状況を考えると、

  • 物体に働く力 \(F\) は、重力の大きさ \(W\) に等しい。
  • 物体に生じる加速度 \(a\) は、重力加速度の大きさ \(g\) に等しい。

これらを運動方程式に代入すると、
$$
W = m \times g
$$
となり、重力の公式そのものが導かれます。

使用した物理公式

  • ニュートンの運動方程式: \(F = ma\)
計算過程

計算過程はメインの解法と全く同じです。
$$
\begin{aligned}
W &= 5.0 \, \text{kg} \times 9.8 \, \text{m/s}^2 \\[2.0ex]
&= 49 \, \text{N}
\end{aligned}
$$

この設問の平易な説明

物理学には「力 \(=\) 質量 \( \times \) 加速度」という、とても大事な基本ルール(運動方程式)があります。
今、物体をそっと手放す(自由落下させる)と、物体は重力という「力」によって下に落ちていきます。このときの「加速度」が「重力加速度」です。
この関係を先ほどの基本ルールに当てはめてみると、「重力 \(=\) 質量 \( \times \) 重力加速度」という式が自然に出来上がります。これは、重さを計算するための公式そのものですね。

解答 \(49 \, \text{N}\)

2 フックの法則

【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド

この問題のテーマは「フックの法則とばね定数の計算」です。ばねの性質を表す最も基本的な法則であるフックの法則を理解し、ばねの硬さを示す「ばね定数」を求める方法を学びます。
問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。

  1. フックの法則: ばねの弾性力 \(F\) は、ばねの自然長からの伸び(または縮み)\(x\) に比例する (\(F=kx\))。
  2. ばね定数(\(k\)): ばねの硬さを表す比例定数。単位は \(\text{N/m}\)。
  3. 力のつりあい: 物体が静止しているとき、物体に働く力はつり合っている。
  4. 重さと弾性力: おもりをつるして静止させた場合、おもりに働く重力と、ばねがおもりを引く弾性力の大きさは等しい。

基本的なアプローチは以下の通りです。

  1. おもりが静止している状態での力のつりあいを考える。
  2. ばねに生じている弾性力の大きさを、おもりの重さから特定する。
  3. フックの法則 \(F=kx\) に、弾性力の大きさ \(F\) とばねの伸び \(x\) の値を代入する。
  4. ばね定数 \(k\) について方程式を解き、有効数字を考慮して答える。

思考の道筋とポイント
ばねに関する問題の出発点は、ほとんどの場合「フックの法則」です。この法則は、ばねの弾性力 \(F\) が、ばねの伸び \(x\) に比例することを示しています (\(F=kx\))。
この問題では、重さ \(10 \, \text{N}\) のおもりをつるして静止させています。この「静止している」という状態が重要です。物体が静止しているとき、その物体に働く力はすべてつり合っています。おもりには、下向きに重力(重さ \(10 \, \text{N}\))が、上向きにばねが引く弾性力 \(F\) が働いています。これらがつり合っているので、弾性力 \(F\) の大きさは重さと同じ \(10 \, \text{N}\) であることがわかります。
「\(10 \, \text{N}\) の力でばねを引いたら、\(0.10 \, \text{m}\) 伸びた」という関係がわかったので、これをフックの法則に当てはめれば、ばね定数 \(k\) を計算することができます。

この設問における重要なポイント

  • フックの法則 (\(F=kx\)): ばねの弾性力(\(\text{N}\)) \(=\) ばね定数(\(\text{N/m}\)) \( \times \) ばねの伸び(\(\text{m}\))。
  • ばね定数(\(k\)): ばねの硬さを表す指標。「\(1 \, \text{m}\) 伸ばすのに何 \(\text{N}\) の力が必要か」を意味する。\(k\) が大きいほど硬いばね。
  • 力のつりあい: おもりが静止していることから、ばねの弾性力と重力の大きさは等しい。\(F = W\)。
  • 有効数字: 問題文の数値(\(10 \, \text{N}\), \(0.10 \, \text{m}\))はどちらも有効数字2桁です。したがって、計算結果も有効数字2桁で表現する必要があります。

具体的な解説と立式
おもりは静止しているため、おもりに働く力はつり合っています。
おもりに働く力は、鉛直下向きの重力 \(W\) と、鉛直上向きのばねの弾性力 \(F\) です。
力のつりあいの関係から、
$$
(\text{上向きの力}) = (\text{下向きの力}) \quad \rightarrow \quad F = W
$$
問題文より、おもりの重さは \(W = 10 \, \text{N}\) なので、ばねの弾性力も \(F = 10 \, \text{N}\) となります。
このときのばねの伸びは \(x = 0.10 \, \text{m}\) です。
これらの値を、ばね定数を \(k\) としてフックの法則 \(F=kx\) に代入します。
$$
10 = k \times 0.10
$$

使用した物理公式

  • フックの法則: \(F = kx\)
  • 力のつりあい
計算過程

上記で立てた方程式を、ばね定数 \(k\) について解きます。
$$
\begin{aligned}
10 &= k \times 0.10 \\[2.0ex]
k &= \frac{10}{0.10} \\[2.0ex]
k &= 100 \, \text{N/m}
\end{aligned}
$$
ここで有効数字を考慮します。計算に用いた \(10 \, \text{N}\) と \(0.10 \, \text{m}\) は、どちらも有効数字2桁です。したがって、計算結果の \(100\) も有効数字2桁で表現する必要があります。指数表記を用いると、
$$
k = 1.0 \times 10^2 \, \text{N/m}
$$
となります。

この設問の平易な説明

「ばね定数」とは、「そのばねを \(1\) メートル伸ばすのに、どれくらいの力が必要か」を示す数値です。
この問題では、\(10 \, \text{N}\) の力(おもりの重さ)でばねを引っ張ったら、\(0.10 \, \text{m}\) 伸びた、と書かれています。
では、これを \(1 \, \text{m}\) 伸ばすには、どれくらいの力が必要になるでしょうか?
\(1 \, \text{m}\) は \(0.10 \, \text{m}\) の \(10\) 倍の長さです。ばねの伸びと力は比例するので、必要な力も \(10\) 倍になります。
したがって、\(10 \, \text{N} \times 10 = 100 \, \text{N}\) の力が必要だとわかります。
「\(1\) メートル伸ばすのに \(100 \, \text{N}\) 必要」ということなので、ばね定数は \(100 \, \text{N/m}\) です。これを有効数字2桁の形で書くと \(1.0 \times 10^2 \, \text{N/m}\) となります。

解答 \(1.0 \times 10^2 \, \text{N/m}\)

3 力の合成

【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド

この問題のテーマは「力の合成(ベクトルの和)」です。図で与えられた複数の力を、ベクトルとして正しく合成し、その合力の大きさを求める方法を学びます。
問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。

  1. 力のベクトル表現: 力は大きさと向きを持つベクトル量であり、矢印で表現される。
  2. ベクトルの和の作図法: 複数のベクトルを合成するには「平行四辺形の法則」や「三角形の法則」を用いる。
  3. ベクトルの成分分解: ベクトルを互いに直交する成分(例:\(x\)成分と\(y\)成分)に分解して考える。
  4. 三平方の定理: 直交する2つのベクトルを合成したベクトルの大きさは、三平方の定理を用いて計算できる。

基本的なアプローチは以下の通りです。

  1. 各設問について、方眼紙から2つの力ベクトルの大きさと向きを読み取る。
  2. 作図法(平行四辺形の法則など)を用いて、合力のベクトルを図示する。
  3. 作図した合力ベクトルの大きさを計算で求める。一直線上なら単純な加減算、直交する場合は三平方の定理、斜めの場合は成分計算などを用いる。

問①

思考の道筋とポイント
図①では、2つの力が同じ作用線上にあって、互いに逆向きに働いています。このような場合、合力の向きは大きい方の力の向きになり、その大きさは2つの力の大きさの差となります。これは、綱引きで互いに逆向きに引っ張り合う状況と同じです。

この設問における重要なポイント

  • 力の読解: 図から、右向きに \(2\) 目盛り(\(2 \, \text{N}\))の力と、左向きに \(4\) 目盛り(\(4 \, \text{N}\))の力が働いていることを読み取ります。
  • 一直線上の合成: 向きが逆の力を合成する場合、その大きさは力の大きさの引き算で求められます。
  • 合力の向き: 合力の向きは、より大きい力が働いている向きになります。

具体的な解説と立式
図から、2つの力 \(F_1\), \(F_2\) を読み取ります。右向きを正とすると、

  • \(F_1 = +2 \, \text{N}\)
  • \(F_2 = -4 \, \text{N}\)

合力 \(F\) は、これらの代数和で求められます。
$$
F = F_1 + F_2
$$

使用した物理公式

  • 力の合成(ベクトルの和)
計算過程

上記で立てた式に、具体的な数値を代入して計算します。
$$
\begin{aligned}
F &= (+2) + (-4) \\[2.0ex]
&= -2 \, \text{N}
\end{aligned}
$$
結果が負であることから、合力の向きは左向きであることがわかります。その大きさは \(2 \, \text{N}\) です。

この設問の平易な説明

右に \(2\) の力、左に \(4\) の力で引っ張り合っている状態です。綱引きをイメージすると分かりやすいですが、当然、力が強い左側に全体が引っ張られます。その強さは、力の差である \(4 – 2 = 2\) となります。したがって、合力は「左向きに \(2 \, \text{N}\)」となります。問題では大きさだけを聞かれているので、答えは \(2 \, \text{N}\) です。

解答 ① \(2 \, \text{N}\)

問②

思考の道筋とポイント
図②では、2つの力が互いに直角な向きに働いています。このような場合、合力は2つの力を辺とする平行四辺形(この場合は長方形)の対角線として表されます。その大きさは、直角三角形の斜辺の長さを求めるのと同じで、三平方の定理を使って計算することができます。

この設問における重要なポイント

  • 力の読解: 図から、右向きに \(3\) 目盛り(\(3 \, \text{N}\))の力と、上向きに \(4\) 目盛り(\(4 \, \text{N}\))の力が働いていることを読み取ります。
  • 平行四辺形の法則: 2つのベクトルを隣り合う2辺とする平行四辺形を描き、その対角線が合力ベクトルとなります。
  • 三平方の定理: 直角をなす2辺の長さを \(a, b\)、斜辺の長さを \(c\) とすると、\(a^2 + b^2 = c^2\) が成り立つ。

具体的な解説と立式
図から、直交する2つの力 \(F_x\), \(F_y\) を読み取ります。

  • 水平方向の力: \(F_x = 3 \, \text{N}\)
  • 鉛直方向の力: \(F_y = 4 \, \text{N}\)

合力 \(F\) の大きさは、この2つの力を辺とする直角三角形の斜辺の長さに相当します。三平方の定理より、
$$
F^2 = F_x^2 + F_y^2
$$

使用した物理公式

  • 三平方の定理: \(c = \sqrt{a^2 + b^2}\)
  • 平行四辺形の法則
計算過程

上記で立てた式に、具体的な数値を代入して計算します。
$$
\begin{aligned}
F &= \sqrt{F_x^2 + F_y^2} \\[2.0ex]
&= \sqrt{(3)^2 + (4)^2} \\[2.0ex]
&= \sqrt{9 + 16} \\[2.0ex]
&= \sqrt{25} \\[2.0ex]
&= 5 \, \text{N}
\end{aligned}
$$

この設問の平易な説明

右に \(3\)、上に \(4\) の力で同時に引っ張られると、物体は右上に向かって斜めに動きます。このときの合力の大きさは、縦 \(4\)、横 \(3\) の長方形の対角線の長さを求めるのと同じです。これは数学で習った三平方の定理で計算できますね。\(3^2 + 4^2 = 9 + 16 = 25\)。この平方根をとると \(\sqrt{25} = 5\) となります。したがって、合力の大きさは \(5 \, \text{N}\) です。

解答 ② \(5 \, \text{N}\)

問③

思考の道筋とポイント
図③では、2つの力が斜めの方向に働いています。このような場合でも、基本的な考え方は同じで、「平行四辺形の法則」に従って作図することで合力の向きと大きさが決まります。
大きさの計算は、作図した合力ベクトルが方眼紙上でどのようなベクトルになっているかを読み取り、三平方の定理を適用するのが最も簡単です。

この設問における重要なポイント

  • 力の読解: 2つの力ベクトルを、方眼紙のマス目を使って正確に読み取ります。
    • 力1: 左に \(4\) 目盛り、上に \(3\) 目盛り進むベクトル。
    • 力2: 右に \(2\) 目盛り、下に \(4\) 目盛り進むベクトル。
  • 作図による合力の特定: 平行四辺形の法則に従って作図すると、合力は「左に \(2\) 目盛り、下に \(1\) 目盛り」進むベクトルになることがわかります。
  • 三平方の定理の適用: この「左に \(2\)、下に \(1\)」のベクトルの大きさを、三平方の定理で計算します。

具体的な解説と立式
まず、平行四辺形の法則に従って合力を図示します。
次に、作図した合力ベクトル \(F\) が、水平方向に何目盛り、鉛直方向に何目盛り進むベクトルなのかを読み取ります。

  • 水平方向: 左に \(2\) 目盛り (\(-2 \, \text{N}\))
  • 鉛直方向: 下に \(1\) 目盛り (\(-1 \, \text{N}\))

この合力ベクトルの水平成分を \(F_x = -2 \, \text{N}\)、鉛直成分を \(F_y = -1 \, \text{N}\) とします。
合力の大きさ \(|F|\) は、三平方の定理を用いて計算できます。
$$
|F|^2 = (F_x)^2 + (F_y)^2
$$

使用した物理公式

  • 平行四辺形の法則
  • 三平方の定理
計算過程

上記で立てた式に、具体的な数値を代入して計算します。
$$
\begin{aligned}
|F| &= \sqrt{(-2)^2 + (-1)^2} \\[2.0ex]
&= \sqrt{4 + 1} \\[2.0ex]
&= \sqrt{5} \, \text{N}
\end{aligned}
$$

この設問の平易な説明

斜め向きの矢印が2つあって難しそうに見えますが、これも作図で解決できます。それぞれの矢印を辺とする平行四辺形を描き、その対角線を引くと、それが合力の矢印になります。
出来上がった合力の矢印をよく見ると、「左に \(2\) マス、下に \(1\) マス」進んだ線になっていることがわかります。
この対角線の長さは、縦 \(1\)、横 \(2\) の長方形の対角線の長さと同じなので、三平方の定理から \(\sqrt{2^2 + 1^2} = \sqrt{5}\) と計算できます。よって、合力の大きさは \(\sqrt{5} \, \text{N}\) です。

解答 ③ \(\sqrt{5} \, \text{N}\)
別解: 成分計算によるアプローチ

思考の道筋とポイント
作図に頼らず、より数学的に合力を求める方法です。まず、2つの力ベクトルをそれぞれ水平成分(\(x\)成分)と鉛直成分(\(y\)成分)に分解します。次に、\(x\)成分同士、\(y\)成分同士をそれぞれ足し合わせることで、合力の\(x\)成分と\(y\)成分を求めます。最後に、得られた合力の成分を使って、三平方の定理でその大きさを計算します。この方法は、どんなベクトル合成にも使える非常に強力で汎用的な手法です。

この設問における重要なポイント

  • 成分分解: 各ベクトルを \(x, y\) 成分に分解する。
  • 成分ごとの和: 合力の \(x\) 成分は、元の力の \(x\) 成分の和。\(y\) 成分も同様。
  • 合成: 最後に成分から全体の大きさを三平方の定理で求める。

具体的な解説と立式
右向きを \(x\) 軸の正、上向きを \(y\) 軸の正とします。
2つの力ベクトル \(F_1, F_2\) を成分で表します。

  • 力1: \(F_1 = (-4, +3) \, \text{N}\)
  • 力2: \(F_2 = (+2, -4) \, \text{N}\)

合力ベクトル \(F\) は、これらのベクトルの和です。成分ごとに足し算を行います。
$$
F = F_1 + F_2 = (F_{1x} + F_{2x}, F_{1y} + F_{2y})
$$
合力の大きさ \(|F|\) は、その成分を使って三平方の定理で求めます。
$$
|F| = \sqrt{(F_x)^2 + (F_y)^2}
$$

使用した物理公式

  • ベクトルの成分分解と合成
  • 三平方の定理
計算過程

まず、合力 \(F\) の成分を計算します。
$$
\begin{aligned}
F_x &= F_{1x} + F_{2x} = -4 + 2 = -2 \, \text{N} \\[2.0ex]
F_y &= F_{1y} + F_{2y} = +3 + (-4) = -1 \, \text{N}
\end{aligned}
$$
したがって、合力ベクトルは \(F = (-2, -1) \, \text{N}\) です。
次に、このベクトルの大きさを計算します。
$$
\begin{aligned}
|F| &= \sqrt{(-2)^2 + (-1)^2} \\[2.0ex]
&= \sqrt{4 + 1} \\[2.0ex]
&= \sqrt{5} \, \text{N}
\end{aligned}
$$

この設問の平易な説明

それぞれの矢印を「右(左)にいくつ、上(下)にいくつ」という部品に分解して考えてみましょう。

  • 矢印1は「左に4、上に3」
  • 矢印2は「右に2、下に4」

この2つの力を合わせると、横方向は「左に4」と「右に2」で、差し引き「左に2」になります。
縦方向は「上に3」と「下に4」で、差し引き「下に1」になります。
つまり、合力は「左に2、下に1」の力になることが計算でわかります。この力の大きさは、三平方の定理から \(\sqrt{2^2+1^2} = \sqrt{5} \, \text{N}\) となります。

解答 ③ \(\sqrt{5} \, \text{N}\)
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4 力の分解

【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド

この問題のテーマは「力の分解(ベクトルの成分分解)」です。図で与えられた1つの力を、互いに直交する \(x\) 軸方向と \(y\) 軸方向の2つの力(成分)に分解する方法を学びます。
問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。

  1. 力のベクトル表現: 力は大きさと向きを持つベクトル量であり、矢印で表現される。
  2. ベクトルの成分分解: 1つのベクトルを、複数のベクトルの和として表すこと。特に、互いに直交する座標軸に沿った成分に分解することが多い。
  3. 座標軸と成分の符号: \(x\) 軸の正の向き(右向き)の成分は正、負の向き(左向き)の成分は負となる。\(y\) 軸も同様に、上向きが正、下向きが負となる。
  4. 方眼紙からのベクトルの読解: 矢印の始点から終点まで、\(x\) 軸方向と \(y\) 軸方向にそれぞれ何目盛り移動したかを数える。

基本的なアプローチは以下の通りです。

  1. 各図について、力の矢印の始点から終点までの、\(x\) 軸方向(水平方向)の移動量(マス目の数)を数える。
  2. 同様に、\(y\) 軸方向(鉛直方向)の移動量(マス目の数)を数える。
  3. 移動の向きに応じて、正負の符号を付ける(右・上は正、左・下は負)。
  4. 1目盛りが \(1 \, \text{N}\) であることから、数えたマス目の数がそのまま力の成分の大きさ[\(\text{N}\)]となる。

問①

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