「セミナー物理基礎+物理2025」徹底解説!【第 Ⅳ 章 16】プロセス

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プロセス

1 光の屈折

【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド

この問題のテーマは「光の屈折」です。異なる媒質へ光が進む際の進路の曲がり方と、波長の変化を扱います。
問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。

  • 屈折の法則(相対屈折率): 媒質1から媒質2へ光が入射するとき、入射角 \(\theta_1\) と屈折角 \(\theta_2\) の間には \(\displaystyle\frac{\sin \theta_1}{\sin \theta_2} = n_{12}\) が成り立ちます。
  • 相対屈折率と絶対屈折率の関係: 媒質1に対する媒質2の相対屈折率 \(n_{12}\) は、それぞれの絶対屈折率 \(n_1, n_2\) を用いて \(n_{12} = \displaystyle\frac{n_2}{n_1}\) と表されます。
  • 波長と屈折率の関係: 光の波長も屈折率に応じて変化し、\(\displaystyle\frac{\lambda_1}{\lambda_2} = n_{12}\) が成り立ちます。

基本的なアプローチは以下の通りです。

  • まず、与えられた絶対屈折率から、空気に対するガラスの相対屈折率 \(n_{12}\) を求めます。
  • 次に、屈折の法則を用いて、入射角と屈折角の関係式を立て、屈折角 \(\theta_2\) を求めます。
  • 最後に、波長の比の関係式を用いて、ガラス中の波長 \(\lambda_2\) を求めます。

屈折角およびガラス中での光の波長

思考の道筋とポイント
まず、問題文の情報を整理します。

  • 媒質1(空気): 絶対屈折率 \(n_1 = 1\), 入射角 \(\theta_1 = 45^\circ\), 波長 \(\lambda_1 = 6.0 \times 10^{-7} \, \text{m}\)
  • 媒質2(ガラス): 絶対屈折率 \(n_2 = \sqrt{2}\)
  • 求めるもの: 屈折角 \(\theta_2\), ガラス中の波長 \(\lambda_2\)

模範解答の方針に従い、まずは「相対屈折率 \(n_{12}\)」を計算します。これは「空気に対してガラスがどれくらい光を曲げやすいか」を示す指標です。
その後、屈折の法則の公式 \(\displaystyle\frac{\sin \theta_1}{\sin \theta_2} = n_{12}\) と \(\displaystyle\frac{\lambda_1}{\lambda_2} = n_{12}\) に当てはめて計算します。

この設問における重要なポイント

  • 相対屈折率の定義: \(n_{12}\) は「1に対する2の屈折率」であり、絶対屈折率の比では \(\displaystyle\frac{n_2}{n_1}\) (2が上、1が下)となります。
  • 屈折の法則の公式: 角度や波長の比は \(\displaystyle\frac{\sin \theta_1}{\sin \theta_2} = \displaystyle\frac{\lambda_1}{\lambda_2} = n_{12}\) (1が上、2が下)となります。この上下関係(添字の1と2の位置)を混同しないように注意が必要です。
  • 有効数字: 与えられた波長が \(6.0 \times 10^{-7} \, \text{m}\) (2桁)なので、最終的な答えも有効数字2桁で記述します。

具体的な解説と立式
1. 相対屈折率 \(n_{12}\) の導出
まず、空気(媒質1)に対するガラス(媒質2)の相対屈折率 \(n_{12}\) を求めます。
$$ n_{12} = \frac{n_2}{n_1} $$
数値を代入します。
$$ n_{12} = \frac{\sqrt{2}}{1} = \sqrt{2} $$

2. 屈折角 \(\theta_2\) の導出
屈折の法則 \(\displaystyle\frac{\sin \theta_1}{\sin \theta_2} = n_{12}\) を用いて立式します。
$$ \frac{\sin 45^\circ}{\sin \theta_2} = \sqrt{2} $$

3. ガラス中の波長 \(\lambda_2\) の導出
波長の関係式 \(\displaystyle\frac{\lambda_1}{\lambda_2} = n_{12}\) を用いて立式します。
$$ \frac{6.0 \times 10^{-7}}{\lambda_2} = \sqrt{2} $$

使用した物理公式

  • 相対屈折率の定義:
    $$ n_{12} = \frac{n_2}{n_1} $$
  • 屈折の法則:
    $$ \frac{\sin \theta_1}{\sin \theta_2} = \frac{\lambda_1}{\lambda_2} = n_{12} $$
計算過程

1. 屈折角 \(\theta_2\) の計算
先ほど立てた式を \(\sin \theta_2\) について解きます。
$$
\begin{aligned}
\frac{\sin 45^\circ}{\sin \theta_2} &= \sqrt{2} \\[2.0ex]
\sin \theta_2 &= \frac{\sin 45^\circ}{\sqrt{2}} \\[2.0ex]
&= \frac{1/\sqrt{2}}{\sqrt{2}} \\[2.0ex]
&= \frac{1}{\sqrt{2} \cdot \sqrt{2}} \\[2.0ex]
&= \frac{1}{2}
\end{aligned}
$$
\(0^\circ < \theta_2 < 90^\circ\) の範囲で \(\sin \theta_2 = 0.5\) となる角度は、
$$ \theta_2 = 30^\circ $$

2. ガラス中の波長 \(\lambda_2\) の計算
先ほど立てた式を \(\lambda_2\) について解きます。
$$
\begin{aligned}
\frac{6.0 \times 10^{-7}}{\lambda_2} &= \sqrt{2} \\[2.0ex]
\lambda_2 &= \frac{6.0 \times 10^{-7}}{\sqrt{2}} \\[2.0ex]
&= \frac{6.0}{\sqrt{2}} \times 10^{-7}
\end{aligned}
$$
分母を有理化して計算を進めます。
$$
\begin{aligned}
\lambda_2 &= \frac{6.0 \times \sqrt{2}}{2} \times 10^{-7} \\[2.0ex]
&= 3.0 \sqrt{2} \times 10^{-7}
\end{aligned}
$$
ここで、\(\sqrt{2} \approx 1.41\) を代入します。
$$
\begin{aligned}
\lambda_2 &\approx 3.0 \times 1.41 \times 10^{-7} \\[2.0ex]
&= 4.23 \times 10^{-7}
\end{aligned}
$$
有効数字2桁で答えるため、3桁目を四捨五入します。
$$ \lambda_2 = 4.2 \times 10^{-7} \, \text{m} $$

この設問の平易な説明

光が空気からガラスに入ると、進みにくくなるためスピードが落ちます。
スピードが落ちると、光の波の列が詰まるため、波長は短くなります。計算結果も \(6.0 \to 4.2\) と短くなっているので、感覚とも合っていますね。
また、進みにくい場所に入るとき、光は「近道」をしようとして、境界面の法線(垂直な線)に近づくように折れ曲がります。そのため、入射角 \(45^\circ\) よりも小さい \(30^\circ\) という屈折角になります。

別解: 絶対屈折率の積の形を用いた解法

思考の道筋とポイント
屈折の法則には、分数の形(相対屈折率)だけでなく、積の形 \(n_1 \sin \theta_1 = n_2 \sin \theta_2\) もあります。
この解法では、相対屈折率 \(n_{12}\) を経由せず、各媒質の「絶対屈折率」と「角度(または波長)」を直接結びつけます。
「媒質1での物理量の積」と「媒質2での物理量の積」が等しいという形で立式するため、分母と分子を逆にするミスを防ぎやすいのが特徴です。

この設問における重要なポイント

  • 積の形の屈折の法則: \(n_1 \sin \theta_1 = n_2 \sin \theta_2\) の形を使います。「(その場所の屈折率) \(\times\) (その場所の角度のサイン) = 一定」と覚えると間違いがありません。
  • 波長の保存則: \(n_1 \lambda_1 = n_2 \lambda_2\) の形を使います。これも「(その場所の屈折率) \(\times\) (その場所の波長) = 一定」という形です。
  • 対称性: 式の左辺と右辺が同じ形をしているため、媒質の順番(1から2へ、あるいは2から1へ)を気にする必要がありません。

具体的な解説と立式
1. 屈折角 \(\theta_2\) の導出
空気側(媒質1)とガラス側(媒質2)で、屈折率と正弦の積が等しいと置きます。
$$ n_1 \sin \theta_1 = n_2 \sin \theta_2 $$
数値を代入して立式します。
$$ 1 \cdot \sin 45^\circ = \sqrt{2} \cdot \sin \theta_2 $$

2. ガラス中の波長 \(\lambda_2\) の導出
同様に、屈折率と波長の積が等しいと置きます。
$$ n_1 \lambda_1 = n_2 \lambda_2 $$
数値を代入して立式します。
$$ 1 \cdot (6.0 \times 10^{-7}) = \sqrt{2} \cdot \lambda_2 $$

使用した物理公式

  • 屈折の法則(絶対屈折率表示):
    $$ n_1 \sin \theta_1 = n_2 \sin \theta_2 $$
  • 屈折率と波長の関係:
    $$ n_1 \lambda_1 = n_2 \lambda_2 $$
計算過程

1. 屈折角 \(\theta_2\) の計算
先ほど立てた式を \(\sin \theta_2\) について解きます。
$$
\begin{aligned}
1 \cdot \sin 45^\circ &= \sqrt{2} \cdot \sin \theta_2 \\[2.0ex]
\frac{1}{\sqrt{2}} &= \sqrt{2} \sin \theta_2 \\[2.0ex]
\sin \theta_2 &= \frac{1}{\sqrt{2} \cdot \sqrt{2}} \\[2.0ex]
\sin \theta_2 &= \frac{1}{2}
\end{aligned}
$$
\(0^\circ < \theta_2 < 90^\circ\) の範囲で \(\sin \theta_2 = 0.5\) となる角度は、
$$ \theta_2 = 30^\circ $$

2. ガラス中の波長 \(\lambda_2\) の計算
先ほど立てた式を \(\lambda_2\) について解きます。
$$
\begin{aligned}
1 \cdot (6.0 \times 10^{-7}) &= \sqrt{2} \cdot \lambda_2 \\[2.0ex]
\lambda_2 &= \frac{6.0 \times 10^{-7}}{\sqrt{2}} \\[2.0ex]
&= \frac{6.0}{\sqrt{2}} \times 10^{-7}
\end{aligned}
$$
これ以降の計算はメインの解法と同じになります。
$$
\begin{aligned}
\lambda_2 &= 3.0 \sqrt{2} \times 10^{-7} \\[2.0ex]
&\approx 4.23 \times 10^{-7}
\end{aligned}
$$
有効数字2桁で答えます。
$$ \lambda_2 = 4.2 \times 10^{-7} \, \text{m} $$

この設問の平易な説明

この解法では、「媒質が変わっても保存される量(\(n \times \sin\theta\) や \(n \times \lambda\))」に着目しています。
分数の式変形が苦手な場合や、媒質が3つ以上重なっている場合(空気→油→水など)には、この「積の形」の方が式を立てやすく、計算ミスも減らせるのでおすすめです。
どちらの解法を使っても、物理的な意味と結果は全く同じになります。

解答  屈折角: \(30^\circ\), 波長: \(4.2 \times 10^{-7} \, \text{m}\)

2 相対屈折率

【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド

この問題のテーマは「相対屈折率の定義と計算」です。2つの媒質の絶対屈折率から、一方に対する他方の相対屈折率を求めます。
問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。

  • 相対屈折率の定義: 媒質1に対する媒質2の相対屈折率 \(n_{12}\) は、それぞれの絶対屈折率 \(n_1, n_2\) を用いて \(n_{12} = \displaystyle\frac{n_2}{n_1}\) と定義されます。
  • 言葉の定義: 「Aに対するBの相対屈折率」と言われた場合、Aが基準(分母)、Bが対象(分子)となります。

基本的なアプローチは以下の通りです。

  • 問題文から、基準となる媒質(水)と対象となる媒質(ガラス)を特定します。
  • それぞれの絶対屈折率の値を整理します。
  • 相対屈折率の定義式に代入し、繁分数(分数の分数)を計算して答えを求めます。

水に対するガラスの相対屈折率

思考の道筋とポイント
まず、与えられた数値を整理します。

  • 媒質1(水)の絶対屈折率: \(n_{\text{水}} = \displaystyle\frac{4}{3}\)
  • 媒質2(ガラス)の絶対屈折率: \(n_{\text{ガラス}} = \displaystyle\frac{3}{2}\)

求めるものは「水に対するガラスの相対屈折率」です。
日本語の表現において、「〜に対する」という部分が基準(分母)になります。つまり、「水を基準としたときのガラスの屈折率」を求めます。

この設問における重要なポイント

  • 公式の適用: 相対屈折率 \(n_{AB}\) (Aに対するBの屈折率)は、\(\displaystyle\frac{n_B}{n_A}\) です。添字の順序と分数の上下関係(後ろのBが上、前のAが下)を正確に把握することが最重要です。「相手(A)が下」と覚えるとミスが減ります。
  • 繁分数の計算: 分数の中に分数が含まれる計算になるため、逆数をかける形に直して丁寧に計算します。

具体的な解説と立式
求める相対屈折率を \(n_{\text{水}\to\text{ガラス}}\) とします。
定義より、これはガラスの絶対屈折率を水の絶対屈折率で割ったものになります。
$$ n_{\text{水}\to\text{ガラス}} = \frac{n_{\text{ガラス}}}{n_{\text{水}}} $$
問題文で与えられた値を代入します。
$$ n_{\text{水}\to\text{ガラス}} = \frac{3/2}{4/3} $$

使用した物理公式

  • 相対屈折率の定義:
    $$ n_{12} = \frac{n_2}{n_1} $$
計算過程

式を計算します。分数の割り算は、割る数の逆数をかけることと同じです。
$$
\begin{aligned}
n_{\text{水}\to\text{ガラス}} &= \frac{3/2}{4/3} \\[2.0ex]
&= \frac{3}{2} \div \frac{4}{3} \\[2.0ex]
&= \frac{3}{2} \times \frac{3}{4} \\[2.0ex]
&= \frac{3 \times 3}{2 \times 4} \\[2.0ex]
&= \frac{9}{8}
\end{aligned}
$$

この設問の平易な説明

「絶対屈折率」というのは、実は「真空に対する」屈折率のことです。
この問題では、基準を「真空」から「水」に変えています。
基準が変わるということは、新しい基準の値で割り算をして「比」を取り直すということです。
例えば、1ドル=150円、1ユーロ=160円のとき、「ドルに対するユーロの価値」を知りたければ、\(160 \div 150\) を計算しますよね。それと同じで、\((\text{ガラスの屈折率}) \div (\text{水の屈折率})\) を計算すればよいのです。

別解: 屈折の法則(積の形)からの導出

思考の道筋とポイント
もし相対屈折率の定義式 \(n_{12} = n_2/n_1\) を忘れてしまった場合や、どっちが分母か不安になった場合は、より基本的な「屈折の法則」から導くことができます。
屈折の法則の「積の形」\(n_1 \sin \theta_1 = n_2 \sin \theta_2\) は非常に覚えやすく、ここから相対屈折率の意味を再構築できます。

この設問における重要なポイント

  • 相対屈折率の物理的意味: 相対屈折率 \(n_{12}\) は、屈折の法則において \(\displaystyle\frac{\sin \theta_1}{\sin \theta_2}\) と等しい量として定義されます。
  • 式の変形: 積の法則 \(n_1 \sin \theta_1 = n_2 \sin \theta_2\) を変形して、\(\displaystyle\frac{\sin \theta_1}{\sin \theta_2}\) の形を作れば、自然と右辺に絶対屈折率の比が現れます。

具体的な解説と立式
水(媒質1)からガラス(媒質2)へ光が進むときの屈折の法則を、積の形で書きます。
$$ n_{\text{水}} \sin \theta_{\text{水}} = n_{\text{ガラス}} \sin \theta_{\text{ガラス}} $$
ここで、相対屈折率 \(n_{\text{水}\to\text{ガラス}}\) は、定義により \(\displaystyle\frac{\sin \theta_{\text{水}}}{\sin \theta_{\text{ガラス}}}\) と等しいです。
上記の式を変形して、この形を作ります。
$$ \frac{\sin \theta_{\text{水}}}{\sin \theta_{\text{ガラス}}} = \frac{n_{\text{ガラス}}}{n_{\text{水}}} $$
右辺が求める相対屈折率の計算式そのものです。
$$ n_{\text{水}\to\text{ガラス}} = \frac{n_{\text{ガラス}}}{n_{\text{水}}} $$
これに数値を代入します。
$$ n_{\text{水}\to\text{ガラス}} = \frac{3/2}{4/3} $$

使用した物理公式

  • 屈折の法則(積の形):
    $$ n_1 \sin \theta_1 = n_2 \sin \theta_2 $$
計算過程

計算はメインの解法と同様です。
$$
\begin{aligned}
n_{\text{水}\to\text{ガラス}} &= \frac{3}{2} \times \frac{3}{4} \\[2.0ex]
&= \frac{9}{8}
\end{aligned}
$$

この設問の平易な説明

公式を丸暗記しようとすると、「どっちが分母だっけ?」と迷うことがあります。
そんなときは、「\(n \times \sin\theta\) は一定」という屈折の法則の基本形を思い出してください。
この式を変形するだけで、自然と「逆の比(\(n_2/n_1\))」の形が出てきます。物理の公式は繋がっているので、基本から辿れるようにしておくと強いです。

解答 \(\displaystyle\frac{9}{8}\)

3 凸レンズによる結像

【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド

この問題のテーマは「凸レンズによる結像」です。レンズの公式を用いて、物体と像の位置関係を計算します。
問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。

  • レンズの公式: 物体までの距離 \(a\)、像までの距離 \(b\)、焦点距離 \(f\) の間には、\(\displaystyle\frac{1}{a} + \frac{1}{b} = \frac{1}{f}\) が成り立ちます。
  • 符号の約束:
    • 凸レンズの場合、焦点距離 \(f\) は正の値をとります。
    • レンズの後方(光が進む側)に実像ができる場合、\(b\) は正の値になります。
    • レンズの前方(物体と同じ側)に虚像ができる場合、\(b\) は負の値になります。

基本的なアプローチは以下の通りです。

  • 問題文から、物体までの距離 \(a\) と焦点距離 \(f\) の値を読み取ります。
  • レンズの公式に値を代入し、像までの距離 \(b\) を求めます。
  • 得られた \(b\) の符号から、像ができる位置(前方か後方か)を判断します。

像の位置

思考の道筋とポイント
まず、与えられた数値を整理します。

  • 焦点距離: \(f = 15 \, \text{cm}\) (凸レンズなので正)
  • 物体までの距離: \(a = 30 \, \text{cm}\) (レンズの前方)
  • 求めるもの: 像の位置(距離 \(b\) と方向)

レンズの公式 \(\displaystyle\frac{1}{a} + \frac{1}{b} = \frac{1}{f}\) を用いて \(b\) を計算します。
計算結果の \(b\) が正なら「レンズの後方(実像)」、負なら「レンズの前方(虚像)」に像ができます。

この設問における重要なポイント

  • 公式への代入: \(a, b, f\) の単位を揃えて代入します(今回は全て cm なのでそのままでOK)。
  • 結果の解釈: 計算で求めた \(b\) の値だけでなく、その符号が持つ物理的な意味(位置関係)を正しく言葉で表現することが重要です。

具体的な解説と立式
レンズの公式を用います。
$$ \frac{1}{a} + \frac{1}{b} = \frac{1}{f} $$
問題文の数値を代入します。
$$ \frac{1}{30} + \frac{1}{b} = \frac{1}{15} $$

使用した物理公式

  • レンズの公式:
    $$ \frac{1}{a} + \frac{1}{b} = \frac{1}{f} $$
計算過程

式を \(b\) について解きます。
$$
\begin{aligned}
\frac{1}{b} &= \frac{1}{15} – \frac{1}{30} \\[2.0ex]
&= \frac{2}{30} – \frac{1}{30} \\[2.0ex]
&= \frac{1}{30}
\end{aligned}
$$
よって、
$$ b = 30 \, \text{cm} $$
\(b\) の値が正であるため、像はレンズの後方にできます。

この設問の平易な説明

レンズの公式を使って計算すると、\(b = 30\) という結果が出ました。
この「プラス」という符号は、レンズを通り抜けた向こう側(後方)に光が集まって像ができることを意味しています。これを「実像」と呼びます。
もし計算結果がマイナスだったら、物体と同じ側に「虚像」ができていることになります。今回はプラスなので、レンズの後方 \(30 \, \text{cm}\) の位置にスクリーンを置けば、くっきりとした像が映ります。

別解: 倍率と対称性に着目した解法

思考の道筋とポイント
レンズの公式を機械的に解くだけでなく、物体が置かれた位置の特殊性(焦点距離との関係)に着目することで、計算を簡略化し、物理的な直感を養うことができます。
特に、物体が焦点距離の2倍の位置(\(2f\))にあるケースは、凸レンズの結像において最も基本的かつ重要なパターンです。

この設問における重要なポイント

  • 位置関係の把握: 物体の位置 \(a=30 \, \text{cm}\) が、焦点距離 \(f=15 \, \text{cm}\) のちょうど2倍(\(2f\))であることに気づくことが出発点です。
  • \(2f\) の法則: 凸レンズにおいて、物体を \(2f\) の位置に置くと、像は必ず反対側の \(2f\) の位置にでき、その大きさは物体と同じ(倍率 \(m=1\))になります。

具体的な解説と立式
まず、物体の位置 \(a\) と焦点距離 \(f\) の関係を確認します。
$$ a = 30 \, \text{cm}, \quad f = 15 \, \text{cm} $$
これより、物体は \(2f\) の位置にあることがわかります。
$$ a = 2f $$
凸レンズの結像特性(対称性)により、物体が \(2f\) の位置にあるとき、像の位置 \(b\) もまた \(2f\) となります。
$$ b = 2f $$
また、像はレンズの後方(実像)に形成されます。

使用した物理公式

  • 凸レンズの結像特性(\(2f\) の位置):
    $$ a = 2f \rightarrow b = 2f $$
計算過程

関係式に値を代入して計算します。
$$
\begin{aligned}
b &= 2 \times 15 \\[2.0ex]
&= 30 \, \text{cm}
\end{aligned}
$$
像の位置はレンズの後方です。

この設問の平易な説明

レンズの実験で一番きれいな結果が出るのが、この「\(2f\) の位置」です。
焦点距離の2倍の距離に物を置くと、反対側の同じ距離(焦点距離の2倍)に、全く同じ大きさの像ができます。
この「\(2f\) \(\leftrightarrow\) \(2f\)」の関係は、テストでよく出る特別なパターンなので、覚えておくと検算にも役立ちますし、瞬時に答えを出すこともできます。

解答 レンズの後方 \(30 \, \text{cm}\)
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4 凹レンズによる結像

【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド

この問題のテーマは「凹レンズによる結像」です。凹レンズの性質とレンズの公式を用いて、像の位置と大きさを計算します。
問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。

  • レンズの公式: 物体までの距離 \(a\)、像までの距離 \(b\)、焦点距離 \(f\) の間には、\(\displaystyle\frac{1}{a} + \frac{1}{b} = \frac{1}{f}\) が成り立ちます。
  • 凹レンズの符号の約束:
    • 凹レンズの場合、焦点距離 \(f\) は負の値として扱います(\(f < 0\))。
    • 凹レンズでは常に虚像ができるため、像の位置 \(b\) も計算結果は負になります。
  • 倍率の公式: 倍率 \(m\) は、\(m = \left| \displaystyle\frac{b}{a} \right|\) で求められます。

基本的なアプローチは以下の通りです。

  • 問題文から、物体までの距離 \(a\) と焦点距離 \(f\) の値を読み取ります。このとき、凹レンズであるため \(f\) にマイナスの符号をつけることに注意します。
  • レンズの公式に値を代入し、像までの距離 \(b\) を求めます。
  • 倍率の公式を用いて倍率 \(m\) を計算し、物体の大きさに掛けて像の大きさを求めます。

虚像の位置と大きさ

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