「良問の風」攻略ガイド(76〜80問):重要問題の解き方と物理の核心をマスター!

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問題76 (東京医歯大)

【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド

【相違点に関する注記】
  1. 提示する別解
    • 設問(1)の別解: 微積分を用いた体系的解法(波動方程式の導出)
      • 模範解答は弦を伝わる波の速さの公式 \(v=\sqrt{S/\rho}\) を既知として用いていますが、別解では弦の微小部分に対する運動方程式を立式し、それを位置と時間で微分(偏微分)することで波動方程式を導きます。そこから波の速さと定常波の条件を原理的に導出します。
  2. 上記の別解が有益である理由
    • 微積分の解法: 「なぜ弦を伝わる波の速さが張力と線密度で決まるのか」という根本的な理由を、ニュートンの運動方程式から数学的に理解できます。これは公式の単なる暗記を超え、物理現象のメカニズムを深く理解するために不可欠です。
  3. 結果への影響
    • いずれのアプローチを用いても、最終的に得られる答えは模範解答と完全に一致します。

この問題のテーマは「弦の固有振動と定常波、およびうなり」です。弦の張力や長さを変化させたときの振動数の変化を、物理法則に基づいて定量的に扱う力が問われます。

問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。

  1. 波の基本公式: 波の速さ \(v\)、振動数 \(f\)、波長 \(\lambda\) の間には \(v = f\lambda\) の関係があります。
  2. 弦を伝わる波の速さ: 弦の張力を \(S\)、線密度(単位長さあたりの質量)を \(\rho\) とすると、波の速さは \(v = \sqrt{\frac{S}{\rho}}\) で表されます。
  3. 定常波の幾何学的条件: 両端が固定された弦(固定端)では、弦の長さ \(l\) が半波長 \(\frac{\lambda}{2}\) の整数倍になります(\(l = n \cdot \frac{\lambda}{2}\))。
  4. うなり: 振動数のわずかに異なる2つの音波が干渉すると、毎秒 \(n = |f_1 – f_2|\) 回のうなりが生じます。

基本的なアプローチは以下の通りです。

  1. (1)では、図から波長を読み取り、張力から求まる波の速さと組み合わせて振動数を求めます。
  2. (2)では、おもりの質量変化による張力の変化と、腹の数の変化による波長の変化を考慮し、振動数が一定である条件から質量比を求めます。
  3. (3)(4)では、うなりの回数から未知の振動数を決定し、その振動数を実現するための弦の長さを逆算します。

問(1)

思考の道筋とポイント
音さの振動数 \(f\) を求めるためには、波の速さ \(v\) と波長 \(\lambda\) が必要です(\(v = f\lambda\))。
まず、おもりの質量から弦の張力を求め、波の速さを計算します。
次に、定常波の形状(腹の数)から波長を幾何学的に決定します。

この設問における重要なポイント

  • 張力のつりあい: 滑車がなめらかであれば、弦の張力 \(S\) はおもりの重力 \(mg\) と等しくなります。
  • 腹の数と波長: 「腹が3個」ということは、弦の長さ \(l\) の中に「半波長(腹1個分)」が3つ入っていることを意味します。

具体的な解説と立式
1. 波の速さ \(v\) の導出
おもり(質量 \(m\))は静止しているので、弦の張力 \(S\) はおもりの重力とつりあっています。
$$
\begin{aligned}
(\text{上向きの張力}) &= (\text{下向きの重力}) \\[2.0ex]
S &= mg
\end{aligned}
$$
弦を伝わる波の速さ \(v\) の公式 \(v = \sqrt{\frac{S}{\rho}}\) に代入します。
$$
\begin{aligned}
v &= \sqrt{\frac{mg}{\rho}} \quad \cdots ①
\end{aligned}
$$

2. 波長 \(\lambda\) の導出
図より、弦の長さ \(l\) の中に腹が3個あります。定常波の腹1個分の長さは半波長 \(\frac{\lambda}{2}\) なので、以下の関係が成り立ちます。
$$
\begin{aligned}
l &= 3 \times \frac{\lambda}{2}
\end{aligned}
$$
これを \(\lambda\) について解きます。
$$
\begin{aligned}
\lambda &= \frac{2l}{3} \quad \cdots ②
\end{aligned}
$$

3. 振動数 \(f\) の計算
波の基本公式 \(v = f\lambda\) より、\(f = \frac{v}{\lambda}\) です。これに式①と式②を代入します。

使用した物理公式

  • 力のつりあい: \(S = mg\)
  • 弦を伝わる波の速さ: \(v = \sqrt{\frac{S}{\rho}}\)
  • 波の基本公式: \(v = f\lambda\)
計算過程

$$
\begin{aligned}
f &= \frac{v}{\lambda} \\[2.0ex]
&= \frac{\sqrt{\frac{mg}{\rho}}}{\frac{2l}{3}} \\[2.0ex]
&= \frac{3}{2l} \sqrt{\frac{mg}{\rho}}
\end{aligned}
$$

この設問の平易な説明

まず、弦をピンと張っている力(張力)がおもりの重さ \(mg\) であることから、波が伝わるスピード \(v\) が決まります。
次に、図を見ると「山・谷・山」のように波の塊(腹)が3つあります。腹1つは波長の半分なので、弦の長さ \(l\) は波長1.5個分に相当します。ここから波長 \(\lambda\) が分かります。
最後に「速さ = 振動数 \(\times\) 波長」の関係を使えば、求めたい音さの振動数 \(f\) が計算できます。

結論と吟味

答えは \(f = \frac{3}{2l} \sqrt{\frac{mg}{\rho}}\) です。
次元を確認すると、\([f] = \frac{1}{[\text{L}]} \sqrt{\frac{[\text{M}][\text{L}][\text{T}]^{-2}}{[\text{M}][\text{L}]^{-1}}} = [\text{L}]^{-1} \sqrt{[\text{L}]^2 [\text{T}]^{-2}} = [\text{T}]^{-1}\) となり、振動数の次元(ヘルツ)と一致しています。また、張力(\(m\))が大きいほど、弦が短く(\(l\))軽い(\(\rho\))ほど振動数が高くなるという直感とも合致します。

解答 (1) \(\displaystyle \frac{3}{2l} \sqrt{\frac{mg}{\rho}}\)
別解: 微積分を用いた体系的解法(波動方程式の導出)

思考の道筋とポイント
公式 \(v = \sqrt{\frac{S}{\rho}}\) を暗記していなくても、ニュートンの運動方程式から導くことができます。
弦の微小部分に着目し、その両端に働く張力の垂直成分の差が復元力となって加速度を生じさせることを数式化します。

この設問における重要なポイント

  • 微小部分の運動方程式: 弦の微小要素 \(\Delta x\) に働く張力の \(y\) 成分の差が、復元力として働きます。
  • 微小角近似: 弦の傾きが小さいとき、\(\sin\theta \approx \tan\theta = \frac{\partial y}{\partial x}\) と近似できます。
  • 波動方程式: 運動方程式を変形すると、\(\frac{\partial^2 y}{\partial t^2} = v^2 \frac{\partial^2 y}{\partial x^2}\) という形の偏微分方程式が得られ、ここから波の速さ \(v\) が読み取れます。

具体的な解説と立式
1. 微小部分の運動方程式
弦上の位置 \(x\) と \(x + \Delta x\) の間の微小部分(質量 \(\Delta m = \rho \Delta x\))を考えます。
弦の変位を \(y(x,t)\) とし、張力を \(S\) とします。微小振幅の場合、張力 \(S\) は一定とみなせます。
両端での弦の接線が \(x\) 軸となす角をそれぞれ \(\theta(x)\)、\(\theta(x+\Delta x)\) とすると、\(y\) 方向の運動方程式は以下のようになります。
$$
\begin{aligned}
(\text{質量}) \times (\text{加速度}) &= (\text{上向きの力}) – (\text{下向きの力}) \\[2.0ex]
(\rho \Delta x) \frac{\partial^2 y}{\partial t^2} &= S \sin\theta(x+\Delta x) – S \sin\theta(x)
\end{aligned}
$$
振幅が小さいとき、\(\sin\theta \approx \tan\theta = \frac{\partial y}{\partial x}\) と近似できます。
$$
\begin{aligned}
\rho \Delta x \frac{\partial^2 y}{\partial t^2} &= S \left( \frac{\partial y}{\partial x}(x+\Delta x, t) – \frac{\partial y}{\partial x}(x, t) \right)
\end{aligned}
$$

2. 波動方程式の導出
両辺を \(\Delta x\) で割り、\(\Delta x \to 0\) の極限をとります。
$$
\begin{aligned}
\rho \frac{\partial^2 y}{\partial t^2} &= S \lim_{\Delta x \to 0} \frac{\frac{\partial y}{\partial x}(x+\Delta x, t) – \frac{\partial y}{\partial x}(x, t)}{\Delta x} \\[2.0ex]
\rho \frac{\partial^2 y}{\partial t^2} &= S \frac{\partial^2 y}{\partial x^2} \\[2.0ex]
\frac{\partial^2 y}{\partial t^2} &= \frac{S}{\rho} \frac{\partial^2 y}{\partial x^2}
\end{aligned}
$$
これは波動方程式 \(\frac{\partial^2 y}{\partial t^2} = v^2 \frac{\partial^2 y}{\partial x^2}\) の形をしており、波の速さが \(v = \sqrt{\frac{S}{\rho}}\) であることが読み取れます。

3. 定常波の解と境界条件
この方程式を満たす定常波の解として、\(y(x,t) = A \sin(kx) \cos(\omega t)\) を仮定します。
ここで、\(v = \frac{\omega}{k} = \sqrt{\frac{S}{\rho}}\) です。
両端固定の境界条件(\(x=0\) と \(x=l\) で常に \(y=0\))を適用します。
\(x=0\) で \(y=0\) は自動的に満たされます。
\(x=l\) で \(y=0\) となるためには、\(\sin(kl) = 0\) である必要があります。
$$
\begin{aligned}
kl &= n\pi \quad (n = 1, 2, 3, \dots)
\end{aligned}
$$
波数 \(k = \frac{2\pi}{\lambda}\) を代入すると、
$$
\begin{aligned}
\frac{2\pi}{\lambda} l &= n\pi \\[2.0ex]
l &= n \frac{\lambda}{2}
\end{aligned}
$$
本問では腹が3個なので \(n=3\) です。
$$
\begin{aligned}
l &= 3 \frac{\lambda}{2}
\end{aligned}
$$
これを \(\lambda\) について解きます。
$$
\begin{aligned}
\lambda &= \frac{2l}{3}
\end{aligned}
$$
これより、メイン解法と同じ結果が得られます。

使用した物理公式

  • 運動方程式: \(ma = F\)
  • 微分の定義: \(f'(x) = \lim_{h \to 0} \frac{f(x+h)-f(x)}{h}\)
  • 波動方程式: \(\frac{\partial^2 y}{\partial t^2} = v^2 \frac{\partial^2 y}{\partial x^2}\)
計算過程

振動数 \(f\) は、
$$
\begin{aligned}
f &= \frac{v}{\lambda} \\[2.0ex]
&= \frac{\sqrt{\frac{S}{\rho}}}{\frac{2l}{3}} \\[2.0ex]
&= \frac{3}{2l} \sqrt{\frac{mg}{\rho}}
\end{aligned}
$$

この設問の平易な説明

弦のほんの小さな一部分を取り出して、「張力が弦を元の位置に戻そうとする力」と「その部分の質量」の関係式(運動方程式)を作りました。
この式を変形していくと、「波が伝わる速さ」が自然と導き出されます。さらに、「両端が固定されている」という条件を数式に入れることで、弦の長さと波長の関係(腹が整数個になること)も数学的に証明できます。

結論と吟味

原理から出発しても、当然ながら同じ結果 \(f = \frac{3}{2l} \sqrt{\frac{mg}{\rho}}\) に到達しました。

解答 (1) \(\displaystyle \frac{3}{2l} \sqrt{\frac{mg}{\rho}}\)

問(2)

思考の道筋とポイント
おもりの質量を変えると、弦の張力が変わり、その結果として波の速さが変わります。
一方、音さは同じものを使っているので、振動数 \(f\) は(1)のときと変わりません。
「腹が2個になった」という情報から新しい波長を求め、振動数が一定であるという等式を作って解きます。

この設問における重要なポイント

  • 振動数一定: 音源(音さ)が変わらない限り、弦がどのように変化しても振動数 \(f\) は一定です。
  • 条件の変化:
    • 質量: \(m \rightarrow m+M\)
    • 腹の数: \(3 \rightarrow 2\)

具体的な解説と立式
1. 新しい波の速さ \(v’\) と波長 \(\lambda’\)
おもりの質量が \(m+M\) になったので、新しい張力 \(S’\) は \(S’ = (m+M)g\) です。
新しい波の速さ \(v’\) は、
$$
\begin{aligned}
v’ &= \sqrt{\frac{(m+M)g}{\rho}}
\end{aligned}
$$
腹が2個になったので、弦の長さ \(l\) は半波長2個分です。
$$
\begin{aligned}
l &= 2 \times \frac{\lambda’}{2} \\[2.0ex]
&= \lambda’
\end{aligned}
$$
よって、新しい波長は \(\lambda’ = l\) です。

2. 振動数一定の条件式
このときの振動数 \(f\) は \(f = \frac{v’}{\lambda’}\) で表されます。
$$
\begin{aligned}
f &= \frac{1}{l} \sqrt{\frac{(m+M)g}{\rho}} \quad \cdots ③
\end{aligned}
$$
音さは同じなので、この振動数は(1)で求めた値と同じです。式①((1)の解答)と式③を等号で結びます。
$$
\begin{aligned}
\frac{3}{2l} \sqrt{\frac{mg}{\rho}} &= \frac{1}{l} \sqrt{\frac{(m+M)g}{\rho}}
\end{aligned}
$$

使用した物理公式

  • 波の基本公式: \(v = f\lambda\)
  • 弦を伝わる波の速さ: \(v = \sqrt{\frac{S}{\rho}}\)
計算過程

上の等式の両辺を2乗してルートを外します。
$$
\begin{aligned}
\left( \frac{3}{2l} \right)^2 \frac{mg}{\rho} &= \left( \frac{1}{l} \right)^2 \frac{(m+M)g}{\rho} \\[2.0ex]
\frac{9}{4l^2} mg &= \frac{1}{l^2} (m+M)g
\end{aligned}
$$
両辺に \(\frac{l^2}{g}\) を掛けて整理します。
$$
\begin{aligned}
\frac{9}{4} m &= m + M \\[2.0ex]
M &= \frac{9}{4}m – m \\[2.0ex]
M &= \frac{5}{4}m
\end{aligned}
$$
したがって、\(M\) は \(m\) の \(\frac{5}{4}\) 倍です。

この設問の平易な説明

おもりを重くすると、弦が強く張られるので、波が伝わる速さは速くなります。
速さが速くなったのに振動数(1秒間の振動回数)が同じままでいるためには、波長(波1つ分の長さ)が長くならなければなりません。
計算してみると、波長がちょうど1.5倍(腹3個→2個)になるような重さのバランスを求める問題でした。

結論と吟味

答えは \(\frac{5}{4}\) 倍です。
おもりが重くなると張力が増し、波の速さが上がります。同じ振動数で速さが上がれば波長は伸びます。実際、腹の数が3個から2個に減った(波長が長くなった)ので、おもりを増やす(\(M>0\))という操作は物理的に整合しています。

解答 (2) \(\displaystyle \frac{5}{4}\)

問(3)

思考の道筋とポイント
うなりの回数 \(n\) は、2つの音の振動数の差の絶対値 \(|f_A – f_B|\) です。
音さBの振動数 \(f_B\) が \(f_A\) より大きいか小さいかを判断する必要があります。
問題文の「弦の長さを少しだけ長くしなければならなかった」という条件が判断の鍵になります。

この設問における重要なポイント

  • うなりの公式: \(n = |f_A – f_B|\)
  • 弦の長さと固有振動数の関係: 弦を長くすると、波長が長くなり、固有振動数は下がります。

具体的な解説と立式
1. 音さBによる実験の考察
音さBを用いて、質量 \(m\) のおもり(張力一定、波速 \(v\) 一定)で実験しました。
腹が3個の定常波を作る条件は、弦の長さを \(L\) とすると \(L = 3 \frac{\lambda_B}{2}\) なので、波長は \(\lambda_B = \frac{2L}{3}\) です。
このときの弦の固有振動数(=音さBの振動数 \(f_B\))は、
$$
\begin{aligned}
f_B &= \frac{v}{\lambda_B} \\[2.0ex]
&= \frac{v}{\frac{2L}{3}} \\[2.0ex]
&= \frac{3v}{2L}
\end{aligned}
$$
問題文より、音さAのとき(長さ \(l\))よりも弦を長くした(\(L > l\))とあります。
分母の \(L\) が大きくなったので、振動数 \(f_B\) は音さAの振動数 \(f = \frac{3v}{2l}\) よりも小さくなります。
$$
\begin{aligned}
f_B &< f
\end{aligned}
$$

2. うなりの式
うなりの回数が \(n\) なので、
$$
\begin{aligned}
n &= |f – f_B|
\end{aligned}
$$
\(f > f_B\) であることが分かったので、絶対値をそのまま外せます。
$$
\begin{aligned}
n &= f – f_B
\end{aligned}
$$
これを \(f_B\) について解きます。

使用した物理公式

  • うなりの公式: \(n = |f_1 – f_2|\)
  • 固有振動数: \(f = \frac{3v}{2l}\)
計算過程

$$
\begin{aligned}
f_B &= f – n
\end{aligned}
$$

この設問の平易な説明

弦を長くすると、低い音が出やすくなります(ギターの弦を長く持つのと同じです)。
音さBに合わせるために弦を長くしたということは、音さBは音さAよりも低い音(低い振動数)を出しているということです。
だから、音さBの振動数は、音さAの振動数 \(f\) からうなりの回数 \(n\) を引いたものになります。

結論と吟味

答えは \(f – n\) です。
もし逆に弦を短くしたなら \(f+n\) になりますが、今回は長くしたので振動数は下がり、\(f-n\) が正解です。

解答 (3) \(f – n\)

問(4)

思考の道筋とポイント
(3)の結果を利用して、弦の長さの変化量 \(d\) を求めます。
音さBで実験したときの弦の長さは \(l + d\) です。
この長さで腹3個の定常波ができたときの固有振動数が、音さBの振動数 \(f_B (= f – n)\) と一致するという式を立てます。

この設問における重要なポイント

  • 音さBでの共振条件: 弦の長さ \(l+d\)、波の速さ \(v\)(質量 \(m\) なので変わらない)、腹の数3個。

具体的な解説と立式
1. 音さBでの共振条件式
弦の長さが \(l+d\) のとき、腹3個の定常波の波長 \(\lambda_B\) は、
$$
\begin{aligned}
l+d &= 3 \times \frac{\lambda_B}{2}
\end{aligned}
$$
これを \(\lambda_B\) について解きます。
$$
\begin{aligned}
\lambda_B &= \frac{2(l+d)}{3}
\end{aligned}
$$
このときの固有振動数は、
$$
\begin{aligned}
\frac{v}{\lambda_B} &= \frac{3v}{2(l+d)}
\end{aligned}
$$
これが音さBの振動数 \(f_B = f – n\) と等しくなります。
$$
\begin{aligned}
f – n &= \frac{3v}{2(l+d)} \quad \cdots ④
\end{aligned}
$$

2. \(d\) を求める方程式
ここで、音さAの振動数 \(f\) は、長さ \(l\) のときの固有振動数なので、
$$
\begin{aligned}
f &= \frac{3v}{2l}
\end{aligned}
$$
これを式④に代入して \(d\) について解きます。
$$
\begin{aligned}
\frac{3v}{2l} – n &= \frac{3v}{2(l+d)}
\end{aligned}
$$

使用した物理公式

  • 波の基本公式: \(v = f\lambda\)
計算過程

まず左辺を通分します。
$$
\begin{aligned}
\frac{3v – 2nl}{2l} &= \frac{3v}{2(l+d)}
\end{aligned}
$$
両辺の分母の \(2\) を払い、逆数をとります。
$$
\begin{aligned}
\frac{l}{3v – 2nl} &= \frac{l+d}{3v}
\end{aligned}
$$
両辺に \(3v\) を掛けます。
$$
\begin{aligned}
\frac{3vl}{3v – 2nl} &= l + d
\end{aligned}
$$
\(d\) について解きます。
$$
\begin{aligned}
d &= \frac{3vl}{3v – 2nl} – l \\[2.0ex]
&= \frac{3vl – l(3v – 2nl)}{3v – 2nl} \\[2.0ex]
&= \frac{3vl – 3vl + 2nl^2}{3v – 2nl} \\[2.0ex]
&= \frac{2nl^2}{3v – 2nl}
\end{aligned}
$$

この設問の平易な説明

音さAのときの「長さ \(l\)」と「振動数 \(f\)」の関係式と、音さBのときの「長さ \(l+d\)」と「振動数 \(f-n\)」の関係式を連立させて、長さの変化分 \(d\) を計算しました。
単なる代数計算ですが、通分や項の整理を丁寧に行う必要があります。

結論と吟味

答えは \(d = \frac{2nl^2}{3v – 2nl}\) です。
分母 \(3v – 2nl\) は、\(f = \frac{3v}{2l}\) より \(3v = 2fl\) なので、\(2fl – 2nl = 2l(f-n)\) となります。\(f > n\)(振動数はうなりより十分大きい)なので分母は正であり、\(d > 0\) となります。これは「弦を長くした」という事実と一致します。
また、うなり \(n=0\) なら \(d=0\) となり、これも整合します。

解答 (4) \(\displaystyle \frac{2nl^2}{3v – 2nl}\)
別解: 微分を用いた近似計算(検算用)

思考の道筋とポイント
問題文に「ほんの少し」「少しだけ」という表現があるため、\(d\) が \(l\) に比べて非常に小さい(\(d \ll l\))と仮定し、微分の考え方を使って近似的に解くこともできます。
これは厳密解ではありませんが、物理的な直感を得るのに役立ちます。

この設問における重要なポイント

  • 微小変化の近似: 関数 \(f(x)\) の微小変化 \(\Delta f\) は、\(\Delta f \approx f'(x) \Delta x\) で近似できます。
  • 振動数の関数形: 振動数 \(f\) は弦の長さ \(l\) に反比例します(\(f \propto l^{-1}\))。

具体的な解説と立式
振動数 \(f\) は弦の長さ \(l\) の関数として \(f(l) = \frac{3v}{2} l^{-1}\) と書けます。
弦の長さが \(l\) から \(l+d\) に微小変化したときの振動数の変化 \(\Delta f\) を考えます。
$$
\begin{aligned}
\Delta f &\approx \frac{df}{dl} \cdot d
\end{aligned}
$$
ここで、\(\frac{df}{dl}\) を計算します。
$$
\begin{aligned}
\frac{df}{dl} &= \frac{3v}{2} (-1) l^{-2} \\[2.0ex]
&= -\frac{3v}{2l^2}
\end{aligned}
$$
今回の変化では、振動数が \(f\) から \(f-n\) になったので、\(\Delta f = -n\) です。
$$
\begin{aligned}
-n &\approx -\frac{3v}{2l^2} d
\end{aligned}
$$

使用した物理公式

  • 微分の近似式: \(\Delta y \approx \frac{dy}{dx} \Delta x\)
計算過程

これを \(d\) について解きます。
$$
\begin{aligned}
d &\approx \frac{2nl^2}{3v}
\end{aligned}
$$
これは、厳密解 \(d = \frac{2nl^2}{3v – 2nl}\) の分母において、\(3v \gg 2nl\)(振動数がうなりより十分大きい)とみなして \(2nl\) を無視した形と一致します。

この設問の平易な説明

「長さが少し変わると、振動数はどれくらい変わるか?」という変化の割合(微分)を使って計算しました。
厳密な計算をしなくても、だいたいの値(近似値)を素早く見積もることができる便利な方法です。

結論と吟味

近似計算によっても、解の主要な項(オーダー)を確認することができました。

解答 (参考) \(\displaystyle d \approx \frac{2nl^2}{3v}\)

【総まとめ】この一問を未来の得点力へ!完全マスター講座

最重要ポイント:この問題の核心となる物理法則は?

  • 弦を伝わる波の速さと張力・線密度の関係
    • 核心: 弦の振動において最も基本的かつ重要なのは、波の速さ \(v\) が弦の物理的特性(張力 \(S\) と線密度 \(\rho\))によって一意に決まるという事実です(\(v = \sqrt{S/\rho}\))。
    • 理解のポイント:
      • 張力の影響: 弦を強く張る(\(S\) を大きくする)ほど、復元力が強くなり、波は速く伝わります。
      • 線密度の影響: 弦が重い(\(\rho\) が大きい)ほど、慣性が大きくなり、波は遅く伝わります。
      • 微積分による裏付け: 別解で示したように、この関係式は経験則ではなく、ニュートンの運動方程式から数学的に必然として導かれるものです。
  • 定常波の境界条件と幾何学的制約
    • 核心: 両端が固定された弦(固定端)では、波が自由に存在できるわけではなく、弦の長さ \(l\) が半波長 \(\frac{\lambda}{2}\) の整数倍になるような特定の波(定常波)しか安定して存在できません。
    • 理解のポイント:
      • 腹の数 \(n\) の意味: 「腹が \(n\) 個」という情報は、単なる形状の説明ではなく、\(l = n(\frac{\lambda}{2})\) という強力な数式条件を与えています。
      • 振動数の離散性: 波速 \(v\) と波長 \(\lambda\) の制約から、弦が出せる音の高さ(固有振動数)は飛び飛びの値(基本振動、2倍振動…)に限られます。

応用テクニック:似た問題が出たらココを見る!解法の鍵と着眼点

  • 応用できる類似問題のパターン:
    • 気柱の共鳴: 弦(横波)ではなく空気(縦波)の振動ですが、「境界条件(開口端・閉口端)から波長を決める」\(\rightarrow\) 「音速と組み合わせて振動数を求める」というプロセスは完全に同じです。
    • モノコードの実験: 駒を動かして弦の長さを変えたり、おもりを変えて張力を変えたりする問題は、本問と全く同じロジックで解けます。
    • ギターやバイオリンのチューニング: ペグを回して張力を変える(\(v\) を変える)操作と、指で弦を押さえて長さを変える(\(\lambda\) を変える)操作の違いを物理的に区別する視点が養われます。
  • 初見の問題での着眼点:
    1. 何が変化して、何が一定か?:
      • おもりを変える \(\rightarrow\) 張力 \(S\) が変化 \(\rightarrow\) 波速 \(v\) が変化
      • 音さを変えない \(\rightarrow\) 振動数 \(f\) は一定
      • 弦の長さを変える \(\rightarrow\) 波長 \(\lambda\) の条件が変化
    2. 「腹の数」を数式に翻訳する: 図を見て「腹が3つ」と思ったら、即座に \(l = 3(\frac{\lambda}{2})\) と書き下しましょう。これが全ての計算の出発点です。
    3. うなりの大小関係の判定: 「弦を長くした」「おもりを軽くした」などの操作から、振動数が上がったのか下がったのかを定性的に判断し、\(|f_A – f_B|\) の絶対値を正しく外すことが正答への分かれ道です。

要注意!ありがちなミス・誤解とその対策

  • 波の速さの公式の適用ミス:
    • 誤解: 音波の速さ(空気中の音速 \(V \approx 340\,\text{m}/\text{s}\))と、弦を伝わる波の速さ \(v\) を混同してしまう。
    • 対策: 「弦の振動」の問題では、波は弦の上を走っています。空気中の音速は関係ありません。必ず \(v = \sqrt{S/\rho}\) を使いましょう。
  • うなりの引き算の順序:
    • 誤解: 何も考えずに「大きい方から小さい方を引く」つもりで、誤って \(f_B – f_A\) としたり、逆にしたりする。
    • 対策: (3)のように「弦を長くした \(\rightarrow\) 低い音になった」という物理的因果関係から、必ず大小関係(\(f_A > f_B\))を確定させてから式を立てる癖をつけましょう。
  • 「波長」と「弦の長さ」の混同:
    • 誤解: 公式 \(v = f\lambda\) の \(\lambda\) に、そのまま弦の長さ \(l\) を代入してしまう。
    • 対策: \(\lambda\) は「波1つ分の長さ」です。図を描いて、弦の長さ \(l\) が波長の何倍(あるいは何分の一)なのかを必ず確認してください。基本振動(腹1つ)でも \(\lambda = 2l\) であり、\(\lambda = l\) ではありません。

なぜその公式?論理的な公式選択と適用の思考法

  • 問(1)での公式選択(波の速さと幾何学条件):
    • 選定理由: 求めたいのは振動数 \(f\) です。直接測定できないため、計算可能な「波の速さ \(v\)」と、図から読み取れる「波長 \(\lambda\)」を媒介変数として \(f = v/\lambda\) で求める戦略をとります。
    • 適用根拠: 張力 \(S\) と線密度 \(\rho\) が与えられているため \(v\) は確定し、腹の数と弦の長さ \(l\) が与えられているため \(\lambda\) も確定します。これらを組み合わせるのが最短ルートです。
  • 問(4)での公式選択(共振条件の連立):
    • 選定理由: 未知数 \(d\) を含む方程式が必要です。「音さBの振動数」という共通項に着目し、音さAの状態(基準)と音さBの状態(変化後)を関係付ける式を立てます。
    • 適用根拠: うなりの回数 \(n\) は振動数の差そのものなので、\(f_B = f – n\) という関係式が最も直接的に未知数 \(d\) と既知量 \(n, v, l\) を結びつけます。

計算ミスをなくす!日頃の意識と実践テクニック

  • 文字式の次元確認(ディメンションチェック):
    • 答えが出たら、単位(次元)を確認しましょう。例えば(1)の \(f = \frac{3}{2l}\sqrt{\frac{mg}{\rho}}\) なら、\(\sqrt{mg/\rho}\) は速さ \([\text{L}/\text{T}]\)、\(1/l\) は \([1/\text{L}]\) なので、全体で \([1/\text{T}]\)(振動数)となり正しいです。もし \(l\) が分子に来ていたら間違いです。
  • 比の計算の活用:
    • (2)のように「何倍か?」を問われる問題では、具体的な数値を代入して計算するのではなく、変化する部分(\(m\) と \(l\) の関係)だけを抽出して比をとると、定数(\(g, \rho\) など)が消えて計算ミスが減ります。
    • 例: \(f \propto \frac{1}{l}\sqrt{m}\) なので、\(f\) 一定なら \(l \propto \sqrt{m}\) \(\rightarrow\) \(l^2 \propto m\)。波長が \(1.5\) 倍(\(l\) が \(1.5\) 倍相当)なら、質量は \(1.5^2 = 2.25\) 倍…といった検算が可能です。
  • 極限的なケースでの検算:
    • (4)の答え \(d = \frac{2nl^2}{3v – 2nl}\) において、もしうなりがない(\(n=0\))なら? 分子が0になり \(d=0\)。これは「同じ音さなら長さは変わらない」という事実と一致します。
    • もし \(n\) が非常に大きくて \(2nl \to 3v\) に近づくと? 分母が0に近づき \(d \to \infty\)。これは振動数を0にするには無限の長さが必要であることを示唆しており、定性的にも妥当です。

問題77 (信州大)

【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド

【相違点に関する注記】
  1. 提示する別解
    • 設問(1)の別解: 微積分を用いた体系的解法(波動方程式と境界条件)
      • 模範解答は定常波の図形的な性質(腹や節の位置関係)から波長を求めていますが、別解では音波の波動方程式から出発し、開口端・閉口端の境界条件を数式として適用することで、固有振動数の式を一般的に導出します。
    • 設問(4)の別解: 固有振動数の規則性を用いた解法
      • 模範解答は波長の図形的関係から計算していますが、別解では「開管の固有振動数は基本振動数の自然数倍になる」という物理的性質を利用し、比率計算のみで瞬時に解を導きます。
  2. 上記の別解が有益である理由
    • 微積分の解法: 「なぜ閉管は奇数倍音のみが生じ、開管は自然数倍音が生じるのか」という物理的必然性を、数式(三角関数の性質)から演繹的に理解できます。これにより、複雑な境界条件の問題にも対応できる応用力が身につきます。
    • 規則性の解法: 物理現象の全体像(モードの規則性)を把握することで、個別の計算を省略し、検算や迅速な解答が可能になります。
  3. 結果への影響
    • いずれのアプローチを用いても、最終的に得られる答えは模範解答と完全に一致します。

この問題のテーマは「気柱の共鳴(閉管と開管)」です。管の形状(開いているか閉じているか)と長さによって決まる固有振動数と、音源の振動数との関係を理解することが求められます。

問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。

  1. 定常波の境界条件:
    • 閉口端(壁やピストン): 空気が振動できないため、変位のになります。
    • 開口端(管の口): 空気が自由に振動できるため、変位のになります(開口端補正無視の場合)。
  2. 波の基本公式: 音速 \(V\)、振動数 \(f\)、波長 \(\lambda\) の間には \(V = f\lambda\) の関係があります。
  3. 共鳴条件: 気柱の中に生じる定常波の波長と管の長さが特定の関係(境界条件)を満たすとき、共鳴が起こります。

基本的なアプローチは以下の通りです。

  1. (1)(2)では、片側が閉じた「閉管」として扱い、基本振動(1/4波長)や3倍振動(3/4波長)の条件から波長や位置を求めます。
  2. (3)(4)では、両端が開いた「開管」として扱い、管の長さと波長の関係から共鳴条件を導きます。

問(1)

思考の道筋とポイント
ピストンPがある位置は閉口端(節)、管の口Aは開口端(腹)となります。
「最初の共鳴」とは、管の長さが最も短い状態で起こる共鳴、すなわち基本振動を意味します。
このとき、管の中には「腹から節まで」の最も単純な定常波が形成されています。

この設問における重要なポイント

  • 基本振動の波形: 開口端Aが腹、閉口端Pが節となり、その間に節はありません。
  • 距離と波長の関係: 腹から隣り合う節までの距離は、波長 \(\lambda\) の \(\frac{1}{4}\) 倍です。

具体的な解説と立式
AからPまでの距離を \(l_1\) とします。問題文より \(l_1 = 20.0\,\text{cm} = 0.200\,\text{m}\) です。
基本振動において、管の長さ \(l_1\) は \(1/4\) 波長に相当します。
$$
\begin{aligned}
l_1 &= \frac{\lambda}{4}
\end{aligned}
$$
これを変形して波長 \(\lambda\) を求めます。
$$
\begin{aligned}
\lambda &= 4l_1
\end{aligned}
$$
音速を \(V\)、振動数を \(f\) とすると、波の基本公式 \(V = f\lambda\) が成り立ちます。
これより振動数 \(f\) を求める式を立てます。
$$
\begin{aligned}
f &= \frac{V}{\lambda} \\[2.0ex]
&= \frac{V}{4l_1}
\end{aligned}
$$

使用した物理公式

  • 定常波の節・腹の間隔: \(d = \frac{\lambda}{4}\)
  • 波の基本公式: \(V = f\lambda\)
計算過程

与えられた数値 \(V = 340\,\text{m}/\text{s}\)、\(l_1 = 0.200\,\text{m}\) を代入します。
$$
\begin{aligned}
f &= \frac{340}{4 \times 0.200} \\[2.0ex]
&= \frac{340}{0.800} \\[2.0ex]
&= \frac{3400}{8} \\[2.0ex]
&= 425
\end{aligned}
$$

この設問の平易な説明

ピストンを動かして最初に音が大きくなったとき、管の中には一番シンプルな波ができています。
入り口(A)が一番大きく揺れて(腹)、ピストン(P)のところでは揺れない(節)状態です。
この「腹から節」までの長さは、波1つ分の長さ(波長)のちょうど4分の1になります。
管の長さが \(20\,\text{cm}\) なので、波長はその4倍の \(80\,\text{cm}\) です。
音の速さは決まっているので、波長が分かれば振動数(音の高さ)も計算できます。

結論と吟味

答えは \(425\,\text{Hz}\) です。
一般的な音叉の振動数として妥当な値です。単位換算(\(\text{cm} \to \text{m}\))を忘れないように注意が必要です。

解答 (1) \(425\,\text{Hz}\)
別解: 微積分を用いた体系的解法(波動方程式と境界条件)

思考の道筋とポイント
音波の変位 \(y(x,t)\) が従う波動方程式から出発し、境界条件を適用して固有振動数を導きます。
開口端を原点 \(x=0\) とし、閉口端を \(x=l\) とします。

この設問における重要なポイント

  • 波動方程式: 音波は波動方程式 \(\frac{\partial^2 y}{\partial t^2} = V^2 \frac{\partial^2 y}{\partial x^2}\) に従います。
  • 変数分離と一般解: 定常波解を \(y(x,t) = X(x)\cos(\omega t)\) と置くと、空間部分 \(X(x)\) は単振動の形 \(A\sin(kx+\phi)\) になります。
  • 境界条件の数式化:
    • \(x=0\)(開口端): 変位の腹 \(\rightarrow\) 振幅最大。
    • \(x=l\)(閉口端): 変位の節 \(\rightarrow\) 変位 \(0\)。

具体的な解説と立式
1. 空間分布の決定
開口端 \(x=0\) で変位が腹(最大)となるため、空間部分 \(X(x)\) として \(\cos\) 型を選びます(\(\sin\) 型だと \(x=0\) で \(0\) になってしまうため)。
$$
\begin{aligned}
X(x) &= A \cos(kx)
\end{aligned}
$$
ここで \(k\) は波数で、\(k = \frac{2\pi}{\lambda} = \frac{2\pi f}{V}\) です。

2. 境界条件の適用
閉口端 \(x=l\) では空気が移動できないため、変位は常に \(0\)(節)になります。
$$
\begin{aligned}
X(l) &= A \cos(kl) = 0
\end{aligned}
$$
\(\cos \theta = 0\) となる条件は、\(\theta = \frac{\pi}{2}, \frac{3\pi}{2}, \frac{5\pi}{2}, \dots\) です。
一般に整数 \(n = 1, 2, 3, \dots\) を用いて、
$$
\begin{aligned}
kl &= (2n – 1) \frac{\pi}{2}
\end{aligned}
$$
と表せます。

3. 固有振動数の導出
\(k = \frac{2\pi f}{V}\) を代入して \(f\) について解きます。
$$
\begin{aligned}
\frac{2\pi f}{V} l &= (2n – 1) \frac{\pi}{2} \\[2.0ex]
f &= (2n – 1) \frac{V}{4l}
\end{aligned}
$$
これが閉管の固有振動数の一般式です。
「最初の共鳴」は \(n=1\)(基本振動)に対応します。
$$
\begin{aligned}
f &= \frac{V}{4l}
\end{aligned}
$$
これはメイン解法で導いた式と一致します。

使用した物理公式

  • 波動方程式の定常波解
  • 三角関数の零点条件
計算過程

数値計算はメイン解法と同じです。
$$
\begin{aligned}
f &= \frac{340}{4 \times 0.200} = 425\,\text{Hz}
\end{aligned}
$$

この設問の平易な説明

波の形を数式(コサイン)で表し、「入り口で最大、行き止まりでゼロ」という条件を満たす波を探しました。
すると、波の形がピタリとはまるためには、特定の振動数でなければならないことが数式から自然に導かれます。

結論と吟味

微積分(微分方程式の解)を用いても、図形的な考察と同じ結果が得られました。この方法は、より複雑な条件の問題にも応用可能です。

解答 (1) \(425\,\text{Hz}\)

問(2)

思考の道筋とポイント
ピストンをさらに右(奥)へ移動させると、管が長くなります。
振動数 \(f\)(音源)は一定のままなので、波長 \(\lambda\) も一定です。
次に共鳴するのは、定常波の「節」がもう一つ増えた状態です。

この設問における重要なポイント

  • 定常波の周期性: 節と節(または腹と腹)の間隔は半波長 \(\frac{\lambda}{2}\) です。
  • 次の共鳴: 基本振動(腹-節)の次に現れるのは、間に「節-腹」が一つ挿入された状態(腹-節-腹-節)、すなわち3倍振動です。

具体的な解説と立式
最初の共鳴位置(\(l_1 = 20.0\,\text{cm}\))では、開口端Aが腹、ピストン位置が節でした。
さらにピストンを引くと、次に共鳴するのは、ピストン位置が「次の節」に来たときです。
隣り合う節と節の間隔は半波長 \(\frac{\lambda}{2}\) なので、次の共鳴位置までの距離 \(l_2\) は以下のようになります。
$$
\begin{aligned}
l_2 &= l_1 + \frac{\lambda}{2}
\end{aligned}
$$
(1)より \(\lambda = 4l_1 = 80.0\,\text{cm}\) です。

使用した物理公式

  • 節の間隔: \(d = \frac{\lambda}{2}\)
計算過程

$$
\begin{aligned}
l_2 &= 20.0 + \frac{80.0}{2} \\[2.0ex]
&= 20.0 + 40.0 \\[2.0ex]
&= 60.0
\end{aligned}
$$

この設問の平易な説明

定常波の模様は、半波長(波長の半分)ごとに同じパターン(節)が繰り返されます。
最初の共鳴点から、さらに半波長分だけ管を長くすると、またピストンの位置に節が来て、共鳴が起こります。
波長は \(80\,\text{cm}\) なので、その半分の \(40\,\text{cm}\) だけ奥にずらした位置が答えです。

結論と吟味

答えは \(60.0\,\text{cm}\) です。
これは基本振動の長さ \(20.0\,\text{cm}\) の3倍になっており、閉管における「3倍振動」に対応しています。物理的に正しい挙動です。

解答 (2) \(60.0\,\text{cm}\)

問(3)

思考の道筋とポイント
ピストンを取り外すと、管の右端Bも開口端になります。つまり、両端が開いた「開管」になります。
この状態で「ちょうど共鳴が起こった」ということは、管の長さ \(L\) が開管の共鳴条件を満たしていることを意味します。
問(2)の状態(\(60.0\,\text{cm}\))からBまで共鳴しなかったという情報も重要です。

この設問における重要なポイント

  • 開管の境界条件: 両端(AとB)がともに変位のになります。
  • 定常波の形状: 問(2)の閉管の状態(腹-節-腹-節)から、ピストン(節)を取り払ってB(腹)まで伸ばした形を想像します。
  • 連続性: 問(2)の位置(Aから \(60.0\,\text{cm}\))は節でした。そこからさらに右へ行き、最初に現れる腹の位置がBです。節から隣の腹までの距離は \(\frac{\lambda}{4}\) です。

具体的な解説と立式
1. 管の長さ \(L\) の導出
問(2)の共鳴位置(Aから \(60.0\,\text{cm}\))を点Qとします。Qは節です。
そこからピストンを外し、Bまで伸ばして開管として共鳴させました。Bは開口端なので腹です。
Q(節)からB(腹)までの間に共鳴点がなかったため、QB間の距離は \(1/4\) 波長になります。
$$
\begin{aligned}
\text{QB} &= \frac{\lambda}{4}
\end{aligned}
$$
したがって、管の全長 \(L\) は、
$$
\begin{aligned}
L &= \text{AQ} + \text{QB} \\[2.0ex]
&= 60.0 + \frac{\lambda}{4}
\end{aligned}
$$
ここで \(\lambda = 80.0\,\text{cm}\) です。

2. 定常波の様子
Aは腹、Bも腹です。
全長 \(L\) の中に、波長 \(\lambda = 80.0\,\text{cm}\) がどのように入っているかを確認します。
計算結果より \(L = 80.0\,\text{cm}\) となるため、\(L = \lambda\) です。
つまり、管の長さの中にちょうど1波長分が含まれています。
波形は「腹 \(\to\) 節 \(\to\) 腹 \(\to\) 節 \(\to\) 腹」となります。

使用した物理公式

  • 節から腹までの距離: \(d = \frac{\lambda}{4}\)
計算過程

$$
\begin{aligned}
L &= 60.0 + \frac{80.0}{4} \\[2.0ex]
&= 60.0 + 20.0 \\[2.0ex]
&= 80.0
\end{aligned}
$$
定常波の様子は、両端が大きく開き(腹)、管を4等分した位置(\(20\,\text{cm}, 60\,\text{cm}\))で閉じる(節)形になります。

この設問の平易な説明

問(2)の状態では、\(60\,\text{cm}\) のところで空気が止まっていました(節)。
そこからピストンを抜いて管を延長し、出口(B)で空気が激しく動く(腹)ようにしました。
節から次の腹までは \(1/4\) 波長(\(20\,\text{cm}\))離れています。
だから、\(60\,\text{cm}\) に \(20\,\text{cm}\) を足した \(80\,\text{cm}\) が管の長さになります。
このとき、管の長さ \(80\,\text{cm}\) は波長 \(80\,\text{cm}\) とぴったり同じなので、管の中には波が1つ丸ごと入っています。

結論と吟味

答えは \(L = 80.0\,\text{cm}\) です。
図示については、両端が最大振幅(腹)、中央(\(40\,\text{cm}\))が腹、その間(\(20\,\text{cm}, 60\,\text{cm}\))に節がある「2倍振動」の波形を描きます。

解答 (3) \(L = 80.0\,\text{cm}\), 図は両端が腹で中間に節が2つある波形(2倍振動)

問(4)

思考の道筋とポイント
管の長さ \(L = 80.0\,\text{cm}\) は固定です。
振動数のより小さい音叉を使うということは、波長 \(\lambda’\) がより長くなることを意味します(\(V=f\lambda\) より \(f\) と \(\lambda\) は反比例)。
現在(問3)は \(L=\lambda\)(2倍振動)の状態です。これより波長が長い共鳴モードを探します。

この設問における重要なポイント

  • 開管の共鳴条件: 両端が腹であるため、管の長さ \(L\) は半波長の整数倍になります。
    $$
    L = m \frac{\lambda’}{2} \quad (m=1, 2, 3, \dots)
    $$
  • モードの選択: 現在は \(m=2\)(\(L=\lambda\))です。これより振動数が小さい(波長が長い)モードは、\(m=1\)(基本振動)しかありません。

具体的な解説と立式
求める振動数を \(f’\)、波長を \(\lambda’\) とします。
より振動数が小さい共鳴、すなわち基本振動(\(m=1\))を考えます。
このとき、管の長さ \(L\) は半波長に等しくなります。
$$
\begin{aligned}
L &= \frac{\lambda’}{2}
\end{aligned}
$$
よって、新しい波長 \(\lambda’\) は、
$$
\begin{aligned}
\lambda’ &= 2L
\end{aligned}
$$
振動数 \(f’\) は、
$$
\begin{aligned}
f’ &= \frac{V}{\lambda’} \\[2.0ex]
&= \frac{V}{2L}
\end{aligned}
$$

使用した物理公式

  • 開管の基本振動条件: \(L = \frac{\lambda}{2}\)
  • 波の基本公式: \(V = f\lambda\)
計算過程

\(V = 340\,\text{m}/\text{s}\)、\(L = 0.800\,\text{m}\) を代入します。
$$
\begin{aligned}
f’ &= \frac{340}{2 \times 0.800} \\[2.0ex]
&= \frac{340}{1.60} \\[2.0ex]
&= \frac{34000}{160} \\[2.0ex]
&= 212.5
\end{aligned}
$$
有効数字3桁で答えます。
$$
\begin{aligned}
f’ &\approx 213\,\text{Hz}
\end{aligned}
$$

この設問の平易な説明

今は管の中に波が1つ入っています(2倍振動)。
もっと低い音(振動数が小さい音)で共鳴させたいなら、波長をもっと長くする必要があります。
開いた管で一番長い波長が入るのは、管の長さが「半波長」になるときです(基本振動)。
このとき波長は管の長さの2倍になります。
計算すると、振動数は今の半分になります。

結論と吟味

答えは \(213\,\text{Hz}\) です。
元の振動数 \(425\,\text{Hz}\) のちょうど半分になっています。これは開管の2倍振動から基本振動へ変化したことと整合します。

解答 (4) \(213\,\text{Hz}\)
別解: 固有振動数の規則性を用いた解法

思考の道筋とポイント
開管の固有振動数が持つ単純な整数倍の規則性を利用すれば、波長を計算せずに振動数の比だけで瞬時に答えを出すことができます。

この設問における重要なポイント

  • 開管の固有振動数: 開管の固有振動数 \(f_m\) は、基本振動数 \(f_1\) の自然数倍になります。
    $$
    f_m = m f_1 \quad (m=1, 2, 3, \dots)
    $$
  • 現在のモード: 問(3)の状態は \(L=\lambda\) であり、これは基本振動(\(L=\lambda/2\))の2倍の振動数を持つ「2倍振動(\(m=2\))」です。

具体的な解説と立式
問(3)での振動数 \(f = 425\,\text{Hz}\) は、2倍振動(\(m=2\))の振動数 \(f_2\) です。
$$
\begin{aligned}
f_2 &= 2 f_1 = 425\,\text{Hz}
\end{aligned}
$$
求めたいのは、これより小さく、かつ共鳴する振動数です。
開管において \(m=2\) より小さいモードは、基本振動(\(m=1\))しかありません。
求める振動数 \(f’\) は基本振動数 \(f_1\) そのものです。
$$
\begin{aligned}
f’ &= f_1 = \frac{1}{2} f_2
\end{aligned}
$$

使用した物理公式

  • 開管の固有振動数: \(f_m = m f_1\)
計算過程

$$
\begin{aligned}
f’ &= \frac{425}{2} \\[2.0ex]
&= 212.5 \\[2.0ex]
&\approx 213\,\text{Hz}
\end{aligned}
$$

この設問の平易な説明

開いた管の共鳴音は、「ド、高いド、さらに高いソ…」のように、基本の音の2倍、3倍…の高さ(振動数)になります。
さっき鳴っていたのは「2倍の音」でした。これより低い共鳴音は「基本の音(1倍)」しかありません。
だから、振動数は単純に半分にすればよいのです。

結論と吟味

メイン解法と同じ結果が、より少ない計算量で得られました。検算としても非常に有効です。

解答 (別解) \(213\,\text{Hz}\)

【総まとめ】この一問を未来の得点力へ!完全マスター講座

最重要ポイント:この問題の核心となる物理法則は?

  • 定常波の境界条件と波形の決定
    • 核心: 気柱の共鳴現象において最も重要なのは、「管の端がどのような状態か(開いているか閉じているか)」によって、定常波の「腹」になるか「節」になるかが決まるという点です。
    • 理解のポイント:
      • 閉口端(固定端): 空気の分子が壁に衝突して動けないため、変位は必ず(振幅ゼロ)になります。
      • 開口端(自由端): 空気が管の外へ自由に動けるため、変位は(振幅最大)になります(厳密には開口端補正がありますが、本問では無視)。
      • 波形の描画: 「閉口端=節」「開口端=腹」という点を打ち、それらを正弦波で滑らかにつなぐことで、定常波の形状(モード)を正しく描くことができます。
  • 音波の基本式と共鳴条件の数式化
    • 核心: 物理現象(共鳴)を解くためには、幾何学的な波形の情報を数式(波長 \(\lambda\) と管長 \(L\) の関係)に変換し、波の基本公式 \(V=f\lambda\) と結びつける必要があります。
    • 理解のポイント:
      • 節・腹の間隔: 「節から隣の腹まで」は \(\lambda/4\)、「節から隣の節まで」は \(\lambda/2\) です。これを定規代わりにして管の長さを測ります。
      • 固有振動数の離散性: 境界条件を満たす波長は飛び飛びの値しか取れないため、共鳴する振動数(固有振動数)も離散的な値(基本振動、2倍振動…)になります。

応用テクニック:似た問題が出たらココを見る!解法の鍵と着眼点

  • 応用できる類似問題のパターン:
    • 水位を変える気柱共鳴: ピストンを動かす代わりに、水面を上下させて閉口端の位置を変える問題も、本質は全く同じ「閉管」の問題です。
    • クントの実験: 棒の振動によって気柱を共鳴させる実験も、固定端・自由端の境界条件を正しく見極めれば同様に解けます。
    • 弦の振動: 「両端固定(閉管に相当)」や「一端固定・他端自由(閉管に相当)」のアナロジーとして捉えることで、公式を混同せずに済みます。
  • 初見の問題での着眼点:
    1. 端の条件を確認する: まず最初に、管の両端が「開いている(腹)」か「閉じている(節)」かをチェックし、図に「腹」「節」と書き込みましょう。
    2. 「基本振動」か「倍振動」か: 「最初の共鳴」「最も低い音」といったキーワードは基本振動(\(n=1\))を指します。「2回目の共鳴」なら次のモードです。
    3. 変化する変数は何か:
      • ピストンを動かす \(\rightarrow\) \(L\) が変化、\(f\) は一定 \(\rightarrow\) \(\lambda\) は一定。
      • 音源を変える \(\rightarrow\) \(f\) が変化、\(L\) は一定 \(\rightarrow\) \(\lambda\) が変化。
      • 気温が変わる \(\rightarrow\) \(V\) が変化。

要注意!ありがちなミス・誤解とその対策

  • 「開管」と「閉管」の倍振動の混同:
    • 誤解: 「閉管でも2倍振動、4倍振動がある」と思い込んだり、「開管は奇数倍音だけ」と逆に覚えたりする。
    • 対策: 丸暗記は危険です。必ず図を描いて確認しましょう。
      • 閉管(片方閉じる): \(\lambda/4\) の奇数倍 \(\rightarrow\) 奇数倍音のみ(\(f, 3f, 5f…\))。
      • 開管(両方開く): \(\lambda/2\) の整数倍 \(\rightarrow\) 自然数倍音すべて(\(f, 2f, 3f…\))。
  • 波長 \(\lambda\) と管長 \(L\) の取り違え:
    • 誤解: 公式 \(V=f\lambda\) の \(\lambda\) に、管の長さ \(L\) をそのまま代入してしまう。
    • 対策: \(\lambda\) は「波1つ分の長さ」です。基本振動の閉管なら \(L=\lambda/4\) なので \(\lambda=4L\) です。必ず \(L = (\text{係数}) \times \lambda\) の式を立ててから \(\lambda\) を求めてください。
  • 有効数字の処理:
    • 誤解: 途中計算で数値を丸めてしまい、最終的な答えに誤差が出る。あるいは、解答の有効数字(桁数)を間違える。
    • 対策: 途中計算は分数やルートのまま進めるか、一桁多く計算しておき、最後に四捨五入します。本問では \(20.0\,\text{cm}\)(3桁)なので、答えも3桁で揃えます。

なぜその公式?論理的な公式選択と適用の思考法

  • 問(1)での公式選択(波の基本公式):
    • 選定理由: 求めたいのは振動数 \(f\) です。与えられているのは音速 \(V\) と、幾何学的条件から求まる波長 \(\lambda\) です。これらを結びつける唯一の式が \(V=f\lambda\) です。
    • 適用根拠: 媒質(空気)の状態が変わらない限り音速 \(V\) は一定であり、定常波が形成されている状態でもこの関係式は常に成立します。
  • 問(4)での公式選択(開管の共鳴条件):
    • 選定理由: 「振動数のより小さなおんさ」という条件から、現在のモード(2倍振動)よりも低次のモードを探す必要があります。
    • 適用根拠: 開管の境界条件(両端腹)を満たす波長は \(\lambda_m = \frac{2L}{m}\) に限られます。\(f\) を小さくするには \(\lambda\) を大きく、つまり分母の \(m\) を小さくすればよいことが論理的に導かれます。

計算ミスをなくす!日頃の意識と実践テクニック

  • 単位の統一:
    • 問題文には \(\text{cm}\) と \(\text{m}/\text{s}\) が混在しています。計算前に必ず \(\text{cm} \to \text{m}\) (\(\times 10^{-2}\))に換算する癖をつけましょう。\(20.0\,\text{cm} = 0.200\,\text{m}\) です。
  • 図形的な検算:
    • (2)で \(60.0\,\text{cm}\) という答えが出たら、「最初の \(20.0\,\text{cm}\) の3倍だな」と確認します。閉管は \(1:3:5\) の長さで共鳴するので、比率が合っていることで安心できます。
  • 別解によるクロスチェック:
    • (4)のように、真面目に波長から計算する方法と、「開管は自然数倍音だから半分にするだけ」という規則性を使う方法の2通りで解き、結果が一致することを確認すれば、計算ミスはほぼゼロにできます。
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問題78 (センター試験)

【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド

【相違点に関する注記】
  1. 提示する別解
    • 設問(2)(イ)の別解: 微積分を用いた体系的解法(密度変化と変位の関係)
      • 模範解答は「密度変化が最大となるのは節の位置」という知識を前提としていますが、別解では音波の変位 \(y(x,t)\) を空間微分することで密度変化(圧力変化)を導出し、なぜ節で密度変化が最大になるのかを数学的に証明します。
    • 設問(4)の別解: 固有振動数の規則性を用いた解法
      • 模範解答は波長を計算してから振動数を求めていますが、別解では閉管の固有振動数が基本振動数の奇数倍になるという規則性を利用し、比率計算のみで解を導きます。
  2. 上記の別解が有益である理由
    • 微積分の解法: 「変位の節=密度の腹(変化最大)」という、直感的に理解しにくい関係を、微分の定義から論理的に導くことができます。これは音波の本質的な理解に繋がります。
    • 規則性の解法: 計算量を大幅に減らし、ケアレスミスを防ぐとともに、物理現象の全体像(モードの規則性)を把握する力を養います。
  3. 結果への影響
    • いずれのアプローチを用いても、最終的に得られる答えは模範解答と完全に一致します。

この問題のテーマは「気柱の共鳴と開口端補正」です。水面を上下させて閉管の長さを変える実験を通じて、定常波の性質、開口端補正、音速、そして気温の影響を総合的に理解する力が問われます。

問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。

  1. 定常波の境界条件:
    • 閉口端(水面): 空気が振動できないため、変位のになります。
    • 開口端(管口付近): 空気が自由に振動できるため、変位のになりますが、管口よりも少し外側に腹ができます。このずれを開口端補正 \(\Delta l\) と呼びます。
  2. 共鳴位置の間隔: 隣り合う共鳴点(節と節)の間隔は、半波長 \(\frac{\lambda}{2}\) に等しくなります。
  3. 音速と温度: 音速 \(V\) は気温 \(t\) [\(^\circ\text{C}\)] によって変化し、\(V \approx 331.5 + 0.6t\) の関係があります(温度が高いほど速い)。

基本的なアプローチは以下の通りです。

  1. (1)では、2つの共鳴位置の差から半波長を求め、そこから波長と音速を決定します。また、基本振動の条件から開口端補正を逆算します。
  2. (2)では、定常波の変位と密度の関係(位相のずれ)を理解し、それぞれの最大位置を特定します。
  3. (3)では、温度変化による音速の変化が波長(共鳴位置)にどう影響するかを考察します。
  4. (4)では、管の長さを固定したまま振動数を変えたときの、次の共鳴モード(高次振動)を求めます。

問(1)

ここから先が、他の受験生と差がつく重要パートです。

「解法に至る思考プロセス」
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