問題121 (名城大)
【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド
- 提示する別解
- 設問(1)の別解: 電位(ノード解析)を用いた解法
- 模範解答がコンデンサーの直列合成容量を用いるのに対し、別解では回路内の各点の電位を定義し、電荷保存則と電位の関係式(キルヒホッフの法則)を連立させて解きます。
- 設問(3)の別解: 微積分を用いた体系的解法(回路方程式からのエネルギー保存則の導出)
- ジュール熱を「減少した静電エネルギー」として公式的に計算するのではなく、回路方程式(キルヒホッフの第2法則)を立て、それに電流を掛けて時間積分することで、エネルギー保存則そのものを数学的に導出する原理的なアプローチをとります。
- 設問(1)の別解: 電位(ノード解析)を用いた解法
- 上記の別解が有益である理由
- 電位を用いた解法: 「直列・並列」の区別がつきにくい複雑な回路や、ブリッジ回路のような合成容量が使えないケースでも、機械的に式を立てて解くことができる汎用性の高い手法です。
- 微積分の解法: 「ジュール熱=エネルギーの減少分」という関係が、なぜ成り立つのかを数式から理解することで、物理法則の深層にあるロジックを把握できます。
- 結果への影響
- いずれのアプローチを用いても、最終的に得られる答えは模範解答と完全に一致します。
この問題のテーマは「直流回路におけるコンデンサーの過渡現象と定常状態」です。スイッチの切り替えによって回路の接続状態(直列・並列)が変化し、それに伴い電荷が移動する様子を追跡します。
問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。
- 定常状態の特性: 直流電源に接続されたコンデンサーを含む回路では、十分時間が経過すると充電が完了し、コンデンサーを含む枝には電流が流れなくなります。
- 電気量保存則: 周囲と絶縁された(孤立した)導体部分では、電荷の総和は変化しません。
- 電位と回路の接続: 導線でつながれた点は等電位となります。電流が流れていない抵抗の両端も等電位となります。
- エネルギー保存則: 回路の状態変化に伴い、静電エネルギーの変化分が抵抗でのジュール熱として消費されます。
基本的なアプローチは以下の通りです。
- (1)では、スイッチ \(S_1\) を閉じた後の定常状態を考えます。コンデンサーを断線とみなして電流を求め、直列回路の分圧として電荷を計算します。
- (2)では、スイッチ \(S_2\) を閉じたことで回路構造が変化することに着目します。各コンデンサーの電圧が抵抗の電圧降下と等しくなることを利用し、電荷の再配分を計算します。
- (3)では、電源を切り離した後の放電過程を考えます。最終的に電流がゼロになることから等電位部分を見抜き、電荷保存則とエネルギー保存則を用いて解きます。
問(1)
思考の道筋とポイント
スイッチ \(S_1\) を閉じて十分時間が経過すると、コンデンサー \(C_1, C_2\) への充電が完了し、電流が流れなくなります。
このとき、コンデンサーがある枝は「断線」しているとみなせるため、電流は抵抗 \(R_1, R_2\) のみを流れます。
この設問における重要なポイント
- 定常状態の電流経路: 電流 \(I\) は電源 \(E \to R_1 \to R_2 \to \text{接地}\) の経路でのみ流れます。
- 孤立部分の電荷保存: \(C_1\) と \(C_2\) の間の導線(点Aを含む部分)は、どこにも接続されていない孤立部分です。初期電荷がゼロなので、静電誘導により \(C_1\) の下極板(A側)と \(C_2\) の上極板(A側)の電荷の和は常に \(0\) です。これは \(C_1, C_2\) が直列接続されていることを意味します。
具体的な解説と立式
(ア)
回路全体を流れる電流を \(I\) とします。
キルヒホッフの第2法則(電圧則)より、電源電圧と抵抗での電圧降下の関係式を立てます。
$$
\begin{aligned}
E &= R_1 I + R_2 I
\end{aligned}
$$
(イ)
\(C_1, C_2\) は直列に接続されており、その合成容量を \(C\) とします。
回路全体にかかる電圧は \(E\) です。
合成容量 \(C\) は以下の式で求められます。
$$
\begin{aligned}
\frac{1}{C} &= \frac{1}{C_1} + \frac{1}{C_2}
\end{aligned}
$$
\(C_1\) に蓄えられる電荷 \(Q_1\) は、直列回路全体の電荷 \(Q\) と等しくなります。
$$
\begin{aligned}
Q_1 &= C E
\end{aligned}
$$
使用した物理公式
- オームの法則: \(V = RI\)
- コンデンサーの直列合成容量: \(\displaystyle \frac{1}{C} = \frac{1}{C_1} + \frac{1}{C_2}\)
- コンデンサーの基本式: \(Q = CV\)
(ア)
与えられた数値を代入して \(I\) を求めます。
$$
\begin{aligned}
100 &= (20 + 30) I \\[2.0ex]
50 I &= 100 \\[2.0ex]
I &= 2.0\,\text{A}
\end{aligned}
$$
(イ)
まず合成容量 \(C\) を求めます。
$$
\begin{aligned}
\frac{1}{C} &= \frac{1}{20} + \frac{1}{30} \\[2.0ex]
&= \frac{3}{60} + \frac{2}{60} \\[2.0ex]
&= \frac{5}{60} \\[2.0ex]
&= \frac{1}{12}
\end{aligned}
$$
よって、\(C = 12\,\mu\text{F}\) です。
これを用いて電荷 \(Q_1\) を計算します。
$$
\begin{aligned}
Q_1 &= 12\,\mu\text{F} \times 100\,\text{V} \\[2.0ex]
&= 1200\,\mu\text{C} \\[2.0ex]
&= 1.2 \times 10^3\,\mu\text{C}
\end{aligned}
$$
スイッチを入れた直後は電気が流れ込みますが、すぐにコンデンサーがいっぱいになり、電流は抵抗の方だけを流れるようになります。
このとき、2つのコンデンサーは「直列」につながっているとみなせます。直列コンデンサーの合成容量(溜めやすさの合計)を計算し、電源電圧 \(100\,\text{V}\) をかけることで、蓄えられた電気の量を求めました。
電流は \(2.0\,\text{A}\)、電荷は \(1200\,\mu\text{C}\) です。
単位を確認すると、\([\text{V}]/[\Omega] = [\text{A}]\)、\([\text{F}] \times [\text{V}] = [\text{C}]\) であり正しいです。
思考の道筋とポイント
回路の各点の「高さ(電位)」を具体的に計算して解く方法です。
アース(接地)を \(0\,\text{V}\) とし、抵抗の分圧から点Bの電位を、電荷保存則から点Aの電位を求めます。
この設問における重要なポイント
- 電位の定義: 接地点を \(0\,\text{V}\) とすると、電源の正極側の電位は \(100\,\text{V}\) です。
- 孤立部分の電荷保存: 点Aを含む導線部分は孤立しており、初期電荷が \(0\) なので、\(C_1\) の下極板の電荷 \(q_{1\text{下}}\) と \(C_2\) の上極板の電荷 \(q_{2\text{上}}\) の和は \(0\) です。
具体的な解説と立式
点Bの電位を \(V_B\)、点Aの電位を \(V_A\) とします。
抵抗 \(R_1, R_2\) は直列なので、分圧の法則より \(V_B\) は以下のようになります。
$$
\begin{aligned}
V_B &= \frac{R_2}{R_1 + R_2} E
\end{aligned}
$$
次に、点Aにおける電荷保存則を考えます。
\(C_1\) の下極板の電荷は \(C_1(V_A – E)\)、\(C_2\) の上極板の電荷は \(C_2(V_A – 0)\) です(電位差は「自分 – 相手」)。
これらの和が \(0\) なので、以下の式が成り立ちます。
$$
\begin{aligned}
C_1(V_A – E) + C_2(V_A – 0) &= 0
\end{aligned}
$$
求める \(C_1\) の電荷 \(Q_1\)(上極板の電荷)は、電位差 \(E – V_A\) を用いて表せます。
$$
\begin{aligned}
Q_1 &= C_1(E – V_A)
\end{aligned}
$$
使用した物理公式
- 分圧の法則: \(V_k = \frac{R_k}{\sum R} V_{\text{全}}\)
- 電荷保存則: \(\sum Q = \text{一定}\)
まず \(V_B\) を求めますが、これは問(2)で使うためここでは計算のみ行います。
$$
\begin{aligned}
V_B &= \frac{30}{20 + 30} \times 100 \\[2.0ex]
&= 60\,\text{V}
\end{aligned}
$$
次に \(V_A\) を求めます。
$$
\begin{aligned}
20(V_A – 100) + 30(V_A – 0) &= 0 \\[2.0ex]
20V_A – 2000 + 30V_A &= 0 \\[2.0ex]
50V_A &= 2000 \\[2.0ex]
V_A &= 40\,\text{V}
\end{aligned}
$$
これより \(Q_1\) を求めます。
$$
\begin{aligned}
Q_1 &= 20 \times (100 – 40) \\[2.0ex]
&= 20 \times 60 \\[2.0ex]
&= 1200\,\mu\text{C}
\end{aligned}
$$
回路の「高さ(電圧)」を地図のように決めました。
真ん中の浮いている島(点A)の高さは、上下のコンデンサーの容量のバランスで決まります。計算の結果、点Aの高さは \(40\,\text{V}\) と分かりました。
\(C_1\) は \(100\,\text{V}\) と \(40\,\text{V}\) の間にあるので、その差 \(60\,\text{V}\) 分の電気が溜まります。
合成容量を用いた場合と全く同じ結果が得られました。この方法は回路が複雑になっても使える強力な武器です。
問(2)
思考の道筋とポイント
スイッチ \(S_2\) を閉じると、点Aと点Bが導線で結ばれます。これにより、\(C_1\) は \(R_1\) と並列に、\(C_2\) は \(R_2\) と並列になります。
定常状態ではコンデンサーに電流が流れないため、抵抗側の電流 \(I\) は(1)と同じままです。
\(S_2\) を通過する電荷は、点Aと点Bが接続されたことによって、コンデンサーの極板に流入(または流出)した電荷の総量として求められます。
この設問における重要なポイント
- 並列接続の電圧: \(S_2\) を閉じると、\(C_1\) の電圧 \(V_1\) は \(R_1\) の電圧降下に、\(C_2\) の電圧 \(V_2\) は \(R_2\) の電圧降下に等しくなります。
- 通過電荷の定義: スイッチ \(S_2\) を通過した電荷 \(\Delta Q\) は、接続された極板群(\(C_1\)の下極板と\(C_2\)の上極板)における「電荷の増加分」に等しいです。
- \(S_2\) を閉じる前: この部分は孤立しており、総電荷は \(0\)。
- \(S_2\) を閉じた後: 総電荷は \(-Q_1′ + Q_2’\) に変化。
- この差分が \(S_2\) を通って外部(点B側)から流入した電荷です。
具体的な解説と立式
抵抗を流れる電流 \(I\) は(1)と同じ \(2.0\,\text{A}\) です。
\(C_1\) の電圧 \(V_1\) と \(C_2\) の電圧 \(V_2\) は以下のようになります。
$$
\begin{aligned}
V_1 &= R_1 I \\[2.0ex]
V_2 &= R_2 I
\end{aligned}
$$
これより、新しい電荷 \(Q_1′, Q_2’\) を求めます。
$$
\begin{aligned}
Q_1′ &= C_1 V_1 \\[2.0ex]
Q_2′ &= C_2 V_2
\end{aligned}
$$
\(S_2\) を通過した電荷 \(\Delta Q\) を求めます。
着目するのは「\(C_1\) の下極板(電荷 \(-Q_1’\))」と「\(C_2\) の上極板(電荷 \(+Q_2’\))」の合計電荷の変化です。
$$
\begin{aligned}
(\text{通過電荷}) &= (\text{変化後の総電荷}) – (\text{変化前の総電荷}) \\[2.0ex]
\Delta Q &= (-Q_1′ + Q_2′) – 0
\end{aligned}
$$
\(\Delta Q > 0\) ならば B \(\to\) A の向き、\(\Delta Q < 0\) ならば A \(\to\) B の向きに正電荷が移動したことになります。
使用した物理公式
- オームの法則: \(V = RI\)
- コンデンサーの電荷: \(Q = CV\)
- 電荷保存則(流入出の計算): \(\Delta Q = Q_{\text{後}} – Q_{\text{前}}\)
まず電圧を求めます。
$$
\begin{aligned}
V_1 &= 20\,\Omega \times 2.0\,\text{A} \\[2.0ex]
&= 40\,\text{V} \\[2.0ex]
V_2 &= 30\,\Omega \times 2.0\,\text{A} \\[2.0ex]
&= 60\,\text{V}
\end{aligned}
$$
次に電荷を求めます。
$$
\begin{aligned}
Q_1′ &= 20\,\mu\text{F} \times 40\,\text{V} \\[2.0ex]
&= 800\,\mu\text{C} \\[2.0ex]
Q_2′ &= 30\,\mu\text{F} \times 60\,\text{V} \\[2.0ex]
&= 1800\,\mu\text{C}
\end{aligned}
$$
通過電荷 \(\Delta Q\) を計算します。
$$
\begin{aligned}
\Delta Q &= (-800 + 1800) – 0 \\[2.0ex]
&= +1000\,\mu\text{C}
\end{aligned}
$$
値が正であるため、電荷は増加しました。つまり、スイッチ \(S_2\) を通して点Bから点Aへ正電荷が流れ込んだことになります。
スイッチ \(S_2\) を閉じたことで、コンデンサーの電圧が強制的に抵抗の電圧と同じにされました。
計算してみると、\(C_1\) の電気は減り、\(C_2\) の電気は増えることが分かりました。
点Aにつながっている極板たちの電気の合計を計算すると、最初は \(0\) だったのが、最終的に \(+1000\,\mu\text{C}\) になっています。
電気が増えたということは、スイッチを通って外から電気が入ってきたということです。つまり、BからAへ電気が流れました。
通過電荷は \(1000\,\mu\text{C}\)、向きは B \(\to\) A です。
\(C_1\) は電圧が \(60\,\text{V} \to 40\,\text{V}\) に減り、\(C_2\) は \(40\,\text{V} \to 60\,\text{V}\) に増えました(問1別解の \(V_A=40\,\text{V}\) と比較)。容量の大きい \(C_2\) の電圧が増えたため、全体として正電荷が必要になり、流入したという結果は妥当です。
問(3)
思考の道筋とポイント
\(S_2\) を開き、続いて \(S_1\) を開くと、回路は電源から切り離されます。
十分時間が経過すると、抵抗でのエネルギー消費により電流は \(0\) になります。
電流が \(0\) ならば、抵抗の両端に電位差はありません。つまり、\(R_1\) を介してつながっている \(C_1\) の上極板と、\(R_2\) を介してつながっている \(C_2\) の下極板は等電位になります。
これは、\(C_1\) と \(C_2\) が「並列接続」になったことを意味します。
この設問における重要なポイント
- 最終状態の回路構造: \(C_1\) と \(C_2\) が並列になり、閉回路を形成します。
- 孤立部分の電荷保存: \(S_2\) を開いた時点で、点A側(\(C_1\)の下極板と\(C_2\)の上極板)は再び孤立します。その後 \(S_1\) を操作しても、この部分の電荷の総量は変わりません。
- 保存される電荷量 \(Q_{\text{全}}\) は、問(2)の終了時点での値、つまり \(+1000\,\mu\text{C}\) です。
- エネルギー保存則: 電源が仕事をしないため、回路内の静電エネルギーの減少分が、全て抵抗でのジュール熱になります。
具体的な解説と立式
(ア)
最終的な点Aの電位を \(V’\) とします(アース電位を \(0\))。
電流が \(0\) なので、\(C_1\) の上極板と \(C_2\) の下極板はアースと同電位(\(0\,\text{V}\))になります。
したがって、\(C_1, C_2\) 共に、極板間電位差の大きさは \(|V’|\) となります。
点A側の極板(\(C_1\)下、\(C_2\)上)にある電荷の和について、保存則を立てます。
$$
\begin{aligned}
(\text{問2終了時の総電荷}) &= (\text{最終状態の総電荷}) \\[2.0ex]
-Q_1′ + Q_2′ &= C_1 V’ + C_2 V’
\end{aligned}
$$
ここで、\(V’\) は点Aの電位そのものなので、\(C_1\) の下極板(A側)の電荷は \(C_1 V’\)、\(C_2\) の上極板(A側)の電荷も \(C_2 V’\) と表せます(極性が揃うため)。
(イ)
求めた \(V’\) を用いて、各コンデンサーの電荷 \(Q_1”, Q_2”\) を求めます。
$$
\begin{aligned}
Q_1” &= C_1 |V’| \\[2.0ex]
Q_2” &= C_2 |V’|
\end{aligned}
$$
(ウ)
ジュール熱 \(J\) は、静電エネルギーの減少分に等しいです。
$$
\begin{aligned}
J &= U_{\text{前}} – U_{\text{後}} \\[2.0ex]
&= \left( \frac{1}{2}C_1 V_1^2 + \frac{1}{2}C_2 V_2^2 \right) – \left( \frac{1}{2}(C_1 + C_2) (V’)^2 \right)
\end{aligned}
$$
使用した物理公式
- 電荷保存則: \(Q_{\text{和}} = \text{一定}\)
- コンデンサーの電荷: \(Q = CV\)
- 静電エネルギー: \(U = \frac{1}{2}CV^2\)
- エネルギー保存則: \(U_{\text{減}} = J_{\text{熱}}\)
(ア)
問(2)より、保存される電荷量は \(1000\,\mu\text{C}\) です。
$$
\begin{aligned}
1000 &= (20 + 30) V’ \\[2.0ex]
50 V’ &= 1000 \\[2.0ex]
V’ &= 20\,\text{V}
\end{aligned}
$$
(イ)
$$
\begin{aligned}
Q_1” &= 20\,\mu\text{F} \times 20\,\text{V} \\[2.0ex]
&= 400\,\mu\text{C} \\[2.0ex]
Q_2” &= 30\,\mu\text{F} \times 20\,\text{V} \\[2.0ex]
&= 600\,\mu\text{C}
\end{aligned}
$$
(ウ)
初期エネルギー \(U_{\text{前}}\)(問2の状態):
$$
\begin{aligned}
U_{\text{前}} &= \frac{1}{2} \times 20 \times 10^{-6} \times 40^2 + \frac{1}{2} \times 30 \times 10^{-6} \times 60^2 \\[2.0ex]
&= 10 \times 10^{-6} \times 1600 + 15 \times 10^{-6} \times 3600 \\[2.0ex]
&= 0.016 + 0.054 \\[2.0ex]
&= 0.070\,\text{J}
\end{aligned}
$$
最終エネルギー \(U_{\text{後}}\)(問3の状態):
$$
\begin{aligned}
U_{\text{後}} &= \frac{1}{2} \times (20 + 30) \times 10^{-6} \times 20^2 \\[2.0ex]
&= 25 \times 10^{-6} \times 400 \\[2.0ex]
&= 0.010\,\text{J}
\end{aligned}
$$
ジュール熱 \(J\):
$$
\begin{aligned}
J &= 0.070 – 0.010 \\[2.0ex]
&= 0.060\,\text{J} \\[2.0ex]
&= 6.0 \times 10^{-2}\,\text{J}
\end{aligned}
$$
電源を切ると、コンデンサーに溜まっていた電気は、抵抗を通って互いに行き来し、最終的にバランスの取れる状態に落ち着きます。
このとき、点A側の電気の総量は逃げ場がないので変わりません。この「電気の総量」を、2つのコンデンサーが並列になって分け合う形になります。
また、電気が抵抗を流れる際に摩擦のような熱(ジュール熱)が発生します。この熱エネルギーは、コンデンサーが持っていたエネルギーが減った分から供給されます。
(ア) \(20\,\text{V}\), (イ) \(400\,\mu\text{C}, 600\,\mu\text{C}\), (ウ) \(6.0 \times 10^{-2}\,\text{J}\)。
エネルギーが減少しており、その分が熱になったという解釈は物理的に正しいです。
思考の道筋とポイント
「静電エネルギーの減少分がジュール熱になる」というエネルギー保存則を、回路方程式(キルヒホッフの法則)から数学的に導出します。
放電中の任意の時刻における電流と電荷の関係を微分方程式で記述し、それを積分することでエネルギー収支の式を得ます。
この設問における重要なポイント
- 回路のモデル化: \(S_1, S_2\) を開いた後の回路は、合成容量 \(C = C_1 + C_2\) のコンデンサーと、合成抵抗 \(R = R_1 + R_2\) の抵抗が直列につながった閉回路とみなせます(放電回路)。
- なぜ合成容量が和になるのか:点Aの電荷保存により、\(C_1\) と \(C_2\) の電圧変化は連動し、外部から見ると並列コンデンサーのように振る舞うためです。
- 回路方程式: 抵抗での電圧降下とコンデンサーの電圧の和が \(0\) になります。
- エネルギー積分: 回路方程式の両辺に電流 \(i(t)\) を掛けて時間積分すると、電力の積分(エネルギー)になります。
具体的な解説と立式
時刻 \(t\) における回路の電流を \(i(t)\)(時計回りを正)、合成コンデンサーの電荷を \(q(t)\)(A側極板の電荷)とします。
電流は電荷の減少速度なので、以下の関係があります。
$$
\begin{aligned}
i(t) &= -\frac{dq}{dt}
\end{aligned}
$$
キルヒホッフの第2法則より、回路方程式を立てます。抵抗 \(R=R_1+R_2\) での電圧降下と、コンデンサー \(C=C_1+C_2\) の電圧の和は \(0\) です。
$$
\begin{aligned}
R i(t) + \frac{q(t)}{C} – \frac{Q_{\text{終}}}{C} &= 0
\end{aligned}
$$
(※注: ここでは過渡現象の変位分のみを考えるため、最終電荷 \(Q_{\text{終}}\) からのずれを \(q(t)\) と置くのが一般的ですが、より直感的に、エネルギー変化そのものを導出します。)
もっと単純に、抵抗 \(R\) で消費されるジュール熱 \(J\) は、電力 \(P = R i^2\) の時間積分です。
$$
\begin{aligned}
J &= \int_{0}^{\infty} R \{i(t)\}^2 \, dt
\end{aligned}
$$
ここで、回路方程式 \(R i + \frac{q}{C} = 0\)(\(q\)は平衡点からの変位電荷)を用いると、\(R i = -\frac{q}{C}\) です。
これを代入して積分を実行します。
使用した物理公式
- 電流の定義: \(i = \frac{dq}{dt}\)
- ジュール熱の定義: \(J = \int R i^2 dt\)
- 置換積分法: \(\int f(q) \frac{dq}{dt} dt = \int f(q) dq\)
ジュール熱の式を変形します。
$$
\begin{aligned}
J &= \int_{0}^{\infty} i(t) \cdot (R i(t)) \, dt
\end{aligned}
$$
回路方程式 \(R i = -\Delta V\)(\(\Delta V\) はコンデンサーの電圧変化分)より、
$$
\begin{aligned}
J &= \int_{0}^{\infty} i(t) \left( -\frac{q(t)}{C} \right) dt
\end{aligned}
$$
ここで \(i(t) dt = dq\) なので、積分変数を時間 \(t\) から電荷 \(q\) に変換します。
積分範囲は、初期電荷 \(Q_{\text{始}}\) から最終電荷 \(Q_{\text{終}}\) までです。
しかし、ここでは「系全体のエネルギー変化」を見たいので、もっと一般的に考えます。
回路方程式の両辺に \(i(t)\) を掛けます。
$$
\begin{aligned}
R i^2 + \frac{q}{C} i &= 0
\end{aligned}
$$
\(i = \frac{dq}{dt}\) を代入します。
$$
\begin{aligned}
R i^2 + \frac{q}{C} \frac{dq}{dt} &= 0
\end{aligned}
$$
これを時刻 \(0\) から \(\infty\) まで積分します。
$$
\begin{aligned}
\int_{0}^{\infty} R i^2 \, dt + \int_{0}^{\infty} \frac{q}{C} \frac{dq}{dt} \, dt &= 0 \\[2.0ex]
J + \int_{Q_{\text{始}}}^{Q_{\text{終}}} \frac{q}{C} \, dq &= 0 \\[2.0ex]
J + \left[ \frac{1}{2} \frac{q^2}{C} \right]_{Q_{\text{始}}}^{Q_{\text{終}}} &= 0 \\[2.0ex]
J + \left( \frac{1}{2} \frac{Q_{\text{終}}^2}{C} – \frac{1}{2} \frac{Q_{\text{始}}^2}{C} \right) &= 0
\end{aligned}
$$
これを整理すると、
$$
\begin{aligned}
J &= \frac{1}{2} \frac{Q_{\text{始}}^2}{C} – \frac{1}{2} \frac{Q_{\text{終}}^2}{C} \\[2.0ex]
J &= U_{\text{初}} – U_{\text{終}}
\end{aligned}
$$
これにより、ジュール熱が静電エネルギーの減少分に等しいことが数学的に証明されました。
実際の計算はメイン解法と同じく、\(U_{\text{初}} = 0.070\,\text{J}\)、\(U_{\text{終}} = 0.010\,\text{J}\) を代入して行います。
「エネルギーが熱に変わる」という当たり前に思えることも、数式(回路方程式)から出発して計算すると、自然に導き出されます。
抵抗で消費される電力(\(R i^2\))をずっと足し合わせると、ちょうどコンデンサーのエネルギー(\(\frac{1}{2}CV^2\))の減った分と一致するのです。これは物理学の美しい整合性を示しています。
微積分を用いても、エネルギー保存則が厳密に成立することが確認できました。答えは \(6.0 \times 10^{-2}\,\text{J}\) で一致します。
【総まとめ】この一問を未来の得点力へ!完全マスター講座
最重要ポイント:この問題の核心となる物理法則は?
- 定常状態におけるコンデンサーの振る舞い
- 核心: 直流回路において、スイッチ操作後十分時間が経過した「定常状態」では、コンデンサーへの充電が完了し、電流が流れなくなります。このとき、コンデンサーを含む枝は「断線」とみなせ、回路解析が大幅に単純化されます。
- 理解のポイント:
- 電流ゼロ: コンデンサーがある枝の抵抗での電圧降下は \(0\) になります。
- 等電位: 電流が流れていない抵抗の両端は等電位となるため、コンデンサーの極板間電圧を抵抗の分圧として簡単に求めることができます。
- 孤立部分の電荷保存則
- 核心: スイッチが開いているとき、回路の一部が電気的に孤立(どこにも接続されていない状態)になることがあります。この孤立部分(島)にある電荷の総和は、外部からの流入出がない限り不変です。
- 理解のポイント:
- 直列接続の正体: 問(1)のように、初期電荷ゼロの孤立部分で \(+Q\) と \(-Q\) が誘導される現象こそが、コンデンサーの直列接続の本質です。
- 再配分の計算: 問(3)のように、スイッチ操作で接続が変わっても、「孤立した瞬間の総電荷」を初期値として、新しい平衡状態での電荷配分を計算します。
応用テクニック:似た問題が出たらココを見る!解法の鍵と着眼点
- 応用できる類似問題のパターン:
- ブリッジ回路を含むコンデンサー: ホイートストンブリッジのように抵抗とコンデンサーが複雑に絡む問題でも、「定常状態ではコンデンサー枝の電流はゼロ」という原則を使えば、単なる抵抗の分圧問題に帰着できます。
- スイッチの切り替え問題: 「S1を閉じる→S2を閉じる→S1を開く」といった多段階操作の問題では、各ステップの終了時の電荷分布が、次のステップの初期条件になります。時系列に沿って電荷の移動(\(\Delta Q\))を追うことが鉄則です。
- 初見の問題での着眼点:
- 孤立部分(島)の特定: 回路図の中で、スイッチによって切り離された導体部分を指でなぞり、「ここの電荷の合計は保存される」と宣言します。
- 電位(高さ)の地図を描く: アースを \(0\,\text{V}\) とし、抵抗の分圧法則を使って各点の電位を書き込みます。電位さえ分かれば、\(Q=C(V_{\text{自分}}-V_{\text{相手}})\) で全ての電荷が求まります。
- 通過電荷の定義: 「スイッチを通過した電荷」を問われたら、スイッチの先にある極板群の「総電荷の変化量」を計算します。
要注意!ありがちなミス・誤解とその対策
- 通過電荷の向きと符号のミス:
- 誤解: 電荷の変化量 \(\Delta Q\) の絶対値だけを計算し、どちら向きに流れたかを直感で答えて間違える。
- 対策: 必ず \(\Delta Q = Q_{\text{後}} – Q_{\text{前}}\) という式で計算します。結果がプラスなら「流入(外から中へ)」、マイナスなら「流出(中から外へ)」と、符号で機械的に判断する癖をつけましょう。
- 「直列・並列」の誤認:
- 誤解: 回路図の見た目だけで直列・並列を判断してしまう。特に問(3)のような放電回路で、直列か並列か迷う。
- 対策: 「電流の通り道が一本道なら直列」「電圧(電位差)が共通なら並列」という定義に立ち返ります。問(3)では、閉回路を作るため一見直列に見えますが、両端の電位差が等しくなるため、並列合成容量 \(C_1+C_2\) として扱います。
- エネルギー保存則の適用ミス:
- 誤解: 電池がつながっているのに、電池の仕事を忘れて「静電エネルギーの減少=ジュール熱」としてしまう。
- 対策: 電池がつながっている場合は \(W_{\text{電池}} = \Delta U + J\) です。電池が切り離されている場合のみ \(0 = \Delta U + J\) (つまり \(J = -\Delta U\))となります。電源の有無を必ず確認しましょう。
なぜその公式?論理的な公式選択と適用の思考法
- 問(1)別解での公式選択(電位法 vs 合成容量):
- 選定理由: 模範解答の「合成容量」は計算が速いですが、直列・並列が見抜きにくい回路ではミスを誘発します。一方、「電位法(ノード解析)」は、キルヒホッフの法則に基づく最も原理的な手法であり、どんな複雑な回路でも「連立方程式を解けば必ず答えが出る」という安心感があります。
- 適用根拠: 回路の各点は一意な電位を持つため、未知数を電位 \(V\) に設定することで、全ての物理量(電荷、電流)を \(V\) の関数として統一的に扱えます。
- 問(3)別解での公式選択(回路方程式の積分):
- 選定理由: 「エネルギー保存則」は便利な道具ですが、なぜ成り立つのか(特にジュール熱の正体)が見えにくいです。回路方程式 \(Ri + q/C = 0\) は、瞬間の力のつりあいを表しており、これを積分することで「力×距離=仕事(エネルギー)」という力学とのアナロジーで理解できます。
- 適用根拠: オームの法則と電荷保存則は常に成立するため、これを微分方程式として立てることは物理的に最も厳密なアプローチです。
計算ミスをなくす!日頃の意識と実践テクニック
- 文字式の次元確認(ディメンションチェック):
- \(\mu\text{F}\)(マイクロファラド)や \(\mu\text{C}\)(マイクロクーロン)の \(10^{-6}\) を計算の最後まで残し、係数部分だけを計算します。最後に \(10^{-6}\) を戻すことで、桁数のミスを防げます。
- エネルギーの計算では、\(Q^2/C\) や \(CV^2\) の次元が \([\text{J}]\) になることを意識します。
- 図への書き込み:
- 計算する前に、回路図に \(+Q, -Q\) の電荷分布や、\(V_A, V_B\) などの電位を直接書き込みます。視覚的に情報を整理することで、立式ミス(特に符号のミス)が激減します。
- 極端なケースでの検算:
- もし \(C_1\) が非常に大きかったら? \(C_1\) は導線に近づき、電圧降下は \(0\) になるはずです。式の結果がこれと矛盾しないか確認する習慣を持ちましょう。
問題122 (愛知工大)
【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド
- 提示する別解
- 設問(1)の別解: ベクトル成分を用いた解法
- 模範解答が図形の対称性と幾何学的性質(正三角形やひし形)を利用して合成磁場を求めているのに対し、別解では磁場を \(x\) 成分と \(y\) 成分に分解し、座標計算によってベクトル和を求めます。
- 全般の別解: 微積分を用いた体系的解法(アンペールの法則)
- 直線電流がつくる磁場の公式 \(H = \frac{I}{2\pi r}\) を既知とせず、電磁気学の基本法則である「アンペールの法則(周回積分の法則)」から導出し、それを重ね合わせる原理的なアプローチをとります。
- 設問(1)の別解: ベクトル成分を用いた解法
- 上記の別解が有益である理由
- ベクトル成分の解法: 図形的なひらめきやセンスに依存せず、位置関係さえ分かれば機械的な計算で確実に正解に辿り着けるため、汎用性が高く実戦的です。
- 微積分の解法: 公式を単なる知識として暗記するのではなく、電流と磁場の根本的な関係(法則)から現象を理解する物理的思考力を養います。
- 結果への影響
- いずれのアプローチを用いても、最終的に得られる答えは模範解答と完全に一致します。
この問題のテーマは「直線電流がつくる磁場の重ね合わせ」です。
空間内の点における磁場は、それぞれの電流がつくる磁場ベクトルの和(合成磁場)として求められます。
問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。
- 直線電流がつくる磁場: 無限に長い直線電流 \(I\) から距離 \(r\) 離れた点の磁場の強さは \(H = \frac{I}{2\pi r}\) です。
- 右ねじの法則: 磁場の向きは、電流の向きに右ねじを進めるときに回す向き(右手の親指を電流に向けたとき、他の4本の指が巻く向き)になります。
- 重ね合わせの原理: 複数の電流がある場合、ある点での磁場は、各電流が単独で存在するとしたときの磁場ベクトルのベクトル和になります。
基本的なアプローチは以下の通りです。
- (1)では、まず原点 \(\text{O}\) での磁場 \(H_0\) を求めます。次に点 \(\text{A}\) での各電流による磁場ベクトルを描き、それらを合成して \(H_1\) を求め、\(H_0\) と比較します。
- (2)では、\(x\) 軸上における磁場の強さを位置 \(x\) の関数として表し、それが \(H_1\) と等しくなる条件を方程式として解きます。
問(1)
思考の道筋とポイント
まず、基準となる原点 \(\text{O}\) での磁場の強さ \(H_0\) を電流 \(I\) を用いて表します。
次に、点 \(\text{A}\) における2つの電流からの磁場を考えます。
磁場はベクトル(向きと大きさを持つ量)なので、単純な足し算ではなく、図を描いて矢印の合成として考える必要があります。
この設問における重要なポイント
- 磁場の向きの決定:
- 左側の導線(点 \(-a\)): 電流は紙面の裏から表向き(\(\odot\))。磁場は反時計回り。
- 右側の導線(点 \(a\)): 電流は紙面の表から裏向き(\(\otimes\))。磁場は時計回り。
- 磁場ベクトルは、導線中心と観測点を結ぶ線(動径ベクトル)に対して垂直な向きになります。
- 対称性の利用: 点 \(\text{A}\) は \(y\) 軸上の点であり、左右の導線から等距離にあります。この対称性により、合成磁場の \(x\) 成分が打ち消し合うことが予想できます。
具体的な解説と立式
電流の強さを \(I\) とします。
1. 原点 \(\text{O}\) での磁場 \(H_0\)
左側の導線(距離 \(a\))がつくる磁場 \(H_{\text{左}}\) は、右ねじの法則より \(+y\) 方向(上向き)です。
右側の導線(距離 \(a\))がつくる磁場 \(H_{\text{右}}\) も、右ねじの法則より \(+y\) 方向(上向き)です。
したがって、合成磁場 \(H_0\) は単純な和となります。
$$
\begin{aligned}
H_0 &= \frac{I}{2\pi a} + \frac{I}{2\pi a}
\end{aligned}
$$
2. 点 \(\text{A}\) での磁場 \(H_1\)
点 \(\text{A}\) の座標は \((0, \sqrt{3}a)\) です。
導線から点 \(\text{A}\) までの距離 \(r\) を三平方の定理で求めます。
$$
\begin{aligned}
r &= \sqrt{a^2 + (\sqrt{3}a)^2}
\end{aligned}
$$
各導線が点 \(\text{A}\) につくる磁場の強さ \(H’\) は等しく、以下のようになります。
$$
\begin{aligned}
H’ &= \frac{I}{2\pi r}
\end{aligned}
$$
次に磁場の向きを考えます。
図形的な関係を見ると、原点、導線、点 \(\text{A}\) を結ぶ三角形は、辺の比が \(1 : \sqrt{3} : 2\) の直角三角形です。したがって、導線と点 \(\text{A}\) を結ぶ線が \(x\) 軸となす角は \(60^\circ\) です。
磁場ベクトルはこの線に垂直なので、\(y\) 軸(鉛直上向き)となす角は \(60^\circ\) となります。
- 左からの磁場 \(\vec{H}_{\text{左}}’\): 第2象限方向(左上)、\(y\) 軸と \(60^\circ\)。
- 右からの磁場 \(\vec{H}_{\text{右}}’\): 第1象限方向(右上)、\(y\) 軸と \(60^\circ\)。
合成磁場 \(H_1\) は、\(x\) 成分が打ち消し合い、\(y\) 成分の和となります。
$$
\begin{aligned}
H_1 &= H’ \cos 60^\circ + H’ \cos 60^\circ
\end{aligned}
$$
使用した物理公式
- 直線電流の磁場: \(H = \frac{I}{2\pi r}\)
- ベクトルの合成(成分分解)
まず \(H_0\) を計算します。
$$
\begin{aligned}
H_0 &= \frac{2I}{2\pi a} \\[2.0ex]
&= \frac{I}{\pi a}
\end{aligned}
$$
次に \(r\) を計算します。
$$
\begin{aligned}
r &= \sqrt{a^2 + 3a^2} \\[2.0ex]
&= \sqrt{4a^2} \\[2.0ex]
&= 2a
\end{aligned}
$$
これより \(H’\) を求めます。
$$
\begin{aligned}
H’ &= \frac{I}{2\pi(2a)} \\[2.0ex]
&= \frac{I}{4\pi a}
\end{aligned}
$$
\(H_1\) を計算します。
$$
\begin{aligned}
H_1 &= 2 H’ \times \frac{1}{2} \\[2.0ex]
&= H’ \\[2.0ex]
&= \frac{I}{4\pi a}
\end{aligned}
$$
最後に \(H_1\) を \(H_0\) で表します。
\(H_0 = \frac{I}{\pi a}\) より \(I = \pi a H_0\) を代入します。
$$
\begin{aligned}
H_1 &= \frac{\pi a H_0}{4\pi a} \\[2.0ex]
&= \frac{1}{4} H_0
\end{aligned}
$$
まず、原点での磁場の強さを計算しました。左右の電流が協力して上向きの磁場を作っているので、単純に2倍の強さになります。
次に、点 \(\text{A}\) での磁場を計算しました。ここは導線から少し遠い(距離が2倍)ので、磁場の強さは半分になります。さらに、2つの磁場の向きが斜めに開いてしまっているため、協力して強め合う成分(上向き成分)はさらに半分になってしまいます。
結果として、距離で半分、向きで半分となり、合計で元の \(\frac{1}{4}\) の強さになります。
答えは \(\frac{1}{4} H_0\) です。
距離が遠くなり、かつベクトルが開いているため、元の磁場より弱くなることは直感的に妥当です。
思考の道筋とポイント
図形的な角度の考察を省略し、位置ベクトルと直交条件を用いて機械的に磁場ベクトルを求めます。
磁場ベクトル \(\vec{H}\) は、位置ベクトル \(\vec{r}\) と垂直であり、電流の向きに応じた回転関係にあります。
この設問における重要なポイント
- ベクトルの回転: 平面ベクトル \((x, y)\) を反時計回りに \(90^\circ\) 回転させると \((-y, x)\)、時計回りに \(90^\circ\) 回転させると \((y, -x)\) になります。
具体的な解説と立式
点 \(\text{A}\) の座標は \((0, \sqrt{3}a)\) です。
左の導線(位置 \((-a, 0)\))から点 \(\text{A}\) への変位ベクトル \(\vec{r}_L\) は以下の通りです。
$$
\begin{aligned}
\vec{r}_L &= (0 – (-a), \sqrt{3}a – 0)
\end{aligned}
$$
左の電流は表向き(\(\odot\))なので、磁場ベクトル \(\vec{H}_L\) は \(\vec{r}_L\) を反時計回りに \(90^\circ\) 回転させた向きです。
大きさ \(H’\) は距離 \(r = |\vec{r}_L|\) から決まります。
$$
\begin{aligned}
\vec{H}_L &= \frac{I}{2\pi r} \cdot \frac{\vec{r}_{L\perp}}{r}
\end{aligned}
$$
ここで \(\vec{r}_{L\perp}\) は \(\vec{r}_L\) を \(90^\circ\) 回転させたベクトルです。
同様に、右の導線(位置 \((a, 0)\))から点 \(\text{A}\) への変位ベクトル \(\vec{r}_R\) は以下の通りです。
$$
\begin{aligned}
\vec{r}_R &= (0 – a, \sqrt{3}a – 0)
\end{aligned}
$$
右の電流は裏向き(\(\otimes\))なので、磁場ベクトル \(\vec{H}_R\) は \(\vec{r}_R\) を時計回りに \(90^\circ\) 回転させた向きです。
$$
\begin{aligned}
\vec{H}_R &= \frac{I}{2\pi r} \cdot \frac{\vec{r}_{R\perp}}{r}
\end{aligned}
$$
合成磁場ベクトル \(\vec{H}_1\) はこれらの和です。
$$
\begin{aligned}
\vec{H}_1 &= \vec{H}_L + \vec{H}_R
\end{aligned}
$$
使用した物理公式
- 直線電流の磁場: \(H = \frac{I}{2\pi r}\)
- ベクトルの回転: \((x, y) \xrightarrow{+90^\circ} (-y, x)\)
まず変位ベクトルを求めます。
$$
\begin{aligned}
\vec{r}_L &= (a, \sqrt{3}a) \\[2.0ex]
\vec{r}_R &= (-a, \sqrt{3}a)
\end{aligned}
$$
距離 \(r\) を計算します。
$$
\begin{aligned}
r &= \sqrt{a^2 + 3a^2} \\[2.0ex]
&= 2a
\end{aligned}
$$
回転させたベクトルを求めます。
\(\vec{r}_L\) を反時計回りに \(90^\circ\) 回転:
$$
\begin{aligned}
\vec{r}_{L\perp} &= (-\sqrt{3}a, a)
\end{aligned}
$$
\(\vec{r}_R\) を時計回りに \(90^\circ\) 回転:
$$
\begin{aligned}
\vec{r}_{R\perp} &= (\sqrt{3}a, -(-a)) \\[2.0ex]
&= (\sqrt{3}a, a)
\end{aligned}
$$
磁場ベクトルを計算します。
$$
\begin{aligned}
\vec{H}_L &= \frac{I}{2\pi(2a)} \cdot \frac{1}{2a} (-\sqrt{3}a, a) \\[2.0ex]
&= \frac{I}{8\pi a} (-\sqrt{3}, 1)
\end{aligned}
$$
$$
\begin{aligned}
\vec{H}_R &= \frac{I}{2\pi(2a)} \cdot \frac{1}{2a} (\sqrt{3}a, a) \\[2.0ex]
&= \frac{I}{8\pi a} (\sqrt{3}, 1)
\end{aligned}
$$
合成します。
$$
\begin{aligned}
\vec{H}_1 &= \vec{H}_L + \vec{H}_R \\[2.0ex]
&= \frac{I}{8\pi a} (-\sqrt{3} + \sqrt{3}, 1 + 1) \\[2.0ex]
&= \frac{I}{8\pi a} (0, 2) \\[2.0ex]
&= (0, \frac{I}{4\pi a})
\end{aligned}
$$
大きさは \(H_1 = \frac{I}{4\pi a}\) となり、メイン解法と一致します。
図を描いて角度を考える代わりに、座標の数字を使って計算しました。
「位置ベクトルを90度回すと磁場の向きになる」という性質を使うと、機械的な計算だけで磁場の矢印(ベクトル)を求めることができます。
左右の磁場を足し合わせると、横方向の成分が消えて、縦方向だけが残ることが計算からも確認できました。
ベクトル演算により、幾何学的なひらめきなしに解に到達できました。
問(2)
思考の道筋とポイント
正の \(x\) 軸上(\(y=0, x>0\))における磁場の強さを \(x\) の関数として表します。
導線の位置(\(x=a\))では磁場が無限大になるため除外します。
\(x\) の領域によって、2つの電流がつくる磁場の向きが「同じ(足し算)」か「逆(引き算)」かが変わることに注意が必要です。
この設問における重要なポイント
- 領域による磁場の向き:
- \(0 < x < a\) の領域:
- 左導線(\(-a\))からの磁場: 上向き(\(+y\))。
- 右導線(\(a\))からの磁場: 電流は裏向きで、観測点は導線の左側にあるため、上向き(\(+y\))。
- 合成: 足し算。
- \(x > a\) の領域:
- 左導線(\(-a\))からの磁場: 上向き(\(+y\))。
- 右導線(\(a\))からの磁場: 電流は裏向きで、観測点は導線の右側にあるため、下向き(\(-y\))。
- 合成: 引き算(大きさの差)。
- \(0 < x < a\) の領域:
具体的な解説と立式
求める点 \(\text{B}\) の \(x\) 座標を \(x\) とします。
磁場の強さが \(H_1 = \frac{I}{4\pi a}\) となる点を探します。
1. \(0 < x < a\) の場合
2つの磁場は共に上向きなので、合成磁場の大きさ \(H(x)\) は和になります。
$$
\begin{aligned}
H(x) &= \frac{I}{2\pi(x+a)} + \frac{I}{2\pi(a-x)}
\end{aligned}
$$
この値は、原点 \(x=0\) で最小値 \(H_0 = \frac{I}{\pi a}\) をとり、\(x \to a\) で無限大になります。
\(H_1 = \frac{1}{4}H_0\) は \(H_0\) より小さいため、この領域に解はありません。
2. \(x > a\) の場合
左導線からの磁場は上向き、右導線からの磁場は下向きです。
右導線の方が距離が近いため、右導線による下向きの磁場の方が強くなります。
したがって、合成磁場の大きさ \(H(x)\) は差(右 \(-\) 左)になります。
$$
\begin{aligned}
H(x) &= \frac{I}{2\pi(x-a)} – \frac{I}{2\pi(x+a)}
\end{aligned}
$$
これが \(H_1\) と等しくなる条件式を立てます。
$$
\begin{aligned}
\frac{I}{2\pi} \left( \frac{1}{x-a} – \frac{1}{x+a} \right) &= \frac{I}{4\pi a}
\end{aligned}
$$
使用した物理公式
- 直線電流の磁場: \(H = \frac{I}{2\pi r}\)
方程式を解きます。両辺を \(\frac{I}{2\pi}\) で割ります。
$$
\begin{aligned}
\frac{1}{x-a} – \frac{1}{x+a} &= \frac{1}{2a}
\end{aligned}
$$
左辺を通分します。
$$
\begin{aligned}
\frac{(x+a) – (x-a)}{(x-a)(x+a)} &= \frac{1}{2a} \\[2.0ex]
\frac{2a}{x^2 – a^2} &= \frac{1}{2a}
\end{aligned}
$$
たすき掛けをして整理します。
$$
\begin{aligned}
4a^2 &= x^2 – a^2 \\[2.0ex]
x^2 &= 5a^2
\end{aligned}
$$
\(x > a\) より、正の平方根をとります。
$$
\begin{aligned}
x &= \sqrt{5}a
\end{aligned}
$$
これは \(x > a\) (\(\sqrt{5} \approx 2.23\))を満たします。
\(x\) 軸上で磁場の強さを調べました。
右側の導線より内側(原点側)では、2つの電流からの磁場が両方とも上向きになり、強め合います。そのため、原点での強い磁場よりもさらに強くなってしまい、今回探している「弱い磁場(\(H_1\))」にはなり得ません。
右側の導線より外側では、近くにある右導線からの下向き磁場と、遠くにある左導線からの上向き磁場が打ち消し合います。この「引き算」の効果によって、磁場が弱くなる場所が存在します。計算の結果、その場所は \(x = \sqrt{5}a\) でした。
答えは点 \((\sqrt{5}a, 0)\) です。
\(x > a\) の領域で、距離の差によって磁場が弱められ、目標の値になる点が見つかりました。
思考の道筋とポイント
直線電流がつくる磁場の公式 \(H = \frac{I}{2\pi r}\) を暗記に頼らず、電磁気学の基本原理である「アンペールの法則」から導出します。
その後、導出した式を用いて重ね合わせの原理を適用します。
この設問における重要なポイント
- アンペールの法則: 任意の閉曲線 \(C\) に沿って磁場 \(\vec{H}\) を一周積分すると、その値は閉曲線を貫く電流の総和 \(I_{\text{内}}\) に等しくなります。
$$ \oint_C \vec{H} \cdot d\vec{r} = I_{\text{内}} $$ - 対称性の利用: 無限に長い直線電流の周囲では、磁場の大きさ \(H\) は電流からの距離 \(r\) のみに依存し、向きは円周方向(接線方向)になります。
具体的な解説と立式
1. 直線電流の磁場の導出
無限長直線電流 \(I\) を中心とし、半径 \(r\) の円形の閉経路 \(C\) を考えます。
対称性より、この経路上では磁場の大きさ \(H(r)\) は一定で、向きは経路の接線方向と一致します。
アンペールの法則を適用します。
$$
\begin{aligned}
\oint_C H(r) \, ds &= I
\end{aligned}
$$
左辺の積分は、「一定の磁場 \(H(r)\) \(\times\) 円周の長さ \(2\pi r\)」となります。
$$
\begin{aligned}
H(r) \cdot 2\pi r &= I
\end{aligned}
$$
これより、公式が導かれます。
$$
\begin{aligned}
H(r) &= \frac{I}{2\pi r}
\end{aligned}
$$
2. 問題への適用(重ね合わせ)
この導出した関係を用いて、点 \(\text{B}(x, 0)\) (ただし \(x > a\))での磁場を求めます。
左の電流(位置 \(-a\))からの距離は \(x+a\)、右の電流(位置 \(a\))からの距離は \(x-a\) です。
アンペールの法則が示す磁場の向き(右ねじ)を考慮すると、右導線近傍の外側では、右導線による磁場(下向き)が支配的です。
合成磁場の大きさ \(H_{\text{合}}\) は以下のようになります。
$$
\begin{aligned}
H_{\text{合}} &= H_{\text{右}} – H_{\text{左}} \\[2.0ex]
&= \frac{I}{2\pi(x-a)} – \frac{I}{2\pi(x+a)}
\end{aligned}
$$
これが \(H_1 = \frac{I}{4\pi a}\) と等しくなる条件を解くことで、問(2)と同じ方程式が得られます。
使用した物理公式
- アンペールの法則: \(\displaystyle \oint \vec{H} \cdot d\vec{r} = I\)
方程式の解法はメイン解法と同様です。
$$
\begin{aligned}
\frac{I}{2\pi} \left( \frac{1}{x-a} – \frac{1}{x+a} \right) &= \frac{I}{4\pi a} \\[2.0ex]
\frac{2a}{x^2 – a^2} &= \frac{1}{2a} \\[2.0ex]
x &= \sqrt{5}a
\end{aligned}
$$
「公式だから」と覚えるのではなく、「電流の周りを一周すると、磁場の合計が電流の大きさになる」という根本的なルール(アンペールの法則)からスタートしました。
円形のコースを選べば、磁場の強さはどこでも同じはずなので、単純な掛け算で磁場の式を作ることができます。
この原理から導かれた式を使って、2つの電流の影響を足し引きすることで、答えに辿り着きました。
原理的な法則から出発しても、当然ながら同じ結果が得られます。これにより、磁場の公式がアンペールの法則に基づいていることが再確認できました。
【総まとめ】この一問を未来の得点力へ!完全マスター講座
最重要ポイント:この問題の核心となる物理法則は?
- 磁場の重ね合わせの原理
- 核心: 複数の電流が存在する空間において、ある点での磁場は、各電流が単独で存在すると仮定したときの磁場ベクトルの和になります。
- 理解のポイント:
- ベクトル和: 磁場は向きと大きさを持つベクトル量です。単純な足し算ではなく、成分ごとに分解するか、図形的に合成する必要があります。
- 独立性: 各電流がつくる磁場は、他の電流の存在に影響されません。
- 直線電流がつくる磁場の性質
- 核心: 無限に長い直線電流 \(I\) から距離 \(r\) の点の磁場の強さは \(H = \frac{I}{2\pi r}\) であり、向きは右ねじの法則に従います。
- 理解のポイント:
- 距離依存性: 磁場の強さは距離に反比例します。距離が2倍になれば強さは半分になります。
- 円周方向: 磁力線は電流を中心とする同心円を描きます。
応用テクニック:似た問題が出たらココを見る!解法の鍵と着眼点
- 応用できる類似問題のパターン:
- 正方形や正三角形の頂点に電流がある問題: 今回のように対称性を利用するか、あるいは別解のように座標を設定してベクトル成分で計算する手法がそのまま使えます。
- 円形電流と直線電流の組み合わせ: それぞれの公式(円形電流中心: \(H = \frac{I}{2r}\)、直線電流: \(H = \frac{I}{2\pi r}\))を使い分け、ベクトル合成します。
- 初見の問題での着眼点:
- 対称性の確認: 電流の配置に対称性があれば、合成磁場の特定の成分(例えば \(x\) 成分)が打ち消し合ってゼロになることが多く、計算を大幅に省略できます。
- 座標系の設定: 対称性が見えにくい場合や複雑な配置の場合は、迷わず座標を設定し、各電流からの位置ベクトル \(\vec{r}\) と磁場ベクトル \(\vec{H}\) を成分表示して計算します。
- 領域ごとの向きの確認: 複数の電流が一直線上に並ぶ場合、その直線を電流の位置で区切った領域ごとに、磁場の向きが「同じ(和)」か「逆(差)」かを確認します。
要注意!ありがちなミス・誤解とその対策
- 磁場の向きの取り違え:
- 誤解: 右ねじの法則を適用する際、親指の向き(電流)と回す向き(磁場)を逆にしてしまう。あるいは、紙面の表裏(\(\odot, \otimes\))を混同する。
- 対策: 実際に右手を使って確認する癖をつけましょう。「親指=電流、4本指=磁場」と呪文のように唱えながら、図に矢印を書き込みます。
- ベクトル合成の忘れ:
- 誤解: 磁場の強さ \(H\) だけを計算し、向きを考慮せずに単純に足し算してしまう(スカラー和)。
- 対策: 「磁場はベクトル」と常に意識します。特に角度がついている場合は、必ず \(x\) 成分と \(y\) 成分に分解するか、図形的な合成を行います。
- 公式の混同:
- 誤解: 直線電流の磁場 \(H = \frac{I}{2\pi r}\) と、円形電流の中心磁場 \(H = \frac{I}{2r}\) の \(\pi\) の有無を間違える。
- 対策: アンペールの法則 \(\oint H ds = I\) を思い出しましょう。直線電流の周りの円周は \(2\pi r\) なので、分母に \(2\pi r\) が来ます。円形電流の場合は積分経路が異なります。
なぜその公式?論理的な公式選択と適用の思考法
- 問(1)別解での公式選択(ベクトル成分法):
- 選定理由: 幾何学的な考察(正三角形など)は、図が綺麗に描けないと気づきにくい場合があります。一方、ベクトル成分法は、座標さえ分かれば機械的な計算で確実に答えが出るため、試験での再現性が高いです。
- 適用根拠: 磁場ベクトルは位置ベクトルと直交するという性質を利用すれば、三角関数を使わずに成分を導出できます。
- 問(2)別解での公式選択(アンペールの法則):
- 選定理由: 公式を忘れてしまった場合や、電流分布が対称性を持つ場合(円筒状電流など)に応用が利く、より根本的な法則だからです。
- 適用根拠: 直線電流の周囲には円筒対称性があるため、積分経路を円に選ぶことで、複雑な積分計算を単純な掛け算に置き換えることができます。
計算ミスをなくす!日頃の意識と実践テクニック
- 定数項の処理:
- \(\frac{I}{2\pi}\) などの共通因子は、計算の途中では \(k\) などの文字で置いておき、最後に代入すると式がスッキリしてミスが減ります。
- 極限的なケースでの検算:
- 問(2)で求めた \(x = \sqrt{5}a\) について、もし \(x\) が非常に大きかったら(\(x \gg a\))どうなるか考えます。遠方では2つの逆向き電流は打ち消し合い、磁場は急速にゼロに近づくはずです。計算結果が定義域(\(x > a\))内にあるかどうかの確認も重要です。
- 図への情報の書き込み:
- 問題用紙の図に、電流の向き(\(\odot, \otimes\))、磁場の向き(矢印)、距離、角度を直接書き込みます。視覚的に情報を整理することで、立式時の符号ミスや成分の取り違えを防げます。
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問題123 (九州産大+福井工大)
【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド
- 提示する別解
- 設問(1)の別解: 次元解析(単位チェック)を用いた解法
- 模範解答が物理的な定義(1秒間に通過する電荷量)から電流の式を導出するのに対し、別解では与えられた物理量の単位(次元)を組み合わせることで、電流の単位 \([\text{A}] = [\text{C/s}]\) になる組み合わせを機械的に見つけ出します。
- 設問(6)〜(8)の別解: 微積分を用いた体系的解法(ローレンツ力の体積積分)
- 「電子1個の力 \(\times\) 個数」という算術的なアプローチではなく、導体内の微小体積 \(dV\) に働くローレンツ力を定義し、それを導体全体にわたって積分することで、巨視的な電磁力 \(F=IBl\) を導出します。
- 設問(1)の別解: 次元解析(単位チェック)を用いた解法
- 上記の別解が有益である理由
- 次元解析の解法: 物理的なイメージが湧きにくい場合や、試験での検算手段として非常に強力です。物理量の定義を忘れても答えに辿り着ける実戦的なテクニックです。
- 微積分の解法: ミクロなローレンツ力とマクロな電磁力の関係を、積分という数学的操作を通じて厳密に結びつけることで、物理法則の階層構造を深く理解できます。
- 結果への影響
- いずれのアプローチを用いても、最終的に得られる答えは模範解答と完全に一致します。
この問題のテーマは「電流の微視的モデルと電磁力(ローレンツ力)」です。
電流とは電子の流れであり、電流が磁場から受ける力(電磁力)は、個々の電子が受けるローレンツ力の総和であることを理解します。
問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。
- 電流の定義: 電流 \(I\) は、単位時間(1秒間)にある断面を通過する電気量の総和です。
- ローレンツ力: 磁束密度 \(\vec{B}\) 中を速度 \(\vec{v}\) で運動する電荷 \(q\) は、力 \(\vec{f} = q(\vec{v} \times \vec{B})\) を受けます。大きさは \(f = qvB \sin\theta\) です。
- フレミングの左手の法則: 電流(または正電荷の速度)、磁場、力の向きの関係を示します。負電荷(電子)の場合は、速度と逆向きに電流が流れていると考えます。
基本的なアプローチは以下の通りです。
- (1)では、導体内の電子の運動に着目し、1秒間に断面を通過する電子の数から電流の式を導きます。
- (2)〜(4)では、個々の電子が受けるローレンツ力の大きさ、名称、向きを答えます。
- (5)〜(8)では、導体全体の電子数を求め、ローレンツ力の総和として電流が受ける力(電磁力)を導出します。
問(1)
ここから先が、他の受験生と差がつく重要パートです。
「解法に至る思考プロセス」を
全て言語化した、超詳細解説。
なぜその公式を使うのか?どうしてその着眼点を持てるのか?
市販の解説では省略されてしまう「行間の思考」を、泥臭く解説しています。
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