「良問の風」攻略ガイド(121〜125問):重要問題の解き方と物理の核心をマスター!

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問題121 (名城大)

【問題の確認】まずは問題文をしっかり読み解こう

この問題は、直流電源、抵抗、コンデンサー、スイッチから構成される回路に関する問題です。スイッチの開閉によって回路の状態が変化し、十分時間が経過した後の電流、コンデンサーの電荷、電位、そして発生するジュール熱を求める問題です。コンデンサーが直流回路でどのように振る舞うか(特に定常状態)、電荷保存則、エネルギー保存則の理解が問われます。

与えられた条件
  • 内部抵抗が無視できる直流電源 E: 起電力 \(100 \, \text{V}\)
  • 電気抵抗 R₁: \(20 \, \Omega\)
  • 電気抵抗 R₂: \(30 \, \Omega\)
  • コンデンサー C₁: 容量 \(20 \, \text{μF}\)
  • コンデンサー C₂: 容量 \(30 \, \text{μF}\)
  • 初期状態: スイッチS₁, S₂は共に開いていて、C₁, C₂に電荷は蓄えられていない。
  • アース点の電位: \(0 \, \text{V}\)
問われていること
  1. (1) S₁を閉じて十分長い時間が経過した後に、
    • (ア) Eを流れる電流 \(I\)
    • (イ) C₁に蓄えられる電荷 \(Q_1\)
  2. (2) S₁を閉じたままS₂を閉じる。S₂を閉じてから十分長い時間が経過するまでに、S₂を通過する正電荷の量 \(\Delta Q_{S2}\) とその向き。
  3. (3) S₂を開き、つづいてS₁を開いてから十分長い時間が経過した後に、
    • (ア) 点Aの電位 \(V_A\)
    • (イ) C₁およびC₂に蓄えられている電荷 \(Q_1”\), \(Q_2”\)
    • (ウ) S₁を開いた後、抵抗で生じたジュール熱 \(W_{\text{ジュール}}\)

【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド

【相違点に関する注記】

本解説は、模範解答で採用されている解法を主たる解説としつつ、以下の別解を提示します。

  1. 提示する別解
    • 問(1)(イ) C₁の電荷の別解: 電圧の分圧を利用する解法
      • 主たる解法が、まず直列合成容量を計算してから全体の電荷を求めるのに対し、別解では、直列に接続されたコンデンサーにかかる電圧が、電気容量の逆比に分配されるという「電圧の分圧」の性質を先に利用して各コンデンサーの電圧を求め、そこから電荷を計算します。
  2. 上記の別解が有益である理由
    • 物理モデルの深化: 「直列コンデンサーでは電荷が等しく、電圧は容量の逆比に分配される」という、抵抗の直列接続(電流が等しく、電圧は抵抗値の比に分配される)との対比を通じて、コンデンサーの性質への理解が深まります。
    • 計算の選択肢: 問題によっては、合成容量の計算が複雑になる場合があります。その際に、電圧の分配からアプローチするという別の視点を持つことは、問題解決の柔軟性を高めます。
  3. 結果への影響
    • いずれのアプローチを用いても、計算過程や思考の出発点が異なるだけで、最終的に得られる答えは模範解答と完全に一致します。

この問題のテーマは「コンデンサーを含む直流回路の定常状態」です。スイッチの操作によって回路の状態が変化した後の、電流、電荷、電位、エネルギーについて考察します。

問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。

  1. 直流定常状態のコンデンサー: 十分に時間が経過すると、コンデンサーへの充電が完了し、その部分には直流電流が流れなくなります。回路的には「断線」または「開放」していると見なせます。
  2. 電荷保存則: スイッチの操作によって電気的に孤立した部分ができた場合、その部分の電荷の総和は操作の前後で保存されます。
  3. エネルギー保存則: 電源が切り離された回路では、コンデンサーに蓄えられた静電エネルギーの減少分が、抵抗で消費されるジュール熱に等しくなります。
  4. コンデンサーの基本式と接続: \(Q=CV\) の関係式と、直列・並列接続における合成容量、電荷、電圧の分配のルールを正しく適用することが不可欠です。

基本的なアプローチは以下の通りです。

  1. 各設問で指定されたスイッチの状態において、「十分長い時間が経過した」後の定常状態を考えます。
  2. 定常状態ではコンデンサーに電流が流れないことを利用して、電流が流れる経路を特定し、オームの法則を適用します。
  3. 各コンデンサーにかかる電圧(電位差)を求め、\(Q=CV\) を用いて蓄えられる電荷を計算します。
  4. スイッチ操作をまたぐ場合は、電荷保存則やエネルギー保存則の適用を検討します。

問(1)

(ア)

思考の道筋とポイント
スイッチS₁を閉じ、十分長い時間が経過すると、コンデンサーC₁とC₂は充電を完了します。直流回路において、充電が完了したコンデンサーは電流を通さないため、電流が流れる経路は電源E、抵抗R₁、抵抗R₂からなる閉回路のみとなります。この単純な直列回路にオームの法則を適用して電流を求めます。
この設問における重要なポイント

  • 十分時間が経過すると、コンデンサー部分は「断線」しているとみなせる。
  • 電流はE → R₁ → R₂ → Eという単純な直列回路を流れる。
  • 回路全体の電圧と抵抗から、オームの法則を用いて電流を計算する。

具体的な解説と立式
スイッチS₁を閉じ、十分長い時間が経過すると、コンデンサーC₁およびC₂は充電を完了し、直流電流を通さなくなります。このとき、電流\(I\)は電源E、抵抗R₁、抵抗R₂を通る閉回路を流れます。
この閉回路において、電源の起電力は \(E\) で、回路の合成抵抗はR₁とR₂の和 \(R_1 + R_2\) です。オームの法則を適用すると、以下の関係式が成り立ちます。
$$
\begin{aligned}
E &= (R_1 + R_2)I
\end{aligned}
$$
与えられた値は、\(E = 100 \, \text{V}\)、\(R_1 = 20 \, \Omega\)、\(R_2 = 30 \, \Omega\) です。

使用した物理公式

  • オームの法則: \(V=IR\)
  • 直流定常状態におけるコンデンサーの性質
計算過程

上記で立てた式に、与えられた数値を代入します。
$$
\begin{aligned}
100 &= (20 + 30)I \\[2.0ex]
100 &= 50I
\end{aligned}
$$
この式を\(I\)について解くと、
$$
\begin{aligned}
I &= \frac{100}{50} \\[2.0ex]
&= 2.0 \, [\text{A}]
\end{aligned}
$$

この設問の平易な説明

スイッチを入れてから十分時間が経つと、コンデンサーは電気で満タンになり、それ以上電流は流れ込まなくなります。その結果、電流はコンデンサーを避けて、電源E、抵抗R₁、抵抗R₂を通るルートだけをぐるぐる流れるようになります。これは、抵抗R₁とR₂が直列につながっただけの単純な回路です。全体の電圧は電源の\(100 \, \text{V}\)、全体の抵抗は\(20 \, \Omega + 30 \, \Omega = 50 \, \Omega\)なので、オームの法則「電圧 = 抵抗 × 電流」から、電流は \(100 \, \text{V} \div 50 \, \Omega = 2.0 \, \text{A}\) と計算できます。

結論と吟味

Eを流れる電流は \(2.0 \, \text{A}\) となります。これは、コンデンサーが充電完了した後の定常電流であり、物理的に妥当な値です。

(イ)

思考の道筋とポイント
S₁を閉じて十分長い時間が経過した状態では、コンデンサーC₁とC₂には電流が流れていません。回路図から、C₁とC₂は直列に接続されていることがわかります。この直列コンデンサー群の両端には、電源の電圧 \(E\) (\(100 \, \text{V}\)) がかかっています。
直列接続されたコンデンサーでは、各コンデンサーに蓄えられる電気量の大きさは等しくなります。まずC₁とC₂の合成容量を求め、その合成容量に電源電圧 \(E\) がかかると考えて全体の電荷を求めます。それがC₁に蓄えられる電荷となります。
この設問における重要なポイント

  • C₁とC₂は直列接続されている。
  • 直列コンデンサー群には電源電圧 \(E\) がかかる。
  • 直列接続では各コンデンサーに蓄えられる電荷の大きさは等しい。
  • 合成容量の公式 \(\displaystyle\frac{1}{C_{\text{直列}}} = \displaystyle\frac{1}{C_1} + \displaystyle\frac{1}{C_2}\) を使う。

具体的な解説と立式
十分長い時間が経過した後、コンデンサーC₁とC₂は直列に接続されており、この直列コンデンサー群には電源電圧 \(E\) がかかっています。
C₁とC₂の合成容量を \(C_{\text{直列}}\) とすると、その逆数は各容量の逆数の和で与えられます。
$$
\begin{aligned}
\frac{1}{C_{\text{直列}}} &= \frac{1}{C_1} + \frac{1}{C_2}
\end{aligned}
$$
この合成コンデンサーに蓄えられる総電荷 \(Q_{\text{総}}\) は、電源電圧 \(E\) を用いて、
$$
\begin{aligned}
Q_{\text{総}} &= C_{\text{直列}}E
\end{aligned}
$$
直列接続の場合、各コンデンサーに蓄えられる電荷の大きさは等しく、この \(Q_{\text{総}}\) に等しくなります。したがって、C₁に蓄えられる電荷 \(Q_1\) は、
$$
\begin{aligned}
Q_1 &= Q_{\text{総}}
\end{aligned}
$$
与えられた値は、\(C_1 = 20 \, \text{μF}\)、\(C_2 = 30 \, \text{μF}\)、\(E = 100 \, \text{V}\) です。

使用した物理公式

  • コンデンサーの直列接続の合成容量: \(\displaystyle\frac{1}{C_{\text{直列}}} = \displaystyle\frac{1}{C_1} + \displaystyle\frac{1}{C_2}\)
  • コンデンサーの基本式: \(Q=CV\)
計算過程

まず、合成容量 \(C_{\text{直列}}\) を計算します。
$$
\begin{aligned}
\frac{1}{C_{\text{直列}}} &= \frac{1}{20} + \frac{1}{30} \\[2.0ex]
&= \frac{3+2}{60} \\[2.0ex]
&= \frac{5}{60} \\[2.0ex]
&= \frac{1}{12}
\end{aligned}
$$
よって、合成容量 \(C_{\text{直列}}\) は、
$$
\begin{aligned}
C_{\text{直列}} &= 12 \, [\text{μF}]
\end{aligned}
$$
次に、この合成コンデンサーに蓄えられる総電荷 \(Q_{\text{総}}\) を計算します。
$$
\begin{aligned}
Q_{\text{総}} &= 12 \, [\text{μF}] \times 100 \, [\text{V}] \\[2.0ex]
&= 1200 \, [\text{μC}]
\end{aligned}
$$
直列接続なので、C₁に蓄えられる電荷 \(Q_1\) は \(Q_{\text{総}}\) と等しくなります。
$$
\begin{aligned}
Q_1 &= 1200 \, [\text{μC}]
\end{aligned}
$$

この設問の平易な説明

コンデンサーC₁とC₂は一本の道に直列につながっています。このような場合、まず2つを合体させた「合成コンデンサー」を考えます。合成容量の計算式は \(\displaystyle\frac{1}{C_{\text{合成}}} = \displaystyle\frac{1}{C_1} + \displaystyle\frac{1}{C_2}\) で、計算すると \(12 \, \text{μF}\) となります。
この合成コンデンサーには、電源の電圧 \(100 \, \text{V}\) がそのままかかります。コンデンサーに蓄えられる電気の量 \(Q\) は「容量 \(C \times\) 電圧 \(V\)」で計算できるので、全体で蓄えられる電気の量は \(12 \, \text{μF} \times 100 \, \text{V} = 1200 \, \text{μC}\) となります。
直列接続の重要な性質として、それぞれのコンデンサーに蓄えられる電気の量は等しくなります。したがって、C₁に蓄えられる電気の量も \(1200 \, \text{μC}\) です。

結論と吟味

C₁に蓄えられる電荷は \(1200 \, \text{μC}\) となります。C₂に蓄えられる電荷も同じく \(1200 \, \text{μC}\) です。

別解: 電圧の分圧を利用する解法

思考の道筋とポイント
コンデンサーを直列に接続すると、各コンデンサーに蓄えられる電荷の大きさ \(Q\) は等しくなります。コンデンサーの基本式 \(Q=CV\) を変形すると \(V=Q/C\) となり、電圧 \(V\) は電気容量 \(C\) に反比例することがわかります。この性質を利用して、全体の電圧 \(E\) がC₁とC₂にどのように分配されるか(分圧)を先に計算し、その後、C₁にかかる電圧から電荷を求めます。
この設問における重要なポイント

  • 直列接続では各コンデンサーに蓄えられる電荷 \(Q\) は等しい。
  • 各コンデンサーにかかる電圧 \(V_1, V_2\) は、電気容量の逆比に分配される。(\(V_1:V_2 = 1/C_1 : 1/C_2 = C_2 : C_1\))
  • 全体の電圧は \(V_1 + V_2 = E\) である。

具体的な解説と立式
コンデンサーC₁とC₂は直列に接続されているため、蓄えられる電荷の大きさは等しく、これを \(Q_1\) とします。
C₁にかかる電圧を \(V_1\)、C₂にかかる電圧を \(V_2\) とすると、
$$
\begin{aligned}
Q_1 &= C_1 V_1 \\
Q_1 &= C_2 V_2
\end{aligned}
$$
したがって、\(C_1 V_1 = C_2 V_2\) が成り立ち、電圧の比は、
$$
\begin{aligned}
\frac{V_1}{V_2} &= \frac{C_2}{C_1}
\end{aligned}
$$
となり、電圧は電気容量の逆比に分配されます。
また、電圧の和は電源電圧 \(E\) に等しくなります。
$$
\begin{aligned}
V_1 + V_2 &= E
\end{aligned}
$$
これらの関係から、まず \(V_1\) を求め、次に \(Q_1 = C_1 V_1\) を計算します。

使用した物理公式

  • コンデンサーの基本式: \(Q=CV\)
  • 直列コンデンサーの電圧分配の性質
計算過程

電圧の比を計算します。
$$
\begin{aligned}
V_1 : V_2 &= C_2 : C_1 = 30 \, [\text{μF}] : 20 \, [\text{μF}] = 3 : 2
\end{aligned}
$$
全体の電圧 \(E = 100 \, \text{V}\) をこの比で比例配分して、\(V_1\) を求めます。
$$
\begin{aligned}
V_1 &= E \times \frac{3}{3+2} \\[2.0ex]
&= 100 \, [\text{V}] \times \frac{3}{5} \\[2.0ex]
&= 60 \, [\text{V}]
\end{aligned}
$$
C₁にかかる電圧が \(60 \, \text{V}\) とわかったので、C₁に蓄えられる電荷 \(Q_1\) を計算します。
$$
\begin{aligned}
Q_1 &= C_1 V_1 \\[2.0ex]
&= 20 \, [\text{μF}] \times 60 \, [\text{V}] \\[2.0ex]
&= 1200 \, [\text{μC}]
\end{aligned}
$$

この設問の平易な説明

コンデンサーが直列につながっているとき、電気のたまりにくさ(容量が小さいほどたまりにくい)に応じて電圧が分配されます。具体的には、容量の比が \(C_1:C_2 = 20:30 = 2:3\) なので、電圧はその逆比の \(3:2\) に分けられます。全体の電圧 \(100 \, \text{V}\) を \(3:2\) に分けると、C₁には \(60 \, \text{V}\)、C₂には \(40 \, \text{V}\) がかかります。
C₁にかかる電圧が \(60 \, \text{V}\) とわかったので、蓄えられる電気の量は \(Q=CV\) の式から \(20 \, \text{μF} \times 60 \, \text{V} = 1200 \, \text{μC}\) と計算できます。

結論と吟味

主たる解法と完全に同じ結果が得られました。この解法は、合成容量を計算する手間を省き、電圧分配という物理的な概念に焦点を当てるもので、理解しておくと非常に役立ちます。

解答 (1) (ア) \(2.0 \, \text{A}\) , (イ) \(1200 \, \text{μC}\)

問(2)

思考の道筋とポイント
S₁を閉じたままS₂を閉じると、回路の接続状態が変化します。しかし、十分長い時間が経過すると、再びコンデンサーへの充電(あるいは電荷の再配置)が完了し、直流電流はコンデンサー部分を流れなくなります。
したがって、定常電流が流れる経路は電源E → R₁ → R₂ → E のままであり、その大きさ \(I\) は問(1)(ア)で求めた値と同じ \(2.0 \, \text{A}\) です。
この新しい定常状態において、C₁の両端の電圧 \(V_1’\) は抵抗R₁の両端の電圧降下に等しくなります。同様に、C₂の両端の電圧 \(V_2’\) は抵抗R₂の両端の電圧降下に等しくなります。
それぞれの電圧を計算し、各コンデンサーに新たに蓄えられる電荷 \(Q_1’\) と \(Q_2’\) を求めます。
スイッチS₂を通過した電荷は、S₂によって接続された部分(点A)の電荷が、S₂を閉じる前後でどれだけ変化したかを考えることで求まります。S₂を閉じる前、C₁とC₂の間の導線部分は電気的に孤立しており、全体の電荷は0でした。S₂を閉じた後のこの部分の総電荷を計算し、その変化分がS₂を通過してきた電荷であると結論付けます。
この設問における重要なポイント

  • S₂を閉じても、十分時間経過後の定常電流 \(I\) は変化しない。
  • C₁の電圧はR₁の電圧降下 \(R_1I\) に等しくなる。
  • C₂の電圧はR₂の電圧降下 \(R_2I\) に等しくなる。
  • S₂によって接続された部分の電荷保存(あるいは電荷収支)を考える。

具体的な解説と立式
スイッチS₁を閉じたままS₂を閉じ、十分長い時間が経過すると、再び定常状態になります。このときも、抵抗R₁とR₂には電流 \(I = 2.0 \, \text{A}\) が流れます。
回路図より、コンデンサーC₁は抵抗R₁に並列に接続された形になり、その両端の電圧 \(V_1’\) は、抵抗R₁での電圧降下に等しくなります。
$$
\begin{aligned}
V_1′ &= R_1 I
\end{aligned}
$$
このときC₁に蓄えられる電荷の大きさ \(Q_1’\) は、
$$
\begin{aligned}
Q_1′ &= C_1 V_1′
\end{aligned}
$$
電流の向きから、R₁の上側(B点側)が高電位、下側(A点側)が低電位となるため、C₁の上側極板が正、下側極板(X)が負に帯電します。よって、極板Xの電荷は \(-Q_1’\) となります。

同様に、コンデンサーC₂は抵抗R₂に並列に接続された形になり、その両端の電圧 \(V_2’\) は、抵抗R₂での電圧降下に等しくなります。
$$
\begin{aligned}
V_2′ &= R_2 I
\end{aligned}
$$
このときC₂に蓄えられる電荷の大きさ \(Q_2’\) は、
$$
\begin{aligned}
Q_2′ &= C_2 V_2′
\end{aligned}
$$
電流の向きから、A点側がアース側よりも高電位となるため、C₂の上側極板(Y)が正、下側極板が負に帯電します。よって、極板Yの電荷は \(+Q_2’\) となります。

S₂を閉じる前、極板Xと極板Yを含む導線部分は電気的に孤立しており、その総電荷は0でした (\(-1200 \, \text{μC} + 1200 \, \text{μC} = 0\))。S₂を閉じた後、この部分は点Aとなり、その総電荷は \(-Q_1′ + Q_2’\) となります。この電荷の増加分が、スイッチS₂を通って点Bから流れ込んだ正電荷の量 \(\Delta Q_{S2}\) に等しくなります。
$$
\begin{aligned}
\Delta Q_{S2} &= (\text{後の総電荷}) – (\text{前の総電荷}) \\[2.0ex]
&= (-Q_1′ + Q_2′) – 0 \\[2.0ex]
&= -Q_1′ + Q_2′
\end{aligned}
$$
この \(\Delta Q_{S2}\) の符号によって、正電荷の移動方向がわかります。\(\Delta Q_{S2} > 0\) ならば、正電荷が点Bから点Aへ移動したことを意味します。

使用した物理公式

  • オームの法則: \(V=IR\)
  • コンデンサーの基本式: \(Q=CV\)
  • 電荷保存則
計算過程

まず、C₁にかかる電圧 \(V_1’\) と蓄えられる電荷 \(Q_1’\) を計算します。
$$
\begin{aligned}
V_1′ &= 20 \, [\Omega] \times 2.0 \, [\text{A}] = 40 \, [\text{V}] \\[2.0ex]
Q_1′ &= 20 \, [\text{μF}] \times 40 \, [\text{V}] = 800 \, [\text{μC}]
\end{aligned}
$$
よって、極板Xの電荷は \(-800 \, \text{μC}\) です。

次に、C₂にかかる電圧 \(V_2’\) と蓄えられる電荷 \(Q_2’\) を計算します。
$$
\begin{aligned}
V_2′ &= 30 \, [\Omega] \times 2.0 \, [\text{A}] = 60 \, [\text{V}] \\[2.0ex]
Q_2′ &= 30 \, [\text{μF}] \times 60 \, [\text{V}] = 1800 \, [\text{μC}]
\end{aligned}
$$
よって、極板Yの電荷は \(+1800 \, \text{μC}\) です。

最後に、S₂を通過した正電荷 \(\Delta Q_{S2}\) を計算します。
$$
\begin{aligned}
\Delta Q_{S2} &= -Q_1′ + Q_2′ \\[2.0ex]
&= -800 \, [\text{μC}] + 1800 \, [\text{μC}] \\[2.0ex]
&= 1000 \, [\text{μC}]
\end{aligned}
$$
\(\Delta Q_{S2}\) が正の値なので、\(1000 \, \text{μC}\) の正電荷が点Aに流れ込んだことになります。スイッチS₂は点Bと点Aを接続しているので、正電荷はBからAの向きに移動したことになります。

この設問の平易な説明

S₂を閉じても、抵抗を流れる定常電流は \(2.0 \, \text{A}\) のままです。
このとき、コンデンサーC₁は抵抗R₁と並列になるので、C₁にかかる電圧はR₁にかかる電圧と同じ \(20 \, \Omega \times 2.0 \, \text{A} = 40 \, \text{V}\) です。C₁にたまる電気の量は \(20 \, \text{μF} \times 40 \, \text{V} = 800 \, \text{μC}\) となります。C₁の下側極板Xはマイナス側なので、電荷は \(-800 \, \text{μC}\) です。
同様に、C₂はR₂と並列になり、電圧は \(30 \, \Omega \times 2.0 \, \text{A} = 60 \, \text{V}\) です。C₂にたまる電気の量は \(30 \, \text{μF} \times 60 \, \text{V} = 1800 \, \text{μC}\) となります。C₂の上側極板Yはプラス側なので、電荷は \(+1800 \, \text{μC}\) です。
スイッチS₂を閉じる前、極板XとYは孤立していて、合計の電荷は0でした。閉じた後、XとYは点Aでつながり、合計の電荷は \(-800 + 1800 = 1000 \, \text{μC}\) になりました。この増えた \(1000 \, \text{μC}\) のプラスの電気が、スイッチS₂を通ってBからAへと移動してきた分です。

結論と吟味

S₂を通過する正電荷は \(1000 \, \text{μC}\) で、向きはBからAの向きです。これは、回路の接続変更に伴う電荷の再配置を正しく計算した結果です。

解答 (2) \(1000 \, \text{μC}\)、BからAの向き

問(3)

(ア)

思考の道筋とポイント
まずS₂を開き、次にS₁を開きます。S₁を開くと電源Eが回路から切り離され、十分時間が経過すると回路中の電流は \(0 \, \text{A}\) になります。電流が \(0 \, \text{A}\) のとき、抵抗R₁およびR₂での電圧降下は \(0 \, \text{V}\) となり、これらの抵抗は単なる導線とみなせます。
S₁を開く直前(問(2)の最終状態)で、点A(極板Xと極板Yの接続部)が持つ正味の電荷 \(Q_A = (-800) + (+1800) = +1000 \, \text{μC}\) は、S₂を開き、S₁を開いた後も、点Aを含む孤立部分で保存されます。
最終的に、この電荷 \(Q_A\) はC₁とC₂に再配置されます。電流が0になった回路を見ると、C₁とC₂は実質的に並列接続された状態になります。この並列コンデンサーに総電荷 \(Q_A\) が蓄えられているとして、コンデンサーの基本式から点Aの最終的な電位 \(V_A\) を求めます。
この設問における重要なポイント

  • S₁を開くと電流が流れなくなり、抵抗での電圧降下は0になる(抵抗は導線とみなせる)。
  • 点Aを含む孤立部分の電荷 \(Q_A = +1000 \, \text{μC}\) が保存される。
  • 最終的にC₁とC₂は並列接続とみなせる。
  • 並列コンデンサーの電荷と電圧の関係 \(Q_A = (C_1+C_2)V_A\) を用いる。

具体的な解説と立式
S₂を開き、つづいてS₁を開くと、電源が回路から切り離され、十分時間が経過すると回路に電流は流れなくなります。
S₁を開く直前の、点A(極板Xと極板Yの接続部)が持つ正味の電荷を \(Q_A\) とすると、問(2)の結果より、
$$
\begin{aligned}
Q_A &= (\text{極板Xの電荷}) + (\text{極板Yの電荷}) \\[2.0ex]
&= -Q_1′ + Q_2′ \\[2.0ex]
&= -800 \, [\text{μC}] + 1800 \, [\text{μC}] \\[2.0ex]
&= +1000 \, [\text{μC}]
\end{aligned}
$$
この電荷 \(Q_A\) は、S₂およびS₁を開いた後も、点Aを含む孤立部分で保存されます。
最終的に、電流が0になると抵抗での電圧降下はなくなるため、抵抗は導線と見なせます。その結果、C₁とC₂は並列に接続された状態と等価になります。この並列コンデンサーの合成容量 \(C_{\text{並列}}\) は、
$$
\begin{aligned}
C_{\text{並列}} &= C_1 + C_2
\end{aligned}
$$
この並列コンデンサーに総電荷 \(Q_A\) が蓄えられ、そのときの電圧が点Aの電位 \(V_A\)(アース基準)となります。したがって、
$$
\begin{aligned}
Q_A &= C_{\text{並列}} V_A \\[2.0ex]
&= (C_1 + C_2) V_A
\end{aligned}
$$

使用した物理公式

  • 電荷保存則
  • コンデンサーの並列接続の合成容量: \(C_{\text{並列}} = C_1 + C_2\)
  • コンデンサーの基本式: \(Q=CV\)
計算過程

まず、並列合成容量 \(C_{\text{並列}}\) を計算します。
$$
\begin{aligned}
C_{\text{並列}} &= 20 \, [\text{μF}] + 30 \, [\text{μF}] = 50 \, [\text{μF}]
\end{aligned}
$$
次に、電荷保存の式に \(Q_A = 1000 \, \text{μC}\) と \(C_{\text{並列}} = 50 \, \text{μF}\) を代入して \(V_A\) を求めます。
$$
\begin{aligned}
1000 \, [\text{μC}] &= (50 \, [\text{μF}]) V_A
\end{aligned}
$$
これを \(V_A\) について解くと、
$$
\begin{aligned}
V_A &= \frac{1000 \, [\text{μC}]}{50 \, [\text{μF}]} \\[2.0ex]
&= 20 \, [\text{V}]
\end{aligned}
$$

この設問の平易な説明

スイッチS₁とS₂を開くと、回路は電源から切り離され、最終的に電流は流れなくなります。このとき、問(2)の最後に点A(C₁の下側とC₂の上側がつながった部分)に蓄えられていた合計 \(+1000 \, \text{μC}\) の電気は、行き場がないので保存されます。
電流がゼロになると、抵抗はただの導線と同じになります。回路図をよく見ると、C₁とC₂が並列につながっているのと同じ形になります。この並列コンデンサーの合成容量は、単純な足し算で \(20 + 30 = 50 \, \text{μF}\) です。
この \(50 \, \text{μF}\) の合成コンデンサーに、保存されていた \(+1000 \, \text{μC}\) の電気が蓄えられている状態なので、電圧 \(V_A\) は \(Q=CV\) の式から \(1000 = 50 \times V_A\) となります。これを解くと、\(V_A = 20 \, \text{V}\) となります。これが点Aの最終的な電位です。

結論と吟味

点Aの電位は \(20 \, \text{V}\) となります。これは、孤立部分の電荷が保存され、それが最終的な並列コンデンサーの電圧を決定するという物理法則に基づいた妥当な結果です。

(イ)

思考の道筋とポイント
設問(3)(ア)で、最終状態における点Aの電位が \(V_A = 20 \, \text{V}\) であることが求まりました。このとき、C₁とC₂は並列に接続された状態と等価であり、両端にかかる電圧はともに \(V_A\) です。各コンデンサーに蓄えられる電荷は、コンデンサーの基本式 \(Q=CV\) を用いてそれぞれ計算できます。
この設問における重要なポイント

  • 最終状態ではC₁とC₂は並列で、両端の電圧はともに \(V_A = 20 \, \text{V}\)。
  • コンデンサーの基本式 \(Q=CV\) を用いる。

具体的な解説と立式
(3)(ア)で求めたように、最終状態において点Aの電位は \(V_A = 20 \, \text{V}\) です。このとき、コンデンサーC₁とC₂は、それぞれ両端の電位差が \(V_A\) となるように接続されています。
C₁に蓄えられる電荷を \(Q_1”\) とすると、
$$
\begin{aligned}
Q_1” &= C_1 V_A
\end{aligned}
$$
C₂に蓄えられる電荷を \(Q_2”\) とすると、
$$
\begin{aligned}
Q_2” &= C_2 V_A
\end{aligned}
$$

使用した物理公式

  • コンデンサーの基本式: \(Q=CV\)
計算過程

C₁に蓄えられる電荷 \(Q_1”\) を計算します。
$$
\begin{aligned}
Q_1” &= 20 \, [\text{μF}] \times 20 \, [\text{V}] = 400 \, [\text{μC}]
\end{aligned}
$$
C₂に蓄えられる電荷 \(Q_2”\) を計算します。
$$
\begin{aligned}
Q_2” &= 30 \, [\text{μF}] \times 20 \, [\text{V}] = 600 \, [\text{μC}]
\end{aligned}
$$

この設問の平易な説明

(ア)で、最終的に点Aの電圧が \(20 \, \text{V}\) になることがわかりました。C₁とC₂は、どちらもこの \(20 \, \text{V}\) の電圧がかかる状態になります。
したがって、C₁にたまる電気の量は、\(Q=CV\) の式から \(20 \, \text{μF} \times 20 \, \text{V} = 400 \, \text{μC}\) です。
同様に、C₂にたまる電気の量は、\(30 \, \text{μF} \times 20 \, \text{V} = 600 \, \text{μC}\) です。

結論と吟味

C₁に蓄えられている電荷は \(400 \, \text{μC}\)、C₂に蓄えられている電荷は \(600 \, \text{μC}\) です。これらの電荷の合計は \(400 + 600 = 1000 \, \text{μC}\) となり、(3)(ア)で保存されるとした電荷 \(Q_A\) と一致します。これにより、計算の整合性が確認できます。

(ウ)

思考の道筋とポイント
S₁を開いた後は、回路は電源から切り離され、外部からのエネルギー供給はありません。このとき、コンデンサーに蓄えられていた静電エネルギーが、電荷の再配置に伴って抵抗R₁およびR₂で消費され、ジュール熱となります。
エネルギー保存則を考えると、発生したジュール熱の総量 \(W_{\text{ジュール}}\) は、S₁を開く直前の系全体の静電エネルギー \(U_{\text{前}}\) と、S₁を開いて十分時間が経過した後の系全体の静電エネルギー \(U_{\text{後}}\) の差に等しくなります。
$$
\begin{aligned}
W_{\text{ジュール}} = U_{\text{前}} – U_{\text{後}}
\end{aligned}
$$
静電エネルギーの公式 \(U = \displaystyle\frac{1}{2}CV^2\) を用いて、各状態のエネルギーを計算します。
この設問における重要なポイント

  • エネルギー保存則: (初期の静電エネルギー) – (最終の静電エネルギー) = (発生したジュール熱)。
  • S₁を開く直前の状態は、問(2)の最終状態。
  • S₁を開いた後の状態は、問(3)(ア)(イ)の最終状態。
  • 計算時には単位を基本単位(F, V, J)に統一する。

具体的な解説と立式
S₁を開いた後は、回路は電源から切り離され、コンデンサーに蓄えられた静電エネルギーの一部が抵抗でのジュール熱に変換されます。エネルギー保存則より、抵抗で生じるジュール熱 \(W_{\text{ジュール}}\) は、S₁を開く前のコンデンサーの総静電エネルギー \(U_{\text{前}}\) から、S₁を開いた後のコンデンサーの総静電エネルギー \(U_{\text{後}}\) を引いた差に等しくなります。
$$
\begin{aligned}
W_{\text{ジュール}} &= U_{\text{前}} – U_{\text{後}}
\end{aligned}
$$
S₁を開く直前(問(2)の最後の状態)では、C₁の電圧は \(V_1′ = 40 \, \text{V}\)、C₂の電圧は \(V_2′ = 60 \, \text{V}\)でした。このときの静電エネルギーの合計 \(U_{\text{前}}\) は、
$$
\begin{aligned}
U_{\text{前}} &= \frac{1}{2}C_1 (V_1′)^2 + \frac{1}{2}C_2 (V_2′)^2
\end{aligned}
$$
S₁を開いて十分時間が経過した後(問(3)の最終状態)では、C₁とC₂の電圧はともに \(V_A = 20 \, \text{V}\)でした。このときの静電エネルギーの合計 \(U_{\text{後}}\) は、
$$
\begin{aligned}
U_{\text{後}} &= \frac{1}{2}C_1 V_A^2 + \frac{1}{2}C_2 V_A^2 = \frac{1}{2}(C_1+C_2)V_A^2
\end{aligned}
$$
計算にあたり、容量は基本単位のファラド(F)に変換します: \(C_1 = 20 \times 10^{-6} \, \text{F}\), \(C_2 = 30 \times 10^{-6} \, \text{F}\)。

使用した物理公式

  • エネルギー保存則(静電エネルギーとジュール熱)
  • コンデンサーの静電エネルギー: \(U = \displaystyle\frac{1}{2}CV^2\)
計算過程

まず、初期の静電エネルギー \(U_{\text{前}}\) を計算します。
$$
\begin{aligned}
U_{\text{前}} &= \frac{1}{2}(20 \times 10^{-6})(40)^2 + \frac{1}{2}(30 \times 10^{-6})(60)^2 \\[2.0ex]
&= (10 \times 10^{-6} \times 1600) + (15 \times 10^{-6} \times 3600) \\[2.0ex]
&= (16000 \times 10^{-6}) + (54000 \times 10^{-6}) \\[2.0ex]
&= 70000 \times 10^{-6} \\[2.0ex]
&= 7.0 \times 10^{-2} \, [\text{J}]
\end{aligned}
$$
次に、最終の静電エネルギー \(U_{\text{後}}\) を計算します。
$$
\begin{aligned}
U_{\text{後}} &= \frac{1}{2}(20 \times 10^{-6} + 30 \times 10^{-6})(20)^2 \\[2.0ex]
&= \frac{1}{2}(50 \times 10^{-6})(400) \\[2.0ex]
&= 25 \times 10^{-6} \times 400 \\[2.0ex]
&= 10000 \times 10^{-6} \\[2.0ex]
&= 1.0 \times 10^{-2} \, [\text{J}]
\end{aligned}
$$
最後に、ジュール熱 \(W_{\text{ジュール}}\) を計算します。
$$
\begin{aligned}
W_{\text{ジュール}} &= U_{\text{前}} – U_{\text{後}} \\[2.0ex]
&= (7.0 \times 10^{-2}) – (1.0 \times 10^{-2}) \\[2.0ex]
&= 6.0 \times 10^{-2} \, [\text{J}]
\end{aligned}
$$

この設問の平易な説明

S₁スイッチを開くと、回路は電源から切り離され、コンデンサーに蓄えられた電気が抵抗を通って再配置されます。このとき、電気エネルギーの一部が抵抗で熱に変わります。この熱がジュール熱です。
発生するジュール熱の量は、エネルギーが変化する前の合計エネルギーから、変化した後の合計エネルギーを引くことで計算できます。
S₁を開く前のエネルギーは、C₁とC₂がそれぞれ持っていたエネルギーの合計で、計算すると \(7.0 \times 10^{-2} \, \text{J}\) です。
S₁を開いた後の最終的なエネルギーは、計算すると \(1.0 \times 10^{-2} \, \text{J}\) です。
したがって、失われたエネルギー、つまりジュール熱として発生した熱量は、この差である \(7.0 \times 10^{-2} – 1.0 \times 10^{-2} = 6.0 \times 10^{-2} \, \text{J}\) となります。

結論と吟味

S₁を開いた後、抵抗で生じたジュール熱は \(6.0 \times 10^{-2} \, \text{J}\) です。静電エネルギーが減少しており、その差分がジュール熱として消費されるというエネルギー保存則に合致した、物理的に妥当な結果です。

解答 (3) (ア) \(20 \, \text{V}\) , (イ) C₁: \(400 \, \text{μC}\), C₂: \(600 \, \text{μC}\) , (ウ) \(6.0 \times 10^{-2} \, \text{J}\)

【総まとめ】この一問を未来の得点力へ!完全マスター講座

最重要ポイント:この問題の核心となる物理法則は?

  • 直流定常状態におけるコンデンサーの振る舞い:
    • 核心: この問題の全ての設問は、「十分長い時間が経過した後」の回路状態を分析することが出発点です。直流回路において、コンデンサーは充電が完了すると電流を全く通さなくなります。これは、回路図上でコンデンサーの部分が「断線」または「開放」されていると見なせることを意味します。この性質を理解しているかどうかが、問題を解く上での最初の、そして最も重要な分岐点となります。
    • 理解のポイント:
      1. 電流経路の特定: 定常状態では、コンデンサーを含む経路には電流が流れないため、電流は抵抗や電源を含む閉回路のみを流れます。まずこの電流経路を正確に特定することが第一歩です。
      2. 電圧の確定: 電流経路が特定できれば、オームの法則を用いて各抵抗での電圧降下を計算できます。これにより、回路の各点の電位が確定し、結果としてコンデンサーにかかる電圧(電位差)も決まります。
  • 電荷保存則とエネルギー保存則:
    • 核心: スイッチの切り替えのように、回路の状態が変化する際には、保存則が強力なツールとなります。特に、電源から切り離された「孤立部分」では電荷の総和が保存され、回路全体(電源が切り離された後)ではエネルギーの総和が保存されます(ただし、静電エネルギーの一部はジュール熱に変わります)。
    • 理解のポイント:
      1. 孤立部分の発見: スイッチ操作の前後で、回路のどの部分が外部と電気的に切り離されるかを見抜く眼が重要です。問(3)では、点Aを含む部分がこれに該当します。
      2. エネルギー収支の立式: 回路の初期状態と最終状態の静電エネルギーをそれぞれ計算し、その差が何に変わったか(この問題ではジュール熱)を考えるのがエネルギー保存則の基本的な使い方です。

応用テクニック:似た問題が出たらココを見る!解法の鍵と着眼点

  • 応用できる類似問題のパターン:
    • スイッチの切り替え問題: 複数のスイッチを持ち、操作の順番によって最終状態が変わる問題。各ステップでの定常状態を正確に把握することが鍵です。
    • コンデンサーの電荷再配分: 充電済みのコンデンサーを別のコンデンサーや抵抗に接続し直し、電荷やエネルギーがどのように再分配されるかを問う問題。電荷保存則とエネルギー保存則が中心的な役割を果たします。
    • 過渡現象を伴う問題: 「スイッチを閉じた直後」の電流を問う問題も頻出です。この場合、コンデンサーはまだ充電されておらず、電圧が0なので「導線」とみなせる、という定常状態とは逆の扱いをします。
  • 初見の問題での着眼点:
    1. 時間に関する記述の確認: 問題文中の「十分長い時間が経過した後」や「スイッチを閉じた直後」といった言葉は、コンデンサーをどのように扱うかを決定する最重要キーワードです。
    2. 回路の接続関係の変化: スイッチ操作によって、抵抗やコンデンサーの接続(直列か並列か、あるいはもっと複雑か)がどのように変わるかを正確に図示し、把握します。特に、どの部分がどの部分と「等電位」になるかを見抜くことが重要です。
    3. 保存則が使える「孤立部分」の探索: 回路が切り替わる前後で、外部から電荷の出入りがない閉じた部分がないかを探します。見つかれば、電荷保存則が強力な武器になります。
    4. 電圧の基準点(アース)の確認: アース(接地)は電位の基準点(\(0 \, \text{V}\))です。アースの位置を基準に、回路の各点の電位を計算していくと、コンデンサーにかかる電圧(電位差)を間違いなく求めることができます。

要注意!ありがちなミス・誤解とその対策

  • コンデンサーの直列・並列の判断ミス:
    • 誤解: 回路図の見た目だけで直列か並列かを判断してしまう。問(2)の状態では、C₁とR₁、C₂とR₂がそれぞれ並列ですが、C₁とC₂自体は直列でも並列でもありません。
    • 対策: 「2つの素子の両端が2本の導線で直接結ばれている」のが並列、「1本の導線で結ばれ、途中に分岐がない」のが直列、という定義に立ち返る。各点の電位を考え、電位差が等しいか、流れる(はずの)電荷が等しいか、で判断する習慣をつける。
  • スイッチ通過電荷の計算ミス:
    • 誤解: スイッチを通過する電荷を、特定のコンデンサー1つの電荷変化だけで考えてしまう。
    • 対策: スイッチは回路の2点を接続するものです。そのスイッチによって接続された「部分全体」の電荷が、操作前後でどれだけ変化したかを考えるのが基本です。問(2)では、スイッチS₂が点Bと点A(極板XとY)を繋ぐため、点A全体の電荷収支に着目します。
  • エネルギー計算での単位ミス:
    • 誤解: 静電エネルギーの公式 \(U = \frac{1}{2}CV^2\) に、\(C\)の単位をμFのまま代入して計算し、ジュール(J)単位の答えを出してしまう。
    • 対策: エネルギーや仕事など、基本的な物理量をジュール(J)単位で求める際は、計算に使う全ての量を国際単位系(SI基本単位)に変換する癖をつけること。\(C\)はファラド(F)、\(V\)はボルト(V)です。\(1 \, \text{μF} = 10^{-6} \, \text{F}\) の換算を忘れないように徹底しましょう。

なぜその公式?論理的な公式選択と適用の思考法

  • オームの法則 \(V=IR\):
    • 選定理由: 問題に「抵抗」が登場し、定常「電流」が流れている状況を扱うため。
    • 適用根拠: 問(1)や問(2)の定常状態において、電流が流れる閉回路が特定できたため、その回路における電圧、抵抗、電流の関係を記述するために適用します。
  • コンデンサーの基本式 \(Q=CV\):
    • 選定理由: 問題の主役である「コンデンサー」の最も基本的な性質(電荷、容量、電圧の関係)を記述するため、必須の公式です。
    • 適用根拠: 回路の各点の電位が確定し、コンデンサーの両端の電位差(電圧)\(V\)が分かった時点で、蓄えられている電荷\(Q\)を計算するために適用します。
  • 電荷保存則 (\(Q_{\text{前}} = Q_{\text{後}}\)):
    • 選定理由: スイッチ操作によって、回路の一部が電気的に「孤立」する状況が生まれたため。
    • 適用根拠: 問(3)でS₁を開くと、電源から切り離され、コンデンサーC₁とC₂を含む部分が孤立系となります。この孤立系全体の電荷は、操作の前後で変わらないという物理法則を適用することで、未知の電位\(V_A\)を求めることができます。
  • エネルギー保存則 (\(W_{\text{ジュール}} = U_{\text{前}} – U_{\text{後}}\)):
    • 選定理由: 問題が「ジュール熱」というエネルギーの消費について問うており、かつ電源が切り離された後のエネルギー変化を扱うため。
    • 適用根拠: 問(3)(ウ)の状況は、外部からのエネルギー供給(電源)がなく、内部のエネルギー(静電エネルギー)が別の形(ジュール熱)に変わるだけの閉じた系です。このような系のエネルギー収支を記述するために、エネルギー保存則を適用します。

計算ミスをなくす!日頃の意識と実践テクニック

  • 単位の統一:
    • 特に注意すべき点: この問題では、\(R\)はΩ、\(C\)はμF、\(E\)はVと、単位が混在しています。特にエネルギー計算(問(3)(ウ))では、\(C\)を \(10^{-6}\) 倍してファラド(F)に直してから計算しないと、答えの桁が全く合わなくなります。
    • 日頃の練習: 式を立てた後、数値を代入する前に「全ての単位をSI基本単位に揃える」という一手間を必ず挟む習慣をつけましょう。
  • 符号の確認:
    • 特に注意すべき点: コンデンサーの極板の電荷の符号(プラスかマイナスか)を間違えると、問(2)や問(3)の電荷保存の計算が根底から崩れます。
    • 日頃の練習: 回路図に電流の向きを矢印で書き込み、それによって生じる電位の高低(抵抗の上流が高電位、下流が低電位)を明確にします。その電位の高低に合わせて、コンデンサーの極板に「+」「-」を書き込む癖をつけると、符号ミスが劇的に減ります。
  • 計算過程の構造化:
    • 特に注意すべき点: 複数のステップを踏む問題では、自分が今何を計算しているのかを見失いがちです。
    • 日頃の練習: 「①まず定常電流Iを求める」「②次に各コンデンサーの電圧Vを求める」「③最後にQ=CVで電荷を求める」のように、計算の前に手順を箇条書きでメモする習慣をつけると、思考が整理され、計算ミスや方針の間違いを防げます。

解きっぱなしはNG!解答の妥当性を吟味する習慣をつけよう

  • 得られた答えの物理的妥当性の検討:
    • (1)(イ) C₁の電荷: 別解で計算したように、C₁にかかる電圧は\(60 \, \text{V}\)、C₂にかかる電圧は\(40 \, \text{V}\)です。合計は\(100 \, \text{V}\)で電源電圧と一致します。また、容量が小さいC₁(\(20 \, \text{μF}\))の方に大きい電圧(\(60 \, \text{V}\))がかかっており、直列コンデンサーの性質(電圧は容量の逆比)と整合しています。
    • (3)(イ) C₁とC₂の最終電荷: 計算結果は \(Q_1”=400 \, \text{μC}\), \(Q_2”=600 \, \text{μC}\)でした。合計すると\(1000 \, \text{μC}\)となり、これは(3)(ア)で保存されるとした孤立部分の総電荷と一致します。このような自己無撞着性のチェックは、計算ミスを発見する上で非常に有効です。
    • (3)(ウ) ジュール熱: 計算結果は正の値(\(6.0 \times 10^{-2} \, \text{J}\))になりました。電荷が再配置される際には、必ず抵抗でエネルギーが消費されるため、ジュール熱は必ず正の値になるはずです。もし負になった場合は、計算のどこかで間違えていると判断できます。
  • 極端な場合や既知の状況との比較:
    • もし抵抗R₁が0だったら? 問(2)の定常状態では、C₁にかかる電圧は0になり、電荷は0になります。もしR₂が0だったら、C₂の電荷が0になります。このように、極端な状況を想定して式を当てはめてみることで、式の妥当性を確認できます。
    • もしC₁とC₂の容量が同じだったら? 問(1)(イ)の別解で考えた電圧分配は、\(1:1\)になります。つまり、電圧は均等に\(50 \, \text{V}\)ずつかかります。これは直感的にも正しいとわかります。

問題122 (愛知工大)

【問題の確認】まずは問題文をしっかり読み解こう

この問題は、xy平面に垂直に置かれた2本の長い直線導線を流れる電流が作る磁場(磁界)に関するものです。電流の向きは互いに逆向きで、強さは同じです。原点Oと点Aにおける磁場の強さを求め、さらに点Aと同じ強さの磁場となるx軸上の点Bの位置を求める問題です。

与えられた条件
  • 2本の長い直線導線がxy平面に垂直に置かれている。
  • 一方の導線は点\((a, 0)\)を通り、もう一方の導線は点\((-a, 0)\)を通る。
  • 両方の導線には同じ強さの電流が流れているが、向きは互いに逆向きである。
    • 点\((-a, 0)\)を通る電流はxy平面の奥から手前へ(図では紙面に垂直手前向き、\(\bigodot\)で表される)。
    • 点\((a, 0)\)を通る電流はxy平面の手前から奥へ(図では紙面に垂直奥向き、\(\bigotimes\)で表される)。
  • これらの電流による原点Oでの磁場の強さを\(H_0\)とする。
  • 点Aの座標は\((0, \sqrt{3}a)\)である。
問われていること
  1. (1) 点A\((0, \sqrt{3}a)\)での磁場の強さ\(H_1\)を\(H_0\)を用いて表す。
  2. (2) (1)の\(H_1\)と同じ強さの磁場となる、正のx軸上の点Bのx座標。

【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド

【注記】本問については、模範解答のアプローチが最も標準的かつ効率的であるため、別解の提示は省略します。

この問題のテーマは「複数の直線電流が作る磁場の合成」です。アンペールの法則、右ねじの法則、そして磁場の重ね合わせの原理という、磁場に関する基本的な法則を組み合わせて解く問題です。

問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。

  1. 直線電流が作る磁場(アンペールの法則): 長い直線導線を流れる電流\(I\)が、導線からの距離\(r\)の位置に作る磁場の強さ\(H\)は、\(H = \displaystyle\frac{I}{2\pi r}\)で与えられます。
  2. 右ねじの法則: 直線電流が作る磁場の向きは、電流の向きに右ねじを進めたとき、ねじが回転する向き(あるいは電流の向きを親指としたとき、残りの指が巻く向き)で与えられます。
  3. 磁場の重ね合わせの原理: 複数の電流が作る磁場は、それぞれの電流が単独で作る磁場をベクトル的に合成することで得られます。

基本的なアプローチは以下の通りです。

  1. まず、問題で与えられている状況を図で正確に把握し、各電流源の位置と向きを確認します。
  2. 各設問で指定された点(原点O、点A、点B)において、それぞれの電流が作る磁場の「大き」さと「向き」を、上記の法則を用いて個別に求めます。
  3. 個別に求めた磁場をベクトルとして足し合わせ(ベクトル合成)、その点の合成磁場を求めます。対称性がある場合は、計算が簡略化できないか検討します。

問(1)

思考の道筋とポイント
まず、基準となる原点Oにおける磁場\(H_0\)を、電流の強さを\(I\)として表します。点\((-a,0)\)を通る電流と点\((a,0)\)を通る電流がそれぞれ原点Oに作る磁場の向きと大きさを考え、ベクトル合成します。
次に、点A\((0, \sqrt{3}a)\)における磁場\(H_1\)を求めます。同様に、各電流が点Aに作る磁場の向きと大きさを計算し、ベクトル合成します。このとき、点Aと各導線の位置関係から、対称性を利用して計算を簡略化できる点に注目します。
最後に、計算した\(H_1\)と\(H_0\)の比を取ることで、\(H_1\)を\(H_0\)を用いて表します。
この設問における重要なポイント

  • 直線電流の作る磁場の公式 \(H = \displaystyle\frac{I}{2\pi r}\) を正しく使う。
  • 右ねじの法則を用いて、各電流が作る磁場の向きを正確に把握する。
  • 磁場はベクトル量であるため、ベクトル合成を正しく行う。対称性に着目すると計算が簡略化できる。
  • 三平方の定理や三角関数を用いて、距離や角度を正確に求める。

具体的な解説と立式
電流の強さを \(I\) とします。問題の図より、点\((-a,0)\) を通る電流は紙面手前向き(\(\bigodot\))、点\((a,0)\) を通る電流は紙面奥向き(\(\bigotimes\))です。

1. 原点Oにおける磁場 \(H_0\) の導出
点\((-a,0)\) の電流(手前向き)が原点Oに作る磁場を \(H_{\text{O,左}}\) とします。O点までの距離は \(a\) です。右ねじの法則より、この磁場の向きはy軸の正の向きです。その強さは、
$$
\begin{aligned}
H_{\text{O,左}} &= \frac{I}{2\pi a}
\end{aligned}
$$
点\((a,0)\) の電流(奥向き)が原点Oに作る磁場を \(H_{\text{O,右}}\) とします。O点までの距離も \(a\) です。右ねじの法則より、この磁場の向きもy軸の正の向きです。その強さは、
$$
\begin{aligned}
H_{\text{O,右}} &= \frac{I}{2\pi a}
\end{aligned}
$$
原点Oでの合成磁場 \(H_0\) は、同じ向きのベクトルを足し合わせることで得られます。
$$
\begin{aligned}
H_0 &= H_{\text{O,左}} + H_{\text{O,右}}
\end{aligned}
$$

2. 点A\((0, \sqrt{3}a)\)における磁場 \(H_1\) の導出
点\((-a,0)\) の電流から点Aまでの距離 \(r_A\) は、三平方の定理より、
$$
\begin{aligned}
r_A &= \sqrt{a^2 + (\sqrt{3}a)^2} = \sqrt{a^2 + 3a^2} = 2a
\end{aligned}
$$
点\((a,0)\) の電流から点Aまでの距離も対称性から \(2a\) です。
したがって、各電流が点Aに作る磁場の強さ \(H’\) は等しくなります。
$$
\begin{aligned}
H’ &= \frac{I}{2\pi r_A} = \frac{I}{2\pi (2a)} = \frac{I}{4\pi a}
\end{aligned}
$$
次に、これらの磁場の向きを考えます。点A、点\((a,0)\)、点\((-a,0)\)は、辺の長さが \(2a\) の正三角形をなします。点Aにおける頂角は\(60^\circ\)です。

  • 点\((-a,0)\)の電流(手前向き)が作る磁場(模範解答の図の黒い矢印)は、点Aと\((-a,0)\)を結ぶ線分に垂直で、左斜め上を向きます。
  • 点\((a,0)\)の電流(奥向き)が作る磁場(模範解答の図の赤い矢印)は、点Aと\((a,0)\)を結ぶ線分に垂直で、右斜め上を向きます。

対称性から、2つの磁場ベクトルのx成分は互いに打ち消しあい、y成分のみが残ります。
各磁場ベクトルがy軸となす角は\(60^\circ\)です。したがって、合成磁場 \(H_1\) は、各磁場のy成分(\(H’ \cos 60^\circ\))の2倍となります。
$$
\begin{aligned}
H_1 &= (H’ \cos 60^\circ) \times 2
\end{aligned}
$$

使用した物理公式

  • 直線電流の作る磁場: \(H = \displaystyle\frac{I}{2\pi r}\)
  • 磁場の重ね合わせの原理
  • 三平方の定理、三角関数
計算過程

まず、\(H_0\)を計算します。
$$
\begin{aligned}
H_0 &= \frac{I}{2\pi a} + \frac{I}{2\pi a} \\[2.0ex]
&= \frac{2I}{2\pi a} \\[2.0ex]
&= \frac{I}{\pi a} \quad \cdots ①
\end{aligned}
$$
次に、\(H_1\)を計算します。
$$
\begin{aligned}
H_1 &= \left( \frac{I}{4\pi a} \cos 60^\circ \right) \times 2 \\[2.0ex]
&= \left( \frac{I}{4\pi a} \cdot \frac{1}{2} \right) \times 2 \\[2.0ex]
&= \frac{I}{4\pi a} \quad \cdots ②
\end{aligned}
$$
最後に、\(H_1\) を \(H_0\) で表すために、式②を式①で割ります。
$$
\begin{aligned}
\frac{H_1}{H_0} &= \frac{I/(4\pi a)}{I/(\pi a)} \\[2.0ex]
&= \frac{I}{4\pi a} \times \frac{\pi a}{I} \\[2.0ex]
&= \frac{1}{4}
\end{aligned}
$$
したがって、
$$
\begin{aligned}
H_1 &= \frac{1}{4} H_0
\end{aligned}
$$

この設問の平易な説明

まず原点Oの磁場\(H_0\)を考えます。左側の電流(手前向き)も右側の電流(奥向き)も、原点Oに同じ向き(上向き)の磁場を作ります。それぞれの強さを足し合わせると、\(H_0 = \frac{I}{\pi a}\) となります。
次に点Aの磁場\(H_1\)を考えます。点Aは2つの電流から等距離(\(2a\))にあります。左側の電流は左斜め上向きの磁場を、右側の電流は右斜め上向きの磁場を作ります。このため、水平(x)方向の成分は打ち消しあい、垂直(y)方向の成分だけが残って足し合わされます。計算すると、合成された磁場は \(H_1 = \frac{I}{4\pi a}\) となります。
\(H_0\)と\(H_1\)を比べると、\(H_1\)は\(H_0\)のちょうど4分の1の強さになっていることがわかります。

結論と吟味

点Aでの磁場の強さ \(H_1\) は \(\displaystyle\frac{1}{4}H_0\) となります。対称性を利用したベクトルの合成が正しく行われており、妥当な結果です。

解答 (1) \(\displaystyle\frac{1}{4}H_0\)

問(2)

思考の道筋とポイント
x軸上の正の部分にある点B\((x,0)\) (ただし \(x>0\)、電流の位置は除く) での磁場の強さが、(1)で求めた \(H_1\) に等しくなるような \(x\) の値を求めます。
点Bにおける磁場を計算します。点\((-a,0)\)を通る電流と点\((a,0)\)を通る電流がそれぞれ点Bに作る磁場の向きと大きさを考え、ベクトル合成します。x軸上では、各電流が作る磁場はy軸方向を向きますが、その向きはB点の位置によって異なります。
模範解答の考察から、解は \(x>a\) の範囲に存在すると考えられます。この範囲では、2つの電流が作る磁場は互いに逆向きになるため、合成磁場はその強さの差で与えられます。この合成磁場の大きさが \(H_1\) と等しくなるように方程式を立てて解きます。
この設問における重要なポイント

  • 点Bがx軸上にあるため、各電流からの距離の計算が \(x+a\) と \(x-a\) となる。
  • \(x>a\) の領域では、2つの電流が作る磁場は逆向きになる。
  • 合成磁場の大きさ(強さの差)が \(H_1\) と等しいという条件から方程式を立てる。

具体的な解説と立式
点Bの座標を \((x,0)\) とします。\(x>a\) の場合を考えます。
点\((a,0)\) を通る電流(奥向き)が点Bに作る磁場を \(H_{\text{B,右}}\) とします。B点までの距離は \(x-a\) です。右ねじの法則より、この磁場の向きはy軸の負の向きです。
$$
\begin{aligned}
H_{\text{B,右}} &= \frac{I}{2\pi (x-a)}
\end{aligned}
$$
点\((-a,0)\) を通る電流(手前向き)が点Bに作る磁場を \(H_{\text{B,左}}\) とします。B点までの距離は \(x-(-a) = x+a\) です。右ねじの法則より、この磁場の向きはy軸の正の向きです。
$$
\begin{aligned}
H_{\text{B,左}} &= \frac{I}{2\pi (x+a)}
\end{aligned}
$$
点Bでの合成磁場 \(H_B\) は、これらの差となります。\(x>a\) なので \(x-a < x+a\) であり、\(H_{\text{B,右}} > H_{\text{B,左}}\) です。したがって、合成磁場の強さは、
$$
\begin{aligned}
H_B &= H_{\text{B,右}} – H_{\text{B,左}}
\end{aligned}
$$
この強さが \(H_1\) に等しいので、
$$
\begin{aligned}
H_{\text{B,右}} – H_{\text{B,左}} &= H_1
\end{aligned}
$$
問(1)の結果 \(H_1 = \displaystyle\frac{I}{4\pi a}\) を用いて、方程式を立てます。
$$
\begin{aligned}
\frac{I}{2\pi (x-a)} – \frac{I}{2\pi (x+a)} &= \frac{I}{4\pi a}
\end{aligned}
$$

使用した物理公式

  • 直線電流の作る磁場: \(H = \displaystyle\frac{I}{2\pi r}\)
  • 磁場の重ね合わせの原理
計算過程

上記で立てた方程式の両辺から \(I/(2\pi)\) を消去します。
$$
\begin{aligned}
\frac{1}{x-a} – \frac{1}{x+a} &= \frac{1}{2a}
\end{aligned}
$$
左辺を通分します。
$$
\begin{aligned}
\frac{(x+a) – (x-a)}{(x-a)(x+a)} &= \frac{1}{2a} \\[2.0ex]
\frac{2a}{x^2-a^2} &= \frac{1}{2a}
\end{aligned}
$$
両辺を整理して、\(x\) について解きます。
$$
\begin{aligned}
2a \cdot 2a &= 1 \cdot (x^2-a^2) \\[2.0ex]
4a^2 &= x^2-a^2 \\[2.0ex]
x^2 &= 5a^2
\end{aligned}
$$
\(x>0\) なので、
$$
\begin{aligned}
x &= \sqrt{5}a
\end{aligned}
$$
この解は \(x = \sqrt{5}a \approx 2.236a > a\) であり、最初に仮定した \(x>a\) の条件を満たします。

この設問の平易な説明

x軸上で、点Aと同じ強さの磁場になる点Bを探します。点Bのx座標を\(x\)とします。
点Bが2つの電流の外側(\(x>a\))にある場合を考えます。右側の電流(奥向き)はB点に下向きの磁場を作り、左側の電流(手前向き)は上向きの磁場を作ります。合成された磁場は、この2つの引き算になります。
この引き算した結果が、問(1)で求めた \(H_1 = \frac{I}{4\pi a}\) と等しくなるように、方程式を立てます。
その方程式は \(\displaystyle\frac{I}{2\pi(x-a)} – \displaystyle\frac{I}{2\pi(x+a)} = \displaystyle\frac{I}{4\pi a}\) となります。
これを \(x\) について解くと、\(x = \sqrt{5}a\) が得られます。

結論と吟味

点Bのx座標は \(\sqrt{5}a\) となります。
模範解答の補足にあるように、\(0<x<a\) の範囲では、2つの電流が作る磁場は両方ともy軸正方向を向くため、合成磁場は必ず \(H_0/2 = I/(2\pi a)\) より大きくなります。\(H_1 = H_0/4\) はこれより小さい値なので、この範囲に解は存在しません。したがって、得られた解 \(x=\sqrt{5}a\) が唯一の解となります。

解答 (2) \(\sqrt{5}a\)

【総まとめ】この一問を未来の得点力へ!完全マスター講座

最重要ポイント:この問題の核心となる物理法則は?

  • 直線電流が作る磁場と重ね合わせの原理:
    • 核心: この問題は、3つの基本ルールを正確に適用することが全てです。①長い直線電流が作る磁場の公式 \(H = \frac{I}{2\pi r}\)、②磁場の向きを決める「右ねじの法則」、そして③複数の磁場をベクトルとして足し合わせる「重ね合わせの原理」。これらの法則を、問題の幾何学的な状況に正しく落とし込めるかが問われています。
    • 理解のポイント:
      1. 磁場はベクトル量: 磁場には「強さ(大きさ)」と「向き」があります。計算する際は、この2つを常にセットで考え、重ね合わせる際は、単なる大きさの足し算ではなく、ベクトルの和(成分ごとの和)であることを徹底して意識することが重要です。
      2. 図の活用: 電流の位置、磁場を求める点、そして各電流が作る磁場ベクトルを一つの図に書き込むことで、距離や角度の関係、ベクトルの向きが一目瞭然となり、立式の誤りを大幅に減らすことができます。

応用テクニック:似た問題が出たらココを見る!解法の鍵と着眼点

  • 応用できる類似問題のパターン:
    • 複数の直線電流が作る磁場: 電流が同方向、3本以上の電流など、配置が変わっても基本的な考え方は同じです。
    • 円形電流やソレノイドコイルが作る磁場: 磁場の公式は異なりますが、重ね合わせの原理や対称性を利用する思考プロセスは共通しています。
    • 磁場が0になる点の探索: 複数の磁場ベクトルが互いに打ち消しあって、合成ベクトルがゼロになる点の位置を求める問題に応用できます。
  • 初見の問題での着眼点:
    1. 電流源の配置と向きの把握: まず、どこにどのような向きの電流が流れているかを、図に \(\bigodot\)(手前向き)や \(\bigotimes\)(奥向き)を明確に書き込んで整理します。
    2. 対称性の利用: 電流の配置や磁場を求める点に何らかの対称性があれば、計算を大幅に簡略化できます。問(1)の点Aのケースでは、対称性からx成分が打ち消しあうことを見抜ければ、y成分の計算に集中できます。
    3. 幾何学的関係の整理: 磁場を求める点と各電流源との「距離」と「方向」を正確に把握することが不可欠です。三平方の定理や三角関数を駆使して、必要な長さや角度を計算します。

要注意!ありがちなミス・誤解とその対策

  • 磁場の向きの間違い:
    • 誤解: 右ねじの法則の適用を誤り、磁場ベクトルの向きを90度や180度間違えてしまう。
    • 対策: 実際に右手を使い、親指を電流の向きに合わせて、残りの4本の指がどの向きに巻くかを必ず確認する癖をつけましょう。磁場は電流の周りを回る円の接線方向を向くことをイメージするのが有効です。
  • ベクトル合成の誤り:
    • 誤解: 磁場の強さを、向きを考えずに単純に足したり引いたりしてしまう。
    • 対策: 磁場はベクトル量であることを常に念頭に置き、面倒でもx成分とy成分に分解してから足し合わせるのが最も確実な方法です。図を描いてベクトルの矢印で考えることで、視覚的に合成のイメージを掴むことができます。
  • 距離 \(r\) の誤算:
    • 誤解: 公式 \(H = \frac{I}{2\pi r}\) の \(r\) に、x座標やy座標の値をそのまま代入してしまう。
    • 対策: \(r\) は常に「電流(導線)からの最短距離」であることを強く意識します。斜めの位置にある場合は、必ず三平方の定理を使って直線距離を計算してください。

なぜその公式?論理的な公式選択と適用の思考法

  • \(H = \frac{I}{2\pi r}\):
    • 選定理由: 問題設定が「長い直線導線」を流れる電流であるため。これはアンペールの法則から導かれる、この状況に特化した最も基本的な公式です。
    • 適用根拠: 電流の強さ \(I\) と、電流からの距離 \(r\) が分かれば、磁場の強さを計算できるという直接的な関係を示しているため。
  • ベクトル和(重ね合わせの原理):
    • 選定理由: 磁場(磁界)という物理的な「場」の基本的な性質だからです。複数の源が作る場は、それぞれの源が単独で作る場のベクトル和で与えられます。これは電場や重力場でも同様です。
    • 適用根拠: 問題に電流源が2つ存在し、両方が同時に磁場を作っているため、その合成効果を正しく評価するために必須の考え方です。
  • 三角関数(\(\cos, \sin\)):
    • 選定理由: ベクトルという幾何学的な量を、代数的に計算可能な成分に分解するための数学的な道具だからです。
    • 適用根拠: 問(1)のように、磁場ベクトルが座標軸に対して斜めを向いている場合、そのままでは足し算ができません。x成分とy成分に分解することで、それぞれの方向ごとに単純な足し算・引き算が可能になります。

計算ミスをなくす!日頃の意識と実践テクニック

  • 幾何学的な計算の正確性:
    • 特に注意すべき点: 三平方の定理での \(a^2+b^2\) の計算や、その後の平方根の計算を慎重に行う。
    • 日頃の練習: \(1:2:\sqrt{3}\) や \(1:1:\sqrt{2}\) のような特別な直角三角形の辺の比や角度を覚えておくと、計算が速く正確になります。
  • 文字式の整理:
    • 特に注意すべき点: この問題のように \(I, \pi, a\) などの文字が多く出てくる場合、計算の最終段階まで文字のまま進め、最後に約分するとミスが減ります。問(2)の方程式を解く際も、通分や展開を丁寧に行うことが重要です。
    • 日頃の練習: 複雑な分数式や文字式の計算問題をいくつか解き、通分、約分、展開、移項といった基本的な代数操作に習熟しておく。途中式を省略せずに書く習慣をつけることが、ミスを減らす上で最も効果的です。
  • 三角関数の適用:
    • 特に注意すべき点: ベクトルを成分分解する際に、基準となる角度をどこに取るかで \(\cos\) と \(\sin\) が入れ替わります。図を描いて、どの角が何度で、求める成分がその角の「隣辺」なのか「対辺」なのかを明確に確認しましょう。
    • 日頃の練習: 様々な角度でベクトルを成分分解する練習を行う。特に、座標軸とのなす角だけでなく、ベクトル間のなす角が与えられた場合など、多様な設定に慣れておくことが重要です。

解きっぱなしはNG!解答の妥当性を吟味する習慣をつけよう

  • 得られた答えの物理的妥当性の検討:
    • (1) 点A: 点Aは2つの電流から等距離にあり、y軸上という対称的な位置にあります。電流の向きが互いに逆であることから、磁場のx成分が打ち消しあうのは非常に自然な結果です。
    • (2) 点B: 点Bが電流源\((a,0)\)に近づくほど(\(x \to a+\))、その電流が作る磁場は無限大に発散するため、合成磁場は非常に強くなります。逆に、点Bが無限に遠ざかると(\(x \to \infty\))、両方の磁場が0に近づくため、合成磁場も0に近づきます。したがって、特定の強さ \(H_1\) になる点が途中に存在するのは妥当だと考えられます。
  • 解の吟味:
    • (2)で得られた解: \(x = \sqrt{5}a\) は、\(\sqrt{5} \approx 2.236\) なので、\(x>a\) という計算の前提条件を満たしています。もし前提と矛盾する解が出た場合は、計算ミスか、あるいは前提(この場合は \(x>a\))が間違っており、別の範囲(この問題では存在しないが \(0<x<a\) など)に解がある可能性を疑う必要があります。
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問題123 (九州産大+福井工大)

【問題の確認】まずは問題文をしっかり読み解こう

この問題は、磁場(磁界)中を流れる電流が受ける力(電磁力、ローレンツ力)に関する基本的な理解を問う穴埋め問題です。導線中の自由電子の運動と、それが磁場から受ける力、そして導線全体が受ける力の関係を順を追って考察します。

与えられた条件
  • 磁束密度 \(B \, [\text{T}]\) で右向きの磁場(磁界)中に導線が置かれている。
  • 導線内を電流 \(I \, [\text{A}]\) が下向きに流れている。
  • 導線の断面積: \(S \, [\text{m}^2]\)
  • 導線の長さ: \(l \, [\text{m}]\)
  • 導線内の自由電子の個数密度: \(n \, [\text{個/m}^3]\)
  • 自由電子の速さ: \(v \, [\text{m/s}]\)
  • 自由電子の電荷: \(-e \, [\text{C}]\) (\(e\) は電気素量で正の値)
問われていること

空欄(1)から(8)に適切な語句や数式を埋める。

  1. (1) 電流 \(I\) を \(e, n, S, v\) を用いて表す式。
  2. (2) 1つの自由電子が磁場から受ける力の大きさ \(f\)。
  3. (3) (2)の力の名称。
  4. (4) (2)の力の向き。
  5. (5) 導線内の電子の総数 \(N\)。
  6. (6) 導線を流れる電流が磁場から受ける力の大きさ \(F\) を、電子1つが受ける力と電子の総数を用いて表す過程と結果。
  7. (7) (6)の力 \(F\) を \(I, B, l\) を用いて表す式。
  8. (8) (6)の力の向き。

【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド

【相違点に関する注記】

本解説は、模範解答で採用されている解法を主たる解説としつつ、以下の別解を提示します。

  1. 提示する別解
    • 問(4) ローレンツ力の向きの別解: 負電荷の速度ベクトルを直接用いる解法
      • 主たる解法が、フレミングの左手の法則を「電流の向き(正電荷の運動方向)」に適用するのに対し、別解では、まず「自由電子の実際の速度の向き」に法則を適用して力の向きを仮定し、その後「電荷が負である」ことを考慮して最終的な力の向きを180度反転させます。
  2. 上記の別解が有益である理由
    • 物理的本質の深化: フレミングの左手の法則における「電流」の指が、本質的には「正電荷の速度ベクトル」の向きを指しているという定義を明確に理解できます。これにより、なぜ負電荷の運動方向と逆向きに中指を合わせるのか、という根本的な理由が腑に落ちます。
    • 思考の柔軟性: どちらのアプローチでも同じ結論に至ることを確認することで、ローレンツ力とフレミングの法則の関係についての理解が確かなものになります。
  3. 結果への影響
    • いずれのアプローチを用いても、思考の出発点が異なるだけで、最終的に得られる答えは模範解答と完全に一致します。

この問題のテーマは「電流が磁場から受ける力」を、導線内の自由電子というミクロな視点から、導線全体というマクロな視点へとつなげて理解することです。電流の正体、ローレンツ力、電磁力の関係性を問うています。

問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。

  1. 電流の微視的表現: 電流というマクロな量を、それを担う荷電粒子(自由電子)のミクロな運動(数、電荷、速さなど)と結びつける公式 \(I = enSv\) を導出・利用します。
  2. ローレンツ力: 磁場中を運動する個々の荷電粒子が受ける力です。公式は \(f = |q|vB\sin\theta\) です。
  3. フレミングの左手の法則: 電流が磁場から受ける力(電磁力)や、荷電粒子が受けるローレンツ力の向きを決定するための便利な法則です。
  4. 電磁力: 導線全体が磁場から受ける力です。これは、導線内に存在する多数の荷電粒子が受けるローレンツ力の合力として理解されます。

基本的なアプローチは以下の通りです。

  1. 設問の誘導に従い、まず電流\(I\)を自由電子の運動の言葉で表現します。
  2. 次に、自由電子1個が受けるローレンツ力の大きさと向きを求めます。
  3. 導線内に含まれる自由電子の総数を計算します。
  4. 最後に、電子1個が受ける力と電子の総数を掛け合わせることで、導線全体が受ける力の大きさと向きを導出します。

問(1)

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