「名問の森」徹底解説(37〜39問):未来の得点力へ!完全マスター講座【力学・熱・波動Ⅰ】

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問題37 (早稲田大)

【問題の確認】まずは問題文をしっかり読み解こう

この問題は、3つの同じばねと質量が等しい2つの球A、Bが直線状に連結され、摩擦のない水平面上に置かれた系の運動を扱います。ばねの両端は固定されており、初めは全てのばねが自然長である状態から、様々な条件で変位させたり、振動させたりします。複数のばねが絡むため、力のつり合いや実効的なばね定数の考え方、そして系の対称性がポイントとなります。

与えられた条件
  • 物体A, Bの質量: ともに \(m\)
  • ばね定数: 3個のばねすべて同じで \(k\)
  • 面: 摩擦のない水平面
  • 初期状態: 全てのばねは自然の長さ。
  • 座標軸: 各設問の状況に応じて設定(特に指定はないが、変位の向きを正とする)。
問われていること
  1. (1) Bに外力を加えて右に \(d\) だけ静かに変位させたときの、Aの右への変位と、Bに加えている外力の大きさ。
  2. (2) Bを初めの位置に固定したまま、Aに外力を加えて大きさ \(d\) の変位を与えてから静かに放したときの、Aの振動の周期と、Aが初めの位置を通るときの速さ。
  3. (3) AとBの両方に外力を加えて、同じ向きに等しい大きさ \(d\) の変位を与えてから同時に静かに放したときの、Aの振動の周期。
  4. (4) AとBの両方に外力を加えて、互いに逆向きに等しい大きさ \(d\) の変位を静かに与える場合:
    • (ア) このとき、外力がした仕事の和。
    • (イ) 次に、両球を同時に静かに放したときの、Aの振動の周期。

【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド

この問題は「連結されたばね振り子系における力のつり合いと単振動」が中心テーマです。3つのばねと2つの物体が関わるため、それぞれの物体に働く力を正確に把握し、力のつり合いや運動方程式を立てることが基本となります。また、系の対称性や、複数のばねが組み合わさったときの「合成ばね定数」の考え方も有効です。仕事とエネルギーの関係も問われています。

問(1)

思考の道筋とポイント
物体Bを右に \(d\) だけ「静かに」変位させるため、その過程および最終状態で物体AとBは力のつり合いを保っています(加速度が0)。物体Aの右への変位を \(x_A\) とおき、物体Aおよび物体Bそれぞれに働く水平方向の力のつり合いの式を立てます。各ばねの自然長からの伸びまたは縮みを正確に把握することが重要です。

この設問における重要なポイント

  • 「静かに変位させる」とは、各瞬間で物体が力のつり合いを保っている(加速度が0)と考えるか、最終状態でつり合っていると考えます。
  • 各ばねの「自然長からの」伸びまたは縮みを正確に計算します。初期状態では全てのばねは自然長です。
  • 物体Aと物体Bそれぞれについて、水平方向の力のつり合いを考えます。
  • 3つのばねを左からS₁(左壁-A間)、S₂(A-B間)、S₃(B-右壁間)とします。

具体的な解説と立式
Bを右に \(d\) だけ変位させ、このときAも右に \(x_A\) だけ変位したとします。右向きを正とします。
ばねS₁は \(x_A\) だけ伸びるので、Aを左向き(負の向き)に \(kx_A\) の力で引きます。
ばねS₂は、Aが \(x_A\)、Bが \(d\) だけ右に変位したので、S₂の伸びは \((d – x_A)\) となります(\(d > x_A\) と仮定)。S₂はAを右向き(正の向き)に \(k(d-x_A)\) の力で引き、Bを左向き(負の向き)に \(k(d-x_A)\) の力で引きます。
ばねS₃は、Bが \(d\) だけ右に変位したので、\(d\) だけ縮みます。S₃はBを左向き(負の向き)に \(kd\) の力で押します。

物体Aについての力のつり合いの式:
$$-kx_A + k(d-x_A) = 0 \quad \cdots ①$$
物体Bに加えている外力の大きさを \(F\)(右向きを正)とすると、物体Bについての力のつり合いの式:
$$-k(d-x_A) – kd + F = 0 \quad \cdots ②$$

使用した物理公式

  • 力のつり合い: \(\sum F = 0\)
  • フックの法則: \(F_{\text{弾性力}} = k \times (\text{自然長からの変位})\)
計算過程

まず、式①からAの変位 \(x_A\) を求めます。
$$-kx_A + kd – kx_A = 0$$
$$kd = 2kx_A$$
両辺を \(2k\) で割ると(\(k \neq 0\))、
$$x_A = \frac{d}{2}$$
次に、この \(x_A = d/2\) を式②に代入して外力 \(F\) を求めます。
$$-k\left(d-\frac{d}{2}\right) – kd + F = 0$$
$$-k\left(\frac{d}{2}\right) – kd + F = 0$$
$$-\frac{1}{2}kd – kd + F = 0$$
$$-\frac{3}{2}kd + F = 0$$
よって、外力の大きさ \(F\) は、
$$F = \frac{3}{2}kd$$

計算方法の平易な説明

物体Bをゆっくりと右に \(d\) だけ動かすと、物体Aもそれにつられて動きます。このとき、AもBも力がつり合っています。
物体Aには、左のばねから引かれる力と、真ん中のばねから引かれる(または押される)力が働いてつり合います。この関係から、Aがどれだけ動くかがわかります。
物体Bには、真ん中のばねから引かれる(または押される)力、右のばねから押される力、そして手で加えている外力が働いてつり合います。Aの動きがわかれば、これらの力の大きさが計算でき、結果として外力の大きさが求まります。

結論と吟味

Aは右に \(\displaystyle\frac{d}{2}\) だけ変位します。Bに加えている外力の大きさは \(\displaystyle\frac{3}{2}kd\) です。
Aの変位が \(d/2\) であるとき、ばねS₁は \(d/2\) 伸び、ばねS₂も \(d-d/2 = d/2\) 伸びています。このため、Aには左のばねS₁から左向きに \(kd/2\)、真ん中のばねS₂から右向きに \(kd/2\) の力が働き、これらがつり合っています。
物体Bには、真ん中のばねS₂から左向きに \(kd/2\) の力が働き、右のばねS₃は \(d\) だけ縮んでいるため左向きに \(kd\) の力でBを押します。したがって、Bに働くばねからの力の合力は左向きに \(kd/2 + kd = (3/2)kd\) となり、これとつり合うためには外力 \(F\) は右向きに \((3/2)kd\) である必要があります。これは計算結果と一致しており、妥当です。

解答 (1) Aの変位: \(\displaystyle\frac{d}{2}\), 外力の大きさ: \(\displaystyle\frac{3}{2}kd\)

問(2)

思考の道筋とポイント
Bを初めの位置(\(x=0\) のときのBの位置)に固定します。この状態でAに大きさ \(d\) の変位(例えば右に \(d\))を与えて静かに放すと、Aは単振動を始めます。
Bが固定されているため、ばねS₂の右端も固定されているとみなせます。したがって、Aは左端が固定されたばねS₁と、右端が固定されたばねS₂の間にあります。Aが元のつり合い位置(\(x=0\)、S₁とS₂が自然長のときのAの位置)から変位すると、S₁とS₂の両方から復元力を受けます。このときのAの実効的なばね定数を求め、それを用いて単振動の周期を計算します。
振幅は与えられた変位の大きさ \(d\) です。振動中心はAの元のつり合い位置 \(x=0\) です。Aが振動中心を通るときの速さは、単振動のエネルギー保存則、または \(v_{\text{max}} = (\text{振幅}) \times (\text{角振動数})\) の関係から求めます。

この設問における重要なポイント

  • Bは固定されているため、ばねS₂の右端は動きません。
  • Aは、左のばねS₁と右のばねS₂によって力を受けます。Aが \(x\) だけ変位すると、S₁は \(x\) だけ伸び(または縮み)、S₂も \(x\) だけ縮む(または伸びる)ため、両方のばねが同じ向きに復元力を及ぼします。
  • Aに対する実効的なばね定数は、2つのばねのばね定数の和 \(k+k=2k\) となります(ばねの並列接続に相当)。
  • 振動中心は \(x=0\) です。振幅は与えられた変位 \(d\) です。

具体的な解説と立式
Bが初めの位置に固定されているため、ばねS₂の右端は動きません。おもりAを元のつり合いの位置 \(x=0\) から右向きに \(x\) だけ変位させたとします。
ばねS₁は \(x\) だけ伸びるので、Aを左向きに \(kx\) の力で引きます。
ばねS₂は \(x\) だけ縮むので、Aを左向きに \(kx\) の力で押します。
したがって、Aに働く合力 \(F_A\)(復元力、左向きなので負)は、
$$F_A = -kx – kx = -(2k)x$$
この式は \(F_A = -K_{\text{実効}}x\) の形をしており、Aに対する実効的なばね定数 \(K_{\text{実効}} = 2k\) であることがわかります。
よって、Aは \(x=0\) を振動中心として、実効的なばね定数 \(2k\) のもとで単振動をします。
この単振動の角振動数を \(\omega_A\)、周期を \(T_A\) とすると、
$$\omega_A = \sqrt{\frac{K_{\text{実効}}}{m}} = \sqrt{\frac{2k}{m}}$$
周期 \(T_A\) は、
$$T_A = \frac{2\pi}{\omega_A} \quad \cdots ③$$
Aに大きさ \(d\) の変位を与えて静かに放すので、この単振動の振幅は \(A_0 = d\) です。
Aが初めの位置 (\(x=0\)、振動中心) を通るときの速さを \(v_{\text{max}}\) とすると、これは単振動の最大速度に相当します。単振動のエネルギー保存則より、振動の端での弾性エネルギーが振動中心での運動エネルギーに等しくなります。
$$\frac{1}{2}K_{\text{実効}}A_0^2 = \frac{1}{2}mv_{\text{max}}^2 \quad \cdots ④$$

使用した物理公式

  • フックの法則
  • 単振動の復元力と実効的なばね定数 (\(K_{\text{実効}} = k_1 + k_2\) の形)
  • 単振動の周期・角振動数: \(T = 2\pi/\omega\), \(\omega = \sqrt{K_{\text{実効}}/m}\)
  • 単振動のエネルギー保存則: \(\frac{1}{2}K_{\text{実効}}A^2 = \frac{1}{2}mv_{\text{max}}^2\) (端と中心の比較)
  • または最大速度の公式: \(v_{\text{max}} = A\omega\)
計算過程

周期 \(T_A\) の計算:
式③に \(\omega_A = \sqrt{\frac{2k}{m}}\) を代入します。
$$T_A = \frac{2\pi}{\sqrt{2k/m}} = 2\pi\sqrt{\frac{m}{2k}}$$

速さ \(v_{\text{max}}\) の計算:
\(K_{\text{実効}} = 2k\) と振幅 \(A_0 = d\) を式④に代入します。
$$\frac{1}{2}(2k)d^2 = \frac{1}{2}mv_{\text{max}}^2$$
両辺の \(\frac{1}{2}\) を消去すると、
$$2kd^2 = mv_{\text{max}}^2$$
$$v_{\text{max}}^2 = \frac{2kd^2}{m}$$
速さ \(v_{\text{max}}\) は正なので、
$$v_{\text{max}} = d\sqrt{\frac{2k}{m}}$$
(別解として、\(v_{\text{max}} = A_0 \omega_A = d \cdot \sqrt{\frac{2k}{m}}\) からも同じ結果が得られます。)

計算方法の平易な説明

物体Bが固定されていると、おもりAは左右の2つのばね(S₁とS₂)に挟まれたような状態で振動します。Aを少し動かすと、両方のばねがAを元の位置(つり合いの位置)に戻そうとするように働きます。このため、Aにとっては、ばねが2倍の強さ(実効的なばね定数が \(2k\))になったのと同じように感じられます。
この「強くなったばね」で振動するので、1往復にかかる時間(周期)は、通常の1つのばねの場合とは異なります。公式を使って計算します。
Aを \(d\) だけずらして手を放すので、この \(d\) が振動の幅(振幅)になります。Aが振動の中心(元のつり合いの位置 \(x=0\))を通過するときに速さが最も大きくなります。この最大の速さは、振動の端で持っていた「ばねのエネルギー」が、振動の中心ではすべて「運動のエネルギー」に変わったとして、エネルギー保存の法則から計算できます。

結論と吟味

Aの振動の周期は \(T_A = 2\pi\sqrt{\displaystyle\frac{m}{2k}}\) です。
Aが初めの位置 (\(x=0\)) を通るときの速さは \(v_{\text{max}} = d\sqrt{\displaystyle\frac{2k}{m}}\) です。
ばねが2つ並列に効いてくるため、実効的なばね定数が \(2k\) となり、周期は通常のばね1つの場合に比べて \(1/\sqrt{2}\) 倍に短縮されます。角振動数は \(\sqrt{2}\) 倍になるため、同じ振幅 \(d\) であれば最大速度も \(\sqrt{2}\) 倍になります。

解答 (2) 周期: \(2\pi\sqrt{\displaystyle\frac{m}{2k}}\), 速さ: \(d\sqrt{\displaystyle\frac{2k}{m}}\)

問(3)

思考の道筋とポイント
AとBの両方に外力を加えて、同じ向きに等しい大きさ \(d\) の変位を与えてから同時に静かに放します。
この場合、AとBは常に同じように運動する(つまり、AとBの相対的な位置関係が変わらない)と推測されます。もしそうであれば、AとBの間にあるばねS₂は、常に自然長のまま変化しないことになります。
この仮定が正しければ、ばねS₂はAにもBにも力を及ぼさず、Aの運動は左のばねS₁のみによって決まり、Bの運動は右のばねS₃のみによって決まることになります。AとBの質量は等しく (\(m\))、S₁とS₃のばね定数も等しい(ともに \(k\))ため、AとBはそれぞれ独立に同じ単振動をすると考えられます。

この設問における重要なポイント

  • AとBが同じ向きに同じだけ変位して放されるため、運動の対称性から、AとBはその後も同じように運動し続けると推測されます。
  • もしAとBが同じように運動するならば、AとBの間の距離は常に一定に保たれ、中間のばねS₂は自然長のまま変化しません。
  • したがって、ばねS₂はAおよびBに力を及ぼさず、Aの運動は左のばねS₁のみに、Bの運動は右のばねS₃のみに支配されると考えられます。
  • 結果として、A(またはB)は、片端が固定されたばね定数 \(k\) のばねにつながれた質量 \(m\) の物体として単振動します。

具体的な解説と立式
AとBの両方に、同じ向き(例えば右向き)に等しい大きさ \(d\) の変位を与えて同時に静かに放します。
初期状態では全てのばねは自然長であり、AとBの間のばねS₂も自然長です。
ここで、AとBがその後も常に同じ変位 \(x(t)\) を保ったまま運動すると仮定します。つまり、AとBの相対位置は変わらないということです。この仮定が成り立つならば、AとBの間にあるばねS₂の長さは常に自然長のままなので、S₂からの弾性力はAにもBにも働きません。
この仮定のもとでは、物体Aは、左端が壁に固定されたばねS₁(ばね定数 \(k\))のみによって運動します。Aの元のつり合い位置(\(x=0\))からの変位を \(x\) とすると、ばねS₁からの復元力は \(-kx\) です。
同様に、物体Bは、右端が壁に固定されたばねS₃(ばね定数 \(k\))のみによって運動します。Bの元のつり合い位置からの変位も \(x\) なので、ばねS₃からの復元力は \(-kx\) です。
AとBの質量はともに \(m\) であり、それぞれが受ける復元力の形も同じ (\(-kx\)) なので、AとBは全く同じ単振動をします。この結果、AとBの相対距離は常に変わらず、ばねS₂が伸び縮みすることはないという最初の仮定は正当化されます。

よって、物体A(および物体B)は、実効的なばね定数が \(k\)、質量が \(m\) の単振動を行います。
この単振動の角振動数を \(\omega_B\)、周期を \(T_B\) とすると、
$$\omega_B = \sqrt{\frac{k}{m}}$$
周期 \(T_B\) は、
$$T_B = \frac{2\pi}{\omega_B} \quad \cdots ⑤$$

使用した物理公式

  • 単振動の周期・角振動数: \(T = 2\pi/\omega\), \(\omega = \sqrt{K_{\text{実効}}/m}\)
  • 対称性からの運動の推測
計算過程

式⑤に \(\omega_B = \sqrt{\frac{k}{m}}\) を代入して、Aの振動の周期 \(T_B\) を求めます。
$$T_B = \frac{2\pi}{\sqrt{k/m}} = 2\pi\sqrt{\frac{m}{k}}$$

計算方法の平易な説明

物体AとBを同じ方向に同じだけずらして同時に手を放すと、2つの物体はその後もずっと同じように動き続けると考えられます(まるでシンクロしているかのように)。そうすると、AとBの間にある真ん中のばねS₂は、常に自然の長さを保ったままになり、伸びも縮みもしないので、AにもBにも力を及ぼしません。
この結果、Aの動きは左側のばねS₁だけで決まり、Bの動きは右側のばねS₃だけで決まることになります。AもBも質量は同じで、S₁とS₃も同じ強さのばねなので、A(とB)はそれぞれ、1つのばねにつながれたごく普通の単振動をします。その周期を計算します。

結論と吟味

Aの振動の周期は \(T_B = 2\pi\sqrt{\displaystyle\frac{m}{k}}\) です。
これは、質量 \(m\) の物体がばね定数 \(k\) の1つのばねで単振動するときの標準的な周期の公式と同じです。AとBを同じように動かしたことで、中間のばねS₂が実質的に機能しなくなった(力を及ぼさなくなった)と解釈できます。

解答 (3) \(2\pi\sqrt{\displaystyle\frac{m}{k}}\)

問(4)

思考の道筋とポイント
AとBの両方に外力を加えて、互いに逆向きに等しい大きさ \(d\) の変位を静かに与えます。

(ア) 外力がした仕事の和
「静かに与える」とあるので、外力がした仕事の和は、系の弾性エネルギーの増加分に等しいと考えられます。初期状態では全てのばねは自然長なので、初期の弾性エネルギーは0です。最終状態で各ばねがどれだけ伸び縮みしているかを考え、それぞれの弾性エネルギーを計算し、その合計が求める仕事となります。

(イ) Aの振動の周期
両球を同時に静かに放すと、系の対称性から、AとBは対称的な運動(互いに逆向きに同じ速さで動き、同じ振幅で振動する)をすると考えられます。このとき、AとBのちょうど真ん中の点(初期状態でのS₂の中点)は常に動かないとみなすことができます。
この「動かない中点」を固定点として考えると、物体Aは、左のばねS₁と、ばねS₂の左半分に接続されて振動するように見えます。ばねの長さが半分になるとばね定数は2倍になるという性質を利用するか、あるいは直接Aに働く力を考え、復元力の形から実効的なばね定数を求めます。

この設問における重要なポイント

  • (ア) 「静かに与える」なので、外力の仕事の和 = 系の弾性エネルギーの増加分。
  • AとBを互いに逆向きに \(d\) ずつ変位させるため、ばねS₁は \(d\) 変位、S₃は \(d\) 変位、そして中間のS₂は \(2d\) 変位します。
  • (イ) AとBの運動の対称性により、中間のばねS₂の中点は動きません。
  • Aの運動は、左のばねS₁と、実質的にばね定数が \(2k\) となったS₂の半分が並列に作用しているとみなせます。したがって、Aに対する実効的なばね定数は \(k + 2k = 3k\) となります。
  • あるいは、Aに働く力を直接計算し、復元力の形から実効的なばね定数を求めます。

具体的な解説と立式
(ア) 外力がした仕事の和 \(W_{\text{外}}\)
初期状態では、全てのばねは自然長であり、系の弾性エネルギーは0です。
AとBに外力を加えて、互いに逆向きに等しい大きさ \(d\) の変位を静かに与えた後の状態を考えます。例えば、Aを右に \(d\) だけ、Bを左に \(d\) だけ変位させたとします。(どちら向きでも弾性エネルギーは変位の2乗に比例するため結果は同じです。)

  • ばねS₁: Aが \(d\) 変位するので、S₁の伸び(または縮み)は \(d\)。弾性エネルギーは \(\frac{1}{2}kd^2\)。
  • ばねS₂: AとBが互いに逆方向に \(d\) ずつ動くので、AとBの間隔は \(2d\) だけ変化します。S₂の伸び(または縮み)は \(2d\)。弾性エネルギーは \(\frac{1}{2}k(2d)^2\)。
  • ばねS₃: Bが \(d\) 変位するので、S₃の伸び(または縮み)は \(d\)。弾性エネルギーは \(\frac{1}{2}kd^2\)。

外力がした仕事の和 \(W_{\text{外}}\) は、これらの弾性エネルギーの増加分の合計に等しいです。
$$W_{\text{外}} = \frac{1}{2}kd^2 + \frac{1}{2}k(2d)^2 + \frac{1}{2}kd^2 \quad \cdots ⑥$$

(イ) Aの振動の周期 \(T_C\)
AとBを互いに逆向きに \(d\) ずつ変位させた状態から同時に静かに放すと、AとBは対称的な運動をします。このため、AとBの間にあるばねS₂の中点は常に動きません。
物体Aが元のつり合い位置から右に \(x\) だけ変位したとき、対称性からBは同時に左に \(x\) だけ変位します。
このとき、

  • ばねS₁は \(x\) だけ伸び、Aを左向きに \(kx\) の力で引きます。
  • ばねS₂は、Aが右に \(x\)、Bが左に \(x\) 動くので、S₂の全長は \(2x\) だけ伸びます。したがって、S₂はAを左向きに \(k(2x)\) の力で引きます。

よって、Aに働く合力 \(F_A\)(復元力、左向きなので負)は、
$$F_A = -kx – k(2x) = -3kx$$
この式は \(F_A = -K_{\text{実効}}x\) の形をしており、Aに対する実効的なばね定数 \(K_{\text{実効}} = 3k\) であることがわかります。
Aの質量は \(m\) なので、この単振動の角振動数を \(\omega_C\)、周期を \(T_C\) とすると、
$$\omega_C = \sqrt{\frac{K_{\text{実効}}}{m}} = \sqrt{\frac{3k}{m}}$$
周期 \(T_C\) は、
$$T_C = \frac{2\pi}{\omega_C} \quad \cdots ⑦$$

使用した物理公式

  • 弾性エネルギー: \(U_s = \frac{1}{2}k(\text{変位})^2\)
  • 仕事とエネルギーの関係: \(W_{\text{外力}} = \Delta U_{\text{弾性}}\)
  • フックの法則
  • 単振動の周期・角振動数
  • 対称性の利用、合成ばね定数の考え方
計算過程

(ア) 外力がした仕事の和 \(W_{\text{外}}\) の計算:
式⑥を計算します。
$$W_{\text{外}} = \frac{1}{2}kd^2 + \frac{1}{2}k(4d^2) + \frac{1}{2}kd^2$$
$$W_{\text{外}} = \frac{1}{2}kd^2 + 2kd^2 + \frac{1}{2}kd^2$$
$$W_{\text{外}} = \left(\frac{1}{2} + 2 + \frac{1}{2}\right)kd^2 = (1 + 2)kd^2 = 3kd^2$$

(イ) Aの振動の周期 \(T_C\) の計算:
式⑦に \(\omega_C = \sqrt{\frac{3k}{m}}\) を代入します。
$$T_C = \frac{2\pi}{\sqrt{3k/m}} = 2\pi\sqrt{\frac{m}{3k}}$$

計算方法の平易な説明

(ア) 外力がした仕事の和:
物体AとBを、互いに反対方向にそれぞれ \(d\) だけゆっくりと動かすとき、外力が仕事をしてばねにエネルギーを蓄えます。このときにした仕事の合計は、3つのばねそれぞれに蓄えられた「弾性エネルギー」の合計に等しくなります。
左のばねS₁と右のばねS₃は、それぞれ \(d\) だけ伸びる(または縮む)ので、それぞれ \(\frac{1}{2}kd^2\) のエネルギーを持ちます。
真ん中のばねS₂は、AとBが反対方向に \(d\) ずつ動くため、合計で \(2d\) だけ伸びる(または縮む)ことになります。そのため、S₂には \(\frac{1}{2}k(2d)^2\) のエネルギーが蓄えられます。
これら3つのエネルギーを合計したものが、外力がした仕事の和です。

(イ) Aの振動の周期:
物体AとBを互いに反対方向に同じだけずらして同時に手を放すと、2つの物体はその後もずっと鏡に映したように対称的に動き続けると考えられます。このため、AとBの間にある真ん中のばねS₂は、その中心点が動かないまま伸び縮みします。
Aの運動を考えるとき、Aは左側のばねS₁から力を受け、さらに真ん中のばねS₂からも力を受けます(S₂の変形はAとBの相対変位 \(2x\) に対応)。これらの力を合わせると、Aにはたらく復元力は、あたかもばね定数が \(3k\) の単一のばねにつながれているかのように振る舞います。この実効的なばね定数を使って、Aの振動の周期を計算します。

結論と吟味

(ア) 外力がした仕事の和は \(3kd^2\) です。
(イ) Aの振動の周期は \(T_C = 2\pi\sqrt{\displaystyle\frac{m}{3k}}\) です。
(ア)の仕事は、各ばねの変形エネルギーの和として妥当です。
(イ)の周期は、実効的なばね定数が \(3k\) となった場合の質量 \(m\) の単振動の周期であり、結果は妥当です。問(2)では実効 \(2k\) で周期 \(2\pi\sqrt{m/(2k)}\)、問(3)では実効 \(k\) で周期 \(2\pi\sqrt{m/k}\) であったことと比較すると、実効的なばね定数が大きくなるほど周期が短くなるという一般的な傾向と一致しています。

解答 (4) (ア) \(3kd^2\), (イ) \(2\pi\sqrt{\displaystyle\frac{m}{3k}}\)

【総まとめ】この一問を未来の得点力へ!完全マスター講座

最重要ポイント:この問題の核心となる物理法則は?

  • 力のつり合いとフックの法則: 静止状態や単振動の振動中心を決定する上で基本となります。ばねの弾性力 \(F=-kx\) を正しく扱うことが重要です。
  • 運動方程式と単振動: 物体に働く合力から運動方程式を立て、それが \(F=-Kx’\) (\(K\)は実効的なばね定数、\(x’\)は振動中心からの変位)の形になるかを確認することで単振動であると判断し、その \(K\) と質量から周期や角振動数を導きます。
  • 合成ばね定数: 複数のばねが関わる場合、それらを一つのばねとみなしたときの実効的なばね定数を考えることが有効です。本問では、(問2)で並列ばねに近い状況、(問4イ)では対称性から実効的なばね定数が \(3k\) となる状況が現れました。
  • 仕事とエネルギーの関係: 外力がした仕事は、系のエネルギー変化に等しいという関係が用いられました(特に問1、問4ア)。静かに変位させる場合は、運動エネルギーの変化を考慮せず、ポテンシャルエネルギー(弾性エネルギー)の変化のみを考えます。
  • 対称性の利用: (問3)や(問4)のように、系の物理的配置や初期条件に対称性がある場合、運動も対称的になることがあり、解析を大幅に簡略化できることがあります。

応用テクニック:似た問題が出たらココを見る!解法の鍵と着眼点

  • この問題の考え方が応用できる類似問題のパターン:
    • 複数のばねや物体が直線状または平面上で連結された振動系。
    • 電気振動回路(LC回路)とのアナロジー(インダクタンスが質量、コンデンサ容量の逆数がばね定数に相当する関係)。
    • 分子の格子振動など、微小振動を単振動として近似するモデル。
  • 初見の問題でどこに着目すればよいか:
    1. 系の構成要素と接続関係の把握: いくつの物体があり、それらが何(ばね、糸など)でどのように繋がっているか(直列か並列か、固定端か自由端かなど)を正確に図から読み取ります。
    2. 力の図示とつり合い位置(振動中心)の特定: 各物体に働く力を丁寧に図示し、まず系全体または各部分が静止できる力のつり合いの位置(これが単振動の振動中心となることが多い)を見つけます。
    3. 対称性の有無の確認と活用: 質量の配置、ばね定数、初期条件などに対称性があれば、それを利用して運動の様子を推測したり、計算を簡略化したりできないか検討します(例:不動点の出現、同位相/逆位相振動など)。
    4. 実効的なパラメータ(合成ばね定数、換算質量など)の導入: 複数のばねがある場合、それらを一つの実効的なばねとみなせるか、あるいは複数の物体が連成している場合に換算質量のような考え方が使えないかを検討し、単一の単振動の問題に帰着できないか試みます。
  • 問題解決のヒントや特に注意すべき点:
    • ばねの「自然長からの変位」と、設定した「座標」を明確に区別し、弾性力の計算を間違えないようにします。
    • 複数の物体がある場合、各物体について個別に運動方程式を立てるのが基本ですが、時には系全体で考えたり、対称性を利用したりすると見通しが良くなることがあります。
    • 「静かに」変位させる、放す、といった言葉は、初速度0や力のつり合いを示唆することが多いので、注意深く読み取ります。

要注意!ありがちなミス・誤解とその対策

  • ばねの変位の誤認、特に複数のばねが絡む場合:
    • ありがちな誤解: 各ばねの伸び・縮みを、全体の変位や他の物体の変位と混同してしまう。特に中間のばねの変位は、両端の物体の相対的な位置変化で決まることに注意が必要です。
    • 対策: 各ばねの両端がどの点に接続されているかを常に意識し、それぞれの自然長を基準とした変位を個別に丁寧に計算します。図を描いて視覚的に確認することが有効です。
  • 合成ばね定数の誤用または計算ミス:
    • ありがちな誤解: ばねの並列接続と直列接続の区別を間違える、あるいは適用できない状況で無理に使おうとする。
    • 対策: 並列接続は「同じ変位に対して力が加算される(変位が共通で力が分配される)」、直列接続は「同じ力に対して変位が加算される(力が共通で変位が分配される)」という基本を理解します。(問2)や(問4イ)の状況がどちらに類似するかを正しく判断します。
  • 対称性の見落としまたは不適切な適用による計算の複雑化:
    • ありがちな誤解: 対称性に気づかずに複雑な連立方程式を解こうとする、あるいは対称性を過度に単純化して誤った仮定をしてしまう。
    • 対策: 図をよく観察し、質量の配置、ばねの配置、初期条件などに対称性がないか探します。対称性がある場合、運動がどのように単純化されるか(例:不動点の出現、同調した運動、逆対称な運動)を考察し、それに基づいて変数を減らしたり、運動を分解したりします。
  • 単振動の振動中心の誤り:
    • ありがちな誤解: 安易に座標の原点やばねの自然長の位置を振動中心としてしまう。
    • 対策: 必ず、振動する物体(または系)に働く力のつり合いの位置を計算し、そこを振動中心として扱います。外力が加わったり、系の構成が変わったりすれば、振動中心も変化する可能性があります。

物理の眼を養う:現象のイメージ化と図解の極意

  • この問題における物理現象の具体的なイメージ化:
    • 3つのばねに挟まれた2つの球が、条件によってどのように連動して振動するか、あるいは独立に振動するかを想像します。(問1)では片方を引っ張るともう片方も動き、(問2)では片方が固定されもう片方だけが振動、(問3)では両方が同じように動き、(問4)では両方が逆向きに動きます。これらの違いが運動にどう影響するかをイメージします。
    • (問4)で逆向きに放したとき、中央のばねS₂が最も激しく伸縮し、両端のばねS₁とS₃はそれに合わせて伸縮するが、全体の運動は対称的になる様子。対称性から真ん中の点が動かない(節になる)というイメージは重要です。
  • 図示の重要性:
    • 各物体に働く力をベクトルで正確に図示することが、運動方程式や力のつり合いの式を正しく立てるための大前提です。特に、各ばねが物体を引くか押すか、その向きを間違えないようにします。
    • ばねの自然長、各物体の変位、ばねの伸び・縮みを明確に図示することで、混乱を防ぎ、立式の助けになります。
    • (問4イ)の別解のように、対称性から不動点を見つけ、それを固定端とみなした等価な系(より単純な系)を図示できると、問題の本質的な理解が深まります。
  • 図を描く際の注意点:
    • 座標軸の原点と正の向きを明確に定めます。これにより、変位や力の符号が一貫します。
    • 各ばねの自然長の状態を基準として、現在の伸びや縮みを正しく表現します(例えば、\(x_A – x_B – L_0\) のように)。
    • 力の矢印は、向きだけでなく、どの物体からどの物体へ働いているのか、あるいはどのばねによる力なのかを明確に区別します。

なぜその公式?論理的な公式選択と適用の思考法

  • 力のつり合い (\(\sum F=0\)):
    • 選定理由(問1): 「静かに変位させる」という記述から、最終状態では物体AとBがそれぞれ力のつり合いの状態にあると判断し適用しました。
  • 運動方程式 (\(ma=F\)) と単振動の判定 (\(F=-Kx\)):
    • 選定理由(問2, 問4イ): 物体が振動運動をする際に、その運動が単振動であるかを確認し、実効的なばね定数 \(K\) を求めるために、まず運動方程式を立て、それが復元力の形 \(F=-Kx\) になるかを確認しました。
  • 単振動の周期の公式 (\(T=2\pi\sqrt{m/K}\)):
    • 選定理由(問2, 問3, 問4イ): 運動が単振動であると確認(または仮定)できた後、その周期を求めるために、物体の質量 \(m\) と実効的なばね定数 \(K\) を用いてこの公式を適用しました。
  • 弾性エネルギーの公式 (\(U_s = \frac{1}{2}kx^2\)) と仕事とエネルギーの関係:
    • 選定理由(問4ア): 外力が「静かに」仕事をする場合、その仕事は系のポテンシャルエネルギー(ここでは弾性エネルギー)の増加に等しいという関係を用いるために適用しました。\(x\) は自然長からの変位です。
    • 選定理由(問2の速さ計算): 単振動の端での弾性エネルギーが、振動中心での運動エネルギーに変換されるというエネルギー保存則の考え方を適用しました。
  • 各物理公式が成り立つための「前提条件」(例:フックの法則は弾性限界内、単振動は復元力が変位に比例する場合など)を常に意識することが、公式の誤用を防ぎ、物理現象のより深い理解につながります。

思考を整理する:立式から計算までのロジカルフロー

  1. 系の設定と変数の定義の確認: 各物体の質量、ばね定数、変位を表す文字などを明確にし、座標軸の取り方(原点、正の向き)も確認します。
  2. 各物体への力の分析と図示: 状況に応じて、各物体に働く力を全てリストアップし、向きを考慮しながらベクトルとして図示します。特にばねの力の向きと大きさに注意します。
  3. 適用する物理法則の選択: 状況(静止、運動、衝突、単振動など)と問いの内容に応じて、力のつり合い、運動方程式、エネルギー保存則、単振動の公式、仕事とエネルギーの関係など、最適な物理法則を選択します。
  4. 丁寧な立式: 選択した法則に従って、具体的な数式を立てます。未知数と既知数を整理し、符号や変数の定義に一貫性を持たせます。
  5. 正確な計算と求解: 立てた代数方程式や連立方程式を、計算ミスに注意しながら正確に解き、求める物理量を導出します。
  6. 結果の物理的な吟味と検証: 得られた答えが物理的に妥当か(単位は正しいか、符号は状況に合っているか、極端な条件下で予想される振る舞いと一致するかなど)を必ず検討し、検証します。

計算ミスをなくす!日頃の意識と実践テクニック

  • 今回の計算過程で特に注意すべきだった点:
    • 複数のばねの変位の計算: 特に中間のばねS₂の伸び(または縮み)は、両端に接続された物体AとBの変位の差(または和、状況による)で決まるため、混同しやすいポイントです。
    • 符号のミス: 力の向き、変位の向きを座標軸の正方向と照らし合わせて正確に符号を決定することが不可欠です。特に復元力は変位と逆符号になります。
    • 合成ばね定数の計算: 並列か直列か、あるいはそれ以外の特殊な状況(問4イの対称性利用など)かを正しく判断し、実効的なばね定数を計算する際のミス。
    • 文字が多く複雑な代数計算: \(m, k, d\) など複数の文字定数を含む式の整理や連立方程式の求解には注意が必要です。
  • 日頃から計算練習で意識すべきこと・実践テクニック:
    • 図を丁寧に描き、各部分の変位や力の関係を視覚的に確認する: 図は思考の助けとなり、立式の誤りを減らします。
    • 文字が多く複雑な場合は、一度に計算しようとせず、段階的に整理しながら進める: 例えば、まず各ばねの変位を文字で表し、次に各力を表し、それから運動方程式を立てる、といったステップを踏みます。
    • 可能であれば、対称性を利用して計算を簡略化する視点を持つ: (問3)や(問4イ)のように、対称性を見抜ければ大幅に計算が楽になることがあります。
    • 求めた結果を元の運動方程式やエネルギーの式に代入して検算する習慣をつける: 時間が許せば、自己チェックとして有効です。

解きっぱなしはNG!解答の妥当性を吟味する習慣をつけよう

  • 得られた答えが物理的に妥当かどうかを検討する視点の重要性:
    • 計算ミスや立式の誤りを発見する強力な手段となります。
    • 物理法則が現象をどのように記述しているかについての理解を深め、直感を養います。
    • 単に答えを出すだけでなく、「なぜこの結果になるのか」を考えることで、論理的思考力や応用力が向上します。
  • 「解の吟味」を通じて具体的に何ができるか:
    • 特殊なケースや極端な値を代入してみる: 例えば、もし中央のばねS₂がなかったら(\(k \to 0\) とするか、あるいは取り除く)各問いの答えはどうなるか? もし全てのばねが非常に硬かったら(\(k \to \infty\))? 質量が非常に小さかったら(\(m \to 0\))? これらの極端な場合を考えて、結果が物理的に予想される振る舞いや、より単純な既知のケースに帰着するかどうかを確認します。
    • 単位(次元)の一貫性の確認: 最終的な答えの単位が、求められている物理量の単位と一致しているか、また、式を構成する各項の単位の整合性が取れているかを確認します。
    • 他の問いとの比較や整合性の確認: 例えば、(問2)、(問3)、(問4イ)で求められたAの振動の周期が、それぞれ異なる物理的状況(異なる実効的ばね定数)を反映してどのように変化しているか、その理由を物理的に説明できるか、などを考えます。
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問題38 (山口大)

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