問題37 (早稲田大)
【問題の確認】まずは問題文をしっかり読み解こう
この問題は、3つの同じばねと質量が等しい2つの球A、Bが直線状に連結され、摩擦のない水平面上に置かれた系の運動を扱います。ばねの両端は固定されており、初めは全てのばねが自然長である状態から、様々な条件で変位させたり、振動させたりします。複数のばねが絡むため、力のつり合いや実効的なばね定数の考え方、そして系の対称性がポイントとなります。
- 物体A, Bの質量: ともに \(m\)
- ばね定数: 3個のばねすべて同じで \(k\)
- 面: 摩擦のない水平面
- 初期状態: 全てのばねは自然の長さ。
- (1) Bに外力を加えて右に \(d\) だけ静かに変位させたときの、Aの右への変位と、Bに加えている外力の大きさ。
- (2) Bを初めの位置に固定したまま、Aに外力を加えて大きさ \(d\) の変位を与えてから静かに放したときの、Aの振動の周期と、Aが初めの位置を通るときの速さ。
- (3) AとBの両方に外力を加えて、同じ向きに等しい大きさ \(d\) の変位を与えてから同時に静かに放したときの、Aの振動の周期。
- (4) AとBの両方に外力を加えて、互いに逆向きに等しい大きさ \(d\) の変位を静かに与える場合:
- (ア) このとき、外力がした仕事の和。
- (イ) 次に、両球を同時に静かに放したときの、Aの振動の周期。
【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド
本解説は、模範解答で採用されている解法を主たる解説としつつ、以下の別解を提示します。
- 提示する別解
- 問(3)および問(4)(イ)の別解: 連立運動方程式を用いる解法
- 主たる解法が系の「対称性」から直感的に運動の様子を推測するのに対し、別解ではAとBそれぞれの運動方程式を連立させ、数学的に厳密に解くことで運動を解析します。このアプローチは、より一般的で複雑な連成振動の問題にも通じる基礎的な考え方です。
- 問(3)および問(4)(イ)の別解: 連立運動方程式を用いる解法
- 上記の別解が有益である理由
- 物理モデルの深化: 2つの物体がばねで繋がれた「連成振動」という物理モデルを、運動方程式という基本法則から直接扱うことで、重心運動と相対運動という2つの独立した運動モードに分解できるという、より深い物理的構造への理解が促されます。
- 解法の汎用性: 対称性が利用できない非対称な問題に対しても適用できる、より汎用性の高い解法を学ぶことができます。直感的な解法と数学的な解法の両方を身につけることで、問題解決能力が向上します。
- 結果への影響
- いずれのアプローチを用いても、計算過程や思考の出発点が異なるだけで、最終的に得られる答えは模範解答と完全に一致します。
この問題のテーマは「連結されたばね振り子系における力のつり合いと単振動」です。3つのばねと2つの物体が関わるため、それぞれの物体に働く力を正確に把握し、力のつり合いや運動方程式を立てることが基本となります。また、系の対称性や、複数のばねが組み合わさったときの「合成ばね定数」の考え方も有効です。
問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。
- フックの法則と力のつり合い: ばねの弾性力は自然長からの変位に比例します。物体が静止している、またはゆっくり動く場合、物体に働く力のベクトル和はゼロになります。
- 単振動: 運動方程式が \(F=-Kx\) の形で表される運動です。振動中心、振幅、周期、角振動数の関係を理解していることが重要です。
- 合成ばね定数: 複数のばねが1つの物体に作用する場合、それらを1つのばねと見なしたときの「実効的なばね定数」を考えることで、問題を単純化できます。
- 仕事とエネルギーの関係: 外力がした仕事は、系のポテンシャルエネルギーの変化に等しいという関係(準静的な操作の場合)や、単振動における力学的エネルギー保存則を扱います。
基本的なアプローチは以下の通りです。
- 問(1)では、2つの物体それぞれについて、力のつり合いの式を立てて連立方程式を解きます。
- 問(2)では、物体Aに作用する2つのばねを合成し、実効的なばね定数を求めて単振動の周期を計算します。速さはエネルギー保存則から求めます。
- 問(3)と問(4)では、系の対称性を利用して運動の様子を推測し、問題を単純化して解きます。
問(1)
思考の道筋とポイント
物体Bを右に \(d\) だけ「静かに」変位させるため、最終状態で物体AとBは力のつり合いを保っています。物体Aの右への変位を \(x_A\) とおき、物体Aと物体Bそれぞれに働く水平方向の力のつり合いの式を立てます。各ばねの自然長からの伸びまたは縮みを正確に把握することが重要です。
この設問における重要なポイント
- 「静かに変位させる」とは、最終状態で力がつり合っていることを意味します。
- 各ばねの「自然長からの」伸びまたは縮みを正確に計算します。
- 物体Aと物体Bそれぞれについて、水平方向の力のつり合いを考えます。
具体的な解説と立式
3つのばねを左からS₁, S₂, S₃とします。Bを右に \(d\) だけ変位させ、このときAも右に \(x_A\) だけ変位したとします。右向きを正とします。
- ばねS₁: \(x_A\) だけ伸びるので、Aを左向きに \(kx_A\) の力で引きます。
- ばねS₂: 伸びは \((d – x_A)\) なので、Aを右向きに \(k(d-x_A)\) の力で引き、Bを左向きに \(k(d-x_A)\) の力で引きます。
- ばねS₃: \(d\) だけ縮むので、Bを左向きに \(kd\) の力で押します。
物体Aについての力のつり合いの式は、
(右向きの力)=(左向きの力)
$$
\begin{aligned}
k(d-x_A) &= kx_A \quad \cdots ①
\end{aligned}
$$
物体Bに加えている外力の大きさを \(F\) とすると、物体Bについての力のつり合いの式は、
(右向きの力)=(左向きの力)
$$
\begin{aligned}
F &= k(d-x_A) + kd \quad \cdots ②
\end{aligned}
$$
使用した物理公式
- 力のつり合い
- フックの法則: \(F = kx\)
まず、式①からAの変位 \(x_A\) を求めます。
$$
\begin{aligned}
kd – kx_A &= kx_A \\[2.0ex]
kd &= 2kx_A
\end{aligned}
$$
よって、
$$
\begin{aligned}
x_A &= \frac{d}{2}
\end{aligned}
$$
次に、この結果を式②に代入して外力 \(F\) を求めます。
$$
\begin{aligned}
F &= k\left(d-\frac{d}{2}\right) + kd \\[2.0ex]
&= k\left(\frac{d}{2}\right) + kd \\[2.0ex]
&= \frac{1}{2}kd + kd \\[2.0ex]
&= \frac{3}{2}kd
\end{aligned}
$$
Bを手でゆっくり右に引っ張ると、Aもつられて動きます。最終的に止まったとき、AもBも力が釣り合っています。
まずAの立場で考えると、左のばねに左へ引かれる力と、真ん中のばねに右へ引かれる力が同じ大きさになるはずです。この条件から、AがBの移動距離 \(d\) のちょうど半分の \(\frac{d}{2}\) だけ動くことがわかります。
次にBの立場で考えると、手で右に引く力は、真ん中のばねと右のばねがBを左へ押したり引いたりする力の合計と釣り合うはずです。Aの動きがわかったので、これらのばねの力を計算して足し合わせると、手の力(外力)の大きさが求まります。
Aは右に \(\displaystyle\frac{d}{2}\) だけ変位し、Bに加えている外力の大きさは \(\displaystyle\frac{3}{2}kd\) です。
Aの変位が \(\frac{d}{2}\) のとき、ばねS₁とS₂はともに \(\frac{d}{2}\) だけ伸びているため、Aに働く力はつり合っています。BにはS₂から左向きに \(k\frac{d}{2}\)、S₃から左向きに \(kd\) の力が働くため、合計で左向きに \(\frac{3}{2}kd\) の力が働きます。これとつり合う外力は右向きに \(\frac{3}{2}kd\) となり、結果は妥当です。
問(2)
思考の道筋とポイント
Bを初めの位置に固定すると、ばねS₂の右端も固定されます。この状態でAを \(d\) だけ変位させて放すと、Aは単振動を始めます。Aは左のばねS₁と右のばねS₂に挟まれており、両方から復元力を受けます。このときの合成ばね定数を求め、周期を計算します。速さは、振動の端での弾性エネルギーが振動中心での運動エネルギーに等しくなるというエネルギー保存則から求めます。
この設問における重要なポイント
- Bが固定されているため、Aは2つのばね(S₁とS₂)に挟まれて振動する。
- Aが変位 \(x\) だけ動くと、S₁とS₂の両方が復元力を及ぼすため、合成ばね定数は \(k+k=2k\) となる(並列接続)。
- 振動中心はAの元のつり合い位置 (\(x=0\))、振幅は与えられた変位 \(d\)。
具体的な解説と立式
Bが固定されている状態で、Aを元のつり合いの位置から右向きに \(x\) だけ変位させます。
- ばねS₁: \(x\) だけ伸びるので、Aを左向きに \(kx\) の力で引きます。
- ばねS₂: \(x\) だけ縮むので、Aを左向きに \(kx\) の力で押します。
Aに働く合力(復元力)\(F_A\) は、
$$
\begin{aligned}
F_A &= -kx – kx = -(2k)x
\end{aligned}
$$
これは \(F = -Kx\) の形なので、Aは合成ばね定数 \(K = 2k\) の単振動をします。
周期 \(T_1\) は、
$$
\begin{aligned}
T_1 &= 2\pi\sqrt{\frac{m}{K}} = 2\pi\sqrt{\frac{m}{2k}}
\end{aligned}
$$
Aを \(d\) だけ変位させて静かに放すので、振幅は \(A_0 = d\) です。
Aが振動中心 (\(x=0\)) を通るときの速さ(最大速度)を \(v_{\text{max}}\) とすると、エネルギー保存則より、
(振動の端での弾性エネルギー)=(振動中心での運動エネルギー)
$$
\begin{aligned}
\frac{1}{2}K A_0^2 &= \frac{1}{2}m v_{\text{max}}^2
\end{aligned}
$$
使用した物理公式
- 単振動の復元力: \(F=-Kx\)
- 合成ばね定数(並列): \(K = k_1+k_2\)
- 単振動の周期: \(T = 2\pi\sqrt{m/K}\)
- 単振動におけるエネルギー保存則
周期 \(T_1\) の計算は立式の段階で完了しています。
速さ \(v_{\text{max}}\) を計算します。\(K=2k\), \(A_0=d\) を代入して、
$$
\begin{aligned}
\frac{1}{2}(2k)d^2 &= \frac{1}{2}m v_{\text{max}}^2 \\[2.0ex]
2kd^2 &= m v_{\text{max}}^2 \\[2.0ex]
v_{\text{max}}^2 &= \frac{2kd^2}{m}
\end{aligned}
$$
よって、
$$
\begin{aligned}
v_{\text{max}} &= d\sqrt{\frac{2k}{m}}
\end{aligned}
$$
Bを動かないように固定すると、Aは左右のばねにサンドイッチされた状態になります。Aを少し右にずらすと、左のばねは「戻れ」と左に引き、右のばねも「戻れ」と左に押します。つまり、2つのばねが協力してAを元の位置に戻そうとするので、Aにとってはばねが2倍の強さ(ばね定数 \(2k\))になったのと同じです。
この「強くなったばね」で振動するので、周期は通常より短くなります。
また、最初に \(d\) だけずらしたときのばねのエネルギーが、振動の中心に来たときには全てAの運動エネルギーに変わります。このエネルギーの変換を式にすることで、中心での速さが計算できます。
Aの振動の周期は \(2\pi\sqrt{\displaystyle\frac{m}{2k}}\)、初めの位置を通るときの速さは \(d\sqrt{\displaystyle\frac{2k}{m}}\) です。ばねが2つ並列に作用するため、ばね定数が \(2k\) となり、周期はばね1つの場合に比べて \(\frac{1}{\sqrt{2}}\) 倍に短くなります。これは物理的に妥当な結果です。
問(3)
思考の道筋とポイント
AとBを同じ向きに同じ大きさ \(d\) だけ変位させて同時に放します。系の対称性から、AとBはその後も常に同じように運動する(シンクロして動く)と推測されます。そうであれば、AとBの間の距離は常に一定で、ばねS₂は伸び縮みしません。したがって、ばねS₂は力を及ぼさず、Aの運動はばねS₁のみによって決まります。
この設問における重要なポイント
- 運動の対称性から、AとBは同じ運動をすると考えられる。
- AとBの相対位置が変わらないため、中間のばねS₂は常に自然長のままで、力を及ぼさない。
- Aは、ばね定数 \(k\) のばねS₁につながれた質量 \(m\) の物体として、単独で単振動する。
具体的な解説と立式
AとBを同じ向きに \(d\) だけ変位させて放すと、その後の運動においても、対称性からAとBの変位は常に等しい、すなわち \(x_A(t) = x_B(t)\) と考えられます。
このとき、AとBの間のばねS₂の伸び縮みは \(x_B(t) – x_A(t) = 0\) となり、S₂は常に自然長のままです。したがって、S₂はAにもBにも力を及ぼしません。
この結果、物体Aの運動は、左のばねS₁のみに支配されます。Aの変位を \(x\) とすると、Aに働く復元力はS₁からのみで、\(F_A = -kx\) となります。
これは、ばね定数 \(k\)、質量 \(m\) の単振動であり、その周期 \(T_2\) は、
$$
\begin{aligned}
T_2 &= 2\pi\sqrt{\frac{m}{k}}
\end{aligned}
$$
使用した物理公式
- 単振動の周期: \(T = 2\pi\sqrt{m/K}\)
- 対称性の利用
上記の立式で計算は完了しています。
AとBを、まるで二人三脚のように、同じ方向に同じだけずらして同時に手を放すと、二人はその後もずっと同じ動きを続けます。このため、二人の間にある真ん中のばねは、全く伸び縮みする機会がなく、まるで存在しないかのように振る舞います。
その結果、Aの動きは左側のばねだけで決まり、ごく普通の単振動をします。その周期を求めればよいわけです。
Aの振動の周期は \(2\pi\sqrt{\displaystyle\frac{m}{k}}\) です。これは質量 \(m\) の物体がばね定数 \(k\) のばね1本で振動する場合の標準的な周期であり、中間のばねS₂が運動に関与しないという物理的描像と一致しています。
思考の道筋とポイント
対称性に気づかない場合でも、AとBそれぞれの運動方程式を立てて解くことで周期を求めることができます。これはより厳密で汎用的なアプローチです。連成振動を重心運動と相対運動に分離して考えます。
この設問における重要なポイント
- AとBそれぞれの運動方程式を正確に立式する。
- 運動方程式の和と差をとることで、重心運動と相対運動に分離する。
- 初期条件(\(x_A(0)=d, x_B(0)=d\))を適用して、運動のモードを特定する。
具体的な解説と立式
A, Bのつり合いの位置からの変位をそれぞれ \(x_A\), \(x_B\) とします。
Aの運動方程式は、
$$
\begin{aligned}
m\frac{d^2x_A}{dt^2} &= -kx_A + k(x_B – x_A) = -2kx_A + kx_B \quad \cdots ③
\end{aligned}
$$
Bの運動方程式は、
$$
\begin{aligned}
m\frac{d^2x_B}{dt^2} &= -k(x_B – x_A) – kx_B = kx_A – 2kx_B \quad \cdots ④
\end{aligned}
$$
ここで、2つの式の和と差を考えます。
③+④より、重心運動の式が得られます。
$$
\begin{aligned}
m\frac{d^2(x_A+x_B)}{dt^2} &= -k(x_A+x_B)
\end{aligned}
$$
③-④より、相対運動の式が得られます。
$$
\begin{aligned}
m\frac{d^2(x_A-x_B)}{dt^2} &= -3k(x_A-x_B)
\end{aligned}
$$
今回の初期条件は \(x_A(0)=d\), \(x_B(0)=d\) で、初速度はゼロです。
使用した物理公式
- 運動方程式: \(ma=F\)
- フックの法則: \(F=kx\)
初期条件を適用します。初期の相対座標は \(x_A(0)-x_B(0) = d-d = 0\) であり、相対速度もゼロです。
相対運動の式は、\(X_r = x_A-x_B\) とおくと \(m\ddot{X}_r = -3kX_r\) という単振動の式ですが、初期条件が \(X_r(0)=0, \dot{X}_r(0)=0\) なので、解は \(X_r(t)=0\) となります。
つまり、常に \(x_A(t) – x_B(t) = 0\)、すなわち \(x_A(t) = x_B(t)\) です。
この結果をAの運動方程式③に代入すると、
$$
\begin{aligned}
m\frac{d^2x_A}{dt^2} &= -2kx_A + kx_A = -kx_A
\end{aligned}
$$
これは、Aがばね定数 \(k\) の単振動をすることを示しています。したがって、周期は、
$$
\begin{aligned}
T_2 &= 2\pi\sqrt{\frac{m}{k}}
\end{aligned}
$$
対称性に気づかなくても、物理の基本である運動方程式から問題を解くことができます。A君とB君の動きをそれぞれ数式で表し、その2つの式をうまく組み合わせる(足したり引いたりする)と、全体の動き(重心の動き)と二人の間の距離の変化(相対的な動き)という、2つのシンプルな動きに分解できます。今回のスタート条件では、二人の間の距離は全く変化しないことがわかるので、結果的に真ん中のばねは関係なくなり、A君は左のばねだけで振動することが数学的にも示せます。
主たる解法と同じ結果が得られました。この解法は、連成振動が重心運動と相対運動という2つの独立したモードの重ね合わせで記述できることを示しており、より深い物理的理解につながります。
問(4)
思考の道筋とポイント
AとBを互いに逆向きに等しい大きさ \(d\) だけ変位させます。
(ア) 「静かに」変位させるので、外力がした仕事の和は、系の弾性エネルギーの増加分に等しくなります。各ばねの変位を計算し、エネルギーを合計します。
(イ) 同時に放すと、系の対称性からAとBは互いに逆向きの対称な運動をします。このとき、ばねS₂の中点は動きません。Aに働く力を考え、合成ばね定数を求めて周期を計算します。
この設問における重要なポイント
- (ア) 外力の仕事の和 = 系の弾性エネルギーの増加分。ばねS₂の変位は \(2d\) になることに注意。
- (イ) 運動の対称性から、ばねS₂の中点は不動点とみなせる。
- Aが変位 \(x\) のとき、Bは変位 \(-x\)。Aに働く復元力はS₁からとS₂からの力の和になる。
具体的な解説と立式
(ア) 外力がした仕事の和 \(W\)
Aを右に \(d\)、Bを左に \(-d\) だけ変位させたとします。
- ばねS₁: 伸びは \(d\)。エネルギーは \(\displaystyle\frac{1}{2}kd^2\)。
- ばねS₂: 伸びは \(d – (-d) = 2d\)。エネルギーは \(\displaystyle\frac{1}{2}k(2d)^2\)。
- ばねS₃: 縮みは \(d\)。エネルギーは \(\displaystyle\frac{1}{2}kd^2\)。
外力がした仕事の和 \(W\) は、これらの合計です。
$$
\begin{aligned}
W &= \frac{1}{2}kd^2 + \frac{1}{2}k(2d)^2 + \frac{1}{2}kd^2
\end{aligned}
$$
(イ) Aの振動の周期 \(T_3\)
AとBを放すと、対称性からAが変位 \(x\) のとき、Bは変位 \(-x\) となります。
このとき、Aに働く力を考えます。
- ばねS₁: 伸びは \(x\)。Aを左向きに \(kx\) の力で引きます。
- ばねS₂: 伸びは \(x – (-x) = 2x\)。Aを左向きに \(k(2x)\) の力で引きます。
Aに働く合力(復元力)\(F_A\) は、
$$
\begin{aligned}
F_A &= -kx – k(2x) = -3kx
\end{aligned}
$$
これは \(F = -Kx\) の形なので、Aは合成ばね定数 \(K = 3k\) の単振動をします。
周期 \(T_3\) は、
$$
\begin{aligned}
T_3 &= 2\pi\sqrt{\frac{m}{K}} = 2\pi\sqrt{\frac{m}{3k}}
\end{aligned}
$$
使用した物理公式
- 弾性エネルギー: \(U = \frac{1}{2}kx^2\)
- 仕事とエネルギーの関係
- 単振動の周期: \(T = 2\pi\sqrt{m/K}\)
(ア) 仕事 \(W\) の計算
$$
\begin{aligned}
W &= \frac{1}{2}kd^2 + \frac{1}{2}k(4d^2) + \frac{1}{2}kd^2 \\[2.0ex]
&= \frac{1}{2}kd^2 + 2kd^2 + \frac{1}{2}kd^2 \\[2.0ex]
&= 3kd^2
\end{aligned}
$$
(イ) 周期 \(T_3\) の計算
立式の段階で完了しています。
(ア) AとBを互いに逆方向に引っ張ると、3つのばね全てが伸びたり縮んだりしてエネルギーを蓄えます。左と右のばねは \(d\) だけ変形しますが、真ん中のばねはAとBの両方が動く分、合計 \(2d\) も変形します。この3つのばねに蓄えられたエネルギーの合計が、手でした仕事の総量になります。
(イ) 手を放すと、AとBは鏡に映したように対称的な動きをします。このため、真ん中のばねの中心点は全く動きません。Aの立場から見ると、左のばねに引かれ、さらに真ん中のばねにも引かれます。真ん中のばねはBも動く分、見かけ上とても強く(ばね定数が2倍になったかのように)Aを引きます。結果として、Aはばね定数が \(k+2k=3k\) という、非常に強いばねで振動するのと同じことになります。
(ア) 外力がした仕事の和は \(3kd^2\)。(イ) Aの振動の周期は \(2\pi\sqrt{\displaystyle\frac{m}{3k}}\) です。
問(2)では合成ばね定数 \(2k\)、問(3)では \(k\)、問(4)では \(3k\) となり、状況によって実効的なばね定数が変化する様子がわかります。ばね定数が大きいほど周期が短くなるという関係とも整合しており、妥当な結果です。
思考の道筋とポイント
問(3)の別解と同様に、連立運動方程式から周期を導出します。初期条件の違いが運動モードの現れ方をどう変えるかに着目します。
この設問における重要なポイント
- 問(3)と同様に、AとBそれぞれの運動方程式を立てる。
- 運動方程式の和と差から、重心運動と相対運動の式を導く。
- 初期条件(\(x_A(0)=d, x_B(0)=-d\))を適用して、運動のモードを特定する。
具体的な解説と立式
問(3)の別解で立てた運動方程式と、そこから導いた重心・相対座標の運動方程式を再利用します。
重心運動: \(m\frac{d^2(x_A+x_B)}{dt^2} = -k(x_A+x_B)\)
相対運動: \(m\frac{d^2(x_A-x_B)}{dt^2} = -3k(x_A-x_B)\)
今回の初期条件は \(x_A(0)=d\), \(x_B(0)=-d\) で、初速度はゼロです。
使用した物理公式
- 運動方程式: \(ma=F\)
- フックの法則: \(F=kx\)
初期条件を適用します。初期の重心座標は \(x_A(0)+x_B(0) = d+(-d) = 0\) であり、重心速度もゼロです。
重心運動の式は、\(X_{sum} = x_A+x_B\) とおくと \(m\ddot{X}_{sum} = -kX_{sum}\) という単振動の式ですが、初期条件が \(X_{sum}(0)=0, \dot{X}_{sum}(0)=0\) なので、解は \(X_{sum}(t)=0\) となります。
つまり、常に \(x_A(t) + x_B(t) = 0\)、すなわち \(x_B(t) = -x_A(t)\) です。
この結果をAの運動方程式 \(m\frac{d^2x_A}{dt^2} = -2kx_A + kx_B\) に代入すると、
$$
\begin{aligned}
m\frac{d^2x_A}{dt^2} &= -2kx_A + k(-x_A) = -3kx_A
\end{aligned}
$$
これは、Aがばね定数 \(3k\) の単振動をすることを示しており、周期は、
$$
\begin{aligned}
T_3 &= 2\pi\sqrt{\frac{m}{3k}}
\end{aligned}
$$
問(3)と同じように、A君とB君の運動方程式を立てて解く方法です。今回は二人が逆方向にスタートするので、計算すると、二人の動きの「真ん中(重心)」は全く動かないことがわかります。この条件を使ってA君の動きの式を単純化すると、A君はまるでばね定数が3倍になったかのような、とても強いばねで振動することが数学的に示されます。対称性から直感的に考えた結果と、計算で導いた結果が一致します。
主たる解法と同じ結果が得られました。この問題の2つの運動モード(重心が振動するモードと、重心が静止して相対的に振動するモード)のうち、問(3)では後者が、問(4)では前者が抑制されるという、連成振動の基本的な性質を数学的に確認することができます。
【総まとめ】この一問を未来の得点力へ!完全マスター講座
最重要ポイント:この問題の核心となる物理法則は?
- 力のつり合いと運動方程式
- 核心: この問題は、複数の物体とばねが連結された系(連成系)の挙動を扱います。その基本は、各物体にはたらく力をすべて正確に図示し、「静止しているなら力のつり合い」「運動しているなら運動方程式」という力学の根本法則を適用することです。特に、ばねの力は「自然長からの変位」に比例することを常に意識する必要があります。
- 理解のポイント:
- 着目物体の分離: 複数の物体がある場合、1つずつ物体に着目し、その物体だけにはたらく力を考えるのが基本です。
- ばねの変位の正確な把握: ばねの両端が動く場合、ばねの伸び縮みは両端の変位の差で決まります。例えば、Aの変位が \(x_A\)、Bの変位が \(x_B\) なら、ばねS₂の伸びは \(x_B – x_A\) となります。
- 立式の徹底: 状況に応じて、力のつり合いの式 \(\sum \vec{F} = \vec{0}\) または運動方程式 \(m\vec{a} = \sum \vec{F}\) を立てます。これが全ての解析の出発点となります。
- 単振動の性質と合成ばね定数
- 核心: 物体にはたらく合力が、つり合いの位置からの変位 \(x\) に比例する復元力 \(F=-Kx\) の形で表されるとき、その物体は単振動します。複数のばねが関わる場合、この \(K\) を「合成ばね定数」と見なすことで、問題を単純な単振動として扱うことができます。
- 理解のポイント:
- 復元力の導出: 運動方程式を立てた後、式を整理して \(F=-Kx\) の形になるかを確認します。この \(K\) がその運動の「硬さ」を決めます。
- 並列接続: (2)のように、1つの物体を複数のばねが両側から支える配置は、実質的にばねの並列接続とみなせ、合成ばね定数は \(K=k_1+k_2\) となります。
- 周期の公式: 合成ばね定数 \(K\) が求まれば、周期は公式 \(T=2\pi\sqrt{m/K}\) から直ちに計算できます。
応用テクニック:似た問題が出たらココを見る!解法の鍵と着眼点
- 応用できる類似問題のパターン:
- 連成振り子: 2つの振り子をばねで繋いだもの。これも重心運動と相対運動に分離して考えられます。
- 分子模型: 原子を質点、原子間力をばねと見なした分子の振動モデル。本問の(4)の運動は、二原子分子の伸縮振動の最も単純なモデルです。
- 多段ばね: 複数のばねを直列や並列に組み合わせた問題。合成ばね定数の考え方が直接応用できます。
- 初見の問題での着眼点:
- 系の対称性: 本問の(3), (4)のように、質量やばね定数、初期条件に対称性がある場合、運動も対称的になることが多いです。これにより、運動を劇的に単純化できることがあります。「AとBは同じ動きをするのではないか?」「真ん中の点は動かないのではないか?」と推測する視点は非常に有効です。
- 重心運動と相対運動への分離: 2物体がばねで繋がれている系では、運動方程式の和と差をとることで、比較的簡単な2つの単振動(重心の運動と相対的な運動)に分離できることが多いです。これは対称性がない場合にも使える強力な解析手法です(別解参照)。
- 不動点を探す: 対称性などから「動かない点」を見つけることができれば、そこを固定端と見なして問題を単純化できます。(4)のS₂の中点がその例です。
要注意!ありがちなミス・誤解とその対策
- ばねの変位の定義ミス:
- 誤解: ばねS₂の伸びを、Aの変位 \(x_A\) やBの変位 \(x_B\) そのものだと勘違いしてしまう。
- 対策: ばねの伸び縮みは、常に「両端の相対的な変位」で決まることを徹底する。図を描いて、Aが \(x_A\)、Bが \(x_B\) に動いたときのばねの長さを考え、自然長との差を計算する習慣をつける。
- 力の向きの間違い:
- 誤解: 伸びたばねが物体を「押す」、縮んだばねが物体を「引く」など、力の向きを混同する。
- 対策: ばねの力は常に「自然長に戻ろうとする向き」にはたらく、と覚える。伸びていれば縮む向きに、縮んでいれば伸びる向きに力を及ぼします。
- 合成ばね定数の公式の丸暗記:
- 誤解: 並列だから和、直列だから逆数和、と機械的に適用しようとして、本問(4)のような状況で間違う。
- 対策: 合成ばね定数は、あくまで「運動方程式を \(F=-Kx\) の形に整理したときの \(K\)」であると理解する。公式を覚えるだけでなく、毎回きちんと力を図示して合力を計算し、\(x\) の係数として \(K\) を導出する癖をつける。
なぜその公式?論理的な公式選択と適用の思考法
- 力のつり合い \(\sum \vec{F} = \vec{0}\):
- 選定理由: (1)で「静かに変位させる」とあり、物体が静止しているため。
- 適用根拠: ニュートンの運動法則の第一法則(慣性の法則)に対応します。加速度がゼロの状態を記述する最も基本的な法則です。
- 運動方程式 \(m\vec{a} = \sum \vec{F}\):
- 選定理由: (2), (3), (4)で物体が振動(運動)するため。
- 適用根拠: ニュートンの運動法則の第二法則。物体の運動状態の変化(加速度)とその原因(力)を関係づける、力学の根幹をなす法則です。単振動の解析も、この運動方程式を立てることから始まります。
- 単振動のエネルギー保存則:
- 選定理由: (2)で振動中心での速さを問われているため。
- 適用根拠: ばねの弾性力は保存力であり、摩擦もないため、系の力学的エネルギーが保存されます。特に、振動の端(運動エネルギーが0)と振動中心(位置エネルギーが最小、運動エネルギーが最大)でのエネルギーを比較することで、振幅と最大速度の関係を簡単に見つけることができます。
計算ミスをなくす!日頃の意識と実践テクニック
- 符号の管理:
- 特に注意すべき点: 変位の向き(正負)と力の向き(正負)を混同しやすい。特に復元力は常に変位と逆符号になる(\(F \propto -x\))。
- 日頃の練習: 必ず最初に座標軸の正の向きを自分で設定し、図に明記する。全てのベクトル量(変位、速度、力)をその座標軸に従って正負をつけて立式する習慣を徹底する。
- 文字式の整理:
- 特に注意すべき点: \(x_A\), \(x_B\), \(d\) など似たような文字が多く、式が複雑になりがち。
- 日頃の練習: 複数の物体がある場合、(1)のように式に番号を振り、どの物体のどの式を扱っているかを明確にしながら、一行ずつ丁寧に計算を進める。
- 物理量の混同:
- 特に注意すべき点: ばねの「長さ」と「自然長からの変位(伸び・縮み)」を混同しない。フックの法則や弾性エネルギーの式で使うのは、後者(変位)です。
- 日頃の練習: 図を描く際に、自然長の位置を点線で示すなどして、常に「変位」がどこからどこまでの長さなのかを視覚的に確認する癖をつける。
解きっぱなしはNG!解答の妥当性を吟味する習慣をつけよう
- 得られた答えの物理的妥当性の検討:
- (1) Aの変位: \(x_A = d/2\)。Bの変位 \(d\) より小さい。AはS₁とS₂の両方から力を受けるのに対し、BはS₃とS₂に加えて外力も受けるため、Bの方が大きく動くのは直感的にも妥当。
- (2), (3), (4)の周期: 周期はそれぞれ \(2\pi\sqrt{m/(2k)}\), \(2\pi\sqrt{m/k}\), \(2\pi\sqrt{m/(3k)}\) となった。合成ばね定数が \(k \to 2k \to 3k\) と硬くなるにつれて、周期が短く(振動が速く)なっている。これは物理的に正しい傾向です。
- (4) 仕事: \(W=3kd^2\)。ばねのエネルギーは変位の2乗に比例するので、\(d^2\) に比例するのは妥当。仕事は正の値であり、これも妥当。
- 極端な場合や既知の状況との比較:
- もし真ん中のばねS₂がなければ (\(k \to 0\))、(1)ではAは動かず(\(x_A=0\))、\(F=kd\) となるはず。式の上では成り立たないが、物理的状況はそうなります。
- もしS₂が非常に硬い棒 (\(k \to \infty\)) であれば、AとBは一体となって動く。この場合、(3)の状況は質量 \(2m\) の物体がばね定数 \(2k\) のばね(S₁とS₃の並列)で振動する系となり、周期は \(T=2\pi\sqrt{2m/(2k)} = 2\pi\sqrt{m/k}\) となり、(3)の結果と一致する。
- (2)で \(k \to 0\) とすると周期は無限大に発散する。ばねがなければ復元力がなくなり振動しないので、これも正しい。
[mathjax] SNSでのシェアはご自由にどうぞ。(上のボタンをクリック) ブログで引用する際には、こちらのリンクを添えてください。 【引用】https://makoto-physics-school.com […]
問題38 (山口大)
【問題の確認】まずは問題文をしっかり読み解こう
この問題は、ばねで繋がれた2つの等しい質量を持つ球AとBの系に、同じ質量の球Cが弾性衝突することから始まる一連の運動を扱います。衝突後のAとCの速度、AとBの系の重心の運動、そして重心から見たAとBの単振動、最後に床から見たAの速度の時間変化を求めることが主な内容です。
- 球A, B, Cの質量: すべて \(m\)
- ばね: 自然長 \(l_0\)、ばね定数 \(k\)
- 面: 滑らかな水平面
- 初期状態: AとBはばねにつながれ静止(ばねは自然長)。Cが速さ \(v_0\) でAに弾性衝突。
- 運動: 直線上で起こるものとする。
- (1) 衝突直後のAとCの速さはいくらか。
- (2) 衝突後、AとBの重心Gは等速度運動をする。その速さはいくらか。
- (3) 重心Gと共に動いて観測すると、AとBは、重心Gに関して対称な単振動をする。その周期はいくらか。また、AB間の距離の最小値と最大値はいくらか。
- (4) 衝突した時刻を \(t=0\) として、Aの速度(右向きを正)を時刻 \(t\) の関数として表せ。
【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド
本解説は、模範解答で採用されている解法を主たる解説としつつ、以下の別解を提示します。
- 提示する別解
- 問(1)の別解: 運動量保存則と反発係数の式を用いる解法
- 主たる解法が「等質量・弾性衝突では速度が交換される」という知識を用いて即答するのに対し、別解では運動量保存則と反発係数の式を連立させるという、より基本的な法則から出発して解を導出します。
- 問(3)の別解: 相対座標系と慣性力を用いる解法(コラムQの内容)
- 主たる解法が「重心系」という慣性系から運動を解析するのに対し、別解では物体Bを基準とした「非慣性系」から運動を観測し、慣性力を導入して解析します。
- 問(1)の別解: 運動量保存則と反発係数の式を用いる解法
- 上記の別解が有益である理由
- 物理的本質の深化: 「衝突現象の基本法則からの導出」や「非慣性系における運動の記述」といった、力学の重要な概念への理解が深まります。
- 解法の汎用性: 知識として知らない場合や、質量が異なるなど条件が複雑な場合にも対応できる、より汎用性の高い解法を学ぶことができます。また、重心系と非慣性系の両方の視点を学ぶことで、思考の柔軟性が養われます。
- 結果への影響
- いずれのアプローチを用いても、計算過程や思考の出発点が異なるだけで、最終的に得られる答えは模範解答と完全に一致します。
この問題のテーマは、「弾性衝突」、「運動量保存則」、「重心の運動」、そして「相対座標系における単振動」といった複数の重要な物理概念を組み合わせたものです。特に、重心から見た運動を考えることで、2体問題が単一の物体の単振動の問題に帰着できる点がポイントとなります。
問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。
- 運動量保存則とエネルギー保存則: 衝突現象を解析する際の基本法則です。弾性衝突では両方が保存されます。
- 重心の運動: 外力が働かない系では、重心は等速直線運動を続けます。
- 相対運動と座標系: 運動をどの座標系(静止系、重心系、非慣性系)から見るかによって、現象の記述方法が変わります。
- 単振動: 復元力 \(F=-Kx\) によって引き起こされる運動。周期や振幅、エネルギーの扱いを理解していることが重要です。
基本的なアプローチは以下の通りです。
- 問(1)では、AとCの2体系における弾性衝突として扱い、速度交換の性質を利用します。
- 問(2)では、A-B系に外力が働かないことから運動量保存則を適用し、重心速度を求めます。
- 問(3)では、重心と共に動く「重心系」からAとBの運動を観測し、単振動として解析します。
- 問(4)では、「床から見た速度 = 重心の速度 + 重心から見た相対速度」という速度の合成則を利用して、Aの速度を時刻の関数として表します。