問題16 保存則 (大阪大)
【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド
- 提示する別解
- 設問(1)(2)の別解: 運動方程式と等加速度運動の公式を用いた解法
- 模範解答がエネルギー保存則(仕事とエネルギーの関係)を用いるのに対し、別解では運動方程式から加速度を求め、等加速度運動の公式を用いて解きます。力と運動の因果関係が明確になります。
- 設問(3)(4)の別解: 重心系(相対運動エネルギー)を用いた解法
- 2体問題において、エネルギー散逸(摩擦熱)は「相対運動エネルギー」の減少分に等しいという原理を用います。連立方程式を立てずに一発で答えを導出できる強力な手法です。
- 設問(3)(4)の別解: 微積分を用いた体系的解法(一括解説)
- 運動方程式を立式し、それを積分することで速度と位置を求めます。特に「重心運動」と「相対運動」に分離することで、問(3)と問(4)の現象を統一的に記述します。
- 設問(1)(2)の別解: 運動方程式と等加速度運動の公式を用いた解法
- 上記の別解が有益である理由
- 運動方程式: エネルギー保存則が「結果」に着目するのに対し、運動方程式は「過程(時間変化)」を記述するため、現象の理解が深まります。
- 重心系: 計算量が劇的に減り、計算ミスのリスクを低減できます。また、衝突や合体現象の本質が「相対運動の減衰」にあることを見抜く力がつきます。
- 微積分: 公式の暗記ではなく、物理の第一原理(運動方程式)から全ての物理量を導出できることを示し、応用力を高めます。
- 結果への影響
- いずれのアプローチを用いても、最終的に得られる答えは模範解答と完全に一致します。
この問題のテーマは「抵抗力を受ける物体の運動」と「2物体の相互作用(衝突・合体)」です。
前半は固定された物体への貫入、後半は動く物体への貫入を扱います。特に後半は、運動量保存則とエネルギー保存則(摩擦熱の考慮)を組み合わせる応用問題です。
問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。
- 仕事とエネルギーの関係: 物体の運動エネルギーの変化量は、その物体が受けた仕事に等しくなります。
- 運動量保存則: 水平方向には外力が働かないため、系全体の運動量の総和は保存されます。
- 摩擦熱: 動摩擦力が働く場合、力学的エネルギーの一部が熱エネルギーに変換されます。その大きさは「摩擦力 \(\times\) 相対移動距離」です。
基本的なアプローチは以下の通りです。
- (1)(2)では、木材が固定されているため、弾丸単体のエネルギー変化と仕事の関係式を立てます。
- (3)では、木材も動くため、運動量保存則で速度を求め、エネルギー保存則(摩擦熱を考慮)で深さを求めます。
- (4)では、(3)の結果を利用し、弾丸が木材を突き抜けるための限界条件(深さが木材の長さと等しくなる条件)を考えます。
問(1)
思考の道筋とポイント
弾丸は木材から一定の抵抗力 \(F\) を受けながら進み、やがて止まります。
「運動エネルギーの変化 \(=\) 仕事」の関係を用います。
抵抗力は弾丸の運動方向と逆向きに働くため、負の仕事をします。
この設問における重要なポイント
- 仕事の符号: 抵抗力は進行方向と逆向きなので、仕事は負になります。
- エネルギーの変化: (後の運動エネルギー) \(-\) (初めの運動エネルギー)。
具体的な解説と立式
弾丸の質量を \(m\)、初速を \(v_0\)、停止するまでの距離を \(d\) とします。
抵抗力の大きさを \(F\) とします。
弾丸の運動エネルギーの変化は、抵抗力がした仕事に等しいので、以下の式が成り立ちます。
$$
\begin{aligned}
\frac{1}{2}m \cdot 0^2 – \frac{1}{2}mv_0^2 &= -Fd
\end{aligned}
$$
あるいは、「失われた運動エネルギー \(=\) 抵抗力に逆らってした仕事」と考えて、大きさだけで立式しても構いません。
$$
\begin{aligned}
\frac{1}{2}mv_0^2 &= Fd
\end{aligned}
$$
使用した物理公式
- 仕事とエネルギーの関係: \(\Delta K = W\)
- 運動エネルギー: \(K = \frac{1}{2}mv^2\)
- 仕事: \(W = Fx\)
式を \(F\) について解きます。
$$
\begin{aligned}
Fd &= \frac{1}{2}mv_0^2 \\[2.0ex]
F &= \frac{mv_0^2}{2d}
\end{aligned}
$$
単位は力なので \([\text{N}]\) です。
弾丸が持っていた「動きのエネルギー」が、木材にめり込む際の「ブレーキの仕事」によって全て使い果たされました。
エネルギーの量と仕事の量が等しいという関係から、ブレーキの力(抵抗力)を逆算しました。
答えは \(F = \frac{mv_0^2}{2d}\) です。
初速 \(v_0\) が速いほど、また停止距離 \(d\) が短いほど、大きな抵抗力が必要になるため、物理的に妥当です。
思考の道筋とポイント
力と加速度の関係(運動方程式)から加速度を求め、等加速度運動の公式を用いて計算します。
この設問における重要なポイント
- 運動方程式: 力 \(F\) が加速度 \(a\) を生み出します。
- 等加速度運動: 力が一定なので、加速度も一定です。
具体的な解説と立式
進行方向(右向き)を正とします。
弾丸の加速度を \(a\) とすると、運動方程式は以下のようになります。
$$
\begin{aligned}
ma &= -F
\end{aligned}
$$
等加速度運動の公式 \(v^2 – v_0^2 = 2ax\) を用います。停止するので \(v=0\)、移動距離は \(x=d\) です。
$$
\begin{aligned}
0^2 – v_0^2 &= 2ad
\end{aligned}
$$
使用した物理公式
- 運動方程式: \(ma = F\)
- 等加速度運動の公式: \(v^2 – v_0^2 = 2ax\)
運動方程式より加速度を求めます。
$$
\begin{aligned}
a &= -\frac{F}{m}
\end{aligned}
$$
これを等加速度運動の式に代入します。
$$
\begin{aligned}
-v_0^2 &= 2 \left( -\frac{F}{m} \right) d \\[2.0ex]
-v_0^2 &= -\frac{2Fd}{m} \\[2.0ex]
2Fd &= mv_0^2 \\[2.0ex]
F &= \frac{mv_0^2}{2d}
\end{aligned}
$$
力から加速度(減速の度合い)を求め、その減速で止まるまでの距離の式に当てはめました。
エネルギーを使わなくても、力と運動の基本ルールだけで同じ答えが出せます。
エネルギー保存則と同じ結果が得られました。
問(2)
思考の道筋とポイント
「木材を貫く」とは、木材の厚さ \(l\) だけ進んでも、まだ弾丸が止まっていない(速さが \(0\) より大きい)状態、あるいは停止するまでの距離が \(l\) 以上であることを意味します。
ここでは、ギリギリ貫通する(距離 \(l\) で速さがちょうど \(0\) になる)場合の初速を求め、それ以上であればよいと考えます。
この設問における重要なポイント
- 限界条件: 停止距離 \(d\) が木材の長さ \(l\) と等しくなるときの初速を求めます。
- 抵抗力: 問(1)で求めた \(F\) は一定であると仮定されていますが、ここでは \(F\) を既知として式を立て、最後に代入するか、あるいは比例関係を利用します。
具体的な解説と立式
求める初速を \(v_1\) とします。
この初速で打ち込んだとき、ちょうど距離 \(l\) で停止したとします。
問(1)と同様に、仕事とエネルギーの関係式を立てます。
$$
\begin{aligned}
\frac{1}{2}mv_1^2 &= Fl
\end{aligned}
$$
使用した物理公式
- 仕事とエネルギーの関係
式を \(v_1\) について解きます。
$$
\begin{aligned}
v_1^2 &= \frac{2Fl}{m} \\[2.0ex]
v_1 &= \sqrt{\frac{2Fl}{m}}
\end{aligned}
$$
ここで、問(1)の結果 \(F = \frac{mv_0^2}{2d}\) を代入します。
$$
\begin{aligned}
v_1 &= \sqrt{\frac{2l}{m} \cdot \frac{mv_0^2}{2d}} \\[2.0ex]
&= \sqrt{\frac{l}{d} v_0^2} \\[2.0ex]
&= v_0 \sqrt{\frac{l}{d}}
\end{aligned}
$$
貫くためには、初速はこれ以上であればよいので、
$$
\begin{aligned}
v_1 &> v_0 \sqrt{\frac{l}{d}}
\end{aligned}
$$
となりますが、解答としては境界値(以上)を答えるのが一般的です。
「距離 \(d\) 進むのに必要なエネルギーは \(\frac{1}{2}mv_0^2\)」でした。
「距離 \(l\) 進むのに必要なエネルギーは \(\frac{1}{2}mv_1^2\)」です。
抵抗力が同じなら、必要なエネルギーは距離に比例します。
距離が \(l/d\) 倍になったので、エネルギーも \(l/d\) 倍必要です。速さはエネルギーの平方根に比例するので、\(\sqrt{l/d}\) 倍になります。
答えは \(v_0 \sqrt{\frac{l}{d}}\) です。
木材が厚い(\(l\) が大きい)ほど、必要な初速は大きくなるので妥当です。
思考の道筋とポイント
問(1)の別解と同様に、運動方程式と等加速度運動の公式を用いて解きます。
加速度 \(a\) は問(1)と同じく \(-\frac{F}{m}\) です。
この設問における重要なポイント
- 停止距離: 初速 \(v_1\) のとき、停止するまでの距離が \(l\) となる条件を求めます。
具体的な解説と立式
初速を \(v_1\) とします。
等加速度運動の公式 \(v^2 – v_0^2 = 2ax\) において、\(v=0\)、\(v_0=v_1\)、\(x=l\) を代入します。
$$
\begin{aligned}
0^2 – v_1^2 &= 2al
\end{aligned}
$$
加速度 \(a\) は運動方程式 \(ma = -F\) より求まります。
$$
\begin{aligned}
a &= -\frac{F}{m}
\end{aligned}
$$
使用した物理公式
- 運動方程式
- 等加速度運動の公式
加速度の式を等加速度運動の式に代入します。
$$
\begin{aligned}
-v_1^2 &= 2 \left( -\frac{F}{m} \right) l \\[2.0ex]
v_1^2 &= \frac{2Fl}{m} \\[2.0ex]
v_1 &= \sqrt{\frac{2Fl}{m}}
\end{aligned}
$$
問(1)の結果 \(F = \frac{mv_0^2}{2d}\) を代入します。
$$
\begin{aligned}
v_1 &= \sqrt{\frac{2l}{m} \cdot \frac{mv_0^2}{2d}} \\[2.0ex]
&= v_0 \sqrt{\frac{l}{d}}
\end{aligned}
$$
ブレーキの強さ(加速度)は同じなので、止まるまでの距離は初速の2乗に比例します。
距離を \(l\) にしたいなら、初速をどう変えればよいかを計算しました。
エネルギー保存則を用いた場合と全く同じ結果が得られました。
問(3)
思考の道筋とポイント
今度は木材が滑らかな床の上に置かれているため、弾丸が当たると木材も動き出します。
水平方向には外力が働かないため、運動量保存則が成立します。
弾丸が木材に入り込み、一体となって動くとき、両者の速度は等しくなります。
また、弾丸が木材の中を進む間、相互に及ぼし合う摩擦力(抵抗力)によってエネルギーが熱として失われます。
失われた力学的エネルギーは、発生した摩擦熱に等しくなります。
この設問における重要なポイント
- 一体化: 弾丸と木材の速度が等しくなった状態です。
- 摩擦熱: \((\text{一定の動摩擦力}) \times (\text{相対移動距離})\) で表されます。ここでの相対移動距離が、求める「入り込んだ深さ \(d’\)」です。
具体的な解説と立式
一体となったときの速さを \(v\) とします。右向きを正とします。
運動量保存則
(初めの運動量 \(=\) 後の運動量)
$$
\begin{aligned}
mv_0 &= (m+M)v \quad \cdots ①
\end{aligned}
$$
入り込んだ深さを \(d’\) とします。
エネルギー保存則(摩擦熱を考慮)
(初めの運動E \(=\) 後の運動E \(+\) 摩擦熱)
$$
\begin{aligned}
\frac{1}{2}mv_0^2 &= \frac{1}{2}(m+M)v^2 + Fd’ \quad \cdots ②
\end{aligned}
$$
使用した物理公式
- 運動量保存則
- エネルギー保存則(非保存力の仕事を含む): \(E_{\text{前}} = E_{\text{後}} + W_{\text{摩擦}}\)
まず、式①より \(v\) を求めます。
$$
\begin{aligned}
(m+M)v &= mv_0 \\[2.0ex]
v &= \frac{m}{m+M}v_0
\end{aligned}
$$
次に、式②を変形して \(d’\) を求めます。
$$
\begin{aligned}
Fd’ &= \frac{1}{2}mv_0^2 – \frac{1}{2}(m+M)v^2
\end{aligned}
$$
これに求めた \(v\) を代入します。
$$
\begin{aligned}
Fd’ &= \frac{1}{2}mv_0^2 – \frac{1}{2}(m+M) \left( \frac{m}{m+M}v_0 \right)^2 \\[2.0ex]
&= \frac{1}{2}mv_0^2 – \frac{1}{2} \frac{m^2}{m+M}v_0^2 \\[2.0ex]
&= \frac{1}{2}mv_0^2 \left( 1 – \frac{m}{m+M} \right) \\[2.0ex]
&= \frac{1}{2}mv_0^2 \left( \frac{m+M-m}{m+M} \right) \\[2.0ex]
&= \frac{1}{2}mv_0^2 \frac{M}{m+M} \\[2.0ex]
&= \frac{mM}{2(m+M)}v_0^2
\end{aligned}
$$
ここで、問(1)の結果 \(F = \frac{mv_0^2}{2d}\) を代入して \(d’\) を求めます。
$$
\begin{aligned}
\frac{mv_0^2}{2d} d’ &= \frac{mM}{2(m+M)}v_0^2
\end{aligned}
$$
両辺の \(\frac{mv_0^2}{2}\) を消去します。
$$
\begin{aligned}
\frac{d’}{d} &= \frac{M}{m+M} \\[2.0ex]
d’ &= \frac{M}{m+M}d
\end{aligned}
$$
弾丸が木材に当たると、木材も逃げるように動き出すため、固定されていた場合よりも弾丸は深く刺さりにくくなります。
「運動量の保存」から最終的なスピードを決め、「エネルギーの減少分が摩擦熱(めり込んだ距離に比例)になる」ことから深さを計算しました。
結果を見ると、木材が軽い(\(M\)が小さい)ほど \(d’\) は小さくなり、木材が逃げやすいことを表しています。
速さは \(v = \frac{m}{m+M}v_0\)、深さは \(d’ = \frac{M}{m+M}d\) です。
\(M \to \infty\)(木材が非常に重い=固定されているのと同等)とすると、\(d’ \to d\) となり、問(1)の結果と一致するため妥当です。
思考の道筋とポイント
2体問題において、摩擦熱などのエネルギー損失は、「相対運動エネルギー」の減少分に等しいという性質があります。
重心速度 \(v_{\text{重心}}\) は外力がないため一定であり、重心運動エネルギー \(\frac{1}{2}(m+M)v_{\text{重心}}^2\) は保存されます。
したがって、変化するのは相対運動エネルギーのみです。
この設問における重要なポイント
- 相対運動エネルギー: \(\frac{1}{2}\mu v_{\text{相対}}^2\) (\(\mu\) は換算質量)。
- エネルギー原理: 失われた相対運動エネルギー \(=\) 摩擦熱。
具体的な解説と立式
換算質量 \(\mu = \frac{mM}{m+M}\) を定義します。
衝突前の相対速度は \(v_0\)、一体化後の相対速度は \(0\) です。
失われた相対運動エネルギーが全て摩擦熱 \(Fd’\) になります。
$$
\begin{aligned}
\frac{1}{2}\mu v_0^2 – 0 &= Fd’
\end{aligned}
$$
使用した物理公式
- 相対運動エネルギーの保存(減衰)
$$
\begin{aligned}
\frac{1}{2} \frac{mM}{m+M} v_0^2 &= Fd’
\end{aligned}
$$
\(F = \frac{mv_0^2}{2d}\) を代入します。
$$
\begin{aligned}
\frac{mM v_0^2}{2(m+M)} &= \frac{mv_0^2}{2d} d’
\end{aligned}
$$
両辺を整理して \(d’\) を求めます。
$$
\begin{aligned}
\frac{M}{m+M} &= \frac{d’}{d} \\[2.0ex]
d’ &= \frac{M}{m+M}d
\end{aligned}
$$
「重心から見たエネルギー」だけを考えればよいというテクニックです。
重心そのものの動き(全体としての移動)は摩擦熱に関係ないので無視します。
「二人が近づくエネルギー」が「摩擦熱」に変わった、というシンプルな式で解けます。
メインの解法と同じ結果が、非常に少ない計算量で得られました。2体問題におけるエネルギー収支を考える際、この「重心系」の視点は極めて強力です。
問(4)
思考の道筋とポイント
「弾丸が木材を貫く」ための条件を考えます。
問(3)で求めた「入り込んだ深さ \(d’\)」は、弾丸が木材に対して停止する(一体化する)までの相対移動距離です。
この \(d’\) が木材の長さ \(l\) よりも大きければ、弾丸は木材の中で止まることなく、反対側へ突き抜けることになります。
したがって、限界条件は \(d’ = l\) となるときです。
この設問における重要なポイント
- 貫通条件: 一体化するまでに必要な距離 \(d’\) が、木材の長さ \(l\) 以上であること。
- 変数の依存性: \(d’\) は初速 \(v_0\) に依存します(\(d\) が \(v_0\) に依存するため)。ここでは初速を \(v_2\) と置き、そのときの \(d\) を用いて考えます。
具体的な解説と立式
初速を \(v_2\) としたとき、固定された木材へのめり込み深さを \(D\) とすると、問(1)より \(F = \frac{mv_2^2}{2D}\) なので、\(D = \frac{mv_2^2}{2F}\) です。
問(3)の結果より、動く木材へのめり込み深さ \(d’\) は以下のようになります。
$$
\begin{aligned}
d’ &= \frac{M}{m+M} D \\[2.0ex]
&= \frac{M}{m+M} \cdot \frac{mv_2^2}{2F}
\end{aligned}
$$
貫通するための条件は \(d’ \ge l\) です。限界のケース(等号)を考えます。
$$
\begin{aligned}
\frac{M}{m+M} \cdot \frac{mv_2^2}{2F} &= l
\end{aligned}
$$
使用した物理公式
- 問(3)の結果: \(d’ = \frac{M}{m+M}d\)
- 問(1)の結果: \(d = \frac{mv_0^2}{2F}\) (ここでは \(v_2\) に対応)
式を \(v_2\) について解きます。
$$
\begin{aligned}
v_2^2 &= \frac{2Fl(m+M)}{mM} \\[2.0ex]
v_2 &= \sqrt{\frac{2Fl(m+M)}{mM}}
\end{aligned}
$$
ここで、\(F = \frac{mv_0^2}{2d}\) を代入して、既知の \(v_0, d\) で表します。
$$
\begin{aligned}
v_2 &= \sqrt{\frac{2l(m+M)}{mM} \cdot \frac{mv_0^2}{2d}} \\[2.0ex]
&= \sqrt{\frac{l(m+M)}{Md} v_0^2} \\[2.0ex]
&= v_0 \sqrt{\frac{m+M}{M} \cdot \frac{l}{d}}
\end{aligned}
$$
木材が動く場合、弾丸は刺さりにくくなります(深さが \(\frac{M}{m+M}\) 倍になる)。
逆に言えば、同じ深さ \(l\) だけ刺すためには、より大きなエネルギー(初速)が必要になります。
「固定された木材を貫くのに必要な初速(問2)」に比べて、木材が逃げる分だけ余計にスピードが必要だ、ということを計算しました。
答えは \(v_0 \sqrt{\frac{(m+M)l}{Md}}\) です。
ルートの中身を見ると、\(\frac{m+M}{M} > 1\) なので、問(2)の答え \(v_0 \sqrt{\frac{l}{d}}\) よりも大きな速度が必要であることがわかります。木材が逃げるため、貫通が難しくなるという物理的直感と一致します。
思考の道筋とポイント
問(3)の別解と同様に、相対運動エネルギーの減少分が摩擦熱になるという関係を使います。
貫通するギリギリのケースでは、相対移動距離が \(l\) になった瞬間に相対速度が \(0\) になります。
この設問における重要なポイント
- エネルギー収支: 相対運動エネルギー \(=\) 摩擦熱。
具体的な解説と立式
初速を \(v_2\) とします。
失われた相対運動エネルギーが、距離 \(l\) 分の摩擦熱 \(Fl\) に等しくなればよいので、以下の式が成り立ちます。
$$
\begin{aligned}
\frac{1}{2}\mu v_2^2 &= Fl
\end{aligned}
$$
ここで \(\mu = \frac{mM}{m+M}\) です。
使用した物理公式
- 相対運動エネルギーの保存(減衰)
$$
\begin{aligned}
\frac{1}{2} \frac{mM}{m+M} v_2^2 &= Fl \\[2.0ex]
v_2^2 &= \frac{2Fl(m+M)}{mM}
\end{aligned}
$$
これはメイン解法の途中の式と全く同じです。あとは同様に \(F\) を代入して計算します。
重心系を使えば、問(3)と同じロジックで、距離を \(l\) に置き換えるだけで式が立ちます。
重心系の考え方を使えば、問(3)も問(4)も、実質1行の式で解決できます。
思考の道筋とポイント
問(3)と問(4)は、弾丸と木材が相互作用しながら運動する「2体問題」です。
個別の保存則を適用する代わりに、運動方程式を直接立式し、それを積分することで、速度や位置の時間変化を全て導出します。
特に、運動を「重心の運動」と「相対的な運動」に分離することで、現象がクリアに見えてきます。
この設問における重要なポイント
- 運動方程式の分離:
- 重心座標 \(X_{\text{重心}}\): 外力がないため等速直線運動。
- 相対座標 \(x_{\text{相対}}\): 一定の相互作用力 \(F\) により等加速度運動。
具体的な解説と立式
弾丸の質量 \(m\)、位置 \(x\)、木材の質量 \(M\)、位置 \(X\) とします。右向きを正とします。
弾丸は左向きに抵抗力 \(-F\)、木材は右向きに反作用 \(F\) を受けます。
運動方程式は以下の通りです。
$$
\begin{aligned}
m\ddot{x} &= -F \quad \cdots \text{(a)} \\[2.0ex]
M\ddot{X} &= F \quad \cdots \text{(b)}
\end{aligned}
$$
(1) 重心運動と相対運動への分離
(a) \(+\) (b) より(内力を消去):
$$
\begin{aligned}
m\ddot{x} + M\ddot{X} &= 0 \\[2.0ex]
(m+M)\ddot{X}_{\text{重心}} &= 0
\end{aligned}
$$
重心速度 \(V_{\text{重心}} = \dot{X}_{\text{重心}}\) は一定(保存)です。初期状態より、
$$
\begin{aligned}
V_{\text{重心}} &= \frac{mv_0 + M \cdot 0}{m+M} \\[2.0ex]
&= \frac{m}{m+M}v_0
\end{aligned}
$$
これが、一体化した後の速度 \(v\) そのものです(問3前半の答え)。
次に、相対位置 \(x_{\text{相対}} = x – X\) の運動を考えます。
\(\frac{\text{(a)}}{m} – \frac{\text{(b)}}{M}\) より:
$$
\begin{aligned}
\ddot{x} – \ddot{X} &= -\frac{F}{m} – \frac{F}{M} \\[2.0ex]
\ddot{x}_{\text{相対}} &= -F \left( \frac{1}{m} + \frac{1}{M} \right) \\[2.0ex]
&= -F \frac{m+M}{mM}
\end{aligned}
$$
これは一定の負の加速度なので、相対運動は等加速度運動です。
換算質量 \(\mu = \frac{mM}{m+M}\) を用いると、\(\mu \ddot{x}_{\text{相対}} = -F\) と書けます。
(2) 相対変位(深さ)の導出
相対速度 \(v_{\text{相対}} = \dot{x}_{\text{相対}}\) と相対位置 \(x_{\text{相対}}\) の関係式(等加速度運動の公式 \(v^2 – v_0^2 = 2ax\))を用います。
初期相対速度は \(v_0\)、一体化するとき相対速度は \(0\) です。
$$
\begin{aligned}
0^2 – v_0^2 &= 2 \left( -\frac{F}{\mu} \right) d’
\end{aligned}
$$
使用した物理公式
- 運動方程式: \(m\vec{a} = \vec{F}\)
- 等加速度運動の公式: \(v^2 – v_0^2 = 2ax\)
式を変形して \(d’\) を求めます。
$$
\begin{aligned}
-v_0^2 &= -\frac{2F}{\mu} d’ \\[2.0ex]
d’ &= \frac{\mu v_0^2}{2F} \\[2.0ex]
&= \frac{mM}{m+M} \cdot \frac{v_0^2}{2F}
\end{aligned}
$$
\(F = \frac{mv_0^2}{2d}\) を代入すれば、\(d’ = \frac{M}{m+M}d\) が得られます(問3後半の答え)。
(3) 貫通条件の導出
貫通するためには、相対速度が \(0\) になる前に、相対変位 \(x_{\text{相対}}\) が \(l\) に達すればよいです。
つまり、到達可能な最大相対変位 \(d’\) が \(l\) 以上であればよいことになります。
$$
\begin{aligned}
d’ &\ge l \\[2.0ex]
\frac{M}{m+M}d &\ge l
\end{aligned}
$$
ただし、ここでは初速 \(v_2\) が未知数なので、\(d\) も \(v_2\) の関数として扱います(\(d \propto v_2^2\))。
$$
\begin{aligned}
\frac{M}{m+M} \cdot \frac{mv_2^2}{2F} &\ge l
\end{aligned}
$$
これを解くことで、問(4)の答えが得られます。
2つの物体の動きを、「全体の重心の動き」と「互いの距離の動き」に分けて考えました。
全体は外力がないので一定スピードで進みます。
互いの距離は、一定のブレーキ力によって縮まっていくので、単純なブレーキの計算(等加速度運動)で解くことができます。
この2つを組み合わせることで、速度も深さも全て計算できました。
運動方程式から出発することで、保存則を前提とせずに全ての結果を導出できました。
特に、相対運動が「質量 \(\mu\) の物体が力 \(-F\) を受けて止まる運動」と等価であることが明確になり、エネルギー保存則の式の意味(\(\frac{1}{2}\mu v_0^2 = Fd’\))も理解しやすくなります。
問(Q) 追加問題
思考の道筋とポイント
「摩擦熱は \(Fx\) になりそうに思えるが、なぜ \(Fd’\) なのか?」という疑問に答えます。
これは「仕事の定義」と「座標系」の問題です。
仕事 \(W\) は、力 \(F\) と、その力が作用した点の移動距離 \(\Delta x\) の積(\(W = F \Delta x\))で定義されます。
木材も動いているため、摩擦力の作用点は \(x\) だけ動くわけではありません。
この設問における重要なポイント
- 仕事の定義: \(W = \int \vec{F} \cdot d\vec{r}\)。
- エネルギー原理: 系の全エネルギーの変化 \(=\) 外力の仕事 \(+\) 非保存力の仕事。
具体的な解説と立式
弾丸が木材に入り込んで止まるまでの間、弾丸の移動距離を \(x\)、木材の移動距離を \(X\) とします。
入り込んだ深さ(相対変位)は \(d’ = x – X\) です。
弾丸が受けた仕事 \(W_m\)(力は左向き \(-F\)):
$$
\begin{aligned}
W_m &= -F \cdot x
\end{aligned}
$$
木材が受けた仕事 \(W_M\)(力は右向き \(+F\)):
$$
\begin{aligned}
W_M &= +F \cdot X
\end{aligned}
$$
系全体が非保存力(摩擦力)から受けた総仕事 \(W_{\text{total}}\) は、これらの和です。
$$
\begin{aligned}
W_{\text{total}} &= W_m + W_M
\end{aligned}
$$
使用した物理公式
- 仕事の定義: \(W = Fx\)
$$
\begin{aligned}
W_{\text{total}} &= -Fx + FX \\[2.0ex]
&= -F(x – X) \\[2.0ex]
&= -Fd’
\end{aligned}
$$
この負の仕事の分だけ、系全体の力学的エネルギーが減少し、熱エネルギーに変わりました。
したがって、発生した摩擦熱は \(Fd’\) となります。
弾丸はブレーキをかけられてエネルギーを失いますが、木材は押されてエネルギーをもらいます。
トータルで見ると、弾丸が失った分の一部が木材に移り、残りが熱として消えたことになります。
計算してみると、消えた分(熱)は、ちょうど「こすれ合った距離」に比例することがわかります。
摩擦熱は、単なる移動距離ではなく「相対的な移動距離(こすれ合った距離)」に比例することが、仕事の定義から厳密に示されました。
【総まとめ】この一問を未来の得点力へ!完全マスター講座
最重要ポイント:この問題の核心となる物理法則は?
- 2体問題におけるエネルギー収支と摩擦熱
- 核心: 摩擦力が働く2体問題において、系全体の力学的エネルギーは保存されず、摩擦熱として散逸します。このとき、発生する摩擦熱 \(Q\) は、摩擦力 \(F\) と「相対移動距離(こすれ合った距離) \(d’\)」の積 \(Fd’\) に等しくなります。
- 理解のポイント:
- 仕事の定義: 仕事は「力 \(\times\) 作用点の移動距離」です。弾丸と木材が共に動く場合、それぞれの移動距離 \(x, X\) を用いて個別に仕事を計算し、その総和をとることで、初めて \(W = -F(x-X) = -Fd’\) という関係が導かれます。
- エネルギー保存則の拡張: \(E_{\text{前}} = E_{\text{後}} + Q\) という形で、熱エネルギーを含めた全エネルギー保存則を立式することが、この種の問題を解く鍵となります。
- 重心運動と相対運動の分離
- 核心: 外力が働かない系では、重心は等速直線運動を続けます。一方、物体間の相対運動は、内力(摩擦力)によって減衰していきます。この2つの運動は独立しており、分離して考えることで現象の本質が見えてきます。
- 理解のポイント:
- 重心系エネルギー: 全運動エネルギーは「重心運動エネルギー(保存される)」と「相対運動エネルギー(摩擦熱で減る)」の和に分解できます。
- 計算の簡略化: 「失われた相対運動エネルギー \(=\) 摩擦熱」という式を立てるだけで、複雑な連立方程式を回避して一発で答えに辿り着けます。
応用テクニック:似た問題が出たらココを見る!解法の鍵と着眼点
- 応用できる類似問題のパターン:
- 動く台車上の物体: 台車の上を物体が滑りながら動く問題でも、水平方向の運動量保存則と、摩擦熱を考慮したエネルギー保存則が成立します。
- 非弾性衝突: 粘土の塊同士が衝突して合体する場合も、運動量は保存されますが、エネルギーは失われます。この「失われたエネルギー」が変形や熱に使われたと考えれば、本問と同じ構造になります。
- ばねによる合体: ばねを介して振動しながら一体化する場合、摩擦がなければエネルギーは保存されますが、空気抵抗などで減衰振動する場合、最終的に失われるエネルギーは相対運動エネルギー分になります。
- 初見の問題での着眼点:
- 「一体となった」: このキーワードが出たら、「相対速度が \(0\) になった」ことを意味します。運動量保存則で共通速度 \(v\) を求めるのが定石です。
- 「貫く」「突き抜ける」: これは「相対移動距離 \(d’\) が物体の長さ \(l\) 以上になる」という幾何学的な条件に翻訳します。
- 摩擦がある場合: 力学的エネルギー保存則は使えませんが、「エネルギー原理(仕事とエネルギーの関係)」は常に成立します。摩擦熱 \(Fd’\) をエネルギーの式に組み込むことを忘れないでください。
要注意!ありがちなミス・誤解とその対策
- 摩擦熱の計算ミス:
- 誤解: 摩擦熱を \(Fx\) (弾丸の移動距離)や \(FX\) (木材の移動距離)として計算してしまう。
- 対策: 摩擦熱は必ず「こすれ合った距離(相対距離)」で決まります。\(d’ = x – X\) であることを図を描いて確認しましょう。
- 仕事の符号の取り違え:
- 誤解: 弾丸は負の仕事を受け、木材は正の仕事を受けることを混同し、全体のエネルギー収支の符号を間違える。
- 対策: 「弾丸は遅くなる(エネルギー減)」「木材は速くなる(エネルギー増)」という定性的な変化をイメージし、式の符号がそれと合っているか確認します。
- 貫通条件の不等号:
- 誤解: 「貫く」条件を \(d’ < l\) (止まる距離が短い)と逆にしてしまう。
- 対策: 「貫く」=「止まらずに進む」=「止まるのに必要な距離 \(d’\) が、実際の長さ \(l\) より長い」と言い換えて、\(d’ \ge l\) という条件を導きます。
なぜその公式?論理的な公式選択と適用の思考法
- 問(3)での公式選択(保存則連立 vs 重心系エネルギー):
- 選定理由: 模範解答の「保存則連立」は、速度 \(v\) と深さ \(d’\) の両方を順を追って求められるため、設問の流れに沿った自然な解法です。一方、別解の「重心系エネルギー」は、深さ \(d’\) だけをピンポイントで求めたい場合に、計算量を大幅に削減できる「必殺技」です。
- 適用根拠: 外力がなく重心速度が一定であること、およびエネルギー原理が成立することが条件です。特に「相対運動エネルギーの減少 \(=\) 摩擦熱」という関係は、2体問題の衝突・合体において常に成立する強力な原理です。
- 問(1)(2)での公式選択(エネルギー原理 vs 運動方程式):
- 選定理由: エネルギー原理は、時間や加速度を気にする必要がなく、始状態と終状態だけで式が立てられるため、最も効率的です。運動方程式は、加速度や時間の情報が必要な場合や、運動のプロセスを詳細に追いたい場合に有効です。
- 適用根拠: 力 \(F\) が一定であるため、等加速度運動の公式が使えます。もし力が位置や速度に依存して変化する場合(例: 空気抵抗 \(kv\))は、運動方程式を積分する微積分の手法が必要になります。
計算ミスをなくす!日頃の意識と実践テクニック
- 次元確認(ディメンションチェック)の徹底:
- 答えが出たら、単位を確認します。例えば深さ \(d’\) の答えが \(\frac{M}{m+M}d\) なら、係数は質量比(無次元)であり、全体として長さの次元 \([\text{m}]\) を持つため正しいと判断できます。もし \(M\) が分母になかったら、質量の次元が残ってしまい間違いです。
- 極限的なケースでの検算:
- \(M \to \infty\) (木材が巨大で動かない)としてみます。
- 問(3)の深さ \(d’ = \frac{M}{m+M}d \to d\) となり、固定された場合(問1)と一致します。
- 問(3)の速さ \(v = \frac{m}{m+M}v_0 \to 0\) となり、壁にぶつかって止まることと一致します。
- \(m \to 0\) (弾丸が軽すぎる)としてみます。
- \(d’ \to d\) となり、木材を動かすことなくめり込む(木材の影響を受けない)ことと一致します。
- 変数の依存性の確認:
- 問(4)で \(v_2\) を求める際、\(d\) が \(v_0\) の関数であることを忘れずに代入しましょう。\(d\) を定数として扱ってしまうと、答えに \(v_0\) が現れず、物理的におかしな結果になります。
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問題17 保存則 (東京電機大+日本大)
【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド
- 提示する別解
- 設問(2)の別解: 反発係数の式を用いた解法
- 模範解答がエネルギー保存則を用いるのに対し、別解では弾性衝突の条件(反発係数 \(e=1\))を直接用いて連立方程式を簡略化します。
- 設問(3)(5)の別解: 重心系(相対運動エネルギー)を用いた解法
- 2体問題において、最高点到達時は相対速度が \(0\) になることに着目し、相対運動エネルギーの保存則を用いて高さを一発で求めます。
- 設問(3)(5)の別解: 微積分を用いた体系的解法(一括解説)
- 運動方程式を立式し、それを積分することで運動量保存則とエネルギー保存則を導出します。特に、内力のみが働く系での重心運動の保存則と、相対運動のエネルギー保存則を体系的に示します。
- 設問(2)の別解: 反発係数の式を用いた解法
- 上記の別解が有益である理由
- 反発係数: 2次方程式を解く手間を省き、計算ミスを減らせます。
- 重心系: 重心速度の計算をスキップして、直接エネルギーの関係式から答えを導けるため、計算量が大幅に削減されます。
- 微積分: 保存則が「天から降ってきた公式」ではなく、ニュートンの運動方程式から必然的に導かれるものであることを理解し、物理的洞察を深めます。
- 結果への影響
- いずれのアプローチを用いても、最終的に得られる答えは模範解答と完全に一致します。
この問題のテーマは「曲面を持つ台と小球の相互作用」です。
前半は台が固定された状態での運動、後半は台が自由に動ける状態での運動を扱います。特に後半は、水平方向の運動量保存則と力学的エネルギー保存則を連立させる典型的な良問です。
問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。
- 力学的エネルギー保存則: 摩擦がないため、重力による位置エネルギーと運動エネルギーの総和は保存されます。
- 運動量保存則: 水平方向には外力が働かないため、系全体の水平方向の運動量の総和は保存されます。
- 弾性衝突: エネルギー損失がない衝突であり、反発係数は \(e=1\) となります。
- 最高点の条件: 台の上で小球が最高点に達したとき、台に対する小球の相対速度(の鉛直成分だけでなく水平成分も)は \(0\) になります。つまり、小球と台の水平速度は等しくなります。
基本的なアプローチは以下の通りです。
- (1)では、台が固定されているため、単純なエネルギー保存則を用います。
- (2)では、弾性衝突の条件(反発係数 \(e=1\))と運動量保存則を連立させます。
- (3)では、最高点での速度条件(相対速度 \(0\))に着目し、運動量保存則とエネルギー保存則を連立させます。
- (4)(5)では、ストッパーがないため最初から台が動く点に注意しつつ、同様に保存則を適用します。
問(1)
ここから先が、他の受験生と差がつく重要パートです。
「解法に至る思考プロセス」を
全て言語化した、超詳細解説。
なぜその公式を使うのか?どうしてその着眼点を持てるのか?
市販の解説では省略されてしまう「行間の思考」を、泥臭く解説しています。
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