無料でしっかり基礎固め!高校物理 問題演習「縦波の横波表示:密・疎な点と媒質の振動速度の特定」

問題の確認

wave#02

各設問の思考プロセス

(1) 最も密な点

  1. 「密」の定義の確認: 縦波において媒質が最も密になるのは、周囲の媒質が集まってきている場所です。
  2. 横波表示との対応: 横波表示のグラフでは、媒質の変位 \(y\) が0であり、かつグラフの接線の傾きが負である点が「密」な状態に対応します。
  3. 該当点の特定: 図中の各点について、上記条件を満たす点を探します。特に点Aと点E、点Bと点F、点Cと点Gが同位相であるという情報を考慮します。

(2) 最も疎な点

  1. 「疎」の定義の確認: 縦波において媒質が最も疎になるのは、周囲の媒質が離れていっている場所です。
  2. 横波表示との対応: 横波表示のグラフでは、媒質の変位 \(y\) が0であり、かつグラフの接線の傾きが正である点が「疎」な状態に対応します。
  3. 該当点の特定: 図中の各点について、上記条件を満たす点を探します。

(3) 媒質の振動の速さが0の点

  1. 単振動における速さ0の条件: 媒質の各点は単振動を行っており、その速さが0になるのは変位が最大(振動の折り返し点)のときです。
  2. 横波表示との対応: 横波表示のグラフで、\(y\) の値(変位)が正または負の最大値をとる点を探します。点Fが点Bと同位相の山の頂点であるという情報を考慮します。
  3. 該当点の特定: 図中の各点について、上記条件を満たす点を探します。

(4) 媒質の振動の速さが最大の点

  1. 単振動における速さ最大の条件: 媒質の各点は単振動を行っており、その速さが最大になるのは変位が0(振動の中心、つり合いの位置)のときです。
  2. 横波表示との対応: 横波表示のグラフで、\(y=0\) となる点を探します。
  3. 該当点の特定: 図中の各点について、上記条件を満たす点を探します。

各設問の具体的な解説と解答

まず、図中の各点の状態を、与えられた情報に基づいて確認します。

  • 点A: \(y=0\)(変位ゼロ)。グラフの接線の傾きは正。
  • 点B: \(y\)が正の最大値(変位が正で最大、波の山の頂点)。グラフの接線の傾きは0。
  • 点C: \(y=0\)(変位ゼロ)。グラフの接線の傾きは負。
  • 点D: \(y\)が負の最大値(変位が負で最大、波の谷の底)。グラフの接線の傾きは0。
  • 点E: \(y=0\)(変位ゼロ)。グラフの接線の傾きは正。
  • 点F: \(y\)が正の最大値(変位が正で最大、波の山の頂点)。グラフの接線の傾きは0。
  • 点G: \(y=0\)(変位ゼロ)。グラフの接線の傾きは負。

(1) 最も密な点

問われている内容の明確化:

媒質が最も圧縮されて密度が最大になっている点を特定します。

具体的な解説と計算手順:

横波表示のグラフで変位 \(y\) が0であり、かつグラフの接線の傾きが負である点が密な点となります。
各点の状態を確認すると、

  • 点C: \(y=0\)、傾きは負。
  • 点G: \(y=0\)、傾きは負(点Cと同位相のため)。

したがって、点Cと点Gで媒質は最も密になります。

関連する物理概念: 縦波の密な点

縦波において、媒質が最も密になる条件は、横波表示した変位 \(y(x)\) において、\(y=0\) かつその点での変位の空間的変化率(傾き) \(\frac{dy}{dx} < 0\) となる点です。

計算方法の平易な説明:

縦波の「密」なところは、媒質がぎゅっと押し込まれている場所です。横波の形で表した図では、媒質の右向きの変位が急速に減っていく場所(坂道を下っている途中で、変位が0のところ)がこれにあたります。図を見ると、点Cと点Gがこの条件に合います。

この設問における重要なポイント:

  • 縦波の「密」は、媒質の変位が0で、変位のグラフの傾きが負の点に対応する。
  • 同位相の点の性質は同じである(点Gが点Cと同位相なので、点Cが密ならば点Gも密)。
解答 (1):
C, G

(2) 最も疎な点

問われている内容の明確化:

媒質が最も引き伸ばされて密度が最小になっている点を特定します。

具体的な解説と計算手順:

横波表示のグラフで変位 \(y\) が0であり、かつグラフの接線の傾きが正である点が疎な点となります。
各点の状態を確認すると、

  • 点A: \(y=0\)、傾きは正。
  • 点E: \(y=0\)、傾きは正。

点Cと点Gは傾きが負なので該当しません。したがって、点Aと点Eで媒質は最も疎になります。

関連する物理概念: 縦波の疎な点

縦波において、媒質が最も疎になる条件は、横波表示した変位 \(y(x)\) において、\(y=0\) かつその点での変位の空間的変化率(傾き) \(\frac{dy}{dx} > 0\) となる点です。

計算方法の平易な説明:

縦波の「疎」なところは、媒質がびよーんと引き伸ばされている場所です。横波の形で表した図では、媒質の右向きの変位が急速に増えていく場所(坂道を上っている途中で、変位が0のところ)がこれにあたります。図を見ると、点Aと点Eがこの条件に合います。

この設問における重要なポイント:

  • 縦波の「疎」は、媒質の変位が0で、変位のグラフの傾きが正の点に対応する。
解答 (2):
A, E

(3) 媒質の振動の速さが0の点

問われている内容の明確化:

媒質の粒子が振動している中で、その振動の速さが瞬間的に0になる点を特定します。

具体的な解説と計算手順:

単振動において、振動の速さが0になるのは、変位が最大となるとき(振動の「折り返し点」)です。横波表示のグラフでは、\(y\) の絶対値が最大となる点が該当します。
各点の状態を確認すると、

  • 点B: \(y\) が正の最大値。
  • 点D: \(y\) が負の最大値。
  • 点F: \(y\) が正の最大値(点Bと同位相の山の頂点)。

したがって、点B、点D、点Fで、媒質の振動の速さは0になります。

関連する物理概念: 単振動における速度

単振動において、媒質の変位が最大(\(y=\pm A\)、\(A\)は振幅)のとき、振動の速さは \(0\) となります。

計算方法の平易な説明:

媒質が振動する速さが0になるのは、ブランコが一番高いところまで振れて、一瞬止まってから反対方向に動き出す瞬間と同じです。波の図で言うと、波の山のてっぺん(一番高いところ)や谷の底(一番低いところ)がこれにあたります。図から、点B、点D、点Fがこの条件に合います。

この設問における重要なポイント:

  • 単振動において、速さが0になるのは変位が最大の点である。
  • 図から、変位が最大となる点を正確に特定すること。
解答 (3):
B, D, F

(4) 媒質の振動の速さが最大の点

問われている内容の明確化:

媒質の粒子が振動している中で、その振動の速さが最大になる点を特定します。

具体的な解説と計算手順:

単振動において、振動の速さが最大になるのは、変位が0のとき、つまり振動の中心(つり合いの位置)を通過する瞬間です。横波表示のグラフでは、\(y=0\) となる点が該当します。
各点の状態を確認すると、

  • 点A: \(y=0\)。
  • 点C: \(y=0\)。
  • 点E: \(y=0\)。
  • 点G: \(y=0\)。

これらの点で、媒質の振動の速さは最大になります。

関連する物理概念: 単振動における速度

単振動において、媒質の変位が \(0\)(つり合いの位置)のとき、振動の速さは最大となります。

計算方法の平易な説明:

媒質が振動する速さが最大になるのは、ブランコが一番低いところ(つり合いの位置)を最も勢いよく通過する瞬間と同じです。波の図で言うと、変位が0、つまり \(x\)軸と交わっているところがこれにあたります。図を見ると、点A、点C、点E、そして点Gがこの条件に合います。

この設問における重要なポイント:

  • 単振動において、速さが最大になるのは変位が0の点(つり合いの位置)である。
解答 (4):
A, C, E, G

 


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問題全体を通して理解しておくべき重要な物理概念や法則

  • 縦波と横波の表示: 縦波は媒質の振動方向と波の進行方向が平行な波(疎密波)です。その変位(進行方向と同じ向きを正)を縦軸に、媒質のつり合いの位置を横軸にとると、横波のような形(正弦波など)で表示できます。
  • 縦波の密と疎:
    • 密な点: 媒質の密度が周囲より高い点。横波表示では、変位が0で、変位グラフの傾きが負の点。
    • 疎な点: 媒質の密度が周囲より低い点。横波表示では、変位が0で、変位グラフの傾きが正の点。
  • 媒質の単振動: 波が伝わるとき、媒質の各点はそのつり合いの位置を中心に単振動(またはそれに近い振動)をします。
  • 単振動における速度と変位の関係:
    • 変位が最大の点(振動の両端)で、速度は0になります。
    • 変位が0の点(振動の中心)で、速度は最大になります。
  • 波の進行方向と媒質の振動方向: 縦波では、この二つの方向は平行です。横波表示のグラフの縦軸は、この進行方向と平行な向きの変位を表しています。
  • 同位相: 波において、同じ振動状態にある点を同位相といいます。同位相の点同士は、波長 \(\lambda\) の整数倍だけ離れています。

類似の問題を解く上でのヒントや注意点

  • グラフの軸の意味の確認: 与えられたグラフが何を表しているのか(この場合は縦波の変位の横波表示)を正確に理解することが第一歩です。縦軸が変位であること、それが縦波の進行方向と同じ向きの変位であることを押さえましょう。
  • 密・疎の判断: 単純に変位の大小で判断するのではなく、周囲の媒質が集まってくるか(密)、離れていくか(疎)を考える必要があります。これは変位グラフの傾きと関連しています。
  • 「波の速さ」と「媒質の振動の速さ」の区別: これらは全く異なるものです。波の速さ \(v\) は波形全体が進む速さであり、媒質の振動の速さは媒質の各点が振動する速さで、時間とともに変化します。この問題は「媒質の振動の速さ」について問うています。
  • 図の正確な読み取りと指示の確認: 問題図の点の位置や、注釈・指示(例: FがBと、GがCと同位相など)を正確に把握することが、正しい解答への鍵となります。

よくある誤解や間違いやすいポイント

  • 密な点・疎な点を変位の最大・最小点と誤解する: 変位が最大の点(B、D、F)は媒質の振動の速さが0になる点であり、密や疎の中心ではありません。密・疎の中心は変位が0の点(A、C、E、G)の中で、傾きによって決まります。
  • 横波表示を実際の波の形と完全に同一視する: 横波表示はあくまで縦波の「変位」を視覚的に分かりやすく表現したものです。実際の媒質の動きはx軸方向であることを忘れないようにしましょう。
  • 点の選び漏れ・選びすぎ: 条件に合う点が複数ある場合は、全てを解答する必要があります。図の解釈や条件が変わると、該当する点の数も変わることに注意が必要です。

 


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