Step 2
457 原子核の崩壊
【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド
この問題のテーマは「半減期と質量保存則の応用」です。
問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。
- α崩壊の法則: 原子核がα粒子(\({}_{2}^{4}\text{He}\))を放出する現象で、反応の前後で質量数と原子番号が保存されます。
- 半減期の公式: 放射性原子の数\(N\)は、初めの数\(N_0\)、半減期\(T\)、経過時間\(t\)を用いて、\(N = N_0 \left(\displaystyle\frac{1}{2}\right)^{\frac{t}{T}}\) と表されます。この関係は、原子の個数だけでなく、その質量についても同様に成り立ちます。
- 質量保存の考え方: 崩壊によって減少したポロニウムの質量が、生成されたヘリウムと新しい原子核(鉛)の質量に変わります。ただし、質量欠損によるエネルギー放出は非常に小さいため、質量の計算では無視できるものとします。
- 物質量と質量の関係: 物質の質量は、その物質を構成する原子の物質量(モル数)とモル質量に比例します。同じ物質量であれば、質量は質量数に比例すると近似できます。
基本的なアプローチは以下の通りです。
- (1)では、α崩壊の定義に従って、質量数と原子番号の変化を記述します。
- (2)では、半減期の公式を質量に適用し、与えられた初期質量、半減期、経過時間から残存質量を計算します。
- (3)では、まず(2)の結果から崩壊したポロニウムの質量を計算します。次に、崩壊したポロニウムと生成されたヘリウムの質量の比が、それぞれの質量数の比に等しいことを利用して、生成されたヘリウムの質量を求めます。
問(1)
思考の道筋とポイント
α崩壊とは、原子核がα粒子(ヘリウム原子核 \({}_{2}^{4}\text{He}\))を放出する現象です。このとき、核反応の前後で質量数と原子番号の和はそれぞれ保存されます。このルールに従って、崩壊後に残った新しい原子核の質量数と原子番号を求めます。
この設問における重要なポイント
- α粒子は、質量数4、原子番号2のヘリウム原子核である。
- 質量数保存則と原子番号保存則が成り立つ。
具体的な解説と立式
元の原子核はポロニウム\({}_{84}^{210}\text{Po}\)です。α崩壊によって生じる新しい原子核の質量数を\(A’\)、原子番号を\(Z’\)とします。
α崩壊の反応式は次のように書けます。
$$ {}_{84}^{210}\text{Po} \rightarrow {}_{Z’}^{A’}\text{Y} + {}_{2}^{4}\text{He} $$
質量数保存則より、
$$ 210 = A’ + 4 $$
原子番号保存則より、
$$ 84 = Z’ + 2 $$
使用した物理公式
- 質量数保存則
- 原子番号保存則
$$ A’ = 210 – 4 = 206 $$
$$ Z’ = 84 – 2 = 82 $$
原子番号82の元素は鉛(Pb)です。
α崩壊は、原子核から「質量数が4で原子番号が2の粒子」が飛び出す現象です。したがって、残された原子核は、元のポロニウムに比べて質量数が4、原子番号が2だけ減少します。
生じる原子の質量数は206、原子番号は82です。
問(2)
思考の道筋とポイント
放射性物質の量は、半減期ごとに半分になります。この関係は、原子の個数だけでなく、その質量についても同様に成り立ちます。半減期の公式を質量に適用し、与えられた値を代入して計算します。
この設問における重要なポイント
- 半減期の公式は質量にも適用できる: \(M = M_0 \left(\displaystyle\frac{1}{2}\right)^{\frac{t}{T}}\)
- 経過時間\(t=69\)日、半減期\(T=138\)日なので、指数部分は \(\displaystyle\frac{69}{138} = \displaystyle\frac{1}{2}\) となる。
具体的な解説と立式
初めのポロニウムの質量を\(M_0\)、半減期を\(T\)、経過時間を\(t\)とします。
\(t\)日後に残っているポロニウムの質量を\(M\)とすると、次の式が成り立ちます。
$$ M = M_0 \left(\frac{1}{2}\right)^{\frac{t}{T}} $$
問題文より、\(M_0 = 2.0\) g, \(t = 69\) 日, \(T = 138\) 日です。これらの値を代入します。
$$ M = 2.0 \times \left(\frac{1}{2}\right)^{\frac{69}{138}} $$
使用した物理公式
- 放射性崩壊の法則(質量バージョン): \(M = M_0 \left(\displaystyle\frac{1}{2}\right)^{\frac{t}{T}}\)
$$
\begin{aligned}
M &= 2.0 \times \left(\frac{1}{2}\right)^{\frac{1}{2}} \\[2.0ex]
&= 2.0 \times \frac{1}{\sqrt{2}} \\[2.0ex]
&= \frac{2.0}{1.41} \\[2.0ex]
&\approx 1.418\dots
\end{aligned}
$$
有効数字2桁で答えるため、\(1.4\) g となります。
半減期は138日です。問題で問われているのは69日後なので、ちょうど半減期の半分(\(1/2\)回分)の時間が経過したことになります。量が半分になるまでの半分なので、少しややこしいですが、公式 \(M = M_0 (\frac{1}{2})^{t/T}\) に \(t=69, T=138\) を入れると、指数が \(1/2\) になります。\((\frac{1}{2})^{1/2}\) は \(\frac{1}{\sqrt{2}}\) のことなので、初めの質量2.0gを\(\sqrt{2} \approx 1.41\)で割れば、残っている質量が求まります。
69日後に残っているポロニウムは \(1.4\) g です。半減期(138日)が経過すると1.0gになるはずなので、その半分の期間である69日後にはそれより多い1.4gが残っているという結果は、物理的に妥当です。
問(3)
思考の道筋とポイント
(2)の結果から、崩壊したポロニウムの質量をまず計算します。次に、質量保存の考え方を用います。崩壊したポロニウム(\({}^{210}\text{Po}\))は、新しい原子核である鉛(\({}^{206}\text{Pb}\))とヘリウム(\({}^{4}\text{He}\))に変わります。このとき、崩壊したポロニウムの質量と、生成されたヘリウムの質量の比は、それぞれの質量数の比にほぼ等しいと考えることができます。この比例関係を用いて、発生したヘリウムの質量を求めます。
この設問における重要なポイント
- 崩壊したポロニウムの質量 = 初めの質量 – 残っている質量
- 崩壊したポロニウムの質量と、生成されたヘリウムの質量の比は、それぞれの質量数の比に等しいと近似できる。
- (\(\text{崩壊したPoの質量}\)) : (\(\text{生成されたHeの質量}\)) \(\approx\) (\(\text{Poの質量数}\)) : (\(\text{Heの質量数}\))
具体的な解説と立式
まず、69日間で崩壊したポロニウムの質量 \(\Delta M_{\text{Po}}\) を計算します。
$$ \Delta M_{\text{Po}} = (\text{初めの質量}) – (\text{残っている質量}) = 2.0 – 1.4 = 0.6 \text{ g} $$
この \(0.6\) g のポロニウムが崩壊して、鉛とヘリウムが生成されました。
ここで、崩壊したポロニウムの原子の数を\(N\)個とすると、その質量はポロニウムの質量数210に比例します。一方、同じ\(N\)個のポロニウムが崩壊してできるヘリウムの原子の数も\(N\)個であり、その質量はヘリウムの質量数4に比例します。
したがって、崩壊したポロニウムの質量と、それによって生成されたヘリウムの質量 \(m_{\text{He}}\) の間には、次の比例関係が成り立ちます。
$$ \Delta M_{\text{Po}} : m_{\text{He}} \approx (\text{Poの質量数}) : (\text{Heの質量数}) $$
$$ 0.6 : m_{\text{He}} \approx 210 : 4 $$
使用した物理公式
- 質量保存の考え方(質量欠損は無視)
- 質量と質量数の比例関係
上記の比例式を \(m_{\text{He}}\) について解きます。
$$
\begin{aligned}
m_{\text{He}} \times 210 &= 0.6 \times 4 \\[2.0ex]
m_{\text{He}} &= \frac{0.6 \times 4}{210} \\[2.0ex]
&= \frac{2.4}{210} \\[2.0ex]
&\approx 0.0114\dots
\end{aligned}
$$
これを有効数字2桁で表すと、\(1.1 \times 10^{-2}\) g となります。
まず、どれだけのポロニウムが崩壊したかを計算します。初め2.0gあったものが1.4g残っているので、\(2.0 – 1.4 = 0.6\)g が崩壊したことになります。
ポロニウム(重さの目安210)が崩壊すると、ヘリウム(重さの目安4)ができます。つまり、重さ210のものが崩壊して、重さ4のものが生まれる関係です。
したがって、「崩壊したポロニウムの実際の重さ(0.6g)」と「生まれたヘリウムの実際の重さ」の比は、「ポロニウムの重さの目安(210)」と「ヘリウムの重さの目安(4)」の比と同じになります。この比例式を解けば、生まれたヘリウムの重さがわかります。
発生したヘリウムの質量は \(1.1 \times 10^{-2}\) g です。崩壊したポロニウムの質量(0.6g)に比べて非常に小さい値であり、質量数の比(4/210)を考えても妥当な結果です。
【総まとめ】この一問を未来の得点力へ!完全マスター講座
最重要ポイント:この問題の核心となる物理法則は?
- 半減期の法則(質量への適用):
- 核心: 放射性原子の数が半減期ごとに半分になるという法則は、原子の個数だけでなく、その物質の「質量」にもそのまま適用できるという点を理解することが(2)を解く鍵です。
- 理解のポイント: 放射性物質の質量は、そこに含まれる原子の数に比例します。したがって、原子の数が \(N = N_0 (\frac{1}{2})^{t/T}\) という式で減少するならば、質量も全く同じ形の式 \(M = M_0 (\frac{1}{2})^{t/T}\) で減少します。
- 化学変化における質量比の保存(質量数による近似):
- 核心: (3)では、崩壊したポロニウムの質量と、それによって生成されたヘリウムの質量の比が、それぞれの原子の質量数の比(210 : 4)に等しい、という考え方を用います。
- 理解のポイント: ポロニウム原子が1個崩壊すると、ヘリウム原子が1個生成されます。つまり、反応に関わる原子の「個数」は1対1です。そして、原子1個の質量は、その質量数にほぼ比例します。したがって、反応する物質全体の質量の比も、質量数の比で近似できるのです。
応用テクニック:似た問題が出たらココを見る!解法の鍵と着眼点
- 応用できる類似問題のパターン:
- 生成されたもう一方の原子の質量: (3)でヘリウムではなく、生成された鉛(\({}^{206}\text{Pb}\))の質量を問う問題。考え方は同じで、(\(\text{崩壊したPoの質量}\)) : (\(\text{生成されたPbの質量}\)) \(\approx 210 : 206\) という比例式を立てます。
- 原子の個数を問う問題: 「初めにポロニウムが\(N\)個あった」という設定で、残っている個数や生成されたヘリウムの個数を計算させる問題。アボガドロ定数を用いて質量と個数を変換させる問題も考えられます。
- 経過時間や半減期が未知数の問題: 逆に、残存質量から経過時間や半減期を逆算させる問題。この場合は対数計算が必要になります。
- 初見の問題での着眼点:
- 量の単位を確認: 問題で扱われている量が「質量(g)」なのか、「原子の個数」なのか、それとも「物質量(mol)」なのかを最初に確認します。
- 時間と半減期の関係: 経過時間\(t\)と半減期\(T\)の比 \(\frac{t}{T}\) が、\(\frac{1}{2}, 1, 2, 3\) のような簡単な数値になることが多いです。まずこの比を計算してみましょう。
- 「崩壊した量」と「残存した量」の区別: (3)のように生成物の量を問われた場合、計算に使うのは「崩壊した量」です。「残存した量」と混同しないように注意が必要です。図を描いて質量の流れを整理すると効果的です。
要注意!ありがちなミス・誤解とその対策
- 指数の計算ミス:
- 誤解: (2)で、\((\frac{1}{2})^{1/2}\) を \(\frac{1}{2}\) や \(2\) などと勘違いしてしまう。
- 対策: \(a^{1/2} = \sqrt{a}\) という指数の基本ルールを正確に思い出すことが重要です。\((\frac{1}{2})^{1/2} = \frac{1}{\sqrt{2}}\) となります。
- (3)で使う質量の選択ミス:
- 誤解: 生成されたヘリウムの質量を計算する際に、崩壊したポロニウムの質量(0.6g)ではなく、残っているポロニウムの質量(1.4g)や、初めの質量(2.0g)を使って比例式を立ててしまう。
- 対策: 「崩壊したポロニウムが、鉛とヘリウムに変わった」という因果関係を明確に意識します。生成物の量は、あくまで「崩壊した量」に比例します。
- 比例式の立て方ミス:
- 誤解: (3)で、\(0.6 : m_{\text{He}} \approx 4 : 210\) のように、質量数の比を逆にしてしまう。
- 対策: 「(\(\text{崩壊Poの質量}\)) : (\(\text{生成Heの質量}\)) \(\approx\) (\(\text{Poの質量数}\)) : (\(\text{Heの質量数}\))」のように、対応する物質が同じ側に来るように、言葉で確認しながら式を立てる癖をつけましょう。
なぜその公式?論理的な公式選択と適用の思考法
- 半減期の公式 \(M = M_0 (\displaystyle\frac{1}{2})^{t/T}\):
- 選定理由: (2)は、放射性物質の量が時間とともにどう変化するかを問う問題であり、この現象を記述する最も基本的な公式だからです。
- 適用根拠: 放射性崩壊は、個々の原子核がいつ崩壊するかは確率的ですが、原子の集団として見ると、その減少率は統計的に安定し、指数関数的な減少を示します。原子1個の質量は一定なので、原子の総数に比例する全体の質量も、同じ指数関数に従って減少します。
- 質量比と質量数比の近似:
- 選定理由: (3)では、崩壊によって失われたポロニウムの質量と、それによって生成されたヘリウムの質量という、異なる2種類の物質の質量関係を求める必要があります。これらを結びつけるのが、反応に関わる原子の個数が等しいことと、原子の質量が質量数に比例するという考え方です。
- 適用根拠: 反応式 \({}^{210}\text{Po} \rightarrow {}^{206}\text{Pb} + {}^{4}\text{He}\) は、ポロニウム原子が1個崩壊するとヘリウム原子が1個生成されることを意味します。したがって、崩壊したポロニウムの物質量(モル数)と生成されたヘリウムの物質量は等しくなります。物質の質量は「物質量 × モル質量」であり、モル質量は質量数にほぼ比例するため、質量の比は質量数の比で近似できるのです。
計算ミスをなくす!日頃の意識と実践テクニック
- 平方根の計算: (2)の \(\displaystyle\frac{2.0}{\sqrt{2}}\) は、分母を有理化して \(\displaystyle\frac{2.0\sqrt{2}}{2} = 1.0\sqrt{2}\) と変形してから、\(\sqrt{2} \approx 1.41\) を代入すると、割り算よりも掛け算になり計算しやすくなります。
- 質量の流れを図で整理する:初め: Po (2.0g)↓ 69日後残存Po (1.4g) + 崩壊Po (0.6g)↓生成He (\(m_{\text{He}}\)) + 生成Pbこのように図示することで、(3)の計算で使うべきは「崩壊Po (0.6g)」であることが一目瞭然になります。
- 有効数字の意識: (2)では、\(2.0\)gという初期値が有効数字2桁なので、答えも1.4gと2桁で答えます。計算途中の\(\sqrt{2}\)は\(1.41\)のように少し多めの桁で計算し、最後に丸めるのが基本です。
- 比例式の計算: (3)の \(m_{\text{He}} = \displaystyle\frac{0.6 \times 4}{210}\) の計算では、\(m_{\text{He}} = 0.6 \times \displaystyle\frac{4}{210} \approx 0.6 \times 0.019 \approx 0.0114\) のように、分数部分を先に小数に直してから掛けるなど、自分がミスしにくい手順で計算しましょう。
458 放射能
【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド
この問題のテーマは「放射能(カウント数)と半減期の関係」です。
問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。
- 放射能と原子数の比例関係: 単位時間あたりの放射線のカウント数(放射能)は、その瞬間に存在する放射性原子の数に比例します。
- 半減期の法則: 放射性原子の数は、半減期\(T\)ごとに半分になります。この法則は、原子の数に比例するカウント数にも同様に適用できます。
- 等比数列: 一定の時間が経過するごとに、カウント数が一定の比率で減少していくため、各時点でのカウント数は等比数列をなします。
基本的なアプローチは以下の通りです。
- 最初のカウント数と、2日後のカウント数の比を計算します。
- カウント数が2日間でどれだけの割合に減少したかがわかります。
- 放射能の減少は時間に対して指数関数的(等比数列的)なので、さらに2日後も同じ割合で減少すると考えられます。
- 2日後のカウント数に、求めた減少率を掛けることで、4日後のカウント数を計算します。
思考の道筋とポイント
この問題の鍵は、「単位時間あたりのカウント数は、その瞬間の放射性原子の数に比例する」という事実にあります。放射性原子の数が半減期ごとに半分になるのであれば、それに比例するカウント数も、同じ半減期で半分になります。
したがって、半減期の公式はカウント数にもそのまま適用できます。
\(C = C_0 \left(\displaystyle\frac{1}{2}\right)^{\frac{t}{T}}\)
ただし、この問題では半減期\(T\)を具体的に求める必要はありません。2日間でカウント数がどう変化したかの「比」を見つけることで、次の2日間の変化も予測できる、という等比数列の考え方で解くのが最もシンプルです。
この設問における重要なポイント
- カウント数(放射能)は、放射性原子の数に比例する。
- したがって、カウント数も半減期の法則に従って減少する。
- 一定時間ごとのカウント数は、等比数列をなす。
具体的な解説と立式
最初のカウント数を \(C_0 = 4800\) カウントとします。
2日後のカウント数を \(C_2 = 600\) カウントとします。
さらに2日後(最初から4日後)のカウント数を \(C_4\) とします。
カウント数は、一定時間(この場合は2日間)が経過するごとに、一定の比率で減少していきます。
まず、2日間でカウント数が何倍になったか(公比)を計算します。
$$ \text{公比} = \frac{C_2}{C_0} = \frac{600}{4800} $$
この公比は、次の2日間でも同じはずです。したがって、4日後のカウント数\(C_4\)は、2日後のカウント数\(C_2\)にこの公比を掛けることで求められます。
$$ C_4 = C_2 \times (\text{公比}) = C_2 \times \frac{C_2}{C_0} $$
使用した物理公式
- 放射能と原子数の比例関係: \(C \propto N\)
- 半減期の法則(カウント数バージョン): \(C = C_0 \left(\displaystyle\frac{1}{2}\right)^{\frac{t}{T}}\)
公比を計算します。
$$ \frac{600}{4800} = \frac{6}{48} = \frac{1}{8} $$
2日間でカウント数は \(\displaystyle\frac{1}{8}\) になることがわかりました。
したがって、さらに2日後(合計4日後)のカウント数\(C_4\)は、2日後のカウント数600に、この比率を掛けることで求められます。
$$
\begin{aligned}
C_4 &= 600 \times \frac{1}{8} \\[2.0ex]
&= \frac{600}{8} \\[2.0ex]
&= 75
\end{aligned}
$$
この問題は、シンプルな比の計算で解くことができます。最初のカウント数は4800でした。2日後には600になりました。これは、\(4800 \div 600 = 8\) なので、2日間でカウント数が \(1/8\) になったことを意味します。放射性物質の減り方は規則的なので、さらに2日経てば、また \(1/8\) になるはずです。したがって、求めるカウント数は、600カウントの \(1/8\) を計算すればよく、\(600 \div 8 = 75\) カウントとなります。
さらに2日後のカウント数は75カウントです。ちなみに、2日間で\(1/8 = (\frac{1}{2})^3\) になるので、2日間は半減期3回分に相当します。つまり、半減期は \(T = 2/3\) 日です。4日後は半減期6回分に相当するので、カウント数は \(4800 \times (\frac{1}{2})^6 = 4800 \div 64 = 75\) となり、計算結果が正しいことが確認できます。
【総まとめ】この一問を未来の得点力へ!完全マスター講座
最重要ポイント:この問題の核心となる物理法則は?
- 放射能と原子数の比例関係:
- 核心: この問題の全ての前提となる最も重要な法則は、「単位時間あたりの放射線のカウント数(放射能)は、その瞬間に存在する放射性原子の数に比例する」という点です。
- 理解のポイント: 放射性崩壊は、個々の原子核が一定の確率で崩壊する現象です。そのため、原子核がたくさんあればあるほど、単位時間あたりに崩壊する数も多くなります。この単純な比例関係(\(C \propto N\))があるからこそ、原子の数について成り立つ半減期の法則を、観測できるカウント数にもそのまま適用できるのです。
- 半減期の法則(等比数列としての理解):
- 核心: 放射性原子の数(およびカウント数)は、半減期ごとに半分になるという法則は、見方を変えれば「一定時間が経過するごとに、一定の比率で減少していく」等比数列の性質を持つことを意味します。
- 理解のポイント: この問題では、半減期\(T\)を具体的に計算しなくても、「2日間でカウント数が\(\displaystyle\frac{1}{8}\)倍になる」という公比を見つけることで、次の2日間の変化も予測できます。この等比数列的な捉え方が、問題を最もシンプルかつ迅速に解く鍵となります。
応用テクニック:似た問題が出たらココを見る!解法の鍵と着眼点
- 応用できる類似問題のパターン:
- 半減期や経過時間を求める問題: 逆に、カウント数の変化から半減期\(T\)や経過時間\(t\)を求める問題。この場合は、\(C = C_0 (\frac{1}{2})^{t/T}\) の式に値を代入し、対数計算が必要になることがあります。
- グラフ問題: 縦軸をカウント数(またはその対数)、横軸を時間としたグラフが与えられ、半減期を読み取らせる問題。通常の目盛りのグラフでは指数関数曲線、片対数グラフでは直線になります。
- バックグラウンド放射能: 「測定値には常に10カウントのバックグラウンド放射能が含まれる」といった条件が付く問題。この場合は、まず観測されたカウント数からバックグラウンドの値を引き算し、放射性物質から真に放出されたカウント数を求めてから計算を始める必要があります。
- 初見の問題での着眼点:
- 比例関係を思い出す: 「カウント数」という言葉を見たら、まず「その瞬間の原子数に比例する」という大原則を思い出します。
- 等比数列として捉える: 一定時間ごとのカウント数が与えられたら、「これは等比数列だ」と考え、公比(何倍になったか)を計算します。このアプローチが最も速いことが多いです。
- 半減期は必要か?: 問題が「さらに○日後のカウント数」を問うている場合、半減期\(T\)そのものの値を計算する必要はない可能性が高いです。公比を見つける解法を優先しましょう。
要注意!ありがちなミス・誤解とその対策
- 等差数列との混同:
- 誤解: 2日間で \(4800 – 600 = 4200\) カウント減ったから、次の2日間でも同じく4200カウント減ると考えてしまう。
- 対策: 放射性崩壊は「残っている数に比例して減る」現象です。数が減れば、減る勢いも弱まります。したがって、変化は「引き算(等差)」ではなく「割り算(等比)」の関係であると強く意識することが重要です。
- 半減期の計算に固執する:
- 誤解: 放射能の問題だからと、まず半減期\(T\)を計算することから始めてしまい、時間を浪費する。
- 対策: 問題が何を求めているかを正確に把握しましょう。この問題は「4日後のカウント数」であり、半減期ではありません。最もシンプルな解法(公比を求める)が使えないか、常に最初に検討する癖をつけましょう。
- 比の計算ミス:
- 誤解: 2日後のカウント数と最初のカウント数の比を計算する際、\(4800 \div 600 = 8\) と計算し、公比を8倍と勘違いしてしまう。
- 対策: 公比は「後の値 ÷ 前の値」で計算します。\(600 \div 4800 = 1/8\)。また、「カウント数は減少しているのだから、公比は1より小さいはずだ」という物理的な感覚を持つことも、ミスを防ぐ上で有効です。
なぜその公式?論理的な公式選択と適用の思考法
- 放射能と原子数の比例関係 (\(C \propto N\)):
- 選定理由: この問題は、直接観測できる物理量である「カウント数」から、放射性崩壊の法則を類推・適用する問題です。そのため、観測量(\(C\))と理論の基本量(\(N\))を結びつけるこの比例関係が、思考の出発点として不可欠です。
- 適用根拠: 放射性崩壊は、個々の原子核が周囲の状況とは無関係に、一定の確率で自発的に崩壊する量子力学的な現象です。したがって、単位時間あたりに崩壊する原子の数(これが放射能\(C\)に相当)は、その瞬間に存在する原子の総数\(N\)に単純に比例します。この関係は \(C = \lambda N\)(\(\lambda\)は崩壊定数)と表され、放射性崩壊の最も基本的な数理モデルです。
- 等比数列の考え方:
- 選定理由: 一定時間間隔での測定値の変化を追う問題において、等比数列の考え方は最も直感的で計算が簡単なため、最適な解法となります。
- 適用根拠: 半減期の公式 \(C(t) = C_0 (\frac{1}{2})^{t/T}\) は、数学的には指数関数です。指数関数は、入力(\(t\))が等間隔で増加すると、出力(\(C(t)\))が等比数列をなすという普遍的な性質を持っています。具体的には、時間\(\Delta t\)が経過するごとに、カウント数は常に一定の比 \((\frac{1}{2})^{\Delta t/T}\) で変化します。この数学的背景が、等比数列のアプローチの正しさを保証しています。
計算ミスをなくす!日頃の意識と実践テクニック
- 簡単な整数比に直す: \(600/4800\) のような計算は、まず両端の0を消して \(6/48\) とし、さらに約分して \(1/8\) と、できるだけ簡単な分数に直してから次の計算に進むと、計算ミスが減り、現象の本質(2日間で3回半減したこと)が見えやすくなります。
- 暗算を過信しない: \(600 \div 8\) のような計算も、焦っているとミスをしやすいです。\(600 \div 2 = 300\)、\(300 \div 2 = 150\)、\(150 \div 2 = 75\) のように、段階的に2で割っていくと確実です。
- 時系列で情報を整理する: 問題の数値を時系列に沿って書き出すことで、関係性が明確になります。
- 時刻 0日: 4800 カウント
- 時刻 2日: 600 カウント
- 時刻 4日: ? カウント
このように並べることで、2日ごとに値がどう変化しているかを視覚的に捉えやすくなります。
- 検算の習慣: 求めた答え(75)を使って、逆の比も確認します。\(600 \div 75 = 8\)。最初の比 \(4800 \div 600 = 8\) と一致するので、計算は正しいと確認できます。この一手間が、ケアレスミスによる失点を防ぎます。
459 核反応式
【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド
この問題のテーマは「様々な核反応式の理解と分類」です。
問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。
- 質量数保存則と原子番号保存則: すべての核反応において、反応の前後で質量数の和と原子番号の和はそれぞれ保存されます。
- α崩壊: 原子核がヘリウム原子核(\({}_{2}^{4}\text{He}\))を放出する反応です。
- β崩壊: 原子核が電子(\({}_{-1}^{0}\text{e}\))を放出し、中性子が陽子に変わる反応です。
- 核融合: 軽い原子核同士が合体して、より重い原子核になる反応です。
- 核分裂: 1つの原子核が、2つ以上のより軽い原子核に分裂する反応です。高校物理では、α崩壊もこの一種と見なすことがあります。
基本的なアプローチは以下の通りです。
- まず、各反応式の空欄(ア〜エ)を、質量数保存則と原子番号保存則を用いて埋めます。
- 次に、完成した4つの反応式が、それぞれα崩壊、β崩壊、核分裂、核融合のどの定義に当てはまるかを判断し、対応する記号を選びます。
思考の道筋とポイント
この問題は、4つの異なる核反応式を完成させ、それらがどの種類の反応(α崩壊、β崩壊、核分裂、核融合)に分類されるかを答える問題です。まず、すべての核反応に共通する「質量数保存則」と「原子番号保存則」を使って、各式の空欄を埋めることが第一歩です。その後、それぞれの反応式の特徴(何が何に変わっているか)を読み取り、各反応の定義と照らし合わせます。
この設問における重要なポイント
- すべての核反応で、質量数(左上の数字)の和と原子番号(左下の数字)の和は保存される。
- α崩壊、β崩壊、核分裂、核融合のそれぞれの定義を正確に理解している。
具体的な解説と立式
【空欄を埋める】
各反応式について、質量数と原子番号の保存則を適用します。
反応式①: \({}_{1}^{2}\text{H} + {}_{1}^{3}\text{H} \rightarrow \text{ア} + {}_{0}^{1}\text{n}\)
- 質量数: \(2+3 = A_{\text{ア}} + 1\) より、\(A_{\text{ア}} = 4\)
- 原子番号: \(1+1 = Z_{\text{ア}} + 0\) より、\(Z_{\text{ア}} = 2\)
よって、アは\({}_{2}^{4}\text{He}\)(ヘリウム原子核)。
反応式②: \({}_{6}^{14}\text{C} \rightarrow {}_{\text{イ}}^{14}\text{N} + {}_{-1}^{0}\text{e}^{-}\)
- 質量数: \(14 = 14 + 0\) (保存されている)
- 原子番号: \(6 = Z_{\text{イ}} + (-1)\) より、\(Z_{\text{イ}} = 7\)
よって、イは7。
反応式③: \({}_{92}^{238}\text{U} \rightarrow {}_{90}^{234}\text{Th} + \text{ウ}\)
- 質量数: \(238 = 234 + A_{\text{ウ}}\) より、\(A_{\text{ウ}} = 4\)
- 原子番号: \(92 = 90 + Z_{\text{ウ}}\) より、\(Z_{\text{ウ}} = 2\)
よって、ウは\({}_{2}^{4}\text{He}\)(ヘリウム原子核、α粒子)。
反応式④: \({}_{92}^{235}\text{U} + {}_{0}^{1}\text{n} \rightarrow {}_{56}^{\text{エ}}\text{Ba} + {}_{36}^{92}\text{Kr} + 3{}_{0}^{1}\text{n}\)
- 質量数: \(235+1 = A_{\text{エ}} + 92 + 3 \times 1\)。これを解くと \(A_{\text{エ}} = 236 – 95 = 141\)
- 原子番号: \(92+0 = 56 + 36 + 3 \times 0\)。計算すると \(92 = 92\) となり、保存されています。
よって、エは141。
【反応式の分類】
(1) α崩壊: 1つの原子核が、α粒子(\({}_{2}^{4}\text{He}\))を放出して別の原子核に変わる反応。
- 反応式③がこれに該当します。(\({}_{92}^{238}\text{U} \rightarrow {}_{90}^{234}\text{Th} + {}_{2}^{4}\text{He}\))
(2) β崩壊: 1つの原子核が、電子(\({}_{-1}^{0}\text{e}^{-}\))を放出して別の原子核に変わる反応。
- 反応式②がこれに該当します。(\({}_{6}^{14}\text{C} \rightarrow {}_{7}^{14}\text{N} + {}_{-1}^{0}\text{e}^{-}\))
(3) 核分裂: 1つの原子核が、2つ以上のより軽い原子核に分裂する反応。
- 反応式④は、ウランが中性子を吸収し、2つの大きな原子核(Ba, Kr)に分かれる、典型的な核分裂です。
- 反応式③のα崩壊も、1つのウラン原子核がトリウム原子核とヘリウム原子核の2つに分かれるため、広い意味で核分裂の一種と見なせます。
- したがって、③と④の両方が該当します。
(4) 核融合: 2つの軽い原子核が合体して、より重い原子核を形成する反応。
- 反応式①がこれに該当します。(\({}_{1}^{2}\text{H}\)と\({}_{1}^{3}\text{H}\)が合体して\({}_{2}^{4}\text{He}\)を形成)
使用した物理公式
- 質量数保存則
- 原子番号保存則
- 各核反応の定義
上記の立式過程が計算に相当します。
この問題は、核反応のパズルと分類ゲームです。
まず、パズルを解きます。核反応では、左上の数字(質量数)と左下の数字(原子番号)の合計が、矢印の前後で必ず同じになります。このルールを使って、ア、イ、ウ、エに入る数字や記号を決定します。
次に、分類ゲームです。完成した4つの反応式を見て、それぞれの特徴から「α崩壊」「β崩壊」「核分裂」「核融合」のどれに当てはまるかを選びます。
- α崩壊: ヘリウム原子核(\({}_{2}^{4}\text{He}\))が飛び出す反応。
- β崩壊: 電子(\({}_{-1}^{0}\text{e}^{-}\))が飛び出す反応。
- 核分裂: 1つの原子核が2つ以上に割れる反応。(α崩壊もこれに含まれることがあります)
- 核融合: 軽い原子核同士が合体する反応。
各空欄と反応の種類が特定できました。それぞれの反応式は、各反応の定義と一致しており、物理的に妥当です。
ア: \({}_{2}^{4}\text{He}\), イ: 7, ウ: \({}_{2}^{4}\text{He}\), エ: 141
(1) ③
(2) ②
(3) ③, ④
(4) ①
【総まとめ】この一問を未来の得点力へ!完全マスター講座
最重要ポイント:この問題の核心となる物理法則は?
- 核反応における2大保存則:
- 核心: どのような核反応であっても、反応の前後で「質量数の和」と「原子番号の和」は必ず保存されるという、原子核物理学の最も基本的なルールです。
- 理解のポイント: この2つの保存則を適用することで、未知の粒子や数値をパズルのように特定することができます。
- 核反応の4つの基本分類:
- 核心: 様々な核反応を、その特徴に応じて4つの基本的なタイプ(α崩壊, β崩壊, 核分裂, 核融合)に分類し、それぞれの定義を正確に理解していることが重要です。
- 理解のポイント:
- α崩壊: \({}_{2}^{4}\text{He}\)を放出。
- β崩壊: \({}_{-1}^{0}\text{e}^{-}\)を放出。
- 核分裂: 1つの重い核 → 複数の軽い核。(α崩壊も広義にはこれに含まれる)
- 核融合: 複数の軽い核 → 1つの重い核。
応用テクニック:似た問題が出たらココを見る!解法の鍵と着眼点
- 応用できる類似問題のパターン:
- エネルギーの計算: 各粒子の質量が与えられ、反応前後の質量欠損から放出・吸収されるエネルギーを \(E=mc^2\) で計算させる問題。
- 人工的な核反応: 加速した陽子などを原子核に衝突させて新たな同位体を作るなど、人工的な核反応式を完成させる問題。
- 初見の問題での着眼点:
- 保存則を第一に: 核反応式を見たら、まず質量数と原子番号の保存則が成り立つことを前提に、未知数を特定することから始めます。
- 反応物の数と生成物の数:
- 反応物1つ → 生成物複数: 分裂(α崩壊や核分裂)の可能性が高い。
- 反応物複数 → 生成物1つ(または少数): 融合の可能性が高い。
- 粒子の種類に注目: 反応式に\({}_{2}^{4}\text{He}\)があればα崩壊、\({}_{-1}^{0}\text{e}^{-}\)があればβ崩壊と即座に判断できます。
- 核分裂とα崩壊の関係: 「核分裂」を問われた場合、まず④のような典型的な核分裂反応を探します。もし選択肢が複数ある場合や、模範解答が複数挙げている場合は、③のα崩壊も「1つの核が2つに分かれる」という広い定義で核分裂に含まれる可能性がある、と柔軟に考えましょう。
要注意!ありがちなミス・誤解とその対策
- 保存則の計算ミス:
- 誤解: 足し算や引き算を単純に間違える。特にβ崩壊で、\(Z = Z’ + (-1)\) のように負の数を扱う際に符号を間違えやすい。
- 対策: 矢印の左側の和と右側の和をそれぞれ計算し、「左の和 = 右の和」という等式をきちんと書き下してから、移項して解くようにしましょう。
- 核反応の分類の混同:
- 誤解: 核分裂と核融合を逆の意味で覚えてしまう。
- 対策: 「分裂」は「分かれる」、「融合」は「溶け合って一つになる」という漢字の意味そのままで覚えましょう。太陽のエネルギー源は核融合、原子力発電は核分裂、と具体例と結びつけるのも効果的です。
- α崩壊と核分裂の扱いの違い:
- 誤解: α崩壊は核分裂ではない、と厳密に考えすぎて、高校物理の問題で要求される解答(③と④の両方)を導き出せない。
- 対策: 高校物理では、用語がより広い意味で使われることがあります。「核分裂」は「1つの原子核が分裂する反応」と広く捉え、α崩壊もその一種として選択肢に含める場合があることを知っておきましょう。
なぜその公式?論理的な公式選択と適用の思考法
- 質量数保存則・原子番号保存則:
- 選定理由: この問題は、原子核の構成要素がどのように組み変わるかを問うており、その組み換えのルールそのものがこれらの保存則だからです。
- 適用根拠: これらの保存則は、より根源的な「核子数保存則」と「電荷保存則」に基づいています。核反応は、あくまで陽子や中性子の組み合わせが変わるだけで、核子や電荷が勝手に生まれたり消えたりするわけではありません。この物理学の大原則が、すべての核反応式を支配しています。
計算ミスをなくす!日頃の意識と実践テクニック
- 式の上下を分けて確認: 核反応式をチェックする際は、まず質量数(上の数字)だけを見て、左辺の和と右辺の和が等しいかを確認します。次に、原子番号(下の数字)だけを見て、同様に確認します。上下を同時に見ようとすると、混乱しやすくなります。
- 未知数を明確にする: \(A_{\text{ア}}\)や\(Z_{\text{ア}}\)のように、求める未知数が何であるかを明確に意識しながら式を立てると、計算ミスを防げます。
- 定義に立ち返る: 分類に迷ったら、各反応の最もシンプルな定義に立ち返ります。「軽いものが合体→融合」「重いものが分裂→分裂」という基本に立ち返ることで、正しい分類ができます。
[mathjax] SNSでのシェアはご自由にどうぞ。(上のボタンをクリック) ブログで引用する際には、こちらのリンクを添えてください。【引用】https://makoto-physics-school.com[…]