「センサー総合物理 3rd Edition」徹底解説!【Chapter 17】Step1 & 例題

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Step1

① 波の干渉

【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド

この問題のテーマは「波の干渉の基本原理と条件」です。
問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。

  1. 波の重ね合わせの原理
  2. 波の干渉の定義
  3. 同位相の2波源からの波の干渉条件(経路差と位相差の関係)
  4. 強め合い(同位相で重なる)と弱め合い(逆位相で重なる)の条件

基本的なアプローチは以下の通りです。

  1. 空欄①:強め合い・弱め合いが起こる現象の名称を定義から答える。
  2. 空欄②:同位相の波源から出た波が強め合うための経路差の条件を考える。
  3. 空欄③:同位相の波源から出た波が弱め合うための経路差の条件を考える。

思考の道筋とポイント
波の最も特徴的な性質の一つである「干渉」について、その定義と条件を正確に理解することが目的です。2つの波が点Pで出会うとき、それぞれの波がPに到達するまでにかかる時間が異なる場合、この「時間のズレ」が「位相のズレ」を生み、重なり合った結果を決定します。
「同位相」の波源からスタートした波が、点Pで「同位相」で出会えば強め合い、「逆位相」で出会えば弱め合います。この位相のズレは、波源からの距離の差(経路差)によって決まります。経路差が波長 \(\lambda\) の整数倍なら位相のズレはなく強め合い、半波長 \(\lambda/2\) の奇数倍なら位相が \(\pi\) (180°) ズレて弱め合います。
問題文では「半波長の何倍か」という聞き方をしているので、この点に注意して条件式を変換する必要があります。

この設問における重要なポイント

  • 波の干渉: 複数の波が重なり合うとき、場所によって波が強め合ったり弱め合ったりする現象。
  • 重ね合わせの原理: 複数の波が重なるとき、その点の変位は各波の変位の和になる。
  • 同位相: 2つの波源が同じタイミングで山や谷を生み出すこと。
  • 経路差: 2つの波源 S₁, S₂ から観測点Pまでの距離の差。\( \Delta L = |S_1P – S_2P| \)。
  • 強め合いの条件 (同位相波源): 経路差が波長の整数倍。\( \Delta L = m\lambda \) (\(m=0, 1, 2, \dots\))。これは、波がちょうど整数個分ずれて到達し、山と山、谷と谷が重なることを意味する。
  • 弱め合いの条件 (同位相波源): 経路差が半波長の奇数倍。\( \Delta L = (m+\frac{1}{2})\lambda \) (\(m=0, 1, 2, \dots\))。これは、波が半波長分ずれて到達し、山と谷が重なることを意味する。

具体的な解説と立式
この問題は、波の干渉に関する基本的な知識を問う穴埋め問題です。

  • 空欄①について
    問題文の「複数の波が重なり合って、互いに強め合ったり、弱め合ったりする現象」は、波の「干渉」の定義そのものです。したがって、①には「干渉」が入ります。
  • 空欄②(強め合いの条件)について
    2つの波源 S₁, S₂ が同位相で振動している場合、観測点Pで波が強め合うのは、2つの波がPに同位相で到達するときです。これは、2つの波源からの経路差 \( \Delta L = |S_1P – S_2P| \) が、波長 \(\lambda\) の整数倍になるときに起こります。
    $$ \Delta L = m\lambda \quad (m = 0, 1, 2, \dots) $$
    問題では「半波長(\(\lambda/2\))の何倍か」と問われているため、この式を \(\lambda/2\) を基準に変形します。
    $$ m\lambda = (\displaystyle\frac{\lambda}{2}) \times 2m $$
    ここで \(2m\) は \(0, 2, 4, \dots\) となり、0を含む偶数を表します。したがって、空欄②は「偶数」となります。
  • 空欄③(弱め合いの条件)について
    観測点Pで波が弱め合うのは、2つの波がPに逆位相で到達するときです。これは、経路差 \( \Delta L \) が、波長 \(\lambda\) の半整数倍(つまり半波長の奇数倍)になるときに起こります。
    $$ \Delta L = (m+\displaystyle\frac{1}{2})\lambda \quad (m = 0, 1, 2, \dots) $$
    この式を \(\lambda/2\) を基準に変形します。
    $$ (m+\displaystyle\frac{1}{2})\lambda = \displaystyle\frac{2m+1}{2}\lambda = (\displaystyle\frac{\lambda}{2}) \times (2m+1) $$
    ここで \(2m+1\) は \(1, 3, 5, \dots\) となり、奇数を表します。したがって、空欄③は「奇数」となります。

使用した物理公式

  • 波の干渉の定義
  • 同位相波源の干渉条件(強め合い): \( \Delta L = m\lambda \)
  • 同位相波源の干渉条件(弱め合い): \( \Delta L = (m+\frac{1}{2})\lambda \)
計算過程

この問題は概念の理解を問うものであり、具体的な数値計算はありません。

  • 強め合いの条件: \( \Delta L = m\lambda = \frac{\lambda}{2} \times (2m) \)。\(2m\) は偶数。
  • 弱め合いの条件: \( \Delta L = (m+\frac{1}{2})\lambda = \frac{\lambda}{2} \times (2m+1) \)。\(2m+1\) は奇数。
計算方法の平易な説明
  • ① 干渉: 2つの波が合体してパワーアップしたり、お互いを打ち消し合ったりする現象を「干渉」と呼びます。
  • ② 強め合い (偶数):
    2つの波源から同じタイミング(同位相)で出発した波が、ある地点で出会ったときに「強め合う」のは、お互いが「山と山」または「谷と谷」で出会うときです。
    そうなるためには、2つの波が進んできた道のりの差(経路差)が、ちょうど波1個分(\(\lambda\))、2個分(\(2\lambda\))、…、あるいは0でなければなりません。
    問題では「半波長(\(\lambda/2\))の何倍?」と聞かれています。波1個分は半波長の2倍、波2個分は半波長の4倍です。このように、強め合うのは経路差が半波長の「偶数」倍のときです。
  • ③ 弱め合い (奇数):
    波が「弱め合う」のは、片方が「山」のときにもう片方が「谷」で出会うときです。
    そうなるためには、道のりの差がちょうど波の半分(\(0.5\lambda\))、1個半(\(1.5\lambda\))、…ずれている必要があります。
    これを「半波長(\(\lambda/2\))の何倍?」で考えると、半波長の1倍、3倍、5倍…となります。これらはすべて「奇数」なので、答えは「奇数」です。
解答 ① 干渉, ② 偶数, ③ 奇数

② 波の干渉

【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド

この問題のテーマは「経路差を用いた波の干渉条件の判定」です。
問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。

  1. 経路差の計算
  2. 同位相波源の干渉条件
  3. 逆位相波源の干渉条件
  4. 波長と半波長の関係

基本的なアプローチは以下の通りです。

  1. 各点(P, Q, M)について、2つの波源からの経路差を計算する。
  2. 問(1)では、同位相の干渉条件と経路差を比較して強め合い/弱め合いを判断する。
  3. 問(2)では、逆位相の干渉条件と経路差を比較して判断する。

問(1) S₁, S₂が同位相のとき

思考の道筋とポイント
同位相の2つの波源から出た波が干渉する、最も基本的な問題です。ポイントは、各観測点(P, Q, M)に到達する2つの波の「経路差(道のりの差)」を計算することです。そして、その経路差が波長 \(\lambda\) の整数倍(\(0, \lambda, 2\lambda, \dots\))になっていれば2つの波は同位相で重なり「強め合い」、半波長の奇数倍(\(0.5\lambda, 1.5\lambda, \dots\))になっていれば逆位相で重なり「弱め合う」というルールを適用します。

この設問における重要なポイント

  • 与えられた波長は \(\lambda = 8.0 \, \text{cm}\) です。したがって、半波長は \(\lambda/2 = 4.0 \, \text{cm}\) となります。
  • 経路差 \(\Delta L\) は、2つの波源からの距離の差の絶対値、つまり \(\Delta L = |S_1X – S_2X|\) で計算します(Xは観測点)。
  • 強め合いの条件(同位相波源): 経路差が半波長の偶数倍。
    $$ \Delta L = \left(\displaystyle\frac{\lambda}{2}\right) \times 2m \quad (m=0, 1, 2, \dots) $$
  • 弱め合いの条件(同位相波源): 経路差が半波長の奇数倍。
    $$ \Delta L = \left(\displaystyle\frac{\lambda}{2}\right) \times (2m+1) \quad (m=0, 1, 2, \dots) $$

具体的な解説と立式
まず、各観測点 P, Q, M について、2つの波源 S₁, S₂ からの経路差 \(\Delta L\) を図から計算します。

  • 点Pの経路差 \(\Delta L_P\)
    $$ \Delta L_P = |S_1P – S_2P| $$
  • 点Qの経路差 \(\Delta L_Q\)
    $$ \Delta L_Q = |S_1Q – S_2Q| $$
  • 点Mの経路差 \(\Delta L_M\)
    $$ \Delta L_M = |S_1M – S_2M| $$

これらの経路差を計算し、その値が半波長 \(\lambda/2\) の偶数倍か奇数倍かを判定することで、強め合いか弱め合いかを判断します。

使用した物理公式

  • 経路差の定義: \( \Delta L = |S_1X – S_2X| \)
  • 同位相波源の強め合い条件: \( \Delta L = (\frac{\lambda}{2}) \times (\text{偶数}) \)
  • 同位相波源の弱め合い条件: \( \Delta L = (\frac{\lambda}{2}) \times (\text{奇数}) \)
計算過程

まず、各点の経路差を計算します。

  • 点P:
    $$
    \begin{aligned}
    \Delta L_P &= |S_1P – S_2P| \\[2.0ex]&= |6.0 – 10.0| \\[2.0ex]&= |-4.0| \\[2.0ex]&= 4.0 \, [\text{cm}]\end{aligned}
    $$
  • 点Q:
    $$
    \begin{aligned}
    \Delta L_Q &= |S_1Q – S_2Q| \\[2.0ex]&= |18.0 – 10.0| \\[2.0ex]&= 8.0 \, [\text{cm}]\end{aligned}
    $$
  • 点M:
    $$
    \begin{aligned}
    \Delta L_M &= |S_1M – S_2M| \\[2.0ex]&= |6.0 – 6.0| \\[2.0ex]&= 0 \, [\text{cm}]\end{aligned}
    $$

次に、これらの経路差と半波長 \(\lambda/2 = 4.0 \, \text{cm}\) を比較して干渉条件を判定します。

  • 点P:
    経路差 \(\Delta L_P = 4.0 \, \text{cm}\) は、半波長の1倍です。
    $$ \Delta L_P = 1 \times \displaystyle\frac{\lambda}{2} $$
    1は奇数なので、点Pでは波は弱め合います。
  • 点Q:
    経路差 \(\Delta L_Q = 8.0 \, \text{cm}\) は、半波長の2倍です。
    $$ \Delta L_Q = 2 \times \displaystyle\frac{\lambda}{2} $$
    2は偶数なので、点Qでは波は強め合います。
  • 点M:
    経路差 \(\Delta L_M = 0 \, \text{cm}\) は、半波長の0倍です。
    $$ \Delta L_M = 0 \times \displaystyle\frac{\lambda}{2} $$
    0は偶数なので、点Mでは波は強め合います。
計算方法の平易な説明

波長は8cmなので、半波長はその半分の4cmです。

  • 点P: S₁からの道のりは6cm、S₂からは10cm。道のりの差は4cmです。これは半波長の「1倍」(奇数)なので、打ち消し合います。→ 弱め合う
  • 点Q: S₁からは18cm、S₂からは10cm。道のりの差は8cmです。これは半波長の「2倍」(偶数)なので、パワーアップします。→ 強め合う
  • 点M: S₁からもS₂からも6cm。道のりの差は0cmです。これは半波長の「0倍」(偶数)なので、パワーアップします。→ 強め合う
解答 (1) 点P: 弱め合う, 点Q: 強め合う, 点M: 強め合う

問(2) S₁, S₂が逆位相のとき

思考の道筋とポイント
波源が「逆位相」の場合、干渉の条件が同位相の場合と「すべて逆転」します。なぜなら、逆位相の波源は、片方が山を出す瞬間に、もう片方は谷を出すというように、スタート時点ですでに位相が \(\pi\) (半波長分) ズレているからです。この「もともとのズレ」と「経路差によるズレ」が合わさって、最終的な干渉の仕方が決まります。
例えば、経路差が0の点(点Mなど)では、経路によるズレはありませんが、波源が逆位相なので、結局は山と谷が重なって弱め合います。このように、同位相の場合と結論がすべて逆になることを理解するのがポイントです。

この設問における重要なポイント

  • 逆位相: 2つの波源の振動が常に互いに逆の状態(一方が山のとき他方が谷)。
  • 強め合いの条件(逆位相): 経路差が半波長の奇数倍。
    $$ \Delta L = \left(\displaystyle\frac{\lambda}{2}\right) \times (2m+1) \quad (m=0, 1, 2, \dots) $$
  • 弱め合いの条件(逆位相): 経路差が半波長の偶数倍。
    $$ \Delta L = \left(\displaystyle\frac{\lambda}{2}\right) \times 2m \quad (m=0, 1, 2, \dots) $$

具体的な解説と立式
問(1)で計算した各点の経路差 \(\Delta L_P, \Delta L_Q, \Delta L_M\) をそのまま使います。これらの値を、逆位相の場合の干渉条件に当てはめて判定します。

  • \(\Delta L_P = 4.0 \, \text{cm}\)
  • \(\Delta L_Q = 8.0 \, \text{cm}\)
  • \(\Delta L_M = 0 \, \text{cm}\)

使用した物理公式

  • 逆位相波源の強め合い条件: \( \Delta L = (\frac{\lambda}{2}) \times (\text{奇数}) \)
  • 逆位相波源の弱め合い条件: \( \Delta L = (\frac{\lambda}{2}) \times (\text{偶数}) \)
計算過程

問(1)で求めた経路差と、逆位相の干渉条件を照らし合わせます。

  • 点P:
    経路差は \(\Delta L_P = 4.0 \, \text{cm}\) です。これは半波長 \(\lambda/2\) の1倍に相当します。1は奇数なので、逆位相における強め合いの条件を満たします。
  • 点Q:
    経路差は \(\Delta L_Q = 8.0 \, \text{cm}\) です。これは半波長 \(\lambda/2\) の2倍に相当します。2は偶数なので、逆位相における弱め合いの条件を満たします。
  • 点M:
    経路差は \(\Delta L_M = 0 \, \text{cm}\) です。これは半波長 \(\lambda/2\) の0倍に相当します。0は偶数なので、逆位相における弱め合いの条件を満たします。

したがって、問(1)の場合と強め合い・弱め合いの関係がすべて逆転します。

計算方法の平易な説明

波源が逆位相の場合、強め合いと弱め合いのルールが、同位相のときと「そっくり入れ替わり」ます。

  • 点P: 問(1)では弱め合ったので、逆位相では強め合います。
  • 点Q: 問(1)では強め合ったので、逆位相では弱め合います。
  • 点M: 問(1)では強め合ったので、逆位相では弱め合います。

なぜ入れ替わるかというと、波の出発点ですでに「半波長分」ズレているからです。そのため、道のりの差が0だと打ち消し合い(弱め合い)、道のりの差が半波長分だと、もともとのズレと合わさってちょうど1波長分のズレのようになり、強め合うのです。

解答 (2) 点P: 強め合う, 点Q: 弱め合う, 点M: 弱め合う

③ 波の回折

【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド

この問題のテーマは「波の回折の定義とその条件」です。
問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。

  1. 波の回折という現象の定義
  2. 回折が起こりやすくなる条件
  3. 波長と障害物の大きさの比較

基本的なアプローチは以下の通りです。

  1. 空欄①には、波が障害物の裏側に回り込む現象の名称を答える。
  2. 空欄②には、回折のしやすさを決める重要な波の性質を答える。

思考の道筋とポイント
波が直進するだけでなく、障害物の影に回り込む性質を「回折」と呼びます。この現象は、波に共通する基本的な性質の一つです。なぜ回折が起こるのかは、波面の各点が新しい波源となって次の波を生み出すという「ホイヘンスの原理」で説明できます。
この問題の核心は、「どのようなときに回折が目立つのか」という条件を理解することです。結論から言うと、波の「波長」と、波が通過する「隙間や障害物の大きさ」のバランスによって決まります。日常生活で、壁の向こうにいる人の声は聞こえるのに姿は見えないのは、音波(波長が長い)は回折しやすいが、光(波長が非常に短い)は回折しにくいためです。

この設問における重要なポイント

  • 回折: 波が障害物の背後に回り込んで伝わっていく現象。
  • 回折の条件: 障害物や隙間の大きさ \(d\) と、波の波長 \(\lambda\) の関係が重要です。
    • 回折が目立つ(よく曲がる)条件: \(d\) が \(\lambda\) と同程度か、それより小さい場合 (\(d \le \lambda\))。
    • 回折が目立たない(ほぼ直進する)条件: \(d\) が \(\lambda\) に比べて非常に大きい場合 (\(d \gg \lambda\))。
  • 波長との関係: 波長が長い波ほど、同じ大きさの障害物に対してより顕著に回折します。

具体的な解説と立式
この問題は、物理用語の定義と、現象が起こる条件を問うもので、計算式を立てる必要はありません。

  • 空欄①について
    問題文の「波は進んでいく途中に障害物があっても、脇のほうから障害物の裏側にまで回り込んでいく」という記述は、波の「回折」という現象の定義そのものです。したがって、①には「回折」が入ります。
  • 空欄②について
    後半の文章は、回折が顕著になる条件について述べています。「隙間や障害物の大きさ」と比較されるべき波の性質は「波長」です。障害物の大きさに対して波長が長いほど、波は障害物を乗り越えて回り込みやすくなります。逆に、波長が短いと、波は直進性が強くなり、障害物の影がはっきりとできます。したがって、②には「波長」が入ります。

使用した物理公式

  • 回折の定義
  • 回折が顕著になる条件: 障害物の大きさ \(d\) と波長 \(\lambda\) の関係で、\(d \le \lambda\)
計算過程

この問題に計算過程はありません。上記の「具体的な解説と立式」で述べた、用語の定義と現象の条件の吟味そのものが解答プロセスとなります。

計算方法の平易な説明

波の「回折」を、人が障害物をよけて進む様子に例えてみましょう。

  • ① 回折: 波が障害物をよけて、その裏側に回り込む現象のことです。
  • ② 波長: 波がどれくらい上手に障害物をよけられるかは、波の「体の大きさ」のようなものである「波長」と、障害物の大きさの比較で決まります。
    • 波の体(波長)が障害物と同じくらいか、それより大きい場合、波はひらりと身をかわして裏側に回り込めます(回折が目立つ)。
    • 波の体(波長)が障害物に対してとても小さい場合、うまくよけられずにぶつかってしまい、まっすぐ進むしかありません(回折が目立たない)。

    このため、障害物の大きさと比較するべきなのは「波長」となります。

解答 ① 回折, ② 波長

④ 波の反射

【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド

この問題のテーマは「波の反射の作図」です。
問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。

  1. 反射の法則(入射角=反射角)
  2. 波の進行方向と波面の関係(互いに垂直)
  3. 法線、入射角、反射角の定義と作図
  4. ホイヘンスの原理の基本的な考え方

基本的なアプローチは以下の通りです。

  1. まず、波の進行方向を表す「線」に注目する。
  2. 壁との接触点に法線を引き、反射の法則を用いて反射後の進行方向の「線」を描く。
  3. 最後に、反射後の進行方向に垂直な「面」として反射波の波面を描く。

思考の道筋とポイント
この問題は、水面波の反射の様子を作図するもので、光の反射と同じように「反射の法則」を用いて考えます。作図のポイントは、波の進行方向を表す「線(光線のようなもの)」と、波の山や谷の連なりを表す「波面」の関係を正しく理解することです。この2つは常に垂直な関係にあります。
複雑に見える波面の反射も、まず1本の進行線に注目し、その線がどのように反射するかを描けば、あとはその線に対して垂直に波面を描くだけで完成します。この「線で考えて、面を描く」という手順が、作図を簡単にするコツです。

この設問における重要なポイント

  • 波面: 波の同じ位相の点(この問題では山の頂)を連ねた面(図では線)。
  • 波の進行方向(入射線・反射線): 波面と常に垂直な向きで、波が進む方向を示す線。
  • 法線: 反射面(壁)に対して、波が当たる点で垂直に立てた補助線。
  • 入射角 \(i\): 入射する波の進行方向(入射線)と法線のなす角。
  • 反射角 \(j\): 反射した波の進行方向(反射線)と法線のなす角。
  • 反射の法則: 入射角と反射角は等しくなります。(\(i = j\))
  • 自由端反射: 問題文の「山は山で反射する」は、位相が変わらない自由端反射を意味します。

具体的な解説と立式
この問題は計算式ではなく、作図の手順が解答プロセスとなります。以下に具体的な作図手順を示します。

  1. 入射線と法線を引く
    まず、波の進行方向を示す代表的な線として「入射線」を1本引きます。これは、図に示されている入射波の波面に対して垂直な線です。この入射線が壁に当たる点を「入射点」とします。次に入射点から、壁に対して垂直な「法線」を点線で引きます。
  2. 反射線を描く
    入射線と法線の間の角度が「入射角 \(i\)」です。反射の法則 \(i=j\) に従って、法線を基準として入射角 \(i\) と同じ大きさの「反射角 \(j\)」をとり、「反射線」を描きます。この反射線が、反射した波の進行方向を示します。
  3. 反射波の波面を描く
    反射波の波面は、反射線に対して垂直になります。問題の図を見ると、入射波の波面が壁に接している点があります。この点を通るように、ステップ2で描いた反射線に垂直な線を引きます。これが1本目の反射波の波面です。
    他の反射波の波面は、この1本目の波面と平行になるように、入射波の波面と同じ間隔で描いていきます。

使用した物理公式

  • 反射の法則: 入射角 = 反射角 (\(i=j\))
  • 波の進行方向と波面は互いに垂直である。
計算過程

この問題は作図問題のため、数値的な計算過程はありません。上記の「具体的な解説と立式」で述べた作図手順そのものが、解答を導くプロセスとなります。

作図方法の平易な説明

壁にボールを投げて跳ね返る様子をイメージすると分かりやすいです。

  1. ボールが飛んでいく線を描く
    まず、波が進む向き(矢印)に沿って、壁に当たるまでのボールの軌跡(入射線)を1本描きます。
  2. ボールが跳ね返る線を描く
    ボールが壁に当たった点で、壁に垂直な線(法線)を引きます。ボールは「入ってきた角度と同じ角度で跳ね返る」ので、その通りに跳ね返った後の軌跡(反射線)を描きます。
  3. 波の形を描く
    ボールの軌跡がわかったので、最後に波の形を描きます。入射波の波面はボールの軌跡に垂直でした。同じように、反射波の波面も、跳ね返った後の軌跡(反射線)に対して垂直な線を引けばOKです。波と波の間隔は、元の入射波と同じになるように描きましょう。
解答 模範解答の図を参照

⑤ 屈折率

【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド

この問題のテーマは「屈折の法則を用いた相対屈折率の計算」です。
問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。

  1. 屈折の法則
  2. 入射角・屈折角の定義
  3. 相対屈折率の定義
  4. 三角関数の値と有効数字の処理

基本的なアプローチは以下の通りです。

  1. 図から入射角と屈折角を正確に読み取る。
  2. 屈折の法則の式を立て、求める相対屈折率を計算する。
  3. 指示された有効数字で解答をまとめる。

思考の道筋とポイント
波が異なる媒質の境界を通過するとき、その進行方向が変わる現象が「屈折」です。この現象は「屈折の法則」によって記述されます。この問題を解く鍵は、まず「媒質Iに対する媒質IIの屈折率」(\(n_{12}\)) の定義を、屈折の法則の式 \(n_{12} = \frac{\sin i}{\sin r}\) と結びつけて正しく理解することです。
次に重要なのは、図から入射角 \(i\) と屈折角 \(r\) を正確に読み取ることです。これらの角度は、波の進行方向(射線)と、媒質の境界面に垂直な「法線」とのなす角である点に注意が必要です。
角度を正しく読み取れたら、あとは公式に値を代入して計算し、最後に問題で指示された有効数字2桁に処理すれば解答にたどり着きます。

この設問における重要なポイント

  • 屈折の法則: 媒質Iから媒質IIへ波が入射するとき、入射角を \(i\)、屈折角を \(r\) とすると、次の関係が成り立ちます。
    $$ \displaystyle\frac{\sin i}{\sin r} = n_{12} $$
    ここで \(n_{12}\) は媒質Iに対する媒質IIの(相対)屈折率です。
  • 入射角・屈折角: それぞれ入射線・屈折線と「法線」とのなす角です。図で与えられた角度が、境界線とのなす角ではないことをしっかり確認することが重要です。
  • 相対屈折率と絶対屈折率: 各媒質の絶対屈折率を \(n_1, n_2\) とすると、相対屈折率 \(n_{12}\) は \(n_{12} = \frac{n_2}{n_1}\) と表せます。また、各媒質での波の速さを \(v_1, v_2\)、波長を \(\lambda_1, \lambda_2\) とすると、\(n_{12} = \frac{v_1}{v_2} = \frac{\lambda_1}{\lambda_2}\) という関係も成り立ちます。

具体的な解説と立式
まず、問題の図から入射角 \(i\) と屈折角 \(r\) を読み取ります。

  • 入射角 \(i\) は、媒質Iにおける入射線と法線のなす角なので、図より \(i = 30^\circ\) です。
  • 屈折角 \(r\) は、媒質IIにおける屈折線と法線のなす角なので、図より \(r = 45^\circ\) です。

求める物理量は「媒質Iに対する媒質IIの屈折率」なので、これを \(n_{12}\) とおきます。
屈折の法則より、\(n_{12}\) は以下の式で与えられます。
$$ n_{12} = \displaystyle\frac{\sin i}{\sin r} \quad \cdots ① $$
この式に、読み取った角度の値を代入して \(n_{12}\) を計算します。

使用した物理公式

  • 屈折の法則: \( n_{12} = \displaystyle\frac{\sin i}{\sin r} \)
計算過程

式①に \(i = 30^\circ\), \(r = 45^\circ\) を代入します。
$$
\begin{aligned}
n_{12} &= \displaystyle\frac{\sin 30^\circ}{\sin 45^\circ}
\end{aligned}
$$
ここで、\(\sin 30^\circ = \frac{1}{2}\)、\(\sin 45^\circ = \frac{\sqrt{2}}{2}\) なので、
$$
\begin{aligned}
n_{12} &= \displaystyle\frac{\frac{1}{2}}{\frac{\sqrt{2}}{2}} \\[2.0ex]&= \displaystyle\frac{1}{\sqrt{2}} \\[2.0ex]&= \displaystyle\frac{\sqrt{2}}{2}
\end{aligned}
$$
\(\sqrt{2} \approx 1.41\) を用いて小数で計算します。
$$
\begin{aligned}
n_{12} &\approx \displaystyle\frac{1.41}{2} \\[2.0ex]&= 0.705
\end{aligned}
$$
問題の指示により有効数字2桁で答えるため、小数第3位を四捨五入します。
$$ 0.705 \approx 0.71 $$
したがって、求める屈折率は \(0.71\) となります。

計算方法の平易な説明

波が媒質Iから媒質IIへ進むときに曲がる現象を扱います。この「曲がり具合」を示すのが「屈折率」です。

  1. まず、屈折の法則という公式 \( n_{12} = \frac{\sin(\text{入射角})}{\sin(\text{屈折角})} \) を使います。
  2. 図を見ると、入射角は \(30^\circ\)、屈折角は \(45^\circ\) であることがわかります。
  3. これらの値を公式に当てはめます。
    $$ n_{12} = \displaystyle\frac{\sin 30^\circ}{\sin 45^\circ} $$
  4. 三角関数の値を代入して計算を進めます。\(\sin 30^\circ = 0.5\)、\(\sin 45^\circ\) は約 \(0.707\) です。
    $$ n_{12} \approx \displaystyle\frac{0.5}{0.707} \approx 0.707 $$
    分数で正確に計算すると、\( \frac{\sqrt{2}}{2} \approx 0.705 \) となります。
  5. 最後に、答えを「有効数字2桁」にするというルールに従い、3桁目の「5」を四捨五入して \(0.71\) とします。
解答 0.71

⑥ 波の屈折

【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド

この問題のテーマは「屈折の法則と波の基本式の応用」です。
問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。

  1. 屈折の法則(速さの比とsinの比の関係)
  2. 屈折における振動数の不変性
  3. 波の基本式 \(v=f\lambda\)

基本的なアプローチは以下の通りです。

  1. 屈折の法則を用いて、媒質IIでの波の速さを計算する。
  2. 屈折しても振動数は変わらないという原理を適用する。
  3. 波の基本式を用いて、媒質IIでの波長を計算する。

思考の道筋とポイント
この問題は、屈折の法則を総合的に利用して、屈折後の波の性質(速さ、振動数、波長)を求める問題です。
まず、屈折の法則には、入射角・屈折角のsinの比が、各媒質での速さの比に等しいという関係 \( \frac{\sin i}{\sin r} = \frac{v_1}{v_2} \) が含まれています。これを利用して、未知の速さ \(v_2\) を求めます。
次に、最も重要な原理の一つが「屈折しても振動数 \(f\) は変わらない」ということです。これは、波を送り出す波源のリズム(1秒間に送り出す波の数)は一定であり、媒質が変わってもそのリズムは保たれる、とイメージすると理解しやすいです。
最後に、媒質IIでの速さ \(v_2\) と振動数 \(f\) が分かれば、波の基本式 \(v=f\lambda\) を用いて、媒質IIでの波長 \(\lambda_2\) を計算することができます。

この設問における重要なポイント

  • 屈折の法則: 媒質Iから媒質IIへ波が入射するとき、入射角を \(i\)、屈折角を \(r\)、各媒質での速さを \(v_1, v_2\)、波長を \(\lambda_1, \lambda_2\)、媒質Iに対する媒質IIの屈折率を \(n_{12}\) とすると、以下の関係が成り立ちます。
    $$ \displaystyle\frac{\sin i}{\sin r} = \displaystyle\frac{v_1}{v_2} = \displaystyle\frac{\lambda_1}{\lambda_2} = n_{12} $$
  • 振動数の不変性: 屈折が起きても、波の振動数 \(f\) は変化しません。\(f_1 = f_2\)。
  • 波の基本式: \(v = f\lambda\)。この関係はどの媒質中でも成り立ちます。

具体的な解説と立式
媒質Iでの物理量を \(v_1, f_1, \lambda_1\)、媒質IIでの物理量を \(v_2, f_2, \lambda_2\) とします。
問題文と図から、以下の値が与えられています。

  • \(v_1 = 2.0 \, \text{m/s}\)
  • \(f_1 = 0.80 \, \text{Hz}\)
  • 入射角 \(i = 30^\circ\)
  • 屈折角 \(r = 45^\circ\)
  1. 媒質IIでの速さ \(v_2\) の導出
    屈折の法則 \( \frac{\sin i}{\sin r} = \frac{v_1}{v_2} \) を用います。
    $$ \displaystyle\frac{\sin 30^\circ}{\sin 45^\circ} = \displaystyle\frac{2.0}{v_2} \quad \cdots ① $$
  2. 媒質IIでの振動数 \(f_2\) の導出
    屈折の前後で振動数は変化しないため、
    $$ f_2 = f_1 = 0.80 \, [\text{Hz}] \quad \cdots ② $$
  3. 媒質IIでの波長 \(\lambda_2\) の導出
    媒質IIにおいて、波の基本式 \(v_2 = f_2 \lambda_2\) が成り立ちます。
    $$ v_2 = 0.80 \times \lambda_2 \quad \cdots ③ $$

使用した物理公式

  • 屈折の法則: \( \displaystyle\frac{\sin i}{\sin r} = \displaystyle\frac{v_1}{v_2} \)
  • 振動数の不変性: \( f_1 = f_2 \)
  • 波の基本式: \( v = f\lambda \)
計算過程
  • 速さ \(v_2\) の計算
    式①を変形して \(v_2\) を求めます。
    $$
    \begin{aligned}
    v_2 &= 2.0 \times \displaystyle\frac{\sin 45^\circ}{\sin 30^\circ} \\[2.0ex]&= 2.0 \times \displaystyle\frac{\frac{\sqrt{2}}{2}}{\frac{1}{2}} \\[2.0ex]&= 2.0 \times \sqrt{2} \\[2.0ex]&\approx 2.0 \times 1.41 \\[2.0ex]&= 2.82
    \end{aligned}
    $$
    有効数字2桁に丸めて、\(v_2 \approx 2.8 \, [\text{m/s}]\)。
  • 振動数 \(f_2\) の計算
    式②より、計算は不要です。
    $$ f_2 = 0.80 \, [\text{Hz}] $$
  • 波長 \(\lambda_2\) の計算
    式③に、計算した \(v_2 = 2.0\sqrt{2}\) の値を代入します。(途中の近似値ではなく、より正確な値を用いると計算が楽になります)
    $$
    \begin{aligned}
    2.0\sqrt{2} &= 0.80 \times \lambda_2 \\[2.0ex]\lambda_2 &= \displaystyle\frac{2.0\sqrt{2}}{0.80} \\[2.0ex]&= 2.5\sqrt{2} \\[2.0ex]&\approx 2.5 \times 1.41 \\[2.0ex]&= 3.525
    \end{aligned}
    $$
    有効数字2桁に丸めて、\(\lambda_2 \approx 3.5 \, [\text{m}]\)。
計算方法の平易な説明
  • 速さの求め方:
    屈折の法則「\(\sin\)の比は速さの比」を使います。\( \frac{\sin 30^\circ}{\sin 45^\circ} = \frac{2.0}{v_2} \) という式を立て、これを \(v_2\) について解くと、約 \(2.8 \, \text{m/s}\) となります。
  • 振動数の求め方:
    波が媒質を移動しても、1秒間に振動する回数(振動数)は変わりません。これは、波を送り出す波源のリズムが一定だからです。したがって、媒質IIでも振動数は \(0.80 \, \text{Hz}\) のままです。
  • 波長の求め方:
    波の基本公式 \(v=f\lambda\) を使います。媒質IIでの速さ \(v_2 \approx 2.8 \, \text{m/s}\) と振動数 \(f=0.80 \, \text{Hz}\) がわかったので、\(\lambda_2 = \frac{v_2}{f_2} \approx \frac{2.8}{0.80} = 3.5 \, \text{m}\) と計算できます。
解答 速さ: \(2.8 \, \text{m/s}\), 振動数: \(0.80 \, \text{Hz}\), 波長: \(3.5 \, \text{m}\)

⑦ ホイヘンスの原理

【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド

この問題のテーマは「ホイヘ-ンスの原理の理解」です。
問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。

  1. 波面上の各点が新しい波源になるという考え方。
  2. 素元波(二次波)の概念。
  3. 新しい波面は素元波の包絡線として作られること。

基本的なアプローチは以下の通りです。

  1. 空欄①、②、③に入る用語を、原理の内容と照らし合わせて特定する。
  2. 原理の各ステップを図と対応させながら理解する。

思考の道筋とポイント
この問題は、波が「どのようにして」次々と伝わっていくのか、その仕組みを説明するモデルである「ホイヘンスの原理」の基本を問うものです。この原理の核心は、「ある瞬間の波面のすべての点が、次の波を生み出すための小さな波源になる」という画期的なアイデアにあります。
問題の図では、直線状の波面AB上の無数の点々が、それぞれ新しい波源となって小さな円形の波(図の小さな半円)を同時に発生させます。そして、それらの小さな波の前面を滑らかにつないだ線(包絡線)が、次の瞬間の新しい波面A’B’を形作ります。この一連の流れを理解することが、穴埋めを完成させる鍵となります。

この設問における重要なポイント

  • ホイヘンスの原理: 波面の各点が新しい波源となり、そこから二次的な波(素元波)が発生する。次の瞬間の波面は、これらの素元波に共通に接する面(包絡線)になる、という原理。
  • 素元波(そげんは): 波面上の各点から発生する二次的な波のこと。これが空欄①の答えです。
  • 波の形: 各点から発生する素元波は、水面波のような2次元の波では「円形波」、音波のような3次元の波では「球面波」となります。これが空欄②の答えです。
  • 提唱者: この原理を提唱した物理学者の名前が「ホイヘンス」です。これが空欄③の答えです。

具体的な解説と立式
この問題は、ホイヘンスの原理の文章を完成させるもので、計算式は不要です。

  • 空欄①について
    波面上の各点から発生する、二次的な波のことを「素元波」と呼びます。問題文では、新しい波面A’B’が「無数の①波のすべてに接する面」と説明されていることからも、①には「素元波」が入ることがわかります。
  • 空欄②について
    素元波は、波源となった点から四方八方に広がります。水面のように2次元で考える場合は「円形」に、空間のように3次元で考える場合は「球面」状に広がります。したがって、②には「円形(球面)」が入ります。
  • 空欄③について
    この、素元波とその包絡線によって波の伝播を説明する考え方全体を、提唱者であるオランダの物理学者の名をとって「ホイヘンスの原理」と呼びます。したがって、③には「ホイヘンス」が入ります。

使用した物理公式

  • ホイヘンスの原理
計算過程

この問題に計算過程はありません。上記の「具体的な解説と立式」で述べた、用語の定義の吟味そのものが解答プロセスとなります。

計算方法の平易な説明

波の進み方を、運動会の「むかで競争」に例えてみましょう。

  1. 一列に並んだ選手たち(波面AB)が、「せーの」で一斉に一歩前に足を出します。
  2. この、選手一人ひとりが出す「基本的な一歩」が「① 素元波」です。
  3. 選手が出した足が届く範囲は、地面の上では「② 円形」になりますね。
  4. 全員が出した足のつま先を滑らかに繋いだ線が、チーム全体の新しい位置(次の波面A’B’)になります。
  5. この一連の考え方全体を、発見した人の名前をとって「③ ホイヘンスの原理」と呼びます。
解答 ① 素元, ② 円形(球面), ③ ホイヘンス

例題

例題50 波の干渉

【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド

この問題のテーマは「2つの波源による波の干渉」です。波が重なり合うことで特定の場所で強め合ったり弱め合ったりする現象について、その条件を正しく理解し、適用できるかが問われます。
問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。

  1. 波の干渉条件: 2つの波源からの距離の差(経路差)によって、点が強め合う(腹)か弱め合う(節)かが決まります。
  2. 同位相と逆位相: 波源の振動の仕方が同じ(同位相)か逆(逆位相)かで、干渉の条件が逆転します。
  3. 定在波: 2つの波源を結ぶ線分上など、逆向きに進む波が重なる領域では、振動しない点(節)と大きく振動する点(腹)が交互に並ぶ定在波ができます。
  4. 腹と節の間隔: 定在波において、腹と隣の節の間隔は波長の4分の1 (\(\lambda/4\))、腹と腹(または節と節)の間隔は波長の2分の1 (\(\lambda/2\)) です。

基本的なアプローチは以下の通りです。

  1. (1)では、点Pへの2つの波源からの経路差を計算し、それが波長の整数倍になるかを確認して、強め合いか弱め合いかを判断します。
  2. (2)では、S₁とS₂を結ぶ線分上にできる定在波を考えます。中点が腹になることを確認し、そこから節の位置を数え上げます。
  3. (3)では、干渉によってできる節線が双曲線を描くという知識をもとに、適切な図を選択します。
  4. (4)では、波源が逆位相になった場合の干渉条件を適用します。中点が節になることに注意し、腹の位置を数え上げます。

問(1)

思考の道筋とポイント
点Pが強め合う点か弱め合う点かを判断することが第一歩です。そのためには、2つの波源S₁とS₂から点Pまでの「経路差」を計算し、それが波長の整数倍になるか、半波長の奇数倍になるかを調べます。同位相の波源なので、経路差が波長の整数倍なら強め合います。
この設問における重要なポイント

  • 経路差: \(\Delta L = |L_1 – L_2|\)
  • 同位相の波源の干渉条件:
    • 強め合い(腹): \(\Delta L = m\lambda\) (\(m=0, 1, 2, \dots\))
    • 弱め合い(節): \(\Delta L = (m + \displaystyle\frac{1}{2})\lambda\) (\(m=0, 1, 2, \dots\))
  • 強め合う点の振幅は、各波の振幅の和になります。

具体的な解説と立式
波源S₁とS₂から点Pまでの距離は、それぞれ \(L_1 = 25 \text{ cm}\)、\(L_2 = 15 \text{ cm}\) です。これらの経路差 \(\Delta L\) を求めます。
$$ \Delta L = |L_1 – L_2| $$
問題で与えられた波長は \(\lambda = 10 \text{ cm}\) です。この経路差 \(\Delta L\) と波長 \(\lambda\) の関係を、強め合いの条件式 \( \Delta L = m\lambda \) と比較します。
点Pが強め合う点(腹)である場合、その点での振幅 \(A_{\text{P}}\) は、S₁からの波の振幅を \(A_0\) とすると、2つの波の振幅の和になります。
$$ A_{\text{P}} = A_0 + A_0 = 2A_0 $$

使用した物理公式

  • 波の干渉条件(強め合い): \(\Delta L = |L_1 – L_2| = m\lambda\) (\(m=0, 1, 2, \dots\))
計算過程

まず、経路差 \(\Delta L\) を計算します。
$$
\begin{aligned}
\Delta L &= |25 – 15| \\[2.0ex]&= 10 \text{ [cm]}
\end{aligned}
$$
波長 \(\lambda = 10 \text{ cm}\) なので、\(\Delta L = 1 \times \lambda\) となります。
これは、\(m=1\) の場合の強め合いの条件を満たしているため、点Pは強め合って腹となります。
S₁だけを振動させる場合の振幅は、問題文より \(A_0 = 3 \text{ cm}\) です。
点Pでは強め合うので、振幅 \(A_{\text{P}}\) は2つの波の振幅の和となり、
$$
\begin{aligned}
A_{\text{P}} &= 3 + 3 \\[2.0ex]&= 6 \text{ [cm]}
\end{aligned}
$$
となります。
問題では「S₁だけを振動させる場合の何倍になるか」と問われているので、
$$ \frac{A_{\text{P}}}{A_0} = \frac{6}{3} = 2 \text{ [倍]} $$
となります。

計算方法の平易な説明

2つの波が点Pで出会うとき、お互いの山と山(または谷と谷)が重なれば大きく揺れ(強め合い)、山と谷が重なれば打ち消し合います(弱め合い)。どちらになるかは、2つの波源からの距離の「差」で決まります。この差が「波長」のちょうど整数倍なら強め合い、半端な数(0.5個、1.5個…)倍なら弱め合います。今回は距離の差が10cmで、波長も10cmなので、ちょうど1個分です。したがって、点Pは強め合って振幅はS₁だけの場合の2倍になります。

結論と吟味

点Pまでの経路差は \(10 \text{ cm}\) で、これは波長 \(\lambda=10 \text{ cm}\) の1倍です。同位相の波源なので、点Pは強め合って腹となります。その結果、振幅はS₁だけの場合の振幅 \(3 \text{ cm}\) の2倍である \(6 \text{ cm}\) となります。したがって、答えは2倍です。

解答 (1) 2倍

問(2)

思考の道筋とポイント
S₁とS₂を結ぶ線分上では、2つの波が逆向きに進みながら重なり合うため、「定在波」が生じます。この定在波の「節」(まったく振動しない点)がいくつできるかを数える問題です。まず、線分の中点が腹になるか節になるかを判断し、そこから節の位置を特定していくのが効率的です。
この設問における重要なポイント

  • S₁S₂間では定在波ができます。
  • 同位相の波源の場合、中点は経路差が0なので強め合い、腹になります。
  • 定在波の腹と隣の節の間隔は \(\lambda/4\) です。
  • 定在波の節と隣の節の間隔は \(\lambda/2\) です。

具体的な解説と立式
波長は \(\lambda = 10 \text{ cm}\) です。S₁とS₂の間隔は \(D = 20 \text{ cm}\) です。
線分S₁S₂の中点をMとします。MはS₁とS₂から等距離(それぞれ \(10 \text{ cm}\))にあるため、経路差は0です。同位相の波源の場合、経路差が0の点は強め合って腹になります。
定在波では、腹から最も近い節までの距離は \(\lambda/4\) であり、節と節の間隔は \(\lambda/2\) です。この関係を用いて、中点MからS₁側、S₂側にそれぞれ節がいくつ存在するかを数えます。
あるいは、S₁S₂線分上の点(S₁からの距離を \(x\) とする)の経路差を求め、弱め合いの条件式を満たす点の数を数えることでも求められます。
弱め合い(節)の条件式は、
$$ \Delta L = (m + \frac{1}{2})\lambda \quad (m=0, 1, 2, \dots) $$
です。

使用した物理公式

  • 定在波の腹と節の間隔: 腹-節間 \(\lambda/4\), 節-節間 \(\lambda/2\)
  • 同位相の弱め合いの条件: \(\Delta L = (m + \displaystyle\frac{1}{2})\lambda\)
計算過程

波長 \(\lambda = 10 \text{ cm}\) より、\(\lambda/2 = 5 \text{ cm}\)、\(\lambda/4 = 2.5 \text{ cm}\) です。
S₁とS₂の中点Mは腹になります。S₁とS₂はMからそれぞれ \(10 \text{ cm}\) の距離にあります。
定在波の性質を用いて数えます。

  1. 中点Mは腹です。
  2. Mから両側に \(\lambda/4 = 2.5 \text{ cm}\) の位置に最初の節ができます。
  3. さらにそこから \(\lambda/2 = 5 \text{ cm}\) ごとに次の節ができます。
  4. 中点MからS₂の方向へ見ていくと、
    • Mから \(2.5 \text{ cm}\) の位置に節が1つ。
    • Mから \(2.5 + 5.0 = 7.5 \text{ cm}\) の位置に節が1つ。
    • 次の節は \(7.5 + 5.0 = 12.5 \text{ cm}\) となり、S₂(Mから \(10 \text{ cm}\))を越えてしまうため、線分上にはありません。
  5. したがって、MとS₂の間に節は2個あります。
  6. 対称性から、MとS₁の間にも同様に2個の節があります。
  7. よって、線分S₁S₂上の節の総数は \(2 + 2 = 4\) 個です。
計算方法の平易な説明

S₁とS₂の間には、波がぶつかり合って、全く揺れない「節」と、大きく揺れる「腹」が交互に並んだ「定在波」ができます。波源が同じタイミングで振動しているので、ちょうど真ん中は強め合って「腹」になります。腹から波長の4分の1(2.5cm)離れたところに最初の「節」ができます。あとは、節と節の間隔が波長の半分(5cm)なので、真ん中からS₁とS₂に向かって、それぞれ2.5cm、7.5cmの位置に節ができます。左右合わせて合計4つの節ができます。

結論と吟味

同位相の波源の場合、中点Mは腹となる。その両側に、Mから \(2.5 \text{ cm}\) と \(7.5 \text{ cm}\) の位置に節が存在する。したがって、線分S₁S₂上には合計4個の節が存在します。

解答 (2) 4個

問(3)

思考の道筋とポイント
「水面が上下に振動しない点をつないだ線」とは「節線」のことです。2つの波源から出る波の干渉によってできる節線は、どのような形の曲線になるかという幾何学的な知識が問われています。
この設問における重要なポイント

  • 干渉における弱め合う点(節)の集まりを節線と呼びます。
  • 節線は、2つの波源からの距離の差が一定になる点の集まりです。
  • 数学的に、2つの定点(波源)からの距離の差が一定である点の軌跡は「双曲線」となります。

具体的な解説と立式
弱め合いの条件は、2つの波源S₁, S₂からのある点Pまでの距離の差 \(\Delta L = |S_1P – S_2P|\) が、半波長の奇数倍になることです。
$$ |S_1P – S_2P| = (m + \frac{1}{2})\lambda = \text{一定} $$
この式は、2つの定点S₁, S₂を焦点とし、距離の差が一定値となる点の軌跡を表しており、これは双曲線の定義そのものです。
したがって、節線はS₁, S₂を焦点とする双曲線群となります。
(2)で求めたように、S₁S₂間には4つの節が存在します。これは、4本の節線がS₁S₂線分を横切ることを意味します。
選択肢の図を見ると、

  • ①, ②は双曲線状の線です。
  • ③, ④は円状の線であり、これは「1つの点からの距離が一定」な点の集まりなので不適です。
  • ①はS₁とS₂の間を線が横切っておらず、(2)の結果と矛盾します。
  • ②はS₁, S₂を焦点とするような双曲線が描かれており、S₁S₂間を横切っています。

以上のことから、②が最も適当な図となります。

使用した物理公式

  • 弱め合いの条件: \(\Delta L = (m + \displaystyle\frac{1}{2})\lambda\)
  • 双曲線の定義: 2定点からの距離の差が一定な点の軌跡
計算過程

この設問は物理法則と幾何学的な知識を問うものであり、具体的な計算は不要です。

計算方法の平易な説明

全く揺れない点(節)を結んだ線を「節線」と呼びます。節線上の点は、2つの波源からの距離の差が、波長の0.5倍、1.5倍、2.5倍…というように、ある決まった値になる点の集まりです。このような点の集まりは、数学で「双曲線」と呼ばれる形になります。選択肢の中で双曲線を描いているのは①と②ですが、(2)でS₁とS₂の間に節があることがわかっているので、S₁とS₂の間を横切る双曲線が描かれている②が正解です。

結論と吟味

干渉による節線は、波源を焦点とする双曲線を描きます。また、(2)の結果からS₁S₂間に4つの節が存在するため、4本の双曲線がS₁S₂間を横切るはずです。これらの条件を満たす図は②です。

解答 (3)

問(4)

思考の道筋とポイント
波源が「逆位相」で振動する場合を考えます。逆位相の場合、同位相の場合と強め合い・弱め合いの条件がすべて逆転します。この新しい条件のもとで、S₁S₂線分上にできる定在波の「腹」(最も大きく振動する点)がいくつになるかを数えます。
この設問における重要なポイント

  • 逆位相の波源の干渉条件:
    • 強め合い(腹): \(\Delta L = (m + \displaystyle\frac{1}{2})\lambda\) (\(m=0, 1, 2, \dots\))
    • 弱め合い(節): \(\Delta L = m\lambda\) (\(m=0, 1, 2, \dots\))
  • 逆位相の場合、中点は経路差が0なので弱め合い、節になります。
  • 定在波の節と隣の腹の間隔は \(\lambda/4\) です。
  • 定在波の腹と隣の腹の間隔は \(\lambda/2\) です。

具体的な解説と立式
波源が逆位相なので、干渉条件が同位相の場合と逆になります。
線分S₁S₂の中点Mでは、経路差は \(\Delta L = 0\) です。逆位相の弱め合いの条件 \(\Delta L = m\lambda\) に \(m=0\) を代入すると \(\Delta L = 0\) となり、条件を満たします。したがって、中点Mは弱め合って節になります。
定在波では、節から最も近い腹までの距離は \(\lambda/4\) であり、腹と腹の間隔は \(\lambda/2\) です。この関係を用いて、中点M(節)からS₁側、S₂側にそれぞれ腹がいくつ存在するかを数えます。
強め合い(腹)の条件式は、
$$ \Delta L = (m + \frac{1}{2})\lambda \quad (m=0, 1, 2, \dots) $$
です。

使用した物理公式

  • 逆位相の強め合い条件: \(\Delta L = (m + \displaystyle\frac{1}{2})\lambda\)
  • 定在波の腹と節の間隔: 節-腹間 \(\lambda/4\), 腹-腹間 \(\lambda/2\)
計算過程

波長 \(\lambda = 10 \text{ cm}\) より、\(\lambda/2 = 5 \text{ cm}\)、\(\lambda/4 = 2.5 \text{ cm}\) です。
S₁とS₂の中点Mは節になります。S₁とS₂はMからそれぞれ \(10 \text{ cm}\) の距離にあります。
定在波の性質を用いて数えます。

  1. 中点Mは節です。
  2. Mから両側に \(\lambda/4 = 2.5 \text{ cm}\) の位置に最初の腹ができます。
  3. さらにそこから \(\lambda/2 = 5 \text{ cm}\) ごとに次の腹ができます。
  4. 中点MからS₂の方向へ見ていくと、
    • Mから \(2.5 \text{ cm}\) の位置に腹が1つ。
    • Mから \(2.5 + 5.0 = 7.5 \text{ cm}\) の位置に腹が1つ。
    • 次の腹は \(7.5 + 5.0 = 12.5 \text{ cm}\) となり、S₂(Mから \(10 \text{ cm}\))を越えてしまうため、線分上にはありません。
  5. したがって、MとS₂の間に腹は2個あります。
  6. 対称性から、MとS₁の間にも同様に2個の腹があります。
  7. よって、線分S₁S₂上の腹の総数は \(2 + 2 = 4\) 個です。

これは、(2)で求めた同位相の場合の「節」の位置と完全に一致します。

計算方法の平易な説明

今度は波源が逆のタイミング(一方が山なら他方は谷)で振動します。この場合、強め合いと弱め合いの条件がそっくり入れ替わります。線分の真ん中は、同位相のときとは逆に、打ち消し合って「節」になります。節から波長の4分の1(2.5cm)離れたところに最初の「腹」ができます。あとは、腹と腹の間隔が波長の半分(5cm)なので、真ん中からS₁とS₂に向かって、それぞれ2.5cm、7.5cmの位置に腹ができます。左右合わせて合計4つの腹ができます。

結論と吟味

逆位相の波源の場合、中点Mは節となる。その両側に、Mから \(2.5 \text{ cm}\) と \(7.5 \text{ cm}\) の位置に腹が存在する。したがって、線分S₁S₂上には合計4個の腹が存在します。

解答 (4) 4個

【総まとめ】この一問を未来の得点力へ!完全マスター講座

最重要ポイント:この問題の核心となる物理法則は?
  • 波の干渉条件(経路差と位相差):
    • 核心: 2つの波が重なり合う点での振動の様子は、2つの波源からの「経路差」と波源自体の「位相」によって決まる、という干渉の原理を理解することが全てです。
    • 理解のポイント:
      • 経路差: 2つの波源から観測点までの距離の差 \(\Delta L = |L_1 – L_2|\)。
      • 同位相の波源:
        • 強め合い(腹): 経路差が波長の整数倍。 \(\Delta L = m\lambda\)
        • 弱め合い(節): 経路差が波長の半整数倍。 \(\Delta L = (m + \frac{1}{2})\lambda\)
      • 逆位相の波源:
        • 強め合い(腹): 経路差が波長の半整数倍。 \(\Delta L = (m + \frac{1}{2})\lambda\)
        • 弱め合い(節): 経路差が波長の整数倍。 \(\Delta L = m\lambda\)
  • 定在波の性質:
    • 核心: 逆向きに進む同じ波が重なると、振動しない「節」と大きく振動する「腹」が空間に固定された定在波ができること。
    • 理解のポイント:
      • 腹と節の間隔: 腹と隣の節の間隔は \(\lambda/4\)、腹と腹(または節と節)の間隔は \(\lambda/2\) という幾何学的な関係を把握することが、線分上の腹・節の数を数える上で不可欠です。
応用テクニック:似た問題が出たらココを見る!解法の鍵と着眼点
  • 応用できる類似問題のパターン:
    • スクリーン上の干渉(ヤングの実験など): 光の干渉でも全く同じ考え方を使います。波源がスリットに変わり、観測点がスクリーン上になるだけです。経路差の近似式 \( \Delta L \approx d \frac{x}{L} \) を使うことが多いですが、根本原理は同じです。
    • 薄膜による光の干渉: シャボン玉や水に浮いた油膜が色づいて見える現象。この場合は、膜の表面で反射する光と裏面で反射する光の干渉を考えます。経路差に加えて、反射時の「位相のずれ(位相が\(\pi\)ずれる)」を考慮する必要があります。
    • 音波の干渉: 2つのスピーカーから出る音の干渉も同様です。特定の場所で音が大きく聞こえたり、小さく聞こえたりする現象を、経路差で説明します。
  • 初見の問題での着眼点:
    1. 位相の確認: まず問題文で「同位相」か「逆位相」かを絶対に確認します。これで強め合い・弱め合いの条件が逆転します。
    2. 波長 \(\lambda\) の計算: 問題で波長が直接与えられていない場合、速さ \(v\) と振動数 \(f\) から \(v=f\lambda\) を使って最初に計算します。この問題では与えられていました。
    3. 経路差 \(\Delta L\) の計算: 観測点が指定されている場合、三平方の定理などを使って幾何学的に経路差を求めます。
    4. 「腹・節の数」を問われたら定在波をイメージ: 特に2つの波源を結ぶ線分上の問題では、まず中点が腹か節かを判断し、そこから \(\lambda/4\) と \(\lambda/2\) の間隔で数え上げるのが最も速く確実です。
要注意!ありがちなミス・誤解とその対策
  • 同位相と逆位相の条件の混同:
    • 誤解: 逆位相の問題なのに、同位相の条件式(経路差 \(m\lambda\) で強め合い)をうっかり使ってしまう。
    • 対策: 問題を読み始めたら、まず「同位相」か「逆位相」の文字に丸をつけ、条件式を問題用紙の余白に書き出す習慣をつける。「逆位相→条件も逆」と覚えましょう。
  • 腹と節の数え間違い:
    • 誤解: (2)で中点が腹になることを見抜いた後、腹から腹の間隔 \(\lambda/2\) で数え始めてしまい、節の数を間違える。
    • 対策: 「腹から一番近いのは節」「節から一番近いのは腹」であり、その間隔は \(\lambda/4\) であることを強く意識する。図を簡単に描いて、「腹→節→節→…」と指で追いながら数えるとミスが減ります。
  • 波源の位置を含めて数えてしまう:
    • 誤解: S₁やS₂の波源そのものは、定在波の腹や節のパターンには含まれません。波源はあくまで波を送り出す点です。
    • 対策: 腹や節の数を数える範囲は、波源と波源の「間」であることを明確に意識する。\(0 < x < 20\) の範囲で考える、といったように数式で範囲を意識するのも有効です。
なぜその公式?論理的な公式選択と適用の思考法
  • 干渉条件式 (\(\Delta L = m\lambda\) など):
    • 選定理由: 2つの波の重ね合わせの結果(強め合いか弱め合いか)を決定づける、最も基本的な法則だからです。
    • 適用根拠:
      • 経路差が波長の整数倍 (\(m\lambda\)) のとき、2つの波は山と山、谷と谷が重なる(同相で重なる)ため、振幅が最大になります。
      • 経路差が波長の半整数倍 (\((m+\frac{1}{2})\lambda\)) のとき、山と谷が重なる(逆相で重なる)ため、打ち消し合って振幅が最小になります。
      • 波源が「逆位相」の場合、最初から位相が \(\pi\) (半波長分) ずれているので、これらの条件がそっくり入れ替わります。
  • 定在波の腹と節の間隔 (\(\lambda/4, \lambda/2\)):
    • 選定理由: (2)や(4)のように、線分上の腹・節の「個数」を効率的に求めるために使用します。
    • 適用根拠: 定在波は \(y = 2A \sin(kx) \cos(\omega t)\) のような式で表されます(境界条件による)。空間的に振動しない節の部分 (\(\sin(kx)=0\)) と、最大振幅で振動する腹の部分 (\(\sin(kx)=\pm 1\)) が交互に現れます。この三角関数の性質から、節と節の間隔が \(\pi/k = \lambda/2\)、腹と節の間隔がその半分の \(\lambda/4\) となることが導かれます。
計算ミスをなくす!日頃の意識と実践テクニック
  • 波長の計算: 波長 \(\lambda\) は全ての計算の基礎となるので、最初に正確に求めます。特に \(\lambda/2\) と \(\lambda/4\) の値は、計算過程で何度も使うので、問題用紙の目立つところにメモしておくと便利です。この問題では \(\lambda=10, \lambda/2=5, \lambda/4=2.5\) です。
  • 数え上げの可視化: (2)や(4)のような個数を数える問題では、必ず簡単な数直線を引いて、中点(M)を基準に腹(◯)や節(×)をプロットしていく。
    • 例(2): S₁—(×)—(×)—(◯)—(×)—(×)—S₂ のように図示し、×の数を数える。
    • 例(4): S₁—(◯)—(◯)—(×)—(◯)—(◯)—S₂ のように図示し、◯の数を数える。
  • mの範囲に注意: 干渉条件式 \(\Delta L = m\lambda\) などを使って解く場合、mが取りうる整数値の範囲を正しく求めることが重要です。例えば、線分S₁S₂上では経路差 \(\Delta L\) の範囲は \(0 \le \Delta L \le 20\) なので、この範囲に入るmの個数を数えることになります。この方法でも検算ができます。

例題51 波の屈折

【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド

この問題のテーマは「波の屈折とホイヘンスの原理」です。異なる速さで伝わる媒質の境界で、波の進行方向が変化する「屈折」という現象について、作図と計算の両面から理解を問う問題です。

問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。

  1. ホイヘンスの原理: 波面上の各点が新しい波源(素元波)となり、それらの素元波に共通に接する面(包絡面)が次の瞬間の波面を形成するという原理。作図の基本となります。
  2. 波の屈折の法則: 異なる媒質へ波が進むとき、入射角と屈折角、各媒質での速さ、波長の間には一定の関係が成り立ちます。
  3. 波の基本式 (\(v=f\lambda\)): 波の速さ、振動数、波長の関係を示す基本的な式です。
  4. 波面と進行方向(射線)の関係: 波の進行方向は、常に波面に対して垂直です。

基本的なアプローチは以下の通りです。

  1. 屈折波の作図は、ホイヘンスの原理に基づいて行います。入射波の波面が境界に達した点から広がる素元波を考え、その素元波に対する共通接線として屈折波の波面を決定します。
  2. 屈折波の波長の計算は、屈折の法則の公式 \(\frac{v_1}{v_2} = \frac{\lambda_1}{\lambda_2}\) を用いて行います。この公式は、屈折が起きても振動数\(f\)は変化しないという事実から導かれます。

屈折波の作図と波長の計算

思考の道筋とポイント
この問題は、作図と計算の2つの問いからなりますが、どちらも「波の屈折」という一つの現象を異なる側面から見ています。作図は現象の幾何学的な理解を、計算は定量的な関係の理解を試すものです。
作図問題の鍵は「ホイヘンスの原理」を正しく適用できるか、計算問題の鍵は「屈折の法則」の公式を正しく使えるか、という点にあります。
この設問における重要なポイント

  • ホイヘンスの原理:波面上の各点が新しい波源となり、そこから素元波(球面波または円形波)が発生します。これらの無数の素元波の共通接線(包絡面)が、次の瞬間の新しい波面となります。
  • 屈折の法則:媒質IとIIにおける波の速さをそれぞれ \(v_1, v_2\)、波長を \(\lambda_1, \lambda_2\)、入射角を \(i\)、屈折角を \(r\) とすると、\(\frac{\sin i}{\sin r} = \frac{v_1}{v_2} = \frac{\lambda_1}{\lambda_2}\) という関係が成り立ちます。
  • 屈折における不変量:媒質が変わっても、波の振動数 \(f\) は変化しません。これは、境界で波が途切れたり、急に増えたりしないためです。

具体的な解説と立式
1. 屈折波の作図(ホイヘンスの原理による)
作図は以下の手順で行います。

  1. 入射波の波面が、媒質の境界上の点Oに達した瞬間を考えます。このとき、同じ波面上にある別の点Bは、まだ媒質Iの中を進んでいます。
  2. 点Bにある波が、境界上の点O’に達するまでにかかる時間を \(\Delta t\) とします。この間に波が進む距離は、媒質Iでの速さ \(v_1\) を用いて \(BO’ = v_1 \Delta t\) と表せます。
  3. この同じ時間 \(\Delta t\) の間に、点Oを波源として発生した素元波は、媒質IIの中を広がります。この素元波が進む距離(半径)は、媒質IIでの速さ \(v_2\) を用いて \(OC = v_2 \Delta t\) と表せます。
  4. 点O’から、中心O、半径OCの円(素元波)に対して接線を引きます。この接線O’Cが、時間 \(\Delta t\) 後の屈折波の波面となります。
  5. 屈折波の進行方向(射線)は、波面O’Cに対して垂直なので、点Oから接点Cに向かう方向(ベクトルOCの方向)となります。

2. 屈折波の波長の計算
波の基本式 \(v=f\lambda\) より、\(\lambda = \frac{v}{f}\) です。
媒質Iにおける波長は \(\lambda_1 = \frac{v_1}{f}\) です。
媒質IIにおける波長は \(\lambda_2 = \frac{v_2}{f}\) です。
屈折の際、振動数 \(f\) は変化しないため、2つの式の比を取ることで \(f\) を消去できます。
$$ \frac{\lambda_2}{\lambda_1} = \frac{v_2 / f}{v_1 / f} = \frac{v_2}{v_1} $$
これを整理すると、屈折の法則における速さと波長の関係式が得られます。
$$ \frac{v_1}{v_2} = \frac{\lambda_1}{\lambda_2} $$

使用した物理公式

  • ホイヘンスの原理
  • 屈折の法則: \(\frac{v_1}{v_2} = \frac{\lambda_1}{\lambda_2}\)
  • 波の基本式: \(v = f\lambda\)
計算過程

作図に関する定量的関係
与えられた速さ \(v_1 = 3.0 \text{ m/s}\)、\(v_2 = 2.0 \text{ m/s}\) より、速さの比は \(v_1 : v_2 = 3:2\) です。
したがって、同じ時間 \(\Delta t\) に進む距離の比も、
$$ BO’ : OC = v_1 \Delta t : v_2 \Delta t = 3:2 $$
となります。これは、点Oから出る素元波の半径OCが、点BがO’まで進む距離BO’の \(\frac{2}{3}\) 倍であることを意味します。この比率に基づいて作図を行います。

波長の計算
屈折の法則の公式に、与えられた値を代入します。
\(v_1 = 3.0 \text{ m/s}\), \(v_2 = 2.0 \text{ m/s}\), \(\lambda_1 = 4.5 \text{ m}\)
$$
\begin{aligned}
\frac{3.0}{2.0} &= \frac{4.5}{\lambda_2} \\[2.0ex]3.0 \times \lambda_2 &= 2.0 \times 4.5 \\[2.0ex]3.0 \lambda_2 &= 9.0 \\[2.0ex]\lambda_2 &= \frac{9.0}{3.0} \\[2.0ex]\lambda_2 &= 3.0 \text{ [m]}
\end{aligned}
$$

計算方法の平易な説明

作図について:
波が媒質の境界面に達すると、その点が新しい波の出発点になります。媒質IIでは波の速さが遅くなる(3.0m/sから2.0m/sへ)ので、波の広がるペースも遅くなります。入射波の波面の一部(点B)が境界面(点O’)にたどり着くまでの間に、先についていた部分(点O)から出た波は、それより短い距離しか進めません。この新しくできた波の先端を滑らかにつないだ線が、屈折した新しい波面になります。

波長について:
波が屈折するとき、1秒間に波が振動する回数(振動数)は変わりません。速さが遅くなると、その分、波1つぶんの長さ(波長)も比例して短くなります。この問題では、速さが \(3.0 \text{ m/s} \to 2.0 \text{ m/s}\) と \(\frac{2}{3}\) 倍になるので、波長も同じく \(\frac{2}{3}\) 倍になります。したがって、屈折後の波長は \(4.5 \text{ m} \times \frac{2}{3} = 3.0 \text{ m}\) と計算できます。

結論と吟味

屈折波の波面と進行方向は、ホイヘンスの原理に基づいて作図した通りになります。屈折波の波長は \(3.0 \text{ m}\) です。媒質IIでは波の速さが遅くなるため、波長がもとの \(4.5 \text{ m}\) から \(3.0 \text{ m}\) へと短くなるという結果は、物理的に妥当です。

解答 (作図) 模範解答の図の通り。屈折波の波面はO’C、進行方向はOからCへ向かう矢印。
解答 (波長) \(3.0 \text{ m}\)

【総まとめ】この一問を未来の得点力へ!完全マスター講座

最重要ポイント:この問題の核心となる物理法則は?
  • ホイヘンスの原理:
    • 核心: 波の伝播を説明する基本原理であり、特に回折や屈折といった現象を幾何学的に作図する際の根幹をなします。「波面上の各点が新たな波源(素元波)となり、それらの素元波の共通接線(包絡面)が次の波面を作る」という考え方を理解することが最も重要です。
    • 理解のポイント:
      • 素元波: 波面上の各点から出る、小さな球面波(または円形波)。
      • 包絡面: 無数の素元波に共通して接する面。これが次の瞬間の波面そのものです。
  • 波の屈折の法則:
    • 核心: 異なる媒質を進む波の性質を定量的に結びつける法則です。特に「振動数\(f\)は不変」という事実から導かれる、速さと波長の関係 \(\frac{v_1}{v_2} = \frac{\lambda_1}{\lambda_2}\) を理解し、適用できることが重要です。
    • 理解のポイント:
      • 不変量: 屈折の前後で振動数\(f\)は変わりません。これは、境界面で波が途切れたり、無から生まれたりしないための連続性の条件です。
      • 変化量: 媒質によって波の速さ\(v\)が変化し、それに伴って波長\(\lambda\)も変化します。(\(v=f\lambda\)より)
応用テクニック:似た問題が出たらココを見る!解法の鍵と着眼点
  • 応用できる類似問題のパターン:
    • 屈折の法則と入射角・屈折角: この問題では角度は問われませんでしたが、\(\frac{\sin i}{\sin r} = \frac{v_1}{v_2}\) の関係を使って角度を求める問題は頻出です。ホイヘンスの原理で作図した三角形(\(\triangle BO’O\)と\(\triangle CO’O\))に注目すると、この公式が幾何学的に導出できます。
    • 全反射: 屈折角が90度になる限界の入射角(臨界角)を求める問題。速い媒質から遅い媒質へ進むのではなく、遅い媒質から速い媒質へ進む場合に起こり得ます。
    • レンズによる光の屈折: レンズの曲面で光が屈折する現象も、根本は同じ屈折の法則に基づいています。
  • 初見の問題での着眼点:
    1. 媒質ごとの速さを確認: まず、各媒質での波の速さ \(v_1, v_2\) を把握します。速さが変わらないなら屈折は起きません。
    2. 作図か計算か: 問題が「作図せよ」なのか「値を求めよ」なのかでアプローチを分けます。作図ならホイヘンスの原理、計算なら屈折の法則の公式を主軸に考えます。
    3. ホイヘンスの原理での作図手順:
      • (a) 境界に達した波面上の2点(例: OとB)を選ぶ。
      • (b) 一方の点(B)が境界(O’)に達する時間 \(\Delta t\) を考える。
      • (c) その間に、もう一方の点(O)から出る素元波がどれだけ進むか(半径 \(v_2 \Delta t\))を計算する。
      • (d) (b)の到達点(O’)から(c)の素元波に接線を引く。これが新しい波面です。
    4. 計算問題での公式選択: 波長を求めるなら \(\frac{v_1}{v_2} = \frac{\lambda_1}{\lambda_2}\)、角度を求めるなら \(\frac{\sin i}{\sin r} = \frac{v_1}{v_2}\) を選択します。
要注意!ありがちなミス・誤解とその対策
  • 速さと波長の関係の混同:
    • 誤解: 速さが \(v_1 \to v_2\) になるとき、波長が \(\lambda_1 \to \lambda_1 \times \frac{v_1}{v_2}\) のように、比率を逆にして掛けてしまう。
    • 対策: 「速い媒質では波長は長く、遅い媒質では波長は短い」という物理的イメージを持つこと。また、\(v=f\lambda\) から \(\lambda = v/f\) と変形し、「\(f\)が一定なので、\(\lambda\)は\(v\)に比例する」と論理的に確認する習慣をつける。
  • ホイヘンスの原理の作図ミス:
    • 誤解: 点Oから出る素元波の半径を、適当な長さで描いてしまう。または、点O’から接線を引くのではなく、円の中心Oと結んでしまう。
    • 対策: 素元波の半径は \(v_2 \Delta t\)、つまり \(BO’ \times \frac{v_2}{v_1}\) という明確な物理的意味を持つ長さであることを理解する。そして、新しい波面は「包絡面」、つまり「共通接線」であることを徹底する。
  • 波面と進行方向の混同:
    • 誤解: 作図で求めた屈折波の波面(線分O’C)を、進行方向と勘違いする。
    • 対策: 「波の進行方向(射線)は、常に波面に対して垂直である」という大原則を常に意識する。作図の最後に、求めた波面に垂直な矢印を描くことを徹底する。
なぜその公式?論理的な公式選択と適用の思考法
  • 屈折の法則 (\(\frac{v_1}{v_2} = \frac{\lambda_1}{\lambda_2}\)):
    • 選定理由: この問題では、媒質IとIIにおける速さと波長の関係が問われているため、これらを直接結びつけるこの公式が最も適しています。
    • 適用根拠: この公式の根底には「屈折が起きても振動数\(f\)は不変」という物理法則があります。
      • 媒質Iで \(v_1 = f \lambda_1\)
      • 媒質IIで \(v_2 = f \lambda_2\)
      • 両式を \(f\) について解くと \(f = \frac{v_1}{\lambda_1} = \frac{v_2}{\lambda_2}\) となり、これを変形することで公式が得られます。このように、公式の成り立ちを理解しておくと、応用が効きやすくなります。
計算ミスをなくす!日頃の意識と実践テクニック
  • 比の計算の徹底: この問題のように比の関係が重要な場合、分数で立式するのが確実です。 \(\frac{3.0}{2.0} = \frac{4.5}{\lambda_2}\) のように、対応する物理量を上下に正しく配置します。
  • 単位の確認: 問題で与えられている物理量の単位(m/s, m)が揃っているかを確認する。単位が異なれば換算が必要です。
  • 簡単な整数比への変換: \(3.0 : 2.0\) は \(3:2\) のように、計算しやすい簡単な整数比に直してから考えると、検算や物理的イメージの把握がしやすくなります。「速さが2/3になるから、波長も2/3になるはずだ」という見通しを立ててから計算すると、\(4.5 \times (2/3) = 3.0\) となり、ケアレスミスを防げます。
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