「セミナー物理基礎+物理2025」徹底解説!【第 Ⅰ 章 9】発展例題~発展問題239

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発展例題

発展例題20 振動する台上の物体の運動

【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド

【相違点に関する注記】
  1. 提示する別解
    • 設問(5)の別解: 力学的エネルギー保存則(重力+弾性力)を用いる解法
      • 模範解答が単振動のエネルギー保存則(つりあいの位置を基準とする復元力による位置エネルギー)を用いるのに対し、別解ではより基本的な重力による位置エネルギーとばねの弾性エネルギーの和が保存されることを用いて速さを求めます。
  2. 上記の別解が有益である理由
    • 物理的本質の深化: 単振動のエネルギー保存則が、より一般的な力学的エネルギー保存則からどのように導かれるかを具体的に理解できます。
    • 思考の柔軟性向上: 問題設定に応じて、エネルギーの基準点をどこに置くのが最も計算が簡単か(つりあいの位置か、ばねの自然長か)を選択する良い訓練になります。
    • 解法の選択肢拡大: つりあいの位置がずれている単振動の問題で、自然長を基準にするという普遍的な考え方も有効であることを学び、応用力が身につきます。
  3. 結果への影響
    • いずれのアプローチを用いても、計算過程や思考の出発点が異なるだけで、最終的に得られる答えは模範解答と完全に一致します。

この問題のテーマは「ばね上の物体が一体となって行う鉛直単振動」です。重力の影響下での単振動の扱いや、複数の物体が一体となって運動する際の考え方をマスターすることが目的です。

問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。

  1. 力のつりあい: 単振動の中心となる「つりあいの位置」を正しく見つけ出すこと。
  2. 運動方程式: つりあいの位置からの変位 \(x\) を用いて、運動の様子を \(ma=F\) の形で数式に落とし込むこと。
  3. 単振動の性質: 運動方程式が \(a = -(\text{定数}) \times x\) の形で表されることを確認し、復元力や角振動数を理解すること。
  4. 物体が離れる条件: 物体間に働く垂直抗力が \(0\) になる瞬間が「離れる」ときであると理解していること。
  5. エネルギー保存則: 単振動におけるエネルギー保存則、またはより一般的な力学的エネルギー保存則を正しく適用できること。

基本的なアプローチは以下の通りです。

  1. (1)では、まず物体AとBを一体とみなし、系全体にかかる力のつりあいを考えて、ばねの縮みを求めます。
  2. (2)では、(1)で求めたつりあいの位置を基準として、系全体の運動方程式を立て、加速度を求めます。
  3. (3)では、物体Aのみに着目し、その運動方程式から台BがAを押す力(垂直抗力)を求めます。
  4. (4)では、「物体が離れる条件=垂直抗力が\(0\)」を用いて、(3)の結果から振幅を計算します。
  5. (5)では、与えられた初期条件と、物体が離れる瞬間の条件を用いて、単振動のエネルギー保存則から速さを求めます。

問(1)

思考の道筋とポイント
装置全体がつりあいの状態、つまり静止している状態を考えます。このとき、系全体に働く力はつりあっています。物体AとBを質量 \((m+M)\) の一つの物体とみなして、この物体に働く重力とばねの弾性力がつりあう、という式を立てます。
この設問における重要なポイント

  • 物体AとBを一体(質量 \((m+M)\))とみなす。
  • 「つりあいの状態」とは、物体に働く力の合力が \(0\) である状態を指す。
  • ばねの弾性力は、自然長からの変位(この場合は縮み \(\Delta l\))に比例し、\(F=k\Delta l\) と表される。

具体的な解説と立式
物体AとBを一体とみなすと、その質量は \((m+M)\) です。
この一体となった物体に働く力は、

  • 下向き: 重力 \((m+M)g\)
  • 上向き: ばねの弾性力 \(k\Delta l\)

です。
これらの力がつりあっているので、「上向きの力の和 = 下向きの力の和」より、
$$ k\Delta l = (m+M)g $$

使用した物理公式

  • 力のつりあい: \(F_{\text{上}} = F_{\text{下}}\)
  • ばねの弾性力: \(F = kx\)
計算過程

上記のつりあいの式を \(\Delta l\) について解きます。
$$ \Delta l = \frac{m+M}{k}g $$

この設問の平易な説明

おもりAとおもりBを合わせた、重さ \((m+M)g\) の大きなおもりを、ばねの上にそっと置いた状態を想像してください。おもりの重さでばねは縮み、あるところで静止します。このとき、ばねが「押し返そうとする力」とおもりの「重さ」がちょうど等しくなっています。このときのばねの縮み \(\Delta l\) を計算する問題です。

結論と吟味

ばねの自然長からの縮みは \(\Delta l = \frac{m+M}{k}g\) と求まりました。質量が大きいほど、またばね定数 \(k\) が小さい(ばねが柔らかい)ほど、縮みが大きくなるという、直感に合う結果です。

解答 (1) 自然長からのばねの縮み: \(\Delta l = \frac{m+M}{k}g\)

問(2)

思考の道筋とポイント
物体AとBは一体となって単振動するので、(1)と同様に質量 \((m+M)\) の一つの物体とみなして運動方程式を立てます。単振動では、力の基準(原点)をつりあいの位置にとるのが定石です。つりあいの位置からの変位を \(x\) として、物体に働く力を考え、\(ma=F\) の式を立てます。
この設問における重要なポイント

  • 振動の中心は、(1)で求めた力のつりあいの位置である。
  • 座標軸は鉛直上向きを正とし、原点(\(x=0\))をつりあいの位置とする。
  • 変位 \(x\) のとき、ばねの自然長からの縮みは \(\Delta l – x\) となる。

具体的な解説と立式
質量 \((m+M)\) の物体が、つりあいの位置から \(x\) だけ変位したときを考えます。
このとき、物体に働く力は、

  • 上向き: ばねの弾性力。ばねの自然長からの縮みは \((\Delta l – x)\) なので、弾性力は \(k(\Delta l – x)\)。
  • 下向き: 重力 \((m+M)g\)。

鉛直上向きを正として運動方程式を立てると、
$$ (m+M)a = k(\Delta l – x) – (m+M)g $$
ここで、(1)で求めたつりあいの関係式 \(k\Delta l = (m+M)g\) を用いて式を整理します。
$$
\begin{aligned}
(m+M)a &= k\Delta l – kx – (m+M)g \\[2.0ex]
&= (k\Delta l – (m+M)g) – kx
\end{aligned}
$$
\(k\Delta l – (m+M)g = 0\) なので、
$$ (m+M)a = -kx $$

使用した物理公式

  • 運動方程式: \(ma = F\)
計算過程

上記の運動方程式を加速度 \(a\) について解きます。
$$ a = -\frac{k}{m+M}x $$
これは、加速度 \(a\) が変位 \(x\) に比例し、向きが常に逆であることを示しており、物体が単振動をすることの証明にもなっています。

この設問の平易な説明

AとBを乗せた台が、つりあいの位置を中心に上下に揺れている状況です。このとき、台の加速度(スピードの変化の度合い)は、つりあいの位置からどれだけ離れているか(\(x\))によって決まります。一番離れている端っこでは加速度が最大に、中心では \(0\) になります。この関係を数式で表す問題です。

結論と吟味

加速度は \(a = -\frac{k}{m+M}x\) と求まりました。これは単振動の加速度の公式 \(a = -\omega^2 x\) と同じ形をしています。したがって、この単振動の角振動数 \(\omega\) は \(\omega = \sqrt{\frac{k}{m+M}}\) であることがわかります。

解答 (2) 加速度: \(a = -\frac{k}{m+M}x\)

問(3)

思考の道筋とポイント
台Bが物体Aを押す力 \(f\) を求めたいので、今度は物体Aのみに着目します。物体Aも台Bと同じ加速度 \(a\) で運動していると考え、物体Aについての運動方程式を立てます。このとき、加速度 \(a\) には(2)で求めた結果を代入します。
この設問における重要なポイント

  • 考察の対象を物体Aのみに絞る。
  • 物体Aに働く力は、重力 \(mg\)(下向き)と、台Bからの垂直抗力 \(f\)(上向き)の2つである。
  • 物体Aの加速度は、系全体の加速度 \(a\) と等しい。

具体的な解説と立式
物体A(質量 \(m\))に着目し、鉛直上向きを正として運動方程式を立てます。
物体Aに働く力は、

  • 上向き: 台BがAを押す力(垂直抗力) \(f\)
  • 下向き: 重力 \(mg\)

したがって、運動方程式は、
$$ ma = f – mg $$
この式を \(f\) について解くと、
$$
\begin{aligned}
f &= mg + ma \\[2.0ex]
&= m(g+a)
\end{aligned}
$$

使用した物理公式

  • 運動方程式: \(ma = F\)
計算過程

(2)で求めた \(a = -\frac{k}{m+M}x\) を上記の式に代入します。
$$
\begin{aligned}
f &= m\left(g + \left(-\frac{k}{m+M}x\right)\right) \\[2.0ex]
&= m\left(g – \frac{k}{m+M}x\right)
\end{aligned}
$$

この設問の平易な説明

あなたがエレベーターに乗っているとき、上昇し始め(上向きに加速)すると体が重く感じ、下降し始め(下向きに加速)すると体が軽く感じます。これは床があなたを押す力(垂直抗力)が変化するためです。この問題も同じで、物体Aが乗っている台Bの加速度 \(a\) によって、台がAを押す力 \(f\) が変化します。その関係を式で表す問題です。

結論と吟味

力 \(f\) は \(f = m(g – \frac{k}{m+M}x)\) と求まりました。

  • つりあいの位置(\(x=0\))では \(f=mg\) となり、静止しているときと同じです。
  • 最下点(\(x<0\))では、\(x\)が負なので \(f > mg\) となり、Aは重く感じます。
  • 最高点(\(x>0\))では、\(f < mg\) となり、Aは軽く感じます。

これは物理的な直感と一致しています。

解答 (3) 台Bが物体Aを押す力: \(f = m\left(g – \frac{k}{m+M}x\right)\)

問(4)

思考の道筋とポイント
台Bが最高点に達したとき、物体Aが台Bから離れそうになる、つまり \(f\) が \(0\) になったとします。単振動の最高点では、変位 \(x\) は振幅 \(r_0\) に等しくなります。これらの条件を(3)で求めた \(f\) の式に代入することで、振幅 \(r_0\) を求めます。
この設問における重要なポイント

  • 「物体が台から離れる」とは、台が物体を押す力(垂直抗力)が \(0\) になることを意味する。(\(f=0\))
  • 単振動の最高点では、変位は振幅に等しい。(\(x=r_0\))

具体的な解説と立式
(3)で求めた関係式
$$ f = m\left(g – \frac{k}{m+M}x\right) $$
に、問題の条件である \(f=0\) と \(x=r_0\) を代入します。
$$ 0 = m\left(g – \frac{k}{m+M}r_0\right) $$

使用した物理公式

  • (3)で導出した関係式
計算過程

上記の方程式を \(r_0\) について解きます。
質量 \(m\) は \(0\) ではないので、括弧の中が \(0\) になる必要があります。
$$
\begin{aligned}
g – \frac{k}{m+M}r_0 &= 0 \\[2.0ex]
g &= \frac{k}{m+M}r_0
\end{aligned}
$$
したがって、
$$ r_0 = \frac{m+M}{k}g $$

この設問の平易な説明

トランポリンで高くジャンプするとき、一番高い点では足がトランポリンから離れます。この問題も似ていて、振動台が一番上に来た瞬間に、物体Aが台から離れてふわっと浮いた状態(\(f=0\))になった、という設定です。この現象が起こるためには、どれくらいの揺れの大きさ(振幅)が必要だったのかを逆算する問題です。

結論と吟味

振幅は \(r_0 = \frac{m+M}{k}g\) と求まりました。これは、(1)で求めたつりあいの位置での縮み \(\Delta l\) と全く同じ値です。つまり、つりあいの位置から自然長の位置まで上昇したとき(変位が\(\Delta l\)のとき)に、物体は離れ始めるということを意味しています。

解答 (4) 振幅: \(r_0 = \frac{m+M}{k}g\)

問(5)

思考の道筋とポイント
まず、物体Aが台Bから離れるときの変位 \(x_1\) を求めます。物体が離れる条件は(4)で考えた通り \(f=0\) です。この条件を(3)の式に適用すれば \(x_1\) が求まります。
次に、その位置での速さ \(v\) を求めます。単振動している間のエネルギーは保存されるので、単振動のエネルギー保存則を用います。はじめの状態(手をはなした瞬間)と、物体が離れる瞬間の2つの状態でエネルギー保存の式を立てます。
この設問における重要なポイント

  • 物体が離れる変位 \(x_1\) は、\(f=0\) となる位置である。
  • 単振動のエネルギー保存則:
    $$
    \begin{aligned}
    E &= (\text{運動エネルギー}) + (\text{復元力による位置エネルギー}) \\[2.0ex]
    &= \frac{1}{2}(\text{質量})v^2 + \frac{1}{2}(\text{復元力定数})x^2 \\[2.0ex]
    &= \text{一定}
    \end{aligned}
    $$
  • ここで「質量」は系全体の質量 \((m+M)\)、「復元力定数」は \(k\)、「変位 \(x\)」はつりあいの位置からの距離である。

具体的な解説と立式
1. 変位 \(x_1\) の計算
物体が離れるのは \(f=0\) のときなので、(3)の式 \(f = m(g – \frac{k}{m+M}x)\) に \(f=0\) を代入します。
$$ 0 = m\left(g – \frac{k}{m+M}x_1\right) $$
これを解くと、(4)と同様に
$$ x_1 = \frac{m+M}{k}g $$
これは(4)で求めた \(r_0\) と等しいので、\(x_1 = r_0\) です。

2. 速さ \(v\) の計算
単振動のエネルギー保存則を適用します。

  • はじめの状態: つりあいの位置から \(\sqrt{2}r_0\) だけ押し下げた位置。
    • 変位 \(x_{\text{初}} = -\sqrt{2}r_0\)
    • 速さ \(v_{\text{初}} = 0\) (静かにはなしたため)
  • あとの状態: 物体が離れる位置。
    • 変位 \(x_{\text{後}} = x_1 = r_0\)
    • 速さ \(v_{\text{後}} = v\)

エネルギー保存則より、
$$ \frac{1}{2}(m+M)v_{\text{初}}^2 + \frac{1}{2}kx_{\text{初}}^2 = \frac{1}{2}(m+M)v_{\text{後}}^2 + \frac{1}{2}kx_{\text{後}}^2 $$

使用した物理公式

  • 単振動のエネルギー保存則: \(\frac{1}{2}Mv^2 + \frac{1}{2}Kx^2 = \text{一定}\)
計算過程

エネルギー保存則の式に、具体的な値を代入します。
$$
\begin{aligned}
\frac{1}{2}(m+M)(0)^2 + \frac{1}{2}k(-\sqrt{2}r_0)^2 &= \frac{1}{2}(m+M)v^2 + \frac{1}{2}k(r_0)^2 \\[2.0ex]
\frac{1}{2}k(2r_0^2) &= \frac{1}{2}(m+M)v^2 + \frac{1}{2}kr_0^2 \\[2.0ex]
kr_0^2 &= \frac{1}{2}(m+M)v^2 + \frac{1}{2}kr_0^2
\end{aligned}
$$
両辺から \(\frac{1}{2}kr_0^2\) を引くと、
$$
\begin{aligned}
\frac{1}{2}kr_0^2 &= \frac{1}{2}(m+M)v^2 \\[2.0ex]
v^2 &= \frac{k}{m+M}r_0^2
\end{aligned}
$$
\(v>0\) なので、
$$ v = \sqrt{\frac{k}{m+M}} r_0 $$
ここに \(r_0 = \frac{m+M}{k}g\) を代入すると、
$$
\begin{aligned}
v &= \sqrt{\frac{k}{m+M}} \left( \frac{m+M}{k}g \right) \\[2.0ex]
&= \sqrt{\frac{k}{m+M} \cdot \left( \frac{m+M}{k} \right)^2 g^2} \\[2.0ex]
&= \sqrt{\frac{m+M}{k} g^2} \\[2.0ex]
&= \sqrt{\frac{m+M}{k}}g
\end{aligned}
$$

この設問の平易な説明

最初に台をぐっと押し下げて蓄えた「ばねの位置エネルギー」が、手を離したあと、台のスピードを上げる「運動エネルギー」と、ばねが伸びていく分の「位置エネルギー」に変わっていきます。エネルギーの種類は変わっても、その合計量は一定です。この「エネルギー保存の法則」を使って、物体Aが離れる瞬間の台の速さを計算します。

結論と吟味

物体が離れる変位は \(x_1 = \frac{m+M}{k}g\)、そのときの速さは \(v = \sqrt{\frac{m+M}{k}}g\) と求まりました。
\(x_1\) は振幅 \(r_0\) と同じ値であり、物理的に妥当です。速さ \(v\) も、各物理量から正しく計算されています。

解答 (5) 変位: \(x_1 = \frac{m+M}{k}g\), 速さ: \(v = \sqrt{\frac{m+M}{k}}g\)
別解: 力学的エネルギー保存則(重力+弾性力)を用いる解法

思考の道筋とポイント
模範解答では「単振動のエネルギー保存則」を用いましたが、ここではより基本的な「力学的エネルギー保存則」を使って速さ \(v\) を求めます。この方法では、重力による位置エネルギーと、ばねの弾性エネルギーの両方を考慮します。エネルギーの基準点を明確に設定することが重要です。ここでは、ばねの自然長の位置を高さの基準(\(y=0\))とします。
この設問における重要なポイント

  • 力学的エネルギー\(E =\) (運動エネルギー) + (重力による位置エネルギー) + (弾性エネルギー) \(=\) 一定
  • エネルギーの基準点として、ばねの自然長の位置を \(y=0\) とする。
  • つりあいの位置は \(y = -\Delta l\)。
  • つりあいの位置からの変位が \(x\) のとき、高さは \(y = x – \Delta l\) と表される。

具体的な解説と立式
ばねの自然長の位置を、重力および弾性エネルギーの基準点(\(y=0\))とします。
力学的エネルギー保存則は、
$$ \frac{1}{2}(m+M)v^2 + (m+M)gy + \frac{1}{2}ky^2 = \text{一定} $$

  • はじめの状態: \(x_{\text{初}} = -\sqrt{2}r_0\), \(v_{\text{初}} = 0\)。
    • このときの高さは \(y_{\text{初}} = x_{\text{初}} – \Delta l = -\sqrt{2}r_0 – \Delta l\)。
  • あとの状態: \(x_{\text{後}} = x_1 = r_0\), \(v_{\text{後}} = v\)。
    • このときの高さは \(y_{\text{後}} = x_{\text{後}} – \Delta l = r_0 – \Delta l\)。

エネルギー保存則 \(E_{\text{初}} = E_{\text{後}}\) を用いて \(v\) を求めます。

使用した物理公式

  • 力学的エネルギー保存則: \(K+U_g+U_s = \text{一定}\)
  • 位置エネルギー: \(U_g=mgh\), \(U_s=\frac{1}{2}kx^2\)
計算過程

計算を簡単にするため、(1)と(4)の結果である \(k\Delta l = (m+M)g\) と \(r_0 = \Delta l\) を使います。
まず、後の状態のエネルギー \(E_{\text{後}}\) を計算します。このとき、高さは \(y_{\text{後}} = r_0 – \Delta l = \Delta l – \Delta l = 0\) です。
$$
\begin{aligned}
E_{\text{後}} &= \frac{1}{2}(m+M)v^2 + (m+M)g(0) + \frac{1}{2}k(0)^2 \\[2.0ex]
&= \frac{1}{2}(m+M)v^2
\end{aligned}
$$
次に、はじめの状態のエネルギー \(E_{\text{初}}\) を計算します。このとき、高さは \(y_{\text{初}} = -\sqrt{2}r_0 – \Delta l = -\sqrt{2}\Delta l – \Delta l = -(\sqrt{2}+1)\Delta l\) です。
$$
\begin{aligned}
E_{\text{初}} &= \frac{1}{2}(m+M)(0)^2 + (m+M)g y_{\text{初}} + \frac{1}{2}k y_{\text{初}}^2 \\[2.0ex]
&= (k\Delta l) \cdot (-(\sqrt{2}+1)\Delta l) + \frac{1}{2}k (-(\sqrt{2}+1)\Delta l)^2 \\[2.0ex]
&= -k\Delta l^2(\sqrt{2}+1) + \frac{1}{2}k\Delta l^2(\sqrt{2}+1)^2 \\[2.0ex]
&= -k\Delta l^2(\sqrt{2}+1) + \frac{1}{2}k\Delta l^2(2+2\sqrt{2}+1) \\[2.0ex]
&= -k\Delta l^2(\sqrt{2}+1) + \frac{1}{2}k\Delta l^2(3+2\sqrt{2}) \\[2.0ex]
&= k\Delta l^2 \left( -(\sqrt{2}+1) + \frac{1}{2}(3+2\sqrt{2}) \right) \\[2.0ex]
&= k\Delta l^2 \left( -\sqrt{2}-1 + \frac{3}{2}+\sqrt{2} \right) \\[2.0ex]
&= \frac{1}{2}k\Delta l^2
\end{aligned}
$$
\(E_{\text{初}} = E_{\text{後}}\) より、
$$ \frac{1}{2}k\Delta l^2 = \frac{1}{2}(m+M)v^2 $$
これは主たる解法の中間式 \(\frac{1}{2}kr_0^2 = \frac{1}{2}(m+M)v^2\) と(\(r_0=\Delta l\)なので)同じです。
したがって、これ以降の計算も主たる解法と同じになり、
$$ v = \sqrt{\frac{m+M}{k}}g $$
が得られます。

この設問の平易な説明

ばねのエネルギーを考えるとき、どこを「高さゼロ」の基準にするかで、式の見た目が変わります。主たる解法では、計算が楽になる「つりあいの位置」を基準にしました。この別解では、どんな問題にも通用する、より基本的な「ばねの自然な長さ」の位置を基準にしました。重力の影響も式に含めるので計算は少し複雑になりますが、物理の根本的な法則から答えを導き出しています。

結論と吟味

主たる解法と完全に同じ結果が得られました。単振動のエネルギー保存則は、この別解で示した力学的エネルギー保存則から、つりあいの位置を基準として式を整理することで導出されるものです。どちらのアプローチも理解しておくことで、問題解決の幅が広がります。

解答 (5) 変位: \(x_1 = \frac{m+M}{k}g\), 速さ: \(v = \sqrt{\frac{m+M}{k}}g\)

【総まとめ】この一問を未来の得点力へ!完全マスター講座

最重要ポイント:この問題の核心となる物理法則は?
  • 運動方程式と単振動の条件
    • 核心: この問題の根幹は、重力の影響下でばねにつながれた物体が示す「単振動」を、運動方程式を用いて数学的に記述する能力です。具体的には、物体に働く力(重力と弾性力)の合力を考え、\(ma=F\) の形で立式します。その結果が \(a = -(\text{定数}) \times x\) という形になることを確認し、振動の中心(つりあいの位置)や角振動数を特定することが核心です。
    • 理解のポイント:
      • つりあいの位置の重要性: 鉛直ばね振り子では、重力と弾性力がつりあう位置が振動の中心となります。この位置を基準(原点)に変位 \(x\) を設定すると、重力が見かけ上消去され、運動方程式が \(ma=-kx\) というシンプルな復元力の形に帰着します。この座標設定が問題を解く上での最大の鍵です。
      • 複数物体の扱い: 物体AとBが一体となって運動している間は、質量 \((m+M)\) の一つの物体として扱うことができます。しかし、物体間の力(この場合は垂直抗力)を問われた場合は、個別の物体に着目して運動方程式を立てる必要があります。この「全体で見る視点」と「個別で見る視点」の使い分けが重要です。
  • 物体が離れる条件とエネルギー保存則
    • 核心: 振動中に物体が接触を失う(離れる)現象を、物理法則に基づいて解釈することです。
    • 理解のポイント:
      • 離れる条件: 物体Aが台Bから離れる瞬間とは、台BがAを押す力(垂直抗力)が \(0\) になる瞬間です。これは、Aが重力だけで運動している状態、つまり自由落下と同じ加速度(下向きに \(g\))で運動する瞬間と一致します。
      • エネルギー保存則の適用: 単振動では、運動エネルギーと復元力による位置エネルギーの和が一定に保たれます。この法則を用いることで、運動の途中経過(加速度や時間)を追わずに、ある位置での速さを直接計算することができます。特に、始点と終点の位置と速さの関係を問う問題で強力なツールとなります。
応用テクニック:似た問題が出たらココを見る!解法の鍵と着眼点
  • 応用できる類似問題のパターン:
    • エレベーター内のばね振り子: エレベーターが加速度運動をすると、見かけの重力が変化し、単振動のつりあいの位置(振動中心)がずれます。慣性力を考慮して新しいつりあいの位置を求めれば、あとは同様に解くことができます。
    • 斜面上の単振動: 斜面上に置かれた物体がばねで振動する場合も、重力の斜面方向成分と弾性力がつりあう位置が振動中心となります。力の分解を正確に行うことが鍵です。
    • 浮力による単振動: 水に浮かべた物体を少し押し沈めて離すと、浮力と重力の差が復元力となって単振動をします。この場合、アルキメデスの原理から浮力を正しく計算し、つりあいの位置を特定することが重要です。
    • 2物体がばねで連結された振動: 2つの物体がばねで結ばれている場合、重心の運動と相対運動に分けて考えると見通しが良くなります。重心は外力がなければ等速直線運動をし、相対運動は換算質量を用いた単振動として記述できます(大学レベルの内容ですが、考え方の応用として)。
  • 初見の問題での着眼点:
    1. まずは振動中心(つりあいの位置)を探す: 問題が単振動に関するものだと判断したら、最初にやるべきことは、物体に働くすべての力がつりあう位置を見つけることです。この位置が、その後の運動を記述する上での最も重要な基準点(原点)になります。
    2. 座標軸を設定し、力を図示する: つりあいの位置を原点とし、振動方向(この問題では鉛直方向)に座標軸を設定します。そして、つりあいの位置から任意に変位 \(x\) だけずれた状態で、物体に働く力をすべてベクトル矢印で図に書き込みます。
    3. 運動方程式を立て、単振動であることを確認する: 図示した力をもとに、運動方程式 \(ma=F\) を立てます。式を整理した結果が \(a = -(\text{定数}) \times x\) の形になれば、その運動は単振動であることが確定します。この式の比例定数から角振動数 \(\omega\) が求まります。
    4. 「離れる」「滑る」などの条件を物理的に解釈する:
      • 「離れる」→ 垂直抗力 \(N=0\)
      • 「滑り出す」→ 静止摩擦力が最大静止摩擦力 \(\mu N\) に達する
      • 「糸がたるむ」→ 張力 \(T=0\)

      これらの条件を、個別の物体についての運動方程式に適用することで、限界となる振幅や位置を求めることができます。

    5. エネルギー保存則が使えないか検討する: 速さや高さを問われた場合、運動方程式から加速度を求めて計算することもできますが、エネルギー保存則を使えばより簡単に解けることが多いです。特に、始点と終点の状態だけが問題になる場合は、エネルギー保存則が有効です。
要注意!ありがちなミス・誤解とその対策
  • ばねの伸び・縮みを自然長から測るか、つりあいの位置から測るかで混乱する:
    • 誤解: 運動方程式を立てる際や、弾性エネルギーを計算する際に、変位 \(x\) をばねの自然長からの長さだと勘違いしてしまう。
    • 対策: 2つの「長さ」を明確に区別しましょう。
      • 弾性力 \(F\) と弾性エネルギー \(U_s\) の公式(\(F=kx\), \(U_s=\frac{1}{2}kx^2\))に出てくる \(x\) は、常に「ばねの自然長からの変位」です。
      • 一方、単振動の運動方程式 \(ma=-Kx\) や復元力による位置エネルギー \(U_p=\frac{1}{2}Kx^2\) に出てくる \(x\) は、「振動の中心(つりあいの位置)からの変位」です。

      鉛直ばね振り子では、つりあいの位置を原点として運動方程式を立てるのが最も簡単なので、この方法に慣れることが重要です。

  • 物体AとBを一体としてしか考えられない:
    • 誤解: (3)で垂直抗力 \(f\) を求める際に、AとBを一体とみなしたまま考えてしまい、内力である \(f\) が式に現れず、手詰まりになる。
    • 対策: 物理法則を適用する「系(システム)」を意識的に切り替える癖をつけましょう。「系全体の加速度を求めたい」ときはAとBを一体とみなし、「物体間の力を求めたい」ときはその力が働く物体(この場合はA)だけを系として取り出し、運動方程式を立てる、というように使い分けが必要です。
  • 「離れる」瞬間の速度を \(0\) と勘違いする:
    • 誤解: 物体が離れる最高点で、一瞬止まるのではないかと考えてしまう。
    • 対策: 単振動の速度が \(0\) になるのは、振動の「端」、つまり最高点と最下点だけです。この問題では、(4)で離れるときの振幅が \(r_0\) であることがわかりましたが、(5)では初期条件が変わり、振幅が \(\sqrt{2}r_0\) のより大きな振動になっています。したがって、物体が離れる位置 \(x_1=r_0\) は振動の端ではないため、速度は \(0\) ではありません。エネルギー保存則などを用いて正しく計算する必要があります。
なぜその公式?論理的な公式選択と適用の思考法
  • (1)での公式選択(力のつりあい):
    • 選定理由: 求めたいのは「つりあいの状態」におけるばねの縮みです。「つりあい」とは、力がバランスして物体が静止している状態を指します。この物理的状況を記述する法則は、力のつりあいの式(合力=0)以外にありません。
    • 適用根拠: 物体AとBは一体となって静止しているため、質量 \((m+M)\) の一つの物体とみなせます。この物体に働く力は重力と弾性力のみなので、これらの力がつりあうという式を立てることで、未知数である縮み \(\Delta l\) を求めることができます。
  • (2)(3)での公式選択(運動方程式):
    • 選定理由: 求めたいのは「加速度 \(a\)」や「物体間に働く力 \(f\)」です。これらは運動の状態とその原因である力を結びつける物理量であり、これらを記述する基本法則は運動方程式 \(ma=F\) です。
    • 適用根拠: (2)では系全体の運動の様子(加速度)を知りたいので、質量 \((m+M)\) の物体として運動方程式を立てます。(3)では物体AとBの間の力(内力)を知りたいので、その力が直接働く物体Aのみを対象として運動方程式を立てます。このように、知りたい量に応じて方程式を立てる対象を適切に選択することが重要です。
  • (5)での公式選択(単振動のエネルギー保存則):
    • 選定理由: 求めたいのは、ある位置を通過するときの「速さ」です。運動の始点(手を離した瞬間)と終点(物体が離れる瞬間)の状態(位置と速さ)が分かっています。このように、2つの時点での状態を結びつけたい場合、途中の過程を問わないエネルギー保存則が最も効率的な選択肢となります。
    • 適用根拠: この系では、仕事をする力は保存力である重力と弾性力のみです(垂直抗力は仕事をするが、系全体で見れば内力なのでエネルギーの総和は変わらない)。したがって、系全体の力学的エネルギーは保存されます。特に、つりあいの位置を基準に考えれば、運動エネルギーと復元力による位置エネルギーの和が一定であるという、よりシンプルな「単振動のエネルギー保存則」を適用できます。これにより、重力による位置エネルギーを陽に計算する必要がなくなり、計算が大幅に簡略化されます。
計算ミスをなくす!日頃の意識と実践テクニック
  • 文字式のまま計算を進める:
    • (2)で運動方程式を立てる際、\( (m+M)a = k(\Delta l – x) – (m+M)g \) となりますが、ここで \(k\Delta l = (m+M)g\) という(1)で得た関係式を代入することで、式が劇的に簡単になります。先に数値を代入したり、\(\Delta l\) に具体的な式を代入したりすると、計算が煩雑になりミスを誘発します。文字式の関係をうまく利用して、できるだけ式をシンプルにしてから計算を進めるのがコツです。
  • 座標の原点と正の向きを明確にする:
    • 単振動の問題では、どこを原点(\(x=0\))とし、どちらを正の向きとするかで式の符号が変わってきます。問題の冒頭で「鉛直上向きを正、つりあいの位置を原点とする」と自分で宣言し、図にも書き込んでおくと、運動方程式を立てる際の符号ミスを防げます。
  • エネルギー保存則の基準点を意識する:
    • (5)でエネルギー保存則を使う際、どのエネルギーを考えているのかを明確にしましょう。
      • 「単振動のエネルギー保存則」を使う場合: 位置エネルギーは \(\frac{1}{2}kx^2\) のみ。\(x\) は「つりあいの位置」からの変位。
      • 「力学的エネルギー保存則」を使う場合: 位置エネルギーは「重力 \(mgy\)」と「弾性力 \(\frac{1}{2}ky^2\)」の和。\(y\) は「自然長の位置」からの変位。

      どちらを使うか最初に決め、一貫してその定義に従って計算することが重要です。

  • 単位や次元で検算する:
    • 例えば(4)で求めた振幅 \(r_0 = \frac{m+M}{k}g\) の次元を確認してみましょう。質量の単位が \([\text{kg}]\)、ばね定数が \([\text{N/m}] = [\text{kg} \cdot \text{m/s}^2 / \text{m}] = [\text{kg/s}^2]\)、重力加速度が \([\text{m/s}^2]\) なので、\(r_0\) の単位は \([\text{kg}] / [\text{kg/s}^2] \times [\text{m/s}^2] = [\text{m}]\) となり、長さの次元と一致します。このような次元解析は、式の形を間違えていないかを確認する有効な手段です。
  • 極端な場合を考えて結果を吟味する:
    • (3)で求めた力 \(f = m(g – \frac{k}{m+M}x)\) を考えてみましょう。もし、ばねが非常に硬い(\(k \rightarrow \infty\))なら、振動はほとんど起こらず \(x \approx 0\) なので \(f \approx mg\) となり、静止している場合と同じになります。もし、物体Aの質量が \(m=0\) なら、\(f=0\) となり、当然の結果です。このように、物理的に考えやすい極端な状況を代入してみて、結果が直感と合うかを確認するのも良い検算方法です。
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発展問題

235 2つの物体の単振動

【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド

【相違点に関する注記】
  1. 提示する別解
    • 設問(3)の別解: 単振動の速度公式を用いる解法
      • 模範解答が力学的エネルギー保存則を用いるのに対し、別解では単振動の運動学的な公式 \(v^2 = \omega^2(A^2-x^2)\) を用いて速さを直接求めます。
    • 設問(4)の別解: 単振動の速度公式を用いる解法
      • 模範解答が分離後の力学的エネルギー保存則を用いるのに対し、別解では分離後の単振動について、運動学的な公式 \(v^2 = \omega^2(A^2-x^2)\) を用いて振幅を求めます。
    • 設問(5)の別解: 非慣性系における力のつりあいを用いる解法
      • 模範解答が慣性系(静止した床から見た系)で物体Bの運動方程式を立てるのに対し、別解では物体Aと共に振動する観測者から見た非慣性系で考え、Bに働く慣性力と静止摩擦力のつりあいから条件を導きます。
  2. 上記の別解が有益である理由
    • 物理的本質の深化: エネルギーというスカラー量で考える方法と、速度や変位といったベクトル量で考える運動学的な方法の違いと関連性を理解できます。また、慣性系と非慣性系の視点の違いを学ぶことで、力学の問題をより多角的に捉える力が養われます。
    • 思考の柔軟性向上: 求める物理量に応じて、エネルギー保存則と運動学的な公式のどちらが効率的かを考える良い訓練になります。
    • 解法の選択肢拡大: 慣性力という考え方を学ぶことで、複数の物体が連動して加速するような複雑な問題に対応できる引き出しが増えます。
  3. 結果への影響
    • いずれのアプローチを用いても、計算過程や思考の出発点が異なるだけで、最終的に得られる答えは模範解答と完全に一致します。

この問題のテーマは「接触した2物体の単振動と、分離後の運動」です。複数の物体が一体となって運動する状況と、分離した後のそれぞれの運動を、単振動の法則やエネルギー保存則を用いて解析する能力を養います。

問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。

  1. 単振動の運動方程式と周期の公式: 一体となった物体の質量を用いて、系の角振動数や周期を正しく計算できること。
  2. 物体がはなれる条件の物理的理解: 接触した物体がはなれるのは、物体間に働く垂直抗力が \(0\) になる瞬間であることを理解していること。
  3. 力学的エネルギー保存則: 運動の前後で、系の力学的エネルギー(運動エネルギーと弾性エネルギー)が保存されることを利用して、速さや振幅を計算できること。
  4. 単振動における復元力と静止摩擦力の関係: 物体が滑らずに一体で振動するとき、静止摩擦力が復元力の一部または全部を担っていることを理解し、その限界条件を式にできること。

基本的なアプローチは以下の通りです。

  1. (1)〜(3)では、物体AとBが一体となって単振動すると考えます。物体がはなれるのは、ばねが自然長に戻った瞬間です。このときの速さを、力学的エネルギー保存則を用いて求めます。
  2. (4)では、物体Bがはなれた後、物体Aだけが単振動を続けると考えます。はなれた瞬間のAの速さを用いて、分離後の単振動のエネルギー保存則から新しい振幅を計算します。
  3. (5)では、物体BがAの上に乗って一体で単振動する状況を考えます。Bが滑らない条件は、Bに働く静止摩擦力が最大静止摩擦力を超えないことです。Bの運動方程式を立て、加速度が最大になる振動の端でこの条件を適用します。

問(1)

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