波動の総合問題(ドップラー効果・幾何光学・光の干渉)
【設問別解説】考え方から計算プロセスまで徹底ガイド
この問題のテーマは「波動の総合問題(ドップラー効果、幾何光学、光の干渉)」です。
問題を解く上で鍵となる物理法則や概念は以下の通りです。
- ドップラー効果における相対速度と波長・振動数の関係
- レンズの公式と作図、スネルの法則と全反射の条件
- 光の干渉における経路差と位相変化の考慮
基本的なアプローチは以下の通りです。
- 音波:観測者と音源の運動状態から、波長と振動数の変化を順を追って立式する。
- 幾何光学:光線の進み方を作図で確認し、屈折の法則を用いて臨界角などの条件を求める。
- 光の干渉:幾何学的な経路差を求め、反射時の位相変化(固定端・自由端)を考慮して強め合い・弱め合いの条件式を立てる。
第1問 問1
思考の道筋とポイント
音源が動く場合のドップラー効果の基本です。波長は音源の前方で圧縮され、振動数は観測者が受け取る波の数として計算されます。
この設問における重要なポイント
- 音源が動くとき、波長が変化する。
- 観測者が静止しているとき、音速は \(V\) のまま。
- 振動回数は「振動数 \(\times\) 時間」で求められ、音源が発した波の数と観測者が受け取る波の数は等しい。
具体的な解説と立式
(1) 音源が速さ \(v_{\text{音源}}\) で近づくとき、\(1\)秒間に発せられた \(f_0\) 個の波は、前方 \(V – v_{\text{音源}}\) の距離にひしめき合います。したがって、波長 \(\lambda\) は次のように立式できます。
\(\lambda = \displaystyle\frac{V – v_{\text{音源}}}{f_0}\)
(2) 観測者は静止しているため、音速は \(V\) のままです。観測者が聞く振動数 \(f\) は、波の基本式 \(V = f\lambda\) より立式します。
\(f = \displaystyle\frac{V}{\lambda}\)
(3) 音源が時間 \(t_0\) の間に発する波の総数 \(N\) は、音源の振動数 \(f_0\) を用いて立式します。
\(N = f_0 t_0\)
(4) 観測者がこの \(N\) 個の波をすべて聞き終わるまでの時間 \(t\) は、観測者が聞く振動数 \(f\) を用いて立式します。
\(t = \displaystyle\frac{N}{f}\)
- ドップラー効果の波長:\(\lambda = \displaystyle\frac{V – v_{\text{音源}}}{f_0}\)
- 波の基本式:\(V = f\lambda\)
(1)
$$
\begin{aligned}
\lambda &= \displaystyle\frac{340 – 20}{1.6 \times 10^2} \\[2.0ex]
&= \displaystyle\frac{320}{160} \\[2.0ex]
&= 2.0 \, \text{m}
\end{aligned}
$$
(2)
$$
\begin{aligned}
f &= \displaystyle\frac{340}{2.0} \\[2.0ex]
&= 170 \\[2.0ex]
&= 1.7 \times 10^2 \, \text{Hz}
\end{aligned}
$$
(3)
$$
\begin{aligned}
N &= 1.6 \times 10^2 \times 8.5 \\[2.0ex]
&= 1360 \\[2.0ex]
&= 1.4 \times 10^3 \, \text{回}
\end{aligned}
$$
(4)
$$
\begin{aligned}
t &= \displaystyle\frac{1360}{170} \\[2.0ex]
&= 8.0 \, \text{s}
\end{aligned}
$$
救急車が近づいてくるとき、サイレンの音が高く聞こえる現象です。車が音を出しながら進むため、前方の音波が「押しつぶされて」波長が短くなります。波長が短くなった分、1秒間に耳に届く波の数(振動数)が増え、音が高く聞こえます。また、車が音を出していた時間よりも、観測者が音を聞く時間の方が少し短くなります。
解答 (2) \(1.7 \times 10^2 \, \text{Hz}\)
解答 (3) \(1.4 \times 10^3 \, \text{回}\)
解答 (4) \(8.0 \, \text{s}\)
第1問 問2
思考の道筋とポイント
反射板(車)が動く場合のドップラー効果です。この場合、「車が観測者として音を聞く」ステップと、「車が新しい音源として音を反射する」ステップの\(2\)段階に分けて考えます。風が吹いている場合は、音速そのものが風速の分だけ変化することに注意します。
この設問における重要なポイント
- 反射音のドップラー効果は、反射板を「動く観測者」かつ「動く音源」として\(2\)段階で処理する。
- 観測者が動く場合、観測者に対する相対的な音速が変化する。
- 風が吹く場合、風下に向かう音速は \(V+w\)、風上に向かう音速は \(V-w\) となる。
具体的な解説と立式
(1) 測定装置(音源)は静止し、車(観測者)が速さ \(v\) で近づきます。車に対する音の相対速度は \(V + v\) となるため、車が受け取る振動数 \(f_1\) は次のように立式できます。
\(f_1 = \displaystyle\frac{V + v}{V} f_0\)
(2) 今度は車が振動数 \(f_1\) の音を発する動く音源となり、静止した測定装置(観測者)に向かって速さ \(v\) で近づきます。波長が圧縮されるため、測定装置が観測する振動数 \(f_2\) は次のように立式できます。
\(f_2 = \displaystyle\frac{V}{V – v} f_1\)
(3) (1)と(2)の式から \(f_2\) を \(f_0\) で表し、与えられた数値を代入して車の速さ \(v\) についての方程式を立てます。
\(f_2 = \displaystyle\frac{V + v}{V – v} f_0\)
(4) 風速 \(w\) が測定装置から車に向かって吹いています。
行き(測定装置\(\rightarrow\)車)の音速は \(V + w\) となります。車が受け取る振動数 \(f_1’\) は、相対音速 \((V + w) + v\) を用いて立式します。
\(f_1′ = \displaystyle\frac{V + w + v}{V + w} f_0\)
帰り(車\(\rightarrow\)測定装置)の音速は、風に逆らうため \(V – w\) となります。車(音源)が近づくことによる波長の圧縮を考慮し、測定装置が受け取る振動数 \(f_2’\) を立式します。
\(f_2′ = \displaystyle\frac{V – w}{(V – w) – v} f_1’\)
- 観測者が動く場合のドップラー効果:\(f = \displaystyle\frac{V \pm v_{\text{観測者}}}{V} f_0\)
- 音源が動く場合のドップラー効果:\(f = \displaystyle\frac{V}{V \mp v_{\text{音源}}} f_0\)
(1)
$$
\begin{aligned}
f_1 &= \displaystyle\frac{V + v}{V} f_0
\end{aligned}
$$
(2)
$$
\begin{aligned}
f_2 &= \displaystyle\frac{V}{V – v} f_1 \\[2.0ex]
&= \displaystyle\frac{V}{V – v} \left( \displaystyle\frac{V + v}{V} f_0 \right) \\[2.0ex]
&= \displaystyle\frac{V + v}{V – v} f_0
\end{aligned}
$$
(3)
$$
\begin{aligned}
2.0 \times 10^4 &= \displaystyle\frac{340 + v}{340 – v} \times 1.4 \times 10^4 \\[2.0ex]
\displaystyle\frac{2.0}{1.4} &= \displaystyle\frac{340 + v}{340 – v} \\[2.0ex]
\displaystyle\frac{10}{7} &= \displaystyle\frac{340 + v}{340 – v} \\[2.0ex]
10(340 – v) &= 7(340 + v) \\[2.0ex]
3400 – 10v &= 2380 + 7v \\[2.0ex]
17v &= 1020 \\[2.0ex]
v &= 60 \, \text{m/s}
\end{aligned}
$$
(4)
$$
\begin{aligned}
f_2′ &= \displaystyle\frac{V – w}{V – w – v} \left( \displaystyle\frac{V + w + v}{V + w} f_0 \right) \\[2.0ex]
&= \displaystyle\frac{340 – 10}{340 – 10 – 30} \times \displaystyle\frac{340 + 10 + 30}{340 + 10} \times 1.4 \times 10^4 \\[2.0ex]
&= \displaystyle\frac{330}{300} \times \displaystyle\frac{380}{350} \times 1.4 \times 10^4 \\[2.0ex]
&= 1.1 \times \displaystyle\frac{38}{35} \times 1.4 \times 10^4 \\[2.0ex]
&= 1.1 \times 38 \times \displaystyle\frac{1.4}{35} \times 10^4 \\[2.0ex]
&= 1.1 \times 38 \times 0.04 \times 10^4 \\[2.0ex]
&= 1.672 \times 10^4 \\[2.0ex]
&\approx 1.7 \times 10^4 \, \text{Hz}
\end{aligned}
$$
スピード違反を取り締まるレーダーと同じ原理です。車が近づきながら音を跳ね返すと、行きと帰りの2回分、音が「圧縮」されるため、戻ってくる音は元の音よりもかなり高くなります。風が吹いていると、音の伝わるスピード自体が風に流されて速くなったり遅くなったりするため、その影響も計算に入れる必要があります。
解答 (2) \(\displaystyle\frac{V+v}{V-v}f_0\)
解答 (3) \(60 \, \text{m/s}\)
解答 (4) \(1.7 \times 10^4 \, \text{Hz}\)
第1問 問3
思考の道筋とポイント
凸レンズと凹レンズの性質、および像の作図に関する総合問題です。光線の進み方のルールに従って作図し、レンズの公式を用いて像の位置と倍率を計算します。
この設問における重要なポイント
- 凸レンズの作図ルール:①光軸に平行な光は焦点を通る。②レンズの中心を通る光は直進する。
- 実像は常に倒立(上下左右が逆)になる。
- レンズの一部を隠しても、残りの部分を通る光が像を結ぶため、像の形は欠けないが暗くなる。
- レンズの公式:\(\displaystyle\frac{1}{a} + \displaystyle\frac{1}{b} = \displaystyle\frac{1}{f}\)
具体的な解説と立式
(1) 物体の先端から出る\(2\)本の代表的な光線(光軸に平行な光線と、レンズの中心を通る光線)を作図し、それらが交わる点が像の先端となります。
(2) 凸レンズによる実像は「倒立実像」です。これは上下だけでなく左右も反転することを意味します。
(3) スクリーンに映った像を裏側(②側)から見ると、表側から見た像をさらに左右反転させた形になります。
(4) レンズの上半分を隠しても、下半分を通過した光がスクリーン上の同じ位置に集まって像を作ります。ただし、集まる光の量が減るため、像全体が暗くなります。
(5) 焦点距離 \(f = 20 \, \text{cm}\) です。倍率が\(1\)の倒立実像ができるのは、物体を \(2f\) の位置に置いたときです。
物体を \(a = 30 \, \text{cm}\) の位置に置いたときの像の位置 \(b\) を、レンズの公式を用いて立式します。
\(\displaystyle\frac{1}{a} + \displaystyle\frac{1}{b} = \displaystyle\frac{1}{f}\)
倍率 \(m\) は、\(m = \displaystyle\frac{|b|}{a}\) で立式します。
(6) 凸レンズは光を集める働きがあります。平行に入射した平面波は、レンズ通過後、焦点に向かって収束する球面波となります。波面は光線の進行方向に垂直に描かれます。
(7) 凹レンズの作図ルール:光軸に平行な光は、手前の焦点から出たように広がって進みます。
(8) ガラス柱の中の凸レンズ型の空洞(空気)は、周囲のガラスよりも屈折率が小さいため、通常の凸レンズ(周囲より屈折率が大きい)とは逆の働き、つまり光を発散させる凹レンズと同じ働きをします。
- レンズの公式:\(\displaystyle\frac{1}{a} + \displaystyle\frac{1}{b} = \displaystyle\frac{1}{f}\)
- 倍率の公式:\(m = \displaystyle\frac{|b|}{a}\)
(5) 倍率\(1\)の像ができる位置:
$$
\begin{aligned}
a &= 2f \\[2.0ex]
&= 2 \times 20 \\[2.0ex]
&= 40 \, \text{cm}
\end{aligned}
$$
\(a = 30 \, \text{cm}\) のときの像の位置 \(b\):
$$
\begin{aligned}
\displaystyle\frac{1}{30} + \displaystyle\frac{1}{b} &= \displaystyle\frac{1}{20} \\[2.0ex]
\displaystyle\frac{1}{b} &= \displaystyle\frac{1}{20} – \displaystyle\frac{1}{30} \\[2.0ex]
\displaystyle\frac{1}{b} &= \displaystyle\frac{3 – 2}{60} \\[2.0ex]
\displaystyle\frac{1}{b} &= \displaystyle\frac{1}{60} \\[2.0ex]
b &= 60 \, \text{cm}
\end{aligned}
$$
\(b > 0\) より倒立実像。
倍率 \(m\):
$$
\begin{aligned}
m &= \displaystyle\frac{60}{30} \\[2.0ex]
&= 2 \, \text{倍}
\end{aligned}
$$
虫眼鏡(凸レンズ)で太陽の光を一点に集めたり、景色を壁に映したりするのと同じ原理です。レンズを通った光は、上下左右がひっくり返った像を作ります。レンズの半分を隠しても、残りの半分を通った光がちゃんと像を作るので、形は欠けずに少し暗くなるだけです。また、ガラスの中に空気の泡(凸レンズ型)があると、光は空気の方へ逃げようとするため、光を広げる働き(凹レンズの働き)をします。
解答 (2) エ
解答 (3) ウ
解答 (4) ウ
解答 (5) ア: \(40\), イ: 倒立実, ウ: \(2\)
解答 (6) イ
解答 (7) ウ
解答 (8) ④
第1問 問4
思考の道筋とポイント
異なる媒質間の光の屈折と全反射に関する問題です。相対屈折率の定義とスネルの法則を用いて、光の進み方を数式化します。
この設問における重要なポイント
- 媒質Aに対する媒質Bの相対屈折率 \(n_{\text{AB}}\) は、\(\displaystyle\frac{n_{\text{B}}}{n_{\text{A}}}\) で計算される。
- 臨界角 \(\theta_{\text{臨界}}\) は、屈折角が \(90^\circ\) になるときの入射角であり、\(\sin \theta_{\text{臨界}} = \displaystyle\frac{\text{屈折率の小さい媒質}}{\text{屈折率の大きい媒質}}\) となる。
- スネルの法則:\(n_1 \sin \theta_1 = n_2 \sin \theta_2\)
具体的な解説と立式
(1) 液体に対するプラスチックの相対屈折率 \(n_{\text{相対}}\) は、それぞれの絶対屈折率を用いて次のように立式します。
\(n_{\text{相対}} = \displaystyle\frac{n_{\text{プラスチック}}}{n_{\text{液体}}}\)
(2) プラスチック(屈折率 \(n_{\text{プラスチック}}\))から空気(屈折率 \(n_{\text{空気}} = 1\))へ光が進むときの臨界角 \(\theta_{\text{臨界}}\) は、屈折角が \(90^\circ\) になるときの条件からスネルの法則を用いて立式します。
\(n_{\text{プラスチック}} \sin \theta_{\text{臨界}} = n_{\text{空気}} \sin 90^\circ\)
(3) 液体からプラスチックへの入射角を \(\theta_1\)、屈折角を \(\theta_2\) とします。スネルの法則より次のように立式します。
\(n_{\text{液体}} \sin \theta_1 = n_{\text{プラスチック}} \sin \theta_2\)
光がプラスチックから空気へ透過するためには、プラスチックから空気への入射角(幾何学的に \(\theta_2\) と等しい)が臨界角 \(\theta_{\text{臨界}}\) より小さくなければなりません。
\(\theta_2 < \theta_{\text{臨界}}\)
したがって、\(\sin \theta_2 < \sin \theta_{\text{臨界}}\) となります。
- 相対屈折率:\(n_{12} = \displaystyle\frac{n_2}{n_1}\)
- スネルの法則:\(n_1 \sin \theta_1 = n_2 \sin \theta_2\)
(1)
$$
\begin{aligned}
n_{\text{相対}} &= \displaystyle\frac{4/3}{5/4} \\[2.0ex]
&= \displaystyle\frac{4}{3} \times \displaystyle\frac{4}{5} \\[2.0ex]
&= \displaystyle\frac{16}{15}
\end{aligned}
$$
(2)
$$
\begin{aligned}
\displaystyle\frac{4}{3} \sin \theta_{\text{臨界}} &= 1 \times 1 \\[2.0ex]
\sin \theta_{\text{臨界}} &= \displaystyle\frac{3}{4}
\end{aligned}
$$
(3)
$$
\begin{aligned}
\displaystyle\frac{5}{4} \sin \theta_1 &= \displaystyle\frac{4}{3} \sin \theta_2 \\[2.0ex]
\sin \theta_2 &= \displaystyle\frac{15}{16} \sin \theta_1
\end{aligned}
$$
透過条件 \(\sin \theta_2 < \sin \theta_{\text{臨界}}\) より、
$$
\begin{aligned}
\displaystyle\frac{15}{16} \sin \theta_1 &< \displaystyle\frac{3}{4} \\[2.0ex]
\sin \theta_1 &< \displaystyle\frac{3}{4} \times \displaystyle\frac{16}{15} \\[2.0ex]
\sin \theta_1 &< \displaystyle\frac{4}{5}
\end{aligned}
$$
入射角 \(\theta_1 \ge 0\) であるため、範囲は \(0 \le \sin \theta_1 < \displaystyle\frac{4}{5}\) となります。
水の中から空を見上げると、ある角度より外側は鏡のように反射して外が見えなくなります(全反射)。この問題では、液体、プラスチック、空気という3つの層を光が通り抜ける条件を考えています。光が一番上の空気に抜け出すためには、プラスチックの中で光が全反射しないような浅い角度で進む必要があり、逆算していくと、最初の液体での入射角がどの範囲に収まっていればよいかが分かります。
解答 (2) \(\displaystyle\frac{3}{4}\)
解答 (3) \(0 \le \sin \theta_1 < \displaystyle\frac{4}{5}\)
第1問 問5
思考の道筋とポイント
水中の光源からの光が水面で全反射する現象を利用して、光が外に漏れないように円板で覆う問題です。臨界角の幾何学的な意味を直角三角形に当てはめて解きます。
この設問における重要なポイント
- 光源から水面に向かう光のうち、入射角が臨界角 \(\theta\) 以上の光は全反射して空気中に出ない。
- したがって、入射角が臨界角 \(\theta\) より小さくなる範囲(円形)を板で隠せば、光はどこからも見えなくなる。
- 幾何学的に、水深、円板の半径、光線の経路が直角三角形を構成する。
具体的な解説と立式
(1) 液体(屈折率 \(n = \displaystyle\frac{5}{4}\))から空気(屈折率 \(1\))へ入射するときの臨界角 \(\theta\) は、スネルの法則より立式します。
\(n \sin \theta = 1 \times \sin 90^\circ\)
(2) 光源Sから水面までの深さを \(h = 1.0 \, \text{m}\)、円板の半径を \(R\) とします。臨界角 \(\theta\) で入射する光線は、底辺 \(h\)、高さ \(R\) の直角三角形の斜辺を通ります。三平方の定理より斜辺の長さは \(\sqrt{R^2 + h^2}\) となるため、\(\sin \theta\) は次のように立式できます。
\(\sin \theta = \displaystyle\frac{R}{\sqrt{R^2 + h^2}}\)
(3) (1)と(2)で求めた \(\sin \theta\) の式を等置し、\(R\) についての方程式を解きます。
- 臨界角の条件:\(\sin \theta_{\text{臨界}} = \displaystyle\frac{1}{n}\)
(1)
$$
\begin{aligned}
\displaystyle\frac{5}{4} \sin \theta &= 1 \\[2.0ex]
\sin \theta &= \displaystyle\frac{4}{5}
\end{aligned}
$$
(2) \(h = 1.0\) より、
$$
\begin{aligned}
\sin \theta &= \displaystyle\frac{R}{\sqrt{R^2 + 1.0^2}} \\[2.0ex]
&= \displaystyle\frac{R}{\sqrt{R^2 + 1}}
\end{aligned}
$$
(3)
$$
\begin{aligned}
\displaystyle\frac{R}{\sqrt{R^2 + 1}} &= \displaystyle\frac{4}{5} \\[2.0ex]
5R &= 4\sqrt{R^2 + 1}
\end{aligned}
$$
両辺を\(2\)乗して、
$$
\begin{aligned}
25R^2 &= 16(R^2 + 1) \\[2.0ex]
25R^2 &= 16R^2 + 16 \\[2.0ex]
9R^2 &= 16 \\[2.0ex]
R^2 &= \displaystyle\frac{16}{9}
\end{aligned}
$$
\(R > 0\) より、
$$
\begin{aligned}
R &= \displaystyle\frac{4}{3} \\[2.0ex]
&\approx 1.33 \dots \\[2.0ex]
&\approx 1.3 \, \text{m}
\end{aligned}
$$
プールの底に電球を置いたとき、真上から見ると光が見えますが、斜めから見ると水面が鏡のようになって光が外に出られなくなります。光が外に出られるのは、電球の真上を中心としたある円の範囲だけです。この円をちょうど覆い隠すような板を浮かべれば、外からは電球の光が一切見えなくなります。
解答 (2) \(\displaystyle\frac{R}{\sqrt{R^2+1}}\)
解答 (3) \(1.3\)
第1問 問6
思考の道筋とポイント
ヤングの干渉実験の基本問題です。\(2\)つのスリットからの光の経路差を幾何学的に近似して求め、明線の条件式を導出します。さらに、実験条件を変えたときの干渉縞の変化を定性的に判断します。
この設問における重要なポイント
- 経路差 \(\Delta x = |S_1 P – S_2 P|\) は、\(L \gg d\) の近似により \(d \sin \theta\) と表せる。
- さらに \(\theta\) が微小であるため、\(\sin \theta \approx \tan \theta = \displaystyle\frac{x}{L}\) の近似を用いる。
- 明線の条件は、経路差が波長 \(\lambda\) の整数倍になること。
- 装置全体を液体に入れると、光の速さが遅くなり、波長が短くなる。
具体的な解説と立式
(1) スリット \(S_1, S_2\) から点Pまでの経路差は、図の直角三角形の幾何学的関係から、角度 \(\theta\) を用いて次のように近似できます。
\(|S_1 P – S_2 P| = d \sin \theta\)
(2) \(\theta\) が十分小さい場合、\(\sin \theta \approx \tan \theta\) が成り立ちます。図より \(\tan \theta = \displaystyle\frac{x}{L}\) であるため、これを(1)の式に代入して立式します。
\(|S_1 P – S_2 P| = d \displaystyle\frac{x}{L}\)
(3) 点Pが明線となる条件は、経路差が波長 \(\lambda\) の整数倍 \(m\) になることです。
\(d \displaystyle\frac{x}{L} = m\lambda\)
(4) (3)の式を \(x\) について解くと、\(m\) 番目の明線の位置 \(x_m\) が得られます。隣り合う明線の間隔 \(\Delta x\) は、\(x_{m+1} – x_m\) として立式します。
(5)
① 屈折率 \(n\) の液体中では、光の波長は \(\displaystyle\frac{\lambda}{n}\) に短くなります。(4)の式より、波長が短くなると明線の間隔 \(\Delta x\) は狭くなります。
② 波長を短い \(\lambda’\) に変えると、同様に明線の間隔 \(\Delta x\) は狭くなります。
③ 単スリット \(S_0\) を \(y\) 軸の正の方向(上)に移動させると、\(S_0\) から \(S_1\) までの距離が短くなり、\(S_2\) までの距離が長くなります。スクリーンの中央Oでは、\(S_2\) を通る光の方が経路が長くなり、位相が遅れます。同位相(明線)になるためには、\(S_1\) を通る光の経路を長くして帳尻を合わせる必要があります。したがって、中央明線は \(S_1\) から遠ざかる方向、すなわち \(y\) 軸の正の方向(上)に移動し、縞模様全体も同じ方向に移動します。
- ヤングの実験の経路差:\(\Delta x \approx d \displaystyle\frac{x}{L}\)
- 明線の条件:\(\Delta x = m\lambda\)
(4)
$$
\begin{aligned}
x_m &= \displaystyle\frac{L\lambda}{d} m \\[2.0ex]
x_{m+1} &= \displaystyle\frac{L\lambda}{d} (m + 1) \\[2.0ex]
\Delta x &= x_{m+1} – x_m \\[2.0ex]
&= \displaystyle\frac{L\lambda}{d} (m + 1) – \displaystyle\frac{L\lambda}{d} m \\[2.0ex]
&= \displaystyle\frac{L\lambda}{d}
\end{aligned}
$$
2つのスリットから出た光が、スクリーン上で波として重なり合い、強め合って明るくなる場所と、打ち消し合って暗くなる場所の縞模様を作ります。明るくなるのは、2つのルートを通ってきた光の「道のりの差」が、波長のちょうど整数倍になっている場所です。水の中に入れたり、波長が短い光に変えたりすると、波の「ひと揺れ」の長さが短くなるため、縞模様の間隔もギュッと狭くなります。また、最初の光源を上にずらすと、光のスタート地点でのバランスが崩れるため、縞模様全体が上にスライドします。
解答 (2) \(\displaystyle\frac{dx}{L}\)
解答 (3) \(\displaystyle\frac{dx}{L} = m\lambda\)
解答 (4) \(\displaystyle\frac{L\lambda}{d}\)
解答 (5) ①エ ②ウ ③オ
第2問
思考の道筋とポイント
薄膜による光の干渉問題です。薄膜の上下の面で反射した\(2\)つの光の経路差と、反射時の位相変化(固定端反射か自由端反射か)を正確に把握することが鍵となります。
この設問における重要なポイント
- 屈折率 \(n\) の媒質中では、光の波長は真空中の \(\displaystyle\frac{1}{n}\) 倍になる。
- 垂直入射の場合、薄膜(厚さ \(d\))の往復による経路差は \(2d\) となる。
- 屈折率が「小さい媒質から大きい媒質」へ向かって反射するとき、位相が \(\pi\)(半波長分)ずれる(固定端反射)。
- 屈折率が「大きい媒質から小さい媒質」へ向かって反射するとき、位相はずれない(自由端反射)。
具体的な解説と立式
(1) 空気(屈折率\(1\))中の波長が \(\lambda\) のとき、屈折率 \(n\) の薄膜中での波長 \(\lambda’\) は次のように立式します。
\(\lambda’ = \displaystyle\frac{\lambda}{n}\)
(2) 光は薄膜に垂直に入射するため、境界面Aで反射する光と、境界面Bまで進んで反射する光の経路差は、薄膜の厚さ \(d\) の往復分となります。
\(\text{経路差} = 2d\)
(3) 境界面Aでの反射は「空気(\(1\)) \(\rightarrow\) 薄膜(\(n\))」であり、屈折率が大きくなるため位相が \(\pi\) ずれます。境界面Bでの反射は「薄膜(\(n\)) \(\rightarrow\) 空気(\(1\))」であり、屈折率が小さくなるため位相はずれません。
\(2\)つの反射光の間で位相が \(\pi\)(半波長分)ずれているため、強め合う条件は、経路差が「薄膜中の波長 \(\lambda’\) の半整数倍」になることです。
\(2d = \left(m + \displaystyle\frac{1}{2}\right) \lambda’\)
(4) 薄膜の厚さ \(d\) が波長に比べて十分に薄い(\(d \approx 0\))とき、経路差 \(2d\) はほぼ\(0\)になります。しかし、境界面Aでのみ位相が \(\pi\) ずれているため、\(2\)つの光は逆位相で重なり合い、弱め合います。
(5) ガラスの屈折率 \(n’\) が薄膜の屈折率 \(n\) より大きい(\(n’ > n\))場合を考えます。
境界面Aでの反射(空気 \(\rightarrow\) 薄膜)は位相が \(\pi\) ずれます。
境界面Bでの反射(薄膜 \(\rightarrow\) ガラス)も、屈折率が大きくなるため位相が \(\pi\) ずれます。
両方で位相が \(\pi\) ずれるため、相対的な位相差はなくなります。したがって、弱め合う条件は、経路差が「薄膜中の波長 \(\lambda’\) の半整数倍」になることです。
\(2d = \left(m + \displaystyle\frac{1}{2}\right) \lambda’\)
(6) (5)の条件式において、膜の厚さ \(d\) が最小となるのは \(m = 0\) のときです。これを立式して \(d\) を求めます。
- 媒質中の波長:\(\lambda’ = \displaystyle\frac{\lambda}{n}\)
- 干渉条件(位相ずれありで強め合う、または位相ずれなしで弱め合う):\(2d = \left(m + \displaystyle\frac{1}{2}\right) \displaystyle\frac{\lambda}{n}\)
(3)
$$
\begin{aligned}
2d &= \left(m + \displaystyle\frac{1}{2}\right) \displaystyle\frac{\lambda}{n}
\end{aligned}
$$
(5)
$$
\begin{aligned}
2d &= \left(m + \displaystyle\frac{1}{2}\right) \displaystyle\frac{\lambda}{n}
\end{aligned}
$$
(6) \(m = 0\) を代入して、
$$
\begin{aligned}
2d &= \displaystyle\frac{1}{2} \displaystyle\frac{\lambda}{n} \\[2.0ex]
d &= \displaystyle\frac{\lambda}{4n}
\end{aligned}
$$
シャボン玉や水たまりの油膜が色づいて見えるのと同じ現象です。膜の表面で反射した光と、膜の裏面まで行ってから反射した光が重なり合います。このとき、光が「硬い壁(屈折率が大きい物質)」にぶつかって反射すると、波の山と谷がひっくり返るという性質があります。膜の表と裏で、この「ひっくり返り」が何回起きるかによって、光が強め合うか弱め合うかの条件が逆転します。
解答 (2) \(2d\)
解答 (3) \(2d = (m+\displaystyle\frac{1}{2})\displaystyle\frac{\lambda}{n}\)
解答 (4) 弱めあう
解答 (5) \(2d = (m+\displaystyle\frac{1}{2})\displaystyle\frac{\lambda}{n}\)
解答 (6) \(\displaystyle\frac{\lambda}{4n}\)